特 集 北 里 医 学 2012; 42: 51-55 第 22 回 北 里 腫 瘍 フォーラム 骨 転 移 痛 に 対 する 麻 酔 科 的 アプローチ 金 子 晴 香, 鈴 木 麻 葉, 岡 本 貴, 金 井 昭 文, 岡 本 浩 嗣 北 里 大 学 医 学 部 麻 酔 科 学 骨 転 移 では, 骨 痛 のみならず, 関 節 痛, 筋 痛, 神 経 障 害 痛 などが 続 発 し, 身 体 機 能 は 障 害 され, 生 活 の 質 は 低 下 する 骨 転 移 痛 は 世 界 保 健 機 関 のラダーに 従 ったオピオイド 中 心 の 薬 物 療 法 のみで は 取 りきれないことも 少 なくない 麻 酔 科 では 骨 転 移 痛 に 対 し, 新 しい 薬 物 療 法 や 様 々な 神 経 ブ ロック 療 法 を 取 り 入 れている 薬 物 療 法 としてはステロイド,ビスフォスフォネート,プレガバリ ンなどを 鎮 痛 補 助 薬 として 応 用 する 神 経 ブロック 療 法 としては, 高 周 波 熱 凝 固 ブロック, 持 続 硬 膜 外 ブロック, 持 続 くも 膜 下 ブロック (ポート 埋 め 込 み) などの 長 期 神 経 ブロック 療 法 があり, 放 射 線 照 射 の 際 の 一 時 的 神 経 ブロック 療 法 も 有 用 である Key words: 骨 転 移 痛, 薬 物 療 法, 神 経 ブロック, 麻 酔 科 はじめに 骨 転 移 は, 転 移 がん 症 例 全 体 の 約 60 84%に 存 在 す る 1 その 原 発 臓 器 は, 肺 と 乳 腺 が 多 く, 転 移 部 位 とし ては, 脊 椎, 骨 盤, 肋 骨 が 多 い また 骨 転 移 痛 は,が ん 性 疼 痛 の 約 40%に 関 与 し 2, 激 しい 痛 みと 骨 折 などか ら, 身 体 機 能 障 害 と 生 活 の 質 の 低 下 を 引 き 起 こす 骨 転 移 痛 は 世 界 保 健 機 関 (WHO) のラダーに 従 った 薬 物 療 法 のみでは 取 りきれないことも 少 なくない 麻 酔 科 では 難 渋 する 骨 転 移 痛 に 対 し, 新 しい 鎮 痛 薬 や 様 々な 神 経 ブロック 療 法 を 取 り 入 れている 今 回, 麻 酔 科 における 骨 転 移 痛 に 対 する 薬 物, 放 射 線, 神 経 ブロック 療 法 についての 段 階 的 治 療 戦 略 について 述 べ る 骨 転 移 痛 のメカニズム 骨 転 移 痛 の 強 度, 頻 度, 性 状, 鎮 痛 薬 反 応 性 はしば 図 1. 骨 転 移 痛 のメカニズムと 薬 物 療 法 Received 29 March 2012, accepted 1 June 2012 連 絡 先 : 金 子 晴 香 ( 北 里 大 学 医 学 部 麻 酔 科 学 ) 252-0374 神 奈 川 県 相 模 原 市 南 区 北 里 1-15-1 E-mail: haruka k0610367@yahoo.co.jp 51
金 子 晴 香, 他 しば 変 化 する これは,がんの 発 育 に 伴 い, 痛 みの 発 生 因 子 が 変 化 するためである 3 がん 細 胞 の 増 殖 によ り, 炎 症 性 サイトカイン 産 生, 骨 吸 収 や 細 胞 融 解 によ る 酸 産 生, 骨 膜 浸 潤, 神 経 圧 迫 が 生 じ, 炎 症 性, 神 経 障 害 性 の 急 性 痛 と 慢 性 痛 が 生 じる ( 図 1) 骨 転 移 痛 の 治 療 の 流 れ 骨 転 移 痛 の 治 療 アルゴリズムを 図 2に 示 す 古 典 的 WHO 除 痛 ラダーは 薬 物 による3 段 階 治 療 であるが, 近 年,より 少 量 の 強 オピオイドで 鎮 痛 作 用 を 増 強 させる ために, 硬 膜 外 腔 またはくも 膜 下 腔 に 強 オピオイドを 投 与 する4 段 階 が 設 けられている これには 神 経 ブロッ クの 手 技 が 必 要 である また,WHO4 段 階 除 痛 ラダー のステップに 関 わらず, 適 応 があれば 神 経 ブロックと 放 射 線 療 法 を 行 う その 他, 骨 の 動 揺 性 を 減 らすため のコルセットなどの 装 具 着 用 も 必 要 となる 放 射 線 療 法 放 射 線 療 法 では60 90%の 症 例 に 良 好 な 痛 みの 緩 和 が 得 られるため, 適 応 があれば 積 極 的 に 行 う 4 骨 転 移 が 確 認 された 時 点 で, 放 射 線 療 法 の 適 応 を 放 射 線 科 に コンサルトする 放 射 線 療 法 では, 鎮 痛 効 果 発 現 まで に 時 間 を 要 することがしばしば 問 題 である 概 して, 鎮 痛 効 果 発 現 まで2 週 間, 最 大 鎮 痛 効 果 まで4 6 週 間 とされる 5 また, 痛 みのために 体 位 保 持 が 困 難 とな り, 放 射 線 を 照 射 できないことも 問 題 である 痛 みな く 放 射 線 照 射 を 繰 り 返 し,その 鎮 痛 効 果 が 始 まるまで の 一 時 的 神 経 ブロックがしばしば 有 効 である 併 用 し てビスフォスフォネート,エルシトニン,オピオイ ド, 鎮 痛 補 助 薬 の 追 加 増 量 を 行 う また, 多 発 性 骨 転 移 症 例 では,ストロンチウム-89 ( 89 Sr) が 適 応 となる 場 合 がある 静 注 した 89 Srが 骨 転 移 部 位 に 集 積 し,β 線 を 放 出 することでがん 細 胞 を 死 滅 させるため, 単 回 静 注 で 一 度 に 全 身 の 骨 転 移 部 位 に 放 射 線 を 暴 露 させることが 可 能 である 適 応 は 造 骨 性 固 形 がんで, 骨 シンチグラフィーで 多 発 性 骨 転 移 が 認 め られ, 痛 みの 部 分 と 一 致 することが 必 要 である 6 多 発 性 骨 髄 腫 などの 血 液 悪 性 腫 瘍 は 骨 病 変 が 溶 骨 性 であり 対 象 外 である 89 Sr 投 与 による 有 効 率 は76%, 完 全 寛 解 が32%, 鎮 痛 薬 の 減 少 が71 81%と 報 告 されている 7 副 作 用 で 骨 髄 抑 制 が 出 現 することがあるため, 抗 がん 剤 との 併 用 は 不 可 能 であること,また, 投 与 後 1 5 日 以 内 に 一 時 的 に 痛 みが 増 強 し4 日 程 度 続 く 現 象 (Pain Flare) が15%で 現 れることがあるので 注 意 を 要 する 7 薬 物 療 法 1. 非 ステロイド 性 抗 炎 症 薬 (NSAIDs) 非 ステロイド 性 抗 炎 症 薬 (non-steroidal antiinflammatory drugs: NSAIDs) は,アラキドン 酸 カスケードでシクロ オキシゲナーゼ (COX) を 阻 害 し,プロスタグランジン (PG) の 産 生 を 阻 害 することで, 骨 の 炎 症 を 抑 えて 鎮 痛 作 用 をもたらす WHOラダーで 第 1 段 階 の 薬 剤 であ る 長 期 に 使 用 する 場 合 には, 誘 導 酵 素 COX2に 選 択 性 の 高 いNSAIDs (セレコキシブ,エトドラク,メロキ シカムなど) を 処 方 する 消 化 管 出 血 の 予 防 のため,プ ロスタグランジン 製 剤,プロトンポンプ 阻 害 薬, 高 用 量 H2 受 容 体 拮 抗 薬 のいずれかを 併 用 する 消 化 管 出 血, 腎 機 能 障 害, 血 小 板 低 下 症 例 ではNSAIDsをアセト アミノフェンで 代 用 する 2. オピオイド 炎 症 性 疼 痛 と 神 経 障 害 性 疼 痛 の 両 方 に 有 効 である 強 オピオイドに 天 井 効 果 はなく, 有 効 量 まで 漸 増 す る 有 効 量 の 定 時 投 与 により 安 静 時 痛 の 緩 和 は 比 較 的 良 好 だが, 体 動 時 痛 と 突 発 痛 が 緩 和 安 静 時 の 投 与 量 で はカバーできないため 8, 即 効 性 のオピオイドを 頓 用 (レ スキュー) する 図 2. 当 科 における 骨 転 移 痛 治 療 の 流 れ 52
第 22 回 北 里 腫 瘍 フォーラム 骨 転 移 痛 に 対 する 麻 酔 科 的 アプローチ 3. 副 腎 皮 質 ステロイド 抗 炎 症 作 用 と 抗 浮 腫 作 用 による 強 力 な 鎮 痛 効 果 を 期 待 できる 1 Na 貯 留 作 用 のないベタメタゾンを4 12 mg/ 日 で 開 始 し,3 5 日 ごとに 半 量 ずつ 漸 減 し, 効 果 が 維 持 できる 最 小 量 を 維 持 量 とする 4. ビスフォスフォネート 破 骨 細 胞 の 活 性 を 選 択 的 に 阻 害 することで 鎮 痛 作 用 を 発 揮 する 溶 骨 性 病 変 の 新 規 発 生 と 病 的 骨 折 予 防 作 用 も 有 するため 9, 長 期 予 後 に 関 与 する WHOラダー の 段 階 に 関 わらず, 顎 骨 壊 死 や 発 熱 の 副 作 用 に 注 意 し,1 回 /3 週 間 の 頻 度 で 投 与 する 効 果 発 現 は 比 較 的 緩 徐 であり, 投 与 4 日 目 以 降 に 最 大 効 果 が 発 現 する 1 をもたらす 少 量 でも 不 快 感, 離 人 体 験, 幻 覚, 悪 夢 などの 中 枢 性 副 作 用 がでることがあり 12, 抗 不 安 薬 を 併 用 する また, 交 感 神 経 賦 活 作 用 を 有 するため, 血 圧 上 昇 に 注 意 する さらに, 脳 圧 を 亢 進 させるため, 脳 血 管 障 害, 高 血 圧, 脳 圧 亢 進 症, 重 症 の 心 代 償 不 全 の 患 者 には 禁 忌 である 12 プレガバリンは, 電 位 依 存 性 Ca 2+ チャネルに 結 合 し, Ca 2+ の 流 入 を 抑 制, 神 経 伝 達 物 質 の 放 出 を 抑 制 す ることによって 痛 みを 緩 和 する 13 1 回 25 150 mg,1 日 1 2 回 の 経 口 投 与 を 行 うが, 腎 機 能 低 下 症 例, 高 齢 者 では 慎 重 投 与 する 必 要 がある 副 作 用 としては 眠 気,めまい, 体 重 増 加, 下 腿 浮 腫, 眼 症 状 ( 霧 視, 複 視 など) がある 5. カルシトニン 破 骨 細 胞 上 のカルシトニン 受 容 体 に 作 用 すること で, 破 骨 細 胞 の 運 動 や 分 化 抑 制 により 鎮 痛 作 用 を 発 揮 する 10,11 末 梢 神 経 や 中 枢 神 経 への 直 接 作 用 による 鎮 痛 効 果 もあるとされる 1 ビスフォスフォネートに 対 し, 効 果 が 速 やかに 発 現 し, 重 篤 な 副 作 用 が 少 ない 6. その 他 の 鎮 痛 補 助 薬 NSAIDs,オピオイド 抵 抗 性 の 痛 み, 特 に, 神 経 障 害 性 の 痛 みが[h1] 顕 著 な 際 に 有 用 である 以 下 に 代 表 的 な 鎮 痛 補 助 薬 について 述 べる ケタミンは, 脊 髄 後 角 広 域 作 動 性 ニューロンの NMDA 受 容 体 を 遮 断 し, 中 枢 性 感 作 の 減 弱 作 用,オピ オイド (δ) 受 容 体,GABA 受 容 体 への 作 用 により 鎮 痛 神 経 ブロック 神 経 ブロックは, 強 オピオイドが 多 量 となる 場 合, 強 オピオイドが 副 作 用 のため 増 量 できない 場 合, 強 オ ピオイド 抵 抗 性 の 痛 みを 有 する 場 合 などに 適 応 され 表 1. 骨 転 移 痛 で 施 行 される 神 経 ブロック 硬 膜 外 ブロック 脊 髄 くも 膜 下 ブロック ポート 肋 間 神 経 ブロック 仙 腸 関 節 周 囲 高 周 波 熱 凝 固 ブロック 脊 髄 神 経 後 枝 内 側 枝 高 周 波 凝 固 ブロック ( 経 皮 的 椎 体 形 成 ) 表 2. 強 オピオイドの 投 与 経 路 と 力 価 比 経 口 直 腸 内 静 注 皮 下 経 皮 硬 膜 外 くも 膜 下 モルヒネ 300 150 200 100 150 15 30 1 2 オキシコドン 200 150 30 60 フェンタニル 1 2 2 7 0.5 1 0.5 1 表 3. 硬 膜 外 ブロックと 脊 髄 くも 膜 下 ブロック 有 効 期 間 硬 膜 外 ブロック 硬 膜 外 癒 着 や 脊 椎 変 形 による 麻 酔 減 弱 が 多 い 脊 髄 くも 膜 下 ブロック 麻 酔 減 弱 少 ない 長 期 鎮 痛 に 有 利 筋 弛 緩 出 現 しにくい 出 現 しやすい 局 所 麻 酔 薬 オピオイドの 量 多 い ( 局 所 麻 酔 薬 中 毒 の 危 険 性 あり) 少 ない 在 宅 療 養 の 可 否 困 難 ポート 留 置 で 可 能 その 他 頭 蓋 内 圧 亢 進 で 禁 忌 低 髄 液 圧 症 候 群 53
金 子 晴 香, 他 る 長 期 神 経 ブロックと, 放 射 線 療 法 や 鎮 痛 薬 による タイトレーション 中 の 一 時 的 神 経 ブロックがある 麻 酔 科 で 施 行 する 骨 転 移 痛 に 対 する 神 経 ブロックを 表 1に 示 す 神 経 ブロックの 最 大 の 利 点 が,オピオイドの 減 量 と その 副 作 用 の 軽 減 である 表 2に 強 オピオイドの 投 与 経 路 と 力 価 比 を 示 すが,モルヒネを 例 にあげると, 個 人 差 はあるものの, 硬 膜 外 投 与 では 経 口 投 与 の 約 1/10, くも 膜 下 投 与 では 経 口 投 与 の 約 1/100で 鎮 痛 を 得 られる 1. 硬 膜 外 ブロックと 脊 髄 くも 膜 下 ブロック 表 3に 硬 膜 外 ブロックと 脊 髄 くも 膜 下 ブロックを 比 較 したものを 示 す くも 膜 下 ブロックでは, 少 量 の 局 所 麻 酔 薬 でブロックが 可 能 であるため, 局 所 麻 酔 薬 中 毒 の 危 険 性 が 低 いこと, 麻 酔 薬 の 広 がりが 良 好 でポート 挿 入 による 長 期 使 用 に 向 くことが 利 点 である 当 科 で 施 行 した, 実 際 のくも 膜 下 ポート 埋 め 込 み 術 の 様 子 を 図 3に 紹 介 する 2. 肋 間 神 経 ブロック 肋 骨 の 骨 転 移 痛 に 適 応 となる 局 所 麻 酔 薬 で 肋 間 神 経 ブロックを 施 行 し, 痛 みが 十 分 に 緩 和 されることを 確 認 した 後,X 線 透 視 下 で 神 経 破 壊 薬 ( 無 水 アルコー ル,フェノール) によるブロックを 施 行 する 肋 骨 下 縁 図 3. くも 膜 下 ポート 埋 め 込 み 術 の 様 子 ( 患 者 は 右 側 臥 位 写 真 左 が 患 者 腹 側 ) 図 4. 肋 間 神 経 ブロックの 際 の 透 視 画 像 (P-A 撮 影 法 ) 肺 癌 患 者 の 第 3 胸 椎 レベルのくも 膜 下 腔 に 挿 入 したカテーテル を, 皮 下 を 通 し 左 側 胸 部 へ 出 しているところである 図 5. 仙 腸 関 節 周 囲 高 周 波 熱 凝 固 ブロック 54 図 6. 脊 髄 神 経 後 枝 内 側 枝 ブロック
第 22 回 北 里 腫 瘍 フォーラム 骨 転 移 痛 に 対 する 麻 酔 科 的 アプローチ に 針 を 進 め, 造 影 剤 を 注 入 し, 図 4のように 肋 骨 神 経 血 管 鞘 を 流 れる 像 が 得 られたら, 神 経 破 壊 薬 を 注 入 す る 14 神 経 破 壊 薬 による 神 経 炎 を 合 併 することがあ る ブロック 後 2 週 間 程 度 ぴりぴりした 痛 みが 残 るもの の, 多 くは 自 然 に 軽 快 する 3. 高 周 波 熱 凝 固 神 経 ブロック 高 周 波 電 磁 波 を 用 いて 神 経 組 織 を 熱 凝 固 するもので ある 脊 髄 近 傍 に 液 体 である 神 経 破 壊 薬 を 使 用 する と, 神 経 破 壊 薬 が 脊 髄, 神 経 根, 栄 養 血 管 に 流 れ, 麻 痺 が 起 きる 一 方, 高 周 波 熱 凝 固 では 神 経 破 壊 領 域 が 針 先 端 に 限 局 するため, 麻 痺 の 危 険 性 は 低 い した がって 脊 髄 近 傍 では 一 般 に 高 周 波 熱 凝 固 を 行 う ま た, 高 周 波 熱 凝 固 ではブロック 後 の 体 位 保 持 が 不 要 で あり 軽 度 せん 妄 のある 症 例 でも 施 行 が 可 能 である 効 果 は4か 月 以 上 続 く 15 高 周 波 熱 凝 固 ブロックのうち, 仙 腸 関 節 周 囲 の 骨 転 移 に 対 しては 仙 腸 関 節 周 囲 高 周 波 熱 凝 固 ブロックを 施 行 する ( 図 5) 局 所 麻 酔 薬 での 仙 腸 関 節 ブロックで 疼 痛 緩 和 を 認 めるものの 効 果 が 一 時 的 である 症 例 に 施 行 す る また, 椎 体 や 椎 弓 などへの 骨 転 移 やそれに 伴 う 椎 間 関 節 由 来 の 腰 背 部 痛 に 対 して, 脊 髄 神 経 後 枝 内 側 枝 ブ ロックが 適 応 となる ( 図 6) 15 脊 髄 神 経 後 枝 内 側 枝 は, 椎 間 関 節 へ 分 布 し, 椎 体 や 椎 弓 などへの 骨 転 移 例 で 痛 みの 原 因 となる そのため,これを 熱 凝 固 することで 良 好 な 痛 みの 緩 和 が 得 られる おわりに 骨 転 移 痛 に 対 する 麻 酔 科 的 アプローチについて 第 22 回 北 里 腫 瘍 フォーラム (2012 年 1 月 ) で 発 表 した 内 容 を 中 心 にまとめた 文 1. 細 川 豊 史. 骨 転 移 痛 に 対 する 薬 物 療 法. がん 患 者 と 対 症 療 法 2007; 18: 11-7. 2. Caraceni A, Portenoy PK. A working group of the IASP task force on cancer pain: an international survey of cancer pain charavteristics and syndromes. Pain 1999; 82: 263-74. 3. 表 圭 一. 骨 がん 性 疼 痛 モデルとそれにもとづく 新 たな 知 見. 緩 和 医 療 学 2005; 7: 351-8. 4. 熊 野 智 康. 特 集 : がん 疼 痛 治 療 の 最 新 情 報 7. 骨 転 移 の 治 療 対 策 2) 放 射 線 照 射 による 疼 痛 緩 和. Prog Med 2011; 31: 1245-50. 5. 清 水 わか 子, 内 田 伸 恵, 岸 和 史, 他. がん 疼 痛 治 療 を 主 と する 緩 和 医 療 領 域 における 放 射 線 治 療 グループ 報 告 : 有 痛 性 骨 転 移 を 主 としたがん 性 疼 痛 における 放 射 線 治 療 ガイド ラインの 提 案. 日 放 種 会 誌 2009; 21: 159-64. 6. 西 尾 正 道. 特 集 : ここまで 進 んだRI 内 用 療 法 ストロンチ ウム (89Sr) による 多 発 性 骨 転 移 の 疼 痛 緩 和 治 療. 臨 床 放 射 線 2007; 52: 873-82. 7. Finlay IG, Mason MD, Shelley M, et al. Ragioisotopes for the palliation of metastatic bone cancer: a systematic review. Lancet Oncology 2005; 6: 392-400. 8. Mercadante S, Villari P, Ferrera P, et al. Optimization of therapy for preventing incident pain associated with bone metastases. J Pain Symptom Manage 2004; 28: 505-10. 9. Fleisch H. Bisphosphonates in bone disease. From the laboratory to the patients, Academic Press; New York: 2000; 88-117. 10. Takahashi N, Yamana H, Yosshiki S et al. Osteoclast-like cell formation and its regulation by osteotropic hormones in mouse bone marrow cultures. Endicrinology 1988; 122: 1373-82. 11. Kurihara N, Civin C, Roodman GD. Osteotropic factor responsiveness of hughly purified populations of early and late precursors for human multinucleated cells expressing the osteoclast phenotype. J Bone Miner Res 1991; 6: 257-61. 12. がん 疼 痛 の 薬 物 療 法 に 関 するガイドライン ( 第 1 版 ). 特 定 非 営 利 活 動 法 人 日 本 緩 和 医 療 学 会 緩 和 医 療 ガイドライン 作 成 委 員 会. 金 原 出 版 株 式 会 社, 東 京,2010. 13. Taylor CP. Mechanisms of analgesia by gabapentin and pregabalincalcium channel α2-δ[cav α2-δ]ligands. Pain 2009; 142: 13-6. 14. 宮 下 亮 一, 鈴 木 森 香, 松 岡 修 平, 他. 神 経 ブロックを 極 め る 脊 髄 神 経 に 関 連 して 脊 髄 神 経 ブロック 脊 髄 神 経 ブロック 脊 髄 神 経 末 梢 枝 ブロック 肋 間 神 経 ブロック. ペ インクリニック 2011; 37: 343-50. 15. 長 沼 芳 和. 神 経 ブロックを 極 める 脊 髄 神 経 に 関 連 して 脊 髄 神 経 ブロック 脊 髄 神 経 ブロック 脊 髄 神 経 末 梢 枝 ブ ロック 脊 髄 神 経 後 枝 内 側 枝 ブロック. ペインクリニック 2011; 37: 361-4. 献 55