群 G01-02 教 セ 平 22.242 集 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てる 国 語 科 指 導 の 工 夫 楽 しい 授 業 づくりを 目 指 した 指 導 の 手 引 きの 作 成 と 活 用 を 通 して 長 期 研 修 員 宮 一 美 樹 研 究 の 概 要 本 研 究 では 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てるために 楽 しい 授 業 づくりを 目 指 した 指 導 の 手 引 きを 作 成 し それを 活 用 して 授 業 を 行 った この 指 導 の 手 引 きでは 教 材 とのわくわくの 出 会 いの 活 動 いろいろな 音 読 活 動 いきいきと 表 現 する 活 動 の 三 つの 活 動 を 取 り 入 れることを 指 導 の 基 本 とした そして 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 楽 しい 授 業 づくり のポイントを 各 学 習 内 容 ごとに 提 案 した キーワード 国 語 小 伝 統 的 な 言 語 文 化 指 導 の 手 引 き 親 しむ Ⅰ 主 題 設 定 の 理 由 新 学 習 指 導 要 領 では 従 来 の 言 語 事 項 に 代 わり 伝 統 的 な 言 語 文 化 と 国 語 の 特 質 に 関 する 事 項 が 設 置 された この 背 景 には 教 育 基 本 法 が 改 正 され 伝 統 を 継 承 し 新 しい 文 化 の 創 造 を 目 指 す 教 育 を 推 進 する という 条 文 が 加 えられたことがある これを 受 け 学 校 教 育 法 にも 伝 統 と 文 化 を 尊 重 する 態 度 を 養 うことが 明 言 され 平 成 20 年 の 中 央 教 育 審 議 会 の 答 申 において 伝 統 や 文 化 に 関 する 教 育 の 充 実 という 項 目 が 盛 り 込 まれた 学 習 指 導 要 領 の 改 訂 で 我 が 国 の 言 語 文 化 を 享 受 し 継 承 発 展 さ せる 態 度 を 育 てる ことを 目 指 し そのために 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 低 学 年 から 触 れ 生 涯 にわたって 親 しむ 態 度 の 育 成 を 重 視 しているのである これらのことから 児 童 の 日 常 生 活 言 語 生 活 と 日 本 の 伝 統 的 な 文 化 を 結 び 付 け 生 涯 にわたって 古 典 や 物 語 民 話 などに 親 しむことができるような 児 童 を 育 てる 学 習 活 動 を 工 夫 していくことが 求 められていると 言 える また 平 成 22 年 度 の 群 馬 県 学 校 教 育 の 指 針 では 目 指 す 言 語 能 力 を 育 成 する 指 導 の 充 実 を 重 点 目 標 の 一 つとし その 中 で 相 手 意 識 目 的 意 識 方 法 意 識 をもって 表 現 する 言 語 活 動 の 工 夫 が 提 言 されている このことから 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 学 習 においても 表 現 する 活 動 を 取 り 入 れながら 学 習 していく 必 要 があると 考 える 協 力 校 では 平 成 20 年 度 から 表 現 力 を 高 める 学 習 活 動 の 工 夫 をテーマに 国 語 科 の 研 修 に 取 り 組 ん できた その 中 で 校 内 俳 句 大 会 を 開 いたり 百 人 一 首 に 取 り 組 んだりして 五 七 五 のリズムに 親 しみ 日 本 語 のよさを 感 じ 取 ることができるような 児 童 の 育 成 に 努 めてきた しかし これらの 活 動 を 話 す こと 聞 くこと 書 くこと 読 むこと の 指 導 と 結 び 付 けて 系 統 的 に 指 導 するまでには 至 ってい ない さらに 教 師 側 には どのようなことを 指 導 したらよいのか 音 読 や 暗 唱 活 動 を 取 り 入 れるだけ でよいのか 親 しむとは 児 童 のどのような 姿 をさすのか などのとまどいが 見 られる また 児 童 の 実 態 を 見 ると 昔 話 を 知 らなかったり いろはかるたで 遊 んだりしたことのない 児 童 がほとんどである 日 常 生 活 の 中 で 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しんでいる 様 子 は あまり 見 ることができない 以 上 のことから 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 学 習 を 系 統 的 計 画 的 に 行 っていけるよう 学 習 内 容 と 教 材 に 学 習 活 動 を 結 び 付 けた 学 習 系 統 表 を 作 成 する 必 要 があると 考 えた その 上 で 児 童 が 意 欲 的 に 学 習 に 取 り 組 むことができる 授 業 を 行 うために 楽 しい 授 業 づくりを 目 指 した 指 導 の 手 引 きを 作 成 する この 手 引 きでは 教 材 との 出 会 いを 工 夫 し 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜた 指 導 を 基 本 とする 児 童 が 興 味 をもって 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 出 会 い 意 欲 的 に 学 習 に 取 り 組 むことができるよう お 話 の 紹 介 紙 芝 居 や 音 読 の 発 表 短 歌 や 俳 句 作 り 随 筆 の 執 筆 などさまざまな 活 動 を 行 っていく これらの 活 動 を 通 して 楽 しみながら 学 び 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 態 度 を 育 てていくことができると 考 えた そこで 本 研 究 では 学 習 系 統 表 を 基 に 各 学 年 の 教 材 についての 単 元 計 画 と 1 時 間 の 授 業 の 流 れが 分 かる 略 案 板 書 計 画 ワークシート 資 料 を 入 れた 指 導 の 手 引 きを 作 成 し 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 し む 児 童 を 育 てていくための 授 業 づくりについて 提 案 していきたいと 考 え 本 主 題 を 設 定 した - 1 -
Ⅱ 研 究 のねらい 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 指 導 において 楽 しい 授 業 づくりを 目 指 した 指 導 の 手 引 きを 作 成 して その 手 引 きを 授 業 に 活 用 することにより 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てることができることを 実 践 を 通 して 明 らかにする Ⅲ 研 究 の 内 容 1 基 本 的 な 考 え 方 (1) 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 について 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむとは 児 童 のどのような 姿 を 指 すのか 親 しむとは 日 常 的 にそのも のに 接 してなじむことである したがって 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 とは 古 典 の 存 在 を 知 り 自 分 から 昔 話 や 神 話 を 楽 しんで 読 んだり 日 常 生 活 において ことわざや 慣 用 句 を 使 ったりす ることができる 児 童 また 昔 の 人 の 思 いや 考 えに 共 感 し 親 しみをもつことができる 児 童 であると 考 えた 授 業 を 終 えた 後 の 児 童 の 感 想 に また 古 典 を 勉 強 してみたい 他 の 古 典 を 読 んでみたく なった 等 の 記 述 があれば 親 しんだことになると 言 えるであろう 授 業 で 学 んだ 教 材 をきっかけに して 自 分 でも 古 典 を 読 んだり 俳 句 を 作 ったりしてみたい と 思 えるような 児 童 の 姿 が 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 姿 であると 考 えた( 表 1) 表 1 目 指 す 児 童 生 徒 像 小 学 校 昔 の 人 が 書 いたものを 古 典 というのだな 古 典 の 授 業 は 楽 しい 昔 話 もおもしろそうだ 読 んでみよう 自 分 でもことわざを 使 ったり 俳 句 を 作 ったりしてみよう 中 学 校 中 学 校 ではどんな 古 典 を 勉 強 するのだろう 古 典 は 面 白 いから 好 きだ 同 じ 時 代 の 違 う 作 品 も 読 んでみよう 作 者 について 調 べてみよう 書 いたり 続 きを 作 ったりしてみよう (2) 指 導 の 手 引 きの 作 成 について 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てるためには 児 童 にとって 楽 しく 充 実 した 授 業 を 行 っていく ことが 重 要 である 児 童 が 古 典 の 世 界 に 興 味 をもち 楽 しみながら 文 語 の 文 章 に 慣 れ 古 人 の 考 え 方 を 知 ることができれば 古 典 の 世 界 と 現 代 の 世 界 はつながっている ことに 気 付 き 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しんでいくことができるであ ろう そこで 指 導 者 が 授 業 を 計 画 する 際 に 活 用 できるような 指 導 の 手 引 きを 作 成 した この 手 引 きを 基 に 授 業 を 行 うことによって 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てることができると 考 えた 図 1は 研 究 の 構 想 を 図 に 表 し たものである 図 1 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 昔 の 人 が 書 いたものを 古 典 というのだな 古 典 の 授 業 は 楽 しい 昔 話 もおもしろそうだ 読 んでみよう 自 分 でもことわざを 使 ったり 俳 句 を 作 ったりしてみよう 教 材 への 興 味 関 心 が 高 まる わくわくの 出 会 いの 活 動 児 童 の 実 態 昔 話 をほとんど 知 らない 古 典 は 難 しいと 思 っている 研 究 構 想 図 - 2 - 古 文 に 慣 れリズムよく 読 めるようになる いろいろな 音 読 活 動 楽 しい 授 業 づくりを 目 指 した 指 導 の 手 引 き 主 体 的 に 活 動 することで 古 典 が 好 きになる いきいきと 表 現 する 活 動
2 教 材 の 概 要 (1) 指 導 の 手 引 きの 三 つのポイント すべての 教 材 において 教 材 との 出 会 いを 工 夫 すること 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜた 学 習 を 行 うことを 基 本 にする 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜることにより 児 童 は 主 体 的 に 学 習 に 取 り 組 み 表 現 する 力 や 内 容 への 関 心 を 高 めていくことができると 考 える そしてこの 三 つ の 活 動 を 1わくわくの 出 会 いの 活 動 2いろい ろな 音 読 活 動 3いきいきと 表 現 する 活 動 とした 1 わくわくの 出 会 いの 活 動 ( 図 2) 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむためには 児 童 が 古 典 の 世 界 を 身 近 に 感 じられるようになることが 必 要 で ある そのためには 単 元 の 導 入 段 階 での 教 材 との 出 会 いの 活 動 が 重 要 になってくる 児 童 は 実 際 に 経 験 していない 古 典 の 世 界 をイメージすることは 難 し い そこで 絵 本 や 漫 画 視 聴 覚 教 材 実 物 等 を 活 用 し イメージをつかむ 手 助 けをすることが 必 要 と なってくる また クイズ 形 式 などを 取 り 入 れ 楽 しくその 時 代 の 文 化 に 触 れることができるようにし ていくことが 大 切 である 2 いろいろな 音 読 活 動 ( 図 3) 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむためには まず 音 読 に より 日 本 語 の 美 しい 響 きやリズムに 触 れることが 大 切 である いろいろな 音 読 の 方 法 を 取 り 入 れ 楽 し みながら 読 んでいくうちに 少 しずつ 書 かれている 内 容 も 分 かるようになるであろう 児 童 は 声 に 出 して 音 読 することが 好 きである 原 文 と 現 代 語 の 読 み 方 の 違 いについては 読 み 方 を 隣 に 書 いて 児 童 の 抵 抗 を 取 り 除 くなどの 工 夫 をして いろいろな 音 読 活 動 を 楽 しんでいけるようにしたい 3 いきいきと 表 現 する 活 動 ( 図 4) 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しみ 児 童 が 意 欲 的 に 学 習 に 取 り 組 めるようにするためには 主 体 的 に 学 習 で きる 活 動 を 取 り 入 れていくことが 必 要 である 学 習 指 導 要 領 の 指 導 事 項 には 読 み 聞 かせを 聞 く 演 じ る 音 読 暗 唱 等 が 挙 げられている 解 説 編 には 創 作 鑑 賞 表 現 といった 内 容 が 盛 り 込 まれて いる したがって 単 元 計 画 の 中 に 表 現 する 活 動 を 位 置 付 け 音 読 劇 を 発 表 したり 俳 句 を 作 ったりす る 活 動 を 取 り 入 れていく このような 活 動 を 行 うことにより 学 習 意 欲 も 高 まっていくと 考 える (2) 指 導 の 手 引 き 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむための 楽 しい 授 業 づくり の 内 容 指 導 の 手 引 きは Ⅰ 学 習 系 統 表 Ⅱ 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 指 導 のポイント Ⅲ 単 元 計 画 略 案 板 書 計 画 ワークシート 資 料 の 三 つの 編 で 構 成 した 以 下 はその 目 次 である( 表 2) 図 2 古 文 に 慣 れ リズムよく 読 めるようになる 意 味 が 分 かってきた! 暗 唱 できた! 追 い 読 み 句 点 読 み 役 割 読 み 暗 唱 交 互 読 み( 現 代 語 訳 の 活 用 ) 図 3 図 4 教 材 への 興 味 関 心 が 高 まる わくわくの 出 会 いの 活 動 いろいろな 音 読 活 動 おもしろそうだな 読 んでみたいな 絵 本 や 漫 画 視 聴 覚 教 材 実 物 の 活 用 主 体 的 に 活 動 することで 古 典 が 好 きになる 昔 話 を 紹 介 する 俳 句 を 作 る 随 筆 を 書 く 自 分 でも 俳 句 を 作 った り 随 筆 を 書 いたりして みよう 音 読 劇 を 発 表 しよう いきいきと 表 現 する 活 動 表 2 指 導 の 手 引 きの 目 次 <はじめに> 楽 しい 授 業 づくりの 三 つのポイントについて いろいろな 音 読 活 動 といきいきと 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜた 指 導 について - 3 -
Ⅰ Ⅱ Ⅲ 学 習 系 統 表 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 指 導 のポイント 1 昔 話 2 神 話 伝 承 3 俳 句 4 短 歌 5 ことわざ 慣 用 句 故 事 成 語 6 古 文 7 漢 文 8 近 代 以 降 の 文 語 調 の 文 章 9 古 典 について 解 説 した 文 章 単 元 計 画 略 案 板 書 計 画 ワークシート 資 料 1 昔 話 第 1 学 年 昔 話 を 読 もう 教 材 おはなしのくに 第 2 学 年 むかしむかしのお 話 を 集 めよう 教 材 かさこじぞう 2 神 話 伝 承 第 2 学 年 音 読 劇 をしよう 教 材 いなばのしろうさぎ 3 俳 句 第 3 学 年 俳 句 を 作 ろう 教 材 雪 とけて 村 いっぱいの 子 どもかな 他 4 短 歌 第 6 学 年 連 歌 の 会 をしよう 教 材 小 倉 百 人 一 首 万 葉 集 サラダ 記 念 日 5 ことわざ 慣 用 第 3 学 年 かるたで 遊 ぼう 教 材 いろはかるた 句 故 事 成 語 第 4 学 年 ことわざを 紹 介 しよう 教 材 ことわざかるた 6 古 文 第 5 学 年 昔 の 人 のものの 見 方 感 じ 方 を 知 ろう 教 材 竹 取 物 語 第 5 学 年 わたしも 随 筆 家 教 材 枕 草 子 7 漢 文 第 5 学 年 論 語 を 読 もう 教 材 論 語 8 近 代 以 降 の 第 6 学 年 主 人 公 はどんな 人? 教 材 坊 っちゃん 吾 輩 は 猫 である 三 四 郎 文 語 調 の 文 章 9 古 典 について 第 6 学 年 狂 言 や 落 語 を 鑑 賞 しよう 教 材 狂 言 附 子 落 語 寿 限 無 解 説 した 文 章 Ⅰ 章 の 学 習 系 統 表 は 各 学 年 の 学 習 内 容 と 教 材 学 習 活 動 が 一 目 で 分 かるよう 一 覧 表 にまとめ た( 表 3) 表 3 学 習 系 統 表 学 伝 統 的 な 言 語 文 化 と 国 語 の 特 質 に 関 する 事 項 教 材 学 習 活 動 年 ア 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 関 する 事 項 1 (ア) 昔 話 や 神 話 伝 承 などの 本 や 文 章 の 読 み 昔 話 かぐやひめ 読 み 聞 かせ 聞 かせを 聞 いたり 発 表 し 合 ったりするこ かさこじぞう お 話 の 紹 介 2 と 神 話 いなばのしろうさぎ ペープサートによる 年 学 年 ごとの 学 習 内 容 すさのおとおおくにぬし 音 読 劇 うみさちやまさち 昔 話 集 め 伝 承 群 馬 の 民 話 や 伝 説 紙 芝 居 作 り 3 (ア) 易 しい 文 語 調 の 短 歌 や 俳 句 について 情 俳 句 ( 良 寛 芭 蕉 一 茶 子 規 音 読 景 を 思 い 浮 かべたり リズムを 感 じ 取 りな 蕪 村 ) 視 写 4 がら 音 読 や 暗 唱 をしたりすること 親 しみやすく 表 現 活 動 が 工 夫 俳 句 づくり 年 (イ) 長 い 間 使 われてきたことわざや 慣 用 句 故 できる 教 材 を 選 択 句 会 を 開 く 事 成 語 などの 意 味 を 知 り 使 うこと ことわざ (いろはにほへと) 五 色 百 人 一 首 慣 用 句 連 歌 故 事 成 語 5 (ア) 親 しみやすい 古 文 や 漢 文 近 代 以 降 の 文 古 文 竹 取 物 語 平 家 物 語 音 読 発 表 会 語 調 の 文 章 について 内 容 の 大 体 を 知 り 枕 草 子 素 読 6 音 読 すること 漢 文 論 語 随 筆 を 書 く 年 短 歌 ( 小 倉 百 人 一 首 万 葉 集 ) 読 書 座 談 会 (イ) 古 典 について 解 説 した 文 章 を 読 み 昔 の 人 文 語 調 の 坊 っちゃん 吾 輩 は 猫 で 古 典 芸 能 の 鑑 賞 のものの 見 方 や 感 じ 方 を 知 ること 文 章 ある 三 四 郎 落 語 狂 言 寿 限 無 附 子 - 4 -
Ⅱ 章 では 各 学 習 内 容 ごとに 指 導 方 法 や 学 習 形 態 のモデルを 提 案 した これによって 教 材 が 変 わ ったとしても 同 じ 学 習 内 容 の 場 合 には 同 じ 方 法 で 授 業 づくりをしていくことができるような 手 引 き 書 とした( 図 5) 5 6 年 導 入 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむために 6 古 文 わくわくの 出 会 いの 活 動 1 絵 本 や 漫 画 視 聴 覚 教 材 実 物 等 を 用 いて 教 材 への 興 味 関 心 を 高 める 2クイズ 形 式 ( 下 記 例 参 照 ) などで 古 文 の 特 色 貴 族 や 武 士 の 生 活 や 考 え 方 などを 紹 介 し 楽 しみながらその 時 代 の 特 色 に 触 れることができるようにする 展 開 いろいろな 音 読 活 動 3いろいろな 音 読 活 動 を 取 り 入 れ 古 典 のリズムや 日 本 語 の 美 しい 響 きを 感 じ 取 ることができる ようにする 4 現 代 語 訳 を 有 効 に 活 用 し あらすじをつかむことができるようにする いきいきと 表 現 する 活 動 5 作 者 や 登 場 人 物 に 親 しみがもてるような 活 動 を 取 り 入 れ 古 典 を 身 近 に 感 じられるようにす る まとめ いろいろな 音 読 活 動 6 好 きな 場 面 を 暗 唱 したり グループで 役 割 読 みをしたりして 楽 しく 原 文 に 親 しむことができる ようにする いきいきと 表 現 する 活 動 7お 気 に 入 りの 人 物 紹 介 をしたり 随 筆 を 書 いたりする 活 動 を 取 り 入 れ 友 達 同 士 で 考 えを 伝 え 合 い いろいろな 見 方 や 考 え 方 に 気 付 くことができるようにする 8 伝 統 文 化 が 現 代 の 生 活 にも 生 きていることを 実 感 し 古 典 の 世 界 と 自 分 たちの 住 む 現 代 の 世 界 のつながりに 気 付 くような 学 習 活 動 を 行 っていけるようにする 常 時 活 動 いろいろな 音 読 活 動 朝 や 帰 りの 会 で 短 い 原 文 を 読 む 活 動 を 取 り 入 れ 自 然 に 暗 唱 できるようにする 学 級 文 庫 や 学 校 図 書 館 に 古 典 コーナーを 作 り 日 常 的 に 親 しめるようにする 図 5 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 指 導 のポイント(5 6 年 古 文 ) Ⅲ 章 が 具 体 的 な 授 業 のための 指 導 事 例 である 単 元 の 指 導 計 画 を 基 に 1 時 間 の 授 業 の 略 案 や 板 書 計 画 ワークシートや 資 料 などを 載 せた 学 習 内 容 ごとに 学 年 順 に 配 列 し 授 業 で 活 用 できる 参 考 図 書 や 関 連 Webページも 指 導 計 画 の 中 に 明 記 した - 5 -
Ⅳ 研 究 の 結 果 と 考 察 教 材 との 出 会 いを 工 夫 し 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜた 学 習 を 行 うことにより 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てることができると 考 え 作 成 した 指 導 の 手 引 きを 使 用 して 第 5 学 年 で2 回 の 授 業 実 践 を 行 った また 第 2 学 年 第 3 学 年 第 6 学 年 については 協 力 校 の 他 の 先 生 にお 願 いして 指 導 の 手 引 きを 使 用 し 授 業 をしていただいた 1 実 践 授 業 1 (1) 指 導 計 画 ( 全 4 時 間 ) 単 元 昔 の 人 のものの 見 方 感 じ 方 を 知 ろう 竹 取 物 語 対 象 第 5 学 年 目 標 竹 取 物 語 に 関 心 をもち 意 欲 的 に 読 もうとする 昔 の 人 のものの 見 方 や 感 じ 方 を 知 り 古 典 に 親 しむ 評 関 心 意 欲 態 度 価 竹 取 物 語 に 関 心 をもち 意 欲 的 に 読 もうとしている 規 読 む 能 力 準 登 場 人 物 の 行 動 からそれぞれの 性 格 を 想 像 し 自 分 の 考 えをまとめている 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 関 する 事 項 自 分 たちの 生 活 と 比 べながら 読 み 昔 の 人 のものの 見 方 や 感 じ 方 を 知 ろうとしている 過 程 時 学 習 活 動 研 究 上 の 手 だ て 参 考 資 料 DVD 竹 取 物 つ 登 場 人 物 の 行 動 や 性 格 を 考 えることを 通 して 昔 の 人 に 親 しみをもち 楽 し 語 ( 東 宝 市 川 崑 く 古 文 を 読 むことができるようにする 監 督 作 品 ) か 平 安 時 代 クイズ 1 作 品 と 出 会 い 単 元 の 学 習 内 1 物 語 を 読 む 前 に 竹 取 物 語 のDVDを 紹 ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) む 容 を 知 る 介 することで 昔 の 物 語 が 現 代 でも 親 しまれ わくわくの 出 会 いの 活 動 ていることに 気 付 くことができるようにす ここに 授 業 で 有 効 る に 活 用 できた 資 料 指 導 の 手 引 き Ⅱ 伝 統 的 な を 載 せています 言 語 文 化 の 指 導 のポイント 2クイズ 形 式 を 取 り 入 れることで 楽 しみなが の 番 号 と 対 応 しています ら 昔 の 文 化 に 触 れることができるようにす る 原 文 を 声 に 出 して 読 ん だ り 3 冒 頭 部 分 の 原 文 を 声 に 出 して 読 むことで 原 現 代 語 訳 追 現 代 語 訳 と 比 べて 読 ん だ りす 文 と 現 代 語 訳 の 共 通 点 や 相 違 点 に 気 付 くこと ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) 2 ることを 通 して 原 文 に 触 れ ができるようにする 絵 本 かぐや 姫 究 意 味 を 考 え な がら あら す じを 4 絵 本 による 簡 単 な 現 代 語 訳 を 読 み 聞 かせるこ ( 舟 崎 克 彦 著 日 本 理 解 する とで あらすじを 理 解 できるようにする おはなし 名 作 絵 本 ) す いろいろな 音 読 活 動 5 人 の 貴 公 子 の 行 動 か ら 会 話 55 人 の 貴 公 子 の 行 動 から 会 話 文 を 想 像 し そ 竹 取 物 語 る 3 文 を 考 え て 発 表 し そ れ に 対 れぞれの 性 格 を 短 い 言 葉 で 表 すことにより ( く も ん の ま ん が 古 典 する 自 分 の 考 えをもつ 貴 公 子 の 性 格 を 考 えることができるようにす 文 学 館 ) いきいきと 表 現 する 活 動 る ま 帝 が 不 老 不 死 の 薬 を 捨 て てし 8 月 の 世 界 と 人 間 の 世 界 を 比 較 することを 通 し 全 4 時 間 分 の 略 と 4 ま っ た 理 由 を 考 え なが ら 昔 て どちらの 生 き 方 がより 人 間 らしい 生 き 方 案 板 書 計 画 め の 人 と 現 代 人 の 共 通 す る 思 い かを 考 えることができるようにする ワークシート る について 話 し 合 う ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) - 6 -
(2) 結 果 1 わくわくの 出 会 いの 活 動 について 平 安 時 代 クイズを 行 い 楽 しく 考 えながら 時 代 背 景 に 表 4 第 1 時 の 振 り 返 り 触 れていった 児 童 はクイズが 大 好 きなので 活 発 に 手 が 挙 がり 授 業 が 盛 り 上 がった 第 1 時 の 授 業 を 楽 しく 行 うことができたので 古 文 学 習 に 対 する 児 童 の 意 欲 が 高 まっていった 平 安 時 代 の 服 装 や 生 活 様 式 文 化 につ いて 説 明 する 際 には 写 真 を 示 し 理 解 の 手 助 けができる 最 初 は 少 し 難 しいかなと 思 ったけれ ど DVDやクイズなどで 楽 しく 学 習 できたのでよかったです 絵 や 写 真 がたくさんあったので 分 かりやすかったです ようにしたところ 児 童 は 平 安 時 代 について イメー ジを 膨 らませることができた( 表 4) 2 いろいろな 音 読 活 動 について 表 5 第 2 時 の 振 り 返 り 児 童 の 理 解 を 手 助 けするために 竹 取 物 語 の 児 童 用 の 現 代 語 訳 を 用 いて 授 業 を 行 った しかし 現 代 語 訳 で あっても 児 童 にとっては 理 解 することが 難 しく また その 量 の 多 さに 圧 倒 されてしまった 様 子 も 見 られた そ こで 冒 頭 の 原 文 を 読 む 活 動 で その 意 味 を 考 える 際 に 現 代 語 訳 を 使 い 全 体 のあらすじは 簡 単 な 絵 本 で 理 解 し ていくようにした 意 欲 の 高 い 児 童 や 興 味 のある 児 童 は 竹 取 物 語 の 話 がこんなに 長 く い ろいろな 出 来 事 があったなんて 知 り ませんでした とても 長 いお 話 だと 知 って 驚 きました 初 めの 部 分 を 何 度 も 読 んでいるうち に 覚 えることができました 家 で 少 しずつ 続 きを 読 みたいと 思 います 家 庭 学 習 の 一 つとして 授 業 で 扱 わなかった 部 分 の 現 代 語 訳 を 読 み 進 めていた( 表 5) 3 いきいきと 表 現 する 活 動 について 表 6 第 3 時 の 振 り 返 り 竹 取 物 語 に 出 てくる5 人 の 貴 公 子 の 行 動 から そ の 会 話 文 を 考 えるという 活 動 を 行 った セリフを 考 え それを 寸 劇 にして 発 表 したので 教 室 が 笑 いに 包 まれた 楽 しい 授 業 になった 児 童 は 千 年 前 の 昔 の 人 も 現 代 の 人 と 考 え 方 は 変 わらないということに 気 付 き 昔 の 人 いろいろな 人 が 出 てきておもしろか ったです 昔 の 貴 族 の 人 たちの 性 格 を 想 像 するのが 楽 しかったです 現 代 の 世 界 は 昔 からつながってい るのだということが 分 かりました に 親 しみをもつことができた( 表 6) (3) 考 察 古 典 の 世 界 は 児 童 の 日 常 とかけ 離 れた 世 界 である 千 年 以 上 前 に 書 かれた 文 章 であるというこ とで 児 童 は 古 典 は 難 しいという 先 入 観 をもっている その 時 代 の 文 化 や 生 活 についての 知 識 が なければ 物 語 の 内 容 を 理 解 することは 難 しいことも 事 実 である そこで 楽 しく 教 材 と 出 会 うこ とで 児 童 の 学 習 意 欲 を 高 めていく 必 要 がある 見 たことや 経 験 したことがないものが 多 いので 視 聴 覚 教 材 も 大 変 有 効 であるということが 分 かった 現 代 語 訳 の 与 え 方 については 配 慮 をする 必 要 がある 現 代 語 訳 と 言 っても 児 童 にとっては 難 しい 文 章 で 意 味 もとらえにくい 内 容 のものがある 場 面 を 絞 って 効 果 的 に 活 用 したり 児 童 用 の 現 代 語 訳 をさらに 分 かり 易 く 直 して 提 示 したりすることが 必 要 であるということが 分 かった 表 現 活 動 では いきいきと 楽 しそうに 活 動 する 姿 が 見 られ 楽 しみながら 登 場 人 物 に 親 しみをも つことができた このことからも 表 現 活 動 を 通 して 物 語 に 対 する 理 解 をより 一 層 深 めることが できるということが 明 らかになった 2 実 践 授 業 2 (1) 指 導 計 画 ( 全 5 時 間 ) 単 元 わたしも 随 筆 家 枕 草 子 対 象 第 5 学 年 目 枕 草 子 を 読 み 昔 の 人 のものの 見 方 や 感 じ 方 を 知 る 標 枕 草 子 の 表 現 方 法 を 参 考 にして 自 分 の 考 えや 発 見 したことについて 楽 しみながら 随 筆 を 書 くことを 通 して 古 文 に 親 しみをもち 日 常 生 活 や 自 然 を 見 つめる 目 を 養 う - 7 -
関 心 意 欲 態 度 評 単 元 の 学 習 への 見 通 しをもち 枕 草 子 を 楽 しみながら 読 もうとしている 価 書 く 能 力 規 自 分 が 興 味 のあるテーマについて 考 えや 発 見 したことをまとめ 随 筆 を 書 いている 準 伝 統 的 な 言 語 文 化 と 国 語 の 特 質 に 関 する 事 項 枕 草 子 を 読 み 昔 の 人 のものの 見 方 感 じ 方 に 触 れ 共 感 できるところや 自 分 とは 考 えが 違 う ところに 気 付 こうとしている 過 程 時 学 習 活 動 研 究 上 の 手 だ て 参 考 資 料 平 安 時 代 に 書 かれた 随 筆 に 興 味 をもち 楽 しく 学 習 が 進 め 漫 画 枕 草 子 つ (NHKまんがで 読 む 古 典 ) られるようにする か む 1 常 時 活 動 新 聞 記 事 の 感 想 を 書 いたり テーマを 決 めて 短 作 文 を 書 く 活 動 をしたりすることを 通 して も のの 見 方 を 広 げ 自 分 の 考 えをもつ 学 習 をしていく 児 童 は この 学 習 で 初 めて 随 筆 というジャン ルに 出 会 う 日 本 では 昔 から 随 筆 という 文 章 表 現 が 受 け 継 がれてきた 記 事 を 読 んだ 感 想 を まとめていくことを 通 して 物 事 を 主 体 的 に 見 つめ 自 分 の 考 えをもつ 姿 勢 を 養 うと 共 に 随 筆 の 形 式 で 文 章 をまとめていくことに 慣 れていくようにしたい 作 品 と 出 会 い 単 元 の 学 習 1 親 しみやすい 漫 画 やDVDを 用 いて 枕 DVD 枕 草 子 内 容 を 知 る 草 子 について 紹 介 することで 学 習 へ (サンエデュケーショナル わくわくの 出 会 いの 活 動 の 意 欲 を 高 めていけるようにする アニメ 古 典 文 学 館 ) 2 自 分 が 興 味 をもっ た 段 を 原 3 原 文 の 中 から 自 分 が 共 感 できる 部 分 ま 追 文 と 現 代 語 訳 を 対 比 さ せな たは 自 分 とは 考 えが 違 う 部 分 を 選 び 音 読 がら 読 む をし グループで 音 読 や 自 分 の 考 えを 紹 究 いろいろな 音 読 活 動 介 し 合 う 活 動 を 通 して 楽 しみながら 原 文 のリズムを 感 じ 取 ることができるよう N H K 10 m i n. ボ ッ クス( 古 文 漢 文 ) http://www.nhk.o r.jp/10min) 原 文 現 代 語 訳 す にする ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) 3 自 分 が 選 ん だテー マに つい 7 枕 草 子 の 形 式 に 従 って 教 師 が 書 いた 全 5 時 間 分 の 略 案 る て 随 筆 に 書 く 内 容 をメ モに 随 筆 を 紹 介 することにより 随 筆 を 書 く ワークシート まとめ 整 理 する ことの 楽 しさを 感 じることができるよう ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) いきいきと 表 現 する 活 動 にする 4 選 んだ テー マにつ いて の 随 7 児 童 が 負 担 に 感 じることがないよう 形 随 筆 の 例 文 筆 を 書 く 式 にはあまりこだわらないようにし 楽 ( 指 導 の 手 引 きに 掲 載 ) いきいきと 表 現 する 活 動 しく 自 分 の 考 えが 表 現 できるようにす る ま 5 作 品 を 発 表 し 合 い 友 達 の 8 全 員 の 随 筆 を1 冊 の 作 品 にして 製 本 する と 表 現 の よさ やおも しろ さに ことで 書 き 上 げたことに 対 する 達 成 感 め ついて 交 流 する や 満 足 感 を 味 わうことができるようにす る る 関 連 するWeb サイトの 情 報 も 入 れました - 8 -
(2) 結 果 1 わくわくの 出 会 いの 活 動 について 表 7 第 1 時 の 振 り 返 り 枕 草 子 の 学 習 では 四 季 折 り 折 りの 情 景 の 美 しさを 感 じ 取 ることが 必 要 になってくる しかし 授 業 を 行 ったのは 秋 なので 児 童 は 春 や 夏 の 風 景 や 感 情 を 思 い 起 こすことが 難 しか DVDを 見 て 春 夏 秋 冬 それぞれの 季 節 で 美 し さがあるということに 気 が 付 きました 漫 画 を 読 んで どうして 枕 草 子 という 題 名 なのかが よく 分 かりました った そこで 映 像 を 見 せ それぞれの 季 節 の 様 子 を 思 い 出 す 手 助 けとした また 枕 草 子 や や 清 少 納 言 の 説 明 には 漫 画 を 使 ったことにより 表 8 第 2 時 の 振 り 返 り 児 童 は 平 安 文 化 や 随 筆 に 対 して 興 味 を 示 し 学 習 意 欲 を 高 めることができた( 表 7) 原 文 を 覚 えられて 調 子 よく 読 めてよかったで す 友 達 と 声 を 合 わせて 読 むのは とても 楽 し 2 いろいろな 音 読 活 動 について 実 践 1では 長 い 物 語 を 読 むことに 抵 抗 を 感 かったです 原 文 のとなりに 現 代 語 訳 があったので 意 味 が じた 児 童 がいたので 今 回 は 教 材 として 一 つの 分 かりやすかったです 段 が 短 い 文 章 でまとまっている 随 筆 を 選 んだ 歴 史 的 仮 名 遣 いがあり 難 しいと 思 われた 原 文 を 読 む 活 動 では グループで 読 み 方 を 話 し 合 いな がら 楽 しそうに 練 習 する 姿 が 見 られた 授 業 後 には 分 からない 言 葉 の 意 味 を 知 りながら 読 むのが 楽 しかったという 声 が 聞 かれた( 表 8) 3 いきいきと 表 現 する 活 動 について 児 童 は 実 践 1での 楽 しかった 表 現 活 動 を 覚 えていて 今 度 はどんな 活 動 をするのだろう と 楽 しみにしている 様 子 が 見 られた 実 践 2の 表 現 活 動 は 随 筆 を 書 くというものであった 教 師 や 他 の 学 校 の 児 童 が 書 いた 例 を 紹 介 したり 枕 草 子 の 短 い 段 を 紹 介 したりして 軽 い 気 図 6 表 9 児 童 が 書 いた 随 筆 第 5 時 の 振 り 返 り 持 ちで 書 く 活 動 に 取 り 組 めるようにした その 結 果 全 員 の 児 童 が1 時 間 の 中 で 自 分 が 決 め たテーマで 随 筆 を 書 き 上 げることができた( 図 6) そして 随 筆 に 親 しみ 6 年 生 での 古 典 自 分 で 随 筆 を 書 けるようになったので これか らも 書 いていこうと 思 います 6 年 生 ではどんな 古 典 を 読 むのか 楽 しみです 源 氏 物 語 を 読 んでみたいです 学 習 を 楽 しみにする 児 童 も 見 られた( 表 9) (3) 考 察 難 しい 原 文 の 言 葉 の 意 味 を 考 えながら 音 読 した 結 果 児 童 は 原 文 を 読 みこなすことができたと いう 達 成 感 を 感 じることができたようである 実 践 を 通 して 難 しい 課 題 を 解 決 していくことに 喜 びを 感 じ それが 児 童 の 学 習 意 欲 につながっていくということが 分 かった いろいろな 読 み 方 で 何 度 も 練 習 するうちに 暗 唱 できた 児 童 も 多 く そのことが 自 信 へとつながったようである 児 童 は 声 に 出 して 音 読 することが 好 きである ということを 改 めて 実 感 することができた 実 践 であった 随 筆 を 書 く 活 動 については 最 初 書 くことに 抵 抗 を 感 じている 児 童 が 見 受 けられた 書 くこと は 読 むことに 比 べて 難 しいと 感 じる 児 童 が 多 いということが 分 かった そこで まず 学 校 行 事 や 生 活 の 中 から 題 材 を 見 付 け 出 し そこから 連 想 できる 言 葉 や 出 来 事 を 全 員 で 話 し 合 った その 中 から 自 分 が 書 きたい 事 柄 を 選 んで 書 くという 支 援 は 有 効 であることが 分 かった 児 童 が 無 理 なく 書 く 活 動 に 取 り 組 むことができるよう きめ 細 かな 支 援 を 準 備 しておくことが 重 要 であると 考 える 3 まとめ 実 践 の 前 は 37 人 中 26 人 の 児 童 が 古 文 は 難 しそうと 答 えていた しかし 実 践 1 終 了 後 には 35-9 -
人 の 児 童 が 実 践 2 終 了 後 には 学 級 全 員 の 児 童 が 古 文 は 楽 しかった と 答 えた( 図 7) なぜ 楽 しかったのかを 聞 いたところ 今 まで 知 らなかった 平 安 時 代 についていろいろ 知 ることができた 原 文 を 暗 唱 することができた 随 筆 という うものがあることを 知 り 自 分 も 書 けたこと がうれしかった という 声 が 聞 かれた( 表 10) このような 児 童 の 変 容 から 教 材 との 出 会 いを 工 夫 し 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜて 作 成 した 指 導 の 手 引 きは 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 児 童 を 育 てるために 有 効 に 活 用 できることが 実 践 を 通 して 明 らかになっ た 表 10 実 践 後 の 児 童 の 感 想 表 示 文 字 列 授 業 後 の 児 童 の 変 容 ( 全 37 人 ) 実 践 1 実 践 2 35 2 30 37 0 35 0 10 20 30 40 古 文 は 楽 しかった 他 の 古 文 も 読 んでみたい 古 文 は 難 しかった 図 7 授 業 後 の 児 童 の 変 容 かぐやひめ の 絵 本 には 載 っていなかったことがいろいろ 分 かりました 富 士 山 と 関 係 があることも 分 かっ て 今 まで 知 らなかったことを 知 るのは 楽 しいと 思 いました 今 まで 古 典 は 古 い 話 だからつまらないと 思 っていましたが 竹 取 物 語 を 読 んで 歴 史 も 知 ることができ 古 典 が 好 きになりました 枕 草 子 の 春 はあけぼのの 段 を 覚 えることができて うれしかったです 清 少 納 言 についても 知 ることがで きました 昔 の 話 は 意 外 におもしろいと 思 いました この 勉 強 はとても 楽 しかったです Ⅴ 研 究 のまとめ 1 成 果 指 導 の 手 引 き 作 成 の 基 本 方 針 として 指 導 方 法 を 教 材 との 出 会 いを 工 夫 すること 音 読 活 動 と 表 現 する 活 動 を 織 り 交 ぜた 学 習 にすることとした 結 果 児 童 が 意 欲 的 に 学 習 に 取 り 組 むことがで き その 時 代 に 興 味 をもったり 原 文 を 音 読 することに 慣 れたりして 古 典 に 親 しむことができ た 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 指 導 方 法 の 基 本 的 な 形 を 明 確 にすることができた これに 沿 った 方 法 で 学 習 内 容 ごとに 指 導 のポイントを 示 すことができ いろいろな 教 材 において 活 用 できる 手 引 きと なった 2 課 題 伝 統 的 な 言 語 文 化 に 親 しむ 授 業 を 行 うためには 参 考 図 書 写 真 や 映 像 資 料 等 児 童 の 関 心 を 高 める 教 材 が 必 要 になってくる 児 童 が 十 分 に 活 動 できるよう 教 材 や 資 料 を 整 えることは 差 し 迫 った 課 題 である 特 に 古 文 や 漢 文 の 現 代 語 訳 については 中 学 生 以 上 を 対 象 にしたものが 多 く 児 童 にも 楽 しく 理 解 できる 内 容 のものが 少 ない 指 導 者 が 児 童 の 実 態 に 合 った 訳 文 を 事 前 に 用 意 し 効 果 的 に 活 用 していくことが 必 要 である 伝 統 的 な 言 語 文 化 の 学 習 を 行 うに 当 たり 多 くの 学 校 で 活 用 できるような 指 導 の 手 引 きを 目 指 してきた その 際 協 力 校 の 児 童 の 姿 を 基 にして 改 善 をしてきた 経 緯 がある したがって より 汎 用 性 のある 手 引 きにするために 他 校 を 含 めた 多 くの 先 生 方 に 活 用 していただきながら 児 童 が 楽 しく 学 習 を 進 められるような 支 援 の 方 法 を 複 数 示 していくなど さらに 修 正 を 加 えてよりよ い 手 引 きとしていく 必 要 がある < 参 考 文 献 > 田 近 洵 一 井 上 尚 美 編 国 語 教 育 指 導 用 語 辞 典 教 育 出 版 (2010) 長 崎 伸 仁 石 丸 憲 一 編 著 表 現 力 を 鍛 える 文 学 の 授 業 明 治 図 書 (2010) - 10 -
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