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目 次 第 1 章 はじめに 1 1.1 メールの 普 及 と 送 信 者 情 報 偽 装 の 問 題 2 1.2 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 対 応 2 1.3 本 マニュアルの 目 的 2 第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 5 2.1 メールシステムの 概 要 6 2.2 メール 配 送 の 手 順 8 2.3 メール 本 体 の 構 造 9 2.4 メールの 送 信 者 情 報 9 2.4.1 概 要 9 2.4.2 メール 配 送 時 に 指 定 される 送 信 者 情 報 9 2.4.3 ヘッダ 領 域 に 記 述 される 送 信 者 情 報 10 2.5 送 信 者 情 報 詐 称 の 問 題 11 2.5.1 送 信 者 情 報 詐 称 を 判 断 する 仕 組 み 11 2.5.2 送 信 者 情 報 詐 称 の 問 題 点 12 2.5.3 送 信 ドメイン 認 証 技 術 13 第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 15 3.1 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 対 応 16 3.2 Sender Policy Framework (SPF) 17 3.2.1 概 要 17 3.2.2 SPF の 仕 組 み 17 3.2.3 送 信 側 の 設 定 17 3.2.4 SPF レコードの 記 述 法 18 3.3 Sender ID 22 3.3.1 概 要 22 3.3.2 Puported Resposible Adress(PRA) 22 3.3.3 SPF レコードのバージョン 23 3.4 Domainkeys Identified Mail (DKIM) 25 3.4.1 概 要 25 3.4.2 公 開 鍵 の 提 供 26 3.4.3 送 信 側 での 電 子 署 名 の 作 成 27 3.4.4 受 信 側 での 処 理 29 3.4.5 認 証 結 果 の 扱 い 29 3.4.6 DomainKeys Identified Mail (DKIM) Author Domain Signing Practices (ADSP) 29 3.5 認 証 結 果 のヘッダへの 表 示 32 3.5.1 Authentication-Results 32 3.5.2 ヘッダの 詐 称 32 3.5.3 認 証 方 法 ごとの 結 果 表 示 32

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 37 4.1 事 前 準 備 38 4.1.1 導 入 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 決 定 39 4.1.2 ドメイン 名 の 把 握 40 4.1.3 メールの 利 用 方 法 の 確 認 42 4.1.4 導 入 計 画 の 作 成 45 4.2 一 般 的 な 導 入 手 順 48 4.2.1 SPF/Sender ID 48 4.2.2 DKIM 51 4.3 運 用 54 4.3.1 メールサーバの 運 用 54 4.3.2 DNS の 運 用 54 第 5 章 ISP での 対 応 57 5.1 ISP のメールサービスの 概 要 58 5.2 送 信 側 の 対 応 59 5.2.1 概 要 59 5.2.2 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 59 5.2.3 迷 惑 メールの 管 理 62 5.3 メール 受 信 側 としての 検 討 65 5.3.1 概 要 65 5.3.2 利 用 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 選 定 65 5.3.3 メールの 配 送 制 御 65 5.4 ユーザ 周 知 67 5.4.1 送 信 側 の 対 応 67 5.4.2 受 信 側 の 対 応 67 第 6 章 ホスティングサービスでの 対 応 69 6.1 ホスティングサービスの 分 類 70 6.1.1 メールサーバによる 分 類 70 6.1.2 DNS サーバによる 分 類 73 6.2 送 信 側 の 対 応 74 6.2.1 SPF / Sender ID の 対 応 74 6.2.2 DKIM の 対 応 76 6.3 受 信 側 の 対 応 79 6.3.1 認 証 結 果 の 解 説 と 利 用 方 法 の 提 示 79 6.3.2 認 証 結 果 によるフィルタリング 実 施 79 第 7 章 配 信 サービスでの 対 応 81 7.1 配 信 サービスとは 82 7.1.1 配 信 サービスと 送 信 ドメイン 認 証 技 術 82 7.1.2 From ヘッダアドレスの 管 理 主 体 83 7.2 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 84 7.2.1 SPF 84 7.2.2 SenderID 84 7.2.3 DKIM 86 7.3 配 信 サービスによる 利 用 者 への 周 知 88

第 8 章 利 用 者 への 周 知 89 8.1 送 信 ドメイン 認 証 技 術 とは 90 8.2 送 信 時 の 注 意 事 項 91 8.3 受 信 時 の 注 意 事 項 92 8.4 メール 転 送 時 の 注 意 事 項 93 Appendix 1. SPF レコードの 記 述 例 95 Appendix 2. DKIM レコードの 記 述 例 103 Appendix 3. 関 連 RFC 109 Appendix 4. 用 語 集 111

メールサービスを 他 組 織 へ 提 供 している 事 業 者 にとって 有 益 な 情 報 も 別 にまとめています まず 電 子 メールの 仕 組 みと 課 題 について 解 説 を 行 います( 第 2 章 ) 続 いて 送 信 ドメ イン 認 証 技 術 について 導 入 の 前 提 となる 知 識 を 整 理 する 目 的 で 技 術 部 分 の 解 説 を 行 い ます( 第 3 章 ) 次 に 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 の 手 順 について 解 説 を 行 います( 第 4 章 ) さらに 他 者 にメールサービスを 提 供 す る 事 業 者 での 追 加 的 な 注 意 事 項 について ISP での 対 応 ( 第 5 章 ) ホスティングサービスで の 対 応 ( 第 6 章 ) 配 信 サービスでの 対 応 ( 第 7 章 )の 順 に 解 説 を 行 います 最 後 に 利 用 者 への 周 知 一 般 について 解 説 を 行 います( 第 8 章 ) また 巻 末 に 参 考 情 報 や 用 語 解 説 を つけています 送 信 ドメイン 認 証 技 術 は あくまでドメイ ン 単 位 で 送 信 者 情 報 が 詐 称 されているかどう かを 確 認 可 能 とする 技 術 であって これ 自 体 で 送 受 信 されるメールが 迷 惑 メールかどうか を 判 断 できる 訳 ではありません しかし こ の 技 術 の 活 用 によりドメイン 名 の 詐 称 ができ なくなれば ドメイン 単 位 で 受 け 取 りたいメ ール 受 け 取 る 必 要 がないメールを 決 めてお けば それを 確 実 に 判 断 できるようになりま す 送 信 ドメイン 認 証 技 術 が 広 く 普 及 するこ とにより このような 判 断 が 可 能 なドメイン が 増 え それにより 迷 惑 メール 自 体 も 減 少 することが 期 待 されます 本 マニュアルがこ のような 流 れに 少 しでも 貢 献 できれば 幸 いで す 3

MEMO 4

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 図 表 2-1の 説 明 1 要 素 Mail Transfer Agent (MTA : メール 転 送 エージェント) メールを 異 なるメールシステム 間 で 転 送 する 役 割 を 持 ち 他 の MTA や MSA と SMTP プロトコルなどを 利 用 してメール の 送 受 信 を 行 う 機 能 を 提 供 します メールの 宛 先 に 応 じて 転 送 する 先 を 振 り 分 ける 機 能 や 受 信 側 のシステムで 受 信 する 準 備 ができていない 場 合 などに 一 時 的 にメールを 保 存 (キュー)する 機 能 などを 持 ちます 一 般 にサーバ アプリケーション プログラムとして 実 装 されます( 例 : sendmail Postfix 等 ) Mail User Agent (MUA : メール ユーザ エージェント) エンドユーザがメールを 作 成 し 送 信 する(MSA にメールを 投 稿 する) 機 能 や 受 信 したメールをエンドユーザが 読 む(メ ール スプールから 読 み 出 し 表 示 する)ための 機 能 を 提 供 します MUA から MSA へのメールの 送 信 は 一 般 に SMTP プロトコルを 利 用 して 行 われます また メール スプールからの 読 み 出 しは Post Office Protocol 3 (POP 3) や Internet Message Access Protocol 4 (IMAP 4) プロトコルを 利 用 して 行 われます 一 般 的 にエンドユーザの 端 末 上 で 動 作 するアプリケーションとして 実 装 され メールクライアント メールソフト 等 と 呼 ば れる 場 合 が 多 いです( 例 :Microsoft 社 の Outlook や Mozilla の Thunderbird 等 ) Mail Submission Agent (MSA : メール サブミッション( 投 稿 ) エージェント) エンドユーザにより 作 成 されたメールを MUA などから 受 信 し メールの 配 送 を 開 始 する 機 能 を 提 供 します MTA の 役 割 をもつサーバ アプリケーション プログラムが MSA を 兼 ねる 場 合 もあります MSA から MTA へ SMTP プ ロトコルを 利 用 してメールを 送 信 すると MTA は 次 の 配 送 先 ( 他 の MTA や MDA )へメールを 転 送 します Mail Delivery Agent (MDA : メール 配 送 エージェント) メールの 受 信 側 ( 宛 先 )で MTA からメールを 受 信 し メール スプールへメールを 保 存 する 機 能 を 提 供 します MTA の 役 割 をもつサーバ アプリケーション プログラムが MDA を 兼 ねる 場 合 もあります Mail Spool (MSPOOL : メール スプール) メールの 受 信 側 ( 宛 先 )で エンドユーザが MUA を 利 用 してメールを 読 み 取 るためにメールを 保 存 する 機 能 を 提 供 します Mail Box と 呼 ぶ 場 合 もあります 2 処 理 1 ドメイン example.com のエンドユーザが MUA を 利 用 してメールを 作 成 2 エンドユーザは MUA を 操 作 し MSA にアクセスしてメールを 送 信 ( 投 稿 ) 3 MSA は 受 け 取 ったメールを MTA へ 配 送 4 MTA は 宛 先 ドメインの MTA を 見 つけ 出 して その MTA へメールを 配 送 5 受 け 取 った 宛 先 ドメインの MTA は 内 部 の MDA へメールを 配 送 6 MDA は メール スプールへメールを 届 け メール スプールでメールを 格 納 7 宛 先 のエンドユーザは MUA を 利 用 してメール スプールへアクセスし 自 分 宛 のメールを 読 み 出 す 345のメールの 配 送 では 複 数 の MTA を 経 由 する 可 能 性 があります 最 近 では アンチウィルスフィルタや 迷 惑 メール フィルタなどを 運 用 しているドメインも 多 く そうしたフィルタを 用 いたフィルタリングは MTA で 実 施 されている 場 合 が 多 く 1つのドメインの 内 部 であっても 複 数 の MTA を 経 由 してメールが 配 送 されることが 一 般 的 になっています また 4で 宛 先 ドメインの MTA を 探 すときに 送 信 元 の MTA は 宛 先 ドメインの DNS 上 の MX レコードを 参 照 しま す MX レコードとして 登 録 されているホストは そのドメインにおいて 外 部 ドメインからのメールを 受 信 する 役 割 をもつ ホストと 解 釈 されます 7

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 2.2 メール 配 送 の 手 順 メールを 宛 先 に 届 けるための 配 送 手 順 として SMTP (Simple Mail Transfer Protocol, RFC5321) が 使 われます メール 配 送 では メールを 送 りたい 側 ( 送 信 側 )が メールを 届 けたい 先 ( 受 信 側 ) にネット ワーク 的 に 接 続 を 要 求 し 受 信 側 が 要 求 を 受 理 することにより 一 連 の 配 送 手 続 が 開 始 されま す そして 実 行 したいコマンド 名 とその 引 数 を 相 手 方 に 送 信 し 相 手 方 がそれに 対 する 応 答 を 返 信 するやりとりを 繰 り 返 すことにより 手 続 が 進 みます なお メール 送 信 は 送 信 側 から 受 信 側 へ 処 理 を 伝 えるので ほとんどの 場 合 送 信 側 が 受 信 側 に 実 行 したいコマンドを 送 信 す ることになります このときの 接 続 の 方 法 やメールの 受 け 渡 し 受 信 側 からの 応 答 の 仕 方 などを 決 めたものが SMTP です SMTP での 手 続 の 一 般 的 な 流 れを 図 表 2-2に 示 します 図 表 2-2 SMTP によるメール 通 信 手 順 送 信 側 では 処 理 の 内 容 を 示 すコマンド (MAIL, RCPT, DATA など) を 引 数 とともに 受 信 側 に 伝 えます 例 えば MAIL FROM で 送 信 者 の 情 報 (メールアドレス)を RCPT TO で 宛 先 の 情 報 (メールアドレス)を DATA でメール 本 体 の 情 報 を 伝 えます 受 信 側 では それぞれのコマンドを 解 釈 して 応 答 をします コマンドに 対 する 応 答 の 種 別 は 数 字 (220 や 250 などの 3 桁 の 数 字 ) で 示 され ます 例 えばメールを 受 け 取 れない 場 合 には 否 定 的 な 応 答 番 号 (500 番 台 の 数 字 ) を 返 すこ とになります 受 信 側 は このようなコマンド に 対 する 応 答 という 形 で 受 信 側 の 判 断 や 意 図 を 送 信 側 に 伝 えることができます SMTP の 規 格 (RFC5321)では 送 信 側 が 指 定 す る 各 コマンドの 形 式 や 順 番 それぞれのコマン ドに 対 して 受 信 側 が 返 すことができる 応 答 番 号 の 種 類 などが 定 められています こうしたメールの 配 送 時 に 指 定 される 送 信 者 や 宛 先 のメールアドレスなどは 郵 便 の 手 紙 になぞらえてエンベロープ( 封 筒 ) 情 報 とも 呼 ば れます なお SMTP は メールサーバ 間 の 配 送 時 だけ でなく 利 用 者 がメールを 作 成 する MUA (メール 8

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 ソフト) からメール 投 稿 サーバ (MSA) への 送 信 時 にも 使 われます 2.3 メール 本 体 の 構 造 メール 本 体 は 送 信 側 が DATA コマンドを 送 信 し 受 信 側 がその 応 答 として "354" を 返 した 場 合 に 送 信 側 から 送 信 されます メール 本 体 の 最 後 に ドット ('.') 文 字 だけの 行 (ドット 行 ) が 送 信 されます なお この 場 合 のドット 行 は メール 本 体 には 含 まれません メール 本 体 は ヘッダ 領 域 とメール 本 文 によ って 構 成 されます いずれの 領 域 もテキスト 文 字 列 で 表 現 され 専 用 の 区 切 り 記 号 は 決 められ ていませんが 文 字 列 の 構 成 方 法 によって 区 別 ができるように 決 められています ヘッダ 領 域 は メール 本 体 の 先 頭 からヘッ ダ 行 が 連 続 する 領 域 で ヘッダ 行 ではない 空 行 ( 改 行 だけの 行 ) がメール 本 文 との 区 切 り となります メール 本 文 は ヘッダ 領 域 の 区 切 り( 空 行 ) から メール 本 体 の 末 尾 までとなります メ ール 本 体 の 例 を 図 表 2-3 に 示 します 図 表 2-3 メール 本 体 ヘッダ 行 は ヘッダ 名 と 続 くコロン (':') ヘッダ 本 文 で 構 成 されます ヘッダ 行 はそれぞ れ 形 式 や 構 文 が 決 まっており ヘッダを 追 加 す る 場 合 には 正 しく 構 文 に 従 って 記 述 しなけれ ばなりません なお メール 本 体 の 構 造 及 びヘッダ 行 の 構 文 については SMTP の 規 格 (RFC5321)とは 別 に Internet Message Format (RFC5322, インター ネットメッセージの 形 式 )で 決 められています 2.4 メールの 送 信 者 情 報 2.4.1 概 要 メールの 作 成 者 や 送 信 者 を 示 す 情 報 には メ ールの 配 送 時 に 指 定 される 送 信 者 情 報 (エンベ ロープ 情 報 に 含 まれる 送 信 者 情 報 )と メール 本 体 のヘッダ 領 域 に 記 述 される 送 信 者 情 報 の 2 種 類 があります これらの 送 信 者 情 報 は メー ルで 利 用 される 情 報 なので いずれも メール アドレスで 示 されます 2.4.2 メール 配 送 時 に 指 定 される 送 信 者 情 報 メールの 配 送 時 に 指 定 される 送 信 者 情 報 は 図 表 2-2 で 示 した MAIL コマンドの 引 数 と して 指 定 されるメールアドレスです このメー ルアドレスは 配 送 上 で 何 か 問 題 が 発 生 した 場 合 に 送 信 者 に 通 知 を 送 る 際 に 利 用 されます そ のため リバースパス (reverse-path) という 9

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 名 称 が 付 いています リバースパスは SMTP に よるメールの 配 送 時 に 渡 される 情 報 なので 一 般 にはメールの 受 信 者 には 渡 されない 情 報 にな ります なお 受 信 側 の MTA は この MAIL コマンド に 対 する 応 答 として メールを 受 け 取 らないこ とを 示 すエラーコードを 返 すことができます 例 えば 指 定 されたメールアドレスが 明 らかに 実 在 しないものであった 場 合 や 過 去 に 迷 惑 メ ールを 送 信 してきた 送 信 者 であった 場 合 などに は 受 け 取 らないことを 応 答 コードで 示 すこと ができます また 受 信 側 の MTA が 一 旦 メー ルを 受 け 取 った 後 で MDA (Mail Delivery Agent) 上 でメールスプールに 保 存 ができなかった 場 合 や 宛 先 が 実 際 には 存 在 しなかった 場 合 など 何 ら かの 問 題 があった 場 合 には このリバースパス 宛 にエラーメールを 送 信 することになります 図 表 2-4 エラーメールの 送 信 例 2.4.3 ヘッダ 領 域 に 記 述 される 送 信 者 情 報 ヘッダは メール 本 体 の 一 部 として 受 信 者 に 届 けられるため 受 信 者 が 見 ることのできる 情 報 です しかし ヘッダにはたくさんの 種 類 が あるために 受 信 者 が 利 用 する MUA (Mail User Agent, メールソフトウェア) の 多 くは 全 ての ヘッダを 表 示 しません 送 信 者 情 報 を 示 すヘッ ダの 仕 様 としては 図 表 2-5に 掲 げるものがあ りますが MUA が 送 信 者 情 報 として 表 示 する 情 報 は 通 常 は From ヘッダになっています ヘッダ 名 Sender From Reply-to 用 途 メール 送 信 を 実 際 に 行 った 送 信 者 を 示 す 情 報 メールの 作 成 者 を 示 す 情 報 返 事 を 送 信 する 場 合 の 宛 先 を 示 す 情 報 図 表 2-5 ヘッダ 上 の 送 信 元 アドレス Sender ヘッダが 最 も 良 く 使 われるケースと しては メーリングリストがあります メーリ ングリストでは リストへの 投 稿 者 が From ヘ ッダに 示 されます しかし リストメンバへの 送 信 は 実 際 にはメーリングリスト 機 能 を 実 現 するプログラムなどが 配 送 しています そのた め Sender ヘッダにはメーリングリストの 管 理 者 などのメールアドレスが 示 されることになり ます また 今 ではあまり 行 われないかもしれ ませんが 例 えば 実 際 のメール 内 容 の 作 成 者 に 10

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 代 わって 秘 書 がメール 送 信 するような 場 合 に 送 信 者 のメールアドレスを Sender ヘッダに 示 されることがあります From ヘッダの 使 われ 方 にも 注 意 すべき 点 が あります From ヘッダには メールアドレス 以 外 にも 補 助 情 報 としてディスプレイネーム (display-name) を 追 加 することができます デ ィスプレイネームには 任 意 の 文 字 列 を 使 用 で きますので From ヘッダ 上 に 示 されたメールア ドレスと 全 く 関 係 の 無 い 名 前 や 文 字 列 が 使 えま す MUA や Web ブラウザでメールの 送 受 信 を 行 ういわゆるウェブメールシステムの 多 くは 送 信 者 情 報 として このディスプレイネームを 優 先 して 表 示 しますので 送 信 者 情 報 として 表 示 される 文 字 列 は 実 際 の 送 信 者 情 報 とは 全 く 関 係 が 無 いかもしれないものとなっているのです 2.5 送 信 者 情 報 詐 称 の 問 題 2.5.1 送 信 者 情 報 詐 称 を 判 断 する 仕 組 み メールシステムにおける 送 信 者 情 報 には 2.4 でみたように 用 途 に 応 じた 複 数 の 種 類 があり ます しかし これまで いずれの 送 信 者 情 報 についても それが 正 しく 名 乗 られているかを 判 断 する 仕 組 みがありませんでした もともと の 電 子 メールシステムは インターネットが 現 在 のような 形 で 普 及 する 以 前 から 存 在 してきた システムであり メールの 利 用 者 が 限 られてい た 時 代 から 少 しずつ 拡 張 されて 使 われて 続 けて いるために 現 在 のように 送 信 者 情 報 が 詐 称 さ れることを 予 め 想 定 していなかったためです 図 表 2-6 なりすましメール 送 信 例 11

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 そのため これまで 受 信 側 では 経 験 的 な 運 用 方 法 として 例 えば 送 信 者 情 報 として 存 在 しないドメイン 名 が 指 定 された 場 合 や 日 本 の 有 名 ドメインを 名 乗 っているものの 海 外 など 明 らかに 異 なった 送 信 元 からのメールだった 場 合 に 受 信 を 拒 否 するなどの 工 夫 をしてきました しかし それらの 場 合 であっても ドメイン 名 を 管 理 する DNS(Domain Name System) が 単 に 不 調 であったり 海 外 からメール 転 送 をしてい たりする 場 合 など ごくまれに 送 信 者 情 報 を 故 意 に 偽 装 したものではない 正 しい 送 信 である 場 合 があります 2.5.2 送 信 者 情 報 詐 称 の 問 題 点 メールの 送 信 者 情 報 が 詐 称 されることによっ て 様 々な 問 題 が 出 てきています まず 受 信 側 で 迷 惑 メールを 受 信 しないた めに 送 信 者 情 報 をもとに 受 信 を 拒 絶 しようと しても 詐 称 されていることにより 的 確 に 受 信 の 拒 絶 ができないことがあります また 実 在 する 送 信 者 を 詐 称 し 実 物 とは 異 なる 偽 のウェブサイトに 誘 導 し 個 人 情 報 を 搾 取 するなどの 犯 罪 行 為 (フィッシング) や 信 頼 性 のある 送 信 者 を 騙 り メールに 添 付 された 不 正 プログラムを 実 行 させ 外 部 からコントロ ールされるボットにされたり PC 内 部 にある 個 人 情 報 や 操 作 過 程 で 得 られる 個 人 情 報 を 搾 取 す るなどの 行 為 が 行 われています さらに 迷 惑 メールは 宛 先 が 存 在 するかどう かにかかわらず 大 量 に 送 信 される 傾 向 にあるた め リバースパスを 詐 称 し 実 在 するメールア ドレスを 指 定 している 場 合 に 宛 先 が 不 明 であ ることによるエラーメールが 詐 称 されたメー ルアドレスに 宛 てて 大 量 に 送 信 される バック スキャッタ (backscatter) が 大 きな 問 題 とな ってきています その 場 合 には そのエラーメ ールが 迷 惑 メールと 判 断 され 迷 惑 メール 判 定 機 能 を 提 供 しているベンダやブラックリストを 運 営 している 組 織 に 報 告 され 正 しい 処 理 とし てエラーメールを 送 信 している 側 ( 最 初 のメー ルの 受 信 側 )が 迷 惑 メール 送 信 者 として 登 録 され 同 じ 出 口 から 送 信 される 通 常 メールまで もが 迷 惑 メール 扱 いされて 届 かなくなる と いう 2 次 的 な 問 題 も 発 生 しています 図 表 2-7 バックスキャッタ 問 題 12

第 2 章 メールの 仕 組 みと 課 題 2.5.3 送 信 ドメイン 認 証 技 術 このように 送 信 者 情 報 が 簡 単 に 詐 称 できて しまい それを 受 信 側 で 簡 単 に 判 断 することが できない 現 在 のメールの 仕 組 みにより 大 きな 問 題 が 生 じています これに 対 応 するために 送 信 ドメイン 認 証 技 術 が 開 発 されており その 普 及 により 送 信 者 情 報 詐 称 の 問 題 点 を 防 ぐこ とが 可 能 になります 13

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.2 Sender Policy Framework (SPF) 3.2.1 概 要 カテゴリの RFC(RFC4408) として 標 準 化 されています SPF では リバースパスを 元 に 認 証 を 行 います Sender Policy Framework (SPF)は 元 Pobox 社 の Meng Wong 氏 により 提 唱 され たネットワーク 方 式 の 送 信 ドメイン 認 証 技 術 です SPF は IETF の MARID WG 等 にお いて 数 々の 議 論 と 検 討 を 経 て 現 在 実 験 的 3.2.2 SPF の 仕 組 み す SPF の 動 作 の 概 要 を 図 表 2 4に 示 しま 図 表 3-1 SPF による 認 証 の 仕 組 み 送 信 側 では あらかじめ 自 ドメインの DNS サーバ 上 に 自 ドメインの 送 信 者 がメー ルを 外 部 に 向 けて 送 出 する 可 能 性 のあるメー ルサーバの IP アドレスの 一 覧 を 公 開 します ( 図 表 3-1の1) これを SPF レコード と 呼 びます 受 信 側 では メールの 受 信 時 に 送 信 者 と して 指 定 されたリバースパスのドメイン 部 分 に 示 されるドメインの DNS サーバより SPF レコードを 取 得 します( 図 表 3-1の 2) そして その SPF レコードに 指 定 され ている IP アドレスと SMTP で 接 続 した 先 のメールサーバ( 認 証 対 象 のメールサーバ) の IP アドレスが 一 致 するか 確 認 すること で 認 証 を 実 施 します( 図 表 3-1の3) 3.2.3 送 信 側 の 設 定 メールの 送 信 側 では DNS 上 で SPF レコ ードを 公 開 するだけで SPF の 運 用 を 開 始 で きます RFC4408 では SPF レコードは DNS の TXT レコードか SPF RR レコード ( 以 下 SPF 資 源 レコード といいます ) として 公 開 することが 定 められています た 17

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 だし 現 時 点 では SPF という 新 しい RR レ コード( 以 下 資 源 レコード といいます ) を 取 り 扱 えないリゾルバや DNS サーバの 実 装 が 存 在 するため SPF 資 源 レコードと TXT レコードの 両 方 を 利 用 して 公 開 します なお SPF レコードは SPF 資 源 レコード と TXT レコードとの 両 方 を 同 時 に 公 開 可 能 ですが SPF 資 源 レコードが 存 在 する 場 合 に は 受 信 側 で SPF 資 源 レコードのみを 参 照 すべきとされています SPF レコードには 当 該 ドメインに 属 する メールアドレスを 送 信 者 として そのドメイ ン 外 にメールを 送 信 する 可 能 性 のあるメール サーバ(MTA)の 外 向 けの IP アドレスの リストを 記 述 します SPF では IPv6 を 含 む IP アドレスを 直 接 記 述 するほか 簡 略 に 公 開 可 能 にする 記 述 法 が 提 供 されています SPF レコードの 簡 単 な 例 を 図 表 3-2に 示 します 例 1) a. example.com. 例 2) b. example.com. 例 3) b. example.com. IN TXT "v=spf1 -all" IN TXT "v=spf1 +ip4:192.0.2.1 -all" IN SPF "v=spf1 +ip4:192.0.2.1 -all" 図 表 3-2 SPF レコード 記 述 例 1つめの 例 は a. example.com をドメイン 名 として 持 つアドレス ( 例 えば user@a. example.com )からは 一 切 メールを 送 信 し ないことを 意 味 するものです 2つめの 例 は b. example.com をドメイン 名 として 持 つメールアドレス( 例 えば user@b.example.com ) か ら の メ ー ル は 192.0.2.1 の IP アドレスを 持 つホストからの み 送 信 されるという 意 味 を 持 ちます 3つめの 例 は SPF 資 源 レコードとして 公 開 した 場 合 です 記 述 方 法 の 詳 細 は 3.2.4 で 解 説 します 3.2.4 SPF レコードの 記 述 法 SPF レコードは 最 初 にバージョンを 記 述 し 空 白 ( 半 角 スペース)を 入 れて 定 義 を 記 述 します 定 義 は 空 白 ( 半 角 スペース) で 区 切 り 複 数 記 述 できます バージョン 空 白 定 義 空 白 定 義 ( 以 下 繰 り 返 し) 図 表 3-3 定 義 3.2.4.1 バージョン バージョン(Version)は その SPF レコ ードが SPF のどのバージョンの 文 法 にした がって 記 述 されているかを 示 します RFC4408 で 定 義 されている SPF レコー 18

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 ドの 文 法 はバージョン1のみであり v=spf1 と 記 述 することとされています それ 以 外 の 記 述 ( 例 えば v=spf1.0 等 )をすると そ の SPF レコードは 不 正 なものとして 受 信 側 で 無 視 されることになります 重 要 な 点 は RFC で 定 められた 文 法 に 従 わ ない 誤 った SPF レコードを 記 述 すると 受 信 側 ではその SPF レコードを 無 効 として 扱 うということです( 具 体 的 には 3.5.3.2 で 解 説 する permerror として 扱 われることに なります ) したがって 記 述 は 慎 重 に 行 い 公 開 に 際 して SPF レコードの 記 述 について 試 験 を 行 えるサイトなどを 利 用 して 試 験 を 行 うことなどにより 記 述 ミスがないことを 確 認 するべきです 3.2.4.2 定 義 ディレクティブは 限 定 子 (qualifier)と 機 構 (mechanism)で 構 成 します 図 表 3-2の 例 2 では "-all" と "+ip4: 192.0.2.1" がディレクティブです "-all" の うち "-" が 限 定 子 で "all"が 機 構 です また "+ip4:192.0.2.1" のうち "+" が 限 定 子 で "ip4:192.0.2.1" が 機 構 です 修 飾 子 の 例 としては "redirect=a.com" 等 があります 受 信 側 での 認 証 の 処 理 では 定 義 は 左 から 右 へと 評 価 します 認 証 対 象 のメールサーバ の IP アドレスに 対 して 最 初 にマッチした 定 義 の 限 定 子 によって 認 証 結 果 が 決 定 されます い ずれの 定 義 にもマッチしない 場 合 は neutral と 評 価 されます( neutral について は 3.5.3.2 で 解 説 します ) 定 義 (terms)は ディレクティブ(directive) と 修 飾 子 (modifier)で 構 成 します 定 義 = ディレクティブ(directive)( 限 定 子 (qualifier)+ 機 構 (mechanism))+ 修 飾 子 (modifier) 図 表 3-4 定 義 (a) 限 定 子 限 定 子 (qualifier)には 認 証 対 象 のメー ルサーバの IP アドレスが それに 続 く 機 構 にマッチした 場 合 の 認 証 結 果 を 指 定 します ( 図 表 3-4を 参 照 ) 限 定 子 には + - ~? があ り + 限 定 子 は 省 略 可 能 です それぞれ についての 認 証 結 果 とその 意 味 を 図 表 3-5に 示 します 表 記 認 証 結 果 意 味 + pass 当 該 ドメインの 送 信 メールサーバとして 認 証 する - fail 当 該 ドメインの 送 信 メールサーバとして 認 証 しない ~ softfail 当 該 ドメインの 送 信 メールサーバとして 認 証 しないが 正 当 なメールであっても 認 証 失 敗 する 可 能 性 もある? neutral 認 証 されたかどうかを 判 断 されたくない 図 表 3-5 限 定 子 19

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 (b) 機 構 機 構 (mechanism)には 認 証 対 象 のメ ールサーバの IP アドレスと 照 合 する 条 件 を 記 述 します 機 構 には all include a mx などがあります 機 構 の 種 類 と それぞれの 引 数 及 び 機 能 を 図 表 3-6に 示 します 機 構 引 数 機 能 すべての IP アドレスにマッチする all なし SPF レコードの 末 尾 におかれ デフォルトの 動 作 を 定 義 するた めに 利 用 される include ドメイン 名 引 数 に 与 えられたドメインの SPF レコードを 使 って 認 証 処 理 を 実 施 する その 結 果 が pass temperror 又 は permerror の 場 合 にのみ 値 が 採 用 される すなわち include に 指 定 された 先 のドメインの SPF レコードによって fail の 判 定 が 与 えられても それが 認 証 結 果 と しては 採 用 されない a ドメイン 名 認 証 対 象 のメールサーバの IP アドレスが ドメイン 名 に 与 えら れた FQDN の A レコードのいずれかであれば マッチする mx ドメイン 名 認 証 対 象 のメールサーバの IP アドレスが ドメイン 名 に 対 応 す る MX レコードに 指 定 されているホストの A レコードのいずれ かであれば マッチする MX は 複 数 与 えられる 場 合 があるが 10 個 までの MX ホストに 対 して 検 査 する ptr ドメイン 名 認 証 対 象 のメールサーバの IP アドレスをリバースルックアップ し 得 られたホスト 名 でさらに 正 引 きを 実 施 して IP アドレスを 得 て その IP アドレス( 複 数 の IP アドレスが 得 られる 場 合 がある) が 送 信 元 ホストの IP アドレスを 含 む 場 合 でかつ リバースルック アップによって 得 られたホスト 名 が ptr の 引 数 に 与 えられたドメ イン 名 と 一 致 するかそのサブドメインである 場 合 に マッチする リバースルックアップに 失 敗 した 場 合 は fail とみなす 負 荷 の 多 い 処 理 となるため あまり 利 用 は 推 奨 されない ip4 IP ネットワークアド レス(CIDR 表 記 可 能 ) 又 は IP アドレス そのドメインのメールを 送 信 する 可 能 性 のあるメールサーバの IP ネットワークアドレス 又 は IP アドレスを 引 数 に 指 定 する 認 証 対 象 のメールサーバの IP アドレスが 指 定 された IP ネッ トワークに 含 まれているか IP アドレスに 合 致 する 場 合 に マッ チする ip6 exists IPv6 ネットワークア ドレス 又 は IPv6 アド レス ドメイン 名 そのドメインのメールを 送 信 する 可 能 性 のあるメールサーバの IPv6 ネットワークアドレス 又 は IPv6 アドレスを 引 数 に 指 定 す る 認 証 対 象 のメールサーバの IP アドレスが IPv6 ネットワーク に 含 まれているか IPv6 アドレスに 合 致 する 場 合 に マッチする 引 数 であるドメイン 名 に 指 定 された 表 記 で A レコードのルック アップを 実 施 し 該 当 の A レコードが 存 在 すればマッチする SPF のマクロ 機 能 とあわせての 利 用 を 想 定 する 図 表 3-6 機 構 (c) 修 飾 子 修 飾 子 (modifier)は 認 証 についての 付 加 的 な 情 報 を 与 えるものです 機 構 とは 異 な り 直 接 認 証 結 果 を 与 えませんが redirect のように 認 証 結 果 に 影 響 を 与 えるものもあ ります 修 飾 子 について 図 表 3-7に 示 します 20

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.3 Sender ID 3.3.1 概 要 Sender ID はネットワーク 方 式 の 送 信 ドメ イン 認 証 技 術 です Microsoft 社 が 提 唱 した Caller ID for E-mail と SPF を 統 合 する 形 で 策 定 されました Sender ID の 仕 様 は SPF の RFC(RFC4408)と 同 じく 実 験 的 カテゴ リの RFC(RFC4406 と RFC4407)として 標 準 化 されています Sender ID は SPF の 影 響 を 強 く 受 けてお り 送 信 側 では SPF (RFC4408)で 定 義 さ れている SPF レコードを 利 用 して 認 証 情 報 を 公 開 できます さらに Sender ID 独 自 で 拡 張 した 宣 言 書 式 もあります SPF と Sender ID の 大 きな 違 いは SPF がリバースパスを 対 象 に 認 証 するのに 対 して Sender ID では ヘッダ 上 の 送 信 者 アドレス を 対 象 に 認 証 することもできます 実 際 に 受 信 者 が 見 るヘッダ 上 のアドレスを 検 査 するこ とで フィッシィング 対 策 としての 効 果 を 強 める 狙 いがあります ま た 複 数 の 送 信 ヘ ッ ダ ( Purported Responsible Address 以 下 PRA といいま す )を 利 用 することで 転 送 時 の 問 題 を 回 避 できます RFC4407 は この PRA の 扱 いを 定 義 した RFC です ヘッダに 対 して 認 証 処 理 をするため SMTP での 通 信 上 では メー ル 本 文 の 内 容 をある 程 度 読 み 込 んだ 上 でない と 認 証 が 行 えません したがって MAIL コマ ンドを 受 信 した 段 階 で 認 証 結 果 が 得 られる SPF に 比 べて 受 信 側 では 運 用 時 に やや システム 負 荷 が 高 くなる 場 合 があります 3.3.2 Puported Resposible Adress(PRA) 前 述 のように Sender ID では ヘッダ 上 の 送 信 者 アドレスから 送 信 元 のドメインを 判 断 します このとき 送 信 者 を 表 す 複 数 のヘッ ダを 利 用 することで 転 送 時 の 問 題 を 回 避 す るように 考 えられています 一 般 に メール の 送 信 者 を 表 すヘッダは From ですが PRA では それだけでなく Resent-Sender Resent-From Sender From の 各 ヘッ ダについても この 順 に 優 先 度 が 高 い 者 とし て 参 照 します 図 表 3-8にそれぞれのヘッ ダの 概 要 を 示 します ヘッダ 概 要 メールを 転 送 したり メーリングリストで 再 送 する 際 に 転 送 等 をしようとした 者 の Resent-Sender: 代 理 でその 転 送 等 を 実 際 に 行 った 者 (Resent-From と Resent-Sender が 同 じアドレ スになる 場 合 は Resent-Sender は 付 与 しない) Resent-From: メールを 転 送 したり メーリングリストで 再 送 する 際 に その 転 送 等 を 行 った 者 Sender: メールの 送 信 処 理 者 (メールの 送 信 者 の 代 わりにメールの 送 信 処 理 を 実 際 に 行 った 者 ) From: メールの 送 信 者 (メールを 実 際 に 作 成 した 者 ) 図 表 3-8 PRA(Purported Responsible Address) 22

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 なお メールを 転 送 するときや メーリン グリストで 再 送 するときには 図 表 3-9で 示 すように その 転 送 等 を 実 施 するメールボ ックスにひもづくアドレスを Resent-From ヘッダで 指 定 します 図 表 3-9 転 送 時 のPRA 追 加 認 証 時 には まず Resent-Sender ヘッダ が 存 在 する 場 合 には それを 利 用 して 認 証 を 行 います Resent-Sender ヘッダが 存 在 しな い 場 合 には 次 に Resent-From ヘッダを 探 し 存 在 すれば それを 利 用 して 認 証 します Resent-From ヘッダもない 場 合 は 次 に Sender ヘッダ さらにそれもなければ From ヘッダという 順 番 で 対 象 を 変 えます From ヘッダが 複 数 存 在 する 場 合 は 認 証 処 理 に 失 敗 します ヘッダなどのヘッダを 追 加 されていれば 受 信 側 で 認 証 を 行 うことができます RFC5322 では 再 送 時 には 再 送 フィールドを 入 れるべ きと 記 載 されており また 再 送 ヘッダを 入 れる 場 合 は Resent-From を 利 用 するとして い る の で メ ー ル を 再 送 す る 場 合 Resent-From ヘッダを 付 与 するべきです な お 直 接 は 関 係 ありませんが Resent-From ヘッダを 付 与 した 場 合 は Resent-Date と 再 送 信 時 間 を 付 与 しなければなりません このようにすることで たとえ メールの 配 送 時 に 転 送 等 が 行 われて From ヘッダで の 認 証 ができなくても 転 送 時 に Sender ヘ ッダや Resent-From ヘッダ Resent-Sender 3.3.3 SPF レコードのバージョン Sender ID では SPF で 定 義 されている SPF レコードを spf1 (バージョン 1)とし 23

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 て 扱 い Sender ID の SPF レコードを spf2.0 (バージョン 2.0)として 扱 います spf2.0 の SPF レコードでは From ヘッ ダのアドレスを 含 む PRA を 認 証 対 象 とする か リバースパスを 認 証 対 象 とするか また その 両 方 を 対 象 とするかを SPF レコード 上 で 指 定 できます 具 体 的 には レコードの 先 頭 のバージョンの 表 記 である spf2.0 に つづけて 認 証 対 象 のスコープを 記 述 します PRA を 対 象 と し て 認 証 す る 場 合 は spf2.0/pra と リバースパスを 指 定 する 場 合 は spf2.0/mfrom と 両 方 を 対 象 とする 場 合 は spf2.0/mfrom,pra と 記 述 します spf1 のレコードしか 公 開 していないサイ トからのメールについても Sender ID では 認 証 対 象 としており その 場 合 リバースパ スと PRA を 対 象 として 認 証 します ( spf2.0/mfrom,pra と 宣 言 されているとみ なすことになります) また 1 つのドメインで spf1 と spf2.0 の 2つの SPF レコードを 同 時 公 開 できます 図 表 3-10 は spf2.0 と spf1 の SPF レ コードの 例 です バージョンの 記 述 方 法 が 微 妙 に 異 なるので 公 開 するときは 間 違 えない ように 気 をつけることが 必 要 です (spf2.0) example.org. IN TXT "spf2.0/pra include:example.org -all" (spf1) example.org. IN TXT "v=spf1 include:example.org -all" 図 表 3-10 spf2.0 と spf1 の SPF レコードの 例 24

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.4 Domainkeys Identified Mail (DKIM) 3.4.1 概 要 Domainkeys Identified Mail (DKIM) は 電 子 署 名 方 式 の 送 信 ドメイン 認 証 技 術 です IETF において Sendmail 社 の Eric Allman 氏 等 を 中 心 として 検 討 が 進 められ RFC4871 及 び RFC5672 として 標 準 化 されました さら に DKIM の 標 準 を 補 う も の と し て DKIM-ADSP という 標 準 があり RFC5617 で 標 準 化 されています 図 表 3 11 に 示 すように DKIM では 送 信 側 でメールから 電 子 署 名 を 作 成 して 付 与 し 受 信 側 でその 電 子 署 名 を 検 証 するという 方 法 で 送 信 者 のドメインの 認 証 を 行 います メー ル 本 体 (ヘッダ 及 びメール 本 文 の 内 容 )をも とに 電 子 署 名 を 作 成 するので 中 継 メールサ ーバ(MTA)などで 何 らかの 理 由 で 電 子 署 名 又 は 電 子 署 名 の 元 になったメール 本 体 のデー タが 変 更 されなければ たとえメールが 転 送 されても 転 送 先 で 認 証 が 可 能 です 図 表 3 11 では 次 のような 手 順 で DKIM 送 信 ドメイン 認 証 を 実 施 しています 1 example.jp ではあらかじめ DNS に 電 子 署 名 に 使 う 公 開 鍵 を 公 開 しておく 2 example.jp のメールサーバでは 送 出 メ ールの 本 文 とヘッダを 元 に 電 子 署 名 を 付 与 する 3 メールを example.com の サ ー バ に SMTP で 送 信 する 4 example.com の メ ー ル サ ー バ は DKIM-Signature の d パラメータに 指 定 さ れたドメイン 部 である example.jp の DNS へ 公 開 鍵 を 問 い 合 わせる 5 example.jp から 取 得 した 公 開 鍵 により 電 子 署 名 を 照 合 して OK であれば 認 証 成 功 25

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 送 信 側 は 次 の 手 順 で 電 子 署 名 を 作 成 し DKIM-Signature ヘッダをメールに 追 加 しま す 1. 電 子 署 名 を 作 成 する 対 象 となるメールか 確 認 する 2. 電 子 署 名 を 作 成 する 対 象 となるヘッダを 決 定 し h タグに 列 挙 する 3. メール 本 文 の 内 容 から l タグに 指 定 した 長 さを 取 り 出 し 正 規 化 処 理 を 実 施 する 4. ヘッダ 正 規 化 したメール 本 文 の 内 容 こ れから 追 加 する DKIM-Signature ヘッダ の 電 子 署 名 のデータを 除 いた 部 分 をつな げたデータに 対 して ハッシュを 作 成 する 5. ハッシュに 対 して 電 子 署 名 を 作 成 し DKIM-Signature ヘッダとして 付 与 したの ち DKIM-Signature 自 体 をヘッダに 追 加 する 3.4.4 受 信 側 での 処 理 受 信 側 で は メ ー ル に 付 与 さ れ た DKIM-Signature ヘッダを 取 り 出 し 次 の 手 順 で 電 子 署 名 の 検 証 を 行 います 1. DKIM-Signature ヘッダの d タグ s タ グの 値 から 公 開 鍵 を 取 得 する FQDN を 作 成 する 2. 公 開 鍵 を 取 得 する このとき i タグに 設 定 してあるメールアドレスのローカルパ ートが DKIM レコードの g タグの 条 件 パターンにあわない 場 合 は 電 子 署 名 の 照 合 を 行 わない 3. h タグに 記 述 してあるヘッダと メール 本 文 の 内 容 ( l タグで 有 効 な 本 文 の 長 さが 指 定 してある 場 合 は 先 頭 からその 長 さだけ を 切 り 出 したもの) 及 び 電 子 署 名 データ 以 外 の DKIM-Signature ヘッダの 値 を 併 せ てハッシュを 作 成 する 4. 公 開 鍵 を 利 用 して DKIM-Signature ヘッ ダの 電 子 署 名 データからハッシュを 取 り 出 す( 復 号 する) 5. 電 子 署 名 から 取 り 出 した( 復 号 した)ハッ シュと 受 信 したメールから 作 成 したハッ シュを 比 較 して 同 じであれば 認 証 成 功 3.4.5 認 証 結 果 の 扱 い DKIM では 認 証 する 対 象 の 送 信 ドメイン は メールの From ヘッダから 取 り 出 すので はなく DKIM-Signature ヘッダに 指 定 されて いるドメインや 送 信 アドレスを 対 象 に 認 証 し ます このため ヘッダ 上 の 送 信 者 である From 行 の 値 と 認 証 に 利 用 したドメイン 名 が 異 なる 場 合 が 存 在 します DKIM の RFC においては 認 証 結 果 に 対 するメールの 扱 い についてははっきりと 定 義 されておらず DKIM-ADSP の RFC において 説 明 されてい ます DKIM-ADSP については 3.4.6 で 認 証 結 果 の 詳 細 については 3.5 で 解 説 します 3.4.6 DomainKeys Identified Mail (DKIM) Author Domain Signing Practices (ADSP) 3.4.6.1 概 要 Author Domain Signing Practices(ADSP) とは DKIM の 認 証 結 果 をどのように 扱 うべ きかを 示 すポリシーを 送 信 側 で 公 開 するもの です 29

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.4.5 で 解 説 したように DKIM では メー ルの DKIM-Signature ヘッダから 認 証 対 象 の ドメインを 取 り 出 しますので From ヘッダ に 指 定 されている 送 信 者 アドレスのドメイン と 電 子 署 名 を 作 成 したドメインが 異 なる 場 合 があります まず DKIM-ADSP では これを 図 表 3-16 のように 整 理 しています 分 類 原 文 意 味 認 証 成 功 した 電 子 署 名 Valid Signature DKIM の 電 子 署 名 の 認 証 処 理 に 成 功 した 電 子 署 名 (DKIM-Signature ヘッダ) メール 作 成 者 アドレス Author Address メールの From ヘッダに 指 定 されている 送 信 者 アドレス メール 作 成 者 ドメイン Author Domain メール 作 成 者 アドレスのドメイン 部 分 メール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 Author Domain Signature 照 合 が 成 功 した 電 子 署 名 で かつ DKIM-Signature ヘッダの d タグに 指 定 した ドメインとメール 作 成 者 ドメインが 同 一 であ る 電 子 署 名 図 表 3-16 DKIM-ADSP で 追 加 された 署 名 およびメール 作 成 者 の 整 理 DKIM-ADSP では メール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 として 認 証 できれば そのメールの 送 信 ドメインは 認 証 された(pass)と 判 定 し ます 認 証 に 成 功 した 電 子 署 名 がないメール 検 証 した 電 子 署 名 のドメインがメール 作 成 者 ドメインと 異 なる 場 合 などにおいて ADSP レコードを 参 照 する 必 要 があります 3.4.6.2 ADSP レコードの 公 開 ADSP も DNS 上 に TXT レコードで 公 開 します 公 開 に 利 用 する FQDN は _adsp._domainkey.<ドメイン 名 > となります <ドメイン 名 > は From ヘッダのアドレス のドメイン 名 部 分 となります 電 子 署 名 の 検 証 に 使 う 公 開 鍵 を DKIM-Signature ヘッダの d タグや i タグをもとに 読 み 出 すのに 対 して ADSP は ヘッダ 上 の 送 信 ドメインから 取 り 出 す 点 が 相 違 していますので 注 意 が 必 要 で す ADSP は dkim= 値 で 記 述 します 値 に は 図 表 3-17 に 示 すものがあります 値 all unknown discardable 概 要 このドメインから 送 信 されるメールは すべてメール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 が 与 え られる このドメインから 送 信 されるメールのいくつか 又 はすべてに メール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 が 得 られる このドメインから 送 信 されるメールは すべてメール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 が 与 え られる そして もしメール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 が 得 られない 場 合 は 受 信 者 は そのメールを 破 棄 することが 望 まれる 図 表 3-17 DKIM-ADSP の 値 30

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.4.6.3 DKIM-ADSP 利 用 上 の 注 意 点 メール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 以 外 のケー スの 場 合 特 にメーリングリストに 投 稿 した メールの 場 合 の 扱 いなどについては 現 在 も 検 討 中 となっており 特 に 送 信 側 で ADSP レ コードを 公 開 する 場 合 には 注 意 が 必 要 です また 受 信 側 では 認 証 に 成 功 した 場 合 (メ ール 作 成 者 ドメイン 電 子 署 名 で 認 証 に 成 功 し た 場 合 )のみの 結 果 を 利 用 し それ 以 外 の 場 合 は その 結 果 だけでなりすましメールであ ると 判 断 しないようにすることが 必 要 です 31

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 3.5 認 証 結 果 のヘッダへの 表 示 3.5.1 Authentication-Results 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 認 証 の 結 果 を 該 当 のメールのヘッダに 記 録 する 場 合 の 方 法 は RFC5451 で 標 準 化 さ れ て い ま す RFC5451 では 認 証 結 果 を 記 録 するヘッダと して Authentication-Results ヘッダを 利 用 す るよう 定 義 されています Authentication-Results ヘッダを 利 用 して 記 録 した 例 を 図 表 3-18 に 示 します Authentication-Results: smtp.example.co.jp; dkim=pass (1024-bit key) header.i=user@example.com; spf=pass (example.co.jp: domain of user@example.com designates 192.0.2.1 as permitted sender) smtp.mail=user@example.com 図 表 3-18 Authentication-Results ヘッダを 利 用 して 記 録 した 例 3.5.2 ヘッダの 詐 称 3.5.3 認 証 方 法 ごとの 結 果 表 示 Authentication-Results ヘッダには 認 証 を 3.5.3.1 概 要 実 施 したメールサーバの ID も 同 時 に 記 録 し ます また このヘッダの 詐 称 を 防 ぐために ま ったく 関 係 のない 外 部 のドメインから 内 部 の ID が 認 証 を 実 施 したメールサーバとして ヘッダに 記 録 されたメールを 受 信 した 場 合 に は そのヘッダを 削 除 することが 必 要 です 1つの Authentication-Results ヘッダで 複 数 の 種 類 の 認 証 方 式 による 認 証 の 結 果 を 表 示 できます 図 表 3-18 の 例 では dkim と spf の 結 果 が 表 示 されています Authentication-results ヘッダの 表 示 の 方 法 を 図 表 3-19 に 示 します 1つの 認 証 方 法 による 認 証 の 結 果 は 1つの 認 証 結 果 情 報 に 表 示 します 認 証 結 果 情 報 は 認 証 結 果 理 由 及 び プロパティ 情 報 で 指 定 します Authentication-Results: 認 証 実 施 ホスト ID;バージョン; 認 証 結 果 情 報 ; 認 証 結 果 情 報 ; バージョンは 省 略 可 能 認 証 結 果 情 報 は 認 証 結 果 理 由 プロパティ 情 報 が 指 定 されます - 理 由 は 省 略 可 能 - プロパティ 情 報 は 指 定 されないか 1つ 以 上 指 定 される 場 合 があります 図 表 3-19 Authentication-results ヘッダの 表 示 の 方 法 32

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 認 証 結 果 は 認 証 処 理 の 結 果 を 表 示 す るもので 認 証 方 式 ラベル= 認 証 結 果 の 値 で 表 示 されます 認 証 方 式 ラベル として 指 定 される 認 証 方 法 の 概 要 を 図 表 3-20 に 示 し ます 認 証 方 法 iprev auth dkim dkim-adsp domainkeys sender-id spf 説 明 RFC5451 にて 定 義 されている 接 続 ホストの IP アドレスの 逆 引 きに 基 づく 認 証 方 法 SMTP 認 証 (SMTP AUTH) DKIM 送 信 ドメイン 認 証 DKIM-ADSP 送 信 ドメイン 認 証 DomainKeys 送 信 ドメイン 認 証 Sender ID 送 信 ドメイン 認 証 SPF 送 信 ドメイン 認 証 図 表 3-20 認 証 結 果 一 覧 プロパティ 情 報 では 認 証 対 象 が 何 で あったかを 表 示 することが 可 能 です 表 示 す る 場 合 には 認 証 対 象 が 何 であったかを 示 す 認 証 対 象 タグと その 実 際 の 値 を 組 として 認 証 対 象 タグ= 認 証 対 象 の 値 の 形 で 表 します 複 数 の 認 証 方 式 の 結 果 を 表 示 する 場 合 は ; (コロン)で 区 切 って 並 べます 認 証 方 式 ラ ベルと 認 証 対 象 タグとして 指 定 されるものを 図 表 3-21 に 示 します 認 証 方 式 認 証 対 象 タグ 意 味 dkim header.i DKIM 認 証 において i= タグに 指 定 された 送 信 者 を 元 に 認 証 を 行 った header.d DKIM 認 証 において d= タグに 指 定 された 送 信 者 を 元 に 認 証 を 行 った dkim-adsp header.from DKIM-ADSP 認 証 処 理 において From ヘッダを 元 に 認 証 を 行 った sender-id header.ヘッダ 名 Sender ID の 認 証 において 表 示 されたヘッダ 名 のヘッダに 対 して 認 証 行 った spf smtp.mailfrom SPF 認 証 においてエンベロープの 送 信 者 に 対 して 認 証 した smtp.helo SPF 認 証 において HELO コマンドの 引 数 のホスト 名 を 元 に 認 証 した 図 表 3-21 プロパティ 情 報 一 覧 3.5.3.2 SPF 及 び Sender ID での 結 果 表 示 3-22 で 示 すように none neutral pass policy hardfail softfail temperror Authentication-Results ヘッダでは SPF permerror があります 及 び Sender ID での 認 証 結 果 の 値 には 図 表 値 意 味 none SPF レコードが 宣 言 されていない neutral 送 信 元 のドメインでは 該 当 のホストが 認 証 できたかできないかを 明 らかにしない pass 認 証 に 成 功 した policy 認 証 は 成 功 したがローカルなポリシーによってその 認 証 結 果 は 受 け 入 れられない hardfail 認 証 が 失 敗 した softfail 認 証 は 失 敗 であるが はっきりと 認 証 失 敗 としては 扱 ってほしくない temperror 一 時 的 な 問 題 で 認 証 処 理 を 実 行 できなかった permerror SPF レコードの 文 法 的 な 誤 りなど 永 続 的 なエラーで 認 証 処 理 を 実 行 できなかった 図 表 3-22 SPF での 認 証 結 果 の 値 33

第 3 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 none は SPF レコードが 公 開 されてい ないため 認 証 できなかった 場 合 です この 場 合 送 信 ドメイン 認 証 では 送 信 元 につい ての 評 価 が 下 せないため 従 来 どおりスパム フィルタを 通 すなどしてメールの 扱 いを 決 定 します 結 果 が none だった 場 合 には メー ルを 即 座 に 受 信 拒 否 すべきではありません neutral は 送 信 ドメインの SPF レコー ドが 例 えば v=spf1?all のように 定 義 され ている 場 合 や v=spf1 +ip4:xxx.xxx.xxx.xxx?all のようにレコードの 末 尾 が?all と 定 義 され ていて 先 立 つほかの 条 件 にマッチせず?all にマッチした 場 合 です RFC には neutral は none と 同 じように 扱 うべきであるとされ ています また softfail よりは 正 当 性 が 高 い ものとして 扱 う 可 能 性 があるとも 説 明 されて います 結 果 が neutral だった 場 合 には メ ールを 即 座 に 受 信 拒 否 すべきではありません pass は 送 信 元 の IP アドレスが SPF レコードにマッチし 認 証 に 成 功 した 場 合 で す 送 信 ドメインは 正 当 であるので あとは その 送 信 ドメインの 評 価 に 従 ってメールを 処 理 します hardfail は SPF レコードが 公 開 されて いるが 送 信 元 の IP アドレスが - クオリ ファイヤの 条 件 にマッチする 場 合 です?all や ~all が 末 尾 に 設 定 されている SPF レコ ードを 持 つ 送 信 ドメインのメールに 対 しては この 結 果 は 発 生 しません なお RFC では all の 記 述 が 省 略 された SPF レコードに 対 して どの 条 件 にもマッチしない 場 合 は neutral になるとされています softfail は SPF レコードが 公 開 されてお り 送 信 元 の IP アドレスが ~ クオリファ イヤの 条 件 にマッチする 場 合 です RFC で は fail と neutral の 中 間 くらいの 扱 いを す べ き で あ る と さ れ て い ま す 結 果 が softfail である 場 合 には メールを 即 座 に 受 信 拒 否 すべきではありません temperror は 一 時 的 な 障 害 で 認 証 処 理 が 失 敗 した 場 合 です 対 応 としてはメールを 一 時 エラー(4XX)で 受 信 拒 否 するか そのま ま 受 信 することになります 受 信 した 場 合 は 少 し 厳 しく 扱 うべきです permerror は SPF レコードは 公 開 され ているが SPF レコードの 記 述 に 誤 りがある 場 合 などです この 結 果 であっても 永 続 的 な 受 信 拒 否 をすべきではありません 3.5.3.3 DKIM での 結 果 表 示 DKIM 認 証 の 結 果 と 後 述 の DKIM-ADSP 認 証 の 結 果 は それぞれ 別 のものとして 扱 わ れます DKIM での 認 証 結 果 の 値 には 図 表 3-23 で 示 すように none neutral pass policy fail temperror permerror が あります 34

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 例 えば メール 送 信 側 として 送 信 ドメイ ン 認 証 技 術 を 導 入 したにもかかわらず それ が 正 しく 運 用 されなければ 送 信 者 情 報 を 偽 装 していないにもかかわらず 認 証 が 失 敗 する ようなメールが 流 通 してしまう 可 能 性 があり ます そのようなメールが 多 くなれば その ドメイン 名 自 体 の 信 用 も 失 われてしまう 可 能 性 があります また メールの 受 信 側 では 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 利 用 することにより 得 られた 認 証 結 果 をどのように 利 用 すべきなのかを 考 える 必 要 があります そのためには 実 際 のメー ルの 配 送 形 態 でどのような 認 証 結 果 が 得 られ る 可 能 性 があるのかを 正 しく 理 解 し これら メール 配 送 の 事 情 に 合 わせた 検 討 が 予 め 必 要 になります 以 下 では 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 に あたり 事 前 に 検 討 すべき 内 容 について 具 体 的 に 解 説 するとともに それらが 送 信 ドメイ ン 認 証 技 術 において どのような 意 味 がある のかについて 補 足 して 説 明 します 4.1.1 導 入 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 決 定 前 述 のとおり 送 信 ドメイン 認 証 技 術 では メールの 送 信 側 と 受 信 側 の 双 方 が 導 入 するこ とによって はじめて 認 証 が 可 能 になるため 送 送 側 と 受 信 側 の 双 方 での 導 入 が 同 程 度 進 む ことが 望 ましいものです 導 入 のための 費 用 は 導 入 する 技 術 によって 差 があり 技 術 によっては 送 信 側 ではほとん ど 費 用 がかかりませんが いずれの 技 術 でも 受 信 側 での 導 入 には 受 信 時 に 認 証 するという 新 たな 機 能 の 追 加 が 必 要 になるので 新 たに 費 用 か 発 生 することになります そのため まず 送 信 側 の 導 入 を 増 やすことによって 受 信 側 での 認 証 可 能 なメールの 割 合 を 高 め 導 入 効 果 が 得 られやすい 環 境 を 作 ることが 普 及 を 進 めていくために 必 要 となります 図 表 4-2 普 及 のサイクル 送 信 ドメイン 認 証 技 術 のうち 送 信 側 の 導 ればメールの 送 信 ごとの 処 理 が 不 要 な 入 費 用 が 低 い 技 術 は ドメインを 管 理 する SPF/SenderID です そのため 導 入 費 用 の DNS 上 に 導 入 時 に SPF レコードを 記 述 す 低 さからも まず SPF/SenderID の 送 信 側 の 39

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 4.1.2.1 利 用 しているドメイン 名 の 把 握 まず 自 組 織 内 で 利 用 しているドメイン 名 自 体 を 正 しく 把 握 しなければなりません その 際 メールに 利 用 しているドメインに ついて 把 握 することはもちろんですが それ 以 外 に ドメイン 名 の 構 造 上 存 在 する 上 位 ド メインや メール 以 外 の 用 途 に 使 っている DNS で 参 照 可 能 なドメイン 名 についても 確 認 することが 必 要 です 4.1.2.2 ドメインの 利 用 方 法 の 把 握 ドメイン 名 を 把 握 したあとは それぞれの ドメインの 利 用 方 法 を 確 認 しなければなりま せん ドメインの 利 用 方 法 は メール 利 用 の 観 点 からは 大 きく 以 下 のように 分 類 することが できます (a) メールに 利 用 しているドメイン 名 (b) メールに 全 く 利 用 していないドメイン 名 うな 方 針 (discardable) を 宣 言 することで 勝 手 にドメイン 名 を 利 用 するようなメールを 防 ぐことができます DKIM ADSP については 3.4.6 を 参 照 してください 4.1.2.3 メールの 配 送 経 路 の 把 握 次 に メールに 利 用 しているドメインにつ いて そのドメインを 用 いて 送 信 されるメー ルの 外 部 への 配 送 経 路 を 把 握 しなければなり ません 配 送 される 形 態 としては 大 きく 分 けて 次 の4つが 考 えられます (a) 単 一 ドメイン 名 を 用 いたメールを 一 つ のメールサーバから 配 送 (b) 単 一 ドメイン 名 を 用 いたメールを 複 数 のメールサーバから 配 送 (c) 複 数 のドメイン 名 を 用 いたメールを 一 つのメールサーバから 配 送 (d) 複 数 のドメイン 名 を 用 いたメールを 複 数 のメールサーバから 配 送 (a) については メールの 配 送 経 路 を 把 握 す ること 適 切 な 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 送 信 側 の 設 定 をすることが 必 要 です メールの 配 送 経 路 の 把 握 については 4.1.2.3 を 参 照 して 下 さい (b) については SPF / Sender ID では メ ールに 利 用 しないドメイン 名 であることを SPF レコードで 宣 言 することができます こ の 設 定 方 法 の 詳 細 については 3.2.3 を 参 照 し てください DKIM では DKIM ADSP で DKIM の 認 証 結 果 をどのように 扱 うべきかを 示 すポリシーを 宣 言 できます 例 えば 電 子 署 名 が 付 与 されていないメールを 破 棄 するよ (a) の 場 合 には そのドメインを 利 用 するメ ールの 出 口 (メールサーバ)が 一 つのメール サーバであることを 利 用 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 用 いて 設 定 することになります (b) の 場 合 としては 送 信 効 率 を 上 げるため に 複 数 のメールサーバを 利 用 しているような 場 合 や 同 じドメイン 名 を 利 用 した 特 定 のメ ールの 配 信 を 外 部 委 託 しているような 場 合 が あります この 場 合 にも 利 用 する 送 信 ドメ イン 認 証 技 術 で それぞれの 送 信 側 のメール サーバが そのドメインから 配 送 されるメー ルの 正 しい 出 口 (メールサーバ)であること 41

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 を 設 定 できます (c) の 場 合 としては メールの 利 用 目 的 別 に 複 数 のドメインを 併 用 している 場 合 や 組 織 ごとにサブドメインを 利 用 しているものの 全 体 の 規 模 としてそれほど 大 きくないために メールサーバを 集 約 している 場 合 などが 考 え られます また メールサービスを 外 部 の 複 数 の 組 織 (ドメイン 名 ) に 提 供 している いわ ゆるホスティングサービスの 場 合 などもあり ます さらに (b) のメール 配 送 業 務 を 複 数 受 託 し 複 数 のドメイン 名 を 送 信 者 情 報 として 利 用 する 場 合 も この 形 態 に 含 まれます この 場 合 には それぞれのドメインが 同 じメ ールの 出 口 を 示 すことで 受 信 側 の 認 証 に 問 題 は 生 じません なお いずれの 形 態 であっても メールが 外 部 に 配 送 される 前 に そのメールで 利 用 さ れるドメイン 名 の 利 用 権 限 を 送 信 者 が 適 切 に 有 しているかを 何 らかの 方 法 で 確 認 するこ とが 必 要 です この 確 認 が 適 切 に 行 われてい ないと 利 用 権 限 のない 者 がドメイン 名 を 詐 称 して 不 正 なメールを 外 部 に 配 送 することが できてしまいます こうしたことが 行 われる と 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 設 定 していたこ とによって 受 信 側 のメールサーバで 詐 称 されたメールの 認 証 に 成 功 してしまい かえ って 問 題 となってしまいかねません 図 表 4ー4 送 信 者 情 報 の 利 用 権 限 の 確 認 (d) の 場 合 には クラウドサービスを 用 いた ホスティングに 多 く 見 られる 形 態 で 複 数 の ドメインで 複 数 のサーバを 共 有 している 場 合 があります また (b) と (c) の 組 合 せのケ ースもあります これらの 場 合 には (b) (c) における 対 応 を 組 み 合 わせることで 正 しい 設 定 が 可 能 です 4.1.3 メールの 利 用 方 法 の 確 認 事 前 準 備 の 最 後 に メールの 利 用 方 針 を 決 定 しなければなりません 具 体 的 には メールの 配 送 経 路 の 方 針 再 配 送 を 行 うメールの 利 用 方 針 複 数 のドメイ ンを 利 用 する 場 合 の 方 針 外 部 ネットワーク から 利 用 する 場 合 の 方 針 のそれぞれについて 決 定 が 必 要 です 4.1.3.1 方 針 検 討 の 必 要 性 メールの 送 信 に 利 用 するドメイン 名 と 実 際 のメールの 配 送 経 路 は これまで 比 較 的 柔 軟 42

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 に 運 用 されてきました しかし 迷 惑 メール がメール 流 量 の 大 部 分 を 占 めるようになって きた 現 在 では 正 しいメールが 適 切 に 受 信 で きるようにするために メールの 利 用 方 針 を 適 切 に 決 定 し 運 用 することが 必 要 です 送 信 ドメイン 認 証 技 術 が 適 切 に 機 能 するよ うにするためには 正 規 に 送 信 されるメール が 送 信 側 で 利 用 するドメイン 名 に 対 応 した 正 しい 出 口 (メールサーバ)からのみ 配 送 さ れるようになっていることが 重 要 になります 技 術 革 新 に 伴 い メールの 利 用 形 態 は 多 様 化 してきています 例 えば 携 帯 電 話 の 通 信 網 を 利 用 したデータ 通 信 端 末 や 無 線 LAN の アクセスポイントなどモバイル 環 境 は 急 速 に 普 及 してきており それに 伴 い これらの 回 線 を 利 用 したメールの 利 用 も 増 えてきていま す また 業 務 として 利 用 するメールや 個 人 で 利 用 しているメール ウェブメールなどア クセス 端 末 をあまり 選 ばずしかも 無 料 で 利 用 可 能 なメールなど 同 一 の 個 人 が 複 数 のメー ルアドレスを 利 用 するようになっています こうしたメールの 利 用 形 態 の 多 様 化 を 踏 ま え それぞれのドメインごとにメールが 適 切 に 受 信 できるようにするための 対 応 が 必 要 と なりますが それについては 技 術 的 に 対 応 可 能 な 部 分 や 利 用 方 針 に 基 づく 運 用 による べき 部 分 もあります 以 下 では メールの 利 用 方 針 を 決 定 し そ れに 基 づく 運 用 を 適 切 に 行 う 必 要 がある 部 分 として 次 の 点 について 詳 細 に 検 討 します - メールの 配 送 経 路 (4.1.3.2) - 再 配 送 メールの 取 り 扱 い(4.1.3.3) - 外 部 ネットワークからの 利 用 環 境 の 整 備 (4.1.3.4) 4.1.3.2 メールの 配 送 経 路 メールの 利 用 形 態 としては ( 典 型 的 なもの として)1 対 1のコミュニケーションを 目 的 としたものがあります そのような 場 合 には 送 信 に 用 いられるメールサーバが 特 定 できま すので 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 にあた っても そのメールサーバを 利 用 ドメイン 名 の 出 口 (メールサーバ)として 設 定 すること になります メールの 利 用 形 態 には そのような 一 般 的 なメール 配 送 以 外 にも 顧 客 へのアナウンス や 特 定 の 参 加 者 への 連 絡 網 といった 多 数 の 宛 先 への 一 斉 送 信 などがあります メールの 大 規 模 配 信 を 行 う 場 合 には 送 信 中 に 通 常 のメ ールが 阻 害 されたりすることがないように 専 用 のメールサーバを 利 用 することがあります また こうした 配 送 処 理 を 効 率 よく 行 うため に 専 門 の 外 部 事 業 者 へ 委 託 することがあり ます これらの 場 合 に 利 用 する 送 信 者 情 報 の ドメイン 名 については 次 の2つの 考 え 方 が あります (a) 大 量 送 信 用 の 専 用 ドメイン 名 を 利 用 (b) 通 常 のメールと 同 じドメイン 名 を 利 用 (a) としては サブドメインを 新 たに 作 成 する 場 合 や 別 のドメイン 名 を 取 得 する 場 合 などが 考 えられます この 場 合 には 専 用 ド メイン 名 を 使 って 配 送 する 出 口 (メールサー バ)を 特 定 し それぞれのメールサーバで 適 切 な 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 することに なります 43

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 た 上 で 再 配 送 したり 正 しく 認 証 できたメー ルだけを 再 配 送 したりするなどの 考 慮 が 必 要 です 4.1.3.4 外 部 ネットワークからの 利 用 環 境 の 整 備 モバイル 環 境 や 社 外 滞 在 先 など 外 部 ネッ トワークからメールを 送 信 することがありま す 自 組 織 で 運 営 している 送 信 用 のメールサー バは 通 常 セキュリティ 上 の 観 点 からファ イアーウォールなどを 用 意 し インターネッ ト 側 から 直 接 通 信 ができないような 内 部 ネッ トワークに 設 置 されています そのため 外 部 ネットワーク 上 からメール 送 信 を 行 うこと を 可 能 とするためには 別 途 VPN などの 通 信 手 段 を 用 意 し 内 部 ネットワークにアクセ ス 可 能 にする 方 法 や 外 部 ネットワークから アクセスできる 位 置 に 送 信 メールサーバを 用 意 する 方 法 などがあります このような 場 合 には ネットワーク 接 続 に 利 用 している 回 線 が OP25B を 実 施 している 可 能 性 がありますので メール 配 送 に 使 われ る 25 番 ポートではなく メール 投 稿 用 の 587 番 ポートを 使 えるように 設 定 することが 必 要 です また 送 信 者 を 正 しく 識 別 するた めに SMTP AUTH ( 送 信 者 認 証 ) による 認 証 を 行 うべきであり 認 証 方 式 についても パ スワードがそのままネットワークに 流 れない 方 式 ( 例 えば CRAM-MD5 など) を 利 用 すべ きです 図 表 4ー6 SMTP AUTH による 認 証 最 近 では ホテルなどの 環 境 でもインター ネット 接 続 サービスが 提 供 されるようになっ てきていますが これらの 環 境 では 特 に 注 意 が 必 要 です 特 に 欧 米 のホテルなどでは ネットワー クの 不 正 利 用 を 防 ぐ 目 的 で メール 配 送 に 使 われる 25 番 ポートを 用 いて 直 接 インターネ ットへの 通 信 ができず 一 度 アプリケーショ ン 型 のファイアーウォールなどで 通 信 が 終 端 されていることがあります そのため 外 部 からアクセス 可 能 な 送 信 用 メールサーバを 用 意 している 場 合 で MUA からは 通 常 どおり 送 45

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 信 が 行 われたように 見 えても 実 際 には 自 組 織 の 送 信 用 メールサーバを 経 由 せず ホテル などが 用 意 しているファイアーウォールから 送 信 される 場 合 があります この 場 合 には メールの 受 信 側 では 受 信 したメールが そ のメールのドメインの 本 来 の 出 口 (メールサ ーバ)から 送 信 されているメールではないた めに 認 証 が 失 敗 することがありますので 注 意 が 必 要 です 4.1.4 導 入 計 画 の 作 成 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 に 際 しては 技 術 自 体 の 違 いやそれに 関 連 した 運 用 上 の 特 徴 以 外 に より 実 際 的 な 側 面 についても 検 討 し 具 体 的 な 導 入 計 画 を 作 成 することが 必 要 です その 検 討 の 際 には 以 下 に 挙 げた 観 点 が 参 考 になるでしょう (a) メールサーバの 負 荷 調 査 (b) 受 信 メールの 傾 向 調 査 (c) 認 証 結 果 の 取 り 扱 い (d) 効 果 の 予 測 と 見 直 し (e) 利 用 者 への 周 知 (f) 導 入 手 順 の 策 定 4.1.4.1 メールサーバの 負 荷 調 査 メール 送 信 側 に DKIM を 導 入 する 場 合 や メール 受 信 側 で 認 証 を 行 う 場 合 には メール サーバに 新 たな 機 能 を 追 加 することが 必 要 で す この 機 能 追 加 により メールサーバの 負 荷 が 高 くなりますので 導 入 前 には 既 存 のメ ールサーバの 負 荷 状 態 を 把 握 することが 必 要 です CPU などのリソースの 負 荷 は いずれ の 技 術 を 導 入 する 場 合 でも 高 くなります ま た 受 信 側 で 認 証 を 行 うことにより DNS の 参 照 回 数 が 増 えるため ネットワーク 帯 域 や DNS のキャッシュサーバの 負 荷 などの 考 慮 も 必 要 になります 一 般 にメールの 流 量 は 時 間 帯 によってば らつきがありますし ピーク 時 に 極 端 に 負 荷 が 高 くなる 場 合 もあります 導 入 に 際 しては 予 め 一 定 の 期 間 の 負 荷 状 況 を 計 測 し 予 想 さ れる 負 荷 の 上 昇 分 を 重 ねた 上 で 設 備 設 計 を 行 うことが 必 要 です 4.1.4.2 受 信 メールの 傾 向 調 査 受 信 側 では 広 く 受 信 メールの 傾 向 を 調 査 することによって 導 入 する 技 術 の 判 断 に 役 立 てることができます 例 えば 既 に 送 信 者 情 報 を 詐 称 したメールに 困 っている 場 合 や 取 引 先 など 受 け 取 るべきメールが 把 握 できて いる 場 合 には 認 証 の 効 果 を 予 め 予 測 するこ とができます 予 め 受 け 取 るべきメールが 明 確 である 場 合 は それらのメールの 送 信 側 で 導 入 している 技 術 を 受 信 側 でも 導 入 するべき です 送 信 側 についても 受 信 側 で 認 証 している 技 術 が 予 め 分 かる 場 合 には 導 入 に 際 して 参 考 となるでしょう 4.1.4.3 認 証 結 果 の 取 り 扱 い 受 信 側 では 認 証 の 結 果 の 利 用 方 法 も 予 め 決 めておくことが 必 要 です メールヘッダに 認 証 結 果 を 示 すだけなのか 認 証 が 成 功 した 特 定 のドメインをホワイトリスト 的 に 優 先 的 に 配 送 するのか 誤 認 証 の 可 能 性 がないドメ インで 認 証 が 失 敗 した 場 合 に 隔 離 するのかな ど 認 証 結 果 を 有 効 利 用 する 方 法 はいくつか 46

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 あります 受 信 メールの 傾 向 調 査 と 合 わせて それぞれの 認 証 結 果 と 送 信 元 のドメインに 応 じた 効 果 的 な 取 り 扱 いの 方 針 を 決 めること になります また メールは 多 様 な 用 途 で 用 いられるた め メールシステム 全 体 で 一 律 に 適 用 できな い 認 証 結 果 に 基 づいた 処 理 も 個 々のメール 受 信 者 が MUA などで 個 別 に 設 定 することに より 認 証 結 果 を 有 効 に 利 用 できる 場 合 があ ります メールサービス 提 供 者 やメールシス テムの 管 理 者 は こうした 設 定 例 などをマニ ュアル 等 で 利 用 者 に 周 知 すると 良 いでしょう 4.1.4.4 効 果 の 予 測 と 見 直 し 受 信 側 では 事 前 に 受 信 メールの 調 査 を 行 うことにより 認 証 による 効 果 を 予 測 するこ とができます また 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 するメールサーバは 今 後 も 増 えてく ることが 予 想 されますので 導 入 時 だけでな く 継 続 してメールの 傾 向 を 把 握 することが 有 効 です これは 導 入 時 には 見 送 った 技 術 がより 機 能 するようになっていたり 認 証 結 果 をより 効 果 的 に 活 用 できるようになってい たりするなどによるものです 4.1.4.5 利 用 者 への 周 知 と 導 入 手 順 の 策 定 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 する 際 には 予 めメールの 利 用 者 に 対 して 送 信 側 及 び 受 信 側 での 運 用 ポリシーを 事 前 に 説 明 しておくことも 必 要 です 特 に 送 信 側 の 利 用 ポリシーについて は 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 対 象 としているド メイン 以 外 のドメインを 送 信 者 情 報 として 利 用 しないよう 周 知 しておくことが 重 要 です メー ルの 受 信 側 で 認 証 が 失 敗 するような 使 い 方 をし てしまうことによって そのドメインやメール の 送 信 元 の 評 価 が 低 下 してしまう 可 能 性 があり ます また メールは 絶 え 間 なく 送 受 信 されてい ることから メールシステムへの 送 信 ドメイ ン 認 証 技 術 の 導 入 やそれに 基 づく 新 たな 機 能 追 加 仕 様 変 更 などは 頻 繁 にできない 場 合 もあります このため 手 順 を 決 めて 計 画 的 に 導 入 を 進 めることが 必 要 です さらに メールを 送 受 信 している 相 手 の 導 入 状 況 も 変 化 していきますので 日 頃 のメー ル 送 受 信 の 状 況 の 把 握 とともに その 結 果 に 基 づいた 新 たな 機 能 追 加 や 仕 様 変 更 などの 見 直 しについて 予 め 計 画 を 立 てることも 必 要 となります 47

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 4.2 一 般 的 な 導 入 手 順 送 信 ドメイン 認 証 技 術 には ネットワーク 方 式 の SPF/SenderID と 電 子 署 名 方 式 の DKIM の 二 つの 技 術 があります それぞれの 技 術 についての 概 要 導 入 に 際 しての 注 意 点 については 第 3 章 で 解 説 しています ここでは 一 般 的 な 導 入 手 順 について 送 信 側 での 対 応 を 中 心 に それぞれの 技 術 ごと に 解 説 します また 導 入 に 際 して 既 存 のメ ールの 使 われ 方 との 関 係 や 問 題 が 生 じる 場 合 の 対 処 方 法 について 解 説 します 4.2.1 SPF/SenderID SPF と SenderID は 送 信 者 を 認 証 するた めに 送 信 元 の IP アドレスを 利 用 するネット ワーク 方 式 であること 認 証 のために 送 信 側 のドメイン (DNS) 上 にある SPF レコード を 利 用 するなど 多 くの 共 通 点 があります ここでは 両 方 の 技 術 について 導 入 手 順 の ほか そのままでは 認 証 がうまくできない 課 題 と 対 処 方 法 などについて 解 説 します 4.2.1.1 SPF/SenderID の 導 入 手 順 SPF/SenderID を 送 信 側 に 導 入 するために は 対 象 とする 送 信 者 情 報 のドメインに 対 し て SPF レコードを 宣 言 することが 必 要 にな ります DNS サーバを 自 組 織 で 管 理 している 場 合 や 運 用 を 委 託 しているサービスで DNS の 資 源 レコードをある 程 度 自 由 に 編 集 できるよ うな 場 合 には 4.1.3.2 で 示 したようにメール の 配 送 経 路 ( 出 口 ) を 正 しく 把 握 した 後 それ をもとに SPF レコードを 記 述 することにな ります この 場 合 送 信 側 の 導 入 に 際 して 特 別 な 費 用 は 発 生 しません メールの 運 用 自 体 を 外 部 委 託 している 場 合 や ISP のメールサービスを 利 用 している 場 合 には 第 5 章 以 降 を 参 考 に それぞれ 設 定 して 下 さい なお DNS の 運 用 を 外 部 委 託 し ていて 自 由 に 編 集 が 行 えないような 場 合 に は 委 託 先 に SPF レコードの 設 定 依 頼 が 必 要 になりますので 送 信 側 の 導 入 に 際 し 費 用 が 発 生 する 場 合 があります SPF/SenderID を 受 信 側 に 導 入 し メールの 受 信 時 に 認 証 するためには 受 信 メールサー バへの 新 たな 機 能 追 加 が 必 要 になります す なわち 受 信 側 での 認 証 を 行 うためには 送 信 元 の IP アドレスが 必 要 になりますので 原 則 として 外 部 から 直 接 メールを 受 けるサ ーバ 上 に 認 証 機 能 を 追 加 する 必 要 があります 例 えば 迷 惑 メールフィルタ 機 能 を 提 供 する サーバで 送 信 ドメイン 認 証 機 能 も 提 供 する ものがありますが その 機 能 を 用 いるために は そのサーバが 外 部 からのメールを 直 接 受 ける 位 置 にあるかどうかの 確 認 が 必 要 です オープンソースの MTA として 広 く 使 われ ている Sendmail や Postfix では MTA の 拡 張 機 能 を 外 部 プログラムとして 追 加 できるよ うに milter インターフェースが 標 準 で 提 供 されています この milter インターフェース を 利 用 した 認 証 機 能 を 実 現 するものが 同 様 にオープンソースとして 公 開 されていますの で それを 利 用 することもできます 48

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 商 用 のメールサーバを 利 用 している 場 合 や 外 部 のメールサービスを 利 用 している 場 合 に は その 開 発 元 やサービス 提 供 元 に 問 い 合 わ せて 下 さい その 場 合 には 認 証 機 能 の 追 加 には 新 たに 費 用 が 発 生 する 可 能 性 がありま すので 確 認 が 必 要 です 図 表 4-7 SPF/SenderID の 導 入 4.2.1.2 課 題 と 対 策 ネットワーク 方 式 の 送 信 ドメイン 認 証 技 術 は メールの 再 配 送 時 に 認 証 が 失 敗 してしま うという 問 題 があります これは メールの 再 配 送 時 に メールを 一 旦 受 け 取 った 後 送 信 者 情 報 をそのままにして 新 たな 受 信 者 へ メールを 再 配 送 してしまうことに 起 因 する 問 題 です 具 体 的 な 事 例 としては メール 転 送 や 古 い 実 装 のメーリングリストサーバで 発 生 するこ とがわかっています 図 表 4-8 メール 再 配 送 による 認 証 失 敗 の 例 49

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 この 問 題 を 回 避 するには メールの 再 配 送 時 に 送 信 者 情 報 をメールの 再 配 送 元 のドメ インに 書 き 換 える 必 要 があります 現 時 点 でそれほど 広 く 運 用 されているもの ではありませんが メールの 転 送 に 関 しては 以 下 の 方 法 を 用 いることで 転 送 先 でも 正 し く 認 証 を 行 うことができるようになります まず SPF の 場 合 には リバースパスを 送 信 者 情 報 として 認 証 しますので 転 送 時 に 認 証 が 失 敗 しないようにするために 転 送 を 行 う 際 のリバースパスとして 元 の 送 信 者 のリ バースパスを 利 用 するのではなく 転 送 元 ( 転 送 者 )のドメインを 含 むメールアドレスを 利 用 する 方 法 があります この 場 合 転 送 時 にすべてのメールのリバ ースパスを 単 純 に 書 き 換 えてしまうと メー ルがループする 可 能 性 がありますので 転 送 時 に 利 用 するリバースパスは 転 送 者 のメー ルアドレスをそのまま 利 用 するのではなく 例 えば 図 表 4-9 のように メールアドレス のローカルパート 部 分 を 工 夫 して エラーメ ールとして 戻 ってきた 場 合 や さらに 再 転 送 されてきた 場 合 に 区 別 ができるようにするこ とが 必 要 となります このようにすることで 転 送 したメールが 何 らかの 事 情 で 戻 ってきた 場 合 に さらに 転 送 を 繰 り 返 さないことによ り 不 要 なループを 防 ぐことができます 図 表 4ー9 メール 転 送 への 対 応 の 例 Sender ID の 場 合 には 送 信 者 情 報 として PRA を 用 いて 認 証 しますので メールの 転 送 時 に PRA で 優 先 的 に 使 われるヘッダ (Sender ヘッダなど)に 転 送 元 のドメインを 含 んだメールアドレスを 送 信 者 情 報 として 付 加 すれば 問 題 ありません メーリングリストに 関 しては リストメン バの 管 理 のために エラーメールの 送 信 先 を 示 すリバースパスには メーリングリストの 管 理 用 のメールアドレスを 指 定 するようにな っています そのため SPF では リストメ 50

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 ンバ 側 で 認 証 が 失 敗 するようなケースはほと んどなくなっています しかし 一 部 の 古 い 実 装 のサーバプログラ ムのメーリングリスト 機 能 では PRA として From ヘッダより 優 先 度 の 高 いヘッダを 付 け ないものがあり そ うした 実 装 では SenderID では リストメンバ 側 で 認 証 が 失 敗 してしま います このため メーリングリスト 機 能 を 使 う 場 合 には メーリングリスト 側 からメンバへの 送 信 時 に Sender ヘッダなどにメーリングリ スト 管 理 用 のメールアドレスを 追 加 する 機 能 を 持 った 最 近 の 実 装 のサーバプログラムを 利 用 することが 推 奨 されます 4.2.2 DKIM DKIM では 送 信 者 情 報 が 正 しく 表 明 され ているかどうかを 公 開 鍵 暗 号 方 式 を 利 用 し た 電 子 署 名 を 検 証 することによって 認 証 しま す このため ネットワーク 方 式 とは 異 なり メールの 配 送 経 路 に 影 響 を 受 けないという 大 きな 利 点 があります その 反 面 メールの 送 信 側 にも 電 子 署 名 を 作 成 して 添 付 する 負 担 が 生 じます ここでは DKIM の 導 入 手 順 のほか 運 用 上 課 題 となる 点 について 解 説 します 4.2.2.1 DKIM の 導 入 手 順 DKIM を 送 信 側 に 導 入 するためには メー ルの 送 信 時 に 電 子 署 名 を 作 成 し それをメー ルヘッダ(DKIM-Signature) として 追 加 する 機 能 が 必 要 になります SPF/SenderID と 同 様 に オープンソース の MTA である Sendmail や Postfix の milter インターフェースを 利 用 することによ り DKIM の 電 子 署 名 の 作 成 機 能 を 追 加 する ことができます DKIM では 電 子 署 名 の 作 成 に 公 開 鍵 暗 号 技 術 を 使 いますので 予 め 電 子 署 名 を 作 成 す るときに 利 用 する 秘 密 鍵 と 電 子 署 名 を 検 証 するために 利 用 する 公 開 鍵 を 用 意 する 必 要 が あります オープンソースの OpenDKIM プ ロジェクトでは これら 鍵 のペアを 作 成 する スクリプトプログラムもソースコード 一 式 の 中 に 含 まれていますので これを 利 用 して 鍵 ペアを 生 成 することもできます 商 用 のメー ルサーバを 利 用 している 場 合 や 外 部 のメール サービスを 利 用 している 場 合 には その 開 発 元 やサービス 提 供 元 に 問 い 合 わせて 下 さい DKIM を 送 信 側 に 導 入 するためには 新 たに 費 用 が 発 生 する 可 能 性 がありますので 確 認 が 必 要 です DKIM を 受 信 側 に 導 入 する 場 合 には メール サーバに 対 して 電 子 署 名 を 検 証 し 認 証 処 理 を 行 う 機 能 の 追 加 が 必 要 になります この 受 信 側 の 認 証 機 能 も OpenDKIM プロ ジェクトで 提 供 されています 商 用 のメール サーバやメールサービスを 利 用 している 場 合 で 導 入 を 検 討 している 場 合 には 提 供 元 に 確 認 が 必 要 です 送 信 側 への 導 入 と 同 様 に 新 たに 費 用 が 発 生 する 可 能 性 がありますので 確 認 が 必 要 です 51

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 きないことになります その 結 果 として 受 け 取 ったメールがたまたま 電 子 署 名 の 対 象 と していないメールだったのか 誰 かが 詐 称 し て 送 ってきたメールなのかの 判 断 ができない ことになります この 点 は メールにもとも と 備 わっている 送 信 者 情 報 を 利 用 する SPF/SenderID と DKIM の 大 きな 違 いの1 つです この 問 題 に 対 応 するため DKIM には 3.4.6 で 解 説 した DKIM ADSP の 仕 組 みが 追 加 され ました 送 信 側 で ADSP を 表 明 することにより 送 信 する 全 てのメールに 電 子 署 名 が 添 付 されて いるはずなのか (dkim=all) 一 部 だけなのか (dkim=unknown)を 送 信 側 が 示 すことができま す しかし この 対 応 策 については まだ 問 題 が 残 っています 3.4.6.2 で 解 説 したとおり ADSP を 表 明 するのは From ヘッダ 上 のメールアド レスのドメイン 名 のサブドメインですので メ ール 配 信 を 請 け 負 う 事 業 者 が 顧 客 のドメイン を From ヘッダに 利 用 し 実 際 の 電 子 署 名 の 作 成 を 事 業 者 側 が 行 うような いわゆる 第 三 者 署 名 をどう 認 証 するのか が 問 題 となります ま た 同 様 のケースとして メーリングリストの 問 題 もあります DKIM は ドメインを 自 ら 管 理 し そのドメ インを 送 信 者 情 報 及 び 署 名 者 情 報 として 使 う 場 合 には とてもうまく 機 能 しますが メールの 利 用 形 態 は 多 様 化 していますので それぞれの 使 い 方 にうまく 適 合 させるための 工 夫 も 必 要 に なってきています 現 在 もこうした 議 論 は 続 い ておりますので こうした 問 題 をうまく 解 決 し 適 合 できるようになることが 期 待 されます 4.3 運 用 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 後 にも その 効 果 を 維 持 するために 日 々 正 しく 運 用 すること が 必 要 です メールシステムの 管 理 者 は 受 信 側 に 必 要 とされるメールを 正 しく 送 信 すること により そのドメインの 信 頼 性 を 高 めていくこ とができます また 送 信 ドメイン 認 証 技 術 で は メールサーバだけでなく DNS も 重 要 な 役 割 になっていますので DNS が 正 しく 機 能 する ような 運 用 が 必 要 になってきます 4.3.1 メールサーバの 運 用 送 信 ドメイン 認 証 技 術 は 送 信 者 情 報 が 詐 称 されているかどうかを 認 証 する 技 術 ですが 認 証 されたドメインが 必 要 なメールを 送 信 して いるドメインなのか 迷 惑 メールを 送 信 するド メインなのかまでは 判 断 しません そのため 受 信 側 での 迷 惑 メール 対 策 として は 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 認 証 に 加 え ドメイン 自 体 を 評 価 する 仕 組 みが 別 途 必 要 にな ります また 送 信 側 では 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 しても そのメールサーバから 実 際 に 迷 惑 メールが 送 信 されてしまえば ドメイン の 信 用 は 低 下 してしまいます そのため せ っかく 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 したにも かかわらず 評 判 の 悪 いドメインだと 判 断 さ れないように 関 係 のない 第 三 者 が 勝 手 にメ ールサーバを 利 用 できないようにきちんと 設 定 し 管 理 することが 必 要 になります 例 え ば SMTP-AUTH のパスワードに 安 易 な 文 字 列 を 設 定 できないようにしたり 自 らのメー ルサーバを 利 用 するメール 送 信 者 の PC に 不 正 プログラム (マルウェア) が 混 入 されて 54

第 4 章 送 信 ドメイン 認 証 技 術 導 入 手 順 パスワードが 漏 洩 しないようにしたりという 対 策 を 講 じなければなりません また 業 務 的 なものを 除 いて 短 時 間 で 大 量 にメールが 送 信 されていないか 短 時 間 で 地 理 的 に 離 れた 場 所 からメール 送 信 されていないかなどの 監 視 等 も 必 要 になる 場 合 もあります 刻 な 問 題 となる 可 能 性 があります 3.2.4.3 で 解 説 したとおり SPF や Sender ID での SPF レコードの 記 述 方 法 で DNS の 参 照 回 数 に 上 限 が 決 められているのも 受 信 側 での 認 証 時 の 処 理 を 軽 減 させる 意 味 が 含 まれてい ます 4.3.2 DNS の 運 用 送 信 ドメイン 認 証 技 術 では 送 信 側 から 受 信 側 へ 伝 える 認 証 に 必 要 な 各 種 情 報 を DNS を 利 用 して 受 け 渡 しします そのため メー ルの 送 信 側 ドメインの DNS が 常 に 正 しく 動 作 していることが 必 要 です 送 信 側 のドメインの 管 理 元 は DNS の 状 態 を 監 視 したり きちんと 運 用 体 制 が 整 ってい る 外 部 のサービスプロバイダを 利 用 したりす るなど DNS の 維 持 管 理 を 心 がけるべきで す 4.3.2.2 DNS の TTL 4.3.2.1 DNS の 状 態 監 視 送 信 側 の DNS に 何 らかの 問 題 があり 受 信 側 で SPF レコードや DKIM の 公 開 鍵 の 情 報 が 取 得 できなかった 場 合 には 認 証 結 果 は temperror ( 一 時 的 な 失 敗 ) となり 正 しく 認 証 できません 認 証 結 果 の temperror を 受 信 側 でどのように 扱 うかにもよりますが 送 信 側 で 送 信 ドメイン 認 証 技 術 に 関 する 情 報 を 正 しく 設 定 していたとしても 利 用 している DNS が 不 安 定 だったり 何 らかの 問 題 があっ て 正 しく 情 報 が 引 き 出 せない 状 態 にあったり すると 場 合 によっては 受 信 側 で 受 け 取 って もらえないことになり 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 していない 場 合 よりも 悪 い 結 果 とな る 可 能 性 もあります また 送 信 側 の DNS からの 応 答 が 遅 かっ たり 応 答 を 返 さないなど 不 安 定 な 状 態 にあ ったりする 場 合 には 受 信 側 での 認 証 処 理 に 負 荷 がかかる 原 因 になります 特 に 大 量 の メールを 受 けているメールの 受 信 者 には 深 DNS では 問 合 せを 高 速 に 処 理 するために キャッシュの 仕 組 みがあります このキャッ シュの 仕 組 みとその TTL は SPF レコード や DKIM の 公 開 鍵 の 変 更 時 の 伝 播 時 間 と 密 接 な 関 係 があります TTL の 値 を 大 きくする ことで 送 信 側 ドメインの DNS へのアクセ ス 回 数 を 少 なくする ことができますが 一 方 で SPF レコードや DKIM の 公 開 鍵 や DSP レコードを 変 更 した 場 合 に 受 信 側 のメール サーバに 反 映 されるまでに 時 間 が 長 くなって しまいます 送 信 側 のドメインで これら DNS 上 の 情 報 を 変 更 する 場 合 には 予 め 利 用 している DNS の TTL 値 を 把 握 したうえで その 時 間 に 合 わせて 十 分 情 報 が 伝 播 した 後 に システ ムの 変 更 や 鍵 の 変 更 をする 必 要 があります DNS の TTL 値 の 変 更 が 可 能 な 場 合 には 前 もって TTL 値 を 短 い 時 間 に 設 定 しておくと 変 更 作 業 までの 時 間 を 短 くすることができま す 55

第 5 章 ISP での 対 応 5.2 送 信 側 の 対 応 5.2.1 概 要 するためには メールに 利 用 しているドメ インについて 3.2.4 で 解 説 した SPF レコ ードの 記 述 が 必 要 です ISP が 送 信 するメールは 一 般 の 企 業 や 各 種 組 織 のドメイン 名 を 利 用 して 送 信 され るメールに 比 べて その 規 模 が 大 きかった り 利 用 目 的 が 多 様 であることにより 様 々 な 種 類 のメールが 送 受 信 される という 特 徴 があります 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 送 信 側 で 導 入 し ISP を 経 由 しない 詐 称 され たメールを 区 別 できるようにすることは ISP のドメイン 名 の 信 頼 度 を 向 上 させるた めに 非 常 に 重 要 です SPF レコードには メールの 出 口 である ホストのグローバル IP アドレスが 含 まれ るような ネットワークアドレスや IP ア ドレス ドメイン 名 などを 記 述 します こ れらの 出 口 には 通 常 の 送 信 用 のホスト 以 外 に 例 えば 受 信 側 が 一 時 的 に 受 け 取 ら なかった 場 合 に 移 される 再 配 送 用 のホスト や メールサービスで 利 用 しているドメイ ン 名 を 使 った 顧 客 向 けの 連 絡 用 の 送 信 用 メ ールサーバなども 含 める 必 要 があります 送 信 ドメイン 認 証 技 術 は 送 信 者 情 報 が 偽 装 されているかどうかを 確 認 可 能 とする 技 術 なので 送 信 側 で 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 することにより 迷 惑 メールの 多 い ISP のドメイン 名 が 逆 に 迷 惑 メールの 送 信 元 として 判 断 されてしまう 可 能 性 もあ ります ISP から 日 々 大 量 に 送 信 されるメ ールの 中 に メールの 受 信 者 にとって 迷 惑 メールとなるようなメールが 含 まれていな いか それらが 誰 から 送 信 されているのか を 管 理 することも 重 要 です 自 社 のドメイ ン 名 に 対 して 迷 惑 メールを 送 信 するドメイ ンとしての 評 判 が 下 がらないように 何 ら かの 監 視 等 の 管 理 が 必 要 です 5.2.2 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 5.2.2.1 SPF/Sender ID の 導 入 ネットワーク 方 式 の 送 信 ドメイン 認 証 技 術 である SPF / Sender ID を 送 信 側 で 導 入 5.2.2.1.1 サブドメイン 利 用 時 の 注 意 メールサービスに 複 数 のドメイン 名 が 利 用 できるようになっている 場 合 には そ れぞれのドメインについて SPF レコード を 記 述 する 必 要 があります また 複 数 のドメイン 名 を 利 用 している 場 合 で それぞれがサブドメインの 構 成 と なっており それらの 親 ドメインをメール サービスに 利 用 していないときは 注 意 が 必 要 です SPF レコードが 記 述 されていな いドメイン 名 は 詐 称 されても 受 信 側 で 判 定 できませんので よく 目 にするドメイン 名 の 認 証 結 果 が fail / softfail などの 認 証 失 敗 でない 場 合 には 誤 解 を 与 えてしまう 可 能 性 がありますので 3.2.3 と 4.1.2.2 で 解 説 したとおり 以 下 のように メールに 利 用 しない 親 ドメインの 場 合 は 明 示 的 にす べて 認 証 が 失 敗 するような SPF レコード を 宣 言 した 方 が 良 いでしょう 59

第 5 章 ISP での 対 応 example.jp TXT "v=spf1 -all" apple.example.jp TXT "v=spf1 +ip4:192.168.0.4 -all" peach.example.jp TXT "v=spf1 +ip4:192.168.0.4 -all" mango.example.jp TXT "v=spf1 +ip4:192.168.0.4 -all" 図 表 5-1 サブドメインがある 場 合 の SPF レコードの 例 5.2.2.1.2 転 送 処 理 一 度 受 信 したメールを あらかじめ 設 定 された 別 のメールアドレスへ 送 信 する 転 送 機 能 は 古 くから 提 供 されてきた 機 能 の 一 つですが 4.2.1.2 で 解 説 したとおり ネ ットワーク 方 式 の 送 信 ドメイン 認 証 技 術 と の 相 性 は 良 くありません すなわち 現 在 提 供 されている 多 くの 転 送 機 能 は 転 送 時 のリバースパスに 元 々の 送 信 者 のリバース パス 情 報 をそのまま 使 いますので 転 送 先 での SPF の 認 証 は 失 敗 してしまいます 転 送 設 定 は メールの 利 用 者 がそれぞれ 設 定 しますし 転 送 先 のメール 利 用 者 は 転 送 者 と 同 一 であることが 一 般 的 です その ため 転 送 先 のメール 受 信 設 定 で 転 送 元 からのメールが SPF の 認 証 が 失 敗 しても 受 け 取 るようなフィルタ 等 の 設 定 が 可 能 で あれば 受 け 取 ることは 可 能 になります SPF の 場 合 は 送 信 者 情 報 としてリバー スパス を 利 用 しますので 4.2.1.2 で 解 説 したとおり 転 送 時 に 送 信 元 の 情 報 を 利 用 するのではなく 転 送 者 のメールアドレス を 設 定 し 直 すことによりこの 問 題 は 回 避 で きます ただし 単 純 にリバースパスを 書 き 換 えてしまうと 転 送 先 で 受 け 取 れなか った 場 合 やエラーメールなどが ループし てしまう 可 能 性 があります そのため 転 送 時 に 書 き 換 えるメールアドレスは ロー カルパート 部 分 に 何 らかの 印 となるような 文 字 列 を 別 途 挿 入 し 通 常 の 受 信 メールと 転 送 メールの 戻 りメールとを 区 別 できるよ うな 工 夫 も 考 えられます 通 常 の 受 信 メー ルは 転 送 し 転 送 したメールが 戻 ってきた 場 合 には そのまま 転 送 せずに 利 用 者 のメ ールボックスに 格 納 するなどです 60

第 5 章 ISP での 対 応 5.2.3 迷 惑 メールの 管 理 多 くのユーザが 利 用 する ISP のメール サービスでは 自 身 のドメイン 名 の 評 判 を 下 げないような 運 用 を 心 がける 必 要 があり ます 例 えば 迷 惑 メールが 自 社 のメールサー バを 経 由 して 送 信 されていた 場 合 には そ の 迷 惑 メールの 受 信 側 からの 申 告 により ブラックリストに 登 録 され 以 降 そのブラ ックリストを 利 用 しているメール 受 信 側 に 通 常 のメールも 含 めた 全 ての 届 かなくなっ てしまうことが 考 えられます 近 年 の 迷 惑 メールの 増 加 傾 向 により こういった 迷 惑 メール 対 策 を 行 うメール 受 信 者 は 増 えてい ますし 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 普 及 によ りドメイン 名 による 受 信 制 御 が 行 われるこ とが 予 想 されます そのための 対 策 としては 以 下 の 事 項 が 考 えられます 5.2.3.1 送 信 側 の 迷 惑 メール 対 策 迷 惑 メールの 送 信 元 となる ISP と 判 断 されないためには そもそも 迷 惑 メールが 外 部 に 送 信 されないような 仕 組 みがあれば 良 いことになります 現 在 多 くの ISP で はメール 受 信 時 に 迷 惑 メールかどうかを 判 定 する 迷 惑 メールフィルタを 提 供 していま す こういったフィルタがメールの 内 容 か ら 判 断 するタイプのものであれば それを 送 信 時 にも 適 用 し 迷 惑 メールを 送 信 しよ うとしている 場 合 に 保 留 することによって 外 部 への 送 信 を 抑 制 することができます しかし 迷 惑 メール 判 定 には 誤 判 定 が 発 生 しますし 送 信 されなかったことが 送 信 者 に 通 知 できない 場 合 に 問 題 となる 可 能 性 がありますので 利 用 者 のサポートは 十 分 に 行 う 必 要 があります また 送 信 側 にも フィルタを 導 入 することで 新 たな 費 用 が 発 生 する 可 能 性 もありますので 費 用 対 効 果 なども 含 めて 検 討 する 必 要 があります 5.2.3.2 送 信 者 の 特 定 とその 対 策 手 順 の 確 立 迷 惑 メールが ISP のメールサーバから 送 信 される 可 能 性 を 完 全 に 排 除 することは 困 難 ですので 問 題 を 大 きくしないために も 仮 に 迷 惑 メールが 送 信 されても 受 信 者 からの 連 絡 があった 場 合 などには その 迷 惑 メールを 誰 が 実 際 に 送 信 したのかを 判 断 する 仕 組 みが 重 要 になります 送 信 者 を 特 定 するには メール 送 信 時 に 送 信 者 の 認 証 を ID とパスワードによって 行 う SMTP-AUTH を 導 入 し メールヘッ ダやメール 送 信 ログに その AUTH ID を 記 録 するなどして 誰 が 実 際 に 送 信 したか を 調 べる 方 法 があります 最 近 では 不 正 プログラム (マルウェア) に 感 染 して 利 用 者 が 知 らない 間 に 外 部 から 制 御 されて 迷 惑 メールを 送 信 することが 問 題 となっており SMTP-AUTH にも 対 応 したマルウェアが 現 れているのではないかともいわれていま す そのため AUTH ID を 利 用 して 迷 惑 メ ール 送 信 者 を 特 定 し 利 用 者 への 通 知 及 び 解 決 のためのサポートを 行 うことは 顧 客 保 護 の 意 味 でも 重 要 になってきます また 迷 惑 メールの 大 量 送 信 を 抑 制 するために AUTH ID 単 位 で 一 定 時 間 内 に 送 信 できる メール 数 を 制 限 する 方 法 があります 62

第 5 章 ISP での 対 応 5.2.3.3 送 信 者 情 報 を 変 更 できないような 仕 組 み 送 信 ドメイン 認 証 技 術 で 送 信 者 情 報 とし て 使 われるのは リバースパスと From ヘ ッダアドレスのドメイン 部 分 となります 受 信 側 で 送 信 ドメイン 認 証 が 失 敗 しないた めには これらが 正 しい 情 報 となっている 必 要 がありますので 顧 客 からメールが 投 稿 された 場 合 に これらの 情 報 が 認 証 失 敗 するものになっていないかどうかを 配 送 前 に 確 認 すると 良 いでしょう メール 投 稿 時 に 指 定 されたこれらの 情 報 が あらかじめ 送 信 ドメイン 認 証 に 失 敗 す ることが 分 かった 場 合 に ISP が 取 りうる 対 応 方 法 の 例 を 以 下 に 示 します (a) メールの 投 稿 そのものを 受 け 付 けない (エラー 応 答 する) (b) リバースパスの 場 合 ISP のドメイン 名 のメールアドレスに 付 け 替 える (c) From ヘッダアドレスの 場 合 Sender ヘッダなどに ISP のドメイン 名 のメー ルアドレスを 追 加 する これまで 多 くのメールサービスでは これら 送 信 者 情 報 の 指 定 方 法 については 比 較 的 緩 やかな 運 用 をしていました そのた め このような 対 応 を 急 激 に 行 うと 利 用 者 にとって 混 乱 の 原 因 になりかねませんの で 事 前 の 周 知 が 重 要 になります また DKIM の 場 合 も From ヘッダアド レスのドメイン 名 とは 無 関 係 ではありませ んので DKIM-Signature ヘッダに 示 される 送 信 者 情 報 のドメインと 異 なるようなこと がある 場 合 は 同 様 に 何 らかの 対 策 が 必 要 になります 5.2.3.4 エラーメール 処 理 受 信 したメールが 宛 先 不 明 で 配 送 できな かった 場 合 は メールの 送 信 者 にエラーメ ールを 送 信 する 必 要 があります エラーメ ールは リバースパスに 指 定 されたメール アドレスに 送 信 されます 迷 惑 メールの 多 くは このリバースパスを 詐 称 する 場 合 が 多 いので 結 果 として 不 要 なエラーメール がメールアドレスを 詐 称 された 側 に 大 量 に 送 信 されることになります ISP では 決 まったドメインを 使 ってメ ールサービスを 提 供 しますので 詐 称 に 使 われる 可 能 性 が 比 較 的 高 いドメイン 名 であ る 一 方 不 特 定 多 数 にサービスを 提 供 して いることもあり 宛 先 不 明 となる 迷 惑 メー ルも 多 く 結 果 として 不 要 なエラーメール を 多 数 送 信 している 可 能 性 もあります こ うした 不 要 なエラーメールを 抑 制 するため には 次 の 対 策 があります (a) メールの 受 信 時 点 で 宛 先 が 存 在 するか を 確 認 して 存 在 しない 場 合 は 受 け 取 らな い (b) 受 信 時 に 送 信 ドメイン 認 証 技 術 で 認 証 が 失 敗 した 場 合 にエラーメールを 送 信 し ない (a) の 対 策 のために メールの 受 信 時 に 宛 先 が 存 在 するかを 確 認 するには 顧 客 管 理 を 行 っているシステム (データベースな ど) とリアルタイムで 問 合 せできることが 必 要 です メールシステムの 構 成 として 63

第 5 章 ISP での 対 応 メールスプールが 存 在 するかどうかで 宛 先 不 明 かどうかを MTA ではなく MDA が 判 断 している 場 合 には システムの 変 更 が 必 要 になります また メール 受 信 時 に 宛 先 不 明 かどうかを SMTP 上 の 応 答 として 返 すことになりますので 送 信 側 でその 応 答 を 確 認 することにより 実 在 するメールア ドレスかどうかを 簡 単 に 調 べることができ てしまいます よく 使 われるローカルパー トの 文 字 列 を 総 当 たり 的 に 指 定 して 実 在 す るメールアドレスを 取 得 する 攻 撃 は 辞 書 攻 撃 (DHA: Directory Harvesting Attack) と 呼 ばれます これを 防 ぐためには 一 定 数 以 上 の 宛 先 不 明 が 発 生 した 場 合 に 以 後 の SMTP 処 理 を 継 続 しない という 方 法 があります 宛 先 不 明 時 にエラーメールを 返 す 送 信 先 は 詐 称 されていない 実 際 の 送 信 元 です そのため 送 信 ドメイン 認 証 技 術 で 認 証 が 失 敗 した 送 信 先 例 えば SPF / Sender ID で 認 証 結 果 が fail / softfail となった 送 信 元 や DKIM で 認 証 が 失 敗 した 場 合 や ADSP で fail/discard であったような 送 信 元 には エラーメールを 送 信 する 必 要 はありません このため (b) の 対 策 を 実 施 することも 考 え られます 64

第 5 章 ISP での 対 応 5.3 メール 受 信 側 としての 検 討 5.3.3 メールの 配 送 制 御 5.3.1 概 要 第 3 章 で 解 説 したとおり 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 用 いることにより メールの 受 信 側 が 認 証 を 行 うことで そのメールが 本 当 にそのドメインから 発 信 されたかどうか を 判 定 することができます 送 信 ドメイン 認 証 技 術 は 送 信 側 の 対 応 も 必 須 ではあり ますが 受 信 側 が 対 応 を 進 めることは 送 信 側 の 導 入 モチベーションにも 繋 がるもので す そのため 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 普 及 に 向 けてのよいサイクルを 生 むためにも ISP では 積 極 的 に 受 信 時 の 認 証 およびラベ リングを 行 うべきであり 受 信 したメール を 適 切 に 取 り 扱 う 努 力 を 行 っていることを 利 用 者 送 信 者 へアピールしていくことが 望 まれます 5.3.2 利 用 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 選 定 受 信 時 に 利 用 する 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 選 定 する 場 合 には 4.1.1 を 参 考 にします 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 複 数 導 入 すれば ドメインの 正 当 性 の 判 断 に 利 用 できる 情 報 は 増 えますが 認 証 のために 必 要 な 追 加 コ ストが 増 加 する 場 合 があります 特 に ISP の 場 合 取 り 扱 うメールの 通 数 が 一 般 的 な 企 業 に 比 べ 多 くなりますので 機 能 を 追 加 する 設 備 の 規 模 も 大 きくなると 考 えられま す 現 状 のネットワーク 構 成 やハードウェ アを 考 慮 しながら 段 階 的 に 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 していくことが 現 実 的 でし ょう 改 めての 説 明 になりますが 送 信 ドメイ ン 認 証 技 術 は あくまでも 特 定 の 送 信 元 から 確 かに 送 信 されたかどうか を 機 械 的 に 判 断 するための 技 術 であり 認 証 結 果 と メールのコンテンツは 何 の 関 係 もないもの です ISP では 多 様 な 利 用 者 にサービスを 提 供 するという 性 質 上 送 信 ドメイン 認 証 技 術 での 認 証 結 果 の 取 り 扱 いについては 特 に 慎 重 になるべきです 5.3.3.1 配 送 前 制 御 に 関 する 注 意 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 認 証 結 果 を 利 用 した 受 信 側 のアクションで 特 に 注 意 す べきなのが 認 証 結 果 による 配 送 方 法 の 取 扱 いです 4.1.3 で 解 説 したとおり 送 信 ド メイン 認 証 技 術 では 受 信 者 の 意 図 しない メーリングリスト 経 由 での 再 配 送 や 送 信 時 ポリシーの 記 述 ミスなどによって 認 証 が 失 敗 する 場 合 もあります 特 に ISP ではさ まざまな 受 信 者 による 利 用 シーンが 考 えら れるため 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 認 証 結 果 だけを 利 用 して 一 律 にメールの 受 信 を 拒 否 したり 破 棄 したりする 取 り 扱 いを してはなりません ただし 以 下 の 場 合 に はこの 限 りではありません (a) 受 信 設 備 の 高 負 荷 による 緊 急 避 難 など 限 定 的 対 応 の 場 合 (b) エンドユーザからの 個 別 の 同 意 がある 場 合 (b) による 場 合 には エンドユーザに 対 し てリスクについて 十 分 な 説 明 を 行 うととも に 簡 易 に 機 能 を 解 除 させたり 個 別 に 回 65

第 5 章 ISP での 対 応 避 できるような 機 能 を 設 けるなどの 機 能 的 配 慮 もした 上 で 個 別 に 同 意 を 取 って 提 供 しなければなりません 5.3.3.3 ホワイトリストやドメインレピュテー ションの 活 用 4.1.4.3 で 示 したとおり 送 信 ドメイン 認 証 の 結 果 と ISP が 事 前 に 用 意 したホワイ トリストやドメインの 評 判 (ドメインレピ ュテーション) 情 報 と 照 合 することもでき ます 照 合 結 果 によって メールに 特 別 な マークを 付 与 したり 迷 惑 メール 判 定 を 実 施 せずにフィルタを 通 過 させたりするなど の 活 用 方 法 が 考 えられます また サービ スの 利 用 者 が 個 別 にドメインを 設 定 するこ とにより Web ブラウザや MUA 上 でのフ ォルダ 振 分 けなどに 利 用 できるようにする サービス 形 態 も 考 えられます ISP が 他 組 織 により 提 供 されるホワイト リストやレピュテーション 情 報 を 利 用 する 場 合 は 自 組 織 のポリシーと 一 致 しないこ とも 十 分 に 考 えられるので 注 意 が 必 要 です そのため これらホワイトリストやレピュ テーション 情 報 は 自 組 織 でコントロール ができる 権 利 もしくは 機 能 を 持 つタイプの ものでなければなりません 5.3.3.4 認 証 結 果 の 可 視 化 による 利 用 者 のユー ザビリティ 向 上 利 用 者 が 認 識 できるように 認 証 結 果 の 表 示 を 行 うためには Web ブラウザ 経 由 や MUA 経 由 など 表 示 領 域 を 任 意 に 制 御 でき るような 環 境 でメールを 閲 覧 する 必 要 があ ります 一 部 の ISP では Web ブラウザ 上 でメ ールを 利 用 できるサービスを 提 供 していま すが このような 環 境 の 場 合 画 面 インタ ーフェース 中 に 認 証 に 利 用 したドメイン 名 や 認 証 結 果 ホワイトリストなどとの 照 合 結 果 を 分 かりやすく 表 示 させることが 可 能 です 一 方 MUA ではこのような 画 面 表 示 に 標 準 的 に 対 応 しているクライアントはま だほとんど 存 在 していません 送 信 ドメイン 認 証 結 果 を 分 かりやすく 表 示 するアプリケーション 環 境 が 整 い 利 用 者 が 積 極 的 に 利 用 できるよう ISP として 可 能 な 取 り 組 みを 推 進 することが 好 ましい といえます 66

第 5 章 ISP での 対 応 5.4 ユーザ 周 知 送 信 ドメイン 認 証 を 導 入 する 場 合 には 導 入 した 結 果 として 発 生 する 影 響 について ユ ーザに 周 知 する 必 要 があります 周 知 の 方 法 は メールや 郵 便 物 で 行 う 方 法 もありますが 最 低 限 ホームページでの 周 知 は 実 施 するべき です なお ユーザへの 周 知 内 容 は 各 社 の 対 応 内 容 によっても 異 なりますが ユーザは 送 信 ドメイン 認 証 という 技 術 の 理 解 をすることが 困 難 な 場 合 も 多 いと 想 定 されるため 表 現 方 法 や 影 響 をよりわかりやすくする 工 夫 が 必 要 です 特 に 送 信 ドメイン 認 証 技 術 という 表 現 にこだわらず ユーザの 理 解 を 得 られる 表 現 を 使 うことも 重 要 です 受 信 側 の 対 応 については どの 技 術 を 採 用 しているかを 説 明 する 必 要 があります 認 証 結 果 をラベリングとして 記 述 する 場 合 には ラベリングの 確 認 方 法 を 代 表 的 なメ ールクライアントの 設 定 方 法 について 説 明 す ることが 推 奨 されます また フィルタサー ビスを 提 供 する 場 合 には 該 当 のサービスの 利 用 方 法 に 加 えて 利 用 した 場 合 の 影 響 につ いて 説 明 することが 必 要 です 特 に ユーザ にはドメイン 詐 称 に 対 する 認 識 が 少 ないため どのような 送 信 方 法 のメールがフィルタリン グされるかを 図 解 なども 用 いて 説 明 すること が 推 奨 されます 5.4.1 送 信 側 の 対 応 ユーザによるメールの 利 用 方 法 により 認 証 が 失 敗 してしまう 場 合 として 送 信 側 では ユーザが 自 社 のサーバ(MSA) 経 由 で 送 信 ア ドレスを 該 当 ドメイン 以 外 で 送 信 した 場 合 と ユーザが 自 社 のサーバ 以 外 のサーバから 該 当 ドメインのメールを 送 信 したケースの2つが あります 後 者 については 自 社 の 管 理 外 の 問 題 であるため ユーザに 対 して 必 ずしも 説 明 する 必 要 はないとも 思 えますが 前 者 と 合 わせて 説 明 することが 望 ましいものです また 送 信 側 の 対 応 について 導 入 した 技 術 と 期 待 される 効 果 を 説 明 することが 推 奨 さ れます 5.4.2 受 信 側 の 対 応 67

第 6 章 ホスティングサービスでの 対 応 6.1.1.2 サーバ 共 用 型 サーバ 共 用 型 は 複 数 の 契 約 ドメイン( 企 業 )に 対 して 1つ 又 は1つの 集 合 体 のメー ルサーバを 共 用 で 割 り 当 てる 形 でメール 送 受 信 機 能 を 提 供 するサービス 形 態 です( 図 表 6-2) 専 用 型 とは 異 なり 割 り 当 てられたメール サーバから 送 信 されるメールには 共 用 して いる 他 社 ドメインからのメールも 混 在 するこ とになります 図 表 6-2 サーバ 共 用 型 のホスティング 事 業 者 の 例 6.1.1.3 ゲートウェイ 型 ゲートウェイ 型 は 契 約 ドメイン( 企 業 ) に 対 して MX サーバやフィルタリングサー バ 投 稿 サーバを 割 り 当 てる 形 で 主 に 迷 惑 メール 対 策 機 能 やウイルス 対 策 機 能 監 査 機 能 などを 提 供 するサービス 形 態 です( 図 表 6-3 図 表 6-4) ゲートウェイ 型 のうち 受 信 メールサーバの 場 合 ホスティング 事 業 者 はゲートウェイ 用 MX サーバのみ 提 供 し メールデータを 蓄 積 す るメールボックス 機 能 や 投 稿 サーバなどの 機 能 は 提 供 しません 反 対 に ゲートウェイ 型 のうち 送 信 メールサーバの 場 合 契 約 企 業 の メールサーバが 設 定 するリレー 先 サーバ(あ るいは 投 稿 サーバ)を 提 供 し MX サーバは 提 供 しません 71

第 6 章 ホスティングサービスでの 対 応 6.1.2 DNS サーバによる 分 類 メールホスティングサービスは DNS サー バの 管 理 により DNS 自 社 管 理 型 DNS ホスティング 型 DNS 提 供 型 の 3 つに 分 類 できます 6.1.2.1 DNS 自 社 管 理 型 DNS 自 社 管 理 型 は 契 約 企 業 ドメインの DNS サーバを 契 約 企 業 自 身 で 管 理 する 形 態 です ホスティング 事 業 者 は 契 約 企 業 のメ ールサーバは 管 理 しますが DNS サーバの 管 理 (MX レコードや TXT レコードの 登 録 更 新 削 除 )は 行 いません 6.1.2.2 DNS ホスティング 型 DNS ホスティング 型 は 契 約 企 業 ドメイン の DNS サーバを ホスティング 事 業 者 側 が 代 行 して 管 理 する 形 態 です ホスティング 事 業 者 は 契 約 企 業 のメールサーバとともに DNS サーバの 管 理 も 行 います 6.1.2.3 DNS 提 供 型 DNS 提 供 型 は 契 約 企 業 ドメインの DNS サーバのみをホスティング 事 業 者 が 代 行 して 管 理 する 形 態 です ホスティング 事 業 者 は 契 約 企 業 の DNS サーバは 管 理 しますが メ ールサーバの 管 理 は 行 いません この 場 合 には DNS 自 社 管 理 型 とも 異 なり 契 約 企 業 メールサーバのみを 管 理 するホス ティング 事 業 者 DNS サーバのみを 管 理 する ホスティング 事 業 者 の 三 者 が 登 場 します 73

第 6 章 ホスティングサービスでの 対 応 6.3 受 信 側 の 対 応 ことが 推 奨 されます ホスティングサービスでは ホスティング 事 業 者 の 設 備 で 受 信 側 の 対 応 を 行 うことが 必 要 です 第 3 章 で 紹 介 した 一 般 的 な 対 応 のほ か 以 下 のような 事 項 についての 対 応 を 行 う ことが 必 要 です 6.3.1 認 証 結 果 の 解 説 と 利 用 方 法 の 提 示 送 信 ドメイン 認 証 技 術 による 認 証 結 果 を Authentication-Results ヘッダに 記 録 する 場 合 には 契 約 企 業 に 対 して Authentication-Res ults ヘッダに 関 する 説 明 を 行 い 必 要 であれ ばメールクライアント 側 での 適 切 なフィルタ リングの 指 導 を 行 うことが 必 要 です ホスティング 事 業 者 は 第 3 章 を 参 考 にし た 説 明 資 料 を 準 備 することが 推 奨 されます 6.3.1.1 判 定 結 果 の 確 認 契 約 企 業 にフィルタリングの 指 導 をする 準 備 として 該 当 ドメイン 宛 の 受 信 メールのう ち 適 切 に 送 信 ドメイン 認 証 が 実 施 された 割 合 を 調 査 します 受 信 メールの 多 くが fail / softfail と 判 定 されているドメインのうち 契 約 企 業 とやり 取 りをされている 顧 客 が 含 まれ る 場 合 は フィルタリングのホワイトリスト 対 象 を 講 じることが 考 えられます この 場 合 には 該 当 するドメインをリスト 化 して 契 約 企 業 に 確 認 してもらうことが 推 奨 されます 受 信 メールの 多 くが neutral / none と 判 定 されている 契 約 企 業 の 場 合 は フィルタリン グによる 効 果 が 低 いため この 指 導 は 見 送 る 6.3.1.2 契 約 企 業 への 説 明 とメールクライアント 側 へのフィルタリング 指 導 契 約 企 業 に 対 して 契 約 ドメイン 宛 の 受 信 メールの 判 定 結 果 及 びフィルタリングによっ て 得 られる 効 果 を 報 告 します ホスティング 事 業 者 は メールクライアント 側 で 設 定 すべ きフィルタリング 条 件 の 設 定 をサポートする とよいでしょう 6.3.2 認 証 結 果 によるフィルタリング 実 施 メールクライアント 側 のフィルタリングで は ホスティング 事 業 者 の 設 備 コストは 直 ち に 効 果 がでるとはいえませんが 今 後 送 信 側 の 対 応 が 進 むとエンドユーザ 側 での 様 々な 活 用 が 進 むと 予 想 されております ホスティング 事 業 者 は メールの 隔 離 拒 否 破 棄 などのサーバ 側 でのフィルタリング 機 能 を 準 備 することが 推 奨 されます サーバ 側 のフィルタリング 機 能 を 実 装 するにあたっ ては 以 下 の 点 について 考 慮 することが 必 要 です 6.3.2.1 フィルタリング 利 用 を 選 択 できる 機 能 の 提 供 特 にサーバ 共 用 型 の 場 合 には フィルタリ ング 機 能 を 利 用 する 契 約 企 業 と 利 用 しない 契 約 企 業 が 共 存 する 場 合 が 想 定 されますので ホスティング 事 業 者 は 契 約 ドメインごとに フィルタリング 設 定 の 有 効 無 効 を 管 理 する 79

第 6 章 ホスティングサービスでの 対 応 ことが 必 要 です 6.3.2.3 なりすましメールの 措 置 を 選 択 できる 機 能 6.3.2.2 ドメイン 単 位 のホワイトリスト 機 能 の 提 供 の 提 供 6.3.2.1 で 解 説 したとおり 送 信 元 ドメイン によってはすべてのメールの 送 信 元 に 対 して 送 信 ドメイン 認 証 技 術 に 対 応 していない 場 合 があります 言 い 換 えれば 認 証 結 果 が fail / softfail であっても 受 信 すべき 送 信 元 ドメイ ンが 存 在 することになります このため ホ スティング 事 業 者 は 各 契 約 ドメインごとに ホワイトリスト 機 能 を 提 供 し 必 要 なメール の 不 達 を 防 ぐことが 必 要 です フィルタリング 結 果 で 送 信 者 情 報 が 偽 装 さ れているメール(なりすましメール)である と 判 定 された 場 合 には それらのメールは 何 らかの 措 置 ( 隔 離 ラベリング 拒 否 等 )が とられることが 推 奨 されます ホスティング 事 業 者 は このような 措 置 として 複 数 の 選 択 肢 を 用 意 し 契 約 企 業 にリスクと 効 果 をかん がみて 設 定 してもらうことが 推 奨 されます ホスティング 事 業 者 の 用 意 する 措 置 としては 以 下 のようなアクションが 考 えられます ヘッダに 目 印 を 記 録 隔 離 して 受 信 SMTP で 拒 否 する NDR をメールサーバで 破 棄 仕 様 X ヘッダ 又 は Subject ヘッダなどになりす ましと 認 識 できる 目 印 を 記 録 する ごみ 箱 や 迷 惑 メールボックスなど 受 信 箱 と は 別 の 場 所 に 受 信 する なりすましメールと 判 定 された 時 点 で SMTP 応 答 で 該 当 メールを 拒 否 する なりすましメールと 判 定 されたメールのう ち NDR については SMTP レスポンスを 正 常 応 答 したのち メールサーバ 内 で 破 棄 す る 特 徴 受 信 すべきメールの 不 達 を 防 止 する ことができるが 契 約 企 業 のユーザ がメールクライアントでフィルタ リング 設 定 をする 手 間 が 生 じる 受 信 すべきメールの 不 達 を 防 止 する ことができるが 隔 離 されているこ とで False Positive が 発 生 した 場 合 にユーザが 受 信 を 見 落 とす 可 能 性 がある ゲートウェイ 型 では 提 供 できない なりすましメールが 契 約 企 業 のユー ザに 着 信 しなくなるが ホワイトリ ストが 適 切 に 設 定 されていない 場 合 には メール 不 達 が 生 じる 不 要 な NDR によるコストが 軽 減 さ れるが 通 常 のメールについては 他 の 施 策 と 組 み 合 わせて 実 装 する 必 要 がある 図 表 6-11 なりすましメールの 措 置 の 例 80

第 7 章 配 信 サービスでの 対 応 送 信 メールから 迷 惑 メールを 削 減 する 努 力 を 継 続 することで 結 果 として 自 らのド メインの 評 判 を 上 げることができます 配 信 サービスは 専 門 的 な 知 識 や 技 術 を 持 たない 利 用 者 が 送 信 ドメイン 認 証 技 術 を 導 入 するための 道 を 拓 き 社 会 全 体 のなり すましメールや 迷 惑 メールの 削 減 に 貢 献 で きる 立 場 にありますので 積 極 的 に 送 信 ド メイン 認 証 に 対 応 することが 望 まれます 7.1.2 From ヘッダアドレスの 管 理 主 体 配 信 サービスを 利 用 する 際 は 主 に 利 用 者 の 管 理 するドメインの From ヘッダアド レスで 送 信 する 場 合 と 配 信 サービスが 管 理 するドメインの From ヘッダアドレスで 送 信 する 場 合 があります それぞれの 場 合 によって 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 利 用 時 の 対 応 が 異 なりますので 導 入 する 際 には あらかじめ From ヘッダアドレスの 管 理 主 体 を 確 認 しておくことが 必 要 です 利 用 者 ( 送 信 者 ) 受 信 者 example.net DNSサーバ DNSサーバ (SPFレコードを 公 開 ) メールサーバ IP:192.0.2.1 example.com 配 送 サービス( 配 送 者 ) From To (2)SPFレコード 問 い 合 わせ v=spf1 ip4:192 0.2.1~all (1)メール 送 信 reverse-path:error@example.com :user@example.net :user@example.org (3) 認 証 OK メールサーバ 受 信 プロバイダ example.org 図 表 7-2 SPF(From ヘッダアドレスのドメインが 利 用 者 管 理 の 場 合 ) 83

第 7 章 配 信 サービスでの 対 応 7.2 送 信 ドメイン 認 証 技 術 の 導 入 配 信 サービスから 送 信 ドメイン 認 証 技 術 に 対 応 したメールを 送 信 する 際 に 配 信 サ ービスと 利 用 者 が 対 応 すべき 事 項 は 以 下 のとおりです 7.2.1 SPF SPF は 送 信 するメールのリバースパス のドメインで 認 証 します 配 信 サービスで は 一 般 にエラーメール 解 析 等 のバウンス メール 処 理 のために リバースパスには 配 信 サービスのドメインのメールアドレスが 指 定 されます この 場 合 に 配 信 サービス は リバースパスで 使 用 するドメインの DNS に SPF レコードを 公 開 することにな ります このとき 利 用 者 が 対 応 する 事 項 はありません 7.2.2 SenderID Sender ID 認 証 は PRA を 用 いて 認 証 を 行 います このため メールヘッダに Sender を 使 用 しているかいないかで 対 応 内 容 が 異 なります Sender は 省 略 される ことが 多 いヘッダですが メール 作 成 者 が 複 数 存 在 する 場 合 や From ヘッダアドレ スと 実 際 の 配 送 者 が 異 なる 場 合 に 用 いられ ます From ヘッダアドレスに 利 用 者 ドメ インのメールアドレスを 指 定 してメールを 配 信 する 場 合 は 実 際 の 配 送 者 である 配 信 サービスの 情 報 を Sender に 記 載 すること ができます 7.2.2.1 メールヘッダに Sender を 使 用 しない 場 合 メールヘッダに Sender を 使 用 しない 場 合 には Sender ID での 認 証 の 対 象 は PRA に 基 づき From ヘッダアドレスとなりま す 利 用 者 ( 送 信 者 ) 受 信 者 example.net DNSサーバ (SPFレコードを 公 開 ) (2)Fromドメインに SPF 問 い 合 わせ v=spf1 ip4:192.0.2.1~all DNSサーバ (3) 認 証 OK メールサーバ P:192.0 2.1 example.com 配 送 サービス( 配 送 者 ) (1)メール 送 信 reverse-pa h: error@example.com From :user@example.net To :user@example.org メールサーバ 受 信 プロバイダ example.org 図 表 7-3 SenderID/Sender 使 用 せず (From ヘッダアドレスのドメインが 利 用 者 管 理 の 場 合 ) 84

第 7 章 配 信 サービスでの 対 応 7.2.2.1.1 From ヘッダアドレスのドメインが 利 用 者 管 理 の 場 合 From ヘッダアドレスのドメインが 利 用 者 管 理 の 場 合 には 利 用 者 配 信 サービスは それぞれ 次 の 対 応 が 必 要 です ることによって 同 じ IP アドレスから 送 信 される 他 の 利 用 者 のメールが 届 きにくく なる 可 能 性 がありますので 注 意 が 必 要 と なるものです 7.2.2.1.2 From ヘッダアドレスのドメインが 配 信 サービス 管 理 の 場 合 (1) 利 用 者 の 対 応 利 用 者 は 利 用 者 が 管 理 するドメインの DNS の SPF レコードに 配 信 サービスの 送 信 ドメイン 情 報 を 記 載 します (2) 配 信 サービスの 対 応 配 信 サービスは 送 信 時 に 利 用 者 が 指 定 する From ヘッダアドレスのドメインの SPF レコードに 問 い 合 わせ 正 しい 送 信 元 情 報 が 記 載 されていることを 確 認 し 正 し くない 場 合 は 警 告 を 出 す 送 信 しない 等 の 対 応 を 行 うことが 推 奨 されます 利 用 者 が SPF レコードに 配 信 サービス の 送 信 ドメイン 情 報 を 誤 って 記 載 したこと により 受 信 側 の 検 証 結 果 が fail になった 場 合 には その 検 証 結 果 が 受 信 ブロックの 原 因 となる 可 能 性 があり この 状 況 が 継 続 す From ヘッダアドレスのドメインが 配 信 サービス 管 理 の 場 合 には 配 信 サービスで 配 信 サービスが 管 理 するドメインの DNS の SPF レコードに 配 信 サービスの 送 信 ド メイン 情 報 を 記 載 します 7.2.2.2 メールヘッダに Sender を 使 用 する 場 合 メールヘッダに Sender を 使 用 する 場 合 には PRA に 基 づき Sender ID の 認 証 対 象 は Sender となります Sender には 実 際 の 配 送 者 である 配 信 サービスのドメイ ンを 記 載 します したがって 配 信 サービ スは Sender で 使 用 するドメインの DNS の SPF レコードに 配 信 サービスの 送 信 ドメイン 情 報 を 公 開 します 利 用 者 が 対 応 する 事 項 はありません 85

第 7 章 配 信 サービスでの 対 応 し 利 用 者 のドメインの DNS に 設 置 する ための 公 開 鍵 をダウンロードする 画 面 を 用 意 します (b) 鍵 管 理 と DNS 管 理 の 支 援 利 用 者 の 鍵 管 理 の 負 担 の 軽 減 に 加 えて DNS の 管 理 の 負 担 を 軽 減 するために 配 信 サービスが 送 信 者 のドメイン 又 はサブド メインの DNS 管 理 を 代 行 し 鍵 とドメイ ンの 管 理 を 併 せて 代 行 するといったサービ スを 提 供 することも 有 効 です (2) 利 用 者 の 対 応 電 子 署 名 の 作 成 用 の 公 開 鍵 を DNS に 設 置 することが 可 能 な 場 合 は 配 信 サービス から 提 供 されるなどして 用 意 した 公 開 鍵 を DNS に 設 置 します From ヘッダアドレスのドメインの DNS サ ーバの 管 理 をホスティング 事 業 者 に 委 託 して いて 当 該 事 業 者 が 公 開 鍵 の 設 置 に 対 応 して いない 場 合 には 送 信 者 署 名 は 利 用 できませ ん( 受 信 者 は 電 子 署 名 を 正 しく 検 証 できませ ん) 7.3 配 信 サービスによる 利 用 者 への 周 知 配 信 サービス 提 供 者 は 導 入 している 送 信 ドメイン 認 証 技 術 及 び 利 用 者 が 対 応 す べき 事 項 等 の 情 報 を Web サイト 等 に 公 開 することが 推 奨 されます 88