テクニカルレポート 2014/09/25 目 視 調 査 に 基 づくコンクリート 構 造 物 の 表 層 品 質 評 価 手 法 の 実 績 と 調 査 結 果 を 反 映 した 表 層 品 質 向 上 技 術 坂 田 昇 *1 渡 邉 賢 三 *2 *3 細 田 暁 要 旨 :コンクリート 構 造 物 の 表 層 部 分 は, 構 造 物 の 耐 久 性 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 重 要 な 部 位 であり,かつ, 表 層 部 自 身 の 品 質 は 施 工 要 因 の 影 響 を 大 きく 受 ける そこで,コンクリート 構 造 物 の 表 層 部 の 品 質 を 目 視 調 査 に 基 づいて 合 理 的 に 評 価 する 方 法 を 用 いることによって 表 層 品 質 に 与 える 要 因 を 分 析 し, 品 質 向 上 につな げた 事 例 について 紹 介 する さらに, 分 析 の 結 果 から, 表 層 品 質 向 上 に 対 して 合 理 的 な 手 法 の 一 つとしてブ リーディング 抑 制 型 に 着 目 し,その 特 徴, 適 用 事 例 および 表 層 品 質 の 向 上 効 果 について 紹 介 する キーワード: 耐 久 性, 表 層 品 質,かぶり, 目 視 調 査,PDCA,ブリーディング 1.はじめに コンクリート 構 造 物 には 一 般 的 に, 耐 久 性, 安 全 性, 使 用 性, 復 旧 性, 環 境 性 など, 多 くの 性 能 が 求 められる 1) さらには,ランドマークとしての 存 在 感,あるいは 美 観 などが 求 められる 場 合 もある これらの 性 能 のうち, 土 木 のコンクリート 構 造 物 において 最 も 重 要 な 項 目 の 一 つとして, 耐 久 性 が 挙 げられる 耐 久 性 とは, 上 述 の 各 種 性 能 が 耐 用 期 間 中 において 環 境 作 用 によって 構 造 物 中 の 各 種 材 料 劣 化 により 不 具 合 が 生 じない 性 能 のこと 1) あるいは, 劣 化 に 対 する 抵 抗 性 2) であり,コンクリー ト 構 造 物 の 耐 久 性 においては,コンクリートの 表 層 品 質 いわゆる かぶり が 極 めて 重 要 であることが 明 らかに なっている 3) ここで,コンクリートの 耐 久 性 を 低 下 さ せる 要 因 は, 図 -1 に 示 すように, 経 年 劣 化, 初 期 欠 陥, 構 造 的 変 状 の 大 きく3つに 分 類 できる 2) このうち, 経 年 劣 化 については,1 塩 化 物 イオンや 二 酸 化 炭 素 といっ たコンクリート 構 造 物 中 の 鋼 材 を 腐 食 させる 劣 化 因 子 の 浸 透 による 場 合,2アルカリシリカ 反 応, 凍 害,あるい は 酸 劣 化 などコンクリート 自 体 の 健 全 性 の 低 下 による 場 合 に 分 類 できる また, 初 期 欠 陥 や 構 造 的 な 変 状 が 上 記 の 品 質 低 下 を 促 進 する 場 合,さらには,それぞれが 複 合 して 生 じるものなどがある そこで,コンクリート 構 造 物 の 耐 久 性 の 確 保 向 上 のためには, 上 述 の 項 目 に 応 じ てそれぞれの 対 応 策 を 講 じることが 重 要 である 経 年 劣 化 の 対 策 は,コンクリートの 早 期 劣 化 4) が 注 目 されるようになって 以 来, 多 くの 研 究 開 発 が 行 われ,コ ンクリート 配 合, 材 料 が 与 える 影 響 を 明 確 にすることで, 経 年 劣 化 の 速 度 を 遅 延 させつつ,より 詳 細 に 把 握 する 技 術 が 蓄 積 されてきている 一 方, 表 面 保 護 工 5) などコン クリートのみではなく, 複 合 構 造 などの 検 討 も 進 んでき た 初 期 欠 陥 の 対 策 として, 各 種 方 法 が 存 在 するものの, 近 年, 特 別 な 材 料 や 工 法 などを 用 いず, 施 工 方 法 の 勘 所 をコンクリート 打 込 みの 際 に 確 認 することで,コンクリ 6) ート 構 造 物 の 品 質 を 高 める 手 法 や 目 視 調 査 結 果 に 基 づ いてコンクリート 施 工 の PDCA サイクルを 回 して 品 質 を 3) 向 上 させていく 手 法 などが 注 目 されている これは, 材 料 工 法 に 多 大 なコストをかけることなく,コンクリ 経 年 劣 化 初 期 欠 陥 図 -1 耐 久 性 を 低 下 させる 要 因 の 概 念 図 見 栄 え > 構 造 的 変 状 > 品 質 耐 久 性 写 真 -1 見 栄 えの 相 違 の 事 例 *1 鹿 島 建 設 株 式 会 社 土 木 管 理 本 部 土 木 技 術 部 長 博 士 ( 工 学 ) 博 士 ( 農 学 ) ( 正 会 員 ) *2 鹿 島 建 設 株 式 会 社 技 術 研 究 所 土 木 材 料 グループ 主 任 研 究 員 博 士 ( 工 学 ) ( 正 会 員 ) *3 横 浜 国 立 大 学 大 学 院 都 市 イノベーション 研 究 院 准 教 授 博 士 ( 工 学 ) ( 正 会 員 ) - 1 -
ート 構 造 物 の 耐 久 性 向 上 が 容 易 にできるといった, 高 い 効 果 が 得 られることに 起 因 する 具 体 的 には, 初 期 欠 陥 の 防 止 のみならず,コンクリート 表 層 品 質 の 向 上 にも 効 果 があることが 明 らかにされている 構 造 的 変 状 の 対 策 として, 高 強 度 繊 維 補 強 コンクリー トや 高 靭 性 コンクリートなどを 用 いた 構 造 体 力 の 向 上 技 基 準 表 -1 目 視 調 査 におけるグレードの 一 例 一 般 的 に 良 とされる 範 囲 不 適 合 項 目 4 点 3 点 2 点 1 点 表 面 の 色 つや 沈 みひび 割 れ 色 が 均 一 で, 全 体 的 に 色 の 変 化 がない 部 分 的 な 色 むらがある 部 分 的 に 剥 離 剤 が 撹 拌 されたよ うな 色 むらが 発 生 している 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 表 面 気 泡 打 重 ね 線 型 枠 継 ぎ 目 のノロ 漏 れ ビーコン 近 傍 にも 沈 みひび 割 れが ない 5mm 以 下 の 気 泡 がほとんどない ( 目 安 : 概 ね 50 個 以 下 /m 2 ) 目 視 調 査 範 囲 のビーコンの 概 ね 1/5 以 上 に 沈 みひび 割 れが 発 生 ビーコン 直 径 の 3 倍 以 上 の 長 さの 沈 みひび 割 れが 発 生 5mm 以 下 の 気 泡 が 認 められる ( 目 安 : 概 ね 50 個 以 上 /m 2 ) 目 視 調 査 範 囲 のビーコンの 概 ね 1/2 以 上 に 沈 みひび 割 れが 発 生 ビーコン 直 径 の 5 倍 以 上 の 長 さの 沈 みひび 割 れが 発 生 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 10mm 以 下 の 気 泡 が 認 められる ( 目 安 : 概 ね 50 個 以 上 /m 2 ) 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 近 接 では 打 重 ね 線 が 認 められる ものの, 約 10m 離 れた 遠 方 からは 約 10m 離 れた 遠 方 から, 打 重 ね 約 10m 離 れた 遠 方 から, 打 重 ね 認 められない 線 が 認 められる 線 がはっきりと 認 められる 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 構 造 物 の オ ー ナ ー か ら 不 具 合 と 判 定 さ れ る 状 況 で 補 修 を 要 す る も の 砂 すじ 調 査 対 象 範 囲 にノロ 漏 れがほとん ど 認 められない 調 査 対 象 範 囲 の 概 ね 1/10 以 上 にノロ 漏 れが 認 められる 調 査 対 象 範 囲 の 概 ね 1/3 以 上 に ノロ 漏 れが 認 められる 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 調 査 対 象 範 囲 に 砂 すじがほとんど 認 められない 調 査 対 象 範 囲 の 概 ね 1/10 以 上 に 砂 すじが 認 められる - 2 - 調 査 対 象 範 囲 の 概 ね 1/3 以 上 に 砂 すじが 認 められる 2 点 の 状 態 よりも 劣 る 豆 板 については なし を 4 点 ある を 不 適 合 と 評 価 する
術 や 無 機 有 機 の 複 合 材 料 構 造 など 多 くの 技 術 的 解 決 策 が 開 発 され, 実 用 されている 7) 本 報 告 では,はじめに, 新 材 料 新 工 法 に 頼 らずに, 目 視 調 査 結 果 に 基 づいてコンクリート 施 工 の PDCA サイ クルを 回 して,コンクリート 構 造 物 の 表 層 品 質 の 確 保, 向 上 技 術 を 紹 介 する さらに,この PDCA システムを 適 用 することで 表 層 品 質 に 影 響 を 及 ぼす 要 因 として 明 確 に したものの 一 つとしてブリーディングに 着 目 した ブリ ーディングを 合 理 的 に 抑 制 することでコンクリートの 表 層 品 質 の 向 上 に 効 果 が 見 込 める 新 材 料 新 工 法 を 紹 介 す る 2. 目 視 調 査 に 基 づく PDCA サイクルを 用 いた 表 層 品 質 向 上 技 術 2.1 目 視 調 査 に 基 づく 表 層 品 質 評 価 手 法 (1) 概 要 コンクリートの 表 層 品 質 を 確 保 および 向 上 させるた めには,コンクリート 自 体 の 品 質 に 加 え, 一 つ 一 つの 施 工 の 要 因 に 着 目 し,それぞれの 要 因 が 品 質 に 与 える 影 響 を 把 握 し, 改 善 を 加 えていく 必 要 がある 特 に 土 木 のコ ンクリート 施 工 は, 温 度 や 湿 度 などの 環 境 条 件 の 異 なる 自 然 環 境 下 において, 他 と 同 じもののない 1 品 製 品 であ るという 特 徴 を 有 するため, 電 気 製 品 などの 工 場 製 品 と は 異 なり, 施 工 条 件 が 日 々 変 動 する また, 現 場 ごとに 材 料 やコンクリート 配 合 等 も 異 なる そのため, 現 場 ご とに 品 質 を 評 価 する 方 法 を 用 いて, 何 が 品 質 に 影 響 を 及 ぼしているのかを 把 握 することは, 適 切 な 対 策 を 講 じる 上 で 極 めて 重 要 となる 現 実 は,C:check の 評 価 手 法 が 確 立 されておらず,コンクリート 構 造 物 の 品 質 評 価 は 現 場 技 術 者 の 経 験 に 基 づく 判 断 に 委 ねられることから, 現 場 技 術 者 が 感 覚 的 に 改 善 を 図 っているのが 実 状 であった そこで, 著 者 らは,コンクリート 構 造 物 の 品 質 評 価 を 行 う 場 合, 品 質 が 否 の 場 合 は 明 確 であるが, 品 質 の 良 の 幅 が 広 い 8) ことに 着 目 し, 表 層 品 質 を 6 項 目 に 分 け, それぞれについて, 竣 工 検 査 で 辛 うじて 合 格 する 品 質 か ら, 極 めて 耐 久 性 の 高 い 品 質 まで, 良 の 中 を 明 確 に 分 類 した コンクリートの 表 層 品 質 に 関 係 する 事 象 を 細 か く 分 類 し,それぞれについて 評 価 することによって 漠 然 と 良 否 を 判 定 していたものを 目 視 で 定 量 化 できるととも に,どの 事 象 を 改 善 すれば 良 いかが 明 確 になる 表 -1 の 目 視 におけるグレードは, 鉄 筋 の 錆 を 判 定 する 方 法 7) を 参 考 に 考 案 したものである この, 簡 単 かつ 合 理 的 に PDCA サイクルを 回 す 目 視 調 査 に 基 づくコンクリートの 表 層 品 質 評 価 手 法 3),9) ( 以 下, 目 視 表 層 評 価 手 法 と 称 す)を 現 場 に 適 用 した 本 技 術 は 特 別 な 材 料 工 法 を 必 要 とするものではなく, 通 常 のとおり 実 施 されてきた 施 工 について 詳 細 にデータ (input)を 取 得 し, 表 層 品 質 の 評 価 結 果 (output)とを 比 較, 分 析 することで 改 善 方 針 を 明 確 にするものである ここでは,その 方 法 の 特 長 とその 結 果 について 紹 介 する (2) 目 視 表 層 評 価 手 法 目 視 調 査 に 基 づくコンクリートの 表 層 品 質 評 価 手 法 とは, 写 真 -1 に 示 すように 美 しいコンクリートは 品 質 と 耐 久 性 の 高 いコンクリートである 3) という 概 念 のも と,いくつかの 評 価 項 目 に 対 して, 技 術 者 が 目 視 により 評 価 するものである さらに, 目 視 表 層 評 価 手 法 は, 具 体 的 には, 発 注 者 の 規 格 を 満 足 する 品 質 良 の 範 囲 を 対 象 として, 各 段 階 のサンプル 写 真 を 表 -1 に 示 すように, コンクリートの 見 栄 えおよび 耐 久 性 に 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 項 目 のうち, 表 面 の 色 つや, 沈 みひび 割 れ, 表 面 気 泡, 打 重 ね 線, 型 枠 継 ぎ 目 のノロ 漏 れ, 砂 すじの 6 項 目 に 対 し,5 段 階 で 評 価 する 実 際 の 構 造 物 の 表 層 品 質 をサンプル 写 真 と 照 らし 合 わせて, 一 般 的 に 良 と される 範 囲 を 4 点,3 点,2 点,1 点 に 分 類 し,さらに 否 の 0 点 を 加 えて 5 段 階 の 評 価 を 行 う 4 点 は, 現 場 で 使 用 する 材 料, 工 法 および 人 員 で 達 成 しうる 最 高 品 質, 3 点 は 現 場 で 達 成 しうる 平 均 的 な 品 質, 2 点 は 所 定 の 要 求 品 質 は 満 足 するものの, 現 場 や 材 料 条 件 の 若 干 の 変 化 によっては 不 適 合 となる 可 能 性 があり, 現 状 の 材 料 施 工 を 見 直 す 必 要 のある 評 価 である 1 点 は 2 点 の 状 態 より 劣 る この 目 視 表 層 評 価 手 法 は 一 般 に 良 とされる 4~1 点 の 状 態 を 対 象 とし,より 品 質 の 高 いもの を 施 工 の 工 夫 で 目 指 すものであり, 否 である 不 適 合 は 対 象 外 とし, 発 生 した 場 合 は 別 途 対 策 を 講 じる 評 価 値 調 査 人 数 ( 名 ) 4 3 2 9 表 -2 目 視 表 層 評 価 の 概 要 工 期 柱 ( 本 ) 床 版 下 面 ( 箇 所 ) 1 期 施 工 分 8 3 2 期 施 工 分 4 3 3 期 施 工 分 4 3 1 期 2 期 3 期 柱 床 版 図 -2 各 工 期 における 評 価 結 果 3 ) - 3 -
3) 2.2 目 視 調 査 に 基 づく 表 層 品 質 評 価 手 法 の 適 用 結 果 (1) 対 象 構 造 物 目 視 表 層 評 価 手 法 を RC ラーメン 高 架 橋 の 建 設 現 場 に 適 用 した 本 項 では,その 結 果 を 紹 介 する 表 -2 に 概 要 を 示 すように, 評 価 対 象 として, 柱 は 1 期 施 工 分 8 本 と 2 期,3 期 施 工 分 各 4 本 の 合 計 16 本, 床 版 下 面 ( 梁 を 含 む)は 1,2,3 期 施 工 分 各 3 箇 所 ずつの 合 計 9 箇 所 とした 評 価 は, 表 -1 のグレードを 十 分 に 把 握 した 技 術 者 6 名 (うち,コンクリート 診 断 士 4 名 )と 現 場 担 当 の 技 術 者 3 名 の 合 計 9 名 で 実 施 した なお, 評 価 は 高 所 作 業 車 など 特 別 な 資 機 材 を 使 用 せず 地 表 面 から 実 施 し, 約 30 分 間 を 要 した (2) 調 査 結 果 柱, 床 版 共 に 1 期 施 工 に 比 べ 2 期 施 工 の 方 が 高 い 評 価 となっており,これは 現 場 技 術 者 による 自 発 的 な PDCA の 効 果 であった なお,3 期 施 工 においては, 現 場 技 術 者 が 自 主 的 に 品 質 改 善 のための 各 種 工 夫 を 実 施 しており, その 一 例 を 以 下 に 示 す 例 えば, 柱 においては, 表 面 気 泡 を 改 善 するために, 剥 離 剤 の 種 類 を 変 更 するととも に, 締 固 め 方 法 を 比 較 検 討 した 床 版 においては, 表 面 の 色 つや 打 込 み 線 を 改 善 するために, 打 込 み 時 の 型 枠 の 汚 れを 防 ぐための 部 分 的 にシートを 用 いるなどした さらに, 打 重 ね 時 間 間 隔 と 振 動 締 固 めを 管 理 する 専 属 管 理 者 を 設 けて 打 込 みを 行 った これらをはじめとする 各 種 改 善 工 夫 に 対 して 目 視 表 層 評 価 手 法 を 用 いて PDCA サイクルを 効 果 的 に 回 すことで, 品 質 が 向 上 したもので あり, 本 評 価 手 法 の 効 果 が 検 証 されたものと 考 える 2.3 目 視 表 層 評 価 手 法 による 品 質 向 上 の 試 みの 効 果 の 検 9) 証 調 査 人 数 ( 名 ) 6~11 名 表 -3 目 視 表 層 評 価 の 概 要 ひび 割 れ 抑 制 システム 適 用 前 適 用 後 対 象 橋 台 8 台 表 -4 評 価 値 のまとめ 評 価 値 ひび 割 れ 抑 制 システム 項 目 適 用 前 適 用 後 沈 みひび 割 れ 2.8 3.6 表 面 気 泡 2.6 3.4 打 重 ね 線 2.4 3.5 型 枠 継 ぎ 目 の 砂 すじ 2.9 3.3 面 的 な 砂 すじ 2.7 3.5 平 均 2.7 3.5 (1) 概 要 ひび 割 れに 代 表 される 初 期 欠 陥 が 耐 久 性 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすことから, 山 口 県 では,ひび 割 れに 関 する 調 査 が 強 化 されるようになった そこで, 実 構 造 物 を 用 いた 試 験 施 工 を 実 施 し, 山 口 県 独 自 のひび 割 れ 抑 制 システム を 構 築 した このひび 割 れ 抑 制 システムとは, コンクリ ート 構 造 物 ひび 割 れ 抑 制 対 策 資 料 を 定 めて 運 用 指 針 と し,コンクリート 構 造 物 の 施 工 に 関 係 する 発 注 者, 設 計 者, 製 造 者, 施 工 者, 研 究 者 が 情 報 を 共 有 して 全 ての 関 係 者 の 協 働 によってひび 割 れ 抑 制 を 目 指 すシステムであ る 10) 本 システムは 対 策 資 料 諸 基 準 を 中 心 に 位 置 づけ, 設 計, 施 工,データ 分 析 のそれぞれが 連 関 する 構 造 となっており, 関 係 者 の 協 働 によりシステム 全 体 でス パイラルアップする 構 造 である 具 体 的 には,1 適 切 な 4 システム 前 システム 後 流 通 IC( 前 ) 唐 樋 ( 前 ) 寄 江 ( 前 ) 来 福 台 ( 前 ) 嘉 川 IC( 試 行 中 ) 高 井 ( 後 ) 朝 田 BランプA1( 後 ) 朝 田 BランプA2( 後 ) 3.5 各 項 目 の 評 価 値 ( 平 均 値 ) 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 1. 1. 沈 みひび 割 割 れ れ 2. 表 2. 面 気 泡 3. 3. 打 重 ね 線 4. 型 枠 継 継 ぎ 目 ぎ のノロ 目 のノロ 漏 れ 漏 れ 5. 5. 砂 砂 すじ すじ 9) 図 -3 橋 台 の 目 視 表 層 評 価 手 法 の 結 果 - 4 -
施 工 時 期,2 材 料 等 による 抑 制,3 施 工 の 基 本 事 項 の 遵 守 であり,ひび 割 れを 抑 制 するために, 材 料, 施 工 を 改 善 していくものである 山 口 県 では, 平 成 17 年 度 から 橋 梁 下 部 工 やボックスカルバートでひび 割 れ 抑 制 対 策 を 検 証 する 試 験 施 工 を 開 始 し, 平 成 18 年 度 にシステム 運 用 の 試 行 を 行 い, 平 成 19 年 度 からひび 割 れ 抑 制 システムを 運 用 している 10) この 試 行 によってコンクリート 構 造 物 の ひび 割 れ 抑 制 のみならず, 表 層 品 質 の 向 上 が 図 れるもの と 考 えられる 本 項 では, 著 者 らが 開 発 した 目 視 表 層 評 価 手 法 を, 山 口 県 のひび 割 れ 抑 制 システムの 適 用 前 後 の 構 造 物 に 適 用 し, 施 工 の 基 本 事 項 の 遵 守 によって 不 具 合 が 低 減 していることを 定 量 的 に 評 価 できた 事 例 を 紹 介 す る (2) 目 視 表 層 評 価 の 結 果 表 -3 に 概 要 を 示 すように, 山 口 県 のひび 割 れ 抑 制 シス テムの 適 用 前, 適 用 後 の 橋 台 8 台 を 対 象 とした 調 査 結 果 を 図 -3 および 結 果 のまとめを 表 -4 に 示 す どの 評 価 項 目 においても,ひび 割 れ 抑 制 システムの 適 用 後 の 橋 台 の 評 価 値 が 高 い 傾 向 が 認 められ,ひび 割 れ 抑 制 システムの 適 用 前 後 で 目 視 表 層 評 価 手 法 の 点 数 の 平 均 値 が 約 0.8 改 善 する 結 果 となった 多 くの 調 査 者 が,ひび 割 れ 抑 制 シ ステムの 適 用 前 後 で 橋 台 の 品 質 の 違 いを 明 らかに 目 視 で 認 識 できるという 感 想 を 口 にしていたが, 本 研 究 の 目 視 表 層 評 価 手 法 でその 違 いを 定 量 的 に 検 出 できることが 明 らかとなった 2.4 セメントの 種 類 が 異 なるコンクリート 構 造 物 施 工 へ の 目 視 表 層 評 価 手 法 の 適 用 (1) 概 要 土 木 のコンクリート 構 造 物 の 施 工 において, 温 度 や 湿 度 などの 環 境 条 件 をはじめとする 施 工 条 件 が 日 々 変 動 す ることから, 構 造 物 の 品 質 に 影 響 する 要 因 を 評 価 把 握 しながら PDCA を 回 して 品 質 向 上 に 努 めることが 必 要 と なる しかしながら, 品 質 に 影 響 を 与 える 施 工 要 因 およ びその 影 響 度 は 明 確 になっておらず,また, 品 質 向 上 に 対 する 具 体 的 な 改 善 工 夫 の 手 法 ついては 全 てが 確 立 さ れているとは 言 い 難 い そこで, 本 項 では, 一 連 の 構 造 物 の 施 工 において セメント 種 類 の 異 なる 部 位 を 対 象 と して 表 層 目 視 評 価 手 法 を 適 用 して 評 価 値 を 取 得 し, 評 価 値 を 比 較, 分 析 することで, 構 造 物 の 品 質 に 影 響 する 要 因 について 考 察 を 加 えた 事 例 を 紹 介 する (2) 対 象 構 造 物 目 視 表 層 評 価 手 法 を 掘 割 構 造 によるボックスカルバ ートの 側 壁 部 の 57 ブロックで 実 施 した 11) 側 壁 の 基 本 形 状 は 厚 さ 0.8m, 高 さ 5.0m, 長 さ 10.0m であり,コン クリートの 打 込 み 箇 所 は 1.5m 間 隔 で 7 箇 所, 打 上 がり 高 さは 1 層 あたり 0.5m で, 合 計 10 層 で 打 ち 重 ねた コ 表 -5 セメント 種 類 の 相 違 が 評 価 値 に 与 える 影 響 セメント 種 類 評 価 値 低 発 熱 収 縮 抑 制 型 高 炉 セメント B 種 高 炉 セメント 項 目 (BB) (MKC) 表 面 の 色 つや 3.4 3.5 表 面 気 泡 3.3 3.0 打 重 ね 線 3.5 3.5 のろ 漏 れ 3.6 3.4 砂 すじ 3.7 3.2 ンクリートは 30-8-20 として,57 ブロックのうち,40 ブ ロックは 高 炉 セメント B 種 ( 以 下,BB と 称 す),17 ブ ロックは 低 発 熱 収 縮 抑 制 型 高 炉 セメント( 以 下,MKC と 称 す)を 用 いた なお, 単 位 水 量 150kg/m 3, 単 位 セメ ント 量 300kg/m 3 とした (3) 目 視 表 層 評 価 の 結 果 セメント 種 類 の 異 なるコンクリートの 目 視 表 層 評 価 手 法 の 結 果 として,6 項 目 の 評 価 値 を 表 -5 に 示 す 表 面 の 色 つやを 除 いて,BB の 方 が MKC より 評 価 値 が 大 きく, 表 層 品 質 は MKC よりも BB の 方 が 優 れていることが 伺 えた さらに, 表 面 気 泡 砂 すじ のろ 漏 れ につい ては, 評 価 値 の 差 異 が 比 較 的 大 きい 結 果 となった これ らのことから,MKC の3 項 目 の 評 価 値 が 特 に 小 さくな ったのは,MKC の 特 徴 であるブレーン 値 が 小 さいこと, 凝 結 時 間 が 遅 いことによって,ブリーディング 量 が 大 き くなったためと 推 測 された (4) まとめ 実 際 の 構 造 物 で 目 視 調 査 を 実 施 した 結 果, 現 場 で 取 得 した 施 工 要 因 と 表 層 品 質 評 価 結 果 を 分 析 することにより, ブリーディング 量 の 減 少 が 各 種 性 能 の 向 上 に 寄 与 してい るものと 推 測 した この 結 果 を 受 けて,ブリーディング の 抑 制 による 表 層 品 質 向 上 効 果 に 着 目 することとした 3.ブリーディング 抑 制 型 による 品 質 向 上 技 術 3.1 概 要 先 述 した 評 価 結 果 の 分 析 から,コンクリート 表 層 品 質 を 向 上 させる 要 因 の 一 つとしてブリーディングに 着 目 し た 本 章 では, 合 理 的 にブリーディングを 抑 制 すること で,コンクリートの 表 層 品 質 を 向 上 させる 方 法 を 紹 介 す る 3.2 検 討 事 例 現 在,ブリーディング 抑 制 として 適 用 されている 対 策 として,1 石 灰 石 微 粉 末 を 細 骨 材 に 置 換 して 使 用,2 強 度 ランクを 上 げることによる 単 位 セメント 量 の 増 加,3 高 性 能 の 使 用 による 単 位 水 量 の 低 減 が 一 般 的 - 5 -
である しかしながら,1 石 灰 石 微 粉 末 用 のサイロが 必 要 でコストがかかる,2セメント 量 が 多 くなること で, 温 度 応 力 によるひび 割 れ 発 生 確 率 が 高 くなる,3 一 般 的 にスランプの 小 さいコンクリートには 高 性 能 が 使 用 できない,などのデメリットも 多 い そこで, 著 者 らは 新 たにブリーディング 抑 制 型 AE 減 水 剤 ( と 称 す)を 使 用 してブリー ディングを 抑 制 する 手 法 を 開 発 した 本 手 法 は, 通 常 の を,JIS A 6204 に 適 合 する AE 減 水 剤 に 変 更 するだけであり,コンクリートの 仕 様 を 変 え ることなくブリーディングが 抑 制 できる 本 章 では, この を 用 いたブリーディング 抑 制 手 法 について, 実 構 造 物 に 適 用 した 結 果 を 紹 介 する 12) 3.3 室 内 試 験 による 検 討 検 討 ケースは と を 用 いた 2 ケースとした 使 用 材 料 を 表 -6 に, 配 合 を 表 -7 に 示 す コンクリートは 27-8-20BB とした 室 内 試 験 におけるブリーディング 試 験 の 結 果 を 図 -4 に 示 す 図 に 示 すように, は 0.15cm 3 /cm 2 と 比 較 的 多 く,それに 対 し, AE 減 水 剤 は 0.09cm 3 /cm 2 となり,ブリーディングが 大 幅 に 抑 制 される 結 果 となった なお, 特 徴 としてブリーデ ィングが 収 束 するまでの 時 間 が 短 いことが 特 徴 として 挙 げられる 3.4 実 構 造 物 による 効 果 の 検 証 室 内 試 験 に 用 いたコンクリートを 実 機 ミキサにて 練 り 混 ぜ, 図 -5 に 示 す 幅 6.6m, 長 さ 31.5m, 高 さ 0.7m の 実 構 造 物 のスラブに 打 ち 込 んで,ブリーディング 量 の 把 握 を 行 った スラブの 一 方 に を 用 いた 普 通 コンクリート,もう 一 方 に AE 減 水 剤 を 用 いた 普 通 コンクリートを 打 ち 込 んだ 打 込 み 後 の 上 面 の 状 況 を 写 真 -2 に 示 す そして, 写 真 -2 のコン クリートを 対 象 としてキッチンペーパーを 用 いた 方 法 13) を 参 考 にしてブリーディング 試 験 を 実 施 した なお, 面 積 の 広 い 実 構 造 物 を 対 象 とすることから,228 220mm のキッチンペーパー9 枚 を 用 いた 試 験 結 果 を 図 -6 に 示 す 実 構 造 物 を 用 いた 試 験 においては, 室 内 試 験 と 同 様 に, を 使 用 することによ りキッチンペーパーへの 吸 着 量 (ブリーディング 量 ) が 低 下 しており, 実 際 の 打 込 みにおいてもブリーディ ングの 抑 制 効 果 が 得 られることを 確 認 した ここで, 図 -4 に 示 した JIS に 準 じた 方 法 によって 得 られた 値 に 比 べて, 絶 対 値 が 小 さくなった これは,JIS の 方 法 では 蓋 で 閉 鎖 空 間 におけるブリーディング 水 を 収 集 し ているのに 対 し, 実 構 造 物 では 風 による 乾 燥 の 影 響 な 表 -6 使 用 材 料 材 料 記 号 摘 要 水 W 地 下 水 セメント C 高 炉 セメント B 種, 密 度 :3.04g/cm 3 細 骨 材 S1 砕 砂, 密 度 :2.77g/cm 3, 粗 粒 率 :3.10 S2 海 砂, 密 度 :2.58g/cm 3, 粗 粒 率 :2.50 粗 骨 材 G 砕 石, 密 度 :2.77g/cm 3,Gmax:20mm AD1 標 準 形 (リグニンスルホン 酸 塩 ポリカルボン 酸 系 化 合 物 ) AD2 (ポリカルボン 酸 系 化 合 物 界 面 活 性 剤 系 特 殊 増 粘 剤 ) 呼 び W/C 強 度 (%) (N/mm 2 ) スラ ンプ (cm) 空 気 量 (%) 表 -7 配 合 単 位 量 (kg/m 3 ) W C S1 S2 G AD1 AD2 27 52.5 8.0 4.5 166 316 334 619 911 3.16 5.38 ブリーディング 量 (cm 3 /cm 2 ) 0.20 0.15 0.10 0.05 [JIS A 1123] 0.00 0 100 200 300 400 経 過 時 間 ( 分 ) 図 -4 ブリーディング 試 験 結 果 ( 室 内 試 験 ) 6.6m 0.7m 15.75m 31.5m 15.75m 図 -5 構 造 物 の 形 状 写 真 -2 ブリーディングの 状 況 - 6 -
どがあると 考 えられた なお,コンクリート 上 面 に 滲 出 したブリーディング 量 を の 種 類 で 比 較 すると, 写 真 -2 に 示 したように のブリーディン グ 量 の 方 が 目 視 でも 明 らかに 少 なくなっており,その 差 異 を 本 手 法 で 明 確 に 評 価 できることを 確 認 した 脱 枠 後 のコンクリートの 表 面 状 態 を 表 -8 に 示 す ここ で,ブリーディングの 抑 制 程 度 ( の 種 類 )を 要 因 として 2 章 に 示 した 目 視 調 査 に 基 づく 表 層 品 質 評 価 を 実 施 した その 結 果 を 表 -9 に 示 す 表 面 の 色 つや 表 面 気 泡 砂 すじ の 項 目 で,ブリーディングを 抑 制 した ことによる 表 層 品 質 の 改 善 効 果 が 確 認 された 表 面 の 色 つや 砂 すじ については,ブリーディング 水 が 減 少 し たことによる 直 接 的 な 効 果 によるものと 考 えられる 表 面 気 泡 については, 撮 影 対 象 箇 所 以 外 にもスラブの 側 面 全 体 に 亘 って, の 方 が 一 般 的 な AE 減 水 剤 を 用 いたコンクリートよりも 表 面 気 泡 が 減 少 し, 美 観 が 向 上 した ここで,ブリーディングは 型 枠 際 に 生 じ, 振 動 締 固 めによりコンクリート 中 から 型 枠 近 傍 に 移 動 した 気 泡 と 混 合 して 泡 立 つことで, 表 面 に 気 泡 として 残 存 すると 考 えた そのため,コンクリートのブリーデ ィング 量 を 低 減 したことで 上 述 した 泡 立 ちが 軽 減 され, 表 面 気 泡 が 著 しく 減 少 し, 副 次 的 に 表 面 の 色 つやも 向 上 したものと 考 えられる さらに, 材 齢 56 日 におけるスラブ 側 面 の 透 気 係 数 の 測 定 結 果 を 図 -7 に 示 す なお, 透 気 係 数 はトレント 法 に よって 求 めた を 用 いたコンクリート の 良 に 対 して, を 用 いた 場 合 では 優 であり,ブリーディングが 抑 制 されたことによっ て,コンクリート 表 面 が 緻 密 になり, 表 層 品 質 が 向 上 し たものと 考 えられる 3.5 セメント 種 類 によるブリーディング 抑 制 効 果 の 整 理 ブリーディング 量 に 及 ぼす 要 因 は 数 多 くあるものの, 影 響 の 特 に 大 きい 要 因 の 一 つとしてセメント 種 類 が 挙 げ られる これは, 低 発 熱 型 セメントは 水 和 反 応 が 遅 くブ リーディングが 収 束 するまでに 長 い 時 間 がかかることか ら 結 果 としてブリーディングが 多 くなる 傾 向 があること や, 水 和 熱 抑 制 型 セメントは 粒 子 径 を 大 きくしたものも あり,ブリーディングが 多 くなる 傾 向 がある そこで, これまでに 実 験 的 に 検 討 したブリーディング 抑 制 効 果 に ついてセメント 種 類 ごとに 整 理 した 表 -10 にセメント 種 類 ごとのブリーディング 抑 制 効 果 を 示 す 使 用 している 材 料 ( 細 骨 材, 粗 骨 材 など)を 統 一 した 結 果 ではないこと, の 添 加 量 も 統 一 し たものではないことから 絶 対 的 な 評 価 はできないものの, ブリーディング 抑 制 型 は,セメント 種 類 によ キッチンペーパーへの 吸 着 量 ( 10-2 cm 3 /cm 2 ) 図 -6 ブリーディング 試 験 結 果 表 -8 コンクリートの 表 面 状 態 一 般 的 な 表 -9 ブリーディングの 抑 制 が 評 価 値 に 与 える 影 響 種 類 評 価 値 項 目 ブリーディング 通 常 抑 制 表 面 の 色 つや 3.0 3.5 沈 みひび 割 れ 4.0 4.0 表 面 気 泡 2.5 4.0 打 重 ね 線 4.0 4.0 のろ 漏 れ 4.0 4.0 砂 すじ 3.5 4.0 透 気 係 数 (10-16 m 2 ) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0.015 0.010 0.005 キッチンペーパー 2.5 らず 効 果 が 認 められた 0.013 キッチンペーパー 良 優 0.5 0.0087 図 -7 透 気 係 数 の 測 定 結 果 - 7 -
4.おわりに 本 報 告 では, 新 材 料 新 工 法 に 頼 らずに, 目 視 調 査 に 基 づくコンクリートの 表 層 品 質 評 価 技 術 を 用 いて 簡 単 かつ 合 理 的 に PDCA サイクルを 回 すことによって,コ ンクリートの 表 層 品 質 に 影 響 を 与 える 要 因 について 分 析 しつつ,コンクリート 構 造 物 の 表 層 品 質 の 確 保, 向 上 に つながった 事 例 を 紹 介 した また, 目 視 調 査 に 基 づくコ ンクリート 表 層 品 質 データと 施 工 要 因 を 分 析 した 結 果, ブリーディングを 抑 制 することで, 表 層 品 質 を 合 理 的 に 向 上 できる 可 能 性 が 示 唆 された さらに,ブリーディン グ 抑 制 型 によるコンクリート 表 層 品 質 向 上 効 果 について 実 規 模 サイズで 検 討 した 結 果 を 紹 介 した 今 後,これらの 技 術 が 広 く 適 用 されるようになり コ ンクリート 構 造 物 の 品 質 確 保 向 上 につながれば 幸 いで ある 参 考 文 献 1) 土 木 学 会 :2012 年 制 定 コンクリート 標 準 示 方 書 [ 設 計 編 ],2012. 2) 日 本 コンクリート 工 学 会 :コンクリート 診 断 技 術 14[ 基 礎 編 ],2014. 3) 坂 田 昇, 渡 邉 賢 三, 細 田 暁 :コンクリート 構 造 物 の 品 質 向 上 と 表 層 品 質 評 価 手 法,コンクリート 工 学, Vol.50,No.7,pp.601-606,2012. 4) 例 えば, 土 木 学 会 :コンクリートライブラリー103, コンクリート 構 造 物 におけるコールドジョイント 問 題 と 対 策,2000. 5) 土 木 学 会 :コンクリートライブラリー119, 表 面 保 護 工 法 設 計 施 工 指 針 ( 案 ),2005. 6) 森 岡 弘 道, 二 宮 純, 細 田 暁, 田 村 隆 弘 : 地 方 自 治 体 におけるコンクリート 構 造 物 のチェックシートを 活 用 した 品 質 確 保 の 取 組 み,コンクリート 工 学 年 次 論 文 集,Vol.35,No.1,pp.1327-1332,2013. 7) 日 本 コンクリート 工 学 会 :コンクリートのひび 割 れ 調 査, 補 修 補 強 指 針,2009. 8) 公 益 社 団 法 人 日 本 コンクリート 工 学 会 :コンクリー 混 和 剤 種 類 セメント 種 類 表 -10 ブリーディング 抑 制 効 果 ブリーディング 量 (cm 3 /cm 2 ) W/C (%) 備 考 温 度 ( ) OPC 0.15 0.10 55.0 20 BB 0.15 0.10 52.5 22 MF30 0.05 0.02 47.4 11 FA 0.35 0.11 47.0 11 :ダムコンクリート ト 技 術 の 要 点 11,p.2,2011. 9) 細 田 暁, 坂 田 昇, 田 村 隆 弘, 二 宮 純 : 目 視 評 価 を 活 用 した 山 口 県 のひび 割 れ 抑 制 システムによる 表 層 品 質 向 上 の 分 析,コンクリート 工 学 年 次 論 文 集, Vol.35,No.1,pp.1837-1842,2013. 10) 国 重 典 宏, 田 村 隆 弘, 二 宮 純, 森 岡 弘 道 : 山 口 県 に おける コンクリートひび 割 れ 抑 制 システム につ いて,コンクリート 工 学,Vol.49,No.5,pp.91-95, 2011. 11) 小 林 聖, 渡 邉 賢 三, 坂 井 吾 郎, 向 原 健, 高 野 卓, 坂 田 昇 : 目 視 調 査 結 果 の 分 析 に 基 づく 施 工 要 因 がコン クリートの 表 層 品 質 に 及 ぼす 影 響 に 関 する 一 考 察, 土 木 学 会 第 69 回 年 次 学 術 講 演 会 講 演 概 要 集,V-035, pp.69-70,2014. 12) 小 林 聖, 渡 邉 賢 三, 坂 田 昇, 細 田 暁 :ブリーディン グ 抑 制 型 によるコンクリートの 表 層 品 質 の 向 上 効 果,コンクリート 工 学 年 次 論 文 集,Vol.36, No.1,pp.1576-1581,2014. 13) 皆 口 正 一, 丸 山 久 一, 稲 葉 美 穂 子, 坂 田 昇 : 高 流 動 コンクリートの 材 料 分 離 測 定 方 法 に 関 する 研 究,コ ンクリート 工 学 年 次 論 文 集,Vol.18,No.1,pp.87-92, 1996. - 8 -