報 告 風 況 観 測 における 風 速 測 定 方 法 の 比 較 * 早 田 大 希 ** 木 場 和 義 *** 幽 谷 栄 二 郎 風 況 観 測 は, 風 力 発 電 の 事 業 性 を 判 断 するための 事 前 調 査 で 実 施 される 主 要 な 業 務 の 一 つで ある これまでに 日 本 の 各 地 で 実 施 されてきた 風 力 発 電 のための 風 況 観 測 では, 風 杯 式 風 速 計 を 用 いた 観 測 が 主 流 であるが, 風 杯 式 風 速 計 では, 乱 れ 強 さの 観 測 など 詳 細 な 風 特 性 の 観 測 に 対 する 正 確 な 精 度 は, 十 分 に 把 握 できない 今 回, 超 音 波 式 風 向 風 速 計 と, 風 杯 式 風 速 計 の 同 時 刻 による 観 測 結 果 を 比 較 し, 風 況 特 性 評 価 への 影 響 を 検 討 した 本 文 では,その 概 要 を 報 告 する キーワード: 風 況 観 測, 超 音 波 式 風 向 風 速 計, 風 杯 式 風 速 計, 乱 れ 強 さ まえがき 著 者 らは,NEDO( 独 立 行 政 法 人 新 エネルギ ー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 )との 共 同 研 究 である 風 杯 式 風 速 計 を 使 った 風 況 精 査 (H14.1 ~ H15.11)と 同 じ 時 期 に, 超 音 波 式 風 向 風 速 計 を 使 った 風 況 観 測 を 実 施 した 2 つの 観 測 システムは, 海 岸 に 面 した 当 社 の 富 津 工 場 内 に 隣 接 して 設 置 し た 1)2) 風 力 発 電 のための 風 況 観 測 では, 一 般 的 に 風 杯 式 風 速 計 が 使 用 されているが, 乱 れ 強 さなど 風 特 性 の 精 度 は, 十 分 に 把 握 できないと 考 えている ここでは, 変 動 する 風 速 が 精 度 良 く 計 測 できる 超 音 波 式 風 向 風 速 計 の 観 測 システムの 観 測 記 録 と 同 時 刻 における NEDO の 風 況 観 測 記 録 を 比 較 し, 風 の 特 性 評 価 への 影 響 について 検 討 した 特 に, 風 力 発 電 における 発 電 量 やブレードの 耐 久 性 に 影 響 が 大 きいと 思 われる 乱 れ 強 さに 着 目 している 1. 観 測 概 要 (1) 観 測 地 点 当 社 の 富 津 工 場 は, 房 総 半 島 の 東 京 湾 側 中 西 部 の 埋 立 地 に 位 置 し,しばしば 強 風 が 吹 く 地 域 であ り, 湾 口 からの 風 が 期 待 できる 図 -1 に 配 置 図 を 示 す 超 音 波 観 測 システム 風 杯 式 観 測 システム 図 -1 観 測 システムの 配 置 概 要 *ニュービジネス 開 発 部 ** 技 術 研 究 室 課 長 *** 技 術 研 究 室 - 1 -
観 測 機 器 は, 橋 梁 保 管 ヤードの 傾 斜 のない 平 坦 な 空 き 地 に 設 置 した 観 測 機 器 の 西 南 側 は, 海 岸 に 面 している 風 況 に 影 響 を 及 ぼす 障 害 物 として, 北 側 に 約 6m 離 れた 所 に, 高 さ 24mの 橋 梁 加 工 棟 と, 東 側 に 約 7m 離 れた 所 に, 高 さ 24mの 事 務 所 棟 がある 超 音 波 観 測 システムと 風 杯 式 観 測 システムは, 南 西 の 卓 越 風 向 に 対 して 横 並 びに 1 m 程 度 離 して 設 置 している (2) 観 測 システムの 仕 様 風 杯 式 風 速 計 を 用 いた 観 測 システムは,NEDO の 風 況 精 査 で 使 用 されている 仕 様 である 風 杯 式 風 速 計 と 矢 羽 根 式 風 向 計 は NRG 社 製 で,データ ロガーは NRG 社 製 (データロガーA)と NOMAD 社 製 (データロガーB)である データロガーは, 観 測 中 の 故 障 のため 2 機 種 を 使 用 した 表 -1 に, データロガーの 相 違 点 を 示 す 風 杯 式 観 測 システ ムの 設 置 状 況 を 写 真 -1 に 示 す 風 況 観 測 は, 地 上 高 さ 3m,2m,1m で 行 っている 表 -1 データロガーの 比 較 データロガーA データロガーB 超 音 波 式 風 向 風 速 計 を 用 いた 観 測 システムは, カイジョーソニック 社 製 の 超 音 波 式 風 向 風 速 計, NI 社 製 の AD 変 換 装 置 および 当 社 で 開 発 した 観 測 プログラムを 用 いてデータ 収 集 している この 超 音 波 観 測 システムは, 風 杯 式 観 測 システ ムのサンプリング 間 隔 が 1 または 2 秒 であるのに 対 して,さらに 細 かく 設 定 できる( 今 回 は.1 秒 )ので, 風 の 変 動 を 正 確 に 評 価 できると 考 えて いる 写 真 -2 に 超 音 波 観 測 システムの 設 置 状 況 を 示 す 風 況 観 測 は, 地 上 高 さ 1mで 実 施 し, 電 源 に マイクロ 風 力 発 電 機 と 太 陽 電 池 の 独 立 電 源 を 使 用 し, 補 助 電 源 として 一 般 電 源 を 併 用 した 今 回 の 検 討 は,2 つの 観 測 システムの 比 較 を 行 うため, 地 上 高 さ 1m の 観 測 結 果 を 使 用 する 2 2) つの 観 測 システムの 仕 様 比 較 は, 参 考 文 献 に 示 している 写 真 -3 は 観 測 機 器 の 外 観 を 示 す 山 間 部 の 多 い 日 本 の 風 特 性 を 把 握 する 上 で, 鉛 直 方 向 の 風 速 成 分 を 知 ることは 重 要 であると 考 え る 超 音 波 観 測 システムでは, 水 平 2 成 分 と 鉛 直 成 分 を 観 測 できるセンサーを 使 用 することで, 風 の 鉛 直 成 分 の 乱 れ 強 さと 傾 斜 角 を 観 測 することが できる サンプリング 間 隔 2 秒 1 秒 較 正 値.35m/s オフセット(.35m/s 未 満 は 全 て m/s).48m/s (.48m/s 以 下 は, 全 て.48m/s) 超 音 波 式 風 向 風 速 計 避 雷 針 スロープ.765.773 マイクロ 風 車 3m 観 測 小 屋 2m 太 陽 電 池 1m 風 杯 式 風 速 計 矢 羽 根 式 風 向 計 写 真 -2 超 音 波 観 測 システム 設 置 状 況 写 真 -1 風 杯 式 観 測 システム 設 置 状 況 写 真 -3 風 杯 式 ( 左 ), 矢 羽 根 式 風 向 計 ( 中 ) 超 音 波 式 風 向 風 速 計 ( 右 ) - 2 -
2. 観 測 結 果 (1) 観 測 期 間 観 測 記 録 の 比 較 分 析 では, 平 成 14 年 8 月 から 1 月 の 間 で 両 方 のシステムで 同 時 に 観 測 できて いるデータ(1 分 間 平 均 値 359 個 )を 使 用 する 表 -2 に 観 測 期 間 を 示 す この 間, 風 杯 式 観 測 シス テムでは,8/6 にデータロガーが 故 障 したため, 機 器 の 交 換 を 行 った このため 8/6 までは,デー タロガーB で,それ 以 降 はデータロガーA を 使 用 した (2) 観 測 記 録 の 比 較 1) 平 均 風 速 超 音 波 式 と 風 杯 式 の 2 種 類 の 風 速 計 で 観 測 し た 記 録 から, 水 平 成 分 の 1 分 間 平 均 風 速 を 比 較 した 結 果 を 図 -2 に 示 す 観 測 できた 15m/s 以 下 データでは,ほぼ 1: 1 の 直 線 上 に 分 布 している 分 布 の 幅 は, 風 速 6m/s では 約 ±.8m/s で, 風 速 1m/s では 約 ±.5m/s となる 風 速 に 対 する 分 布 特 性 の 大 きな 差 は 見 られない 低 風 速 域 で 2 つのデータロガーで, 分 布 特 性 に 違 いがある 風 杯 式 観 測 システムで 使 用 した 2 つのデータロガーのデータ 処 理 の 内 容 と 出 力 について 確 認 した データロガーA では, 風 速.35m/s 以 下 のデ ータを m/s としている これにより 風 速 2m/s 以 下 の 範 囲 で, 超 音 波 式 の 観 測 記 録 に 対 して, 低 い 値 となっている データロガーB は, 風 速 の 最 小 値 を.48m/s として,それ 以 下 を 切 り 上 げているので, 低 風 速 域 付 近 では 超 音 波 式 の 観 測 記 録 より 大 きな 値 となる 以 上 より, 風 杯 式 観 測 システムでは, 観 測 機 器 の 始 動 風 速 とデータロガーのデータ 処 理 の 内 容 を 考 慮 する 必 要 があり, 低 風 速 域 での 観 測 記 録 の 扱 いには 注 意 が 必 要 と 考 える 2) 平 均 風 向 平 均 風 向 は, 平 均 風 速 が.5m/s を 超 えるデ ータを 対 象 として 同 時 刻 における 値 で 比 較 した 北 を とし 時 計 回 りに 角 度 を 設 定 する 図 -3 に 2 つの 機 器 による 風 向 値 の 比 較 を 示 す 同 時 刻 の 風 向 を 平 均 風 速 3m/s で 分 けて 示 している 2 36 18 16 14 27 海 方 向 風 杯 式 (m/s) 12 1 8 矢 羽 根 式 ( ) 18 6 4 データロガーA 2 データロガーB 2 4 6 8 1 12 14 16 18 2 超 音 波 式 (m/s) 図 -2 平 均 風 速 の 比 較 9 9 18 27 36 超 音 波 式 ( ) 図 -3 平 均 風 向 の 比 較.5< 平 均 風 速 3 表 -2 観 測 期 間 8 月 9 月 1 月 5 1 15 2 25 5 1 15 2 25 5 1 15 2 25 超 音 波 1-4 5-8 18-23 24-27 2-5 16-19 11-16 2-21 風 杯 式 風 速 計 矢 羽 根 式 風 向 計 1-6 8/7-1/17 1-6 7-12 21-24 8/3-1/31-3 -
風 向 の 差 ( ) 図 の 海 方 向 (158 ~266 )とは, 海 に 面 して いる 方 位 のことである 風 速 3m/s 以 上 では, 地 形 条 件 の 違 いに 関 係 なく,ほぼ 1:1 の 直 線 上 に 分 布 している 図 -4 で 同 時 刻 における 風 向 の 差 について, 風 速 を 横 軸 にして 示 している 風 速 3m/s 以 上 で, 高 風 速 域 ほど 風 向 の 差 が に 収 束 している 風 速 1m/s の 風 向 の 差 は, 風 速 5m/s の 風 向 の 差 の 約 3/5 倍 に 減 少 している また, 風 速 3m/s 以 下 の 低 風 速 域 では, 風 向 の 差 にバラツキが 大 きい 低 風 速 域 で 風 向 の 差 が 大 きくなる 原 因 と して, 下 記 に 示 す 理 由 が 考 えられる 矢 羽 根 式 風 向 計 は, 機 器 の 特 性 から 慣 性 力 と 摩 擦 の 影 響 を 受 ける 特 に 低 風 速 域 では, 風 の 力 に 対 する 上 記 の 作 用 の 割 合 が 大 きくなる 3) 乱 れ 強 さ 風 速 に 対 する 乱 れ 強 さの 変 化 を 図 に 示 す 図 -5 は 超 音 波 式 で, 図 -6 に 風 杯 式 の 観 測 記 録 を 示 す 風 の 乱 れは, 地 形 や 構 造 物 などの 粗 度 条 件 の 影 響 を 受 けるので, と 山 側 に 分 けて 比 較 する は 南 西 を 中 心 に±22.5, は 北 18 12 6-6 風 速 3m/s 乱 れ 強 度 (%) 東 を 中 心 に±22.5 と 設 定 する 2 つの 観 測 システムによる 観 測 記 録 の 比 較 結 果 を 以 下 に 列 記 する 超 音 波 式 風 速 計 と 風 杯 式 風 速 計 は, 同 様 の 分 布 形 状 となっている 風 速 が 大 きくなると, 乱 れ 強 さは 小 さくなる 風 速 5m/s で と を 比 べると, は の 約 1/2 倍 に 減 少 している の 地 表 面 の 粗 度 が 大 きいことが 原 因 と 考 える 風 杯 式 風 速 計 は, 風 速 m/s 付 近 の 乱 れ 強 さ を 評 価 できない それに 対 して, 超 音 波 式 風 向 風 速 計 では, 風 速 m/s 付 近 まで 精 度 良 く 評 価 できる 図 -7 に,2 つの 観 測 システムの 同 時 刻 におけ る 乱 れ 強 さの 比 較 を 示 す 風 速 3m/s より 大 き い 値 では,ほぼ 1:1 の 直 線 上 に 分 布 している 風 速 3m/s 以 下 では, 風 杯 式 が, 超 音 波 式 よ り 乱 れ 強 さが 大 きくなっている 風 杯 式 が 低 風 速 域 で 乱 れ 強 さが 大 きくなる 原 因 は, 以 下 に 示 す 点 と 考 えている 1 8 6 4 2 全 風 向 -12-18 1 5 1 15 2 風 速 (m/s) 図 -4 風 向 の 差 と 平 均 風 速 5 1 15 2 図 -6 乱 れ 強 さと 平 均 風 速 ( 風 杯 式 観 測 システム) 1 8 乱 れ 強 度 (%) 8 6 4 全 風 向 風 杯 式 (%) 6 4 2 5 1 15 2 図 -5 乱 れ 強 さと 平 均 風 速 ( 超 音 波 観 測 システム) 2 平 均 風 速 3 2 4 6 8 1 超 音 波 式 (%) 図 -7 乱 れ 強 さの 比 較 ( 全 風 向 ) - 4 -
風 杯 式 (%) 風 杯 式 風 速 計 は,データの 処 理 過 程 で, 低 風 速 域 の 平 均 風 速 を 低 く 評 価 する 傾 向 がある 風 杯 式 には 始 動 風 速 があり,その 影 響 で 始 動 風 速 付 近 では, 風 速 の 変 動 を 示 す 標 準 偏 差 を 大 きくする これらの 原 因 により, 超 音 波 式 風 向 風 速 計 に 比 べて, 乱 れ 強 さが 大 きくなると 考 える 次 に, 観 測 機 器 の 特 性 に 対 する 地 形 条 件 の 影 響 を 見 るために, と の 風 に 分 けて 比 較 した 図 -8 と 図 -9 にその 結 果 を 示 す 図 では,.5m/s 以 上 の 風 速 を 対 象 としている と 陸 側 ともに,.5m/s 未 満 の 風 速 の 乱 れ 強 さをなく すことで, 図 -7 に 比 べてバラツキが 少 なくなる また, 分 布 のバラツキの 幅 は, 乱 れ 強 さの 大 き い の 方 が, よりも 大 きくなる 以 上 か ら 風 杯 式 風 速 計 による 低 風 速 域 の 乱 れ 強 さは, 超 音 波 式 よりも 大 きく 評 価 されるので, 注 意 が 必 要 である 1 8 6 4 4) 瞬 間 最 大 風 速 風 杯 式 風 速 計 と 超 音 波 式 風 向 風 速 計 では, 機 器 の 観 測 原 理 の 違 いから 瞬 間 的 な 風 の 変 動 に 対 する 出 力 が 異 なるものと 考 える 2 種 類 の 風 速 計 で 観 測 した 1 分 間 毎 の 瞬 間 最 大 風 速 を, 同 時 刻 の 記 録 で 比 較 した 結 果 を 図 -1 に 示 す 図 より 低 風 速 域 では, 風 杯 式 と 超 音 波 式 の 瞬 間 最 大 風 速 は,ほぼ 1:1 の 直 線 上 に 分 布 している 高 風 速 域 では, 風 杯 式 の 値 は, 小 さくなる 傾 向 がある 図 -11 に 平 均 風 速 に 対 するガストファクター の 変 化 を 示 す 風 杯 式 と 超 音 波 式 ともに, 風 速 が 大 きくなると,ガストファクターは 小 さくな り, 同 様 の 分 布 形 状 となっている 風 速 5m/s 以 上 では, 風 杯 式 の 方 が, 超 音 波 式 よりも, 全 体 的 に 小 さくなる 傾 向 がある 以 上 から, 風 杯 式 は, 機 器 の 特 性 から 高 風 速 域 では, 瞬 間 最 大 風 速 を 低 めに 観 測 している 風 杯 式 によって 瞬 間 最 大 風 速 を 評 価 するときは, 上 記 の 点 に 対 して 配 慮 し, 取 り 扱 いに 注 意 が 必 要 である 15 1 2 1 8.5 平 均 風 速 3 2 4 6 8 1 超 音 波 式 (%) 図 -8 乱 れ 強 さの 比 較 ( ) 風 杯 式 (m/s) 5 5 1 15 超 音 波 式 (m/s) 図 -1 瞬 間 最 大 風 速 の 比 較 3 風 杯 式 (%) 6 4 2.5 平 均 風 速 3 2 4 6 8 1 超 音 波 式 (%) 図 -9 乱 れ 強 さの 比 較 ( ) ガストファクター 2.5 2 1.5 1 2 4 6 8 1 超 音 波 式 風 杯 式 図 -11 ガストファクターと 平 均 風 速 - 5 -
5) 鉛 直 方 向 の 風 特 性 風 杯 式 観 測 システムでは, 観 測 できない 鉛 直 方 向 の 乱 れ 強 さや 傾 斜 角 について, 超 音 波 観 測 システムで 観 測 した 結 果 を 示 す と の 地 形 条 件 に 分 けて 評 価 する 鉛 直 方 向 の 乱 れ 強 さを 図 -12 に 示 す 水 平 方 向 と 同 様 の 分 布 形 状 となる 風 速 5m/s で, 水 平 方 向 と 比 較 すると, で, 水 平 方 向 の 約 2/3 倍 で, で 約 1/2 倍 の 値 になる 図 -13 に 傾 斜 角 の 観 測 結 果 を 示 す から の 風 の 傾 斜 角 は, 平 均 6.4 で 吹 き 上 げとなる 観 測 地 点 の 傍 に 岸 壁 があり,この 影 響 を 受 けて いると 考 える の 傾 斜 角 は,±5 の 範 囲 内 に 分 布 が 集 中 している 傾 斜 角 のバラツキ 幅 は 大 きく, 最 大 で±15 程 度 である 以 上 から, 乱 れた 風 を 評 価 する 上 で, 鉛 直 方 向 の 風 特 性 も 条 件 により 変 化 し,その 特 性 を 把 握 することは, 重 要 になる 場 合 があると 考 えて いる 鉛 直 方 向 についても, 精 度 良 く 観 測 でき る 機 器 の 選 定 が 望 ましい 3.まとめ 富 津 工 場 における 風 況 観 測 をもとに, 超 音 波 観 測 システムと 風 杯 式 観 測 システムによる 観 測 結 果 の 比 較 検 討 を 行 った 風 況 観 測 に 関 して, 下 記 に 示 す 点 について 注 意 する 必 要 があると 考 える 1) 風 杯 式 観 測 システムでは, 風 杯 式 風 速 計 の 始 動 風 速 を 考 慮 して 精 度 が 保 証 できる 最 低 風 速 を 設 定 する 必 要 がある 2) 風 杯 式 風 速 計 による 低 風 速 域 の 水 平 方 向 の 乱 れ 強 さは, 最 低 風 速 の 設 定 によるデータの 処 理 過 程 で, 大 きく 評 価 される 3) 風 杯 式 風 速 計 による 高 風 速 域 の 瞬 間 最 大 風 速 は, 機 器 の 特 性 により 小 さく 評 価 される 傾 向 が ある 4) 矢 羽 根 式 風 向 計 は, 低 風 速 域 において 慣 性 力 の 影 響 が 大 きくなり, 超 音 波 式 風 向 風 速 計 との 風 向 の 差 が 大 きくなる 5) 風 の 乱 れ 特 性 を 正 確 に 評 価 するためには, 鉛 直 方 向 の 風 特 性 を 考 慮 する 必 要 がある 1 乱 れ 強 度 (%) 傾 斜 角 ( ) 8 6 4 2 5 1 15 2 全 風 向 図 -12 乱 れ 強 さと 平 均 風 速 ( 鉛 直 方 向 ) 15 1 5-5 -1-15 5 1 15 2 図 -13 傾 斜 角 あとがき 今 回 の 観 測 で, 風 杯 式 風 速 計 の 特 性 についてあ る 程 度 把 握 できたと 考 えている さらに 観 測 機 器 や 風 の 特 性 を 精 度 良 く 把 握 するためには, 条 件 の 異 なる 場 所 での 観 測 や, 期 間 を 増 やして 検 討 を 行 う 必 要 があると 考 えている 今 後, 超 音 波 式 観 測 システムによる 観 測 結 果 の 評 価 時 間 の 再 設 定 やス ペクトル 特 性 の 比 較 を 行 うことを 考 えている 参 考 文 献 1) 木 場 和 義 早 田 大 希 田 中 英 之 : 富 津 工 場 に おける 風 況 精 査 結 果, 駒 井 技 報,vol23, pp.26-3,24.4. 2) 早 田 大 希 木 場 和 義 : 富 津 工 場 における 風 況 精 査 の 紹 介, 駒 井 技 報,vol22, pp.87-88, 23.4. 3) 早 田 大 希 木 場 和 義 幽 谷 栄 二 郎 : 風 況 観 測 における 風 速 測 定 方 法 の 違 いによる 観 測 結 果 の 比 較, 第 26 回 風 力 エネルギー 利 用 シンポジ ウム,pp.211-214,24.11. - 6 -