イノベーション・マネジメントの勘どころ, The Secret of Innovation



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Transcription:

イノベーション マネジメントの 勘 どころ 長 い 一 日 だった 12 件 のプロジェクトについて 検 討 し たが ほとんどが 予 定 より 遅 れている 飛 行 機 にはぎり ぎり 間 に 合 った ネクタイをゆるめ シートにもたれなが ら A 氏 は 声 を 出 さずにつぶやく なぜあの 連 中 ともっ とうまく 付 き 合 えないんだろう こんなに 時 間 をかけて 数 字 について 話 し 合 っているのに 彼 らの 予 測 値 にはどう も 信 頼 が 持 てない どうやら 飛 行 機 は 予 定 通 り 飛 ぶようだ ふと 隣 の 座 席 を 見 ると 自 分 と 似 た 年 恰 好 の 男 が ペイバック ( 邦 訳 : BCG 流 成 長 へのイノベーション 戦 略 ランダムハウ ス 講 談 社 )という 本 を 読 んでいる ボストン コンサルティング グループ(BCG) 世 界 をリードする 経 営 コンサルティングファームとして さま ざまな 業 種 マーケットにおいて 企 業 が 競 争 優 位 を 実 現 し 成 功 するための 支 援 を 行 っている 1963 年 米 国 ボストンに 創 設 以 来 現 在 世 界 38カ 国 に64 事 務 所 を 設 置 1966 年 に 世 界 第 2の 拠 点 として 東 京 に 2003 年 には 名 古 屋 に 中 部 関 西 事 務 所 を 設 立 http://www.bcg.co.jp/ 復 讐 小 説 ですか ¹とA 氏 は 隣 の 男 に 尋 ねる いいえ これはイノベーションをうまくマネジメントする 1 ペイバック という 強 盗 が 裏 切 ったかつての 相 棒 に 復 讐 する 物 語 を 描 いた メル ギブソン 主 演 の 映 画 (1999 年 公 開 )を 連 想 しての 言 葉

にはどうすればよいか という 本 ですよ それは 私 もぜひ 読 まなければ イノベーションをうまく マネジメントする 秘 訣 は 何 ですか そんなものはありません 秘 訣 はなし そしておかしなこ とに 頭 が 切 れてもイノベーションをうまくマネジメント できない 人 が 多 いんです 本 当 に? ええ この 本 によると 確 かにイノベーションには 優 れた アイデアが 必 要 ですが 規 律 とプロセスも 重 要 だという のです しっかりした 規 律 やプロセスがあれば 状 況 や 目 的 に 応 じてどんなリスクを 取 るべきか 適 切 な 判 断 が できる と 特 効 薬 はないということです 残 念 です 特 効 薬 があれば ちょうど 今 日 ひとつふた つ 使 いたかったのですが 隣 の 男 は 笑 う 新 製 品 を 市 場 に 出 そうとしていらっしゃるところですか ええ それでちょうど 今 開 発 チームと 私 たちマネジメン トが 同 じ 土 俵 に 立 って 議 論 を 進 めるための 仕 組 みがで きていないな と 考 えていたところなんです そうですね この 本 では キャッシュカーブ という 概 念 に 基 づいて 話 し 合 う 必 要 がある と 言 っています もちろん キャッシュには 常 に 重 点 を 置 いているつもり ですが プロジェクトの 採 算 がいつ 合 うようになるかということ だけではなく キャッシュフローに つまりプロジェクトか ら 予 測 される 累 積 キャッシュフローのパターンに 注 目 し ろ とこの 本 は 言 っています キャッシュカーブで 考 える 隣 の 男 はA 氏 の 返 事 を 待 っているようだが A 氏 はふ と 考 え 込 んでしまう 累 積 キャッシュフローがなぜそんな に 重 要 なのだろうか 図 を 描 いて 説 明 しましょうか 隣 の 男 は 紙 ナプキンの 上 からピーナッツをどけると 紙 ナプキンに 絵 を 描 き 始 める 縦 軸 が 累 積 キャッシュフローです 横 軸 は 時 間 と 主 なマ イルストーンを 表 します さあ これで 的 確 な 質 問 ができ ますよ たとえば? とA 氏 は 尋 ねる たとえばスタートアップコスト 高 すぎるでしょうか そ れとも 低 すぎるでしょうか 高 すぎるのなら すべて 自 前 でやる 方 法 だけでなく パートナー 企 業 と 協 業 してコスト

を 分 担 できないかも 考 えてみてはどうでしょう 低 いと 思 う 場 合 は 考 えうるさまざまなリスクを 克 服 できるだけの 投 資 を 確 実 に 行 ってきたかどうか 考 え 直 してみるとよ いでしょう 次 はスピード つまり 市 場 投 入 までの 時 間 です もっ と 速 める 必 要 があるでしょうか 競 合 企 業 は 今 何 をして いるでしょうか そして これからどう 動 くでしょうか 新 商 品 サービスの 市 場 でのライフサイクルはどのくらいの 期 間 でしょうか シュ トラップ²になるリスクはあるのでしょうか A 氏 は 自 分 で 答 えを 出 す もちろんありますね その 通 り と 隣 の 男 は 言 う A 氏 はさりげなくナプキンを 取 り 上 げポケットに 入 れ とてもシンプルなことに 思 えます と 言 った 奇 抜 なこ とは 何 もない 開 発 プロジェクトの 全 体 像 を 把 握 する それからスケール つまり 量 産 までの 時 間 についても 考 える 必 要 があります 投 資 に 対 するキャッシュリターン を 確 保 するには どれだけの 量 を またどの 程 度 の 期 間 で 販 売 する 必 要 があるでしょうか 目 標 販 売 量 を 達 成 できなかった 場 合 どうなるでしょうか 目 標 以 上 に 売 れ た 場 合 は すぐに 増 産 に 対 応 する 生 産 能 力 があるでしょ うか それがポイントです と 隣 の 男 は 言 う 予 測 数 字 が 良 さそうかどうかという 話 ではなく 予 測 数 字 に 信 憑 性 があるかどうかです たとえば12ヶ 月 で 収 支 が 合 うようなキャッシュカーブにしたいけれど 実 際 は18 か 月 かかるかもしれないと 思 っているとします 収 支 が 合 うまでの 期 間 が 長 くてもかまわないと 言 える 要 素 が 市 場 にあれば それは 必 ずしも 問 題 とは 限 らないんですよ そうすると とA 氏 は 言 う 話 が 掴 めてきたA 氏 は 話 に 割 って 入 る なるほど しかもここにサポートコストも 入 っています 私 の 役 割 は キャッシュカーブをより 良 い 形 に 改 善 す るにはどうすればよいかをチームに 考 えさせることです ね うちのプロジェクトチームは 新 しい 商 品 サービス の 市 場 投 入 からサポート 改 良 まで 含 めて 全 体 でどれだ けのコストが 必 要 かなんて 滅 多 に 考 えません サポート コストが 予 定 をかなり 上 回 った 場 合 その 製 品 がキャッ 2 本 来 利 益 を 生 み 出 すはずの 商 品 サービスが 実 はキャッシュを 吸 い 込 む 結 果 になっていること ボストン コンサルティング グループ(BCG)の 創 業 者 ブルース ヘンダーソンが 1970 年 代 初 頭 に 経 営 者 への 警 告 を こめてこう 呼 んだ

ね たとえば もっと 多 くのリスクを 取 ったら あるいは 取 らなかったら リスクを キャッシュカーブ 上 の 今 の 位 置 から 別 の 部 分 に 移 すことができるのかどうか つまり 実 際 にキャッシュカーブを 使 えば 投 資 を 始 める 前 も 後 も 含 めてプロジェクト 全 体 からのキャッシュリターンを 増 やすためのトレードオフについて 的 確 に 判 断 できるよう になる ということですね キャッシュカーブの 改 善 方 法 について 検 討 するプロセス をきちんとマネジメントすると 実 に 多 くのことを 学 ぶこ とができますよ 先 ほどからずっと 読 書 のお 邪 魔 をしていて 申 し 訳 な いのですが 他 にもアドバイスがあれば 教 えていただけ ませんか いえいえ お 役 に 立 てるならかまいませんよ 今 まで 個 々のプロジェクトのキャッシュカーブの 話 をしてきました が 次 に 開 発 プロジェクトのポートフォリオを 正 確 に 把 握 する 必 要 があるという 話 が この 本 に 書 かれています ポートフォリオはたいして 役 に 立 つと 思 ったことはありませ んが ただ 分 類 するだけで 何 の 打 ち 手 も 取 らなければ A 氏 は 見 るからに 納 得 できない 表 情 だ あなたの 会 社 で 今 どんなイノベーション プロジェクトが 進 行 中 か どんな 資 源 を 消 費 しているか 想 定 しうるリス クはどんなものか そして どんな 結 果 が 期 待 できるか といったことの 全 体 像 を 把 握 すれば 自 社 が 実 際 は 何 に 投 資 しているのかについて 新 たな 視 点 で 理 解 すること ができます キャッシュフローベースで 収 入 と 支 出 を 掴 む ことができる 上 に あるプロジェクトから 撤 退 すべきかど うかを 問 う 際 に より 大 きな 論 拠 を 持 てるようになりま す こういった 全 体 像 が 把 握 できれば プロジェクトの 進 行 が 遅 い 理 由 が 少 ない 資 源 であまりに 多 くのことをや ろうとしているからなのか あるいは もっと 進 行 スピー ドを 速 めるべきなのか もわかってきます さらに 男 は 言 う それから 正 式 にプロジェクトの 形 をとっているものだけ を 見 ていては 駄 目 ですよ 社 内 のいろいろな 人 が これは いいアイデアだ 現 在 の 予 算 でもなんとか 資 金 を 工 面 でき そうだ と 考 えて 進 めている 非 公 式 の 取 組 みが 何 百 もあ るのですから それらも 全 部 見 なければいけません なるほど イノベーションに 秘 訣 はないかもしれません が そこからスタートするのはよさそうですね イノベーションを 実 現 するリーダーシップ しかし 難 しいのはここからです と 男 は 続 ける これは 本 当 です 私 自 身 が 体 験 してきたことですから あなたがイノベーションから 会 社 が 得 るリターンを 高 め ようと 本 気 で 考 えていることを チームの 皆 が 知 る 必 要

があります それには イノベーションのリーダーとして 誰 かを 任 命 するか あるいは あなた 自 身 がリーダーになる ことです 誰 かをリーダーに 任 命 するなら 行 動 を 起 こす のに 十 分 な 力 つまり 組 織 の 枠 を 超 えた 本 当 の 力 影 響 力 信 頼 性 権 威 を 備 えた 人 物 でなければなりません それは 厳 しい 仕 事 ですね そんな 役 目 を 果 たせるのはど ういう 人 ですか 曖 昧 さも 容 認 できる 懐 の 深 さがあって リスクを 受 け 容 れることができる 一 方 どのようなリスクを 取 るべきかを きちんとわかっている 人 でしょう 人 を 素 早 く 見 抜 く 力 が あり 熱 意 と 客 観 性 のバランスがとれていて しかも 自 分 の 考 えを 変 えることを 恐 れない 人 です そういう 人 には2 3 心 当 りがありますが 彼 らを 今 の 担 当 から 異 動 させることはできないですね そこは 思 案 のしどころです と 男 は 反 論 する イノベー ション 予 算 の 大 きさを 考 えてごらんなさい 適 切 な 人 材 を おけば 膨 大 な 利 益 を 生 みだす 可 能 性 があるんですよ 彼 はさらに 言 う それにもうひとつ これはあなた 自 身 が 直 接 関 与 する 必 要 があることですが 大 半 の 企 業 は ほとんどすべて のプロジェクトに 同 一 のビジネスモデルを 使 っています 3つの 基 本 モデルがあります ひとつめは 全 部 を 自 前 でやるモデル 2つめは 重 要 な 領 域 だけを 自 社 で 担 当 し 他 はパートナーに 委 ねるモデル 3つめは 自 社 では 何 も 行 わず イノベーションや 技 術 を 他 社 にライセンシン グして その 企 業 に 商 業 化 を 任 せるモデルです このモ デルを 使 っている 企 業 は 少 ないですが 試 しにこれまで のプロジェクトをいくつか 見 直 してみて もし 違 うモデル を 使 っていればもっと 多 くのキャッシュリターンを 生 む 可 能 性 があったかどうか また 別 のモデルを 採 用 するこ とで 自 由 になる 資 源 を 使 って さらに 多 くの 新 しい 製 品 や サービスを 開 発 できたかどうか を 検 証 することです そんなことをする 時 間 があるかどうか 大 きな 利 益 を 生 み 出 すためには それが 大 事 なポイン トなのです 時 間 を 作 って 検 討 すれば モデルの 構 成 を 変 更 しておけばよかったと きっと 思 うことになりますよ さらに 重 要 なのは 現 在 パイプライン 上 にあるプロジェク トに 目 を 向 けることです なぜ 今 そのモデルを 使 ってい るのか 他 のモデルを 使 うには 何 が 障 害 になっているの か 他 のモデルを 使 うことは キャッシュの 量 と 配 分 自 社 ブランドに 対 する 間 接 的 なメリット 知 識 ベース それ にリスクにおいてどんな 意 味 があるのか 3つのモデルを 使 った 場 合 それぞれキャッシュカーブはどうなるのか それをやろうとすると 本 当 に 大 変 だ 最 後 にひとつ と A 氏 の 悩 みには 無 頓 着 に 彼 は 言 う あなたが 本 当 に 興 味 を 持 っているようなのでお 尋 ねし ますが あなたのリスクに 対 する 姿 勢 はどんなものです か イノベーションとそれを 利 益 に 変 えることについて 言 えば この 質 問 の 答 えによって あなたは 大 成 功 するか

もしれないし 大 失 敗 するかもしれません これは 大 局 的 な 話 です 個 々のプロジェクトだけに 目 を 向 けるのでは なく 自 社 のポートフォリオ 全 体 や 自 社 のリスク 吸 収 能 力 を 考 慮 したうえで リスクについて 徹 底 的 に 考 えぬくこ とです イノベーションへの 取 組 みをしないリスクと イノ ベーションが 失 敗 するリスクとを 天 秤 にかけるのです 何 らかのリスクは 必 ず 負 わなくてはなりません 沈 黙 が 二 人 を 包 む イノベーションの 禅 問 答 が 心 に 染 みていく 飛 行 機 は 着 陸 態 勢 に 入 ろうとしている 原 題 :The Secret of Innovation ジェームズ P アンドリュー ハロルド L サーキン ジェームズ P アンドリュー BCGシカゴ 事 務 所 シニア パートナー&マネージング ディレクター ハロルド L サーキン BCGシカゴ 事 務 所 シニア パートナー&マネージング ディレクター 本 稿 の 内 容 は 筆 者 両 名 の 著 書 Payback: Reaping the Rewards of Innovation ( 邦 訳 : BCG 流 成 長 へのイ ノベーション 戦 略 重 竹 尚 基 / 小 池 仁 監 訳 遠 藤 真 美 訳 ランダムハウス 講 談 社 )に 基 づいています イノベーション マネジメントにご 興 味 のある 方 は 以 下 の 資 料 もあわせてご 覧 頂 ければ 幸 いです 既 刊 展 望 Vol. 143 埋 もれた 資 産 を 探 し 出 せ Vol. 144 不 透 明 な 時 代 のリーダーシップ Vol. 145 企 業 価 値 ベースの 競 争 戦 略 Vol. 146 チェンジモンスター Vol. 147 リーダー 就 任 : 最 初 の100 日 間 Vol. 148 デフレの 定 石 :3+1 Vol. 149 ローマ 帝 国 の 興 亡 に 学 ぶ: 再 創 造 と 衰 退 の 岐 路 Vol. 150 今 また 戦 略 の 時 代 Vol. 151 キャッシュを 生 むR&D 商 品 開 発 : イノベーション トゥ キャッシュ(ITC) Vol. 152 ニューラグジュアリー 型 ブランドの 創 造 ワンランクアップの 新 商 品 開 発 需 要 創 造 のカギ Vol. 153 新 視 点 での 調 達 戦 略 ネットワークと 情 報 Vol. 154 ベン ホーガン Vol. 155 成 果 主 義 を 超 えて 完 璧 を 求 めて Vol. 156 営 業 現 場 を 変 える:SFE( 営 業 生 産 性 向 上 ) Vol. 157 投 資 家 の 顔 が 見 えているか Vol. 158 ポートフォリオ 戦 略 : 悪 循 環 から 抜 け 出 すステップ Vol. 159 M&Aの 幻 想 と 真 実 Vol. 160 フロント 係 のジレンマ: 変 革 マネジメントの 迷 信 を 打 ち 破 る Vol. 161 現 実 を 超 えて 認 識 を 変 える Vol. 162 ひとり 二 極 化 消 費 の 心 理 学 Vol. 163 現 場 力 を 超 えて 戦 略 スペースを 広 げる Vol. 164 企 業 再 生 リーダー 最 後 のスピーチ バックナンバーは 弊 社 ホームページでご 覧 いただけます http://www.bcg.co.jp/ 展 望 Vol.151 キャッシュを 生 むR&D 商 品 開 発 :イノベーション トゥ キャッシュ(ITC) http://www.bcg.co.jp/publications/tenbo/2004.html Opporunities for Action 2004 Winter http://www.bcg.co.jp/publications/ofa/2004.html Business Week Special Report, 2007 Most Innovative Companies http://www.businessweek.com/innovate/di_special/20070503mostinnovat.htm 2007 年 11 月 発 行 10 11

ボストン コンサルティング グループ 弊 グループでは 企 業 経 営 に 関 する 様 々なテーマについて コンサルティングサービスを 提 供 しております ご 関 心 をお 持 ちの 方 は 下 記 までお 問 合 せください く す み 秘 書 室 久 須 美 電 話 :03-5211-0386 FAX:03-5211-0333 電 子 メール ( ) bcgtokyo@bcg.co.jp 東 京 事 務 所 東 京 都 千 代 田 区 紀 尾 井 町 4-1 ニューオータニガーデンコート 102-0094 Tel.03-5211-0300 Fax.03-5211-0333 中 部 関 西 事 務 所 愛 知 県 名 古 屋 市 中 村 区 名 駅 1-1-4 JRセントラルタワーズ 450-6036 Tel.052-533-3466 Fax.052-533-3468 12 13 The Boston Consulting Group K.K.2007. All rights reserved. Vol. 165