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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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公表表紙

弁護士報酬規定(抜粋)

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

18 国立高等専門学校機構

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

b) 参 加 表 明 書 の 提 出 時 において 東 北 地 方 整 備 局 ( 港 湾 空 港 関 係 を 除 く) における 平 成 年 度 土 木 関 係 建 設 コンサルタント 業 務 に 係 る 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 認 定 を 受 けて

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

消 費 生 活 センターに 関 する 条 例 の 制 定 施 行 規 則 第 8 条 地 方 消 費 者 行 政 ガイド ライン 施 行 規 則 において 都 道 府 県 及 び 消 費 生 活 センターを 設 置 する 市 町 村 が 消 費 生 活 センターの 組 織 及 び 運 営 及 び 情

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補 助 金 の 額 は 第 5 条 第 2 項 の 規 定 による 無 線 LAN 機 器 の 設 置 箇 所 数 に 1 万 5 千 円 を 掛 けた 金 額 と 第 5 条 第 3 項 に 規 定 する 補 助 対 象 経 費 の2 分 の1のいずれか 低

必 要 なものとして 政 令 で 定 める 原 材 料 等 の 種 類 及 びその 使 用 に 係 る 副 産 物 の 種 類 ごとに 政 令 で 定 める 業 種 をいう 8 この 法 律 において 特 定 再 利 用 業 種 とは 再 生 資 源 又 は 再 生 部 品 を 利 用 することが

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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Transcription:

は し が き 広 域 メガ FTA への 動 意 が 加 速 し 貿 易 が 拡 大 する 一 方 参 加 国 間 の 競 合 は 様 々な 態 様 で 激 しさを 増 すとみられる その 一 つと 目 されるのが 各 国 が 運 用 する 製 品 の 基 準 認 証 に 関 わる 貿 易 上 の 摩 擦 である 国 際 規 格 といわれる 多 くは 民 間 団 体 が 定 めたもので それを 各 国 がどう 運 用 するか 何 を もって 国 際 規 格 と 認 定 するかについては 必 ずしも 各 国 の 立 場 は 同 一 ではない その 結 果 各 国 間 の 相 違 が 実 態 として 貿 易 上 の 障 害 を 生 じる 可 能 性 があり 実 際 の 事 例 も 発 生 している 目 下 WTO の 紛 争 処 理 に 持 ち 込 まれる 案 件 は 多 発 している 状 況 ではないが 今 後 広 域 FTA が 実 働 する 過 程 で 紛 争 事 例 の 増 加 WTO 判 断 解 釈 に 一 層 注 目 する 必 要 がある そこで 当 研 究 所 内 に 貿 易 障 害 を 生 じる 基 準 認 証 と 国 際 規 律 研 究 委 員 会 を 発 足 させて 欧 米 等 の WTO 紛 争 事 例 の 検 証 各 国 の 基 準 認 証 の 輸 入 販 売 に 関 わる 法 的 規 制 等 を 調 査 研 究 した 平 成 26 年 度 機 械 工 業 品 輸 出 に 対 する 技 術 的 障 害 と 標 準 化 研 究 委 員 会 の 構 成 は 次 の 通 り 委 員 長 松 下 満 雄 東 京 大 学 名 誉 教 授 元 WTO 上 級 委 員 委 員 飯 野 文 日 本 大 学 商 学 部 准 教 授 委 員 川 島 富 士 雄 名 古 屋 大 学 大 学 院 国 際 開 発 研 究 科 教 授 委 員 福 永 有 夏 早 稲 田 大 学 社 会 科 学 部 教 授 委 員 山 田 次 雄 ( 一 財 ) 日 本 規 格 協 会 執 行 役 事 務 局 湯 澤 三 郎 ( 一 財 ) 国 際 貿 易 投 資 研 究 所 専 務 理 事 本 報 告 書 貿 易 障 害 を 生 じる 基 準 認 証 と 国 際 規 律 報 告 書 が 関 係 者 の 皆 様 にとって 少 しでも 参 考 になれば 幸 いである 2015 年 3 月 一 般 財 団 法 人 国 際 貿 易 投 資 研 究 所

要 約 第 1 章 日 本 の 基 準 認 証 と 国 際 規 格 との 整 合 事 情 について 本 稿 は 現 在 までの 我 が 国 における 基 準 認 証 制 度 と 国 際 規 律 との 整 合 化 への 取 り 組 みを 記 しております 現 在 経 済 のグローバル 化 の 中 で 貿 易 障 害 を 極 力 少 なくしていくために は 国 際 規 律 に 整 合 した 標 準 化 ( 規 格 ) 及 び 認 証 制 度 の 確 立 が 必 要 不 可 欠 になっております このことから 主 に WTO/TBT 協 定 と 我 が 国 の JIS 制 度 JIS マーク 表 示 制 度 等 との 関 係 を 整 理 しております これまでの 取 り 組 みを 振 り 返 ってみますと 我 が 国 旧 来 のキャッチア ップ 体 質 のまま 規 格 ルールを 外 部 から 持 ち 寄 り 国 際 的 な 整 合 化 を 成 し 遂 げてきてお ります 今 後 とも 国 際 規 格 国 際 ルールの 重 要 性 の 高 まりが 継 続 していく 中 この 習 い 性 を 改 め 我 が 国 が 国 際 的 なルールメーカとなるため 企 業 皆 様 の 積 極 的 な 国 際 活 動 への 参 加 を 期 待 するものです 第 2 章 TBT 協 定 の 解 釈 及 び 適 用 に 関 する 近 年 のパネル 上 級 委 員 会 報 告 近 年 TBT 協 定 に 関 するパネル 上 級 委 員 会 報 告 が 多 数 採 択 され TBT 協 定 規 定 の 意 味 の 明 確 化 が 図 られつつある 中 でも 米 国 クローブタバコ 関 連 措 置 事 件 米 国 マグロ ラベ リング 措 置 事 件 米 国 COOL 要 件 事 件 における TBT 協 定 附 属 書 1 パラグラフ 1( 強 制 規 格 の 定 義 ) TBT 協 定 2 条 1 項 ( 内 国 民 待 遇 義 務 ) TBT 協 定 2 条 2 項 ( 国 際 貿 易 に 対 する 不 必 要 な 障 害 をもたらさない 義 務 ) TBT 協 定 2 条 4 項 ( 国 際 規 格 を 基 礎 とし て 用 いる 義 務 )の 解 釈 は 今 後 の 紛 争 において 先 例 として 参 照 されると 予 想 される 第 3 章 WTO 調 達 協 定 と 標 準 化 政 府 調 達 とは 政 府 機 関 及 び 政 府 によって 指 定 され WTO 政 府 調 達 協 定 によって WTO に 届 け 出 られた 団 体 による 物 品 サービス 等 の 調 達 であるが これに 対 して 国 際 規 律 とし て WTO 政 府 調 達 協 定 が 適 用 される その 主 要 内 容 は 調 達 機 関 は 調 達 の 仕 様 策 定 に 当 たり 国 際 規 格 に 準 拠 すべきこと 入 札 は 原 則 として 公 開 入 札 又 は 選 択 入 札 によることとし 例 外 的 に 限 定 入 札 ( 随 意 契 約 )が 認 められること 入 札 参 加 者 から 競 争 を 妨 げるような 内 容 の 助 言 を 受 けてはならないこと 無 差 別 原 則 ( 最 恵 国 待 遇 内 国 民 待 遇 )を 遵 守 すべきこと しか し 公 徳 維 持 国 家 安 全 保 障 等 の 正 当 な 理 由 がある 場 合 には 例 外 が 認 められること 等 で ある また 発 展 途 上 国 については 種 々の 例 外 が 認 められている

政 府 調 達 協 定 に 関 する 紛 争 処 理 については WTO 紛 争 処 理 手 続 による 他 加 盟 各 国 は 国 内 紛 争 処 理 機 関 を 設 置 しなければならない 我 が 国 においては 政 府 調 達 苦 情 処 理 検 討 委 員 会 (CHANS)が 内 閣 府 内 に 設 置 されている モトローラ/JR 事 件 においては JR が SUICA の 入 札 において JR の 採 択 した 仕 様 が ISO の 国 際 規 格 案 (ISO IEC1443 TypeB) に 準 拠 しなかったこと 仕 様 策 定 において 落 札 者 であるソニーから 不 当 に 助 言 を 得 たこと ISO の 規 格 案 は 事 実 上 の 標 準 であるのにそれを 採 択 しなかったこと が 政 府 調 達 協 定 違 反 であるとして JR を 相 手 に CHANS に 苦 情 申 し 立 てを 行 った CHANS は ISO の 国 際 規 格 案 はまだ 正 式 に 採 択 されていないこと JR とソニーが 共 同 研 究 をしただけでは 不 当 な 助 言 を 受 けたとはいえないこと 及 び ISO 規 格 案 は 未 だに 事 実 上 の 規 格 の 水 準 に 達 していな いことを 理 由 として モトローラ 社 の 申 し 立 てを 排 斥 した 研 究 開 発 を 伴 う 高 度 機 材 調 達 において 研 究 開 発 で 落 札 した 者 が 機 材 調 達 入 札 において 不 当 に 有 利 になることを 回 避 して 公 正 な 競 争 を 維 持 する 必 要 があるが このために 米 国 防 省 宇 宙 航 空 局 (NASA)においては 研 究 開 発 の 入 札 における 落 札 者 と 機 材 調 達 の 入 札 にお ける 落 札 者 を 分 離 する 等 の 方 式 が 行 われることがある これらは 参 考 とすべき 面 があるが 企 業 の 研 究 開 発 や 機 材 開 発 のインセンチィブを 阻 害 するおそれもあるので その 採 択 に 当 っては 慎 重 な 配 慮 が 必 要 である 第 4 章 中 国 の 技 術 標 準 に 関 する 仮 想 事 例 - TBT 協 定 適 合 性 の 観 点 から - 本 章 では 中 国 が 一 定 の 技 術 標 準 を 強 制 規 格 として 採 用 したという 仮 想 事 例 を 取 り 上 げ 当 該 事 例 の 中 で 取 られた 措 置 の TBT 協 定 適 合 性 を 検 討 する まず 中 国 による 独 自 標 準 の 制 定 やその 国 際 標 準 化 の 動 きを 紹 介 した 上 で 具 体 的 な 仮 想 事 例 を 紹 介 し 同 事 例 でとられ た 中 国 の 措 置 が TBT 協 定 との 適 合 性 の 観 点 から どのように 評 価 されるか 争 点 毎 に 分 析 する 以 上 の 検 討 を 受 け 最 後 に 日 本 政 府 及 び 日 本 企 業 がとるべき 戦 略 について 私 見 を 述 べる

目 次 第 1 章 日 本 の 基 準 認 証 と 国 際 規 格 との 整 合 事 情 について... 1 一 般 財 団 法 人 日 本 規 格 協 会 執 行 役 山 田 次 雄 第 2 章 TBT 協 定 の 解 釈 及 び 適 用 に 関 する 近 年 のパネル 上 級 委 員 会 報 告... 20 早 稲 田 大 学 社 会 科 学 部 教 授 福 永 有 夏 第 3 章 WTO 調 達 協 定 と 標 準 化... 40 東 京 大 学 名 誉 教 授 元 WTO 上 級 委 員 松 下 満 雄 第 4 章 中 国 の 技 術 標 準 に 関 する 仮 想 事 例 TBT 協 定 適 合 性 の 観 点 から... 59 名 古 屋 大 学 大 学 院 国 際 開 発 研 究 科 教 授 川 島 富 士 雄

第 1 章 日 本 の 基 準 認 証 と 国 際 規 格 との 整 合 事 情 について 一 般 財 団 法 人 日 本 規 格 協 会 執 行 役 山 田 次 雄 第 1 節 標 準 化 の 目 的 意 義 標 準 化 (Standardization)とは 自 由 に 放 置 すれば 多 様 化 複 雑 化 無 秩 序 化 する 事 柄 を 少 数 化 単 純 化 秩 序 化 すること ということができる また 標 準 (= 規 格 :Standards) は 標 準 化 によって 制 定 される 取 決 め と 定 義 できる 標 準 には 強 制 的 なものと 任 意 の ものがあるが 一 般 的 には 任 意 のものを 標 準 (= 規 格 ) と 呼 んでいる したがって 工 業 標 準 化 とは 工 業 分 野 における 標 準 化 のことであり 我 が 国 では, 国 が 定 める 工 業 標 準 とし て 日 本 工 業 規 格 (JIS)が 制 定 されている 工 業 標 準 化 の 目 的 意 義 は 具 体 的 には 自 由 に 放 置 すれば 多 様 化 複 雑 化 無 秩 序 化 してしまう もの や 事 柄 について 経 済 社 会 活 動 の 利 便 性 の 確 保 ( 互 換 性 の 確 保 等 ) 生 産 の 効 率 化 ( 品 種 削 減 を 通 じての 量 産 化 等 ) 公 正 性 を 確 保 ( 消 費 者 の 利 益 の 確 保 取 引 の 単 純 化 等 ) 技 術 進 歩 の 促 進 ( 新 しい 知 識 の 創 造 や 新 技 術 の 開 発 普 及 の 支 援 等 ) 安 全 や 健 康 の 保 持 環 境 の 保 全 等 のそれぞれの 観 点 から 技 術 文 書 として 国 レベルの 規 格 を 制 定 し これを 全 国 的 に 統 一 又 は 単 純 化 することであると 言 える これらを 規 格 の 機 能 ( 働 き, 作 用 )に 着 目 して 整 理 すれば 次 のように 説 明 することが できる 1. 経 済 活 動 に 資 する 機 能 (1) 製 品 の 適 切 な 品 質 の 設 定 工 業 標 準 化 は 製 品 の 品 質 に 関 し 一 定 の 水 準 を 与 えることができる この 場 合 製 品 の 品 質 に 係 る 工 業 標 準 化 は 企 業 ニーズに 重 点 を 置 いたものとするのではなく 使 用 者 消 費 者 ニーズ 及 び 公 共 の 利 益 等 社 会 ニーズについても 十 分 に 配 慮 した 上 で 品 質 を 規 定 す る 必 要 がある 更 に 安 全 性 や 環 境 保 護 の 分 野 では 強 制 法 規 の 技 術 基 準 によって 規 制 さ れている 場 合 が 多 く 社 会 ニーズへの 対 応 の 観 点 から 工 業 標 準 化 は これらの 技 術 基 準 との 技 術 的 な 連 携 に 留 意 する 必 要 がある (2) 製 品 情 報 の 提 供 工 業 標 準 化 は 商 取 引 において 売 り 手 と 買 い 手 の 双 方 の 便 益 に 資 する 形 で 製 品 の 寸 法 や 性 能 成 分 強 度 といった 品 質 等 の 製 品 の 選 択 に 必 要 不 可 欠 な 情 報 を 提 供 し 取 引 上 のコスト 削 減 に 資 することができる 1

(3) 技 術 の 普 及 製 品 の 性 能 や 試 験 方 法 等 について 行 われる 工 業 標 準 化 は その 技 術 について 広 く 産 業 活 動 等 への 利 用 / 普 及 を 促 進 し その 結 果 類 似 の 技 術 開 発 の 無 用 の 重 複 を 避 け 生 産 性 を 向 上 し 更 なる 技 術 向 上 に 労 力 を 向 ける 等 技 術 の 発 展 に 資 することができる (4) 生 産 効 率 の 向 上 工 業 標 準 化 により 製 品 の 種 類 分 類 性 能 が 単 純 化 され 生 産 活 動 における 量 産 化 が 可 能 となり スケールメリットによる 価 格 低 減 が 図 られ 生 産 効 率 の 向 上 に 資 する ことができる なお 近 年 の 生 産 技 術 の 高 度 化 は 消 費 者 ニーズ 等 から 製 品 の 多 様 性 を 許 容 する 方 向 に 向 かっており この 場 合 工 業 標 準 化 は 製 品 の 多 様 性 も 許 容 し つつ 必 要 な 統 一 や 単 純 化 を 行 うといった 技 術 的 な 調 整 を 行 い 柔 軟 性 のある 一 定 のルールを 構 築 するツールとして 活 用 することができる (5) 競 争 環 境 の 整 備 製 品 の 性 能 等 の 試 験 方 法 及 び 評 価 方 法 の 工 業 標 準 化 は 製 品 間 の 性 能 等 の 客 観 的 な 比 較 が 可 能 となり 更 に 技 術 の 基 礎 的 共 通 的 事 項 を 統 一 又 は 単 純 化 することにより 真 に 技 術 的 な 発 展 が 期 待 される 技 術 要 素 について 競 争 を 促 進 することができる (6) 互 換 性 インタフェースの 整 合 性 の 確 保 部 品 相 互 の 組 み 立 て 部 品 の 交 換 に 際 し 互 換 性 が 確 保 されていないことによる 組 み 立 てや 交 換 の 支 障 は 非 常 に 不 便 である 工 業 標 準 化 は このようなボルト 及 びナット 間 や 蛍 光 ランプ 及 び 照 明 機 器 間 の 互 換 性 を 規 定 し 部 品 等 の 容 易 な 交 換 を 可 能 とすること ができる 更 に 近 年 では コンピュータシステム 間 のインタフェースの 標 準 化 情 報 FA(Factory Automation) 電 子 商 取 引 等 の 分 野 での 互 換 性 相 互 適 用 性 等 インタフェー スの 整 合 性 の 確 保 を 工 業 標 準 化 によって 実 施 することが 重 要 となっている 2. 社 会 的 目 標 の 達 成 手 段 としての 機 能 我 が 国 においては 標 準 化 事 業 が 工 業 標 準 化 法 に 基 づいて 鉱 工 業 品 の 品 質 の 改 善 生 産 能 率 の 増 進 その 他 生 産 の 合 理 化 取 引 の 単 純 公 正 化 及 び 使 用 又 は 消 費 の 合 理 化 を 図 るという 行 政 の 一 環 として 実 施 されている このため 政 策 目 標 の 遂 行 が 標 準 化 の 目 的 として 採 り 上 げ られる 例 えば 産 業 競 争 力 の 強 化 競 争 環 境 の 整 備 研 究 開 発 の 成 果 の 普 及 省 エネル ギー 省 資 源 消 費 者 保 護 高 齢 者 障 害 者 対 応 などが 政 策 目 標 として 挙 げられる 3. 相 互 理 解 を 促 進 する 行 動 ルールとしての 機 能 工 業 標 準 化 は 関 係 者 ( 製 造 業 者 流 通 業 者 使 用 者 消 費 者 研 究 者 等 ) 間 で 技 術 的 要 求 事 項 技 術 データ 等 を 相 互 に 伝 達 (コミュニケート)する 手 段 として 用 語 記 号 計 量 単 位 試 験 評 価 方 法 生 産 方 法 品 質 安 全 度 仕 様 書 のフォーマット 表 示 等 について 技 術 基 盤 を 統 一 することができる 更 に 近 年 は 国 際 標 準 化 を 視 野 に 入 れた 工 業 標 準 化 として 試 験 評 価 方 法 や 消 費 財 に 関 する 仕 様 書 マーク 表 示 各 種 マネジメントシステムの 指 針 等 が 重 要 と なっている 2

4. 貿 易 促 進 としての 機 能 貿 易 がグローバル 化 し 貿 易 量 も 増 大 している 一 方 で 各 国 の 国 家 規 格 強 制 法 規 の 技 術 基 準 がそれぞれ 異 なっている 場 合 はこれらの 国 家 規 格 や 技 術 基 準 の 相 違 が 貿 易 を 阻 害 してし まう 可 能 性 がある 各 国 の 強 制 法 規 の 技 術 基 準 についてはそれぞれ 整 合 させることは 困 難 であるが このような 場 合 工 業 標 準 化 が 自 由 貿 易 の 維 持 発 展 を 図 る 目 的 として 活 用 され る すなわち 各 国 の 国 家 規 格 等 が 国 際 標 準 化 機 関 (ISO/IEC)が 国 際 的 なコンセンサス に 基 づいて 制 定 する 国 際 規 格 と 整 合 化 を 図 り 更 に このような 国 家 規 格 を 強 制 法 規 の 技 術 基 準 が 引 用 / 採 用 することで 達 成 される 第 2 節 標 準 化 が 必 要 となる 種 々の 要 因 について 1. 経 済 のグローバル 化 による 国 際 標 準 化 の 必 要 性 について 1980 年 代 から 1990 年 代 初 頭 にかけては 国 際 標 準 を 含 めた 標 準 はデファクト 標 準 が 中 心 であった もちろん 国 際 的 には ISO や IEC 日 本 国 内 においては JIS といったデジュー ル 標 準 は 存 在 していたが 利 便 性 の 向 上 などを 目 的 とした 社 会 貢 献 的 な 意 味 合 いが 強 いも のであった デファクト 標 準 は マイクロソフトのウインドウズや 日 本 ビクターの VHS ビ デオ インテルの CPU などの 例 が 有 名 で この 時 代 にはデファクトによって 標 準 を 獲 得 する ことが 市 場 の 独 占 を 意 味 していたことから 企 業 の 事 業 戦 略 として 理 解 し 易 いものであった 世 界 中 の 各 国 各 地 域 においてそれぞれ 異 なった 標 準 が 存 在 すると 企 業 にとってはそれ ぞれの 市 場 に 合 わせて 仕 様 の 異 なった 製 品 を 製 造 する 必 要 が 生 じるため コストアップが 生 じ 企 業 側 消 費 者 側 の 双 方 に 不 利 益 をもたらす 原 因 となりうる これらをこのような 社 会 的 な 利 益 である 利 便 性 の 面 から 解 決 しうるのが 国 際 標 準 の 考 え 方 の 一 つとなっている 2.WTO/TBT の 成 立 1995 年 に WTO/TBT 協 定 が 発 効 した WTO 1 は 単 に 国 際 貿 易 の 関 税 の 撤 廃 のみが 目 的 で はなく 国 際 貿 易 の 推 進 のために 障 害 となると 思 われるものについても 排 除 していくこと になっている TBT 協 定 2 (Agreement on Technical Barriers to Trade)は 各 国 で 用 いら れている 基 準 認 証 制 度 が 技 術 的 に 貿 易 の 円 滑 化 の 障 害 になるようなことを 防 ぐための 協 定 である この 協 定 発 効 以 降 各 国 内 で 定 められている 強 制 規 格 や 任 意 規 格 及 びそれら 規 格 の 適 合 性 評 価 制 度 の 国 際 準 拠 3や 政 府 調 達 における 遵 守 規 則 が 列 挙 されている 大 元 の 国 際 ルールを 理 解 すべく WTO 協 定 の 全 体 概 要 及 び TBT 政 府 調 達 の 両 協 定 につ いて 解 説 する 1 WTO: 世 界 貿 易 機 関 (World Trade Organization) 本 部 はスイス 連 邦 ジュネーブ 市 2 TBT 協 定 : 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 3 国 際 準 拠 : 代 表 的 な 国 際 規 格 を 策 定 する 組 織 としては ISO IEC ITU などが 想 定 されている 3

(1) WTO とは WTO は 1995 年 にそれまでの GATT( 関 税 と 貿 易 に 関 する 一 般 協 定 )を 引 き 継 いで 発 足 した WTO の 主 目 的 は 生 活 水 準 の 向 上 完 全 雇 用 の 確 保 高 水 準 の 実 質 所 得 及 び 有 効 需 要 の 着 実 な 増 加 資 源 の 完 全 利 用 物 品 及 びサービスの 生 産 及 び 貿 易 の 拡 大 であり 市 場 経 済 原 則 によって 世 界 経 済 の 発 展 を 目 指 すこととされている WTO 協 定 は WTO 世 界 貿 易 機 関 を 設 立 するマラケシュ 協 定 及 びその 附 属 書 から 構 成 さ れている 附 属 書 1A から 附 属 書 3 までの 各 協 定 は WTO 設 立 協 定 と 一 体 を 成 し WTO 全 加 盟 国 間 で 適 用 される ( 表 参 照 ) 一 方 附 属 書 4 の 各 協 定 はそれぞれ 独 立 した 協 定 であり 各 協 定 の 締 約 国 の 間 でのみ 適 用 される 世 界 貿 易 機 関 を 設 立 するマラケシュ 協 定 この 協 定 は ウルグアイ ラウンドの 成 果 を 実 施 し 今 後 の 多 角 的 貿 易 交 渉 の 枠 組 みとな る WTO を 設 立 するための 協 定 であり WTO の 組 織 加 盟 意 思 決 定 等 に 関 する 一 般 的 な 規 定 から 成 る 表 WTO 世 界 貿 易 機 関 を 設 立 するマラケシュ 協 定 附 属 書 1A: 物 品 の 貿 易 に 関 する 多 角 的 協 定 1 1994 年 の 関 税 及 び 貿 易 に 関 する 一 般 協 定 2 農 業 に 関 する 協 定 3 衛 生 植 物 検 疫 措 置 の 適 用 に 関 する 措 置 4 繊 維 及 び 繊 維 製 品 ( 衣 類 を 含 む)に 関 する 協 定 5 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 (TBT:Technical Barriers to Trade) 6 貿 易 に 関 連 する 投 資 措 置 に 関 する 協 定 (TRIMs: Trade Related Investment Measures) 7 1994 年 の 関 税 及 び 貿 易 に 関 する 一 般 協 定 第 6 条 の 実 施 に 関 する 協 定 (アンチダンピング 協 定 ) 8 1994 年 の 関 税 及 び 貿 易 に 関 する 一 般 協 定 第 7 条 の 実 施 に 関 する 協 定 ( 関 税 評 価 に 関 する 協 定 ) 9 船 積 み 前 検 査 に 関 する 協 定 (PSI:Preshipment Inspection) 10 原 産 地 規 則 に 関 する 協 定 11 輸 入 許 可 手 続 に 関 する 協 定 12 補 助 金 及 び 相 殺 措 置 に 関 する 協 定 13 セーフガードに 関 する 協 定 附 属 書 1B:サービスの 貿 易 に 関 する 一 般 協 定 (GATS:General Agreement on Trade in Services) 附 属 書 1C: 知 的 所 有 権 の 貿 易 関 連 の 側 面 に 関 する 協 定 (TRIPS:Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights) 附 属 書 2: 紛 争 解 決 に 係 る 規 則 及 び 手 続 に 関 する 了 解 (DSU:Understanding on Rules and Procedures Governing the Settlement of Disputes) 附 属 書 3: 貿 易 政 策 検 討 制 度 (TPRM:Trade Policy Review Mechanism) 附 属 書 4: 複 数 国 間 貿 易 協 定 1 民 間 航 空 機 貿 易 に 関 する 協 定 2 政 府 調 達 に 関 する 協 定 4

WTO 協 定 の 基 本 原 則 としては 最 恵 国 待 遇 原 則 内 国 民 待 遇 原 則 数 量 制 限 の 一 般 的 廃 止 の 原 則 そして 合 法 的 な 国 内 産 業 保 護 手 段 としての 関 税 に 係 る 原 則 の 四 つがあげられる このうち 特 に 基 準 認 証 分 野 においても 密 接 に 関 係 しうるのは 最 恵 国 待 遇 原 則 と 内 国 民 待 遇 原 則 である 1) 最 恵 国 待 遇 原 則 前 述 のとおり 最 恵 国 待 遇 原 則 とは WTO 協 定 の 基 本 原 則 の 一 つであり いずれかの 国 に 与 える 最 も 有 利 な 待 遇 を 他 の 全 ての 加 盟 国 に 対 して 与 えなければならない 規 則 である 具 体 的 には ある WTO 加 盟 国 が X 国 との 間 で 製 品 a の 関 税 率 を 5%に 削 減 することを 合 意 した 場 合 この 関 税 率 は X 国 以 外 の 全 ての WTO 加 盟 国 に 対 して 適 用 しなければならない 要 すれば ある 国 が 一 定 の 問 題 に 対 して 他 国 に 有 利 な 条 件 を 付 与 しても 他 の WTO 加 盟 国 も 同 様 の 条 件 を 享 受 できることを 意 味 している 以 下 に 最 恵 国 待 遇 原 則 に 関 する 法 的 規 律 として GATT 上 の 規 定 を 列 挙 する (a) 一 般 的 最 恵 国 待 遇 (GATT 第 1 条 第 1 項 ) GATT 第 1 条 第 1 項 は 加 盟 国 は 同 種 の 産 品 については 他 のすべての 加 盟 国 に 対 し て 他 の 国 の 産 品 に 与 えている 最 も 有 利 な 待 遇 と 同 等 の 待 遇 を 与 えなくてはならない 旨 定 めている すなわち 同 種 の 産 品 であるにもかかわらず 輸 入 相 手 国 によって 異 なった 関 税 率 を 定 める 等 明 白 に 特 定 国 に 対 する 差 別 を 行 うことは 禁 じられている さらに 表 面 上 は 特 定 国 を 明 示 していなくとも 同 種 の 産 品 と 判 断 される 産 品 の 間 で 異 なった 待 遇 を 与 え ることにより 事 実 上 ある 特 定 の 加 盟 国 の 産 品 が 差 別 される 結 果 になる 場 合 も 違 反 となり うる (b) 数 量 制 限 の 無 差 別 適 用 (GATT 第 13 条 ) GATT 第 13 条 は 産 品 について 数 量 制 限 や 関 税 割 当 を 行 う 場 合 には すべての 国 の 同 種 の 産 品 に 対 して 無 差 別 に 行 わなければならないこと 輸 入 制 限 や 関 税 割 当 を 行 う 場 合 に は その 制 限 がない 場 合 において 期 待 される 国 別 配 分 を 目 標 とすべきこと 等 数 量 制 限 適 用 に 当 たっての 最 恵 国 待 遇 を 定 めており 第 1 条 を 補 足 している (c) 国 家 貿 易 企 業 (GATT 第 17 条 ) 国 家 貿 易 企 業 は 加 盟 国 によって 設 立 維 持 される 国 家 企 業 又 は 加 盟 国 によって 排 他 的 な 若 しくは 特 別 の 特 権 を 許 与 された 私 企 業 で 輸 出 入 を 伴 う 購 入 販 売 を 行 う 組 織 をいう これらは その 独 占 的 地 位 を 利 用 して 輸 入 相 手 国 による 差 別 や 数 量 制 限 など 国 際 貿 易 に 重 要 な 障 害 となるような 運 営 を 行 うことも 可 能 である (d) 最 恵 国 待 遇 の 例 外 最 恵 国 待 遇 原 則 にも 以 下 のような 例 外 規 定 が 設 けられている 5

1 地 域 統 合 (GATT 第 24 条 ) 地 域 統 合 は 当 該 地 域 の 内 外 で 異 なった 待 遇 が 与 えられる 結 果 となるが 域 内 の 関 税 等 の 撤 廃 がなされることにより 貿 易 自 由 化 を 促 進 し WTO の 補 完 に 繋 がると 考 えら れる そのため GATT 第 24 条 は 1 域 内 における 全 ての 関 税 その 他 の 貿 易 障 壁 の 実 質 的 な 廃 止 及 び2 域 外 諸 国 に 対 する 関 税 その 他 の 貿 易 障 壁 を 地 域 統 合 への 参 加 の 前 後 で 制 限 的 にしない 場 合 に 限 って 地 域 統 合 に 最 恵 国 待 遇 原 則 の 例 外 を 認 めてい る 2 一 般 特 恵 先 進 国 が 開 発 途 上 国 の 発 展 の 支 援 のため 設 定 している 一 般 特 恵 にかかる 関 税 率 を 加 盟 国 全 てに 適 用 する 必 要 はない 旨 定 められている 3 特 定 加 盟 国 間 における 多 角 的 貿 易 協 定 の 不 適 用 (WTO 設 立 協 定 第 13 条 ) WTO 原 加 盟 国 間 で WTO 協 定 発 生 前 に GATT 第 35 条 の 規 定 が 適 用 されていた 場 合 と 既 加 盟 国 と 新 加 盟 国 との 間 で 加 盟 条 件 に 関 する 合 意 前 に いずれかの 国 が 協 定 の 適 用 に 同 意 しない 旨 の 通 報 をした 場 合 には 特 定 加 盟 国 間 において 多 角 的 貿 易 協 定 の 不 適 用 ができると 定 めている 4 その 他 の 例 外 その 他 の 例 外 としては 隣 接 国 との 国 境 貿 易 に 関 する 規 程 (GATT 第 24 条 第 3 項 ) 英 国 連 邦 等 GATT 成 立 当 時 に 存 在 していた 特 定 国 への 優 遇 制 度 の 存 続 を 規 定 する 特 恵 (GATT 第 1 条 第 2 項 )が 存 在 しているほか 最 恵 国 待 遇 原 則 にも 適 用 される 一 般 例 外 と して 公 聴 の 保 護 生 命 又 は 健 康 の 保 護 に 必 要 な 措 置 (GATT 第 20 条 ) 安 全 保 障 (GATT 第 19 条 ) ウェーバー 取 得 による 例 外 (WTO 設 立 協 定 第 9 条 第 4 項 )がある 5 GATT 以 外 の 最 恵 国 待 遇 規 定 WTO 設 立 協 定 により GATT 時 代 には 基 本 的 にモノの 貿 易 に 適 用 されてきた 最 恵 国 待 遇 原 則 は サービス 貿 易 (サービス 協 定 第 2 条 )や 知 的 財 産 権 の 保 護 (TRIPS 協 定 第 4 条 )の 分 野 に 拡 大 された 2) 内 国 民 待 遇 原 則 内 国 民 待 遇 原 則 は 最 恵 国 待 遇 と 同 様 WTO 協 定 における 基 本 原 則 となっている 本 規 定 は 輸 入 産 品 に 対 し 国 境 措 置 である 関 税 を 除 き 同 種 の 国 内 産 品 に 対 するものと 差 別 的 な 措 置 を 課 してはならない 旨 定 めている これは WTO 加 盟 国 の 国 内 における 隠 された 貿 易 障 壁 をなくすことを 目 的 としており 多 角 的 自 由 貿 易 体 制 の 安 定 化 に 必 要 な 措 置 である (a) 法 的 規 律 (GATT 第 3 条 ) GATT 第 3 条 で 規 定 されている 内 国 民 待 遇 原 則 は 第 1 項 において 国 内 生 産 保 護 を 目 的 として 内 国 税 等 の 国 内 規 制 を 輸 入 産 品 に 適 用 してはならない 旨 の 規 定 がなされている のに 加 え 第 2 項 第 4 項 で 同 種 の 産 品 や 直 接 的 に 競 争 し 若 しくは 代 替 可 能 な 産 品 におい て 当 該 国 の 国 内 産 品 と 同 等 の 水 準 の 待 遇 を 受 ける 旨 の 規 定 がなされている 6

(b) 内 国 民 待 遇 原 則 の 例 外 1 政 府 調 達 政 府 調 達 に 関 しては WTO 加 盟 国 にとって 国 防 上 の 必 要 性 から 国 内 製 品 を 開 発 し 購 入 する 必 要 があったり 中 小 企 業 対 策 地 域 産 業 振 興 高 度 技 術 開 発 など 当 該 国 に おいて 政 策 手 段 として 用 いられることがあることから 例 外 が 認 められている (GATT 第 3 条 第 8 項 ) 一 方 複 数 国 協 定 となっている 政 府 調 達 協 定 においては 内 国 民 待 遇 が 規 定 されてい る これは 必 ずしも WTO 加 盟 国 は 政 府 調 達 協 定 に 加 盟 する 必 要 がないためであっ た 実 際 に 政 府 調 達 協 定 を 締 結 しているのは 先 進 国 が 中 心 である 2 国 内 生 産 者 補 助 金 WTO 加 盟 国 は 補 助 金 及 び 相 殺 措 置 に 関 する 協 定 に 反 しない 限 り 国 内 生 産 者 のみ に 補 助 金 を 交 付 することを 認 められている これは 補 助 金 が 産 業 政 策 手 段 として 有 効 なもので 交 付 は 当 該 国 の 裁 量 範 囲 という 認 識 から 定 められているものであるが 自 由 貿 易 の 阻 害 になるおそれもあるため 補 助 金 協 定 に 詳 細 な 規 定 がなされている 3 開 発 の 初 期 段 階 にある 加 盟 国 に 対 する 例 外 措 置 開 発 の 初 期 段 階 にある 加 盟 国 においては GATT に 合 致 したルールでは 自 国 産 業 を 発 展 させ 自 国 民 の 一 般 的 生 活 水 準 を 引 き 上 げることが 困 難 な 場 合 があり 得 る この 場 合 GATT 第 18 条 C( 第 13 項 ~ 第 21 項 )により 他 の 加 盟 国 への 通 報 及 び 協 議 を 経 た 上 で 内 国 民 待 遇 原 則 の 例 外 が 認 められている 4 その 他 の 例 外 措 置 GATT 第 3 条 第 10 項 第 4 条 で 規 定 されている 映 画 フィルムの 映 写 時 間 割 当 に 関 し ての 例 外 のほか GATT 第 20 条 の 一 般 的 例 外 規 定 第 21 条 の 安 全 保 障 上 の 例 外 規 定 WTO 設 立 協 定 第 9 条 のウェーバー 規 定 については 最 恵 国 待 遇 原 則 と 同 様 内 国 民 待 遇 原 則 でも 適 用 される 3) 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 (TBT 協 定 ) WTO 協 定 の 中 でも 基 準 認 証 分 野 に 密 接 に 関 係 しているのが 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 (TBT 協 定 )である 本 協 定 の 制 定 の 意 義 は 次 のとおりである 加 盟 各 国 においては 産 品 の 品 質 や 試 験 方 法 などに 関 する 基 準 ( 規 格 )とそれらの 基 準 に 適 合 しているかどうかを 評 価 する 認 証 制 度 が 構 築 されているが これらの 制 度 は 通 常 品 質 や 安 全 性 の 確 保 環 境 の 保 全 などの 目 的 で 運 用 されている しかしながら これらの 制 度 はその 運 用 方 法 次 第 で 輸 入 制 限 や 輸 入 品 に 対 する 差 別 的 な 待 遇 を 与 えることにつながり 結 果 として 自 由 貿 易 を 制 限 することがあり 得 る また 当 該 国 において 外 国 産 品 が 適 合 性 評 価 を 受 けることが 当 該 国 の 国 内 産 品 に 比 して 困 難 な 場 合 は その 国 の 基 準 認 証 制 度 自 体 が 市 場 参 入 の 障 壁 となることがある このような 障 壁 を 除 去 するため GATT の 場 では 基 準 認 証 制 度 に 関 して 国 際 的 なハーモナイゼーションを 推 進 し 制 度 の 透 明 性 の 確 保 を 目 指 して 7

きた 東 京 ラウンド 4 においては 1979 年 に 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 ( 通 称 GATT スタンダードコード )が 成 立 した この 時 の 協 定 は 批 准 国 だけが 適 用 されるものであった ため 義 務 の 適 用 が 部 分 的 なものであったが ウルグアイ ラウンドでは この 協 定 を 強 化 す る 形 で TBT 協 定 が 合 意 された この TBT 協 定 は WTO 加 盟 時 に 一 括 受 諾 対 象 の 協 定 とな ったため 全 ての WTO 加 盟 国 で 適 用 されるものとなり 各 国 の 基 準 認 証 制 度 の 手 続 きによ る 不 要 な 貿 易 障 害 の 除 去 を 徹 底 し 自 由 貿 易 体 制 の 強 化 が 図 られることとなった (a) 強 制 規 格 の 中 央 政 府 機 関 による 立 案 制 定 及 び 適 用 ( 第 2 条 ) TBT 協 定 第 2 条 は WTO 加 盟 各 国 において 定 められている 強 制 規 格 に 関 する 基 本 原 則 について 述 べられている 具 体 的 には 加 盟 国 から 輸 入 される 産 品 に 対 して 最 恵 国 待 遇 原 則 と 内 国 民 待 遇 原 則 に よる 待 遇 を 与 えることとされているほか 強 制 規 格 が 正 当 な 目 的 の 達 成 のために 必 要 であ る 以 上 に 貿 易 制 限 的 であってはならない 旨 定 められている また 加 盟 国 において 強 制 規 格 が 必 要 な 場 合 は 国 際 規 格 を 基 礎 として 用 いることや 制 定 された 全 ての 強 制 規 格 に 関 し て 速 やかに 公 表 することが 求 められている (b) 任 意 規 格 の 立 案 制 定 及 び 適 用 ( 第 4 条 附 属 書 3) 第 4 条 は 加 盟 国 において 定 める 任 意 規 格 について 附 属 書 3 に 記 載 されている 立 案 制 定 適 用 のための 適 正 実 施 基 準 を 受 け 入 れ 遵 守 することを 義 務 づけている 附 属 書 3 のポイントは 次 のとおり 1 貿 易 の 障 害 となるような 規 格 制 定 を 回 避 2 国 際 規 格 を 基 礎 とした 任 意 規 格 の 制 定 3 国 際 規 格 制 定 への 積 極 的 参 加 4 規 格 制 定 に 関 する 作 業 計 画 を 少 なくとも 6 か 月 に 1 回 公 表 ISO/IEC 情 報 セン ターに 作 業 計 画 の 存 在 を 通 報 5 規 格 制 定 前 には 原 則 として 少 なくとも 60 日 の 意 見 受 付 期 間 を 設 置 (c) 中 央 政 府 機 関 による 適 合 性 評 価 手 続 ( 第 5 条 ) 加 盟 国 における 適 合 性 評 価 手 続 について 国 際 標 準 化 機 関 によって 発 表 された 指 針 勧 告 を 基 礎 として 用 いることを 義 務 づけている (d) 適 合 性 評 価 の 中 央 政 府 機 関 による 承 認 ( 第 6 条 ) 各 加 盟 国 は 国 際 標 準 機 関 の 定 める 指 針 や 勧 告 にしたがい 認 定 を 受 けた 海 外 の 認 証 機 関 に 対 して 十 分 な 技 術 的 能 力 があると 認 め 可 能 なときはその 適 合 性 評 価 手 続 の 結 果 を 受 入 れることを 義 務 づけている 4 東 京 ラウンド:1973 年 9 月 のガット 東 京 閣 僚 会 議 で 採 択 された 東 京 宣 言 に 基 づいて 正 式 に 開 始 された しかし 石 油 ショック など 種 々の 困 難 に 直 面 し 大 幅 に 遅 れた 本 格 的 な 交 渉 は 1978 年 1 月 中 旬 か ら 行 われ 1979 年 4 月 に 主 要 国 間 で 実 質 的 に 交 渉 が 妥 結 した 8

(e) 3 年 見 直 し( 第 15 条 ) TBT 協 定 は TBT 委 員 会 によって 3 年 ごとにその 実 施 及 び 運 用 について 適 切 かどうか を 検 討 することとなっている このうち 重 要 視 できるのは 2000 年 に 行 われた 第 2 回 見 直 しであり このときに 透 明 性 開 放 性 公 平 性 効 率 性 市 場 適 合 性 一 貫 性 途 上 国 へ の 配 慮 を 内 容 とする 国 際 規 格 作 成 プロセスに 関 する 諸 原 則 が 採 択 された この 見 直 し の 背 景 は TBT 協 定 発 効 後 世 界 各 国 において ISO 等 で 作 成 される 国 際 規 格 の 重 要 性 が 増 大 し 特 に 各 国 の 既 存 の 制 度 を 変 更 する 義 務 を 負 うなどのコストが 発 生 し 国 家 間 で 利 害 が 生 じる 可 能 性 が 大 きくなってきた 事 実 ISO や IEC といった 国 際 標 準 化 機 関 は 規 格 策 定 における 投 票 にあたり 票 数 の 多 い 欧 州 主 導 の 運 営 が 行 われ 日 本 米 国 その 他 の アジア 諸 国 など 非 欧 州 国 の 関 心 が 十 分 に 反 映 さず 結 果 として 当 該 製 品 の 世 界 市 場 におけ る 使 用 度 合 いや 技 術 的 妥 当 性 の 観 点 で 不 適 当 な 規 格 が 国 際 規 格 として 成 立 してしまう 事 例 が 散 見 された 第 2 回 見 直 しで 採 択 された 原 則 は このような 弊 害 を 除 去 する 観 点 で 大 きな 意 義 を 持 つものである 当 時 議 論 された 具 体 的 な 問 題 点 の 内 容 は 次 のとおりである 1 TBT 協 定 の 規 定 により 世 界 市 場 における 使 用 度 合 い 技 術 的 内 容 等 が 考 慮 されず に 策 定 された 国 際 規 格 に 対 して 使 用 義 務 が 発 生 してしまう 場 合 当 該 規 格 が 不 適 切 なものにもかかわらず 各 国 において 当 該 国 際 規 格 よりも 優 れた 技 術 基 準 等 の 規 格 を 有 していても 国 際 規 格 への 適 合 を 余 儀 なくされるほか 国 際 規 格 への 適 合 コスト などが 発 生 する 可 能 性 が 存 在 し 場 合 によっては 市 場 の 喪 失 にもつながりうること である この 問 題 に 対 し 国 際 規 格 の 策 定 プロセスにおいて 文 書 の 開 示 などの 透 明 性 規 格 策 定 委 員 会 等 への 自 由 な 参 加 を 認 めることなどの 開 放 性 世 界 各 国 の 多 様 な 意 見 の 考 慮 などの 公 平 性 が 必 要 である 等 について 合 意 された 2 不 適 切 な 国 際 規 格 に 基 づき 強 制 規 格 を 制 定 してしまった 場 合 当 該 強 制 規 格 が 不 必 要 な 貿 易 障 害 となっていると 推 定 されるにもかかわらず TBT 協 定 第 2 条 第 5 項 に より 当 該 強 制 規 格 が 国 際 規 格 に 適 合 していることをもって 不 必 要 な 貿 易 障 害 をも たらさないと 誤 った 推 定 をされる 可 能 性 がある この 問 題 については 諸 原 則 に 明 確 な 対 策 が 盛 り 込 まれなかったが 当 該 国 際 規 格 の 策 定 の 際 の 諸 原 則 非 整 合 性 を 指 摘 することによって 反 証 が 容 易 になると 考 えられる 3 ISO が CEN( 欧 州 標 準 化 機 関 )とのみ 協 力 協 定 5を 締 結 し ISO 規 格 の 原 案 作 成 が CEN に 委 託 され それを 基 に 国 際 規 格 としての 策 定 投 票 が 行 われるなど 欧 州 偏 重 な 運 営 が 散 見 された この 問 題 に 対 して 前 述 の 透 明 性 開 放 性 公 平 性 の 諸 原 則 に ついて ISO が 地 域 標 準 化 機 関 などに 規 格 原 案 や 技 術 的 作 業 が 委 任 された 場 合 にも 遵 守 されるべきことが 合 意 された 5 協 定 :ウィーン 協 定 ISO と CEN との 間 に 締 結 されている 技 術 協 力 に 関 する 協 定 1991 年 6 月 に 発 効 した 9

4) 政 府 調 達 協 定 (a) 協 定 の 意 義 背 景 政 府 調 達 市 場 の 規 模 の 各 国 の 経 済 に 占 める 割 合 は 一 般 的 には 10~15% 程 度 とされて おり 特 に 経 済 規 模 が 大 きい 先 進 諸 国 では 途 上 国 に 比 して 規 模 も 大 きなものとなる よっ て 政 府 調 達 による 内 外 差 別 的 な 措 置 は 自 由 貿 易 体 制 の 推 進 に 及 ぼす 影 響 は 大 きなもの になることが 想 定 される GATT では 歴 史 的 に 国 家 安 全 保 障 や 発 展 途 上 国 における 特 定 産 業 の 保 護 育 成 の 観 点 か ら 内 国 民 待 遇 原 則 の 例 外 を 認 めてきた 具 体 的 な 優 遇 策 としては 1 入 札 に 外 国 企 業 を 参 加 させない 方 法 2 国 内 産 品 を 一 定 割 合 使 用 する 者 に 対 して 入 札 価 格 に 競 争 上 の 優 遇 を 与 える 方 法 3 応 札 者 に 対 して 国 内 産 業 の 振 興 を 図 る 観 点 から 様 々な 条 件 を 課 す 方 法 等 があ る これらの 優 遇 策 は 短 期 的 には 当 初 目 指 した 効 果 をあげることが 可 能 であるが 長 期 的 には 外 国 からの 入 札 者 に 対 する 競 争 環 境 が 確 保 されない 場 合 調 達 側 にとっては 最 低 価 格 かつ 最 良 の 物 品 やサービスの 調 達 を 妨 げ 政 府 予 算 の 最 大 限 の 活 用 を 妨 げる 結 果 となるほ か 入 札 側 にとっては 過 度 の 保 護 による 産 業 の 弱 体 化 や 自 由 貿 易 体 制 における 弊 害 となる しかしながら 政 府 調 達 の 取 引 金 額 の 規 模 を 考 察 した 場 合 自 由 貿 易 体 制 に 及 ぼす 影 響 が 非 常 に 大 きいことから ケネディ ラウンド 6 以 降 政 府 調 達 における 国 産 品 の 優 遇 が 非 関 税 障 壁 の 一 つとして 採 り 上 げられ その 解 決 策 の 議 論 が 行 われた その 結 果 1979 年 の 東 京 ラウンドにおいて 政 府 調 達 において 内 国 民 待 遇 及 び 最 恵 国 待 遇 を 確 保 するための 協 定 ( 旧 政 府 調 達 協 定 )が 先 進 国 間 の 複 数 国 間 条 約 として 成 立 した その 後 ウルグアイ ラウンド において 範 囲 の 拡 大 に 伴 う 条 文 の 改 訂 などが 行 われ 1996 年 に 発 効 したが 本 協 定 は WTO 加 盟 における 一 括 受 諾 の 対 象 ではないため 参 加 国 は 先 進 国 中 心 で 少 数 にとどまっている (b) 協 定 の 内 容 旧 政 府 調 達 協 定 時 から 入 っている 内 国 民 待 遇 原 則 や 最 恵 国 待 遇 原 則 はもちろんのこと 1996 年 に 発 効 した 協 定 では 適 用 範 囲 のサービス 調 達 への 拡 大 や 対 象 機 関 の 地 方 政 府 政 府 関 係 機 関 に 拡 大 された 具 体 的 には 我 が 国 の 政 府 調 達 の 該 当 機 関 は 立 法 司 法 を 含 む 全 ての 中 央 政 府 機 関 47 都 道 府 県 及 び 12 政 令 指 定 都 市 73 特 殊 法 人 及 び 66 独 立 行 政 法 人 となっている 他 国 においては 米 国 は 中 央 政 府 の 他 に 37 州 及 び 11 政 府 関 係 機 関 EU で は EU 理 事 会 委 員 会 を 含 む 全 ての 中 央 政 府 のほか 市 町 村 レベルを 含 む 全 ての 地 方 政 府 上 水 道 電 力 港 湾 空 港 などが 含 まれる また これら 政 府 機 関 の 調 達 手 続 に 違 反 があると 思 われる 者 が 苦 情 を 申 し 立 てることが 可 能 となったほか 本 協 定 にかかわる 紛 争 の 解 決 手 続 についても 定 められた 民 営 化 にとも なって 対 象 機 関 を 附 属 書 から 除 外 する 手 続 について 各 国 政 府 からの 除 外 要 望 組 織 の 通 報 に 対 し 異 議 がない 場 合 は 除 外 がそのまま 認 められ 異 議 があった 場 合 は 前 述 の 紛 争 解 決 手 続 での 解 決 が 図 られる しかし 協 定 の 中 で 民 営 化 の 定 義 がなされていないため 我 が 国 の JR 東 日 本 7や JR 西 日 本 は 既 に 政 府 保 有 株 式 が 全 て 売 却 され 完 全 民 営 化 されたが EU は 両 者 を 政 府 調 達 協 定 の 適 用 対 象 から 除 外 することについて 異 議 を 撤 回 していないということ が 起 こっており 今 後 の 協 定 見 直 しの 際 に 民 営 化 の 定 義 を 定 めることとなる 6 ケネディ ラウンド:1964 年 5 月 から 1967 年 6 月 まで 行 われた GATT の 交 渉 7 JR 東 日 本 : 過 去 に 国 際 規 格 となっていない suica 方 式 を 落 札 した 際 米 国 企 業 から 政 府 調 達 協 定 違 反 であるという 苦 情 申 立 がなされた 事 例 がある 10

第 3 節 国 際 ルールと 日 本 の 基 準 認 証 との 整 合 事 情 について 1.WTO/TBT 協 定 と 工 業 標 準 化 制 度 1980 年 ガットスタンダードコード 8 に 基 づく JIS の 国 際 規 格 の 整 合 化 を 図 るための 活 動 を 開 始 した 1995 年 1 月 の WTO/TBT 協 定 の 発 効 に 伴 い 政 府 は 規 制 緩 和 推 進 計 画 (1995 年 3 月 )を 策 定 し 我 が 国 の 基 準 認 証 制 度 の 国 際 整 合 化 の 推 進 を 図 った 任 意 規 格 で ある JIS についても 当 時 約 8,000 規 格 を 数 えた JIS のうち 対 応 国 際 規 格 のある JIS 約 4000 規 格 を 対 象 とし 1995 年 度 から 3 カ 年 の 計 画 で 整 合 化 作 業 を 実 施 した 国 際 整 合 化 を 進 める 過 程 においては 特 定 地 域 のみで 利 用 され 我 が 国 をはじめとして 国 際 市 場 の 実 態 を 反 映 していないもの 長 期 間 見 直 されず 現 状 の 技 術 水 準 と 乖 離 してしまっ たもの 環 境 上 問 題 のある 有 害 物 質 を 使 用 することが 定 められているものなど 国 際 規 格 の 規 定 内 容 が 不 適 切 であり かつ JIS の 規 定 内 容 に 技 術 的 合 理 性 が 認 められるものがあるこ とが 判 明 した これらについては 1998 年 度 以 降 国 際 規 格 を 適 正 なものに 改 正 するため の 国 際 規 格 改 正 提 案 活 動 を 開 始 し 現 在 に 至 っている 当 時 JIS の 国 際 整 合 化 の 基 本 的 な 考 え 方 は 次 のとおりであった (1) 法 令, 技 術 基 準 等 との 調 和 JIS は 国 民 の 安 全 衛 生 の 確 保, 公 害 等 の 防 止 等 を 図 る 観 点 から, 薬 事 法 電 気 製 品 安 全 法 との 法 令, 技 術 基 準 等 強 制 規 格 に 引 用 され, 又 は 国, 地 方 公 共 団 体 の 調 達 基 準 としても 用 いられてきている このため, 対 応 国 際 規 格 を 採 用 した JIS が 法 令 等 に 引 用 され, 技 術 的 調 和 が 図 られることは, 我 が 国 の 技 術 基 準 が 国 際 的 にも 透 明 性 が 確 保 され, 貿 易 の 技 術 的 障 害 が 緩 和 されることに 繋 がる (2) 規 格 体 系 の 整 合 規 格 体 系 の 整 合 ( 国 際 規 格 の 体 系 にあわせパート 制 とする, 又 は 複 数 の 国 際 規 格 を 一 つの JIS とするなど)についても 考 慮 し JIS が 対 応 国 際 規 格 を 採 用 したもの とみなすため, ISO/IEC ガイド 21 に 照 らし, 対 応 の 程 度 を 一 致 (IDT) 又 は 修 正 (MOD) のいずれかとす ることを 原 則 とした[ 同 等 でない(NEQ) の 場 合 は, 特 別 な 事 由 9をもつものに 限 定 する] 修 正 (MOD) の 場 合 においえも 国 際 規 格 との 差 異 は, 必 要 最 小 限 とした 8 ガットスタンダードコード(GATT standards Code):Agreement on Technical Barriers Trade( 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 :TBT 協 定 )は 当 時 一 般 的 にスタンダードコードと 呼 ばれていた 産 品 の 品 質 安 全 基 準 試 験 検 査 方 法 等 を 含 む 規 格 及 びそれらの 規 格 との 適 合 性 を 証 明 する 認 証 制 度 の 制 定 運 用 が 不 必 要 な 貿 易 障 害 とならないようにするため 内 外 無 差 別 の 原 則 と 手 続 きの 確 保 を 目 的 に 策 定 さ れた GATT の 下 での 協 定 である スタンダードコードは 多 角 的 貿 易 交 渉 ( 東 京 ラウンド:1973 年 ( 昭 和 48 年 ))の 一 貫 として 交 渉 が 進 められ 1980 年 ( 昭 和 55 年 )1 月 に 発 効 日 本 は 同 年 5 月 から 発 効 その 後 の WTO/TBT 協 定 の 基 礎 となっている 9 特 別 な 事 由 : 例 えば 対 応 国 際 規 格 が 各 国 の 実 情 をそのまま 盛 り 込 んだ 内 容 であり( 共 存 [Cohabitation] 形 の 国 際 規 格 ), 又 は 試 薬,その 他 の 物 質 が 環 境 規 制 物 質 である 場 合 をいう( 参 考 表 参 照 ) 11

これまでの 整 合 化 作 業 によって 現 在 の JIS と 国 際 規 格 の 整 合 化 状 況 は 次 のとおりとなる 1) JIS 規 格 発 行 総 数 :10,500 規 格 2) ISO 規 格 発 行 総 数 :19,977 規 格 3) IEC 規 格 発 効 総 数 :6,971 規 格 4) JIS の 国 際 整 合 化 状 況 ( 整 合 化 対 象 JIS:5725 規 格 ) 一 致 (IDT): 2187 規 格 (39%) 修 正 (MOD): 3158 規 格 (57%) 非 同 等 (NEQ): 215 規 格 (4%) (2015 年 3 月 末 現 在 ) 参 考 表 WTO/TBT 協 定 附 属 書 3F 項 の ただし 書 き に 該 当 すると 思 われる 例 (1) WTO/TBT 協 定 条 文 : 不 充 分 な 保 護 の 水 準 1 該 当 事 項 : 有 害 物 質 ( 例 えば 水 銀 塩,クロム 酸,フロン)の 使 用 該 当 JIS 例 : 分 析 及 び 試 験 方 法 (JIS K 2510:98 潤 滑 油 -さび 止 め 性 能 試 験 方 法 ) 理 由 : 環 境 保 全 のため( 少 量 でも 規 制 する 必 要 あり) 2 該 当 事 項 : 安 全 ( 例 えばクロロホルム) 該 当 JIS 例 : 分 析 及 び 試 験 方 法 (JIS H 1056:97 銅 及 び 銅 合 金 中 のニッケル 定 量 方 法 等 ) 理 由 : 作 業 の 安 全 衛 生 の 確 保 のため (2) WTO/TBT 協 定 条 文 : 気 候 上 の 又 は 地 理 的 な 基 本 的 要 因 1 該 当 事 項 : 気 候 上 の 要 因 該 当 JIS 例 :JIS C 8201-1( 低 圧 開 閉 装 置 及 び 制 御 装 置 - 第 1 部 : 通 則 )の 標 準 条 件 理 由 :IECは 欧 州 の 気 候 条 件 に 合 わせ 湿 度 :50% JISは 日 本 の 気 候 条 件 に 合 わせ 湿 度 :85%を 超 えてはならないとした 2 該 当 事 項 : 地 理 的 な 要 因 ( 体 格 ) 該 当 JIS 例 :JIS A 0017:98(キッチン 設 備 の 寸 法 )の 作 業 台 の 高 さ 理 由 : 欧 州 人 とアジア 人 の 成 人 の 身 長 差 3 該 当 事 項 :その 他 地 理 的 な 要 因 該 当 JIS 例 :JIS M 8705:96( 鉄 鉱 石 -コンサインメントの 水 分 決 定 方 法 )の 試 験 条 件 理 由 : 日 本 は 鉄 鉱 石 の 輸 入 国 であることから ISOに 規 定 されている 積 地 条 件 は 将 来 にわたって 適 用 されないため 削 除 12

(3) WTO/TBT 協 定 条 文 : 基 本 的 な 技 術 上 の 問 題 1 該 当 事 項 : 電 源 電 圧,アース 線 の 取 り 方 感 電 に 対 する 保 護 該 当 JIS 例 :JIS C 9335-1( 家 庭 用 及 びこれに 類 する 電 気 機 器 の 安 全 性 )で 例 えばクラス0を 採 用 し 定 格 電 圧 150Vを 超 えない 屋 内 用 機 器 について 認 めることとしている 理 由 : 配 電 電 圧 日 本 :100V,200V 欧 州 :230V 日 本 の 家 庭 用 コンセントにアース 極 付 コンセントが 普 及 していない 2 該 当 事 項 :TVの 放 送 方 式 該 当 JIS 例 :JIS C 6101-3(テレビジョン 受 信 機 試 験 方 法 第 3 部 : 副 搬 送 波 方 式 の 音 声 多 重 テレビジョン 受 信 機 の 電 気 的 測 定 ) 理 由 : 日 本 で 普 及 していないIECのPAL,SECAMの 色 復 調 方 式 を 削 除 3 該 当 事 項 : 電 源 コンセントのプラグ< 日 本 は2ピン(ULタイプ), 欧 州 は3ピン(アース 線 入 り)> 該 当 JIS 例 :JIS C 8303( 配 線 用 差 込 接 続 器 ) 理 由 : 配 電 電 圧 が 違 うため 日 米 : 100V 系 欧 州 : 200V 系 4 該 当 事 項 : 一 般 照 明 用 電 球 の 口 金 該 当 JIS 例 :JIS C 7501( 一 般 照 明 用 電 球 ) 理 由 : 日 本 はE27を 不 採 用 日 本 はE26(mm)が 完 全 に 普 及 しており 切 り 換 えによる 安 全 保 護 上 の 問 題 があるため 日 米 : E26(mm) 欧 州 : E27(mm) 5 該 当 事 項 : 国 際 規 格 の 技 術 的 内 容 が 古 い 該 当 JIS 例 :JIS H 1334(マグネシウム 合 金 のマンガン 定 量 方 法 ) 理 由 :ISOは25 年 以 上 前 の 操 作 が 煩 雑 で 時 間 のかかる 方 法 注 記 : 基 本 的 な 技 術 上 の 問 題 については 定 説 がなく 今 後 の 実 例 の 積 み 重 ねによるものである 2.WTO/TBT 協 定 と 適 合 性 評 価 制 度 1995 年 に 発 効 した WTO/TBT 協 定 は 加 盟 国 の 技 術 基 準 や 任 意 規 格 の 制 定 について 国 際 規 格 の 採 用 を 要 求 することに 加 えて 加 盟 国 が 実 施 する 適 合 性 評 価 についても 国 際 標 準 化 機 関 が 定 めるガイドや 国 際 規 格 の 国 内 制 度 における 活 用 ( 第 5 条 中 央 政 府 による 適 合 性 評 価 手 続 き 5.4)を 要 求 している 加 えて 加 盟 国 に 対 して 適 合 性 評 価 手 続 きの 相 互 承 認 (mutualrecognition)( 第 6 条 適 合 性 評 価 の 中 央 政 府 機 関 による 承 認 6.3) 交 渉 の 実 施 を 要 求 している この 協 定 の 発 効 に 伴 い 我 が 国 でも ISO と IEC が 定 めるガイドや 国 際 規 格 を 採 用 した 認 証 制 度 の 構 築 に 努 めている 13

参 考 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 する 協 定 ( 関 連 部 分 抜 粋 ) 第 5 条 中 央 政 府 機 関 による 適 合 性 評 価 手 続 き 5.4 加 盟 国 は 産 品 が 強 制 規 格 又 は 任 意 規 格 に 適 合 していることの 明 確 な 保 証 が 必 要 と される 場 合 において 国 際 標 準 化 機 関 によって 発 表 された 関 連 する 指 針 もしくは 勧 告 が 存 在 するとき 又 はその 仕 上 がりが 目 前 であるときは 当 該 指 針 もしくは 勧 告 又 はこれらの 関 連 部 分 を 中 央 政 府 機 関 が 適 合 性 評 価 手 続 きの 基 礎 として 用 いること を 確 保 する 第 6 条 適 合 性 評 価 の 中 央 政 府 機 関 による 承 認 6.3 加 盟 国 は 他 の 加 盟 国 から 要 請 があった 場 合 には それぞれの 適 合 性 評 価 手 続 きの 結 果 の 相 互 承 認 ( mutual recognition of results of each other s conformity assessment procedures)のための 合 意 をすることを 目 的 として 交 渉 するよう 奨 励 される 3. 国 際 標 準 化 機 構 / 適 合 性 評 価 委 員 会 (ISO/CASCO) 国 際 標 準 化 機 構 (ISO)の 適 合 性 評 価 委 員 会 (CASCO)では 認 定 機 関 認 証 機 関 審 査 登 録 機 関 試 験 所 等 の 適 合 性 評 価 の 様 々な 形 態 に 応 じた 要 求 事 項 に 関 するガイドを 策 定 して おり また 1997 年 には 規 格 策 定 の 機 能 も 付 加 され 積 極 的 に 適 合 性 評 価 関 連 の 国 際 規 格 ガイドを 整 備 している 適 合 性 評 価 委 員 会 (CASCO)における 審 議 成 果 を 踏 まえて ISO と IEC が 制 定 している 適 合 性 評 価 に 係 る 主 な 国 際 規 格 ガイドを 参 考 に 示 す 参 考 適 合 性 評 価 に 関 する 主 なガイド 及 び 国 際 規 格 ISO/IEC17000 適 合 性 評 価 - 用 語 及 び 一 般 原 則 (JISQ17000) ISO/IEC17011 適 合 性 評 価 - 適 合 性 評 価 機 関 の 認 定 を 行 う 認 定 機 関 に 対 する 一 般 要 求 事 項 (JISQ17011) 従 来 試 験 検 査 認 証 などの 適 合 性 評 価 毎 に 定 められていた 適 合 性 評 価 機 関 に 対 す る 要 求 事 項 ISO/IEC ガイド 58( 試 験 所 校 正 機 関 認 定 ) ISO/IECTR17011 及 び ISO/IEC ガイド 61 を 統 合 した 形 で 2004 年 に 制 定 したもの ISO/IEC17021 適 合 性 評 価 -マネジメントシステムの 審 査 及 び 認 証 を 提 供 する 機 関 に 対 する 要 求 事 項 (JISQ17021) これまでの ISO/IEC ガイド 62( 品 質 ) ISO/IEC ガイド 66( 環 境 )を 統 合 した 形 で 2006 年 に 制 定 ISO/IEC17025 試 験 所 及 び 校 正 機 関 の 能 力 に 関 する 一 般 要 求 事 項 (JISQ17025) ISO/IEC17065 適 合 性 評 価 - 製 品 プロセス 及 びサービスの 認 証 を 行 う 機 関 に 対 する 要 求 事 項 (JISQ17065) ISO/IEC17050 適 合 性 評 価 - 供 給 者 適 合 宣 言 (JISQ17050) 14

4. 製 品 認 証 分 野 工 業 製 品 が 規 格 に 適 合 しているか 否 かを 評 価 するのが 製 品 認 証 である 製 品 認 証 を 行 う 機 関 に 対 する 認 証 機 関 としての 登 録 は 各 製 品 認 証 制 度 に 応 じて 実 施 される 我 が 国 の 代 表 的 な 製 品 認 証 制 度 である JIS マーク 表 示 制 度 は 工 業 標 準 化 法 に 基 づき 実 施 さ れるもので 鉱 工 業 品 の 製 造 業 者 や 輸 出 入 販 売 業 者 や 加 工 業 者 が 製 品 に JIS マークを 表 示 し ようとするときには 国 が 登 録 をした 登 録 認 証 機 関 からの 認 証 を 受 けることによって JIS マークの 表 示 が 可 能 となる つまり 登 録 認 証 機 関 との 認 証 契 約 を 締 結 した 上 で 製 品 に 自 ら JIS マークを 表 示 することができる また この 登 録 認 証 機 関 の 登 録 は 国 が 行 う そ の 登 録 基 準 は ISO/IEC ガイド 65 である この 工 業 標 準 化 法 に 基 づく 認 証 機 関 の 登 録 制 度 を JASC[Japan Accreditation System for Product Certification Bodies of JIS Mark]と 呼 ぶ 5.マネジメントシステムの 認 証 制 度 ISO9001 に 代 表 されるマネジメントシステム 規 格 は 認 証 制 度 と 一 体 化 してこそ その 価 値 を 発 揮 するものとなる このため マネジメントシステム 規 格 の 開 発 にあたっては 認 証 に 用 いることを 前 提 とした 規 格 開 発 が 行 われている ISO9000 ファミリーの 基 となったのは 英 国 BSI の BS5750 という 規 格 であるが 英 国 は 1984 年 に 英 国 品 質 認 定 協 会 (NACCB: 現 UKAS)を 設 立 し この BS5750 を 規 格 として 認 定 認 証 システムを 開 始 した NACCB が 開 始 した 第 三 者 による 認 定 認 証 システムとは 製 品 サービス プロセスなどが 必 要 な 要 求 事 項 に 適 合 しているか 購 入 者 に 代 わって 第 三 者 である 認 証 機 関 が 保 証 する 制 度 であり この 認 証 機 関 やそこで 審 査 を 行 う 審 査 員 の 資 格 制 度 について 認 定 機 関 である NACCB が 認 定 することで 認 証 の 信 頼 性 を 確 保 するしくみになっている この 認 定 認 証 システムが 各 国 に 普 及 し 同 様 のシステムが 各 国 で 整 備 されることになった 日 本 の 場 合 ISO9001 の 認 証 を 行 う 認 証 機 関 は 50 程 度 存 在 し その 能 力 を 認 定 する 機 関 として 公 益 財 団 法 人 日 本 適 合 性 認 定 協 会 (JAB)が 存 在 する マネジメントシステム 規 格 の 大 半 は この JAB が 認 定 機 関 となっているが ISO27001( 情 報 セキュリティに 関 するマネ ジメントシステム 規 格 )に 関 しては やはり 英 国 規 格 であった 時 代 から 一 般 財 団 法 人 日 本 情 報 経 済 社 会 推 進 協 会 (JIPDEC)がその 導 入 に 大 きな 役 割 を 果 たし 現 在 も 認 定 機 関 として 活 動 している 但 し 現 在 では JAB も ISO27001 の 認 定 機 関 として 活 動 しているため 同 制 度 で 一 国 に 2 つの 認 定 機 関 が 存 在 するという 珍 しい 状 況 となっている このマネジメントシステムの 認 証 制 度 において 重 要 なポイントは JAB JIPDEC を 含 め 全 ての 認 証 関 係 組 織 は 民 間 法 人 であり この 制 度 には 民 間 の 独 自 認 証 システムで 法 的 根 拠 は 規 格 が JIS であること 程 度 しかないということだろう 世 界 的 にもほぼ 同 様 で あり 認 定 機 関 同 士 の 能 力 を 相 互 審 査 し 国 を 超 えて 相 互 に 認 証 を 有 効 にする 仕 組 み(MLA) を 運 営 している IAF( 国 際 認 定 機 関 フォーラム)もオーストラリアの 民 間 機 関 ( 設 立 時 は 会 議 体 )となっている このような 民 間 独 自 の 自 由 競 争 によるシステムであることが 制 度 の 普 及 には 大 きな 役 割 を 果 たしたが 前 述 のような 認 定 機 関 の 並 立 といった 事 態 を 起 こす 原 因 ともなっている 15

第 4 節 日 本 の 適 合 性 評 価 制 度 JIS 法 の 適 合 性 評 価 制 度 には 製 品 又 は 加 工 技 術 に 対 する JIS マーク 表 示 制 度 ( 以 下 JIS マーク 制 度 という )と 試 験 方 法 に 対 する JNLA 制 度 の 2 つがある 両 制 度 ともに 任 意 の 制 度 であり 取 得 の 義 務 はないが 取 引 の 単 純 化 及 び 公 正 化 に 大 きな 貢 献 を 果 たしているだ けでなく 事 業 者 の 品 質 技 術 レベルの 判 断 指 標 としての 効 用 もある また 国 家 規 格 とその 製 品 適 合 を 示 すマーク 制 度 については ほとんどの 国 が 採 用 してい る 制 度 である ここでは 工 業 標 準 化 法 ( 以 下 JIS 法 という )における 適 合 性 評 価 制 度 の 意 義 と 効 用 を 理 解 すべく JIS マーク 表 示 制 度 と JNLA 制 度 の 概 要 について 解 説 する 1.JIS 法 に 基 づく 適 合 性 評 価 制 度 の 概 要 JIS 法 に 基 づく 適 合 性 評 価 制 度 は 2004 年 ( 平 成 16 年 )の JIS 法 の 改 正 により 大 きく 変 貌 した JIS 法 における 適 合 性 評 価 制 度 は JIS の 製 品 規 格 又 は 加 工 技 術 規 格 に 対 する 適 合 性 評 価 制 度 である JIS マーク 表 示 制 度 と JIS の 試 験 方 法 規 格 に 対 する 適 合 評 価 制 度 である JNLA 制 度 の 二 つである 両 制 度 に 共 通 する 特 徴 を 概 括 すると1JIS に 基 づく 適 合 性 評 価 制 度 であり JIS として 規 格 が 存 在 しない 限 り 認 証 はできない 2 任 意 の 制 度 であり 認 証 取 得 及 び 表 示 は 事 業 者 に 委 ねられている 3 認 証 取 得 者 でない 者 が 表 示 を 行 う 認 証 取 得 者 が 法 令 又 は 該 当 JIS 不 適 合 行 為 を 行 うとはじめて 刑 事 罰 や 行 政 処 分 などの 制 約 行 為 を 受 ける といったことであ る JNLA とは Japan National Laboratory Accreditation system の 略 称 であり 1997( 平 成 7 年 ) 年 9 月 より JIS 法 に 基 づく 試 験 所 認 定 制 度 として 発 足 し 2004 年 10 月 からは JIS 法 に 基 づく 試 験 事 業 者 登 録 制 度 となった 本 登 録 制 度 は 国 際 標 準 化 機 構 及 び 国 際 電 気 標 準 会 議 が 定 めた 試 験 所 に 関 する 基 準 (ISO/IEC17025)の 要 求 事 項 に 適 合 しているかどう かについて 独 立 行 政 法 人 製 品 評 価 技 術 基 盤 機 構 (NITE) 認 定 センターが 審 査 を 行 い 試 験 事 業 者 を 登 録 する 制 度 である JNLA 制 度 は 創 設 が 1997 年 と 比 較 的 新 しい 制 度 であるこ と 用 途 が 企 業 間 取 引 又 は 試 験 所 と 事 業 者 間 という 一 般 消 費 者 とはほとんど 関 係 のない 制 度 であることもあり 知 名 度 認 証 事 業 者 数 ともにあまり 高 いとは 言 えないが 2004 年 の JIS マーク 制 度 の 改 革 に 伴 い 全 ての 試 験 方 法 に 対 する 制 度 に 範 囲 を 広 げたので 更 なる 用 途 拡 大 が 期 待 される なお 似 たような 法 律 としては 農 林 物 資 の 規 格 化 及 び 品 質 表 示 の 適 正 化 に 関 する 法 律 いわゆる JAS 法 に 基 づく JAS マーク 制 度 があり このマークも 国 民 の 認 知 度 が 高 く 幅 広 く 活 用 されている 制 度 である 16

2.JIS マーク 表 示 制 度 (1) 意 義 JIS マーク 表 示 制 度 は 製 品 の 品 質 を 具 体 的 に 規 定 した JIS に 適 合 していることを 示 す 特 別 な 表 示 (JIS マーク)を 付 すことができる 制 度 である このマークが 付 いている 商 品 が いわゆる JIS マーク 品 といわれるもので 商 品 が JIS に 適 合 したものであるかを 選 択 す る 目 安 となる JIS マーク 表 示 制 度 は このように 使 用 者 消 費 者 あるいは 製 造 事 業 者 から 消 費 者 に 至 る 流 通 経 路 の 事 業 者 が 一 目 で JIS に 規 定 する 品 質 を 満 足 する 商 品 を 入 手 できることを 目 的 としたものであり 取 引 の 単 純 化 及 び 公 正 化 に 大 きな 貢 献 をしてきている また 事 業 者 の 認 証 に 当 たっては 社 内 標 準 化 と 品 質 管 理 の 実 施 を 必 要 条 件 としているの で 企 業 における 標 準 化 の 推 進 や 品 質 管 理 の 向 上 に 大 きな 寄 与 を 果 たしており 特 に 中 小 企 業 の 体 質 改 善 に 及 ぼす 効 果 は 極 めて 大 きいと 言 え 現 に JIS 工 場 の 9 割 以 上 が 中 小 企 業 で ある さらに JIS 法 第 67 条 の 尊 重 規 定 に 基 づき 建 築 基 準 法 をはじめとする 各 種 規 制 法 規 公 共 調 達 等 の 技 術 基 準 等 に JIS が 活 用 されているので 実 態 的 に JIS マーク 品 又 は JIS 工 場 であることが 判 断 基 準 として 用 いられていることが 多 く これらに 関 係 する 取 引 におい て 広 く 活 用 されている JIS マーク 表 示 制 度 は JIS 法 制 定 当 初 から JIS と JIS マーク 制 度 をその 2 本 柱 とし 約 60 年 の 歴 史 において 産 業 界 だけでなく 広 く 国 民 に 慣 れ 親 しまれた 知 名 度 の 高 い 制 度 で あり 一 般 的 には JIS と 言 うと JIS マークのことを 指 すことの 方 が 多 い また このよう な 国 家 規 格 への 適 合 性 を 示 す 任 意 のマーク 制 度 はほとんどの 国 が 採 用 しており 我 が 国 同 様 それぞれの 国 内 に 広 く 活 用 され 知 名 度 の 高 い 制 度 となっている 例 えば イギリスの Kitemark(カイトマーク) は 1903 年 の 発 足 以 来 100 年 以 上 の 歴 史 を 有 し ドイツの DIN マーク は 1920 年 に 発 足 し 約 90 年 フランスは NF マーク が 1938 年 に 発 足 し 約 80 年 の 歴 史 を 有 しているのが 世 界 的 に 代 表 的 なマーク 制 度 である その 他 カナ ダの CSA マーク 韓 国 の KS マークなどがある これらほとんどの 国 々における 国 家 規 格 に 基 づく 製 品 適 合 性 評 価 である 国 家 表 示 制 度 は 通 常 一 つの 機 関 が 排 他 的 かつ 独 占 的 に 行 っているのに 対 し JIS マーク 制 度 は 法 令 に 基 づき 登 録 された 認 証 機 関 による 自 由 競 争 により 運 営 されている 点 が 我 が 国 の JIS マーク 制 度 の 特 徴 である なお 中 国 の CCC マークは 強 制 マーク 制 度 であり アメリカは 各 標 準 化 機 関 ごとに 有 力 なマーク 制 度 があり 国 家 標 準 化 機 関 である ANSI は 原 則 自 ら 規 格 策 定 は 行 わないこともあり 国 家 規 格 である ANS のマーク 制 度 はない 17

(2) 制 度 の 概 要 1 対 象 となる JIS JIS のうち 製 品 に 対 する 品 質 要 求 事 項 品 質 確 認 のための 試 験 方 法 表 示 に 関 する 事 項 が 完 備 されたものは 原 則 JIS マークの 認 証 の 対 象 となる 一 部 の 事 項 しか 定 めて いない 規 格 例 えば 寸 法 のみしか 規 定 されていない 規 格 は 認 証 の 対 象 とはならない なお 登 録 認 証 機 関 により 認 証 業 務 を 行 う 規 格 の 範 囲 が 異 なる 場 合 があり 申 請 事 業 者 は 各 登 録 認 証 機 関 の 行 う 認 証 業 務 の 範 囲 をあらかじめ 確 認 しておくことが 必 要 となる 2 認 証 取 得 できる 事 業 者 前 制 度 では 製 造 又 は 加 工 業 者 の 工 場 又 は 事 業 場 ごとに 認 定 を 行 っていたが 現 在 で は それに 加 え 販 売 業 者 国 内 の 輸 入 業 者 及 び 外 国 の 輸 出 業 者 も 認 証 取 得 できるよ うになっている(JIS 法 第 19 条 第 2 項 第 23 条 第 2 項 ) さらに 品 質 管 理 体 制 を 一 元 化 すれば 複 数 の 工 場 を 一 括 して 認 証 することができる また JIS マーク 認 証 は 原 則 認 証 を 受 けた 後 は 認 証 取 得 者 自 らが 生 産 する 製 品 に 自 ら JIS 適 合 性 を 確 認 し JIS マークを 表 示 できる 制 度 であるが 特 定 の 数 量 (10,000 個 10,000Kl 等 ) に 限 定 して 認 証 (ロット/バッチ 認 証 )を 受 けることもできるようになっている 3 認 証 主 体 認 証 は 国 の 登 録 を 受 けた 民 間 機 関 である 登 録 認 証 機 関 が 一 元 的 に 行 うことになっ ており 認 証 行 為 そのものは 登 録 認 証 機 関 と 申 請 者 間 の 民 - 民 契 約 である 国 の 関 与 は JIS マーク 制 度 の 信 頼 性 の 確 保 のための 立 入 検 査 や 試 買 検 査 といった 間 接 的 な 関 与 に 限 定 されている 国 は JIS マークの 表 示 の 除 去 又 は 抹 消 販 売 停 止 命 令 の 行 政 処 分 権 限 は 有 しているが 認 証 そのものは 民 - 民 契 約 なので 前 制 度 にあ た 取 消 し 処 分 権 限 はない 3.JNLA 制 度 (1) 意 義 JNLA 制 度 は JIS で 規 定 された 試 験 方 法 に 基 づく 試 験 を 行 うことができる 試 験 事 業 者 を 登 録 する 制 度 である 登 録 を 受 けた 試 験 事 業 者 は 登 録 を 受 けた 試 験 に 関 して 依 頼 試 験 を 実 施 したときに 発 行 する 証 明 書 ( 例 えば 試 験 証 明 書 試 験 成 績 書 )に 標 章 (JNLA ロゴ)を 付 す ことができる 制 度 の 主 なユーザーは 1 製 造 業 者 等 が 自 己 適 合 宣 言 を 行 う 際 に その 検 査 力 信 用 力 の 不 足 から 第 三 者 による 試 験 結 果 を 必 要 とする 場 合 特 に 中 小 企 業 者 に 対 す るニーズに 応 えるもの 2 購 入 者 ( 販 売 業 者 調 達 者 輸 入 業 者 等 )が 購 入 する 製 品 の 規 格 適 合 性 について 信 頼 ある 試 験 結 果 を 必 要 とする 場 合 3 技 術 の 高 度 化 精 密 化 社 会 的 ニーズ の 高 まりに 伴 い 高 度 な 技 術 を 要 する 信 頼 ある 試 験 結 果 を 必 要 とする 場 合 等 であり 従 来 我 が 国 においては 国 立 の 試 験 所 又 は 公 設 試 がこの 役 割 を 担 ってきたが グローバル 化 の 進 展 に 伴 い 試 験 データの 国 際 的 受 入 の 必 要 性 等 が 生 じたので 1997 年 ( 平 成 9 年 )の JIS 法 改 正 時 に 国 際 的 な 試 験 所 の 能 力 に 関 する 要 求 事 項 のガイドに 基 づくこの 制 度 が 創 設 された 18

(2) 制 度 の 概 要 1 対 象 となる JIS 前 制 度 では 指 定 商 品 以 外 の 試 験 方 法 JIS に 限 定 されていたが 指 定 商 品 制 度 の 廃 止 に 伴 い 鉱 工 業 品 に 係 る JIS に 規 定 する 全 ての 試 験 方 法 が 対 象 となった 2 登 録 できる 事 業 者 国 内 外 の JIS に 基 づく 試 験 を 行 う 試 験 事 業 者 であれば 申 請 し 登 録 することが できる また 試 験 専 門 機 関 でなくても 例 えば 製 造 業 者 内 の 試 験 部 門 であって も 登 録 は 可 能 である 登 録 の 際 の 審 査 基 準 は JISQ17025(ISO/IEC17025) である 3 認 証 主 体 主 務 大 臣 が 試 験 事 業 者 の 審 査 を 行 い 登 録 を 行 う 現 在 JIS 法 に 基 づく JNLA 制 度 を 実 際 に 運 用 しているのは 経 済 産 業 省 だけであるが 試 験 所 校 正 機 関 に 対 す る 専 門 的 知 見 を 有 する NITE 10 に 事 務 が 委 任 されており NITE が 審 査 登 録 等 に 関 する 業 務 を 行 っている 参 考 文 献 標 準 化 実 務 入 門 ( 経 済 産 業 省 基 準 認 証 ユニット 偏 ) 経 済 産 業 省 JIS と 国 際 規 格 との 整 合 化 の 手 引 き 10 NITE 独 立 行 政 法 人 製 品 評 価 技 術 基 盤 機 構 (NationalInstituteofTechnologyandEvaluation)の 略 19

第 2 章 TBT 協 定 の 解 釈 及 び 適 用 に 関 する 近 年 のパネル 上 級 委 員 会 報 告 早 稲 田 大 学 社 会 科 学 部 教 授 福 永 有 夏 第 1 節 問 題 の 所 在 近 年 TBT 協 定 に 関 するパネル 上 級 委 員 会 報 告 が 多 数 採 択 され TBT 協 定 規 定 の 意 味 の 明 確 化 が 図 られつつある 中 でも 米 国 クローブタバコ 関 連 措 置 事 件 米 国 マグロ ラベ リング 措 置 事 件 米 国 COOL 要 件 事 件 における TBT 協 定 の 解 釈 は TBT 協 定 に 係 る 今 後 の 紛 争 において 先 例 としてパネルや 上 級 委 員 会 に 参 照 されると 予 想 される なお 上 記 3 事 件 において 特 に 重 要 な 争 点 となったのは TBT 協 定 2 条 1 項 ( 内 国 民 待 遇 義 務 ) 1 TBT 協 定 2 条 2 項 ( 国 際 貿 易 に 対 する 不 必 要 な 障 害 をもたらさない 義 務 ) TBT 協 定 2 条 4 項 ( 国 際 規 格 を 基 礎 として 用 いる 義 務 ) TBT 協 定 附 属 書 1 パラグラフ 1( 強 制 規 格 の 定 義 )であった 本 章 は TBT 協 定 2 条 1 項 2 条 2 項 2 条 4 項 附 属 書 1 パラグラフ 1 のそれぞれに ついて パネル 上 級 委 員 会 の 解 釈 及 び 適 用 が 上 記 3 事 件 においてどのように 変 遷 したか また 今 後 TBT 協 定 に 係 る 紛 争 においてどのように 解 釈 及 び 適 用 され 得 るかを 検 討 する( 第 3 節 ) なお 上 記 3 事 件 に 関 してはすでに 評 釈 が 公 表 されているので 2 これらの 紛 争 の 経 緯 や 事 実 関 係 に 関 する 記 述 は 最 小 限 にとどめる( 第 2 節 ) 第 2 節 3 事 件 の 概 要 1. 米 国 クローブタバコ 関 連 措 置 事 件 (1) 対 象 措 置 本 件 の 対 象 措 置 は 連 邦 食 品 医 薬 品 化 粧 品 法 907 条 (a)(1)(a)である この 規 定 によ れば たばこに 香 料 (メンソールを 除 く)を 加 えることが 禁 止 される インドネシアから 輸 入 されていたクローブタバコも 禁 止 措 置 の 対 象 となった (2) WTO 紛 争 処 理 制 度 における 経 緯 2010 年 4 月 7 日 インドネシアは 米 国 のクローブタバコに 関 する 措 置 について 米 国 に 対 して 協 議 要 請 を 行 った 2010 年 6 月 9 日 協 議 が 不 調 に 終 わったため インドネシア 1 本 章 で 扱 う 事 件 においては 争 われていないが TBT 協 定 2 条 1 項 は 最 恵 国 待 遇 義 務 も 含 む 2 章 末 の 参 考 文 献 リストを 参 照 20

はパネルの 設 置 を 要 請 した 2010 年 7 月 20 日 パネルが 設 置 され 2011 年 9 月 2 日 パ ネル 報 告 が WTO 加 盟 国 に 送 付 された パネルは 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 2 条 9 項 2 2 条 12 項 に 違 反 すると 認 めたが TBT 協 定 2 条 2 項 などに 基 づくインドネシアの その 他 の 主 張 は 認 めなかった 3 2012 年 4 月 4 日 米 国 による 申 立 てを 受 けて 上 級 委 員 会 は 報 告 書 を WTO 加 盟 国 に 送 付 した 上 級 委 員 会 は パネルと 一 部 異 なる 理 由 ではある が 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 及 び 2 条 12 項 に 違 反 するとのパネルの 結 論 を 支 持 し た 4 2012 年 4 月 24 日 パネル 上 級 委 員 会 報 告 は DSB( 紛 争 解 決 機 関 )に 採 択 された その 後 インドネシアと 米 国 は DSB 勧 告 実 施 のための 妥 当 な 期 間 を 15 か 月 とすることに 合 意 したと DSB に 通 報 した 2013 年 8 月 12 日 インドネシアは DSB に 譲 許 その 他 の 義 務 の 停 止 の 承 認 を 要 請 した 5 2013 年 8 月 23 日 米 国 の 要 請 に 基 づき 譲 許 その 他 の 義 務 の 停 止 の 程 度 の 問 題 が 仲 裁 に 付 託 された 2014 年 10 月 3 日 インドネシアと 米 国 は 相 互 に 合 意 する 解 決 に 至 ったこと を DSB に 通 報 した 6 これにより 譲 許 その 他 の 義 務 の 停 止 の 承 認 の 要 請 及 び 仲 裁 付 託 は いずれも 取 り 下 げられた 2. 米 国 マグロ ラベリング 措 置 事 件 (1) 対 象 措 置 本 件 において 対 象 となったマグロ ラベリング 措 置 は イルカ 保 護 消 費 者 情 報 法 イルカ 安 全 ラベリング 基 準 及 び 東 熱 帯 太 平 洋 において 捕 獲 されるマグロについてのイルカ 安 全 要 件 Earth Island Institute v. Hogarth 事 件 連 邦 巡 回 控 訴 裁 判 所 裁 定 (494 F.3d 757 (9th Cir. 2007))により 構 成 される マグロ ラベリング 措 置 は マグロの 捕 獲 の 態 様 を 捕 獲 海 域 ( 東 熱 帯 太 平 洋 の 域 内 か 域 外 か) 捕 獲 道 具 ( 巾 着 網 の 使 用 の 有 無 ) マグロとイルカの 生 態 ( 接 近 して 泳 いでいるか 否 か) イルカの 死 傷 率 に 応 じて5 つに 分 類 したうえで 各 分 類 について イルカ 安 全 (dolphin-safe) ラベルを 使 用 するための 要 件 を 定 めている 要 件 を 満 たさずに イルカ 安 全 ラベルを 用 い た 場 合 には 制 裁 の 対 象 となり 得 る 3 Panel Report (2 September 2011), United States Measures Affecting the Production and Sale of Clove Cigarettes [US Clove Cigarettes], WT/DS406/R, adopted 24 April 2012. 4 Appellate Body Report (4 April 2012), US Clove Cigarettes, WT/DS406/AB/R, adopted 24 April 2012. 5 なお インドネシアによる 譲 許 その 他 の 義 務 の 停 止 の 承 認 申 請 について EU が DSU21 条 5 項 などの 違 反 を 主 張 して 協 議 要 請 を 行 っている Request for Consultations by the European Union (19 June 2014), Indonesia Recourse to Article 22.2 of the DSU in the US Clove Cigarettes Dispute, WT/DS481/1, G/L/1072. 6 インドネシアと 米 国 の 合 意 は クローブシガーについて 差 別 しないことのほか インドネシアの 鉱 物 輸 出 規 制 やインドネシアに 対 する 特 恵 関 税 など 広 範 な 問 題 を 含 んでいると 報 道 されている なお インドネ シアのタバコ 生 産 者 は 本 件 措 置 導 入 後 クローブタバコの 生 産 からクローブシガーの 生 産 にシフトして いる Inside U.S. Trade (10 October 2014), U.S. Settles WTO Clove Cigarette Case with Indonesia; Keeps Ban in Place. 21

(2) WTO 紛 争 処 理 制 度 における 経 緯 2008 年 10 月 24 日 メキシコは 米 国 のマグロ ラベリング 措 置 について 米 国 に 対 し て 協 議 要 請 を 行 った 2009 年 3 月 9 日 協 議 が 不 調 に 終 わったため メキシコはパネルの 設 置 を 要 請 した 2009 年 4 月 20 日 パネルが 設 置 され 2011 年 9 月 15 日 パネル 報 告 が WTO 加 盟 国 に 送 付 された パネルは 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 2 項 に 違 反 すると 認 めたが 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 及 び 2 条 4 項 に 違 反 するとのメキシコの 主 張 は 認 めなかった 7 2012 年 5 月 16 日 メキシコと 米 国 の 双 方 による 申 立 てを 受 けて 上 級 委 員 会 は 報 告 書 を WTO 加 盟 国 に 送 付 した 上 級 委 員 会 は 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 に 違 反 すると 認 めたが 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 2 項 及 び 2 条 4 項 に 違 反 するとのメキシ コの 主 張 は 認 めなかった 8 2012 年 6 月 13 日 パネル 上 級 委 員 会 報 告 は DSB に 採 択 さ れた その 後 メキシコと 米 国 は DSB 勧 告 実 施 のための 妥 当 な 期 間 を 13 か 月 とすること に 合 意 したと DSB に 通 報 した 2013 年 11 月 14 日 メキシコは 米 国 の DSB 勧 告 実 施 について 遵 守 パネルの 設 置 を 要 請 した 2014 年 1 月 22 日 DSB はこの 問 題 をオリジナル パネルに 付 託 することに 合 意 した 2015 年 3 月 10 日 現 在 遵 守 パネルの 報 告 は 送 付 されていない 3. 米 国 COOL 要 件 事 件 (1) 対 象 措 置 本 件 において 対 象 となった COOL 要 件 ( 肉 製 品 に 係 る 原 産 地 表 示 措 置 )は 2002 年 農 業 法 及 び 2008 年 農 業 法 で 改 正 された 1946 年 農 業 マーケティング 法 と 2009 年 1 月 に 公 表 された 畜 産 物 に 係 る 義 務 的 原 産 地 ラベリングについての 最 終 規 則 から 構 成 される 9 COOL 要 件 によれば 畜 産 物 は 以 下 の 4 つに 分 類 される 10 カテゴリーA( 米 国 原 産 ): 出 生 肥 育 屠 畜 のすべてが 米 国 で 行 われた 家 畜 からのブ ロック 肉 など カテゴリーB( 複 数 国 原 産 ):カテゴリーA に 含 まれない 肉 のうち 出 生 肥 育 屠 畜 のいずれかが 米 国 で 行 われ かつ 米 国 で 直 ちに 屠 畜 するために 輸 入 されたわけでは ない 家 畜 からのブロック 肉 カテゴリーC( 米 国 で 直 ちに 屠 畜 するために 輸 入 ): 米 国 で 直 ちに 屠 畜 するために 輸 入 された 家 畜 からのブロック 肉 カテゴリーD( 外 国 産 ): 出 生 肥 育 屠 畜 のいずれも 米 国 でない 家 畜 からのブロック 肉 また カテゴリーA から C のブロック 肉 がさまざまな 組 み 合 わせにより 混 合 された 場 合 には カテゴリーB 又 は C に 分 類 される このほか COOL 要 件 は 加 工 食 品 の 原 料 とな るブロック 肉 やフードサービス 施 設 において 用 いられるブロック 肉 を 対 象 としていない COOL 要 件 はまた 査 察 制 度 認 証 罰 則 を 定 めている 7 Panel Report ( 15 September 2011 ), United States Measures Concerning the Importation, Marketing and Sale of Tuna and Tuna Products [US Tuna II (Mexico)], WT/DS381/R, adopted 13 June 2012. 8 Appellate Body Report (16 May 2012), US Tuna II (Mexico), WT/DS381/AB/R, adopted 13 June 2012. 9 このほか Vilsack 米 国 農 務 長 官 から 業 界 の 代 表 に 2009 年 2 月 に 送 付 された 書 簡 も 対 象 措 置 に 含 まれるが 本 章 では 扱 わない パネルは Vilsack 書 簡 は 強 制 規 格 ではないと 結 論 している( 上 級 委 員 会 への 申 立 てはない) 10 ひき 肉 はカテゴリーE に 分 類 されるが 本 章 はひき 肉 を 対 象 としない 22

(2) WTO 紛 争 処 理 制 度 における 経 緯 2008 年 12 月 1 日 カナダは 米 国 の COOL 要 件 について 米 国 に 対 して 協 議 要 請 を 行 った 2009 年 10 月 7 日 協 議 が 不 調 に 終 わったため カナダはパネルの 設 置 を 要 請 した 同 様 に 2008 年 12 月 17 日 メキシコは 米 国 の COOL 要 件 について 米 国 に 対 して 協 議 要 請 を 行 った 2009 年 10 月 9 日 協 議 が 不 調 に 終 わったため メキシコはパネルの 設 置 を 要 請 した 2009 年 11 月 19 日 カナダ 及 びメキシコの 要 請 に 基 づく 単 一 のパネルが 設 置 され 2011 年 11 月 18 日 パネル 報 告 が WTO 加 盟 国 に 送 付 された パネルは 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 及 び 2 条 2 項 に 違 反 すると 認 めたが 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 4 項 に 違 反 するとのカナダ 及 びメキシコの 主 張 は 認 めなかった 11 2012 年 6 月 29 日 カナダ メキシコ 米 国 による 申 立 てを 受 けて 上 級 委 員 会 は 報 告 書 を WTO 加 盟 国 に 送 付 した 上 級 委 員 会 は 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 1 項 に 違 反 すると 認 めたが 米 国 の 措 置 が TBT 協 定 2 条 2 項 に 違 反 するとのカナダ 及 びメキシコの 主 張 は 認 めなかった 12 2012 年 7 月 23 日 パネル 上 級 委 員 会 報 告 は DSB に 採 択 された その 後 DSB 勧 告 実 施 のた めの 妥 当 な 期 間 は 仲 裁 によって 10 か 月 と 決 定 された 2013 年 8 月 19 日 カナダとメキシコは 米 国 の DSB 勧 告 実 施 について 遵 守 パネルの 設 置 を 要 請 した 2013 年 9 月 25 日 DSB はこの 問 題 をオリジナル パネルに 付 託 するこ とに 合 意 した 2014 年 10 月 20 日 遵 守 パネル 報 告 が WTO 加 盟 国 に 送 付 されたが 米 国 はこれに 対 して 上 級 委 員 会 に 申 立 てを 行 った 2015 年 3 月 10 日 現 在 上 級 委 員 会 の 報 告 は 送 付 されていない 第 3 節 TBT 協 定 の 解 釈 1.TBT 協 定 附 属 書 1 パラグラフ 1 (1) 条 文 と 問 題 の 所 在 TBT 協 定 附 属 書 1 パラグラフ 1 は 強 制 規 格 の 定 義 について 次 のとおり 定 める 産 品 の 特 性 又 はその 関 連 の 生 産 工 程 若 しくは 生 産 方 法 について 規 定 する 文 書 であっ て 遵 守 することが 義 務 付 けられているもの( 適 用 可 能 な 管 理 規 定 を 含 む ) 強 制 規 格 は 専 門 用 語 記 号 包 装 又 は 証 票 若 しくはラベル 等 による 表 示 に 関 する 要 件 であっ て 産 品 又 は 生 産 工 程 若 しくは 生 産 方 法 について 適 用 されるものを 含 むことができ また これらの 事 項 のうちいずれかのもののみでも 作 成 することができる TBT 協 定 2 条 の 義 務 は 中 央 政 府 機 関 による 強 制 規 格 を 対 象 とし 任 意 規 格 には 適 用 さ れない したがって TBT 協 定 に 係 る 紛 争 においては 対 象 措 置 が 強 制 規 格 に 相 当 するか 否 かがしばしば 重 要 な 争 点 となる 11 Panel Report (18 November 2011), United States Certain Country of Origin Labelling (COOL) Requirements, [US COOL], WT/DS384/R, WT/DS386/R, adopted 23 July 2012. 12 Appellate Body Report (29 June 2012), US COOL, WT/DS384/AB/R, WT/DS386/AB/R, adopted 23 July 2012. 23

(2) 3 事 件 パネル 上 級 委 員 会 による 解 釈 及 び 適 用 附 属 書 1 パラグラフ 1 について EC イワシ 事 件 上 級 委 員 会 報 告 は 措 置 が 強 制 規 格 とみなされるためには 以 下 の 3 要 件 を 満 たさなければならないと 述 べた すなわち 1 措 置 が 特 定 可 能 な 産 品 又 は 産 品 群 に 適 用 される 2 措 置 が 産 品 の 特 性 を 一 以 上 規 定 している 3 定 められた 産 品 の 特 性 に 合 致 [ 遵 守 ]することが 義 務 的 である 13 この 解 釈 は 後 の 事 件 においても 踏 襲 されている 本 章 は 3 要 件 の 中 でも 特 に3の 要 件 すなわち 措 置 が 遵 守 を 義 務 付 けているかについて 検 討 する この 点 について EC アスベスト 事 件 上 級 委 員 会 報 告 は 強 制 規 格 は 産 品 の 特 性 を 拘 束 力 のある 又 は 強 制 的 な 方 法 で(in a binding or compulsory fashion) 規 定 するもの で そのことはすなわち 強 制 規 格 がある 特 性 を 要 求 する効 果 を 有 する(has the effect of prescribing or imposing) ( 協 調 は 原 文 ) ことを 意 味 すると 述 べている 14 3の 要 件 が 特 に 問 題 となったのは 米 国 マグロ ラベリング 措 置 事 件 においてである こ の 事 件 においてパネルは (i) 一 定 の 要 件 を 満 たさなければラベルを 付 すことができないこ とをもってラベリング 措 置 が 義 務 的 になるわけではない (ii) 本 件 措 置 は ラベルの 使 用 自 体 が 義 務 付 けられているわけではないが イルカの 安 全 性 を 示 すラベルを 使 用 してマ グロ 製 品 を 米 国 で 輸 入 販 売 するためには 法 令 上 の 要 件 に 従 わなければならないという 点 で 単 にラベルを 付 すための 要 件 を 定 めているにとどまらない (iii) 要 件 を 満 たさないにもか かわらず イルカ 安 全 ラベルを 付 けてマグロ 製 品 を 販 売 する 行 為 は 法 令 違 反 であり 制 裁 の 対 象 となる (iv) 本 件 措 置 は 単 にラベルを 付 すための 要 件 を 課 すだけの 措 置 とは 異 なって いる などとして 本 件 措 置 が 強 制 規 格 に 該 当 すると 認 めた(7.113-.145) 15 また 上 級 委 員 会 は 措 置 が 強 制 規 格 に 該 当 するかは 措 置 の 特 徴 及 び 事 件 の 状 況 を 踏 まえ て 判 断 しなければならないと 述 べつつ (i) 本 件 措 置 は 米 国 におけるマグロ 製 品 のイルカ に 係 る 安 全 性 という 広 範 な 問 題 について 何 らかの 言 及 を 行 うことについて 唯 一 かつ 法 的 な 義 務 的 要 件 を 課 すものである( the US measure establishes a single and legally mandated set of requirements for making any statement with respect to the broad subject of "dolphin safety" of tuna products in the United States.) (ii) 執 行 制 度 や 監 視 制 度 が 設 けられている( the US measure provides for specific enforcement mechanisms. In addition, the measure at issue sets out active surveillance mechanisms to guarantee compliance with its norms and imposes sanctions in case of wrongful labelling.) (iii)ラ ベルを 付 さなくとも 販 売 できるからといって 強 制 規 格 ではないとは 言 いきれず むしろ 本 件 においては 何 らかの 形 でイルカの 安 全 性 を 謳 うためにはいかなるマグロ 製 品 生 産 者 等 13 Appellate Body Report ( 26 September 2002 ), European Communities Trade Description of Sardines, WT/DS231/AB/R, adopted 23 October 2002, para.176. なお TBT 協 定 附 属 書 1 パラグラフ 1 の 公 定 訳 は 上 述 の 通 り 遵 守 することを 義 務 付 けていると 定 めている 14 Appellate Body Report (12 March 2001), European Communities Measures Affecting Asbestos and Asbestos-Containing Products, WT/DS135/AB/R, adopted 5 April 2001, para.68. 15 この 点 については 分 離 意 見 が 付 されている Panel Report, US Tuna II (Mexico), supra note 7, paras.7.146-.188. 24

も 本 件 措 置 を 遵 守 しならないという 事 実 が 重 要 である(we attach significance to the fact that any "producer, importer, exporter, distributor or seller" of tuna products must comply with the measure at issue in order to make any "dolphin-safe" claim.) などとし て 本 件 措 置 が 強 制 規 格 に 相 当 すると 認 めたパネル 認 定 を 支 持 した(183-199) 以 上 のように 上 級 委 員 会 は ラベル 貼 付 を 義 務 付 けないラベリング 措 置 であっても 制 度 の 特 徴 (たとえば 違 反 に 対 する 制 裁 がある など)によっては 強 制 規 格 とみなされる 余 地 があることを 明 らかにした 強 制 規 格 のこのような 解 釈 は 強 制 規 格 とみなされるラ ベリング 措 置 の 範 囲 を 広 げたと 言 える これに 関 連 して 日 本 における 食 品 の 表 示 について 表 示 を 行 うことが 義 務 付 けられる 義 務 表 示 と 表 示 を 行 うことが 任 意 である 任 意 表 示 が 区 別 されているが 任 意 表 示 とされるも のであっても 表 示 を 行 うための 要 件 が 法 令 において 定 められ かつ 要 件 を 満 たさず 表 示 を 行 うことに 罰 則 が 科 せられるならば TBT 協 定 の 強 制 規 格 とみなされる 可 能 性 がある 2.TBT 協 定 2 条 1 項 (1) 条 文 と 問 題 の 所 在 TBT 協 定 2 条 1 項 は 内 国 民 待 遇 義 務 について 次 のとおり 定 める 中 央 政 府 機 関 に 関 し 加 盟 国 は 強 制 規 格 に 関 し いずれの 加 盟 国 の 領 域 から 輸 入 さ れる 産 品 についても 同 種 の 国 内 原 産 の 及 び 他 のいずれかの 国 を 原 産 地 とする 産 品 に 与 えられる 待 遇 よりも 不 利 でない 待 遇 を 与 えることを 確 保 する 本 章 が 対 象 とする 3 事 件 のうち 米 国 マグロ ラベリング 措 置 事 件 パネル 報 告 や 米 国 COOL 要 件 事 件 パネル 報 告 は TBT 協 定 2 条 1 項 の 内 国 民 待 遇 義 務 を GATT3 条 4 項 の 内 国 民 待 遇 義 務 と 同 様 の 意 味 に 解 釈 していたが 上 級 委 員 会 は 米 国 クローブタバコ 関 連 措 置 事 件 において TBT 協 定 2 条 1 項 の 内 国 民 待 遇 義 務 が GATT3 条 4 項 のそれとは 異 なる 意 味 を 有 することを 明 らかにした 上 級 委 員 会 による TBT 協 定 2 条 1 項 の 解 釈 は その 後 の 紛 争 において 先 例 として 用 いられている 本 章 においては TBT 協 定 2 条 1 項 のうち 同 種 の 産 品 と 不 利 でない 待 遇 の 解 釈 及 び 適 用 について 検 討 する (2) 3 事 件 パネル 上 級 委 員 会 による 解 釈 及 び 適 用 1) 同 種 の 産 品 TBT 協 定 2 条 1 項 の 同 種 の 産 品 の 意 味 について 米 国 COOL 要 件 事 件 においてはこの 点 は 大 きな 争 点 とはならなかったが 米 国 マグロ ラベリング 措 置 事 件 においてパネルは GATT3 条 4 項 と TBT 協 定 2 条 1 項 の 類 似 性 を 指 摘 しつつ GATT3 条 4 項 に 係 る 事 件 で 用 いられてきた 4 つの 指 標 ( 物 理 的 特 性 最 終 用 途 消 費 者 のし 好 関 税 分 類 )を 用 いて 米 国 産 マグロ 製 品 とメキシコ 産 マグロ 製 品 が TBT 協 定 2 条 1 項 の 意 味 で 同 種 であると 25

結 論 した 16 他 方 で 米 国 クローブタバコ 関 連 措 置 事 件 パネル 報 告 は TBT 協 定 2 条 1 項 と GATT3 条 4 項 の 文 言 の 類 似 性 を 踏 まえれば TBT 協 定 2 条 1 項 の 同 種 性 の 判 断 において GATT3 条 4 項 の 同 種 性 の 判 断 を 参 照 することができると 述 べると 同 時 に 両 者 の 文 脈 や 適 用 対 象 の 違 い とりわけ TBT 協 定 が 強 制 規 格 の 公 衆 衛 生 目 的 の 重 要 性 を 認 めていることを 踏 まえれば TBT 協 定 2 条 1 項 の 同 種 性 の 解 釈 において 本 件 措 置 の 公 衆 衛 生 目 的 を 反 映 させなければな らないと 述 べた(7.80-.120) とはいえ クローブタバコとメンソールタバコの 同 種 性 を 検 討 するにあたって パネルは GATT3 条 4 項 の 同 種 性 の 判 断 に 用 いられてきた 4 つの 指 標 に 依 拠 しており 実 際 には GATT3 条 4 項 における 同 種 性 の 判 断 ( 方 法 )と 大 きく 異 なるものではなかったと 評 価 でき る すなわちパネルは 1クローブタバコとメンソールタバコ とりわけそれぞれの 香 料 の 物 理 的 特 性 は 類 似 しており 両 者 の 違 いは 些 細 なものである 2 最 終 用 途 はクローブタバコ もメンソールタバコもいずれも 喫 煙 することにある 3クローブタバコ 及 びメンソールタ バコの 関 税 分 類 は 同 一 である などと 述 べて クローブタバコとメンソールタバコの 同 種 性 を 認 めた ただパネルは 消 費 者 の 習 慣 及 びし 好 については 本 件 措 置 の 公 衆 衛 生 目 的 を 一 部 反 映 させた 分 析 を 行 っている すなわちパネルは 本 件 措 置 の 規 制 目 的 に 照 らせば 消 費 者 の 中 でも 特 に 若 年 層 の 習 慣 及 びし 好 に 注 目 すべきと 述 べたうえで クローブタバコもメン ソールタバコも 若 年 層 に 好 まれるという 点 で 類 似 していると 指 摘 している(7.149-.248) これに 対 して 上 級 委 員 会 は TBT 協 定 2 条 1 項 の 同 種 の 産 品 を 同 規 定 の 文 言 及 び 文 脈 を 踏 まえて 解 釈 しなければならないとしたパネル 認 定 を 支 持 しつつも だからと 言 って 同 規 定 の 同 種 の 産 品 を GATT3 条 4 項 のような 競 争 志 向 的 視 点 (competition-oriented perspective) で 検 討 できないわけではなく むしろ 不 利 でない 待 遇 を 与 えなければな らないという 考 え 方 (concept) は 同 種 性 を 産 品 間 の 競 争 関 係 の 性 質 と 程 度 に 基 づき 判 断 すべきことを 示 唆 していると 指 摘 し 同 種 性 の 判 断 において 強 制 規 格 の 正 当 な 目 的 を 考 慮 するとしたパネルの 認 定 を 支 持 しなかった 上 級 委 員 会 はこのほか 強 制 規 格 が 複 数 の 目 的 を 追 求 している 場 合 もあり そのような 場 合 には 強 制 規 格 の 目 的 を 考 慮 して 同 種 性 を 判 断 することが 困 難 であること 産 品 間 に 密 接 な 競 争 関 係 があるにもかかわらず 措 置 の 規 制 目 的 に 照 らして 同 種 の 産 品 と 認 めないことは 不 利 な 待 遇 があるかの 分 析 を 歪 める 恐 れがあること いずれにせよ 健 康 リスクといった 規 制 上 の 懸 念 は 競 争 関 係 に 反 映 されてい る 限 り 同 種 性 の 判 断 に 含 まれ 得 ることを 付 け 加 えている(108-120) クローブタバコとメンソールタバコの 同 種 性 について 上 級 委 員 会 において 問 題 となっ たのは 最 終 用 途 と 消 費 者 のし 好 及 び 習 慣 である 上 級 委 員 会 はまず 最 終 用 途 は 産 品 の 潜 在 的 な 機 能 に 関 するものである 一 方 消 費 者 のし 好 や 習 慣 は 機 能 に 対 する 消 費 者 の 評 価 を 意 味 すると 述 べる そのうえで クローブタバコとメンソールタバコの 最 終 用 途 について こ れを 喫 煙 としたパネル 認 定 は 十 分 ではなかったが いずれのタバコもニコチンに 対 する 16 この 点 についての 上 級 委 員 会 への 申 立 てはなかった 26