心 電 図 マニュアル 朋 進 会 東 神 クリニック 横 浜 南 クリニック 洋 光 台 セントラルクリニック
透 析 患 者 の 死 亡 原 因 の 第 一 位 が 心 不 全 心 筋 梗 塞 脳 血 管 障 害 等 の 心 臓 血 管 死 であり これは 全 体 の 約 40%を 占 めています 透 析 患 者 の 生 命 予 後 とQOLをより 一 層 向 上 させる には この 心 臓 血 管 の 合 併 症 を 予 防 し また 的 確 に 治 療 する 事 が 重 要 です 心 臓 血 管 系 への 負 荷 はすでに 慢 性 腎 疾 患 期 や 保 存 期 腎 不 全 の 段 階 で 始 まっており 透 析 導 入 時 から 沢 山 の 問 題 を 抱 えている 場 合 も 少 なくはありません その 為 には その 発 症 機 序 と 進 行 因 子 を 明 らかにし 早 期 に 適 切 な 治 療 やケアを 行 う 必 要 があります 胸 痛 動 悸 呼 吸 苦 等 の 症 状 があったら Drへ 報 告 するとともに 1. 循 環 器 関 連 の 既 往 歴 の 確 認 2. 心 電 図 モニター 3. 胸 部 レントゲン 写 真 4. PULSE OXIMETER 血 液 ガス 分 析 の 確 認 をします 特 に 心 電 図 (ECG:electrocardiogram)は 心 臓 の 電 気 的 な 活 動 の 様 子 をグラフの 形 に 記 録 する 事 で 心 疾 患 の 診 断 と 治 療 に 役 立 つ 日 常 診 療 で 広 く 利 用 されており 簡 便 な 方 法 です 皆 さんにも 心 電 図 から 読 み 取 れる 情 報 を 使 って 受 け 持 ち 業 務 に 利 用 していただければ と 思 います 心 電 図 の 本 を 開 くと 電 気 ベクトル 等 難 しい 言 葉 が 並 びわからないからやめた!と 思 った 方 いませんか? まずは 自 分 の 受 け 持 ちの 患 者 様 の 心 電 図 を 開 いてみようかなと 思 ったときに このマニ ュアルを 使 ってみて 下 さい 心 電 図 は 影 響 を 与 える 条 件 が 多 く 許 容 範 囲 が 広 い 為 正 常 範 囲 内 にあっても 人 それぞれ 波 形 は 異 なります そのため 正 常 か 否 かを 見 極 める 為 に しっかり 測 定 し 波 形 を 読 まなくてはなりません 心 電 図 の 単 位 左 記 の 小 さなマスを 基 準 とします 横 1マス 0.04 秒 (1 秒 は 25 マスになります) 縦 1マス 0.1mV と 表 します 2
心 臓 の 刺 激 伝 導 系 心 電 図 を 読 む 為 には 心 臓 が 動 く 仕 組 みを 簡 単 に 理 解 しておく 必 要 があります 心 臓 のメインスイッチは 右 房 にあり 洞 結 節 といいます 心 房 と 心 室 の 境 目 には 予 備 スイッチとして 働 く 房 室 結 節 があります 房 室 結 節 からでた 1 本 の 電 線 ヒス 束 は 心 室 で 2 本 に 分 かれます このうち 左 室 に 向 かう 電 線 を 左 脚 右 室 に 向 かう 電 線 を 右 脚 といいます 更 に 細 かく 枝 分 かれした 電 線 網 を プルキンエ 線 維 といいます メインスイッチである 洞 結 節 にスイッチ がはいると 洞 結 節 心 房 内 の 電 線 房 室 結 節 ヒス 束 左 脚 と 右 脚 プルキンエ 線 維 に 電 気 が 流 れて 心 臓 が 収 縮 するわけです これを 脱 分 極 といいます 次 に 収 縮 した 心 臓 は 弛 緩 して 元 にもどり ますが これを 再 分 極 といいます 基 本 波 形 はじめの 小 さなドーム 上 の 波 を P 波 次 にとがった 背 の 高 い 波 を R 波 次 のやや 大 きめの 波 を T 波 といいます 心 電 図 の 波 形 はこの3つの 波 のくりかえしからできています もう 少 し 詳 しく 見 ると R 波 の 前 後 に 小 さな Q 波 S 波 があり これをあわせて QRS 波 といいます 1. 洞 結 節 にスイッチがはいる P 波 2. 電 流 が 心 房 から 房 室 結 節 に 流 れる PQ 時 間 3. 心 室 ( 左 脚 右 脚 )に 電 気 が 流 れて 心 臓 が 収 縮 する QRS 波 4. 電 流 の 流 れが 一 時 的 に 途 切 れ 心 臓 が 弛 緩 する T 波 3
心 電 図 の 読 み 方 1. Rhythm まずは 正 常 洞 調 律 (サイナスリス ム)か 否 かを 判 断 しましょう! 洞 結 節 が 心 臓 の 調 律 を 支 配 しています 心 拍 数 は 60~100 回 / 分 P 波 はⅠ Ⅱ avf で 上 向 き P 波 と QRS は 一 定 の 間 隔 (0.12~0.20 秒 )をもって 1 対 1の 関 係 を 維 持 PP 間 隔 はほぼ 一 定 です 2. Rate 正 常 60~100/ 分 心 拍 数 を 測 定 してみましょう! 心 電 図 用 定 規 を 使 用 する 場 合 スケールの 基 本 になる 矢 印 に 1 つ 目 の R 波 をあてて 3 拍 目 の R 波 にあたる 数 字 が 1 分 間 の 脈 拍 となります 定 規 がない 場 合 は R 波 と R 波 の 間 を 測 定 し( 小 さな1マスが 0.04 秒 )それを 60 で 割 ると1 分 間 の 脈 拍 になります 3. P 波 Ⅱ 誘 導 で 測 定 を! Ⅰ Ⅱ avf,v1~v6 誘 導 で 陽 性 ( 上 向 き)aVR 誘 導 では 陰 性 ( 下 向 き)である 幅 は<0.11 秒 高 さは<2.5mm P 波 は 洞 結 節 を 表 しています P 波 があれば 洞 結 節 から 刺 激 が 出 た 事 を 表 します P 波 がなくて R 波 がでていれば 洞 房 結 節 や 心 室 から 収 縮 の 刺 激 が 始 まったことを 示 し 洞 結 節 に 異 常 があることがわかります P 波 の 形 が 変 化 している 場 合 スイッチは 正 しく 入 っていても 心 房 の 中 で スイッ チの 場 所 が 移 動 していたり 弁 膜 症 などで 心 房 が 大 きくなっている 事 が 推 測 されま す 4
4.PQ 間 隔 Ⅱ 誘 導 で 測 定 を! 0.12 秒 PQ 0.20 秒 PQ 時 間 は 電 気 刺 激 が 洞 結 節 から 房 室 結 節 まで 流 れる 時 間 です PQ 時 間 が 延 長 している 時 は 心 房 から 心 室 までの 電 気 の 通 りが 悪 くなり 時 間 が 長 くかかる 事 がわかります これを 第 Ⅰ 度 房 室 ブロックといいます 5.QRS V3~V4 で 測 定 0.06 秒 QRS 0.10 秒 胸 部 誘 導 の R 波 は V1 から V5 まで 徐 々に 大 きくなり V6 でやや 小 さくなります 逆 に S 波 は V2 で 最 大 で 徐 々に 小 さくなります 移 行 帯 ( 左 右 心 室 の 起 電 力 のつりあうところの 誘 導 ) は V3~V4 になります R 波 の 高 さの 変 化 でわかること R 波 は 心 臓 が 収 縮 するときの 電 気 の 流 れですが R 波 の 高 い 時 は 電 気 の 流 れる 力 が 強 いとき すなわち 心 肥 大 ( 左 室 肥 大 )の 疑 いがあることを 示 しています 肥 大 した 心 筋 は 虚 血 を 伴 います 典 型 的 な 左 室 肥 大 は 1) R 波 の 増 高 に 2) 虚 血 性 ST-T の 変 化 を 伴 うようになります QRS の 幅 からわかること QRS の 幅 が 大 きく 変 化 するのは 心 室 内 での 電 気 の 流 れが 悪 くなり 時 間 がかかる 時 です 脚 ブロックでは 電 線 である 右 脚 や 左 脚 の 電 気 の 通 りが 悪 くなる 為 に QRS の 幅 が 広 くなります 特 徴 的 な 形 から 区 別 は 簡 単 です 5
6. ST 全 ての 誘 導 で ST とは 小 さな 下 向 きの S 波 が 水 平 に 変 わる 部 分 を 指 します ST 部 分 は 水 平 な 基 線 と 一 致 するのが 正 常 です ST の 低 下 は 全 て 異 常 所 見 です 2mm までの 上 昇 は 健 常 者 でもみられます ST 下 降 ST 部 分 が 基 線 よりも 下 がると 心 筋 の 虚 血 をうたがいます 労 作 性 狭 心 症 の 場 合 発 作 時 には 著 しく ST が 下 降 し 発 作 が 治 まると 元 の 基 線 に 戻 ります 心 筋 虚 血 や 狭 心 症 では ST は 水 平 か 右 下 がりに 下 降 します 頻 脈 時 に 見 られる 右 上 がりの ST 下 降 は 正 常 です ST 上 昇 ST 部 分 が 上 昇 するのは 心 筋 梗 塞 の 時 が 一 般 的 ですが 心 膜 炎 の 時 も 上 がり ます 狭 心 症 の 中 でも 冠 攣 縮 性 狭 心 症 の 場 合 ( 異 型 狭 心 症 とよばれています)では ST 上 昇 がみとめられます 冠 攣 縮 性 狭 心 症 は 主 に 早 朝 に 冠 動 脈 が 痙 攣 性 に 収 縮 する 事 によって 起 こります 胸 部 の 圧 迫 感 も 30 分 から 1 時 間 以 上 と 長 い 時 間 続 くことがあります 7. T 波 全 ての 誘 導 で Ⅰ Ⅱ avl avf V3~V6 で 上 向 き( 陽 性 ) avr で 下 向 き( 陰 性 )が 正 常 です 女 性 や 若 年 者 では V1,V2 で 下 向 き( 陰 性 )のときもあります T 波 は 収 縮 する 心 臓 が 元 に 戻 る 時 ( 弛 緩 ) 出 来 る 波 です 心 肥 大 や 強 い 心 筋 障 害 があると スムーズに 弛 緩 できないためR 波 だけでなく T 波 にも 異 常 がでてきます 肥 大 型 心 筋 症 や 心 内 膜 下 梗 塞 の 場 合 には 巨 大 陰 性 T 波 といわれる 通 常 よりも 先 鋭 で 大 きな 下 向 きの T 波 がみられます よく 高 カリウム 血 症 の T 波 は 上 向 きで 先 鋭 すると 言 われてますが 長 いこと 透 析 患 者 様 の 心 電 図 をみてきて 6.0~6.5 程 度 では 変 化 を 認 めません 逆 にカリウムも 値 が 低 いにも 関 わらず T 波 が 先 鋭 する 場 合 があります これら は 大 動 脈 弁 や 僧 帽 弁 の 閉 鎖 不 全 症 (AR/MR)では 拡 張 期 に 左 室 に 多 量 の 血 液 が 逆 流 するため( 容 量 負 荷 拡 張 期 負 荷 )とおもわれます 6
8. QT QTc= 実 測 QT 時 間 / RR 間 隔 正 常 値 0.36<QTc 0.44 QT 時 間 は 心 臓 の 電 気 的 収 縮 時 間 を 表 しています QT 延 長 は 再 分 極 (T 波 )がおくれて 心 臓 の 興 奮 が 延 長 している 事 を 示 しています QT が 延 長 すると 心 室 細 動 という 重 篤 な 不 整 脈 になり 易 く 突 然 死 の 原 因 になり ます QT 延 長 は 不 整 脈 剤 等 の 過 剰 投 与 や 電 解 質 異 常 ( 低 Ca, 低 K 血 症 )や 著 明 な 徐 脈 でおこります 9. 電 気 軸 Electrical Axis 心 臓 が 脱 分 極 する 際 に 一 定 の 方 向 と 大 きさ 及 び 極 性 を 持 った 起 電 力 が 生 じます この 起 電 力 が 示 すベクトルの 方 向 を 電 気 軸 といいます 四 肢 誘 導 のうちいずれかの2つの 誘 導 について それぞれの QRS 波 高 を 用 いて 算 出 します 正 常 -30 ~ 110 左 軸 偏 位 -30 ~ -180 右 軸 偏 位 110 ~180 平 均 電 気 軸 の 計 測 のしかた Ⅰ 誘 導 の R 波 の 高 さを+ S 波 の 深 さを-として 総 和 を 計 算 してください avf も 同 様 に 総 和 を 計 算 して 下 さい 電 気 軸 表 を 用 いて Ⅰの 総 和 と avf の 総 和 の 交 わる 点 を 中 心 と 結 んだ 線 を 電 気 軸 と します 7
10. 移 行 帯 Transitional zone 胸 部 誘 導 に 於 いて QRS 波 形 の R 波 と S 波 の 振 幅 が ほぼ 等 しくなった 誘 導 部 位 をいいます 移 行 帯 は 解 剖 学 的 に 右 室 と 左 室 の 中 間 にあり 心 室 中 隔 に 相 当 する 部 位 を 意 味 しています 正 常 な 移 行 帯 は V3 誘 導 にあります 心 臓 に 血 行 力 学 的 な 変 化 が 生 じたり 肺 疾 患 が 合 併 したりすると 心 臓 は 縦 軸 を 中 心 軸 として 回 転 する 事 があります 時 計 方 向 回 転 移 行 帯 が 左 側 (V4,V5 誘 導 )に 移 動 した 場 合 は 著 明 な 右 室 拡 大 肥 大 を 伴 います 反 時 計 方 向 回 転 移 行 帯 が 右 側 (V1,V2 誘 導 )に 移 動 した 場 合 は 著 明 な 左 室 拡 大 肥 大 を 伴 います 四 肢 誘 導 胸 部 誘 導 なんとなく 心 電 図 に 馴 染 んできましたか? ここまでは 入 門 編 です 随 分 わかってきた 気 がしませんか? 簡 単 な 心 電 図 の 見 方 です 8
心 電 図 の 計 測 が 終 わったところで 今 度 は 心 電 図 の 診 断 をしてみましょう!! 1.Rhythm Sinus 以 外 はすべて 異 常 になります 以 外 の 波 形 とはどんなもの? 心 房 細 動 Af 心 房 細 動 とは 心 房 の 異 所 性 興 奮 によって 心 房 の 各 部 位 で 分 時 350 回 以 上 の 無 秩 序 な 興 奮 が 生 じている 状 態 で 心 房 は 全 体 的 な 収 縮 はせずに 各 部 が 不 規 則 に 動 くだけで 心 室 収 縮 も 規 則 性 がありません * 心 電 図 の 特 徴 正 常 に 示 される 洞 性 P 波 がありません 基 線 が 波 のような 不 規 則 なゆれになります f 波 の 発 現 頻 度 は 分 時 350 回 以 上 となります f 波 は V1~V2 またはⅡ Ⅲ avf 誘 導 で 認 められます QRS 波 は 不 規 則 に 現 れ 振 幅 と 形 状 も 心 拍 ごとに 微 妙 に 変 化 します * 心 房 細 動 がみられるときは 疾 患 1 代 表 的 な 疾 患 : 僧 帽 弁 狭 窄 症 (MS) 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 急 性 心 筋 梗 塞 2 心 筋 症 及 び 心 筋 炎 透 析 患 者 の 場 合 長 期 にわたる 高 血 圧 性 疾 患 や 心 不 全 等 に よって 起 こることも 多 いです 臨 床 症 状 1 慢 性 の 心 房 細 動 :ほとんど 自 覚 症 状 はありません 2 発 作 性 頻 拍 性 心 房 細 動 : 動 悸 前 胸 部 の 圧 迫 感 息 苦 しさ 透 析 中 の 場 合 は 心 拍 出 量 が 維 持 できない 事 による 血 圧 低 下 を 認 める 事 が 多 いです 治 療 シ ソヒ ラミト (リスモタ ン) シヘ ンリン(シヘ ノール)ヒ ルシ カイニト (サンリス ム) 当 院 では HR コントロールの 目 的 でヘ ラハ ミル(ワソラン)の 内 服 や 静 注 シ コ キシン,フ ロカインアミト (アミサリ ン)を 使 用 する 事 があります 9
心 房 粗 動 (AF)と 心 房 細 動 は 上 記 のような 違 いで F 波 というはっきりした 鋸 状 の 波 形 が 特 徴 でⅡ Ⅲ avf でみとめられます F 波 と QRS は2 対 1,4 対 1といった 偶 数 伝 導 比 を 示 します 房 室 接 合 部 調 律 刺 激 伝 導 系 の 初 めが 洞 結 節 ではなく 房 室 接 合 部 にあり 電 気 的 興 奮 が 逆 行 性 に 心 房 伝 導 されます Ⅱ Ⅲ avf にて P 波 が 陰 性 2. Rate 洞 性 頻 拍 120/ 分 以 上 ( 安 静 時 ) 透 析 患 者 の 場 合 貧 血 により 頻 拍 になり 易 いです 発 作 性 で 自 覚 症 状 を 伴 う 場 合 は 治 療 を 要 します 10
洞 性 徐 拍 40/ 分 以 下 徐 拍 の 場 合 β-blocker やジギタリスの 血 中 濃 度 に 注 意 してください 3.P 波 右 房 負 荷 右 房 に 圧 や 容 量 負 荷 が 加 わり 拡 張 をきたした 状 態 です Ⅱ Ⅲ avf の P 波 が 先 鋭 化 0.25mV 以 上 V1,V2 の P 波 も 先 鋭 し 増 高 します 原 因 疾 患 として 慢 性 肺 疾 患 : 慢 性 気 管 支 炎 肺 気 腫 気 管 支 喘 息 肺 線 維 症 肺 動 脈 疾 患 : 肺 高 血 圧 肺 梗 塞 先 天 性 心 疾 患 : 心 房 中 隔 欠 損 肺 動 脈 狭 窄 心 弁 膜 症 : 三 尖 弁 狭 窄 三 尖 弁 閉 鎖 不 全 症 右 房 負 荷 の P 波 の 型 左 房 負 荷 左 房 内 圧 の 上 昇 左 房 内 の 血 液 容 量 が 増 加 した 状 態 です Ⅰ Ⅱ 誘 導 の P 波 が 二 峰 性 V1,V2 で P 波 が 二 相 性 11
原 因 疾 患 として 心 弁 膜 症 : 僧 帽 弁 狭 窄 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 大 動 脈 弁 狭 窄 大 動 脈 弁 閉 鎖 不 全 虚 血 性 心 疾 患 : 狭 心 症 心 筋 梗 塞 高 血 圧 性 心 疾 患 心 筋 症 心 筋 炎 左 心 不 全 左 房 負 荷 の P 波 の 型 4.PQ Ⅰ 度 房 室 ブロック 房 室 結 節 から His 束 にかけての 伝 導 時 間 の 延 長 による 房 室 伝 導 障 害 PQ 間 隔 0.21 秒 以 上 P とQRSとの 間 に1 対 1の 関 係 が 保 たれています 原 因 疾 患 心 筋 梗 塞 : 下 壁 梗 塞 ( 房 室 結 合 部 の 虚 血 ) 前 壁 梗 塞 (His 束 内 または His 束 下 のフ ロックの 可 能 性 ) 虚 血 性 心 疾 患 高 血 圧 性 心 疾 患 リウマチ 性 心 疾 患 心 筋 炎 心 筋 症 シ キ タリス β-blocker カルシウム 拮 抗 薬 抗 不 整 脈 剤 迷 走 神 経 緊 張 高 齢 者 透 析 患 者 の 場 合 異 所 性 石 灰 化 による 刺 激 伝 導 系 の 変 性 心 アミロイト ーシス 12
Ⅱ 度 房 室 ブロック Wenckebach 型 (ウェンケハ ッハ) 房 室 伝 導 系 の 不 完 全 伝 導 障 害 により 心 房 から 心 室 への 興 奮 伝 導 時 間 が 徐 々に 延 長 し ついには 興 奮 伝 導 が 中 断 され 心 室 の 興 奮 の 脱 落 が 生 じます その 後 に 生 じる 最 初 の 心 拍 で 房 室 機 能 が 回 復 し 初 めの 伝 導 時 間 に 戻 ります これらの 変 化 が 周 期 的 に 反 復 して 示 される 現 象 を Wenckebach 周 期 といいます MobizⅡ 型 房 室 伝 導 の 不 完 全 な 伝 導 障 害 のため 心 房 から 心 室 への 興 奮 伝 導 がときに 中 断 される ものをいいます PQ 間 隔 が 一 定 のまま 突 然 房 室 伝 導 途 絶 が 起 こります Wenckebach 型 に 比 べ 危 険 性 高 い! Ⅲ 度 房 室 ブロック 房 室 伝 導 系 における 完 全 な 伝 導 障 害 のため 房 室 伝 導 が 完 全 に 中 断 され 心 房 の 興 奮 が 全 く 心 室 へ 伝 導 されないものをいいます P 波 と QRS は 無 関 係 に 独 自 の 調 律 で 現 れます 13
5. 右 脚 ブロック Right Bundle Branch Block RBBB 心 室 内 刺 激 伝 導 路 のうち 右 脚 の 興 奮 伝 導 が 障 害 されたもの QRS 幅 が 0.12 秒 以 上 のものを 完 全 右 脚 フ ロックといいます QRS 幅 が 0.10 秒 以 上 でかつ 0.12 秒 以 内 の 場 合 を 不 完 全 右 脚 フ ロックといいます V1,V2 の QRS は rsr 型 を 示 します Ⅰ avl V5,V6 に 幅 の 広 い S 波 が 示 されます 原 因 疾 患 としては 虚 血 性 高 血 圧 性 心 疾 患 右 脚 は 左 冠 動 脈 の 左 前 下 行 枝 から 灌 流 されているので 広 範 囲 前 壁 梗 塞 や 前 壁 中 隔 梗 塞 の 際 右 脚 フ ロックが 生 じやすくなり ます 左 脚 ブロック left Bundle branch Block LBBB 心 室 内 刺 激 伝 導 路 のうち 左 脚 の 興 奮 伝 導 が 障 害 されたもの QRS 幅 は 0.12 秒 以 上 で V1,V2 に 幅 広 い S 波 が 示 され QS 型 またはrS 型 となります V5,V6 の QRS は 結 節 分 裂 スラーを 伴 った R 波 をみとめます 原 因 疾 患 としては 広 範 囲 な 心 筋 障 害 が 示 唆 され 予 後 不 良 の 場 合 が 多 いです 左 脚 前 枝 は 左 前 下 行 枝 より 左 脚 後 枝 は 左 回 旋 枝 及 び 右 冠 動 脈 の 両 者 から 灌 流 されています 心 筋 梗 塞 の 際 左 脚 フ ロックが 認 められた 時 は 重 症 かつ 危 険! 右 脚 フ ロック 左 脚 フ ロック 14
6.ST 以 前 の 心 電 図 と 比 較 し 検 査 時 の 胸 部 症 状 の 有 無 を 確 認 すること 上 昇 は 2mm 以 上, 下 降 は 0.5mm 以 上 の 場 合 を 問 題 とします 狭 心 症 突 然 に 発 症 する 前 胸 部 痛 おしつけられるような 締 め 付 けられるような しびれるような やけるような 痛 み 胸 痛 の 範 囲 は 前 胸 部 全 体 ( 胸 骨 裏 面 ) 漠 然 とした 不 快 感 又 は 疼 痛 として 感 じられます 狭 心 症 発 作 時 は 疼 痛 が 左 肩 や 背 部 歯 肉 左 上 肢 や 肩 痛 として 感 じられ ることも 多 いです 心 筋 梗 塞 冠 状 動 脈 の 閉 塞 または 著 しい 狭 窄 によって その 部 位 より 下 流 の 心 筋 部 位 への 血 流 が 阻 害 され 十 分 な 酸 素 供 給 が 途 絶 し 心 筋 に 凝 固 壊 死 が 生 じた 病 態 急 性 心 筋 梗 塞 の 三 大 合 併 症 は 1. 重 症 不 整 脈 2. 心 原 性 ショック 3. 心 不 全 心 電 図 所 見 は 定 型 的 な 経 過 をたどって 変 化 する 心 電 図 によって 心 筋 梗 塞 の 診 断 のみならず 範 囲 更 に 予 後 についても 評 価 できます 狭 心 症 より 症 状 は 激 しく 胸 痛 の 持 続 時 間 も 長 く 30 分 以 上 続 く 場 合 もあり 反 復 性 です 心 原 性 ショックも 伴 う 場 合 は 血 圧 下 降 循 環 障 害 をきたします 糖 尿 病 性 腎 症 の 場 合 は 神 経 障 害 のため 自 覚 症 状 に 乏 しい 症 例 が 多 いです 心 筋 梗 塞 や 狭 心 症 の 対 応 のついて 自 覚 症 状 持 続 時 間 痛 みの 程 度 等 十 分 に 聞 いてく ださい モニター 装 着 し 不 整 脈 及 び ST の 変 化 について 注 意 深 く 観 察 してください 無 理 な 透 析 はしない! 透 析 中 であれば 除 水 血 流 を DR 指 示 の 元 落 としてください バイタルサインを 頻 回 にチェックしてください 採 血 (トロホ ニン T,CPK-MB,GOT,LDH 他 ) 至 急 入 院 も 含 め 専 門 医 の 受 診 を 考 慮 してください 15
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7.T 波 T 波 の 増 高 心 筋 梗 塞 異 型 狭 心 症 大 動 脈 閉 鎖 不 全 症 の 様 な 左 室 容 量 負 荷 高 カリウム 血 症 ( 基 底 部 狭 く 高 尖 性 ) 陰 性 T 波 陽 性 であるべき 誘 導 に 於 いて 認 められるときは 明 らかな 心 筋 虚 血 で ある 事 が 多 いです 巨 大 陰 性 T 波 (10mm 以 上 の 陰 性 T 波 ) 肥 大 型 心 筋 症 急 性 心 内 膜 下 梗 塞 急 性 心 膜 炎 の 回 復 期 QTc 延 長 なし 左 室 肥 大 left ventricular hypertrophy:lvh 左 室 の 圧 負 荷 左 室 の 心 筋 線 維 が 太 くなり 左 室 壁 が 厚 くなった 状 態 でこのとき 左 内 腔 はむしろ 狭 くなります 原 因 :1. 左 室 から 血 液 が 流 出 する 経 路 に 狭 窄 がある 場 合 ( 大 動 脈 弁 狭 窄 ) 2. 末 梢 血 管 抵 抗 が 著 しく 増 大 する 場 合 ( 高 血 圧 性 心 疾 患 ) 3. 肥 大 型 心 筋 症 4 透 析 による 頻 回 な 過 除 水 や アミロイドによる 心 筋 変 性 左 室 の 容 量 負 荷 左 室 の 内 腔 が 広 くなった 状 態 一 般 に 容 量 負 荷 には 圧 負 荷 が 合 併 し て 起 こります 原 因 :1. 拡 張 期 に 大 量 の 血 液 が 左 室 に 流 入 する 場 合 ( 大 動 脈 弁 閉 鎖 不 全 ) 2. 左 室 内 の 血 液 容 量 が 増 加 する 場 合 ( 不 十 分 な 除 水 が 続 いた 時 Volume Over) 透 析 患 者 の 場 合 心 筋 変 性 による 左 室 肥 大 についての 対 処 は 困 難 だが 不 十 分 な 除 水 が 原 因 のことも 多 いので 以 前 は 左 室 肥 大 でなかった 症 例 や CTR の 拡 大 を 伴 うものについては DW を 下 げる 事 によって 改 善 される 事 もあります 17
診 断 :V5 又 は V6 のR 波 とV1のS 波 の 総 和 が 35mm 以 上 を LVH とします 不 整 脈 透 析 患 者 に 於 いては 洞 機 能 不 全 や 房 室 伝 導 障 害 などの 徐 脈 性 不 整 脈 のみならず, 色 々な 理 由 により, 不 整 脈 が 起 こりやすいです 主 な 理 由 として 1. 透 析 治 療 に 至 った 腎 障 害 をきたす 基 礎 的 疾 患 ( 糖 尿 病, 高 血 圧 動 脈 硬 化 など)による 直 接 的 な 心 臓 への 影 響 2. 腎 不 全 状 態 に 合 併 した 高 血 圧 性 心 疾 患 虚 血 心 容 量 負 荷 の 増 大 による 心 肥 大 カルシ ウム 沈 着 アミロイト ーシス その 他 の Uremic toxin などの 代 謝 障 害 の 影 響 により 特 に 刺 激 伝 導 系 の 変 性 がみとめられること 3. 血 液 透 析 自 体 による カリウム カルシウムをはじめとする 電 解 質 のバランスの 急 激 な 変 化 や 除 水 などによる 循 環 血 液 量 の 変 化 に 基 づく 血 行 動 態 の 変 化 及 びそれに 伴 う 自 律 神 経 調 節 の 異 常 が 考 えられます そのため 転 入 時 や 脈 拍 の 不 整 結 代 時 はモニターを 積 極 的 に 装 着 し 透 析 による 影 響 や 不 整 脈 の 種 類 について 判 別 しておく 事 が 重 要 です *モニターのつけ 方 どんな 部 位 に 電 極 をつけても 波 形 は 出 ますが 毎 回 波 形 が 違 うのでは 比 較 ができないた め 下 記 に 原 則 統 一 します 赤 右 鎖 骨 下 の 中 線 黄 V4V5 の 位 置 ( 左 胸 の 下 ) 黒 右 胸 の 下 に 電 極 をつけ モニターの 電 源 を On にします 透 析 記 録 に 開 始 時 間 を 記 入 します 波 形 が 落 ち 着 いたところで 一 枚 記 録 しておきましょう 不 整 脈 発 見 時 には 記 録 し, 透 析 記 録 またはカルテに 貼 っておきましょう 虚 血 性 変 化 をみるときは 開 始 時 と 有 症 時 に 記 録 し 比 較 をしてください 18
上 室 性 期 外 収 縮 PAC/SVPC もっとも 高 頻 度 に 認 められる 不 整 脈 で 洞 結 節 以 外 の 心 房 房 室 結 節 His 束 等 の 異 所 性 興 奮 が 原 因 多 発 性 多 原 性 の 場 合 は 心 房 細 動 や 心 房 粗 動 に 移 行 する 危 険 があるので 要 注 意! 心 房 に 異 所 性 の 刺 激 興 奮 が 生 じ 洞 調 律 で 予 測 される 時 期 より 早 期 に P 波 が 出 現 します P 波 の 形 状 は 正 常 の P 波 に 比 べ 変 形 している 場 合 があります P-Q 間 隔 は 正 常 です 心 室 性 期 外 収 縮 PVC 心 室 内 における 異 所 性 興 奮 刺 激 により 心 室 が 収 縮 し 正 常 の 洞 調 律 で 予 測 される 時 期 よ り 早 期 に 幅 広 く 変 形 した QRS 波 形 が 出 現 します 幅 は 0.12 秒 と 広 く 振 幅 も 大 きいです 心 室 性 期 外 収 縮 の 後 には 長 い 休 止 期 が 示 される 事 が 多 いです 上 室 性 の 期 外 収 縮 に 比 べ 治 療 を 要 する 場 合 が 多 いです 多 原 性 多 発 性 RonT などから 心 室 頻 拍 や 心 室 細 動 に 移 行 する 場 合 があるので 早 期 に 適 切 な 治 療 を 要 します 心 室 頻 拍 VT 心 室 細 動 VF 19
前 記 の 場 合 緊 急 を 要 します!! 直 ちに DR コールのうえ 意 識 レベル バイタルサインの 確 認 し AED, 除 細 動 器 の 準 備 や 2%キシロカインの 静 注 の 準 備 をします 心 室 性 期 外 収 縮 の 場 合 透 析 以 外 でも 多 発 連 発 する 場 合 があるため 24 時 間 心 電 図 (ホ ルター 心 電 図 )を 装 着 しチェックをします 透 析 患 者 特 有 の 心 電 図 変 化 * 高 K 血 症 血 清 カリウム 値 が 極 端 に 上 昇 すると 心 筋 細 胞 の 脱 分 極 の 速 度 が 低 下 します (QRS の 幅 が 広 がる ) 心 房 筋 の 脱 分 極 伝 導 速 度 の 低 下 は P の 幅 の 延 長 振 幅 の 低 下 PQ 間 隔 の 延 長 が 見 られ 心 室 細 動 や 心 停 止 となります 原 因 カリウムの 摂 取 過 剰 カリウム 含 有 食 品 の 過 剰 な 摂 取 カリウム 含 有 製 剤 保 存 血 輸 血 カリウム 体 内 分 布 異 常 代 謝 性 アシドーシス( 血 清 K4mEq/l の 付 近 において 血 清 PH0.1 の 変 化 によって 血 清 K が 0.5~0.6mEq/l 変 化 します ) 細 胞 崩 壊 ひどい 便 秘 透 析 不 足 症 状 6mEq/l 倦 怠 感 悪 心 しびれ 感 異 常 知 覚 普 段 から 高 K の 患 者 については 症 状 が 現 れない 場 合 もあります 7~8mEq/l 脱 力 感 著 明 四 肢 筋 平 滑 筋 の 麻 痺 不 整 脈 9~10mEq/l 心 停 止 心 電 図 T 波 の 幅 が 狭 く 先 鋭 化 テント 状 T 心 室 内 伝 導 障 害 QRS の 延 長 P 波 の 高 さ 減 少 又 は 消 失 ST 部 分 の 上 昇 房 室 ブロック 房 室 接 合 部 調 律 20
処 置 緊 急 透 析 アルカリ 製 剤 の 静 注 炭 酸 水 素 ナトリウム 注 射 液 当 院 ではメイロン 84 ジュータミン カリウム 拮 抗 薬 の 静 注 塩 化 カルシウム 注 細 胞 膜 興 奮 閾 値 を 上 昇 させてカリウムと 拮 抗 します ( 炭 酸 水 素 Na とで 炭 酸 Ca の 沈 殿 ができるので 同 時 投 与 しない) ブドウ 糖 液 +レギュラーインスリンの 点 滴 静 注 カリウム 交 換 樹 脂 の 投 与 カリメート アーガメイトゼリー * 低 Ca 血 症 原 因 透 析 患 者 では カルシウム 製 剤 やビタミン D 剤 の 内 服 透 析 液 中 の Ca により 8 ~10mg/dl で 調 整 されています しかし 二 次 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 により PTX で 全 腺 切 除 され 植 え 込 んだ 副 甲 状 腺 が 生 着 するまでは Ca 剤 とビタミン D 剤 の 内 服 が 不 可 欠 だが 不 確 実 な 内 服 や 十 分 なデータの 管 理 が 出 来 ていないと 低 Ca 血 症 を 起 こす 事 がありま す 症 状 筋 肉 痛 しびれ 感 全 身 痙 攣 心 電 図 ST 部 分 の 延 長 QT 間 隔 の 延 長 * 冠 動 脈 の 解 剖 冠 動 脈 の 分 布 する 部 位 により 心 電 図 変 化 の 現 れる 誘 導 はことなるので 解 剖 を 理 解 する 事 が 大 切 です 他 院 で 心 臓 カテーテル 検 査 をしてきた 時 に 番 号 と 狭 窄 率 が 記 載 されて いますが この 番 号 は 世 界 共 通 で(AHA 分 類 )この 狭 窄 部 位 から 重 症 度 を 予 見 することが できます 右 冠 動 脈 RCA 右 冠 動 脈 (RCA) 心 房 と 右 室 の 境 界 にある 房 室 間 溝 の 前 方 に 沿 って 心 臓 表 面 を 走 行 右 室 枝 や 鋭 角 枝 を 分 岐 しながら 心 臓 の 後 ろ 側 の 回 って 心 尖 部 方 向 に 枝 が 伸 びます 右 冠 動 脈 の 支 配 領 域 は 個 人 でまちまちですが 一 般 的 に 3 本 の 冠 動 脈 の 中 で 二 番 目 に 広 い 事 が 多 いです このため 右 冠 動 脈 が 詰 まって 生 じる 心 筋 梗 塞 は 小 ~ 中 等 度 である 事 が 多 いです 21
左 前 下 行 枝 LAD 左 前 下 行 枝 は 前 室 間 溝 ( 右 室 と 左 室 の 心 臓 前 面 の 境 界 にある 溝 )に 沿 って 心 尖 部 に 進 みま す 中 隔 穿 通 枝 は 心 臓 の 筋 肉 の 中 ( 心 室 中 隔 )へ 血 管 が 入 り 込 んでいます その 他 の 太 い 枝 はほとんど 左 室 の 表 面 を 走 行 しています 3 本 の 冠 動 脈 の 中 で 一 番 支 配 領 域 が 広 い 事 から 冠 動 脈 が 詰 まって 生 じる 心 筋 梗 塞 は 広 範 囲 になり 易 く 血 管 の 根 元 に 近 いほど 広 範 囲 になり 左 冠 動 脈 主 幹 部 の 閉 塞 の 場 合 には 命 の 危 険 も 考 えられます 左 回 旋 枝 LCX 左 回 旋 枝 は 左 房 と 左 室 の 境 界 にある 房 室 間 溝 に 沿 って 心 臓 の 表 面 を 後 ろに 回 り, 途 中 心 尖 部 方 向 に 枝 分 かれします 回 旋 枝 の 支 配 領 域 は 一 般 的 に 3 本 の 冠 動 脈 の 中 で 一 番 少 ない 事 が 多 く 冠 動 脈 が 詰 まっ て 生 じる 心 筋 梗 塞 は 軽 度 ですむ 事 が 多 いです 22
急 性 心 筋 梗 塞 の 心 電 図 変 化 梗 塞 部 位 Ⅰ Ⅱ Ⅲ avl avf V1 V2 V3 V4 V5 V6 前 壁 中 隔 梗 塞 - - - - - + + + - - - 限 局 性 前 壁 梗 塞 - - - - - - + + + - - 前 側 壁 梗 塞 - - - - - - - - - + + 高 位 側 壁 梗 塞 + - - + - - - - - - - 広 範 前 壁 梗 塞 + - - + - + + + + + + 下 壁 梗 塞 - + + - + - - - - - - 下 側 壁 梗 塞 - + + - + - - - - + + 高 位 後 壁 梗 塞 - - - - - (+) (+) - - - - 下 後 壁 梗 塞 - + + - + (+) (+) - - - - 上 記 の 心 筋 梗 塞 の 場 合 (+)の 誘 導 で 変 化 を 認 めます ST,T に 変 化 があったときは 上 記 の 表 と 見 比 べて 同 様 の 部 位 で 変 化 があるときは 血 管 の 閉 塞 はしなくても 狭 窄 がある 危 険 があります * 心 エコーについて 心 腔 内 の 計 測 AoD ( 大 動 脈 径 ) 16~28mm LAD( 左 房 径 ) 18~44mm IVC ( 下 大 静 脈 径 ) 22mm 以 下 中 心 静 脈 圧 を 反 映 し 透 析 患 者 の 体 液 量 の 指 標 となる IVSd( 心 室 中 隔 厚 拡 張 末 期 )9.1~10.3mm LVPWd ( 左 室 後 壁 厚 拡 張 末 期 ) 7.0~12.0mm LVPWs ( 左 室 後 壁 厚 収 縮 末 期 ) 11~18mm LVDd ( 左 室 拡 張 期 末 径 ) 40~55mm LVDd ( 左 室 収 縮 期 末 径 ) 30~45mm FS ( 左 室 内 径 短 縮 率 ) 30~50% EF ( 左 室 駆 出 率 ) 60~80% CO ( 心 拍 出 量 ) 4~9 l/min 大 動 脈 弁 の 石 灰 化 の 診 断 AVA ( 大 動 脈 弁 弁 口 面 積 ) Max PG ( 圧 較 差 大 動 脈 圧 と 左 室 圧 ) 軽 症 :AVA 1CM² 以 上 max PG 50mmHg 以 下 中 等 症 :AVA 1~0.75CM² max PG 50~80mmHg 重 症 :AVA 0.75CM² 以 下 max PG 80mmHg 以 上 mean PG 50mmHg 以 上 僧 帽 弁 石 灰 化 の 診 断 僧 帽 弁 の 石 灰 化 により 僧 帽 弁 の 閉 鎖 が 障 害 され 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 を 生 じやすく 交 連 部 の 癒 合 はきたさない 為 僧 帽 弁 狭 窄 症 の 合 併 は 少 ないです したがって 合 併 する 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 の 診 断 と 重 症 度 の 評 価 が 重 要 になります 弁 膜 症 の 重 症 度 trivial; 極 軽 度 mild; 軽 度 moderate; 中 等 度 severe; 重 度 23
心 臓 の 左 室 壁 運 動 異 常 (asynergy) 正 常 収 縮 normal 運 動 低 下 hypokinesis 無 運 動 akinesis 奇 異 性 収 縮 dyskinesis 心 室 瘤 aneurysm 拡 張 能 E/A ( 拡 張 早 期 波 / 心 房 収 縮 波 )1.0~1.5 高 血 圧 症 虚 血 性 心 疾 患 などで 拡 張 能 の 低 下 した 時 は E/A<1となります *ペースメーカーについて ペースメーカーは 3 つの 文 字 で 機 能 をあらわしています 1 番 目 2 番 目 3 番 目 刺 激 部 位 感 知 部 位 反 応 様 式 A: 心 房 A: 心 房 I: 抑 制 V: 心 室 V: 心 室 T: 同 期 D: 心 房 と 心 室 D: 心 房 と 心 室 D: 抑 制 と 同 期 1 番 目 と 2 番 目 の 文 字 は 電 極 のおいてある 部 屋 です 3 番 目 の 文 字 は 心 房 の 動 きを 2 番 目 の 部 位 で 感 知 したときペースメーカーがどのように 作 動 するかをあらわしています VVIペーシング VVIペーシングでは 1 分 間 にペースメーカーが 心 臓 を 動 かす 回 数 が 設 定 されていますが それより 心 拍 数 が 少 なくならない 様 に 心 室 を 監 視 しています ペースメーカーは 設 定 され ているレートによって 刺 激 を 出 すタイミングが 決 まります ペースメーカーが 刺 激 を 出 す タイミングより 早 く 自 分 から 心 臓 ( 心 室 )が 拍 動 したときは ペースメーカーは 刺 激 を 出 し ません( 抑 制 ) ペースメーカーが 刺 激 を 出 すタイミングまでに 自 分 から 心 臓 ( 心 室 )が 拍 動 しなければ ペ ースメーカーは 決 められたタイミングに 刺 激 を 出 して 心 臓 ( 心 室 )を 拍 動 させます 以 上 のことを 繰 り 返 して, 心 臓 ( 心 室 )の 拍 動 を 助 けるのがVVIです 電 極 が 1 本 で 済 み 手 術 時 間 もかからないため 多 くの 患 者 が 使 用 しています AAIペーシング ペースメーカーは 心 房 を 監 視 しています VVIと 同 様 AAIでもペースメーカーが 刺 激 を 出 すタイミングはペースメーカーに 設 定 されている 心 臓 を 動 かす 回 数 (レート)で 決 まります ペースメーカーが 刺 激 を 出 すタイミングより 早 く 自 分 から 心 臓 ( 心 房 )が 拍 動 し たときはペースメーカーは 刺 激 を 出 しません( 抑 制 ) ペースメーカーが 刺 激 を 出 すタイミングまでに 自 分 から 心 臓 ( 心 房 )が 拍 動 しなければ ペ ースメーカーは 刺 激 を 出 して 心 臓 ( 心 房 )を 拍 動 させます DDIペーシング DDIはAAIとVVIがドッキングしたものと 考 えてください ペースメーカーに 設 定 されている 心 臓 を 動 かす 回 数 (レート)によって 刺 激 を 出 すタイミ ングが 決 まります 心 房 で 心 臓 の 拍 動 を 感 知 したら ペースメーカーはお 休 みします( 抑 制 )し 感 知 しなけ れば 刺 激 を 出 します 24
同 様 に 心 室 で 拍 動 を 感 知 したらペースメーカーは 抑 制 し 感 知 しなければ 刺 激 します DDIでは もし 心 房 が 不 整 脈 ( 心 房 細 動 など)になっても 心 房 に 合 わせて ペースメーカ ーが 心 室 に 刺 激 を 出 さないので 不 必 要 な 動 悸 を 避 ける 事 ができます DDDペーシング 心 房 が 拍 動 している 時 は 心 房 の 拍 動 を 感 知 してから 一 定 時 間 内 に 心 室 の 拍 動 を 感 知 すれば ペースメーカーはお 休 みします( 抑 制 )し 感 知 しなければペースメーカーは 刺 激 を 出 して 心 室 を 拍 動 させます ( 同 期 ) また 心 房 が 拍 動 しない 場 合 は ペースメーカーに 設 定 されている 心 臓 を 動 かす 回 数 (レー ト)のタイミングでペースメーカーは 心 房 を 刺 激 します そして 一 定 時 間 内 に 心 室 の 拍 動 を 感 知 すればペースメーカーはお 休 みします( 抑 制 )し 感 知 しなければ 刺 激 を 出 して 心 室 を 拍 動 させます( 同 期 ) 心 房 の 拍 動 が 早 すぎる 場 合 ペースメーカーも 心 房 に 合 わせて 早 く 刺 激 を 出 してしまうの で 不 必 要 に 脈 が 速 くなってしまうことがあります なので 最 近 では 心 房 の 拍 動 が 早 すぎたらペースメーカーが 自 動 的 に 脈 を 遅 くする 機 能 がついています DDDは 出 来 るだけ 心 房 と 心 室 を 連 動 させて 動 かそうとするペースメーカーです 正 常 な 心 臓 と 同 じように 動 かせるペースメーカー( 生 理 的 ペースメーカー)の 最 も 進 んだタイ プといえます 25