野 田 内 閣 の 防 衛 政 策 防 衛 大 綱 沖 縄 米 軍 基 地 問 題 等 をめぐる 国 会 論 議 おかどめ やすふみ い ま い かずまさ たかふじ な お こ 外 交 防 衛 委 員 会 調 査 室 岡 留 康 文 今 井 和 昌 高 藤 奈 央 子 菅 内 閣 の 総 辞 職 を 受 け 平 成 23 年 9 月 2 日 野 田 内 閣 が 発 足 した 野 田 内 閣 総 理 大 臣 は 就 任 後 初 の 所 信 表 明 演 説 において 新 防 衛 大 綱 1 に 従 い 即 応 性 機 動 性 等 を 備 えた 動 的 防 衛 力 を 構 築 し 新 たな 安 全 保 障 環 境 に 対 応 していくとし さらに 日 米 同 盟 は 我 が 国 外 交 安 全 保 障 の 基 軸 であると 述 べ 安 全 保 障 政 策 に 大 きな 変 化 がないことを 表 明 し た 本 稿 では この1 年 間 の 国 会 で 論 議 された 次 期 戦 闘 機 の 選 定 武 器 輸 出 三 原 則 等 の 見 直 し 北 朝 鮮 による 弾 道 ミサイル 発 射 普 天 間 移 設 問 題 等 の 諸 問 題 についてその 概 要 を 紹 介 したい 1. 次 期 戦 闘 機 の 選 定 防 衛 大 綱 において 航 空 自 衛 隊 の 戦 闘 機 部 隊 については 12 個 飛 行 隊 及 び 戦 闘 機 約 260 機 の 体 制 を 維 持 することとされており 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 ( 平 成 23 年 度 ~ 平 成 27 年 度 ) ( 以 下 中 期 防 という )においては 現 有 の 戦 闘 機 (F-4)の 後 継 機 として 新 たな 戦 闘 機 を 整 備 することとされていた 2 防 衛 省 は 次 期 戦 闘 機 として 提 案 されたF /A- 18 E F- 35 A タイフーンの3 機 種 について 評 価 を 行 い 平 成 23 年 12 月 19 日 性 能 経 費 国 内 企 業 参 画 及 び 後 方 支 援 の4つの 要 素 の 評 価 点 の 合 計 が 最 も 高 かった F- 35 Aを 選 定 した 翌 12 月 20 日 安 全 保 障 会 議 において 平 成 24 年 度 以 降 F- 35 Aを 42 機 取 得 することを 決 定 した 平 成 24 年 度 予 算 においては4 機 の 取 得 費 用 395 億 円 (1 機 約 99 億 円 ) その 他 シミュレーターの 取 得 経 費 等 205 億 円 の 計 600 億 円 が 計 上 された なお F- 35 Aの 納 入 は 28 年 度 に 予 定 されている 次 期 戦 闘 機 に 求 められる 性 能 について 問 われた 田 中 防 衛 大 臣 ( 当 時 以 下 同 じ)は ス テルス 性 などに 優 れた 戦 闘 機 の 出 現 戦 闘 機 空 中 警 戒 管 制 機 及 び 対 空 ミサイル 等 が 一 体 となって 行 われる 戦 闘 の 進 展 費 用 対 効 果 等 の 観 点 から 兵 器 システムのマルチロール 化 が 進 展 していることなどを 踏 まえて 制 空 戦 戦 闘 能 力 に 優 れ 空 対 地 攻 撃 能 力 等 を 備 えた マルチロール 機 であることが 求 められると 答 弁 した 3 米 国 の 国 防 費 削 減 に 伴 うF- 35 Aの 調 達 数 の 削 減 開 発 の 遅 れ 等 から 価 格 上 昇 や 納 期 の 遅 れ それらが 日 本 の 防 衛 態 勢 に 与 える 影 響 などについて 問 われた 1 正 式 名 称 は 平 成 23 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 ( 平 成 22 年 12 月 17 日 安 全 保 障 会 議 及 び 閣 議 決 定 ) 2 前 中 期 防 ( 平 成 17 年 度 ~ 22 年 度 を 対 象 )において 新 戦 闘 機 の 7 機 の 整 備 を 予 定 していたが 十 分 な 情 報 が 得 られなかったとして 期 間 中 の 取 得 を 断 念 した 現 中 期 防 ( 平 成 23 年 度 ~ 平 成 27 年 度 を 対 象 )では 12 機 調 達 する 予 定 となっている 3 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 1 号 24 ~ 25 頁 ( 平 24.3.22) 立 法 と 調 査 2012.10 立 法 No.333( と 調 査 参 2012.10 議 院 事 務 No.333 局 企 画 調 整 室 編 集 発 行 ) 89
納 期 や 要 求 性 能 について 野 田 総 理 は F- 35 Aは 開 発 中 の 機 体 であるが 同 機 の 提 案 者 である 米 国 政 府 は 防 衛 省 の 要 求 する 期 限 までに 防 衛 省 の 要 求 する 性 能 を 備 えた 機 体 を 納 入 する 旨 確 約 していると 答 弁 した 4 他 方 田 中 大 臣 は 価 格 や 納 期 は 米 側 に 厳 守 し てもらうのが 最 優 先 としながらも 提 案 内 容 が 実 現 できない 場 合 は 契 約 を 取 りやめ 新 たな 機 種 選 定 に 入 ることも 視 野 に 入 れなければいけないとの 見 解 を 示 した 5 開 発 の 遅 延 による 調 達 計 画 への 影 響 について 問 われた 田 中 大 臣 は 全 力 を 挙 げてこの 契 約 の 履 行 を 実 施 する そうような 事 態 は 想 定 していないと 述 べ 6 また 4 機 分 の 価 格 に ついては 提 案 要 求 書 で 示 された1 機 99 億 円 の 額 で 交 渉 を 努 力 していくと 述 べたが 7 シ ミュレーター 等 の 価 格 も 含 め 全 体 で 600 億 の 範 囲 内 で 購 入 が 可 能 であれば 購 入 すると の 見 解 を 示 した 8 その 後 6 月 29 日 政 府 はこの4 機 を 米 国 政 府 の 有 償 援 助 (FMS) により 調 達 するための 引 合 受 諾 書 9 に 署 名 し 1 機 当 たり 約 102 億 円 シミュレーターの 取 得 経 費 等 約 191 億 円 も 含 め 計 約 600 億 円 で 調 達 することとした 取 得 が 遅 れた 場 合 の 他 機 種 の 導 入 を 含 めた 対 応 について 問 われた 森 本 防 衛 大 臣 は 他 の 機 種 を 導 入 する 考 えはなく 価 格 や 納 期 を 守 るよう 強 く 米 側 に 申 し 入 れている F- 15 の 近 代 化 をより 進 めて 補 う 方 法 も 考 えられるとの 見 解 を 示 した 10 また 今 後 も 機 体 価 格 の 上 昇 の 可 能 性 が 指 摘 される 中 42 機 の 調 達 方 針 について 問 わ れたが 渡 辺 防 衛 副 大 臣 は 計 画 に 変 わりはないとした 上 で 11 価 格 については 米 国 との 交 渉 で 一 つ 一 つの 積 算 根 拠 を 厳 密 に 議 論 し コスト 意 識 をしっかり 持 って 取 り 組 むと 述 べた 12 2. 南 西 地 域 における 防 衛 態 勢 の 充 実 防 衛 大 綱 では 軍 備 増 強 と 海 洋 進 出 を 活 発 化 させる 中 国 を 念 頭 に 南 西 諸 島 の 防 衛 を 重 視 し また こうした 情 勢 に 対 応 するため 自 衛 隊 の 機 動 性 や 即 応 性 を 重 視 する 動 的 防 衛 力 構 想 を 打 ち 出 している 活 発 化 する 中 国 の 海 洋 進 出 への 対 応 を 問 われた 森 本 大 臣 は 確 固 とした 気 概 と 意 思 を 持 って 断 固 これを 排 除 する きちっとした 方 針 で 南 西 方 面 の 防 衛 力 を 強 化 する そのために 大 臣 として 何 ができるかを 防 衛 力 整 備 の 面 で 特 に 重 視 したいと 述 べた 13 また 日 本 を 取 りまく 現 状 について 森 本 大 臣 は 島 嶼 及 び 鹿 児 島 から 沖 縄 に 至 る 南 西 方 面 を 挙 げ その 海 4 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 3 号 15 頁 ( 平 24.1.27) 5 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 18 号 17 頁 ( 平 24.2.29) 6 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 6 号 7 頁 ( 平 24.3.12) 7 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 6 号 8 頁 ( 平 24.3.12) 8 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 6 号 8 頁 ( 平 24.3.12) 9 取 引 ごとに 日 米 両 政 府 の 代 表 者 が 署 名 する 文 書 で これに 基 づき 有 償 援 助 が 行 われる この 文 書 には 両 政 府 が 合 意 する 調 達 品 などの 内 容 及 び 価 格 納 入 予 定 時 期 等 の 条 件 が 記 載 される 10 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 19 ~ 20 頁 ( 平 24.6.15) 11 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 7 頁 ( 平 24.6.15) 12 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 8 頁 ( 平 24.6.15) 25 年 度 の 概 算 要 求 では 2 機 308 億 円 を 要 求 している 13 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 3 頁 ( 平 24.6.15) 90
域 に 周 辺 諸 国 からじわじわと 寄 ってこられているとの 表 現 をし 危 機 感 を 示 した 14 こういった 現 状 認 識 の 下 具 体 的 な 方 策 を 問 われた 森 本 大 臣 は 島 々が 連 なる 海 域 地 域 というものを 常 に 有 効 に 守 るためには 常 続 不 断 に 警 戒 監 視 機 能 というものを 強 化 し あり 得 べきリスクが 近 寄 るとき できるだけ 早 期 に 発 見 して 対 応 できる 能 力 を 常 に 持 って いることが 必 要 であると 指 摘 した 15 また その 上 で 必 要 な 防 衛 力 を 有 効 に 対 応 でき るように 迅 速 かつ 柔 軟 に 機 動 展 開 し 必 要 な 対 応 ができるような 体 制 を 常 に 取 っておく そのためにいろいろな 輸 送 能 力 が 必 要 であることは 言 うまでもないと 述 べ その 能 力 の 向 上 の 重 要 性 を 指 摘 した 16 これに 関 連 して 尖 閣 諸 島 で 不 法 侵 入 などの 不 測 の 事 態 が 起 こった 場 合 の 対 応 について 問 われた 野 田 総 理 は 尖 閣 諸 島 を 含 め 我 が 国 の 領 土 領 海 で 周 辺 国 による 不 法 行 為 が 発 生 した 場 合 には 必 要 に 応 じて 自 衛 隊 を 用 いることも 含 め 政 府 全 体 で 毅 然 として 対 応 す ると 答 弁 した 17 下 条 防 衛 大 臣 政 務 官 は 一 義 的 には 海 上 保 安 庁 が 対 応 するが 武 力 攻 撃 に 該 当 すると 判 断 した 場 合 には 防 衛 出 動 一 般 の 警 察 をもって 治 安 を 維 持 することができ ない 緊 急 事 態 の 場 合 は 治 安 出 動 海 上 警 備 行 動 で 自 衛 隊 が 対 処 することになると 答 弁 した 18 3. 北 朝 鮮 によるミサイル 発 射 事 案 への 対 処 平 成 24 年 3 月 19 日 国 際 海 事 機 関 (IMO)から 北 朝 鮮 当 局 から 地 球 観 測 衛 星 打 上 げのための 事 前 通 報 があった 旨 の 連 絡 があった それによれば 北 朝 鮮 当 局 は 4 月 12 日 から 同 月 16 日 までの 毎 日 午 前 7 時 から 12 時 まで( 日 本 時 間 ) 黄 海 及 びフィリピン 東 方 海 域 に 落 下 区 域 を 設 定 したとのことであった このような 状 況 を 踏 まえ 3 月 27 日 田 中 大 臣 が 弾 道 ミサイル 等 に 対 する 破 壊 措 置 等 の 準 備 に 関 する 命 令 ( 準 備 命 令 )を 発 出 し 準 備 を 開 始 するとともに 政 府 は 同 月 30 日 の 安 全 保 障 会 議 において 北 朝 鮮 からの 人 工 衛 星 と 称 するミサイル 発 射 への 対 応 方 針 を 確 認 した また 同 日 防 衛 大 臣 が 自 衛 隊 法 第 82 条 の3 第 3 項 等 に 基 づく 弾 道 ミサイル 等 に 対 する 破 壊 措 置 等 の 実 施 に 関 する 命 令 を 発 出 し SM-3 搭 載 イージス 艦 を 日 本 海 に1 隻 東 シナ 海 に2 隻 ペトリオットPAC-3 部 隊 を 沖 縄 県 内 4か 所 ( 本 島 2 宮 古 島 1 石 垣 島 1) 首 都 圏 に3か 所 それぞれ 展 開 させるとともに 万 が 一 の 落 下 による 被 害 に 迅 速 に 対 処 するため 所 要 の 部 隊 を 南 西 諸 島 に 派 遣 するなどの 対 応 をとった 前 回 の 北 朝 鮮 によるミサイル 発 射 事 案 ( 平 成 21 年 4 月 )と 異 なり 準 備 命 令 の 段 階 で 公 表 した 理 由 について 渡 辺 副 大 臣 は 南 西 諸 島 という 遠 隔 地 であるということを 踏 まえ 適 地 に 輸 送 をするには 時 間 は 少 しでも 欲 しいと 述 べた 19 14 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 28 号 4 頁 ( 平 24.8.23) 15 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 6 号 3 頁 ( 平 24.6.19) 16 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 6 号 3 頁 ( 平 24.6.19) 17 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 30 号 21 頁 ( 平 24.7.26) 18 第 180 回 国 会 衆 議 院 決 算 行 政 監 視 委 員 会 議 録 第 2 号 5~6 頁 ( 平 24.4.12) 19 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 2 号 4 頁 ( 平 24.3.27) 91
首 都 圏 及 び 飛 翔 予 定 経 路 の 下 となる 沖 縄 県 にPAC-3が 配 置 されたが 他 地 域 に 配 備 されない 理 由 また 特 に 首 都 圏 に 配 備 された 理 由 が 質 された この 点 について 田 中 大 臣 は 基 本 的 には 南 西 諸 島 を 除 く 地 域 については 落 下 する 可 能 性 はほとんどないと 考 え 政 治 経 済 の 中 枢 機 能 が 集 中 している 首 都 圏 については 念 には 念 を 入 れてPAC-3 部 隊 の 配 備 を 行 ったと 答 弁 した 20 4 月 13 日 午 前 7 時 40 分 頃 防 衛 省 自 衛 隊 は 北 朝 鮮 西 岸 からの 何 らかの 飛 翔 体 の 発 射 に 関 する 米 国 からの 早 期 警 戒 情 報 (SEW)の 受 信 を 確 認 した その 後 当 該 発 射 につい て 北 朝 鮮 が 人 工 衛 星 と 称 するミサイルを 発 射 したものであると 判 断 した 当 該 ミサ イルは 1 分 以 上 飛 翔 し 数 個 に 分 かれて 黄 海 に 落 下 したため 発 射 は 失 敗 したものと 政 府 は 判 断 した 同 日 夕 刻 防 衛 大 臣 が 弾 道 ミサイル 等 に 対 する 破 壊 措 置 等 の 終 結 に 関 す る 命 令 を 発 出 し 速 やかに 展 開 していた 部 隊 を 撤 収 させた ミサイルは1 分 以 上 飛 行 し 黄 海 上 に 落 下 したため 日 本 への 影 響 はなかったが 政 府 の 対 応 については 運 用 面 での 多 くの 課 題 が 指 摘 された 特 に 米 国 や 韓 国 と 比 べ 発 射 情 報 の 国 民 への 伝 達 が 遅 れたことから 米 国 との 連 携 がきちんと 取 られていたのか また 米 国 のSEWと 自 衛 隊 のレーダーによるダブルチェック 方 式 が 適 切 であったのか 等 の 質 問 がな された この 点 について 防 衛 省 は 米 国 からSEWはもたらされたものの 発 射 弾 数 や 落 下 予 想 地 域 等 が 不 明 だったため 自 衛 隊 のレーダー 等 を 用 いて 情 報 の 正 確 性 等 について 確 認 を 行 おうとしたが 自 衛 隊 のイージス 艦 や 国 内 のレーダーサイトは 見 通 し 線 圏 外 にあ ったため 探 知 できなかった 結 果 として 二 重 の 確 認 というのは 行 うことができなかったと 答 弁 した 21 ダブルチェック 方 式 について 野 田 総 理 は 平 成 21 年 4 月 のミサイル 発 射 対 応 の 際 にSEWの 誤 報 があったことを 踏 まえ 今 回 はダブルチェックをしながら 公 表 をす るということが 基 本 的 な 考 え 方 だったと 述 べつつも 国 民 への 情 報 伝 達 のプロセスについ て 改 善 すべき 点 はあったろうと 思 うと 述 べた 22 藤 村 官 房 長 官 は 情 報 発 信 の 内 容 ある いはタイミング 等 について 配 慮 すべき 点 があった 4 月 16 日 に 官 邸 に 設 置 した 北 朝 鮮 ミ サイル 発 射 事 案 に 係 る 政 府 危 機 管 理 対 応 検 証 チームにおいて 特 に 情 報 伝 達 を 含 めてしっ かりと 検 証 し 反 省 すべき 点 があれば 反 省 し 今 後 改 善 していきたいと 述 べた 23 官 邸 の 検 証 チームは 防 衛 省 から 官 邸 対 策 室 への 情 報 伝 達 官 邸 から 国 民 への 情 報 発 信 の2つの 観 点 から 検 証 を 行 い 4 月 26 日 報 告 書 を 公 表 した 同 報 告 書 には 防 衛 省 中 央 指 揮 所 と 官 邸 を 結 ぶ 端 末 について 記 載 がないとの 指 摘 があったが チーム 座 長 を 務 めた 齋 藤 内 閣 官 房 副 長 官 は 防 衛 省 と 官 邸 対 策 室 の 間 の 情 報 伝 達 に 係 る 個 々の 具 体 的 なシステム 機 器 の 運 用 の 詳 細 については 報 告 書 に 記 載 し 公 表 することは 適 切 ではないと 考 えたとの 見 解 を 示 した 24 また 防 衛 省 は 独 自 の 検 証 対 応 検 討 チームを 設 け 同 チームは6 月 15 20 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 17 号 16 頁 ( 平 24.4.3) 21 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 3 号 3 頁 ( 平 24.4.17) 22 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 24 号 5 頁 ( 平 24.4.18) 23 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 会 議 録 第 24 号 3 頁 ( 平 24.4.18) 24 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 6 号 20 頁 ( 平 24.7.31) 92
日 に 報 告 書 を 公 表 した 25 今 回 の 事 案 では 米 国 から 寄 せられたSEWをダブルチェックするための 時 間 を 要 したこ となどの 反 省 から 日 本 も 独 自 に 早 期 警 戒 衛 星 を 保 有 すべきとの 意 見 も 出 されたが 野 田 総 理 は 安 全 保 障 と 防 衛 力 の 在 り 方 という 大 局 的 な 議 論 を 踏 まえながら 防 衛 目 的 の 機 能 と 例 えば 多 目 的 の 機 能 森 林 が 火 災 した 場 合 等 々 そういう 機 能 に 対 するチェックなど も 含 め デュアルユースの 可 能 性 費 用 対 効 果 の 観 点 なども 含 めて 政 府 全 体 で 検 討 すべ きものと 認 識 をしているとの 考 えを 示 した 26 4. 武 器 輸 出 三 原 則 等 我 が 国 は 対 米 武 器 技 術 供 与 を 始 め 武 器 輸 出 三 原 則 等 27 について 内 閣 官 房 長 官 談 話 等 により 個 別 の 事 案 ごとに 例 外 化 の 措 置 を 講 じてきた しかし 防 衛 大 綱 において 平 和 への 貢 献 や 国 際 的 な 協 力 国 際 共 同 開 発 生 産 における 大 きな 変 化 に 対 応 するための 方 策 につい て 検 討 することとされ 政 府 は 内 閣 官 房 防 衛 外 務 経 産 各 省 の 副 大 臣 級 会 議 を 経 て 平 成 23 年 12 月 27 日 の 安 全 保 障 会 議 において 国 際 共 同 開 発 生 産 人 道 目 的 の 装 備 品 供 与 を 包 括 的 に 例 外 化 することを 決 定 し 同 日 防 衛 装 備 品 等 の 海 外 移 転 に 関 する 基 準 について の 内 閣 官 房 長 官 談 話 を 発 表 した 同 談 話 においては 防 衛 装 備 品 等 の 海 外 への 移 転 について これまで 個 別 に 例 外 化 してきた 手 法 を 改 め 1 平 和 貢 献 国 際 協 力 に 伴 う 案 件 2 我 が 国 の 安 全 保 障 に 資 する 防 衛 装 備 品 等 の 国 際 共 同 開 発 生 産 に 関 する 案 件 は 包 括 的 に 例 外 化 措 置 を 講 じ 今 後 は 新 たな 基 準 により 処 理 することとなった 武 器 輸 出 を 行 わず 長 年 築 き 上 げてきた 国 際 社 会 からの 信 頼 を 失 うことを 十 分 議 論 した のかと 問 われた 野 田 総 理 は 武 器 輸 出 三 原 則 等 が 国 際 紛 争 等 の 助 長 を 回 避 するという 平 和 国 家 としての 基 本 的 な 理 念 に 基 づくものであり 政 府 としてこの 基 本 的 理 念 を 引 き 続 き 堅 持 す る 今 回 の 基 準 は 内 外 に 及 ぼす 影 響 などを 総 合 的 に 勘 案 した 結 果 国 益 にかなっていると 考 えている また 今 後 我 が 国 の 事 前 同 意 なく 目 的 外 使 用 や 第 三 国 移 転 が 行 われないなど の 厳 格 な 管 理 が 実 効 的 に 機 能 する 枠 組 みを 整 備 し 適 切 に 運 用 する 旨 述 べた 28 今 後 の 運 用 の 方 向 性 を 問 われた 渡 辺 副 大 臣 は 日 本 の 技 術 によって 人 の 命 を 救 ったり 人 を 助 け 出 したりするようなものがあるならば 積 極 的 にやっていくべきであるとの 認 識 を 示 した 29 25 官 邸 チームの 報 告 書 は http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2012/pdf/0426houkokusho.pdf 防 衛 省 チ ームの 報 告 書 は [http://www.mod.go.jp/j/press/news/2012/06/15b_1.pdf を 参 照 26 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 24 号 4 頁 ( 平 24.4.18) 27 武 器 輸 出 三 原 則 等 とは 昭 和 42 年 に 佐 藤 総 理 が 政 府 の 運 用 方 針 として 表 明 した 武 器 輸 出 三 原 則 (1 共 産 圏 諸 国 2 国 連 決 議 により 武 器 等 の 輸 出 が 禁 止 されている 国 3 国 際 紛 争 当 事 国 又 はそのおそれのある 国 に 対 する 武 器 輸 出 は 認 めない)と 昭 和 51 年 に 三 木 総 理 が 発 表 した 武 器 輸 出 についての 政 府 統 一 見 解 (1 三 原 則 対 象 地 域 については 武 器 の 輸 出 は 認 めない 2 三 原 則 対 象 地 域 以 外 の 地 域 については 武 器 の 輸 出 を 慎 む 3 武 器 製 造 関 連 設 備 の 輸 出 については 武 器 に 準 じて 取 り 扱 う)を 合 わせた 呼 称 28 第 180 回 国 会 参 議 院 本 会 議 録 第 3 号 7 頁 ( 平 24.1.30) 29 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 6 号 11 頁 ( 平 24.7.31) 93
5. 防 衛 大 臣 の 交 代 と 民 間 出 身 の 防 衛 大 臣 登 用 平 成 23 年 9 月 の 野 田 内 閣 の 発 足 以 来 3 人 の 防 衛 大 臣 が 任 命 された 最 初 の 一 川 大 臣 は 就 任 時 の 安 全 保 障 の 素 人 発 言 宮 中 晩 餐 会 欠 席 不 適 切 な 発 言 をした 沖 縄 防 衛 局 長 に 対 す る 監 督 責 任 等 を 問 われ 30 平 成 23 年 12 月 9 日 の 参 議 院 本 会 議 で 問 責 決 議 が 可 決 された 同 決 議 には 法 的 拘 束 力 はないが 翌 年 1 月 13 日 の 内 閣 改 造 の 際 には 再 任 されなかった また 2 番 目 の 田 中 大 臣 は 北 朝 鮮 のミサイル 発 射 への 対 応 防 衛 大 臣 としての 自 覚 緊 張 感 の 欠 如 等 を 問 われ 31 4 月 20 日 の 参 議 院 本 会 議 で 問 責 決 議 が 可 決 され 6 月 4 日 の 内 閣 改 造 の 際 には 再 任 されなかった 現 在 の 森 本 大 臣 は 6 月 4 日 に 就 任 したが 歴 代 の 防 衛 庁 長 官 防 衛 大 臣 を 通 じて 初 の 国 会 に 議 席 を 有 しない( 民 間 出 身 の) 防 衛 大 臣 である( 前 職 は 拓 殖 大 学 海 外 事 情 研 究 所 長 ) 国 会 に 議 席 を 有 してない 防 衛 大 臣 が 自 衛 隊 の 隊 務 を 統 括 することについて 文 民 統 制 の 在 り 方 の 観 点 から 議 論 が 行 われた 野 田 総 理 は 防 衛 大 臣 が 国 会 議 員 でなければならないとい う 議 論 は 憲 法 からは 解 釈 できず 防 衛 に 関 する 予 算 や 法 律 は 国 会 の 議 決 を 経 ており 軍 事 よ りも 政 治 が 優 先 をするという 原 理 は 貫 徹 をされている 旨 答 弁 した 32 他 方 森 本 大 臣 は 立 法 府 の 人 間 でない 民 間 人 は 立 法 府 や 政 党 に 対 するいろいろな 働 きかけ 根 回 し 等 で 力 量 が 不 足 するとの 認 識 を 示 し 副 大 臣 政 務 官 の 協 力 を 得 ながら 総 理 官 房 長 官 並 びに 関 係 の 大 臣 に 教 わって 自 分 の 職 務 を 遂 行 したいと 述 べた 33 6. 集 団 的 自 衛 権 野 田 総 理 が 野 党 時 代 に 著 書 の 中 で 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 を 提 唱 していたことから 総 理 在 任 中 に 従 来 の 政 府 見 解 を 見 直 す 考 えがないか 質 された 野 田 総 理 は 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 は 憲 法 上 許 されないとの 政 府 解 釈 を 内 閣 総 理 大 臣 として 現 時 点 で 変 えることはないと 答 弁 した 34 その 後 平 成 24 年 7 月 6 日 政 府 の 国 家 戦 略 会 議 ( 議 長 : 内 閣 総 理 大 臣 )のフロンティア 分 科 会 ( 座 長 : 大 西 隆 東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 教 授 )は 野 田 総 理 に 提 出 した 報 告 書 に おいて 集 団 的 自 衛 権 に 関 する 解 釈 など 旧 来 の 制 度 慣 行 の 見 直 しに 言 及 しているが 野 田 総 理 は 1つの 有 識 者 の 会 議 であり それが 政 府 の 方 針 というわけではないと 述 べた 35 一 方 で 野 田 総 理 は 集 団 的 自 衛 権 の 問 題 については 様 々な 議 論 があってしかるべきとの 認 識 も 示 した 36 大 臣 就 任 前 に 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 に 積 極 的 な 意 見 を 表 明 していた 森 本 大 臣 は 閣 僚 の 一 員 として 任 務 を 遂 行 する 間 憲 法 の 枠 の 中 で 集 団 的 自 衛 権 問 題 を 考 えるとし 少 なくとも 今 の ところ 政 府 解 釈 を 変 える 考 えがない 旨 答 弁 した 37 また 同 大 臣 は 集 団 的 自 衛 権 は 本 質 的 30 第 179 回 国 会 参 議 院 本 会 議 録 第 12 号 9~ 14 頁 ( 平 23.12.9) 31 第 180 回 国 会 参 議 院 本 会 議 録 第 13 号 4~7 頁 ( 平 24.4.20) 32 第 180 回 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 25 号 12 頁 ( 平 24.6.12) 33 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 6 頁 ( 平 24.6.15) 34 例 えば 第 179 回 国 会 参 議 院 本 会 議 録 第 4 号 5 頁 ( 平 23.11.1) 35 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 第 27 号 17 頁 ( 平 24.7.12) 36 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 30 号 21 頁 ( 平 24.7.26) 37 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 21 号 6 頁 ( 平 24.6.13) 94
に 同 盟 関 係 に 係 る 問 題 であり 現 在 の 日 米 同 盟 の 中 で 日 本 が 米 国 にどのような 協 力 ができ 日 米 がどのような 役 割 分 担 をするのかについて 質 的 量 的 に 充 実 拡 充 することを 優 先 的 に 考 えるべきであり それによって 本 来 集 団 的 自 衛 権 が 持 っている 役 割 の 多 くが 今 の 憲 法 の 枠 内 で 可 能 となり 集 団 的 自 衛 権 はその 先 の 問 題 であるとの 認 識 を 示 した 38 7. 国 際 平 和 協 力 法 改 正 防 衛 大 綱 では グローバルな 安 全 保 障 環 境 の 改 善 に 取 り 組 むため 国 際 平 和 協 力 活 動 の 実 態 を 踏 まえ PKO 参 加 五 原 則 等 我 が 国 の 参 加 の 在 り 方 を 検 討 する と 記 述 されている こ れを 受 け 今 後 の 我 が 国 の 国 連 PKO 等 に 対 する 協 力 の 在 り 方 を 検 討 することを 目 的 に 内 閣 府 内 閣 官 房 外 務 省 防 衛 省 の 副 大 臣 等 をメンバーとして 設 置 された PKOの 在 り 方 に 関 する 懇 談 会 ( 座 長 : 東 内 閣 府 副 大 臣 ( 当 時 ))は 平 成 23 年 7 月 に 中 間 取 りまとめ を 発 表 し 現 場 に 所 在 しない 文 民 等 や 攻 撃 された 他 国 部 隊 等 の 救 援 (いわゆる 駆 けつけ 警 護 )のための 武 器 の 使 用 が 認 められていないこと 等 の 法 制 面 の 課 題 等 が 示 された これを 踏 まえ 政 府 は 関 係 省 庁 間 で 法 改 正 の 要 否 を 含 む 検 討 を 行 っている 39 具 体 的 な 検 討 項 目 につ いて 政 府 は 国 連 のPKOの 法 的 性 格 紛 争 当 事 者 の 範 囲 停 戦 合 意 要 件 の 有 無 文 民 によ る 活 動 への 参 加 五 原 則 の 適 用 平 和 構 築 支 援 警 護 業 務 安 全 確 保 業 務 当 該 業 務 遂 行 に 必 要 な 権 限 あるいは 国 連 の 人 物 防 護 任 務 防 衛 のための 武 器 使 用 宿 営 地 の 共 同 防 衛 後 方 支 援 司 令 官 ポスト 損 害 賠 償 請 求 権 の 放 棄 PKO 法 に 基 づき 派 遣 された 自 衛 隊 によるP KO 以 外 の 活 動 を 行 っている 米 軍 等 への 物 品 役 務 の 提 供 国 際 的 な 選 挙 監 視 活 動 による 協 力 の 範 囲 の 拡 大 であることを 明 らかにした 40 その 後 24 年 7 月 には 自 衛 隊 の 宿 営 地 外 にいる 文 民 が 襲 われた 場 合 に 自 衛 隊 が 助 けに 行 く 駆 けつけ 警 護 を 可 能 とする 国 際 平 和 協 力 法 改 正 案 を 開 会 中 の 第 180 回 国 会 に 提 出 する 方 針 を 固 めた 旨 の 報 道 があった 41 野 田 総 理 は 駆 けつけ 警 護 の 問 題 も 含 め 最 終 的 な 調 整 をしていることを 認 めたが 42 藤 村 官 房 長 官 は 法 制 度 運 用 の 在 り 方 の 両 面 で 検 討 す べき 課 題 があり 残 り 会 期 を 踏 まえると 第 180 回 国 会 中 の 提 出 は 厳 しいとの 見 解 を 示 し 43 結 局 国 際 平 和 協 力 法 改 正 案 は 提 出 されなかった 駆 けつけ 警 護 について 玄 葉 外 務 大 臣 は PKOに 派 遣 された 自 衛 官 自 身 の 生 命 又 は 身 体 の 危 険 が 存 在 しない 場 合 に 当 該 自 衛 官 の 所 在 地 から 離 れた 場 所 に 駆 けつけて 他 国 軍 隊 の 要 員 等 を 防 護 するために 武 器 を 使 用 することは 憲 法 第 9 条 の 禁 じる 武 力 の 行 使 との 関 係 で 慎 重 な 検 討 を 要 する 場 合 があるが 真 剣 に 検 討 していく 必 要 があるとの 認 識 を 示 している 44 ま た 森 本 大 臣 は 相 手 がどういう 組 織 であるのかということが 明 白 な 場 合 にはよいが 明 白 38 第 180 回 国 会 衆 議 院 安 全 保 障 委 員 会 議 録 第 5 号 4 頁 ( 平 24.6.15) 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 21 号 6 頁 ( 平 24.6.13) 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 6 号 12 頁 ( 平 24.6.19) 等 39 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 30 号 21 頁 ( 平 24.7.26) 40 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 3 号 9 頁 ( 平 24.3.28)) 41 産 経 新 聞 ( 平 24.7.10) 42 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 27 号 18 頁 ( 平 24.7.12) 43 平 成 24 年 7 月 27 日 藤 村 内 閣 官 房 長 官 記 者 会 見 44 第 180 回 国 会 衆 議 院 外 務 委 員 会 議 録 第 4 号 3 頁 ( 平 24.8.1) 95
でない 場 合 に 憲 法 上 許 されている 武 器 の 使 用 が 可 能 かどうかという 点 も 今 回 の 検 討 の 非 常 に 大 きな 焦 点 の1つである 旨 明 らかにしている 45 文 民 要 員 に 対 する 駆 けつけ 警 護 については 再 建 途 上 の 受 入 れ 国 が 実 施 できない 行 政 警 察 権 を 補 完 するものであり 国 際 的 な 武 力 紛 争 ではなく 憲 法 の 禁 ずる 武 力 の 行 使 には 当 た らないとして 容 認 する 方 向 で 調 整 が 行 われているとの 報 道 があり 46 玄 葉 外 務 大 臣 は 内 閣 法 制 局 との 調 整 にてこずっている と 述 べた 47 8. 普 天 間 飛 行 場 の 移 設 問 題 平 成 21 年 9 月 の 政 権 交 代 後 政 府 は 普 天 間 飛 行 場 の 移 設 先 について 再 検 討 を 行 ってい たが 23 年 6 月 の 日 米 安 全 保 障 協 議 委 員 会 ( 2+2 外 務 防 衛 の 担 当 閣 僚 で 構 成 ) において 名 護 市 辺 野 古 区 域 等 に 建 設 する 滑 走 路 の 形 状 をV 字 と 決 定 し 従 来 の 日 米 合 意 案 に 回 帰 し 完 成 時 期 について 平 成 26 年 より 後 のできるだけ 早 い 時 期 に 完 了 させるこ とを 確 認 した その 後 政 府 は 建 設 工 事 に 入 るための 環 境 影 響 評 価 の 手 続 を 再 開 し 環 境 影 響 評 価 書 を 23 年 末 から 24 年 初 めにかけて 沖 縄 県 知 事 へ 送 付 した 現 在 2 月 20 日 及 び3 月 27 日 に 述 べられた 評 価 書 に 対 する 沖 縄 県 知 事 意 見 を 勘 案 して 評 価 書 の 補 正 作 業 を 進 めている 仲 井 眞 沖 縄 県 知 事 が 辺 野 古 移 設 は 事 実 上 不 可 能 と 発 言 していることもあり 公 有 水 面 の 埋 立 に 関 する 知 事 の 承 認 権 限 を 見 直 す 特 別 措 置 法 の 制 定 の 可 能 性 を 問 われたが 野 田 総 理 は 特 措 法 はつくらない 事 を 荒 立 てて 物 事 を 強 引 に 進 めることはないと 答 弁 した 48 また 24 年 2 月 8 日 日 米 両 政 府 は 共 同 報 道 発 表 を 発 出 し 辺 野 古 移 設 の 現 在 の 計 画 が 唯 一 の 有 効 な 進 め 方 であると 信 じている とし 海 兵 隊 のグアムへの 移 転 と 嘉 手 納 飛 行 場 以 南 の 土 地 の 返 還 の 双 方 を 普 天 間 飛 行 場 移 設 に 関 する 進 展 から 切 り 離 すこと(パッ ケージの 切 離 し)について 公 式 な 議 論 を 開 始 したことを 明 らかにした パッケージの 切 離 しのメリットについて 玄 葉 外 務 大 臣 は (3 事 業 とも 進 展 していない) 膠 着 状 態 を 打 開 するため 沖 縄 の 負 担 を 先 行 して 軽 減 していく つまりグアム 移 転 と 嘉 手 納 以 南 の 土 地 の 返 還 を 着 実 に 進 め 沖 縄 の 皆 様 に 丁 寧 に 理 解 を 求 めながら 辺 野 古 移 設 を 進 めることで 本 来 の 日 米 同 盟 の 在 り 方 についての 議 論 が 進 展 しやすくなると 考 えていると 述 べた 49 さらに 24 年 4 月 27 日 の2+2において 日 米 両 政 府 は 辺 野 古 崎 地 区 等 に 建 設 するこ とが 計 画 されている 普 天 間 飛 行 場 の 代 替 施 設 が 引 き 続 き これまでに 特 定 された 唯 一 の 有 効 な 解 決 策 である との 認 識 を 再 確 認 した この 文 言 が 入 った 理 由 について 玄 葉 外 務 大 臣 は この 文 書 を 最 終 的 に 確 定 をしていく 中 で 米 国 議 会 との 様 々な 調 整 を 行 った 結 果 45 第 180 回 国 会 参 議 院 外 交 防 衛 委 員 会 会 議 録 第 8 号 10 頁 ( 平 24.7.31) 46 毎 日 新 聞 ( 平 24.7.13) 産 経 新 聞 ( 平 24.7.20) 等 47 第 180 回 国 会 衆 議 院 外 務 委 員 会 議 録 第 4 号 3 頁 ( 平 24.8.1) 48 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 議 録 4 号 37 頁 ( 平 24.2.2) 49 第 180 回 国 会 衆 議 院 予 算 委 員 会 第 11 号 2 頁 ( 平 24.2.17) 96
として 出 てきたものであることを 明 らかにした 50 9. 垂 直 離 着 陸 機 MV- 22(オスプレイ)の 配 備 問 題 MV- 22 は 回 転 翼 機 の 垂 直 離 着 陸 やホバリングの 機 能 と 固 定 翼 機 の 高 速 飛 行 及 び 長 い 航 続 距 離 を 持 ち 合 わせた 航 空 機 で 輸 送 ヘリCH- 46 と 比 較 すると 最 大 速 度 は 約 2 倍 搭 載 量 は 約 3 倍 行 動 半 径 は 約 4 倍 である 米 海 兵 隊 においては 老 朽 化 したCH - 46 を MV- 22 へと 更 新 する 計 画 が 進 められている(24 年 7 月 1 日 現 在 約 150 機 保 有 ) 平 成 23 年 6 月 普 天 間 飛 行 場 に 配 備 されているCH- 46 をMV- 22 へ 更 新 するこ とが 米 国 防 省 より 公 表 され 24 年 6 月 29 日 米 国 政 府 から 同 年 10 月 初 旬 に 普 天 間 飛 行 場 の1 個 飛 行 隊 12 機 のCH- 46 を 同 数 のMV- 22 に 更 新 する 旨 の 接 受 国 通 報 が 行 わ れた 米 国 から 民 間 船 舶 で 輸 送 されたMV- 22 は 7 月 23 日 山 口 県 岩 国 飛 行 場 に 陸 揚 げされ 同 飛 行 場 で 調 整 の 後 普 天 間 飛 行 場 に 配 備 され 運 用 される 段 取 りとなっている MV- 22 は 開 発 段 階 での 墜 落 事 故 が 相 次 いだことなどから 安 全 性 に 対 する 懸 念 が 示 された 野 田 総 理 は 当 初 地 元 の 方 々が 安 心 できるよう 丁 寧 に 誠 意 を 持 って 御 説 明 す るとしていた 51 24 年 4 月 (モロッコ) 及 び6 月 (フロリダ 空 軍 仕 様 CV- 22)にも 墜 落 事 故 が 発 生 したにもかかわらず 米 側 は 配 備 スケジュールを 変 更 しない 姿 勢 を 見 せた 他 方 沖 縄 県 知 事 は 安 全 性 に 対 し 強 い 懸 念 を 示 すとともに 配 備 拒 否 を 明 言 するようにな った 52 安 全 性 の 確 認 を 問 われた 野 田 総 理 は 2つの 事 故 調 査 結 果 が 日 本 政 府 に 提 供 され 飛 行 運 用 の 安 全 性 がしっかりと 再 確 認 されるまでは 飛 行 運 用 を 行 わないという 政 府 の 方 針 があり 米 側 も 同 様 の 認 識 を 示 していることを 明 らかにした 上 で その 調 査 結 果 を 政 府 全 体 でしっかり 分 析 評 価 し 地 元 に 丁 寧 に 説 明 し 理 解 を 得 られるよう 全 力 を 尽 くすと した 53 また 玄 葉 外 務 大 臣 は 日 本 政 府 自 身 が 安 全 性 を 主 体 的 に 確 認 をし 日 米 合 同 委 員 会 等 を 通 じて 運 用 の 在 り 方 等 についてしっかりと 調 整 をしていくと 答 弁 した 54 また 配 備 の 必 要 性 について 問 われた 野 田 総 理 は 在 沖 海 兵 隊 の 能 力 の 向 上 やアジア 太 平 洋 地 域 における 日 米 同 盟 の 抑 止 力 の 向 上 につながり 我 が 国 の 安 全 保 障 上 極 めて 重 要 であるとの 認 識 を 示 した 55 さらに 米 国 防 総 省 国 防 分 析 研 究 所 の 元 主 任 分 析 官 がオートローテーション 機 能 の 欠 如 等 6つの 欠 陥 を 指 摘 していることについて 森 本 大 臣 は 指 摘 された 時 点 では 正 しかったも のもあるが その 後 相 当 改 善 改 良 されているとした 56 ( 内 線 75161) 50 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 25 号 3 頁 ( 平 24.8.27) 51 第 178 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 3 号 12 頁 ( 平 23.9.15) 52 毎 日 新 聞 ( 平 24.7.2) 53 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 30 号 5 頁 ( 平 24.7.26) 54 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 24 号 13 頁 ( 平 24.8.24) その 後 9 月 19 日 の 日 米 合 同 委 員 会 において 飛 行 の 安 全 性 騒 音 規 制 及 び 低 空 飛 行 訓 練 を 含 め MV- 22 の 我 が 国 における 運 用 に 係 る 具 体 的 な 措 置 について 合 意 した 55 第 180 回 国 会 衆 議 院 本 会 議 録 第 30 号 5 頁 ( 平 24.7.26) 56 第 180 回 国 会 参 議 院 予 算 委 員 会 会 議 録 第 25 号 15 頁 ( 平 24.8.27) 97