教 育 相 談 自 分 を 見 つめ, 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくむ 指 導 の 工 夫 ー 6 学 年 学 校 と 家 庭 との 連 携 を 図 る 夢 カード を 活 用 した 学 級 活 動 を 通 して ー 多 賀 城 市 立 山 王 小 学 校 及 川 理 恵 概 要 児 童 が 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 身 に 付 けることは, 学 習 活 動 に 大 切 なだけではなく 自 分 への 評 価 を 高 め, 周 りから 認 められて 過 ごすために 大 切 なことではないかと 考 える 本 研 究 は, 児 童 が 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 を 見 つめる 夢 カード を 家 庭 や 担 任 と 連 携 を 図 りながら 実 践 し, 夢 カード を 活 用 した 学 級 活 動 を 通 して 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくむ 指 導 の 一 試 みである 1 主 題 設 定 の 理 由 6 学 年 の 児 童 は 自 他 の 違 いを 自 覚 し 始 める 時 期 に 入 ってくる 自 分 中 心 から 抜 け 出 すこの 時 期 は, 周 りの 友 達 と 比 較 して 自 分 に 自 信 をなくしたり, 友 達 の 言 葉 に 傷 つきやすくなったりしやすい 不 安 定 な 時 期 といえる 反 面,その 不 安 定 さの 解 消 に 向 けて, 自 分 を 見 つめ, 解 決 しようと 考 えたり, 行 動 につなげたりすることができる 時 期 ともとらえることができる 学 校 生 活 で 大 きな 比 重 を 占 めているのは 学 習 活 動 である 学 習 には 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 が 大 きく 関 わっている 児 童 自 身 が 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 見 つめて,めあてをもち 継 続 的 に 習 慣 の 形 成 に 取 り 組 む 活 動 を 行 い,その 活 動 を 通 して 自 分 のがんばりに 気 付 いたり, 家 庭 や 友 達 から 認 めてもらったりすることは 充 実 した 学 校 生 活 につながるものと 考 える そのためには 家 庭 との 連 携 や 学 級 の 普 段 の 友 達 関 係 の 在 り 方 も 大 切 になってくるものと 考 えられる 児 童 が 自 分 自 身 を 見 つめ, 自 分 の 問 題 に 気 付 いて 解 決 しようとする 意 欲 をもち, 実 際 にめあてを 設 定 し 行 動 に 移 していく 手 だてとして 夢 カード を 作 成 したいと 考 えた 児 童 が 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 を 見 つめて 振 り 返 り,これに 対 してまず, 教 師 が 細 やかに 児 童 の 実 態 を 把 握 し, 児 童 を 励 まし, 認 めながら, 児 童 自 身 の 改 善 点 に 気 付 かせたり, 改 善 策 に 取 り 組 ませたりする そして, 児 童 の 生 活 の 様 子 や 学 校 で 行 った 児 童 に 対 する 働 き 掛 けの 様 子 を 家 庭 に 知 らせることで, 家 庭 は 児 童 の 日 常 生 活 に 今 まで 以 上 に 関 心 を 向 け, 児 童 の 努 力 の 様 子 を 認 めたり, 家 庭 の 協 力 が 必 要 で あることを 感 じたりすることができ, 児 童 の 習 慣 形 成 に 不 可 欠 な 家 庭 の 協 力 も 得 られるのではないか と 考 える 今 年 度 は6 学 年 に 所 属 し 算 数 少 人 数, 家 庭 科, 学 年 体 育, 行 事 に 関 わっていることから, 家 庭 科 の 生 活 を 見 直 そう の 発 展 として 担 任 と 連 携 してこの 活 動 に 取 り 組 んでいきたい その 後, 夢 カード を 活 用 し, 自 分 はがんばっている と 自 分 のよさに 気 付 き 友 達 もがんば っている と 友 達 のよさを 認 める 学 級 活 動 を 担 任 とのT.Tで 実 施 していきたい 学 級 の 中 では 積 極 性 や 交 友 関 係, 学 習 成 績 などによって 自 分 や 友 達 への 評 価 が 固 定 化 している 面 があるが, 夢 カード という 観 点 から 自 分 や 友 達 を 見 つめ 直 すことで,この 活 動 を 定 着 継 続 する 意 欲 を 高 め, 互 いのよさ に 気 付 き, 認 め 合 う 態 度 をはぐくむことができるのではないかと 考 える 以 上 のことから, 家 庭 との 連 携 を 図 り, 児 童 一 人 一 人 に 自 分 自 身 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 見 つめさせる 夢 カード を 活 用 した 学 級 活 動 を 通 して, 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくみたいと 考 え, 本 主 題 を 設 定 した 2 研 究 目 標 学 校 と 家 庭 との 連 携 を 図 る 夢 カード を 活 用 した 学 級 活 動 を 通 して, 児 童 が 自 分 を 見 つめ, 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくむ 指 導 の 在 り 方 を 明 らかにする -RO1-
3 研 究 仮 説 学 級 において 以 下 のような 手 だてをとることで, 児 童 は 自 分 を 見 つめ, 自 分 のよさに 気 付 き, 互 い のよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくむことができるであろう (1) 自 分 の 生 活 や 家 庭 での 学 習, 友 達 関 係 について 記 入 する 夢 カード を 作 成 し, 児 童 が 自 分 自 身 を 振 り 返 る 活 動 に 継 続 的 に 取 り 組 ませる (2) 家 庭 や 担 任 と 連 携 を 図 りながら, 必 要 に 応 じた 個 別 指 導 を 行 う (3) 夢 カード を 振 り 返 る 活 動 を 通 して 児 童 が 互 いの 実 践 の 様 子 を 学 級 で 共 有 し, 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 学 級 活 動 を 行 う 4 研 究 の 対 象 と 方 法 4.1 研 究 対 象 多 賀 城 市 立 山 王 小 学 校 第 6 学 年 1 組 (37 名 ) 4.2 研 究 方 法 (1) 先 行 事 例, 文 献 の 資 料 収 集 (2) 生 活 習 慣, 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 に 関 する 実 態 調 査 (3) 夢 カード の 作 成 と 自 分 自 身 を 振 り 返 らせる 活 動 の 継 続 的 な 実 践 (4) 家 庭 や 担 任 と 連 携 を 図 った 個 別 指 導 の 実 施 (5) 夢 カード を 活 用 した 学 級 活 動 の 実 践 (6) 事 後 調 査 による 仮 説 の 検 証 (7) 研 究 のまとめと 今 後 の 課 題 の 考 察 5 研 究 の 概 要 5.1 研 究 主 題 副 主 題 について 5.1.1 自 分 を 見 つめ について 望 ましい 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 身 に 付 けるには, 自 分 自 身 で 自 分 の 生 活 を 見 つめ 振 り 返 ら せることが 大 切 であると 考 える 今 まで 習 慣 化 が 図 られていなかったり, 自 己 肯 定 感 が 低 かったりす る 児 童 には, 結 果 の 改 善 を 急 がずに 児 童 自 身 が 気 付 いたことをもとに 自 分 で 解 決 していこうとする 意 欲 をもたせることが 必 要 である 本 研 究 では 自 分 を 見 つめることを, 自 分 の 問 題 点 に 気 付 きめあてを 見 出 してよりよい 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 をつくっていこうとする 意 欲 をもつことと 考 えた 5.1.2 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 について 自 分 を 見 つめ,めあてを 設 定 して 取 り 組 む 中 で 児 童 は 自 分 の 努 力 や 意 欲 の 変 化 に 向 き 合 うことにな る めあてが 達 成 できる 場 合 とできない 場 合 が 考 えられるので, 児 童 の 実 態 や 気 持 ちの 変 化 を 把 握 し, 励 ましたり 認 めたりする 教 師 側 の 働 き 掛 けが 大 切 になる 自 分 の 努 力 やできたことから,がんばる 自 分 やがんばろうとする 自 分 に 気 付 くことを 自 分 のよさに 気 付 くことと 考 えた また, 友 達 の 変 化 や 努 力, 取 り 組 み 方 にも 目 を 向 け, 自 分 とは 違 っていてもその 取 組 の 様 子 を 互 いに 尊 重 する 気 持 ちをもつ ことを 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 と 考 えた 5.1.3 学 校 と 家 庭 との 連 携 を 図 る 夢 カード について 児 童 が 自 分 自 身 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 について 振 り 返 る 夢 カード を 作 成 し, 自 分 を 見 つめるきっかけにしたいと 考 える 児 童 が 毎 日 この 夢 カード に 記 入 することで 教 師 側 が 細 やかに 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 について 児 童 の 実 態 を 把 握 し, 児 童 を 励 ましたり 認 めたりしながら 児 童 の 意 欲 を 高 め, 改 善 点 に 気 付 かせたり 改 善 策 に 取 り 組 ませたりする 児 童 が 生 活 -RO2-
習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 身 に 付 けるには, 家 庭 の 協 力 が 不 可 欠 である 夢 カード によって 児 童 の 取 組 と 教 師 の 働 き 掛 けを 家 庭 に 知 らせることで 児 童 に 対 する 家 庭 の 関 心 を 高 め, 児 童 が 家 族 から 認 められたり, 励 まされたりする 機 会 を 提 供 し, 家 庭 が 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 の 形 成 に 役 割 を 果 たせるようにすることができるのではないかと 考 えた 5.1.4 学 級 活 動 に 活 用 について 望 ましい 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 を 築 くためには 自 分 自 身 の 振 り 返 りを 継 続 してい くことが 大 切 になる 個 人 の 活 動 である 夢 カード への 記 入 を, 学 級 の 児 童 が 共 通 の 活 動 ととらえ る 場 として 学 級 活 動 を 設 定 することによって 児 童 が 互 いを 刺 激 し 合 い, 意 欲 の 継 続 を 図 れるのではな いかと 考 える また, 児 童 それぞれの 取 組 を 紹 介 し 合 うことで 自 分 のがんばりを 認 めてもらったり, 友 達 のがんばりに 気 付 いたりすることができ, 互 いのよさを 認 め 合 う 態 度 をはぐくむことにつながる のではないかと 考 えた 意 欲 を 継 続 し, 互 いのよさを 認 め 合 う 手 だてとして 夢 カード を 学 級 活 動 に 活 用 したい 5.2 実 態 調 査 5.2.1 実 態 調 査 のねらい 児 童 一 人 一 人 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 について 調 査 し, 児 童 理 解 の 資 料 にすると ともに, 夢 カード の 内 容 や 学 級 活 動 のねらいの 焦 点 化 に 役 立 てる 5.2.2 調 査 対 象 多 賀 城 市 立 山 王 小 学 校 第 6 学 年 1 組 37 名 5.2.3 調 査 方 法 期 日 質 問 紙 法 による 記 名 調 査 平 成 20 年 6 月 13 日 ( 金 ) 実 施 5.2.4 調 査 結 果 と 考 察 生 活 習 慣 として 起 床 時 刻, 就 寝 時 刻, 朝 食 の 摂 取 について 調 査 を 行 った 起 床 時 刻 は, 大 部 分 の 児 童 が 決 まっており 朝 食 をとる 習 慣 も 身 に 付 いて いる 就 寝 時 刻 に 関 しては 決 まっていない 児 童 が23 名 いた( 図 1) 習 い 事 があったり,テレビの 視 聴 時 間 が 長 くなったり, 遊 びが 先 行 して 宿 題 をする 時 間 が 遅 くなったりすることがあって 就 寝 時 刻 が 決 め られない 様 子 がうかがえた 就 寝 時 刻 が 決 まっていても10 時 以 降 に 就 寝 する 児 童 も4 名 いた( 図 2) 毎 日 11 時 以 降 に 就 寝 して いる 児 童 もいる 自 分 の 生 活 習 慣 で 改 善 したいこ とという 自 由 記 述 に もっと 早 く 寝 ること と 書 いた 児 童 が16 名 いた 夢 カード や 学 級 活 動 で 図 1 就 寝 時 刻 就 寝 時 刻 を 見 つめさせる 必 要 があると 考 えられる また, 児 童 への 働 き 掛 けだけでは 改 善 できない 場 合 も 考 えられるので 家 庭 に 協 力 を 求 めていく 項 目 と して 押 さえていく 必 要 があると 考 える 家 庭 での 学 習 時 間 は60 分 未 満 が20 名 だった 本 校 では6 年 生 は60 分 との 目 安 を 示 しているがなか なか60 分 には 及 ばない 児 童 が 多 いことが 分 かった 60~90 分 未 満 の11 名 も 大 部 分 が60 分 だった( 図 3 ) 29 名 が 家 庭 学 習 で 毎 日 宿 題 や 自 主 勉 強 に 取 り 組 む と 回 答 しているが,8 名 は 自 主 勉 強 にはまだ 十 分 取 -RO3- 図 2 図 3 決 まっている 就 寝 時 刻 家 庭 での 学 習 時 間
り 組 めていない 改 善 したいこととして13 名 が 時 間 を 増 やすこと,6 名 が 時 間 帯 の 工 夫 を 挙 げた 帰 宅 後 の 時 間 の 使 い 方 や 学 習 時 間 の 確 保 について 自 分 自 身 を 振 り 返 り,よりよい 習 慣 が 身 に 付 くように 夢 カード や 学 級 活 動 での 働 き 掛 けを 大 切 にしていきたいと 考 える 友 達 関 係 に 関 してはとてもよいが20 名,よいが 14 名,あまりよくないが3 名 だった( 図 4 ) けん かや 悪 口, 人 の 嫌 がることをしないようにがんば っているとの 記 述 が 見 られる 一 方 で,26 名 が 仲 間 はずれにしない 言 いたいことをきちんと 言 え るようになりたい 無 視 しないようにしたい 嫌 いな 人 と 区 別 しない 等 を 改 善 していきたいこと としてあげている 教 師 側 で 児 童 の 交 友 の 様 子 を 夢 カード で 細 やかに 把 握 し, 学 級 活 動 で 互 いの 図 4 友 達 関 係 よさを 認 め 合 う 態 度 につなげていきたい 5.3 指 導 対 策 資 料 1 夢 カード 5.3.1 夢 カード の 作 成 と 実 施 ( 資 料 1) 児 童 の 負 担 を 考 慮 して, 継 続 できるように1 週 間 で1 枚 になるような 分 量 を 考 えた 自 分 自 身 で めあてを 設 定 させるために こんな 自 分 になりたい な と そのために 今 週 がんばりたいこと の 欄 を 設 けた 生 活, 学 習, 友 達 関 係 については,3 段 階 で 自 己 評 価 させる 大 まかに 児 童 の 状 態 が 把 握 できる のではないかと 考 えた 具 体 的 に 振 り 返 らせるた めに, 前 日 の 就 寝 時 刻 やその 日 の 起 床 時 刻 を 書 き 入 れ, 朝 食 や 準 備 物, 宿 題, 自 主 勉 強, 友 達 関 係 について の 自 己 評 価 をさせる 欄 を 設 けた その 上 で 自 分 や 友 達 について 考 えたこと を 記 述 させれば 自 分 のよかった 点 や 問 題 点 がはっきり とつかめるようになるのではないかと 考 えた 教 師 は, 毎 日 この 夢 カード に 目 を 通 して 励 ましや 賞 賛 のコメントを 加 えたり, 問 題 点 につい て 助 言 したりすることで 児 童 の 意 欲 を 高 められる ようにする また, 自 分 で 改 善 点 に 気 付 いたり, 友 達 に 対 して 考 えたことを 学 校 生 活 に 生 かしたり できるようにする 5. 3. 2 家 庭 や 担 任 と 連 携 した 個 別 指 導 ( 図 5) (1) 家 庭 との 連 携 夢 カード を 実 施 するにあたっては, 家 庭 科 通 信 で 趣 旨 説 明 を 行 い, 定 期 的 に 児 童 のがんばり や 課 題 意 識 を 紹 介 する 家 庭 には1 週 間 ごとに 児 童 の 記 入 欄 や 学 校 側 からのコメントを 読 んでもら い, 週 末 に 夢 カード にコメントをもらう 家 庭 においても 児 童 を 認 め 励 まし, 児 童 の 学 校 生 活 を 支 えてもらうとともに, 必 要 がある 場 合 には 改 善 策 を 話 し 合 い, 習 慣 の 形 成 を 図 っていく 図 5 家 庭 や 担 任 との 連 携 -RO4-
(2) 担 任 との 連 携 夢 カード によって 把 握 できた 情 報 や 児 童 のがんばり, 問 題 点 について 担 任 に 連 絡 し, 担 任 が 把 握 した 児 童 の 学 級 での 様 子 を 連 絡 してもらう 双 方 向 の 連 携 を 図 り, 児 童 の 生 活 や 学 習, 友 達 関 係 の 実 態 を 把 握 する 意 欲 が 継 続 しない 場 合,3 段 階 の 自 己 評 価 が 低 いままの 場 合, 各 項 目 の が 少 ない 場 合, 友 達 関 係 で 問 題 が 生 じている 場 合 などには, 担 任 と 連 携 して 個 別 指 導 を 行 う 5.3.3 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 学 級 活 動 自 分 の 生 活 を 振 り 返 っていく 児 童 個 人 の 活 動 は 継 続 させることが 大 切 である 夢 カード を 活 用 し, 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 身 につけるために 工 夫 していることやがんばっていることを 発 表 し 合 う 学 級 活 動 を 担 任 とのT.Tで 行 い( 表 1 ), 刺 激 を 受 けたりよりよい 生 活 へのヒントを 得 たり して 自 分 の 生 活 をよくしていこうとする 意 欲 を 継 続 させていきたい また, 発 表 を 聞 き 合 う 活 動 を 通 して 自 分 に 必 要 な 事 柄 や 自 分 のよさに 気 付 いたり 友 達 のよさに 気 付 いたりすることにつなげていきた い 表 1 学 級 活 動 指 導 計 画 時 期 題 材 名 ねらい 9 月 自 分 の 工 夫,みんなの 工 夫 夢 カードに 記 入 する 活 動 の 振 り 返 りを 通 して 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 についてそれぞれの 工 夫 を 共 有 する 自 分 を 振 り 返 る 活 動 を 継 続 しようとする 意 欲 をもつ 10 月 見 つけたⅠ 夢 カードに 記 入 する 活 動 の 振 り 返 りを 通 して 自 分 のよさに 気 付 く 自 分 を 振 り 返 る 活 動 を 継 続 しようとする 意 欲 をもつ 11 月 見 つけたⅡ 夢 カードに 記 入 する 活 動 の 振 り 返 りを 通 して 友 達 のよさに 気 付 く 自 分 を 振 り 返 る 活 動 を 継 続 しようとする 意 欲 をもつ 5.4 実 践 の 概 要 5.4.1 夢 カード の 実 施 7 月 7 日 から 始 めて1 学 期 の2 週 間,9,10 表 2 こんな 自 分 になりたいな の 内 容 月 と11 週 にわたって 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 内 容 1 週 目 ( 人 ) 6 週 目 ( 人 ) 11 週 目 ( 人 ) 慣, 友 達 関 係 について 自 分 を 見 つめ 振 り 返 る 活 動 を 行 った (1) こんな 自 分 になりたいな の 欄 について 夢 カード の 書 き 方 を 説 明 する 際 に なり たいもの, 理 想, 夢 を 記 入 しよう と 働 き 掛 け たので,1 週 目 は 将 来 の 仕 事 や 所 属 するスポー ツ 少 年 団 のめあてについて 書 いた 児 童 が 多 かっ 学 習 4 8 8 友 達 関 係 6 7 9 運 動 7 2 3 健 康 1 0 0 将 来 の 仕 事 10 0 0 生 活 習 慣 2 13 17 その 他 7 2 1 た 次 第 に 表 2のように 早 寝 早 起 き 勉 強 をがんばる 人 友 達 にやさしい 人 等 の 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 に 関 する 記 述 が 増 えてきた 生 活 習 慣 の 中 では 特 に 就 寝 時 刻 を 早 める 早 寝 早 起 き など 就 寝 時 刻 に 関 する 記 述 が 多 くなった (2) そのために 今 週 がんばりたいこと の 欄 について こんな 自 分 になりたいな と 関 連 させて 就 寝 時 刻 を 早 めるためにテレビの 時 間 を 減 らす 宿 題 を 忘 れないようにゲームの 前 に 勉 強 する 忘 れ 物 をしないように 朝 に 確 認 する 友 達 と 仲 良 く するためにいいところを 見 つける などのように 具 体 化 しためあてを 立 てることができるようになっ てきた また, 例 えば, 就 寝 時 刻 を 早 める とめあてが 同 じであっても ゲームの 時 間 を 減 らす 帰 ったらすぐ 宿 題 をする 等, 自 分 の 問 題 点 を 見 付 け, 自 分 なりの 改 善 点 を 記 入 できるようになってき た (3) 生 活 学 習 友 達 の 欄 について 3 段 階 の 自 己 評 価 は, 取 り 組 み 当 初 は 3を 増 やしたい という 記 述 があるなど 意 欲 を 高 めるのに 有 効 に 感 じられたが, 週 ごとに 行 っていた 合 計 点 では 学 級 全 体 としての 向 上 は 見 られなかった むし -RO5-
ろ 起 床 時 刻 や 就 寝 時 刻, 学 習 時 間 の 記 入 や 朝 食, 準 備 物, 宿 題, 自 主 勉, 友 達 の 欄 の 付 けが この 頃 なので という 反 省 につながっており, 教 師 側 でも 児 童 の 生 活 の 様 子 を 把 握 するのに 役 立 った (4) 自 分 や 友 達 について 考 えたこと の 欄 について 資 料 2 自 分 や 友 達 について 考 えたこと がんばりたいこと についての 反 省 やその 日 あ った 友 達 関 係 の 相 談,その 日 の 日 記 のようなもの が 見 られた 内 容 が 多 岐 にわたり 児 童 の 生 活 全 般 や 考 えていることを 知 ることができた( 資 料 2 ) めあてに 対 しての 反 省 に 内 容 を 絞 るように 指 導 す ることも 考 えたが, 習 慣 形 成 のための 教 師 側 から の 指 導 や 評 価 よりも 児 童 自 身 の 本 音 やペースに 合 わせることを 考 え, 自 由 な 記 述 で 通 した 教 師 の コメントは,めあてに 対 してがんばることを 働 き 掛 けるように 心 掛 けつつ,その 日 の 児 童 の 気 持 ち に 沿 ってよいところを 認 めたり 励 ましたりした この 欄 を 楽 しみに 夢 カード に 取 り 組 む 児 童 も 見 られた 5.4.2 家 庭 や 担 任 と 連 携 した 個 別 指 導 資 料 3 家 庭 からのコメント ( 1) 家 庭 との 連 携 7 月 に 家 庭 科 だよりを 配 布 し 夢 カード の 趣 旨 や 書 き 方 を 説 明 して1 週 間 ごとのコメントを 依 頼 した 家 庭 からのコメントには 生 活 習 慣 や 学 習 に 関 して 改 善 点 を 指 摘 するものや 友 達 関 係 へのア ドバイス, 児 童 のがんばりを 認 めるコメントがあ った( 資 料 3 ) 児 童 が 夢 カード に 意 欲 的 に 取 り 組 んだ 場 合 や 今 までできていなかったことが 改 善 されてきた 場 合 には 温 かい 言 葉 が 記 入 され,ます ます 児 童 の 活 動 意 欲 が 高 まるように 感 じた 厳 し い 言 葉 のコメントもあったので,その 場 合 には 先 生 から の 欄 に 親 の 考 えを 補 って 励 ますようなコ メントを 記 入 するようにした また, 夢 カード に 関 しては 友 達 関 係 や 児 童 が 考 えていることがわ かってよいというコメントもあった 8,9,10 月 の 家 庭 科 だよりには 夢 カード のおおまかな 傾 向 や 学 級 活 動 の 実 践 の 様 子 を 知 らせ, 協 力 の 継 続 を 呼 び 掛 けた 11 月 には 学 級 活 動 の 様 子 と 児 童 の 事 後 調 査 の 結 果 を 掲 載 して 配 布 した( 資 料 4 ) (2) 担 任 との 連 携 担 任 も 毎 日 夢 カード に 目 を 通 しており, 気 にかかる 児 童 について 気 軽 に 話 し 合 った 資 料 4 家 庭 科 だより 自 己 評 価 が 低 い 場 合 には 夢 カード の 内 容 に 限 らず, 学 級 の 活 動 や 授 業, 行 事 などでよいところを 見 つけて, 担 任 とともにほめたり 励 ましたりした 意 欲 が 継 続 しない 場 合, 各 項 目 の が 少 ない 場 合 は, 夢 カード に 継 続 の 大 切 さや 励 ましをコメン トしたり, 直 接 声 掛 けしたりしたが, 宿 題 や 自 主 勉 強, 忘 れ 物 などの 個 別 の 事 案 に 関 しては 内 容 を 把 握 している 担 任 による 個 別 指 導 となった 友 達 関 係 に 関 しては 夢 カード によってけんかや 仲 直 りなどの 情 報 が 把 握 しやすく, 担 任 が 問 題 -RO6-
解 決 にあたり,その 後 の 気 持 ちの 落 ち 着 き 方 を 夢 カード を 通 して 確 認 することができた 5.4.3. 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 学 級 活 動 (1) 実 践 1 自 分 の 工 夫,みんなの 工 夫 (9 月 8 日 ) 1 学 習 活 動 2 実 際 の 活 動 の 様 子 1 2 3 4 7,8 月 の 活 動 で 気 付 いたことを 振 り 返 り 発 表 する よかったこと もっとがんばりたいこと 代 表 児 童 が 自 分 の 工 夫 を 発 表 する 生 活 面 学 習 面 友 達 関 係 グループ 内 で 自 分 の 工 夫 について 教 え 合 いクラス 全 体 に 発 表 する 感 想 を 発 表 する 実 態 調 査 から 指 導 が 必 要 と 思 われた 就 寝, 学 習, 友 達 関 係 の3 点 について, 夢 カード の 内 容 から 前 もって 代 表 児 童 を 選 び,それぞれの 工 夫 を 発 表 する 活 動 を 中 心 に 学 習 活 動 を 行 った 生 活 面 では 毎 日 就 寝 時 刻 が9 時 30 分 頃 と 決 まっている 児 童 を 代 表 に 選 び, 児 童 はこの 時 間 に 就 寝 するための 工 夫 と して 帰 宅 後 の 時 間 の 過 ごし 方 を 発 表 した 自 分 の 時 間 の 使 い 方 と 比 較 して 聞 く 様 子 が 見 られた 学 習 面 では 帰 宅 後 にすぐ 宿 題 に 取 り 組 む 児 童 を 取 り 上 げた 毎 日 の 学 校 生 活 の 中 では 控 え 目 な 児 童 がまじめに 家 庭 での 学 習 に 取 り 組 んでいること に 感 心 する 声 があがった 友 達 関 係 では, 夢 カードに 毎 日 友 達 にしてもらってうれしかったこと を 記 入 していた 児 童 が 発 表 した 発 表 を 聞 いて 友 達 に ~をしない だけでなく 5 6 今 後 の 取 り 組 みを 考 え9 月 のめあてと 週 のめあてを 夢 カードに 記 入 する 次 時 の 予 告 を 聞 く よいところを 見 つける 工 夫 が 友 達 関 係 の 改 善 に 役 立 つこ とを 感 じることができたようだった 9 月 のめあてを 設 定 す る 段 階 では3 人 の 活 動 を 参 考 にしてめあてを 記 入 する 姿 が 見 られた (2) 実 践 2 見 つけたⅠ (10 月 1 日 ) 1 学 習 活 動 2 実 際 の 活 動 の 様 子 1 9 月 の 活 動 で 気 付 いたことを 振 り 返 り 本 時 は 自 分 のよさを 見 付 けることに 活 動 の 中 心 を 置 いた 発 表 する 今 回 は 就 寝 時 刻 を 早 めるためにテレビ 番 組 を 我 慢 した 児 童, よかったこと 自 主 勉 強 をがんばった 児 童, 習 い 事 までの 短 時 間 と 習 い 事 が もっとがんばりたいこと 終 わってからの 時 間 に 学 習 する 内 容 を 振 り 分 けている 児 童, 2 代 表 児 童 が 自 分 ががんばったこと 友 達 関 係 でよかったことと 直 したいことを 見 付 けた 児 童 が 発 を 発 表 する 表 を 行 った 教 師 は 小 さな 進 歩 でも 気 持 ちが 前 向 きになって 生 活 面 学 習 面 友 達 関 係 いる 大 切 さ 等 に 言 及 し, 発 表 しやすい 雰 囲 気 づくりを 行 った 3 グループ 内 で 自 分 ががんばったこと 全 員 がそれぞれグループで 自 分 のよさを 発 表 する 前 には 自 分 について 教 え 合 う の 発 表 内 容 をB6 版 の 用 紙 に 記 入 する 活 動 を 取 り 入 れた( 資 料 4 感 想 を 発 表 する 5 ) 配 慮 の 必 要 な 児 童 の 机 間 指 導 に 担 任 があたったことも 5 今 後 の 取 り 組 みを 考 え10 月 のめあてと あり, 夢 カード をめくりながら1か 月 を 振 り 返 り,どの 週 のめあてを 夢 カードに 記 入 する 児 童 も 自 分 のがんばりやよさを 記 入 することができた 10 月 6 次 時 の 予 告 を 聞 く のめあてには, 学 習 方 法 や 就 寝 時 刻 を 改 善 し,より 積 極 的 な 取 組 をしようとする 意 欲 が 見 られた 資 料 5 見 つけた 自 分 のよさ -RO7-
(3) 実 践 3 見 つけたⅡ (10 月 29 日 ) 1 学 習 活 動 2 実 際 の 活 動 の 様 子 本 時 は,グループの 友 達 の 活 動 に 対 するコメントを 中 心 に 1 10 月 の 活 動 で, 気 付 いたことを 振 り 返 行 った 今 回 は 時 間 的 に 代 表 児 童 の 発 表 を 行 えなかったので, り 発 表 する 最 初 の 自 分 ががんばっていたこと の 発 表 ではグループ 内 2 グループ 内 で 自 分 ががんばっていた に 緊 張 が 感 じられたが, 次 第 に 声 が 大 きくなり 雰 囲 気 が 和 ら こと について 教 えあう いできた 発 表 に 対 してのコメントは 回 し 書 きをしてそれぞ 3 グループ 内 の 友 達 の 発 表 に 対 してコメ れが 書 いたり, 係 を 決 めて 記 入 したりしていた 内 容 は, 自 ントを 記 入 し 発 表 する 分 が 知 らなかった 友 達 の 努 力 に 対 する 賞 賛, 以 前 との 比 較 で 4 グループの 話 合 いをクラス 全 体 に 発 表 改 善 を 認 めるもの,めあてに 向 かって 努 力 する 姿 勢 を 評 価 す する るもの, 友 達 と 自 分 とを 比 べて 刺 激 を 受 けたものなどがあっ 5 感 想 を 発 表 する た( 資 料 6) 6 がんばったことを 認 めてくれている 家 友 達 からコメントを 受 けた 感 想 には, 認 められたうれしさ 庭 からのコメントを 聞 く と, これからもがんばろうとする 気 持 ちを 記 したものが 多 く, 7 夢 カード に 記 入 する 活 動 を 振 り 返 たくさんの 笑 顔 が 見 られた 家 庭 からのコメントにも 満 足 気 って 気 付 いたことや 感 じたことを 記 入 な 表 情 が 見 られた する 最 後 には 活 動 のまとめとして 夢 カード の 感 想 の 記 入 や 事 8 まとめの 話 を 聞 く 後 調 査 を 行 った 資 料 6 見 つけた 友 達 のよさ 5.5 実 践 を 終 えて 10 月 29 日 に 欠 席 1 名 を 除 く36 名 に 対 して 事 後 調 査 を 行 った ( 質 問 紙 法 による 記 名 調 査 ) 5.5.1 夢 カード の 作 成 と 実 施 について 夢 カード に 記 入 する 活 動 を 通 して 自 分 を 見 つめることができた 事 項 を 尋 ねると, 生 活 習 慣, 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 のどの 項 目 でも 肯 定 的 な 回 答 が 多 かった( 図 6 ) また, 実 際 に 就 寝 時 刻, 忘 れ 物 をしない 工 夫, 宿 題 の 習 慣 を 改 善 できたという 児 童 がそれぞれ20 名 以 上 いた 友 達 関 係 や 自 主 勉 強 の 習 慣, 学 習 時 間 の 確 保 を 改 善 できた 児 童 もそれぞれ 半 数 近 くになった 実 態 調 査 から 改 善 したいと 考 えていたことにも 効 果 があったことを 示 している 夢 カード の 活 動 を 続 けるのに 役 立 ったことは 自 分 の 変 化 が わかる が 一 番 多 く, 次 に 多 かったのは 教 師 からの 励 まし だった ( 図 7 ) 自 分 の 変 化 が わかる という 回 答 には 児 童 がこの 活 動 に 一 生 懸 図 6 夢 カード を 通 して 見 つめることができた 事 項 図 7 夢 カード を 続 けるのに 役 立 ったこと -RO8-
命 取 り 組 んだことが 表 れており,がんばることが できたという 実 感 が 夢 カード を 通 して 自 分 のよ さに 気 付 くことができたという 回 答 につながって いると 考 える( 図 8 ) 5.5.2 家 庭 や 担 任 と 連 携 した 個 別 指 導 ( 1) 家 庭 との 連 携 1 週 間 ごとに 夢 カード を 見 ることによって 子 どもの 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 に ついて 関 心 を 高 め, 子 どもを 認 める 機 会 が 増 えたと する 回 答 が7~8 割 だった 2~3 割 が 不 十 分 と 考 えており, 特 に 望 ましい 子 どもの 変 容 を 尋 ねた 項 目 では3 割 以 上 が 不 十 分 と 考 えていることが 分 かった( 図 9 ) 14 名 が 自 由 記 述 を 寄 せ, 子 どもの 考 えや 様 子 を 感 じることができた 親 子 の 会 話 が 増 えた よい 機 会 になったので 続 けていってほし い などが 複 数 あった (2) 担 任 との 連 携 担 任 からは, 教 室 で 見 ているだけでは 分 からな い 児 童 の 様 子 が 夢 カード で 分 かるという 感 想 があった 教 室 の 様 子 だけでは 分 かりにくい 児 童 の 図 9 がんばりやトラブルを 把 握 することで 個 別 指 導 や 家 庭 への 働 き 掛 けに 生 かしてもらうことができた 5.5.3 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 学 級 活 動 3 回 行 った 学 級 活 動 がどんな 役 割 を 果 たしたか 尋 ねた( 図 10 ) どの 項 目 も 肯 定 的 な 回 答 と 言 える が, 特 に 夢 カードを 実 践 する 意 欲 を 継 続 するこ と 自 分 よさに 気 付 く 友 達 のよさに 気 付 く の 項 目 は9 割 以 上 が よくできた できた と 回 答 した 自 分 が 改 善 したいことへの 気 付 き と 友 達 からの 認 め についても8 割 が 肯 定 的 な 回 答 だ った 夢 カード の 日 常 的 な 実 践 だけでは 自 分 の よさに 気 付 けなかった 児 童 が8 名 いたが ( 図 8), ここでは3 名 に 減 少 している 図 8 夢 カード を 通 して 自 分 のよさに 気 付 いたか 家 庭 との 連 携 6 研 究 のまとめと 今 後 の 課 題 図 10 学 級 活 動 でできたこと 6.1 研 究 のまとめ (1) 夢 カード の 作 成 と 実 施 夢 カード を 使 って 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 を 見 つめることで, 自 分 の 問 題 点 に 気 付 いて 自 分 で 必 要 なめあてを 見 出 し,よりよい 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 をつ くっていこうとする 意 欲 をもつことができた 児 童 が 多 かった 問 題 点 に 気 付 くためには 具 体 的 な 項 目 で 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 を 記 録 していくこ とが 大 切 で, 自 分 の 変 化 が 分 かる 記 録 の 仕 方 が 児 童 の 意 欲 を 継 続 させるのに 役 立 つことが 分 かった 1 週 間 に1 枚 の 形 式 は 週 ごとに 児 童 が 新 たな 気 持 ちで 始 めることができるよさがあった 教 師 がその 日 の 児 童 の 取 組 を 認 めたり, 励 ましたりする 立 場 に 立 ってその 児 童 のペースで 毎 日 の 活 -RO9-
動 を 見 守 るコメントを 続 けることも 児 童 が 自 分 を 見 つめる 活 動 を 支 えることが 分 かった 自 分 の 問 題 点 に 気 付 きめあてを 立 てて 取 り 組 む 意 欲 を 継 続 させることが, 児 童 が 自 分 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣, 友 達 関 係 の 改 善 を 図 るのに 役 立 ち,がんばる 自 分 から 自 分 のよさに 気 付 くことに つながってきた (2) 家 庭 や 担 任 との 連 携 家 庭 からは, 毎 週 たくさんのコメントをもらうことができた 夢 カード や 家 庭 科 通 信 を 通 して 児 童 の 取 組 の 様 子 や 考 えていることを 知 らせる 機 会 を 設 けることが 連 携 の 一 歩 になることが 分 かった また, 個 人 の 生 活 習 慣 や 家 庭 での 学 習 習 慣 を 改 善 しようとするときにも 学 級 集 団 が 役 割 を 果 たしてい ることから, 家 庭 での 過 ごし 方 についても 学 校 と 家 庭 が 連 携 して 児 童 を 見 守 る 大 切 さに 改 めて 気 付 か された 担 任 との 連 携 に 関 しては 学 級 を 複 数 の 目 で 見 ることの 大 切 さを 実 感 した 教 師 の 個 性 が 生 かされた り, 互 いの 指 導 の 意 図 を 児 童 に 話 して 聞 かせたりフォローし 合 って 進 めることができ,うまく 活 動 が 進 まない 児 童 に 対 して 見 守 る 姿 勢 をもち 続 けることができた このことが 毎 日 の 教 師 のコメントにも 表 れ 夢 カード に 取 り 組 む 意 欲 を 継 続 させることにつながったのではないかと 考 える (3) 自 分 のよさに 気 付 き, 互 いのよさを 認 め 合 う 学 級 活 動 学 級 活 動 は, 月 ごとに 行 ったことが 次 の 月 のめあての 設 定 や 意 欲 の 継 続 に 効 果 的 だった 個 人 の 活 動 だけでは 意 欲 を 継 続 するのが 難 しい 場 合 でも, 学 級 活 動 を 行 うことでまた 新 たな 意 欲 をもつことが できたと 考 える 学 級 の 中 では 自 分 や 友 達 への 評 価 が 固 定 化 している 面 があるので, 活 動 内 容 のすばらしい 児 童 とと もに, 児 童 同 士 では 気 付 きにくいよさをもっている 児 童 を 代 表 児 童 に 選 んだことも 互 いの 認 め 合 いに 効 果 があったと 思 う 工 夫 の 発 表, 自 分 のよさ, 友 達 のよさと3 回 の 学 級 活 動 を 積 み 重 ねていったこ とが, 友 達 の 工 夫 や 友 達 のがんばりを 知 ることで 自 分 もがんばろうという 意 欲 をもち, 自 分 もがんば っていることを 教 える 活 動 につながり, 友 達 のよさに 気 付 いて 認 め 合 う 態 度 をはぐくむことができた と 考 える 学 級 で 共 通 の 課 題 に 取 り 組 んで, 個 人 の 活 動 を 励 まし,その 過 程 で 互 いのがんばりを 知 ら せ 合 う 学 級 活 動 は, 自 分 のよさに 気 付 き, 友 達 のよさに 気 付 いて 認 め 合 うことに 有 効 であったと 言 え る 6.2 今 後 の 課 題 (1) 夢 カード についてはさらに 工 夫 が 必 要 であると 考 える 必 要 な 事 項 の 精 選 や 自 己 評 価 につい て 考 えていく 必 要 がある また 意 欲 的 に 夢 カードの 活 動 に 取 り 組 めなかった あまり 自 分 のよさ に 気 付 くことができなかった と 回 答 した 児 童 に 対 する 指 導 の 在 り 方 も 今 後 の 課 題 として 残 った (2) 家 庭 との 連 携 に 関 しては,さらに 個 別 指 導 の 在 り 方 を 工 夫 していきたい また, 事 後 調 査 で 家 庭 から 見 た 望 ましい 子 どもの 変 容 の 数 値 が 子 どもへの 関 心 の 高 まり や 子 どもとの 触 れ 合 い に 比 べて 低 かったことも 今 後 の 課 題 である 家 庭 が 望 ましい 子 どもの 変 容 としてどんな 考 えをもっ ているのかを 把 握 したり, 児 童 の 小 さな 変 化 をともに 喜 び 合 うような 情 報 の 交 換 を 行 ったりすること を 工 夫 していきたい (3) 学 級 活 動 は3 時 間 行 った 夢 カード を 継 続 していくのに 必 要 な 活 動 であるので, 学 級 活 動 の 時 数 に 組 み 込 まない 時 間 を 設 定 する 工 夫 が 必 要 になってくると 考 えられる 学 級 活 動 を 通 して 改 善 したい 事 柄 に 気 付 くこと 友 達 から 認 められた と 感 じる 児 童 を 増 やしていく 工 夫 を 図 っていきた いと 考 える 主 な 参 考 文 献 [ 1 ] 文 部 科 学 省 : 小 学 校 学 習 指 導 要 領 [2] 文 部 科 学 省 : 平 成 19 年 度 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 追 加 分 析 結 果 2008 [3] 國 分 康 孝 大 友 秀 人 著 : 授 業 に 生 かすカウンセリング 誠 心 書 房 2001 [4] 栗 原 慎 二 : 新 しい 学 校 相 談 の 在 り 方 と 進 め 方 ほんの 森 出 版 2002 -RO10-