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乳 房 超 音 波 エラストグラフィ 2013(2013.2.14) 中 島 一 毅 椎 名 毅 桜 井 正 児 榎 戸 克 年 遠 藤 登 喜 子 角 田 博 子 高 田 悦 雄 梅 本 剛 植 野 映 ( 日 本 超 音 波 医 学 会 (JSUM) 乳 腺 の Elasticity imaging に 関 する 用 語 診 断 基 準 作 成 小 委 員 会 ) ( 日 本 乳 腺 甲 状 腺 超 音 波 医 学 会 (JABTS) 精 度 管 理 研 究 班 Elastography 小 班 ) 1 はじめに 最 近 の 超 音 波 診 断 装 置 の 新 技 術 において Tissue Elasticity Imaging(エラストグラフィ ひずみ 像 )は 最 も 特 筆 に 値 するものである まず この 技 術 の 概 念 と 歴 史 を 簡 単 に 説 明 する 癌 組 織 では 血 管 と 細 胞 の 密 度 が 増 加 するにつれてその 硬 さが 増 し この 硬 化 は 早 期 の 癌 でもすでに 始 まってい るといわれている この 硬 さの 情 報 を 診 断 に 用 いようという 考 えは 超 音 波 を 用 いて 組 織 の 弾 性 ( 硬 さ)を 検 出 し 非 侵 襲 的 客 観 的 に 評 価 するための 新 しい 画 像 診 断 の 手 法 として 発 展 し 1987 年 に 植 野 らにより リアルタイム 超 音 波 検 査 を 応 用 して 硬 さを 評 価 するための 動 的 検 査 Dynamic test 1) が 報 告 された これは 乳 房 を 用 手 的 に 圧 迫 して 組 織 の 硬 さを 視 覚 的 に 判 定 するものであった 硬 さ 自 体 を 画 像 化 して 評 価 しようとする 概 念 は 1991 年 にテキサス 大 学 の Ophir らによりエラストグラフィ 2) という 名 称 で 発 表 された このエラストグラフィ 技 術 の 概 念 は 探 触 子 を 押 し 当 てることにより 圧 迫 された 組 織 の 変 位 の 様 子 すなわちひずみの 分 布 を 画 像 化 し その 病 変 部 位 の 硬 さを 診 断 情 報 として 評 価 しようとするもの である 1996 年 には より 高 速 に 精 度 良 く 組 織 の 変 位 を 検 出 する Combined Autocorrelation Method が 発 表 され たが 当 時 の 信 号 処 理 技 術 においてはリアルタイムで 画 像 を 提 供 するには 装 置 の 演 算 能 力 が 不 十 分 であった 2001 年 には 椎 名 ( 筑 波 大 学 現 在 京 都 大 学 )らにより 組 織 弾 性 イメージング 手 法 が 発 表 された その 後 2003 年 にアルゴリズムの 改 良 と 十 分 な 演 算 能 力 を 有 する 装 置 への 搭 載 により 通 常 のルーチン 検 査 の 一 環 として 違 和 感 なく 適 用 され うる 構 成 となっ た 実 臨 床 レベル の 超 音 波 エラ ストグラ フィ 装 置 が Real-time Tissue Elastography TM ( 以 下 RTE) として 発 売 され 超 音 波 による エラストグラフィ が 世 界 に 広 まる 先 駆 けとな った その 後 超 音 波 診 断 装 置 の 進 歩 と 共 にエラストグラフィ 技 術 も 向 上 し 現 在 のエラストグラフィ 装 置 では 悪 性 良 性 の 鑑 別 のみならず 組 織 の 硬 さの 分 布 を 描 出 することにより 組 織 学 的 情 報 を 評 価 可 能 な 手 法 抗 がん 剤 治 療 における 治 療 効 果 を 評 価 可 能 な 手 法 腫 瘤 のみならず 非 腫 瘤 の 診 断 評 価 が 可 能 なツールとなりつつある このように 最 初 のエラストグラフィ 搭 載 装 置 が 国 内 市 場 に 登 場 して 10 年 目 が 経 過 しており 当 初 は 日 立 メデ ィコ( 現 在 の Hitachi Aloka Medical)からのみの 発 売 であったが 現 在 は GE Healthcare Siemens Philips Healthcare Supersonic Imagine Toshiba Medical Zonare Samsung Medison の 装 置 にも 搭 載 されている また 最 近 ではひずみを 与 える 方 法 が 用 手 圧 迫 振 動 が 中 心 の Strain Elastography だけでなく 放 射 圧 照 射 により 振 動 エネルギーを 供 給 する ARFI Shear Wave Elastography 技 術 の 搭 載 装 置 も 販 売 されてきている いず れもターゲットの 硬 さを 画 像 化 数 値 化 するという 質 的 診 断 能 力 を 形 態 的 診 断 が 中 心 の 超 音 波 診 断 領 域 に 持 ち 込 んだコンセプトは 共 通 だが その 理 論 や 開 発 の 方 向 性 精 度 は 異 なる さらに 診 断 評 価 方 法 も Elasticity Score(Tsukuba Score Strain Pattern)の 他 Strain Ratio(Fat-Lesion-Ratio(FLR)) E/B Ratio(Width Ratio Length-Ratio) kpa Vs と 様 々な 方 法 用 語 が 存 在 しており 新 規 にエラストグラフィを 始 めようとする 場 合 混 乱 することも 多 い この 多 種 多 様 となったエラストグラフィを 整 理 し 理 解 するため JABTS( 日 本 乳 腺 甲 状 腺 超 音 波 医 学 会 ) 精

度 管 理 研 究 班 および JSUM( 日 本 超 音 波 医 学 会 ) 用 語 診 断 委 員 会 乳 腺 Elasticity imaging 小 班 では エラストグラ フィの 分 類 表 3) を 提 唱 Journal Breast and Thyroid Sonology に 報 告 している 本 稿 ではこの 分 類 を 紹 介 し エラストグラフィのエビデンス および 臨 床 的 有 用 性 各 方 式 の 特 性 臨 床 画 像 などを 供 覧 し 解 説 する

2 分 類 法 2-1 方 式 による 分 類 2013 年 JABTS( 日 本 乳 腺 甲 状 腺 超 音 波 医 学 会 ) 精 度 管 理 研 究 班 および JSUM( 日 本 超 音 波 医 学 会 ) 用 語 診 断 委 員 会 乳 腺 Elasticity imaging 小 班 では 下 記 ( 表 1)のような 分 類 を 提 唱 している Elastography Classification (Except Mechanical Vibration Type) Strain or Displacement (Strain Imaging) Shear Wave Speed (Shear Wave Imaging) Manual Strain Elastography Compression No Elastography Philips Compression esie Touch TM Siemens Elasticity Imaging Minimal Real-time Tissue Hitachi Vibration Elastography(RTE) Aloka Elastography GE Significant Real-time Tissue Hitachi Compression Elastography(RTE) Aloka Elastography GE Elastography Toshiba Acoustic Radiation Force Impulse Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI) Imaging Point Shear Wave elastography (average shear wave speed) Virtual Touch TM Imaging (VTI) Siemens Virtual Touch TM Quantification (VTQ) Siemens Shear Wave Elastography (average shear wave speed) ShearWave Elastography(SWE) Virtual Touch TM IQ (VTIQ) SSI Siemens 本 表 は 振 動 エネルギーを 用 手 的 圧 迫 腕 筋 肉 の 不 随 意 運 動 などによる 振 動 患 者 自 身 の 筋 肉 収 縮 や 呼 吸 など による 振 動 から 得 るもの(Manual Compression)と 探 触 子 からの 超 音 波 照 射 圧 により 得 るもの(Acoustic Compression)とに 分 類 ( 縦 列 )し 画 像 化 情 報 をひずみから 計 算 する Strain Imaging 法 と Shear Wave の 伝 播 速 度 から 計 算 する Shear Wave Imaging 法 とに 分 類 ( 横 段 )し 作 成 している 乳 腺 領 域 での 実 臨 床 では Manual Compression で 加 振 加 圧 し Shear Wave Imaging で 画 像 化 する 技 法 は 使 われていないため 下 の 3 群 に 分 類 す ればよいことになる 1. Strain Elastography: Hitachi Aloka GE Healthcare Philips Healthcare Siemens Toshiba

2. Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI) Imaging: Siemens 3. Shear Wave Elastography: SuperSonic Imagine Siemens 本 稿 の 後 半 に この 3 群 に 分 類 した 装 置 メーカー 毎 の 解 説 を 加 える

2-2 診 断 手 法 による 分 類 現 在 報 告 されている 臨 床 研 究 のエビデンスおよび 類 似 するもの そのような 報 告 がないものについては メ ーカー 推 奨 法 を 参 考 に 分 類 すると 大 きく 以 下 の 3 方 法 がある 各 方 法 とも 利 点 欠 点 があり エビデンスが 報 告 されているものとないものがある 本 稿 後 半 の 装 置 毎 の 解 説 で 詳 しく 説 明 する 1. エラストグラフィのカラー 画 像 からカラーパターン 診 断 を 行 い スコアを 判 定 により 診 断 する 手 法 Tsukuba Score (Elasticity Score Strain Pattern): Hitachi Aloka GE Healthcare Philips Healthcare Siemens Toshiba 2. エラストグラフィのグレースケール 画 像 と B モード 画 像 を 比 較 し ターゲット 病 変 のサイズ 比 により 診 断 す る 手 法 EI/B Ratio Width Ratio Length Ratio: Philips Healthcare Siemens GE Healthcare 3. 硬 さ( 組 織 弾 性 )を 数 値 化 して 診 断 する 手 法 Strain Ratio(Fat-Lesion-Ratio(FLR))( 皮 下 脂 肪 に 対 し 何 倍 硬 いか): Hitachi Aloka GE Healthcare Philips Healthcare Toshiba Siemens kpa( 硬 さの 単 位 ) m/s( 音 速 の 単 位 ): SuperSonic Imagine Siemens 3 現 時 点 での 臨 床 的 有 用 性 次 の 5 点 が 現 在 臨 床 的 に 期 待 される 有 用 性 と 考 える 4) 1. 特 に 精 密 検 査 において US-BIRADS あるいは JABTS 検 診 班 要 精 査 基 準 で 要 精 査 とされた 腫 瘤 にエラ ストグラフィを 加 えることにより カテゴリー2 に 落 とせるものがあり 前 向 き 臨 床 試 験 により 証 明 さ れている よって 乳 房 超 音 波 精 密 検 査 にエラストグラフィを 導 入 することにより 特 異 度 が 向 上 する と 考 えられる このことにより 不 要 な 生 検 などのインターベンション 適 応 が 減 少 し 患 者 負 担 および 公 的 医 療 費 の 軽 減 が 期 待 される 2. 精 密 検 査 において US-BIRADS あるいは JABTS 検 診 班 要 精 査 基 準 で 要 精 査 とされた 腫 瘤 にエラストグ ラフィを 加 えることにより カテゴリー3 が 4 に 上 がる 病 変 があることも 報 告 されている よって 乳 房 超 音 波 精 密 検 査 にエラストグラフィを 導 入 することにより 悪 性 確 信 度 が 向 上 することが 期 待 される 3. 検 診 での 導 入 は 今 後 の 課 題 であるが 検 診 に 併 用 することにより 要 精 査 率 の 低 減 と 陽 性 的 中 率 の 向 上 が 期 待 される 4. 現 在 乳 癌 領 域 では 術 前 化 学 療 法 術 前 ホルモン 療 法 術 前 分 子 標 的 薬 療 法 などが 活 発 に 臨 床 に 導 入 さ れているが すでに 術 前 化 学 療 法 の 評 価 にエラストグラフィを 応 用 する 研 究 が 報 告 されている 12) この ことから 化 学 療 法 など 治 療 効 果 評 価 にエラストグラフィが 有 用 である 可 能 性 が 期 待 される 5. 乳 癌 手 術 では 乳 房 温 存 手 術 が 中 心 であるが 乳 管 内 成 分 を 伴 う 乳 癌 も 多 く 切 除 範 囲 の 判 定 が 重 要 であ る 切 除 範 囲 の 決 定 におけるエラストグラフィの 有 用 性 が 報 告 されている 11) 乳 管 内 成 分 部 分 は 腫 瘤 ( Mass ) の 形 態 を と ら ず 日 本 乳 腺 甲 状 腺 超 音 波 医 学 会 が 提 唱 す る 非 腫 瘤 性 病 変 (Non Mass Abnormality) 4) の 形 態 をとることが 多 い この 乳 管 内 成 分 の 描 出 にもエラストグラフィは 有 用 であるこ とから 今 後 非 腫 瘤 性 病 変 (Non Mass Abnormality)の 鑑 別 診 断 に 対 する 有 用 性 も 期 待 される 4 エラストグラフィ 検 査 診 断 時 の 注 意 点 エラストグラフィ(Elastography)を 臨 床 使 用 診 断 する 場 合 次 の 3 点 が 重 要 である 1. 方 式 による 情 報 の 違 いを 理 解 すること:ひずみの 計 測 や 画 像 化 方 式 はメーカーにより 異 なり 空 間 相 関 法 位 相 差 検 出 法 複 合 法 などが 使 われている それぞれ 長 所 短 所 があり 精 度 には 若 干 の 違 いがある

ため 正 しく 診 断 するためには 方 式 や 使 用 装 置 の 特 性 (characteristics)を 十 分 に 理 解 して 使 用 するこ とが 重 要 である 2. 表 示 ROI: 基 本 的 に 皮 下 ~ 大 胸 筋 ( 肋 骨 肺 を 除 く)までを 表 示 ROI 内 に 含 めることが 推 奨 されている 多 く の Strain Elastography は 相 対 値 で 表 現 するので 表 示 ROI は 病 変 部 が 表 示 ROI 内 の 4 分 の1 以 下 になるよ うに 広 くとって 正 常 軟 部 組 織 を 表 示 ROI 内 に 十 分 含 むようにすることが 重 要 である ただし esie Touch Elasticity Imaging は 表 示 ROI の 設 定 に 依 存 しないので 注 意 をはらう 必 要 はない 3. 使 用 装 置 ターゲット 病 変 の 位 置 などにより 適 切 な 撮 像 法 を 用 いること:エラストグラフィは 方 式 により 振 動 エネルギーの 供 給 方 法 が 異 なる 本 稿 では 良 好 なエラストグラフィを 得 るための 探 触 子 の 扱 い 方 を no manual compression minimal vibration Significant compression の 3 つに 分 類 している この 他 にも 良 好 な 画 像 を 撮 像 するためには 皮 膚 や 乳 腺 構 造 に 対 する 探 触 子 のあてる 角 度 や 圧 迫 程 度 などの 重 要 な 因 子 があり 次 に 具 体 的 な 解 説 を 記 載 する 5 良 好 な 画 像 を 撮 像 するためのアドバイス 撮 像 時 には 以 下 の 5 項 目 に 留 意 していただきたい 5-1 良 好 な B モード 画 像 が 撮 像 できる 状 況 でエラストグラフィを 開 始 すること エラストグラフィは B モードの raw data をもとに 作 成 されるものが 多 い そのため まず 最 初 に 良 質 な B モード 画 像 ( 画 質 の 粒 子 が 明 瞭 で コントラスト 分 解 能 が 高 く 表 示 されている 状 態 )を 撮 ることが 重 要 である エラストグラフィ 撮 像 時 には 必 ず 良 質 な B モード 画 像 が 得 られる 状 況 だと 判 断 してから エラストグラフィに 切 り 替 えることを 推 奨 する (Elastography image Healthcare was made from B mode raw data. So a good elastography image Healthcare will be made from a good B mode image Healthcare. ) 5-2 皮 膚 との 角 度 は 直 角 に 維 持 すること Manual Compression も Acoustic Radiation Force もターゲットの 直 上 から 探 触 子 が 動 いては 意 味 がない ま た 探 触 子 の 角 度 がすこし 変 わっても 観 察 対 象 がずれてしまう そこで 安 定 して 加 振 加 圧 静 止 ができる ポジションを 確 保 することが 重 要 である 具 体 的 には 病 変 の 部 位 探 触 子 の 角 度 が 重 要 で 常 に 皮 膚 に 対 し 垂 直 性 を 確 保 することが 最 重 要 である ( 図 1)

図 1 5-3 加 振 加 圧 時 に 乳 腺 の 移 動 が 少 ない 部 位 方 向 で 撮 像 すること 乳 管 走 行 に 平 行 すなわち 乳 房 の 放 射 状 方 向 に 探 触 子 をあてる 方 が 加 振 加 圧 時 の 乳 腺 移 動 が 少 なく 安 定 し た 画 像 が 得 やすい ただし 乳 腺 の 末 梢 領 域 などにおいては 放 射 状 方 向 に 対 して 直 交 する 断 面 の 方 が 組 織 移 動 が 少 なく 撮 像 しやすいことがある 基 本 的 には 皮 膚 に 対 して 直 角 乳 腺 に 対 しても 直 角 に 探 触 子 をあてること が 重 要 で 乳 腺 組 織 が 移 動 しないように 配 慮 すればよい ( 図 2) 図 2 5-4 Strain Elastograph の 場 合 使 用 する 装 置 の 特 性 病 変 の 位 置 ( 深 さ)によって 適 切 な 加 振 加 圧 方 法 をとる 大 きく no manual compression minimal vibration significant compression の 3 タイプの 加 圧 加 振 方 法 があり 次 に 解 説 する 基 本 的 に 浅 い 病 変 の 撮 像 時 にはあまり 振 動 させる 必 要 はないが 深 部 病 変 の 撮 像 時 にはより 大 きな 振 動 が 必 要 になる 傾 向 がある 使 用 装 置 ターゲット 病 変 の 位 置 などによりもっとも 有 用 な 撮 像 法 を 用 いるようにしてほしい 5-4-1 no manual compression 探 触 子 を 皮 膚 に 垂 直 にあて 意 識 的 な 加 振 加 圧 は 一 切 加 えない 軽 く 皮 膚 にあたる 程 度 を 維 持 し 圧 迫 しな いように 意 識 する 手 の 不 随 意 筋 肉 収 縮 による 振 動 患 者 自 身 の 筋 肉 収 縮 や 呼 吸 などによる 振 動 から 振 動 エネル ギーを 得 る 手 法 で 画 像 が 全 く 動 かないので 極 めて 細 やかな 画 像 表 示 が 可 能 である しかし 振 動 エネルギー が 少 ないので 深 部 の 病 変 では 十 分 なエラストグラフィが 得 られないこともある Siemens Philips Healthcare の 装 置 ではこの 撮 像 法 を 推 奨 する ( 図 3 図 4)

図 3 図 4 5-4-2 minimal vibration 探 触 子 を 皮 膚 に 垂 直 にあて ごく 軽 度 の 振 動 を 加 える 決 して 強 く 押 しすぎないように 意 識 し 振 動 ストロー クは 1mm 以 下 とする 軽 く 皮 膚 にあたる 程 度 を 維 持 し ゼリーを 糊 に 見 立 てて 探 触 子 で 皮 膚 をつり 上 げるように 早 い 周 期 の 極 めて 細 かい 振 動 を 加 える 手 元 を 見 ても 全 く 動 かしていることが 解 らないぐらいの 加 振 である 比 較 的 浅 い 部 分 の 病 変 から 中 程 度 深 部 の 病 変 まで 対 応 できる 手 技 であり 非 腫 瘤 性 病 変 などのミリ 単 位 の 細 かいタ ーゲットでのエラストグラフィ 撮 像 が 可 能 である さらに 軟 らかい 部 分 (ひずみの 大 きい 部 分 )の 分 布 も 細 かく 描 出 可 能 であり 多 くの 診 断 情 報 を 提 供 してくれる 手 技 である Hitachi Aloka GE Healthcare Philips Healthcare の 装 置 がこれに 対 応 する ( 図 5 図 6) 図 5 図 6 5-4-3 significant compression 探 触 子 を 皮 膚 に 垂 直 にあて ある 程 度 しっかりとした 圧 迫 を 加 える(1~3mm 程 度 ) 多 くのエラストグラフィ

アプリケーションが 開 発 当 初 から 推 奨 していた 手 法 で B モード 画 像 での Dynamic Test に 近 く 基 本 的 エラスト グラフィ 撮 像 手 技 である ある 程 度 大 きな 腫 瘍 であれば ほとんどの 深 度 の 病 変 で 十 分 なエラストグラフィが 得 られる minimal vibration が 推 奨 されるアプリケーションでも かなり 深 い 病 変 を 撮 像 する 際 には 本 法 に より 十 分 なエラストグラフィが 得 られることが 多 い Toshiba GE Healthcare Hitachi Aloka の 装 置 で 推 奨 される ( 図 7 図 8) 図 7 図 8 5-5 Shear Wave Elastography の 場 合 の 検 査 方 法 振 動 エネルギーが 探 触 子 から 直 接 照 射 されるので 探 触 子 を 皮 膚 に 垂 直 に 軽 くあたる 程 度 に 保 持 し 強 く 圧 迫 せず 動 かさないように 留 意 する 検 査 者 による 加 振 加 圧 は 必 要 としない Strain Elastography の no manual compression とほぼ 同 じと 考 えてよい Siemens SuperSonic Imagine の 装 置 に 推 奨 される 手 法 である ( 図 9 図 10)

図 9 図 10 ShearWave Elastography

6 各 群 の 装 置 特 徴 診 断 方 法 エビデンス 臨 床 画 像 方 式 により 分 類 した 3 群 に 対 し 群 毎 に 装 置 メーカーの 特 徴 を 解 説 する 4. Strain Elastography: Hitachi Aloka GE Healthcare Philips Healthcare Siemens Toshiba 5. Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI) Imaging: Siemens 6. Shear Wave Elastography: SuperSonic Imagine Siemens 6-1-a Strain Elastography:Hitachi Aloka Medical A 診 断 方 法 とエビデンス RTE は エラストグラフィの 中 で 最 も 古 くから 臨 床 応 用 されているため 国 内 での 普 及 度 は 1 位 であり エラ ストグラフィ=RTE と 考 えられている 当 然 研 究 も 多 くされており 臨 床 応 用 も 単 純 に 腫 瘍 の 良 悪 性 の 鑑 別 だ けでなく 治 療 効 果 評 価 や 腫 瘤 の 形 態 をとらない 病 変 に 対 しての 有 効 性 までもが 報 告 されている 基 本 的 にエラストグラフィカラー 画 像 により 診 断 が 行 われる 腫 瘤 だけでなく 非 腫 瘤 性 病 変 (Non Mass Abnormality)に 関 しても 臨 床 利 用 されている A-1 腫 瘤 の 良 悪 性 の 鑑 別 に 対 する 有 用 性 Elasticity Score(Tsukuba Score)と Strain Ratio(FLR)が 広 く 使 用 されており 最 近 では 腫 瘤 の 良 悪 性 の 鑑 別 以 外 にも 応 用 されている A-1-1 Elasticity Score (Tsukuba Score) RTE すなわち エラストグラフィの 臨 床 利 用 が 広 がるきっかけとなったのは 伊 藤 らの 提 唱 した Elasticity Score(Tsukuba Score) 5) の 導 入 である これは RTE(Real-time Tissue Elastography)を 用 い 腫 瘤 の 低 エコー 領 域 とひずみの 低 下 部 位 とを 比 較 して 5 段 階 のスコア 分 類 を 提 唱 したもので その 報 告 では 乳 腺 腫 瘤 の 良 悪 性 鑑 別 において sensitivity:86.5% specificity:89.8% accuracy:88.3%とされている ( 図 11 は 伊 藤 らの 論 文 より 引 用 ) このエラストグラフィのカラー 画 像 からのカラーパターン 診 断 を 行 う 診 断 方 法 が 国 内 では 最 も 普 及 している これはターゲット 腫 瘍 の 内 部 および 周 囲 のエラストグラフィの 色 調 (Green と Blue のバランス)から 図 の 様 に score 1 score2 score3 score4 score5に 分 類 し スコアが 上 がるに 従 い 悪 性 確 信 度 があがる 診 断 方 法 である 伊 藤 らの 報 告 の 後 RTE は 広 く 応 用 され 使 用 されることになった 複 数 の 臨 床 試 験 の 報 告 がなされており 現 在 最 も 標 準 的 な 診 断 方 法 となっている Raza S 6) らは 伊 藤 らの Elasticity Score を 用 い 前 向 き 臨 床 試 験 を 実 施 sensitivity:92.7% specificity:85.8%と 早 い 段 階 で 報 告 しており 多 くの 臨 床 研 究 者 がエラストグラフィを 有 用 と 認 識 されたと 理 解 している 本 法 での 診 断 で 注 意 が 必 要 なのは 撮 像 時 に ROI 内 で 病 変 部 が 4 分 の 1 以 下 になるように 正 常 軟 部 組 織 を 広 く とることである 簡 単 で 理 解 しやすい 分 類 であるが 強 いて 言 えば 判 断 が 主 観 的 になりやことや 判 定 に 腫 瘍 と 周 囲 との 面 積 比 率 の 影 響 を 受 けるため 巨 大 な 腫 瘍 や 形 状 が 大 きく 不 整 な 腫 瘍 では 利 用 できないなどが 欠 点 といえ る 図 11 Elasticity Score (Tsukuba Score) ( 伊 藤 らの 論 文 より 引 用 ) A-1-2 Strain Ratio(FLR:Fat to Lesion Strain Ratio)

カラーパターンによる 診 断 方 法 が 主 観 的 になりかねないこと 硬 さを 定 量 的 に 評 価 することを 目 的 に 植 野 ら 7) が 提 唱 した 診 断 手 法 で 図 のように 腫 瘤 部 のひずみ 値 と 皮 下 脂 肪 部 のひずみ 値 の 比 であり ターゲット 腫 瘤 が 皮 下 脂 肪 の 何 倍 硬 いかを 数 値 で 評 価 している 半 定 量 的 手 法 と 考 えてよい( 図 12) 図 12 Strain Ratio (FLR:Fat to Lesion Strain Ratio) 腫 瘍 のターゲット ROI は B mode での 腫 瘍 内 部 からはみ 出 さないように 皮 下 脂 肪 のターゲット ROI は 皮 膚 と 乳 腺 組 織 を 含 めない 脂 肪 内 に 限 定 して ある 程 度 の 大 きさの 円 として 設 定 する ターゲット ROI の 設 定 により 腫 瘤 部 の 一 部 特 定 部 分 の 硬 さを 評 価 できるため 巨 大 腫 瘍 でも 測 定 可 能 であ る 上 非 腫 瘤 性 病 変 (Non Mass Abnormality)の 硬 さを 評 価 することも 可 能 である 腫 瘍 の 硬 さを 近 似 的 ではある が 定 量 化 して 評 価 できるので 応 用 しやすく すでに 本 診 断 手 法 を 使 用 した 臨 床 試 験 の 結 果 が 報 告 されている Cho N ら 8) は 非 触 知 の 乳 腺 腫 瘤 に 対 し Strain Index(Strain Ratio の 逆 数 をこう 定 義 している)を 使 用 した Prospective Study を 報 告 し sensitivity specificity PPV NPV は 95% 75% 48% 98%としている Farrokh ら 9) は Strain Ratio(FLR)を 使 用 した Prospective Study で Cut-Off 2.9 以 上 で sensitivity 94.4 specificity 87.3 と 報 告 している Alhabshi SM ら 10) は B モード Strain Pattern(Elasticity Score) Width Ratio Strain Ratio を 用 い Width Ratio と Strain Ratio が 最 も 有 用 で Width Ratio の Cut-Off 値 は 1.1 Strain Ratio の Cut-Off 値 は 5.6 と 報 告 しており 半 定 量 的 診 断 方 法 が RTE に 有 用 であるとしている A-1-3 精 度 管 理 Chang JM ら 11) は Elasticity Score の 精 度 に 影 響 する 因 子 について 前 向 き 試 験 にて 分 析 し RTE エラストグラ フィの 精 度 管 理 について 報 告 している 結 果 としては 病 変 存 在 部 の 乳 房 が 薄 いこと(ターゲット 病 変 が 浅 いと ころに 存 在 すること)が 最 もエラストグラフィ 画 質 に 影 響 する 因 子 であると 報 告 し エラストグラフィが 病 変 の 深 さで 精 度 が 異 なることや 精 度 管 理 の 必 要 性 に 言 及 している A-2 病 理 像 推 定 ( 非 腫 瘤 性 病 変 (Non Mass Abnormality)の 診 断 病 理 像 の 鑑 別 ) 多 くの 臨 床 医 は RTE が 病 理 像 の 特 性 を 比 較 的 良 好 に 反 映 していると 考 えており 切 除 標 本 と 対 比 した 報 告 が 多 くなされている 図 13a 図 13b に 微 小 乳 癌 のエラストグラフィ 切 除 標 本 のマクロ 像 HE 染 色 像 を 示 す エ ラストグラフィの 硬 い 部 分 ( 青 色 )が 乳 癌 の 放 射 状 方 向 への 広 がりに 一 致 する

また RTE では 硬 い 領 域 (ひずみの 小 さい 領 域 )だけでなく 軟 らかい 領 域 (ひずみの 大 きい 領 域 )も 繊 細 に 描 出 できるため 超 音 波 での 診 断 の 幅 が 大 きく 広 がってきている 現 在 RTE の 研 究 では 腫 瘤 の 良 悪 性 の 鑑 別 以 上 の 病 理 像 推 定 を 目 的 にしているものも 多 い 乳 癌 手 術 では 乳 房 温 存 手 術 が 中 心 であるが 広 範 囲 に 乳 管 内 成 分 を 伴 う 乳 癌 も 多 く 切 除 範 囲 の 判 定 が 重 要 で ある この 切 除 範 囲 の 決 定 におけるエラストグラフィの 有 用 性 が 報 告 されている 中 島 ら 12) は 乳 房 温 存 手 術 前 の 腫 瘍 の 広 がり 予 測 診 断 にエラストグラフィを 用 い 乳 管 内 成 分 の 評 価 に 関 してエラストグラフィの 有 効 性 が 期 待 できると 報 告 している( 図 14 図 15 は 中 島 らの 論 文 より 引 用 ) 乳 管 内 成 分 部 分 は 腫 瘤 を 形 成 しておらず 非 腫 瘤 性 病 変 に 近 い この 非 腫 瘤 性 病 変 に 類 似 する 乳 管 内 成 分 の 判 断 にエラストグラフィが 有 用 であったことから 今 後 非 腫 瘤 性 病 変 に 対 するエラストグラフィの 応 用 も 期 待 される また Adamietz BR ら 13) は 葉 状 腫 瘍 と 線 維 腺 腫 のエラストグラフィのカラーパターンを 比 較 し 鑑 別 に 有 用 であ った 報 告 している 図 13a

図 13b 図 14 腫 瘍 周 囲 の 非 腫 瘤 性 病 変 の RTE 像 ( 中 島 らの 論 文 より 引 用 ) 乳 管 内 成 分 のエラストグラフィ 色 調 パターンにより 乳 管 内 腫 瘍 病 変 の 有 無 を 予 測 している 図 15 腫 瘍 非 腫 瘤 性 病 変 の 色 調 変 化 と 病 理 像 を 対 比 ( 中 島 らの 論 文 より 引 用 ) エラストグラフィの 色 調 変 化 が 乳 管 内 進 展 巣 の 病 理 像 予 測 に 有 用 である A-3 薬 物 治 療 効 果 に 対 する 有 用 性 RTE に 関 しては 歴 史 が 長 く 完 成 度 が 高 いこともあり 腫 瘤 の 診 断 以 外 にも 様 々な 研 究 が 進 んでいる 林 ら 14) は 術 前 化 学 療 法 における 治 療 効 果 を FLR にて 評 価 し その 有 用 性 を 報 告 している 現 在 乳 癌 領 域 では 術 前 化 学 療 法 術 前 ホルモン 療 法 術 前 分 子 標 的 薬 療 法 などが 活 発 に 臨 床 に 導 入 されているが 今 後 化 学 療 法 など 治 療 効 果 評 価 においてもエラストグラフィの 応 用 が 期 待 される A-4 腋 窩 リンパ 節 転 移 の 予 測 診 断 における 有 用 性 Wojcinski ら 15) は 乳 癌 患 者 で 転 移 陰 性 リンパ 節 陰 性 の 165 例 転 移 陽 性 の 15 例 について retrospective に 腋 窩 リンパ 節 転 移 予 測 診 断 の 解 析 を 行 い 触 診 B モード 像 Doppler 像 RTE による 感 度 は 13.3% 40.0% 14.3% 60.0% 特 異 度 は 88.4% 96.8% 95.6% 79.6%であり RTE が 優 位 に 高 い 感 度 を 有 していると 報 告 している A-5 3Dimension Elastography

前 述 したように RTE は 微 小 な 振 動 で 安 定 した 緻 密 なエラストグラフィを 取 得 可 能 であることから 3 次 元 の ひずみ 像 も 構 築 できるようになり 2011 年 より 4D Elastography として 製 品 搭 載 されている 病 変 の 進 展 方 向 や 広 がりを MPR 像 や 3D で 把 握 できることによる 有 効 性 が 期 待 される 4D Elastography の 画 像 と 3D 再 構 成 画 像 同 病 変 の 病 理 像 を 供 覧 する 腫 瘍 形 状 広 がりと 方 向 性 が 3D により 把 握 されていることが 理 解 される ( 図 16 図 17) 図 16 4D Elastography と 切 除 標 本 マクロ 像 3D 画 像 で 青 く 描 出 された 硬 い 腫 瘍 の 中 に 孤 立 性 に 赤 い 帯 が 描 出 されている 腫 瘍 内 に 軟 らかい 部 位 が 線 状 に 存 在 することが 疑 われ 腫 瘍 内 脂 肪 か 壊 死 性 物 質 の 存 在 が 予 想 される 切 除 標 本 マクロ 像 では 腫 瘍 内 の 中 央 上 の 黄 色 部 分 がそれにあたる

図 17 4D Elastography と 切 除 標 本 マクロ 像 ( 腫 瘍 中 央 部 と 末 梢 部 ) 3D 画 像 で 青 く 線 状 に 伸 びた 硬 い 領 域 が 認 められる 病 理 標 本 では 乳 頭 腺 管 癌 が 細 長 く 進 展 していた B 推 奨 撮 像 手 技 RTE は No manual compression Minimal vibration Significant compression の 何 れにも 対 応 する 多 くの 腫 瘤 に 対 しては Significant compression で 十 分 エラストグラフィによる 診 断 は 可 能 であるが この 方 式 では 乳 管 内 病 変 などのミリ 単 位 の 微 少 病 変 でのエラストグラフィを 得 ることは 不 可 能 であるため 微 少 病 変 のエラストグラフィ 撮 像 には No manual compression Minimal vibration を 推 奨 する ただ 深 部 病 変 の 場 合 は 十 分 振 動 エネルギーを 供 給 することができないため Significant compression の 方 が 十 分 なエ ラストグラフィが 得 られることがある 初 心 者 においては 上 記 手 技 を 補 助 するために 経 時 的 なひずみ 変 化 をリアルタイムでグラフ 表 示 するストレ イングラフを 参 照 することも 有 用 であるが 画 像 でほぼ 撮 像 精 度 を 判 断 できるので 熟 練 者 にはその 限 りではな い C 表 示 ROI RTE の 特 徴 として 表 示 ROI 内 のひずみの 平 均 的 な 硬 さを 緑 それより 硬 いところを 青 軟 らかいところを 赤 で 表 示 するため 相 対 値 をより 正 確 に 表 現 するためには 表 示 ROI は 皮 下 組 織 ~ 大 胸 筋 を 一 部 含 めるよう 設 定 し 横 方 向 は 最 大 限 に 広 げる 肋 骨 肺 を 含 めてはいけない RTE 搭 載 の 新 しい 装 置 に 関 しては B モード 画 像 範 囲 内 すべてのひずみデータを 取 得 しているため フリーズ

後 でも 表 示 ROI の 位 置 と 大 きさが 変 更 可 能 となっている D 撮 像 時 間 RTE では 初 期 振 動 (1 秒 程 度 )が 過 ぎると すぐに Color が 描 出 されるが 信 頼 できる 計 測 結 果 を 得 るため には 完 全 にターゲット 全 体 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 することが 必 要 である スキルの 向 上 により 短 縮 される ので 最 初 は 必 ず 安 定 するまで 十 分 な 時 間 をかけることを 推 奨 する E 画 像 と 病 理 像 日 常 診 療 で 最 も 有 用 と 考 えられるポイントは 要 精 査 とされた 腫 瘤 像 から 嚢 胞 や 線 維 腺 腫 あるいは Fat Island( 乳 腺 内 に 入 り 込 んだ 脂 肪 組 織 )を 鑑 別 し 細 胞 診 生 検 なしに 良 性 と 判 断 できる 情 報 が 得 られることで ある もちろん 悪 性 腫 瘍 をより 硬 い 腫 瘍 として 確 信 させてくれる 情 報 源 でもある この 重 要 なポイントの 画 像 を 供 覧 する エラストグラフィが 診 断 に 有 用 である 代 表 的 な 画 像 を 供 覧 する ( 図 18-28) E-1 嚢 胞 エラストグラフィでは 内 部 が 柔 らかく 描 出 されれば 内 部 が 液 性 と 判 断 可 能 である RTE では 無 エコーに 近 い 腫 瘤 の 深 部 に 赤 い 帯 のような 領 域 が 描 出 される これは 腫 瘤 内 部 の 反 射 強 度 が 無 いこ とと その 直 下 部 のひずみが 大 きくなることにより 出 現 する 特 有 のパターンであり 内 部 が 液 性 であることを 表 していると 考 えられる 浅 部 から 青 緑 赤 の 層 を 呈 しており RGB サインといわれる 図 18 単 純 嚢 胞 エラストグラフィにより 容 易 に 診 断 可 能 となる

図 19 変 形 した 嚢 胞 ( 上 下 とも) 変 形 して 嚢 胞 とは 把 握 しにくいが 内 部 が 液 性 であることから 嚢 胞 が 推 定 される E-2 線 維 腺 腫 病 理 学 的 には 大 きく 管 周 囲 型 (pericanalicular pattern) 管 内 型 (intracanalicular pattern)に 分 類 され る 16) 良 性 腫 瘍 で 日 常 臨 床 では 高 頻 度 に 遭 遇 するものである また 線 維 腺 腫 内 には 正 常 乳 腺 にみられる 変 化 が 混 在 することも 多 く 増 殖 している 成 分 や 構 成 により 国 内 では 類 臓 器 型 (organoid pattern) 乳 腺 症 型 (complex pattern)と 分 類 されている 当 然 B モード 像 エラストグラフィのカラーパターンともいくつかの 形 態 を 呈 す る このうち 管 内 型 (intracanalicular pattern)と 管 周 囲 型 (pericanalicular pattern)の 一 部 では エラストグラフィで 腫 瘍 内 部 が 周 囲 乳 腺 と 同 程 度 あるいは 軽 度 硬 い 程 度 に 描 出 腫 瘍 境 界 部 には 軟 らかくスラ イドする 皮 膜 部 が 赤 い 帯 として 観 察 され この 場 合 は 線 維 腺 腫 を 強 く 疑 うことができる しかし その 他 のエラ ストグラフィ 像 を 呈 する 線 維 腺 腫 では 悪 性 に 近 い 硬 さに 表 示 されるものが 多 いため エラストグラフィを 含 めて も 超 音 波 画 像 だけでの 鑑 別 は 困 難 であり 生 検 が 推 奨 される 図 20 線 維 腺 腫 ( 管 内 型 管 周 囲 型 )

図 21 線 維 腺 腫 ( 類 臓 器 型 ) E-3 Fat Island エラストグラフィでは 脂 肪 と 乳 腺 組 織 の 区 別 が 容 易 である 脂 肪 はその 組 成 により 内 部 に 赤 く 横 に 伸 びた 細 い 帯 を 持 つ 緑 領 域 として 表 示 されるからである 図 22 Fat Island B モードでは 一 見 乳 腺 内 の 腫 瘤 様 に 描 出 されるが エラストグラフィにより 脂 肪 組 織 と 同 じひずみ 像 を 呈 す るため 乳 腺 内 脂 肪 と 判 定 できる E-4 悪 性 腫 瘍 悪 性 腫 瘍 の 多 くは 良 性 病 変 正 常 組 織 より 明 らかに 硬 く 描 出 されることが 多 く エラストグラフィにより 確 信 度 が 向 上 する 図 23 粘 液 癌 (Mucinous Carcinoma) 一 見 脂 肪 と 間 違 いやすく B モードでは 識 別 が 困 難 な 腫 瘍 であるが エラストグラフィにより 腫 瘍 の 輪 郭 均 質 な 硬 さが 明 瞭 となる 浸 潤 性 乳 管 癌 (WHO:Invasive carcinoma, Nonspecific type) 浸 潤 性 小 葉 癌 などは かなりはっきり 青 く 描 出 されるが DCIS などの 非 浸 潤 癌 ではわずかに 青 く またスキップ 状 に 青 く 描 出 されるこ とが 多 いが 明 確 に 硬 い 病 変 が 存 在 することの 確 信 度 が 向 上 する

図 24 浸 潤 性 乳 管 癌 (WHO:Invasive carcinoma, Nonspecific type 16) ) 内 部 に 石 灰 化 を 有 する 腫 瘍 エラストグラフィでは 比 較 的 限 局 した 腫 瘍 であることが 解 る 図 25 浸 潤 性 乳 管 癌 (WHO:Invasive carcinoma, Nonspecific type 16) ) やや 乳 管 方 向 に 進 展 が 疑 われる 腫 瘍 エラストグラフィでは 進 展 部 分 が 硬 く 描 出 されており 乳 管 内 成 分 を 伴 う 腫 瘍 だと 解 る 図 26 浸 潤 性 小 葉 癌 (Invasive Lobular Carcinoma) 不 整 形 の 低 エコー 域 ともとれる 腫 瘤 エラストグラフィでは 腫 瘤 の 中 央 部 が 青 く 描 出 され 腫 瘍 に 輪 郭 が 明 瞭 となる 図 27 Ductal Carcinoma in Situ 乳 腺 内 低 エコー 域 構 築 の 変 化 が 認 められ エラストグラフィで 青 く 腫 瘍 性 に 硬 い 部 分 が 描 出 されることから DCIS を 強 く 疑 うことが 可 能 である

図 28 石 灰 化 を 伴 う Ductal Carcinoma in Situ 石 灰 化 を 伴 う 低 エコー 域 腫 瘍 成 分 の 多 い 部 位 が 強 い 青 に 少 ない 部 分 が 薄 い 青 に 描 出 されている F 残 された 課 題 加 振 エネルギーの 伝 播 の 問 題 から 浅 い 部 位 と 深 い 部 位 で 精 度 が 異 なる さらなるアプリケーションの 改 良 や 撮 像 法 の 工 夫 が 必 要 である 今 のところ Strain Ratio に 関 しての 報 告 は Cut-Off 値 にばらつきがあり 今 後 精 度 管 理 を 含 めた 多 施 設 臨 床 試 験 の 必 要 性 を 感 じている 今 後 最 終 的 に 推 奨 されるべき Cut-Off 値 を 決 定 する 精 度 管 理 された Multicenter Prospective Study が 必 要 である G 総 括 RTE は 現 在 ほぼ 腫 瘤 の 良 悪 性 の 鑑 別 や 非 腫 瘤 性 病 変 の 鑑 別 に 対 する 有 用 性 が 確 信 されており Elasticity Score(Tsukuba Score)と Strain Ratio(FLR)がスタンダードな 診 断 方 法 である また 前 述 したように RTE では 硬 い 領 域 (ひずみの 小 さい 領 域 )だけでなく 軟 らかい 領 域 (ひずみの 大 きい 領 域 )も 繊 細 に 描 出 できるため 腫 瘤 の 良 悪 性 の 鑑 別 診 断 だけでなく 非 腫 瘤 性 病 変 や 腫 瘤 のより 詳 しい 病 理 像 を 推 定 することにエラストグラフィ 研 究 が 向 かっている 最 新 の RTE 装 置 では このひずみの 大 きい 領 域 とひず みの 小 さい 領 域 をともにミリ 単 位 でのエラストグラフィが 描 出 できる 解 像 度 も 得 られていることから 今 後 幅 広 い 用 途 の 拡 大 が 期 待 される

6-1-b Strain Elastography:Philips Healthcare A 診 断 方 法 とエビデンス RTE に 近 い 方 式 であり エラストグラフィのカラー 画 像 を 用 い Elasticity Score(Tsukuba Score)と Strain ratio(flr)で 診 断 していくことが 推 奨 されているが グレースケール 画 像 表 示 も 可 能 で 有 り B モード 画 像 を 比 較 により E/B Ratio から 診 断 することも 行 われている( 図 29 図 30) 図 29 浸 潤 性 乳 管 癌 のカラー 表 示 エラストグラフィ( 左 )とグレー 表 示 エラストグラフィ( 右 ) 左 : 腫 瘍 部 が 青 くくっきり 描 出 されている Elasticity Score は 5 である 右 : 腫 瘍 部 が 白 く 塗 りつぶされていることから 硬 い 領 域 の 長 さの 計 測 が 容 易 となる B mode での 腫 瘍 の 長 さ を 比 較 することにより E/B Ratio が 求 められる 図 30 カラー 表 示 エラストグラフィでの Strain Ratio グラフから 安 定 した 部 分 を 選 択 し 計 算 する この 場 合 は Strain Ratio と E/B Ratio はほぼ 同 じ 程 度 の 値 を 呈 していた

Stachs ら 17) Philips Healthcare iu22 を 用 い 215 例 224 個 の 乳 房 腫 瘤 に 対 し Tsukuba Score を 用 い 有 用 性 を 証 明 している 同 時 に Strain Ratio での 腫 瘍 の 評 価 を 行 っており Malignant 3.04±0.9(Mean±SD) Benign 1.91±0.75 と Malignant で 優 位 に Strain Ratio が 高 いと 報 告 している いずれの 診 断 手 法 も RTE と 同 じように 十 分 有 用 であると 考 えられる B 推 奨 撮 像 手 技 No manual compression だけでなく Minimal vibration にも 対 応 するが Significant vibration に は 対 応 していない C 表 示 ROI 相 対 的 な 評 価 であるため 表 示 ROI の 大 きさに 依 存 する 表 示 ROI の 大 きさは おおくのひずみ 情 報 を 得 るた め 横 方 向 へは 最 大 幅 とし 深 さ 方 向 は 皮 下 組 織 から 脂 肪 組 織 乳 腺 組 織 を 含 め 大 胸 筋 と 骨 ( 肋 骨 )は 含 まな いように 設 定 することが 推 奨 されている D 撮 像 時 間 エラストグラフィのカラー 画 像 表 示 も グレースケール 画 像 表 示 も 初 期 振 動 (1~2 秒 ) 後 すぐに Color や White Image が 描 出 される しかし 信 頼 できる Image を 得 るためには 完 全 にターゲット 全 体 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 すること が 重 要 であるので 最 初 は 十 分 な 時 間 をかけてほしい また 画 像 の 右 (カラーバーの 下 )には Compression Bar というインジケータが 表 示 される こちらは 受 信 し たストレインデータ 量 とばらつきの 二 つのパラメータより 算 出 しており Compression Bar の 色 がグレーから 緑 色 に 変 化 していることと Bar の 長 さが 安 定 していることで 安 定 した 画 像 を 得 られていることになると 考 えら れる このアプリケーションは Retrospective に 振 動 波 形 を 解 析 することができるので 後 から 波 形 解 析 により 信 頼 計 測 値 の 算 出 も 可 能 であるが 実 際 の 臨 床 現 場 は 時 間 的 に Imaging のみで 終 わることが 多 いと 想 定 され 完 全 にターゲット 全 体 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 すること を 徹 底 してもらいたい この 意 味 ではより ターゲッ ト 全 体 の 色 調 が 安 定 する ことがデリケートな カラー 画 像 表 示 の 方 が 安 静 性 しており 高 精 度 である 可 能 性 が ある E 画 像 と 病 理 像

図 31 乳 頭 腺 管 癌 のエラストグラフィ 像 と 切 除 標 本 のマクロ 像 HE 染 色 像 F 残 された 課 題 significant vibration に 対 応 しないため かなり 深 い 病 変 では 十 分 に 振 動 することができないため Elastography 画 像 の 描 出 が 困 難 なことがある 今 の 段 階 では 探 触 子 毎 に Elastography の 表 現 が 異 なることがあり アプリケーションの 調 整 が 必 要 である G 総 括 Philips Healthcare の Elastography は カラー 表 示 の 他 にグレースケール 表 示 も 可 能 であることから Tsukuba Score Strain Ratio E/B Ratio いずれの 方 法 でも 診 断 可 能 である また Raw Data を Store し 様 々な 解 析 が 可 能 であり Elastography の 精 度 評 価 や 新 しい 診 断 手 法 の 開 発 も 可 能 なツールを 持 つ しかし 乳 腺 領 域 の アプリケーションでは no manual compression を 中 心 とした Strain Elastography のみで Shear Wave Elastography には 対 応 していない 同 社 の Elastography は 肝 臓 領 域 では Shear Wave Elastography にも 対 応 し ており すでに 様 々な 診 断 方 法 が 可 能 となっている no manual compression の 不 利 な 深 部 病 変 の 描 出 など に Shear Wave Elastography が 使 用 できると 有 用 性 が 向 上 することも 期 待 される

6-1-c Strain Elastography:GE Healthcare A 診 断 方 法 とエビデンス GE Healthcare のエラストグラフィは 圧 迫 前 後 の 2 つの 信 号 を 微 小 領 域 に 区 切 って 比 較 を 行 い その 領 域 内 での 波 形 の 圧 縮 率 から 直 接 ひずみを 求 める Revised Direct Strain 法 を 用 いている しかし 本 法 も strain を 求 めるという 点 では RTE と 近 い 方 式 であり エラストグラフィのカラー 画 像 を 用 い Elasticity Score(Tsukuba Score)と Elasticity Index 及 び Elasticity Ratio で 診 断 していくことが 推 奨 さ れている 基 本 的 には Strain Ratio と 同 じく 2 つのターゲット ROI 部 の 硬 さの 比 を 数 値 化 したものであるが 数 値 の 定 義 がやや 異 なるので 解 説 を 加 える E Ratio の 計 算 には まず 各 ターゲット ROI の Elasticity Index を 算 出 する Elasticity Index とは 表 示 ROI 内 の strain の 平 均 値 を 1.0 として strain が 平 均 より 大 きいも のを 0 以 上 1.0 未 満 で strain が 平 均 より 小 さいものを 1.0 より 大 きく 6.0 までで 表 現 した 値 である 2 つのタ ーゲット ROI 部 の Elasticity Index E1 と E2 の 比 E2/E1 が E Ratio として 算 出 される これらは kpa や Vs の 様 に 直 接 硬 さを 表 示 するものではないが ターゲットと 周 辺 組 織 の 硬 さが 異 なるファントムにおいては 実 験 的 にその 硬 さの 違 いが Index の 差 として 得 られる 事 が 確 認 されている 図 32 は 脂 肪 層 にリファレンスのターゲット ROI( 黄 色 ) 腫 瘤 像 の 内 部 3 箇 所 にターゲット ROI(シアン 赤 緑 )をそれぞれ 設 定 した 場 合 の Elasticity Index (グラフ 上 段 ) 及 び Elasticity Ratio( 下 段 )の 時 系 列 解 析 機 能 による 表 示 例 である 現 在 prospective study の 報 告 はないものの 使 用 経 験 に 基 づく 有 用 性 の 報 告 は 散 見 される 図 32 B 推 奨 撮 像 手 技 初 期 圧 迫 として B-Mode 像 を 得 るよりも 微 弱 なプローブの 圧 迫 より minimal vibration また は significant compression で 撮 像 する 圧 迫 前 後 の 波 形 の 圧 縮 率 を 評 価 しているため プローブを 全 く 動 かさない no manual compression は 推 奨 されない 通 常 minimal vibration で 撮 像 するが 深 部 病 変 の 場 合 は significant compression を 用 いると 良 好 な 画 像 が 得 られる 圧 迫 の 方 向 はプローブ 表 面 に 対 して 垂 直 を 維 持 し ディスプレイ 上 に 表 示 される 圧 迫 状 態 のガイドとなる

Quality graph もしくは Quality bar のレベルができるだけ 高 い 位 置 に 安 定 した 状 態 で 撮 像 を 行 うことが 推 奨 さ れている( 図 33) 図 33 C 表 示 ROI 表 示 ROI の 大 きさは 相 対 的 なマッピング 方 式 を 用 いているため 腫 瘤 と 周 辺 組 織 の 両 方 のひずみ 情 報 が 得 ら れる 適 切 な 表 示 ROI サイズが 望 ましい 腫 瘤 部 と 周 辺 組 織 部 の 面 積 の 割 合 は 1:1 よりも 周 辺 組 織 が 広 く 含 まれ るように 設 定 する 横 方 向 は 概 して 広 めにとることが 望 ましいが プローブの 端 部 で 均 一 な 圧 迫 が 加 えにく く B モードが 劣 化 している 場 合 は それ 部 分 を 避 ける 様 に 設 定 する 方 が 望 ましい 深 さ 方 向 は 皮 下 組 織 から 脂 肪 組 織 乳 腺 組 織 を 含 め 大 胸 筋 と 骨 ( 肋 骨 )は 含 まないように 設 定 する D 撮 像 時 間 初 期 振 動 (1~2 秒 )が 過 ぎると すぐにカラー 画 像 が 描 出 されるが 信 頼 できる 計 測 結 果 を 得 るためには 完 全 にターゲット 全 体 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 することが 必 要 である スキルの 向 上 により 短 縮 されるので 最 初 は 必 ず 完 全 にターゲット 全 体 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 すること が 重 要 である E 画 像 と 病 理 像 RTE と 同 様 日 常 診 療 で 最 も 有 用 と 考 えられるポイントは 要 精 査 とされた 腫 瘤 像 から 嚢 胞 と 線 維 腺 腫 あるい は Fat Island( 乳 腺 内 に 入 り 込 んだ 脂 肪 組 織 )を 鑑 別 できる 情 報 がえられることである もちろん 悪 性 腫 瘍 をよ り 硬 い 腫 瘍 として 確 信 させてくれる 情 報 源 でもある 図 24 に 硬 癌 の 一 例 を 供 覧 する 左 から B モード Elastography マクロ 標 本 像 である 緑 の 線 で 示 す 部 位 が 腫 瘍 および 腫 瘍 進 展 部 が 認 められた 部 位 で 硬 い 部 位 の 広 がりがほぼエラストグラフィで 表 現 されていることが 解 る

図 34 B モード Elastography マクロ 標 本 像 F 残 された 課 題 比 較 的 新 しいアプリケーションであるため 現 在 のところ 使 用 経 験 に 基 づく 有 用 性 の 報 告 はあるが prospective study の 報 告 はなく 今 後 多 施 設 による Prospective Study が 期 待 される G 総 括 GE Healthcare の Elastography はプローブにより 生 体 組 織 を 圧 迫 弛 緩 することで それによるひずみを 評 価 する Strain Elastography である 検 出 アルゴリズムには Revised Direct Strain 法 を 用 い リアルタイムで 2D 画 像 を 表 示 している また 圧 迫 操 作 による 手 技 依 存 性 を 少 なくするため 取 得 した 画 像 の 質 (データの 信 頼 性 ) を 評 価 して 操 作 者 にフィードバックする 機 能 を 有 する 計 測 機 能 としては ターゲット ROI 部 の 半 定 量 的 な 数 値 情 報 (Elasticity Index)やその 比 を 計 測 可 能 である また 取 得 した 画 像 の 質 と 合 わせて 時 系 列 グラフ 化 する 解 析 機 能 を 有 する 特 徴 としては 画 像 保 存 を Raw data で 行 えるため 再 計 測 や 検 査 終 了 後 の 解 析 等 が 可 能 である

6-1-d Strain Elastography:Toshiba Medical A 診 断 方 法 とエビデンス Toshiba Medical Systems の 装 置 では 機 種 に 応 じて 操 作 法 加 振 法 が 異 なる AplioXG MX の 場 合 リアルタイムに 表 示 される 画 像 は いわゆる TDI(Tissue Doppler Image)で 組 織 の 速 度 成 分 が 色 付 されている この 場 合 確 実 にストレイン 画 像 を 取 るためにある 程 度 確 実 に 加 圧 加 振 を 行 うこと が 推 奨 されている 加 圧 加 振 が 安 定 した 後 ストレイン 画 像 表 示 に 切 り 替 える 必 要 がある 一 方 Aplio500 400 300 の 場 合 は ストレイン 画 像 がリアルタイムに 観 察 できる また 対 象 部 位 にターゲ ット ROI を 置 くことで 相 対 的 なストレイン 比 (SR)を 観 察 することもできる また 組 織 のドプラ 偏 位 を 利 用 するので 比 較 的 深 部 の 観 察 も 可 能 である 現 在 のところ 使 用 経 験 に 基 づく 有 用 性 の 報 告 18-19) るが prospective study の 報 告 はない Elasto-Q(エラストの 定 量 化 ) 東 芝 の 装 置 では 超 音 波 装 置 本 体 で 収 集 した Raw Data をオフラインのワークステーションに 入 力 することに よりエラストの 定 量 化 ( 統 計 的 な 計 算 及 び 組 織 ストレインの 定 量 化 )が 可 能 であるという 特 徴 がある 任 意 の 場 所 に 任 意 の 形 状 の 関 心 領 域 を 置 くことにより ストレインの 蓄 積 量 がグラフで 表 示 され ストレインの 割 合 ( 百 分 率 ) ストレイン 比 を 計 測 表 示 される この 関 心 領 域 は 組 織 の 動 きに 合 わせ 深 度 方 向 に 自 動 追 従 すること も 可 能 である このようなワークステーションによる 解 析 は 操 作 者 や 読 影 者 間 における 再 現 性 信 頼 性 の 確 認 を 可 能 とし 超 音 波 エラストグラフィの 標 準 化 に 貢 献 する 可 能 性 があると 考 えられる 図 35 ワークステーションの 表 示 例 ( 圧 迫 振 幅 1.2mm) 任 意 の 形 状 のストレイン 値 の 測 定 が 可 能 である 図 36 ワークステーション 表 示 例 ( 圧 迫 振 幅 1.2mm) 複 数 箇 所 のストレイン 値 と 比 を 圧 迫 の 時 相 とともに 表 示 することが 可 能 である

B 推 奨 撮 像 手 技 エラストグラフィ 画 像 の 取 得 にあたっては それに 適 した 装 置 の 設 定 条 件 であることが 望 まれる 加 振 法 に 関 して Significant compression を 用 い 近 距 離 から 深 部 まで 撮 像 を 行 う 特 に 深 く 圧 迫 を 加 える ことは 深 部 病 変 の 観 察 に 有 用 である 但 し 圧 迫 が 速 く 深 すぎるとエリアシングを 生 じ 正 確 にカラー 画 像 が 表 示 されないため 注 意 が 必 要 である さらに 分 解 能 を 向 上 するためには Significant compression 以 下 での 加 振 をすることもできる 圧 迫 時 は 垂 直 に 走 査 方 向 あおり 方 向 にずれないようにする 速 度 は 比 較 的 緩 徐 に 1 秒 から2 秒 間 隔 で 約 3~5 回 ごく 軽 度 の 圧 迫 開 放 を 繰 り 返 す 圧 迫 開 放 は 表 示 下 部 に 示 される 速 度 プロフ ァイルが 正 弦 波 に 近 いと 適 切 とされており また 圧 迫 ( 上 方 側 )より 開 放 ( 下 方 側 )のほうが 実 際 のストレイ ン 値 に 近 いとされている C 表 示 ROI 表 示 ROI の 範 囲 で 相 対 的 にストレイン 変 位 が 表 現 されるので 表 示 ROI は 皮 下 組 織 ~ 胸 筋 一 部 を 含 めるように 広 く 設 定 し 横 方 向 は 最 大 幅 とする 肋 骨 肺 は 含 めないようにする D 撮 像 時 間 初 期 振 動 (1~2 秒 後 )が 過 ぎると すぐにカラー 表 示 が 得 られるが 信 頼 できる 計 測 結 果 を 得 るためには 完 全 に 表 示 ROI 内 の 色 調 が 安 定 するまで 撮 像 を 行 うことが 重 要 である E 画 像 と 病 理 像 ストレイン 画 像 は 組 織 のひずみの 度 合 いにより 青 が 硬 い 組 織 緑 が 平 均 的 硬 さの 組 織 赤 が 柔 らかい 組 織 と して ストレインカラースケールによるカラー 画 像 として 示 される 図 37 浸 潤 径 14 ミリ 大 の 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 硬 癌 )で ごく 一 部 に 脂 肪 織 浸 潤 が 認 められた

F 残 された 課 題 一 連 の 検 討 結 果 で TDI 法 を 用 いた Strain 画 像 でも 他 の 圧 迫 法 と 同 等 の 画 像 を 得 られることが 分 かった 一 方 ドプラを 用 いたことにより 検 出 できるひずみの 方 向 性 は 超 音 波 ラスタの 深 度 方 向 になる 超 音 波 ラスタと 直 交 するひずみは 捕 らえられない 同 時 に あまりも 圧 迫 速 度 が 速 くなるような 場 合 ( 圧 迫 速 いもしくは 圧 迫 が 深 い 場 合 )は 折 り 返 し(エリアジング)にも 注 意 をしておく 必 要 がある これらを 理 解 し 装 置 探 触 子 に 応 じて 適 切 なパラメータの 設 定 を 行 っておくことが 重 要 であると 同 時 に 課 題 となる G 総 括 現 在 Toshiba Medical Systems の 装 置 で エラストグラフィ 対 応 が 可 能 なのは 旧 Aplio シリーズ(AplioXG MX)と 新 アプリオシリーズ(Aplio500 400 300)である 本 稿 では 現 在 発 売 されている Aplio シリーズを 中 心 に 述 べた 今 後 装 置 設 定 の 最 適 化 をおこなうことにより minimal vibration への 対 応 も 期 待 される

6-1-e Strain Elastography: SIEMENS(eSie Touch TM Elasticity Imaging) A 診 断 方 法 とエビデンス esie Touch TM Elasticity Imaging による 診 断 方 法 はRTEの color image の 評 価 に 準 ずる しかしそのカラ ー 表 示 において 白 黒 のBモードにカラー 透 明 色 を 重 畳 するのはRTEと 同 じであるが デフォルトの 配 色 が 反 対 なので 注 意 を 要 する すなわち 硬 い 組 織 は 観 察 者 の 注 意 を 引 きやすい 赤 色 で 軟 らかい 組 織 は 青 色 で 表 示 す る 配 色 を 逆 転 させる 機 能 も 備 えている( 図 38 図 39) また strain elastography をカラーコード 化 せずにグレースケール 表 示 するモードも 備 えている この 場 合 Bモードと 独 立 に 並 列 表 示 し 重 畳 させていない カラー 表 示 モードでは 常 にBモードと 一 体 化 した 観 察 を 行 うの に 対 して グレースケール 表 示 モードは strain 成 分 だけを 評 価 するのに 適 しており E/B ratio の 測 定 に 便 利 な 表 示 法 と 言 える ( 図 40) Hall ら 20) は E/B ratio 1.2 以 上 を 悪 性 とした 場 合 100%の 感 度 と 75.4%の 特 異 度 が 得 られたと 報 告 している また Barr ら 21) は 生 検 で 診 断 された 123 例 に 関 して E/B ratio 1.0 未 満 を 良 性 1.0 以 上 を 悪 性 とした 場 合 感 度 100% 特 異 度 95%が 得 られたと 報 告 している カラー 表 示 とグレースケール 表 示 の 切 り 替 えは スイッチで 簡 単 に 行 え strain elastography が 構 築 された 後 でも 変 更 可 能 である B 推 奨 撮 像 手 技 被 検 者 の 呼 吸 運 動 や 心 拍 動 などの 微 細 な 動 きで 生 じた 組 織 のひずみを 利 用 して strain elastography が 構 築 される 圧 すことを 意 識 するよりもプローブをその 場 で 留 め 置 く 感 覚 である そのため 圧 迫 操 作 における 操 作 者 の 手 技 の 違 いによる 結 果 の 差 が 出 にくい さらに 安 定 したイメージングを 容 易 に 取 得 できるように 映 像 化 の 信 頼 性 を 示 すインジケータ(Quality Factor:QF)を 備 えている これは 瞬 時 に 映 像 化 される 硬 さの 情 報 の 安 定 度 を 数 値 (0~100%)で 表 示 したものである 数 値 が 大 きいほど 信 頼 性 が 高 く 60% 以 上 となることを 目 安 に 撮 像 する C 表 示 ROI 本 装 置 では 表 示 ROI の 大 きさにかかわらず strain elastography 画 像 構 築 のための 演 算 処 理 は 常 にBモー ド 画 像 全 体 に 対 して 行 われる そのため 表 示 ROI の 設 定 においては 大 きさや 大 胸 筋 との 位 置 関 係 を 考 慮 する 必 要 がない また 表 示 ROI は 組 織 ひずみの 情 報 を 表 示 する 範 囲 を 示 すものであり strain elstography が 構 築 さ れた 後 でも 位 置 や 大 きさを 変 更 できる D 撮 像 時 間 探 触 子 を 皮 膚 にあてれば 瞬 時 に strain elastography を 表 示 できる 硬 さの 情 報 が 安 定 し QF が 60 以 上 になる まで 2~3 秒 要 す 場 合 がある

図 38 線 維 腺 腫 40 歳 女 性 左 : 境 界 明 瞭 で 内 部 エコー 均 一 縦 横 比 の 小 さい 腫 瘤 を 認 める 右 :esie Touch TM Elasticity image のカラーモードで 腫 瘤 は 緑 に 表 示 され 腫 瘤 が 周 囲 の 組 織 より 軟 らかい ことを 示 している 図 39 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 乳 頭 腺 管 癌 ) 47 歳 女 性 左 : 内 部 エコー 不 均 一 で 縦 横 比 の 大 きな 腫 瘤 を 認 める 右 :esie Touch TM Elasticity image のカラーモードで は 腫 瘤 は 赤 く 表 示 され, 腫 瘤 が 周 囲 の 組 織 より 硬 いことを 示 している

図 40 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 乳 頭 腺 管 癌 ) 47 歳 女 性 左 :B モード 像 で 腫 瘤 の 横 径 は 10.4mm 右 : esie Touch Elasticity image の 横 径 は 13.6mm で B モード 像 より 大 きく 表 示 される F 残 された 課 題 海 外 ではグレースケール 表 示 による E/B ratio による 診 断 が 一 般 的 であるが 国 内 でのエビデンスはない ま た カラー 表 示 においては RTE と 類 似 の 評 価 が 可 能 であると 考 えられるが 比 較 検 討 したエビデンスはない G 総 括 圧 迫 をすることなく 簡 単 に strain elastography が 得 られる 海 外 ではグレースケール 表 示 による E/B ratio を 用 いた 診 断 が 広 く 行 われているが 国 内 では 浸 透 していない カラー 表 示 の 評 価 方 法 は RET の color image の 評 価 に 準 ずると 考 えられるため ルーチンの 検 査 に 使 用 できる 手 技 である

6-2 ARFI: SIEMENS(VTI: Virtual Touch TM Imaging) A 診 断 方 法 とエビデンス Virtual Touch TM Imaging は acoustic radiation force の 作 用 による 組 織 の 変 位 をとらえて imaging するも のである 画 像 表 示 は 軟 らかいと 考 えられるものが 白 く 硬 いものは 黒 く グレースケールで 表 示 される B モードと 独 立 に 並 列 表 示 し 重 畳 させていない また Bモード 像 に 重 ねてカラー 表 示 する 機 能 も 備 えている( 図 41) Tozaki らは VTI で 内 部 が 白 い 病 変 をパターン1に 内 部 が 黒 (またはグレー)をパターン3と 分 類 し 視 認 でき ないものをパターン2として 40 例 を 検 討 した パターン1は 3 病 変 パターン2は 7 病 変 ありいずれも 良 性 だ った 内 訳 は 良 性 病 変 が 18 例 悪 性 腫 瘍 が 22 例 であった 良 性 の 残 り 8 病 変 と 悪 性 の 22 病 変 がパターン3と 判 定 された パターン1および2を 良 性 パターン3を 悪 性 とすると 感 度 100% 特 異 度 56%の 結 果 だった 良 性 病 変 の 44%がパターン3を 示 し 低 い 特 異 度 となってしまったが パターン1およびパターン2には 悪 性 病 変 は 含 まれず 陰 性 的 中 率 は 100%だったと 報 告 している 22) また 腫 瘍 の 左 右 方 向 の 大 きさを 測 定 し Bモードと 対 比 させることにより 腫 瘍 の 良 悪 性 の 鑑 別 に 利 用 できる 後 方 にシャドーを 引 くことが 多 いため 上 下 方 向 の 大 きさを 用 いず 左 右 方 向 で 測 定 する 内 部 の 構 造 が 良 くわか ることも 特 徴 である 特 に 硬 い 組 織 の 内 部 がよく 描 出 できる 液 体 成 分 充 実 性 成 分 隔 壁 様 構 造 などの 組 織 構 築 の 違 いを 画 像 化 できていると 考 えられる 23) 用 手 的 な strain elastography では 外 力 により 硬 いものが 一 塊 になって 移 動 するため 内 部 状 態 の 様 子 を 描 出 できないことが 多 い 図 41 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 乳 頭 腺 管 癌 ) 47 歳 女 性 左 :VTI のグレースケール 表 示 で 腫 瘤 は 黒 く 表 示 され, 硬 いことを 意 味 している また B モード 像 で 腫 瘤 の 横 径 は 10.0mm VTI の 横 径 は 13.4mm で B モード 像 より 大 きく 表 示 される 右 :VTI のカラー 表 示 で 腫 瘤 は 赤 く 表 示 さ 周 囲 の 組 織 より 硬 いことを 示 している B 推 奨 撮 像 手 技 組 織 の 圧 迫 は ARFI を 応 用 して 自 動 的 に 行 われるため プローブは 体 表 で 静 止 させて トリガーボタンを 押 す だけでワンショットのイメージングが 表 示 される このため 特 別 な 手 技 は 必 要 なく 検 者 依 存 性 が 少 ない しか しプッシュパルスが 強 く 減 衰 されてしまう 組 織 では 内 部 から 信 号 を 得 ることができず 画 像 が 欠 損 する 場 合 があ る C 表 示 ROI 表 示 ROI の 最 大 深 度 は 6cm であり 横 幅 は B モード 表 示 領 域 いっぱいまで 広 げることができるが 腫 瘤 の 大 き さに 対 して 必 要 以 上 に 大 きくしない また フォーカス 依 存 性 があるのでフォーカスは 腫 瘤 の 下 端 近 くに 設 定 す

る D 撮 像 時 間 トリガーボタンを 押 すと 1 秒 以 内 にエラスト 画 像 ( 静 止 画 )が 得 られる その 後 クーリングタイムに 入 るため その 間 (2~3 秒 間 )は 次 のトリガーをかけることができない F 残 された 課 題 乳 腺 領 域 として 使 用 可 能 な 探 触 子 はリニアプローブ(9L4)だけであるので さらに 高 い 周 波 数 で 空 間 分 解 能 に 優 れた 探 触 子 など バリエーションが 増 えることが 望 まれる G 総 括 esie Touch Elasticity Imaging では 硬 さの 情 報 が 安 定 し QF が 60 以 上 になるまで 2~3 秒 要 す 場 合 があるが VTI では 1 秒 以 内 に 安 定 したエラスト 画 像 が 得 られるため より 使 いやすい 内 部 の 構 造 がよくわかることも 特 長 である 用 手 的 な 圧 迫 は 全 く 必 要 ないため 再 現 性 が 良 く 検 査 者 間 による 測 定 誤 差 が 少 ない 点 およびエビデ ンスはないが カラー 表 示 の 評 価 方 法 は RET の color image の 評 価 に 準 ずると 考 えられるため ルーチンの 検 査 に 初 心 者 でも 簡 単 に 使 用 できる 手 技 である

6-3-a Shear Wave Elastography: SIEMENS (VTQ: Virtual Touch TM Quantification) A 診 断 方 法 とエビデンス imaging ではないが ARFI を 応 用 して shear wave を 発 生 させてその 速 度 を 測 り 局 所 的 な 硬 さを 定 量 測 定 す る 機 能 である 慢 性 肝 炎 における 肝 線 維 化 診 断 に 多 く 利 用 されている 26-30) 硬 さの 絶 対 数 値 測 定 ができ 乳 房 の 腫 瘍 鑑 別 に 有 用 な 情 報 を 得 ることができる( 図 42) Tozaki らは 剪 断 弾 性 波 速 度 (Ⅴs)による 良 悪 性 の 鑑 別 に 関 して 報 告 している 悪 性 病 変 の Vs は 高 値 である 傾 向 があるものの 腫 瘍 中 央 部 にターゲット ROI を 設 定 すると 測 定 不 能 である 場 合 が 多 い そこで ほぼ 確 実 に 測 定 可 能 な 辺 縁 部 にターゲット ROI を 設 置 し 比 較 検 討 したところ 悪 性 病 変 83 例 のⅤs の 平 均 値 は 5.00m/s で あり 良 性 病 変 70 例 の 平 均 値 2.81m/s よりも 有 意 に 高 値 を 示 した(p<0.001)と 報 告 している 23) VTI と VTQ を 組 み 合 わせた 腫 瘍 鑑 定 法 それぞれ 単 独 で 鑑 別 診 断 も 可 能 であるが 良 悪 性 がオーバーラップする 部 分 が 多 い しかし 初 めに VTI で 明 ら かな 良 性 と 明 らかな 悪 性 を 選 別 した 後 で 残 りの 中 間 的 な 性 状 を 呈 するものに 対 して VTQ を 適 用 し 3.59m/s を cut off 値 として 選 別 すると 感 度 91% 特 異 度 93% 精 度 92%が 得 られることが 報 告 されている 23) B 推 奨 撮 像 手 技 C 表 示 ROI D 撮 像 時 間 ターゲット ROI を 定 めてボタンを 押 すだけで 瞬 間 的 に 測 定 値 Vs[m/s]が 画 面 上 に 表 れる ターゲット ROI のサイズは 5mm 5mm で 固 定 されており 最 大 測 定 可 能 深 度 は 4cm である ( 図 42)Vs の 測 定 は 瞬 時 にできるが 測 定 値 の 表 示 後 はクーリングタイム(2~3 秒 間 )となる 続 けて 測 定 しようとした 場 合 はクーリングタイムが 終 了 してから 行 う 測 定 不 能 例 (X.XX 表 示 )の 問 題 計 測 値 の 信 頼 性 が 低 いと Vs=X.XXm/s と 表 示 され 測 定 不 能 であることを 示 す 硬 癌 の 内 部 では 約 80%で Vs=X.XXm/s と 表 示 されると 言 われている 24) このような 測 定 不 能 例 でも ROI を 周 囲 に 移 動 させると ほとんどの 場 合 において 測 定 可 能 となる ( 図 43) 圧 迫 の 影 響 強 く 圧 迫 すると Vs 値 が 高 くなることが 知 られているが 通 常 の 検 査 を 行 う 中 で 圧 迫 する 強 さが 違 ったとしても 診 断 が 変 わってしまうほどの 変 動 がないことが 報 告 されている 25) 図 42 線 維 腺 腫 40 歳 女 性 VTQ で 低 エコー 腫 瘤 内 部 の Vs は 1.26m/sec と 表 示 された

E 画 像 と 病 理 像 図 43 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 硬 癌 )68 歳 女 性 左 :VTQ で ROI を 腫 瘤 の 中 央 部 に 置 くと Vs は 計 測 できず X.XXX と 表 示 される 右 :VTQ で ROI を 腫 瘤 の 辺 縁 部 に 置 くと Vs は 5.42m/sec と 表 示 された 図 44 図 33 画 像 のマクロ 像 と HE 染 色 像 F 残 された 課 題 乳 腺 領 域 として 使 用 可 能 な 探 触 子 はリニアプローブ(9L4)だけであるので さらに 高 い 周 波 数 で 空 間 分 解 能 に 優 れた 探 触 子 など バリエーションが 増 えることが 望 まれる G 総 括 初 心 者 でも 簡 単 に 測 定 でき 良 悪 性 の 判 定 にはエビデンスがあるため 有 効 である 測 定 する 組 織 の 不 均 一 性 に より 数 値 にややばらつきが 生 じるため 3 回 程 度 の 計 測 の 平 均 値 をとることが 必 要 である 今 後 多 くの 論 文 が 示 され 確 立 した 検 査 方 法 になることが 期 待 される

6-3-b Shear Wave Elastography: SIEMENS(VTIQ: Virtual Touch TM IQ) A 診 断 方 法 とエビデンス ARFI を 応 用 して shear wave を 発 生 させ その 速 度 を 測 り imaging する 機 能 である 2012 年 3 月 から 日 本 国 内 で 発 売 されたばかりであるため まだ 臨 床 実 績 は 少 ない 硬 さの 分 布 を 表 す imaging と ROI 内 の 任 意 のポイン トにおける 硬 さの 絶 対 数 値 測 定 の 機 能 を 併 せ 持 ち 乳 房 の 腫 瘍 鑑 別 に 有 用 な 情 報 を 得 ることができる 評 価 法 は VTI および VTQ と 同 様 である B 推 奨 撮 像 手 技 C 表 示 ROI D 撮 像 時 間 1) 表 示 ROI を 定 めてボタンを 押 すだけで 瞬 間 的 にワンショットの shear wave image が 画 面 上 に 表 れる こ のため 特 別 な 手 技 は 必 要 なく 検 者 依 存 性 が 少 ない 白 黒 の B モードにカラー 透 明 色 を 重 畳 するのは RTE と 同 じであるが 配 色 が 反 対 である すなわち 硬 い 組 織 は 観 察 者 の 注 意 を 引 きやすい 赤 色 で 軟 らかい 組 織 は 青 色 で 表 示 する 表 示 ROI の 最 大 サイズは 25mm( 縦 ) 38mm( 横 )であり 最 大 深 度 62mm まで 設 定 できる 2)shear wave 速 度 計 測 イメージ 取 得 後 2mm 四 方 の 測 定 カーソル(ターゲット ROI)を 合 わせると その 場 所 の shear wave 速 度 を 数 値 で 読 み 取 ることができる さらに 受 信 信 号 のノイズレベルと 振 幅 の 大 きさから shear wave 波 形 の 品 質 を 求 め て 画 像 表 示 する Quality mode を 備 えている これによって shear wave image におけるアーチファクトを 判 断 し 計 測 の 信 頼 性 が 向 上 するような 工 夫 がなされている( 図 45 図 46) 場 合 によっては 患 者 の 息 止 めも 有 効 で あると 考 える F 画 像 図 45 線 維 腺 腫 51 歳 女 性 左 :VTQ で Vs は 3.05m/s と 表 示 される 右 :VTIQ の Velocity モードでは 緑 色 で 軟 らかく 表 示 され Vs は 3.13m/s,3.16m/s,2.90m/s と 表 示 される ( 画 像 提 供 東 京 医 科 大 学 病 院 河 本 敦 夫 先 生 )

図 46 浸 潤 性 乳 管 癌 ( 乳 頭 腺 管 癌 ) 68 歳 女 性 左 上 :VTQ で Vs は X.XX と 計 測 不 能 左 下 :VTIQ の Velocity モードで 腫 瘤 は 赤 く 表 示 され 硬 いことを 意 味 している. 腫 瘤 内 の Vs は 6.31m/s 右 :VTIQ の Quality モードで 腫 瘤 内 は 緑 で 安 定 した 値 が 保 障 されている ( 画 像 提 供 東 京 医 科 大 学 病 院 河 本 敦 夫 先 生 ) F 残 された 課 題 乳 腺 領 域 として 使 用 可 能 な 探 触 子 はリニアプローブ(9L4)だけであるので さらに 高 い 周 波 数 で 空 間 分 解 能 に 優 れた 探 触 子 など バリエーションが 増 えることが 望 まれる また 製 品 化 されて 間 もない 技 術 であるためエビ デンスが 少 ない 症 例 の 集 積 と 検 討 が 必 要 である F 総 括 VTQ で X.XX と 計 測 が 不 能 な 症 例 も VTIQ では VS の 測 定 が 可 能 になった さらに Quality モードが 付 いたためア ーチファクトとの 区 別 が 容 易 となり 計 測 値 の 信 頼 性 が 向 上 した 今 後 多 くの 論 文 が 示 され 確 立 した 検 査 法 となることが 期 待 される

6-3-c Shear Wave Elastography:SuperSonic Imagine < 原 理 > プローブよりフォーカスされた 超 音 波 ビームを 送 信 すると 組 織 が 後 方 に 変 位 し 組 織 の 復 元 力 が 横 方 向 に 伝 播 して 行 くことで shear wave が 発 生 する 組 織 内 の 異 なる 深 度 に 連 続 的 に 超 音 波 ビームを 送 信 することにより 円 錐 状 の shear wave の 波 面 が 形 成 される( 図 47) 発 生 した shear wave の 伝 播 は 超 音 波 の 送 受 信 をすべての 振 動 子 を 使 用 して 同 時 に 行 い これを 高 速 で 繰 り 返 すことにより 動 画 像 として 取 得 する 動 画 像 から 得 られる shear wave の 移 動 距 離 と 時 間 から 速 度 を 算 出 する ヤング 率 (E)と shear wave の 伝 播 速 度 (c)の 関 係 は E=3 ρc 2 (ρは 組 織 密 度 ; 生 体 内 では 1 と 近 似 できる)で 表 すことができ 求 められたヤング 率 (E)は 組 織 弾 性 を 表 していると 考 えられている shear wave の 伝 播 速 度 は 硬 い 組 織 中 では 速 く 軟 らかい 組 織 中 では 遅 いため そ の 速 度 から 組 織 弾 性 の 値 を 計 算 してキロパスカル 単 位 (kpa)で 表 示 することが 可 能 となる * 弾 性 値 はカラーコ ードに 変 換 され リアルタイムに B モード 画 像 と 重 ねカラーマップとして 表 示 される 31) 通 常 弾 性 値 が 小 さい ( 軟 らかい) 病 変 は 青 弾 性 値 が 大 きい( 硬 い) 病 変 は 黄 ~ 赤 で 表 示 される * 国 により 用 いられる 単 位 (kpa または m/s)が 異 なる a) b) t=2 ms t=5ms t=10ms Time c) t=2ms t=5ms t=10ms Time 図 47 a) 超 音 波 ビームを 組 織 内 の 違 った 深 さへ 連 続 的 にフォーカスすることにより shear wave はコヒーレ ント 加 算 され mach cone を 形 成 する( 黄 色 )これにより shear wave は 増 幅 し 伝 播 距 離 が 延 長 する b) 超 音 波 ビームにより 発 生 した shear wave c) 硬 い 部 分 ( 赤 い 丸 )を 含 むファントムを 伝 播 する shear wave 赤 い 丸 部 分 は shear wave 伝 播 が 速 い

A 診 断 方 法 とエビデンス strain elastography ではプローブの 圧 迫 の 強 さや 色 調 の 判 断 は 施 行 者 の 経 験 に 左 右 されやすい 32-33) というこ とが 指 摘 されているが SWE では プローブを 静 止 した 状 態 で 組 織 を 圧 迫 することなく 組 織 弾 性 を 評 価 できるた め 検 者 の 手 技 に 依 存 せず 再 現 性 が 高 い 画 像 診 断 が 可 能 である 34-35) 組 織 弾 性 を 示 す 定 量 値 に 関 する 報 告 では 良 悪 性 を 鑑 別 するカットオフ 値 を Evans 36) らは 50kPa( 平 均 組 織 弾 性 値 )とし 感 度 97% 特 異 度 83% positive predictive value (PPV)88% negative predictive value (NPV) 95% accuracy91% と 報 告 したが BI-RADS. 単 独 との 有 意 差 は 認 めなかった Chang 37) らは カットオフ 値 を 80.17kPa( 平 均 組 織 弾 性 )にした 場 合 に 最 も 診 断 能 が 高 く 感 度 88.8% 特 異 度 84.9% BI-RADS 単 独 で 判 定 し た 場 合 の the receiver operating characteristic curve (ROC) 曲 線 の area under the receiver operating characteristic (AUC) は 0.898 SWE との 併 用 で 0.982 と 改 善 することを 報 告 した 大 規 模 な 多 施 設 共 同 臨 床 試 験 (The BE1 multinational study) 38) では BI-RADS カテゴリー3 以 上 の 病 変 については BI-RADS 単 独 で 判 定 した 場 合 の AUC は 0.950 であったが SWE の 併 用 で 0.962 に 上 昇 したと 報 告 している 特 に BI-RADS カテゴリ ー 3 4a の 病 変 については 感 度 を 下 げることなく 特 異 度 が 61.1%から 78.5%と 上 昇 し 不 要 な 生 検 を 避 けるこ とができることが 示 唆 された Evans 39) らは 組 織 弾 性 値 と 病 理 組 織 学 的 因 子 の 関 連 を 調 べ 大 きい 腫 瘍 径 高 い 組 織 グレード リンパ 節 転 移 陽 性 脈 管 浸 潤 のある 病 変 で 組 織 弾 性 値 が 大 きく 特 に 浸 潤 径 が 影 響 を 受 けている ことを 示 唆 した 一 方 では 定 量 値 を 測 定 しなくても カラー 画 像 がヤング 率 を 測 定 して 画 像 化 したものであることから カラ ーマップを 視 覚 的 に 評 価 することで 診 断 が 可 能 であることが 報 告 されている 40-41) Tozaki 40) らは 表 示 されるカラーマップのパターンを 4 つに 分 類 し( 図 48) 均 一 に 青 く 表 示 される(pattern1) と vertical stripe pattern artifacts(pattern2)を 良 性 病 変 a localized colored area at the margin of the lesion(pattern3)と heterogeneously colored areas in the interior of the lesion(pattern4)を 悪 性 病 変 とした 場 合 感 度 91.3% 特 異 度 80.6%と 報 告 した 特 に BI-RADS カテゴリー4 の 病 変 においては B モー ド 単 独 では パターン 分 類 を 追 加 することで 感 度 91.3% 特 異 度 87.1% 正 診 率 90%と 上 昇 することを 報 告 した SWE を 用 いた 定 量 値 の 測 定 やカラーマップの 視 覚 的 評 価 は 良 悪 性 の 鑑 別 に 有 用 である しかし 悪 性 病 変 でも DCIS や 小 さな 浸 潤 癌 では 均 一 に 青 く 表 示 されるケースがあるため( 図 49 Blue Cancer) B モードの 所 見 と 合 わせて 評 価 することが 重 要 である 図 48 4 patterns of the visual evaluation

図 49 青 く 表 示 される 小 さな 浸 潤 癌 (Blue Cancer) B 推 奨 撮 像 手 技 測 定 する 病 変 にプローブを 垂 直 にあて B モードで 描 出 する shear wave の 検 出 に 超 音 波 を 用 いるため SWE モ ード 遷 移 前 に 明 瞭 な B モード 画 像 を 描 出 する SWE モードでは プローブの 操 作 を 柔 らかく ゆっくりと 滑 ら かに 行 うことが 重 要 である 使 用 するカラースケールは デフォルトの 180kPa が 推 奨 されている 組 織 弾 性 の 定 量 値 は 得 られたカラーマップ 画 像 の 任 意 の 部 位 に Q-Box TM と 呼 ばれるターゲット ROI を 用 いて 計 測 することが 可 能 である 通 常 このターゲット ROI の 大 きさは 2mm で 病 変 内 もしくは 境 界 部 で 最 も 硬 く 表 示 される 部 分 で 計 測 する( 図 50) 画 面 の 右 側 に 平 均 弾 性 値 最 大 弾 性 値 最 小 弾 性 値 標 準 偏 差 (SD)が 表 示 さ れる 軟 らかい 腫 瘍 であっても 過 度 の 圧 迫 により 組 織 弾 性 値 が 大 きく 示 されることがある( 図 51) 表 示 ROI 内 で 病 変 以 外 の 部 分 が 黄 ~ 赤 で 表 示 されている 場 合 には 圧 迫 が 強 すぎるため 圧 迫 を 緩 める 必 要 がある 42-43) 図 50 ShearWave TM Elastography(SWE) 画 像 A: (B モード 画 像 ) 左 乳 房 外 側 に 辺 縁 が 粗 糙 で 縦 横 比 が 大 きい 低 エコー 腫 瘤 を 認 める B:(SWE 画 像 )Q-Box TM を 用 いて 任 意 の 部 位 の 定 量 値 を 測 定 することができる 1 腫 瘍 辺 縁 2 3 腫 瘍 内 部 4 正 常 乳 腺 で 測 定 されており それぞれの 定 量 値 が 右 側 に 表 示 される

図 51 病 変 はのう 胞 であるが 圧 迫 を 加 えると 組 織 弾 性 値 が 大 きい 病 変 を 示 すようになる ( 文 献 43 より) 矢 印 は 肋 骨 を 示 しており 検 査 の 際 には 深 部 の 構 造 に 注 意 して 行 う C 表 示 ROI 腫 瘍 径 に 応 じて 表 示 ROI サイズを 合 わせるが フレームレートが 落 ちるため 必 要 以 上 に 大 きくしない 通 常 は デフォルト 設 定 のままでよい D 撮 像 時 間 撮 像 開 始 後 カラー 表 示 が 2 3 秒 安 定 したところで 画 像 を 静 止 し 定 量 値 の 計 測 記 録 を 行 う 安 定 した 色 調 になるまでの 時 間 が 症 例 により 異 なるが より 早 く 画 像 を 安 定 させるためには できる 限 りプローブを 動 かさ ないことが 重 要 であり 場 合 によっては 患 者 の 息 止 めも 有 効 である スキルが 向 上 してくると 時 間 は 短 縮 される E 画 像 と 病 理 像 図 52 線 維 腺 腫 の ShearWave Elastography と HE 染 色 像

図 53 葉 状 腫 瘍 の ShearWave Elastography と 切 除 標 本 断 面 像 HE 染 色 像

図 54 浸 潤 性 乳 管 癌 の ShearWave Elastography と 切 除 標 本 断 面 像 HE 染 色 像 F 残 された 課 題 一 般 的 に 悪 性 病 変 は 細 胞 密 度 が 高 く リンパ 球 浸 潤 や 壊 死 を 伴 う 事 があるため 病 理 組 織 学 的 に 不 均 一 で 硬 い 病 変 44) であるが 軟 らかい 腫 瘤 と 判 断 される 悪 性 病 変 が 存 在 する(Blue cancer) Evans ら 36) も 良 性 でも 硬 い 病 変 や 悪 性 でも 軟 らかい 病 変 があることを 報 告 している 音 響 出 力 との 関 連 もあり 測 定 可 能 深 度 に 限 界 があり 病 変 が 深 い 位 置 に 存 在 する 場 合 計 測 できないケ ースがある 製 品 化 されてからそれほど 経 っていない 新 しい 技 術 のため 世 界 的 にも 論 文 等 のエビデンスが 少 なく 診 断 基 準 が 確 立 されていない 今 後 も 症 例 の 集 積 と 検 討 が 必 要 である G 総 括 適 用 : 乳 房 腫 瘤 を 認 める 患 者 で 生 検 の 必 要 性 を 判 断 する 場 合 に 適 応 となる 長 所 : 組 織 の 圧 迫 が 不 要 のため 施 行 者 の 手 技 に 依 存 せず 再 現 性 が 高 い 画 像 診 断 が 可 能 である 課 題 : 悪 性 病 変 であっても 軟 らかく 表 示 される 場 合 がある :エビデンスが 少 ないため 症 例 の 集 積 と 検 討 が 必 要 である 検 査 時 のコツと 注 意 点 :プロ ブを 決 して 圧 迫 しないように 柔 らかく ゆっくりと 滑 らかに 検 査 を 行 うこ とが 重 要 である 43)

Conclusion 現 在 国 内 の 乳 房 超 音 波 領 域 では エラストグラフィはすでに 十 分 臨 床 使 用 に 耐 える あるいは 必 要 なツール となっている しかし 装 置 による 特 徴 の 差 異 が 大 きく 適 切 に 使 用 するのは 容 易 ではない 今 回 乳 房 超 音 波 エラストグラフィの 2013 年 の 現 状 を 整 理 し 加 振 エネルギー 手 法 と 撮 像 方 式 による 分 類 および 臨 床 診 断 読 影 法 による 分 類 を 供 覧 した また 代 表 的 開 発 メーカーである Hitachi Aloka Medical Siemens GE Healthcare Philips Healthcare Toshiba Medical SuperSonic Imagine の 装 置 の 特 徴 について エビデンスと 推 奨 される 診 断 方 法 良 好 な 画 像 を 撮 像 するための 条 件 設 定 やコツ 診 断 に 有 用 な 代 表 的 画 像 と 病 理 像 の 対 比 し 解 説 した 本 稿 により 各 エ ラストグラフィの 特 性 を 十 分 に 理 解 し 適 切 な 撮 像 と 診 断 が 行 われ エラストグラフィが 真 に 臨 床 的 に 有 用 なツ ールであることを 実 感 していただけることを 期 待 している 2013 年 までの 報 告 や 研 究 動 向 からは Strain Elastography は 硬 さの 分 布 により 病 理 像 を 予 測 する 目 的 に Shear Wave Elastography は 腫 瘤 の 硬 さを 数 値 として 測 定 することが 目 的 に 開 発 使 用 されている 傾 向 がある しかし 今 のところは 多 くの Prospective Study の Endpoint は BI-RADS Criteria に エラストグラフィを 上 乗 せすることによる 特 異 度 の 向 上 と 要 精 査 率 の 低 下 を 目 的 としたものが 中 心 であり 45) 臨 床 上 の 用 途 には 大 きな 差 異 はない しかし 本 稿 で 紹 介 したように 近 年 化 学 療 法 治 療 効 果 への 有 用 性 や 腫 瘤 形 態 を 呈 しない 病 変 に 対 しての 有 用 性 良 悪 性 の 鑑 別 よりさらに 踏 み 込 んだ 病 理 組 織 性 の 予 測 診 断 への 有 用 性 など 新 たな 臨 床 応 用 が 報 告 され 始 めており 今 後 新 しいアプリケーションが 増 えてくることも 予 想 される もちろん エラストグラフィ 装 置 アプリケーション 自 体 も 進 化 を 続 けていて さらに 新 しいツールや 新 しい エビデンスも 出 てくるので 今 後 開 発 の 方 向 性 や 撮 像 法 診 断 方 法 が 変 化 細 分 化 していくと 想 定 される すでに 乳 腺 領 域 ではエラストグラフィが 必 須 の 診 療 ツールになっているといえる Acknowledgement 本 稿 を 作 成 するにあたり ご 協 力 ご 助 言 画 像 のご 提 供 をいただいた 戸 崎 光 宏 先 生 ( 亀 田 メディカルセン ター) 何 森 亜 由 美 先 生 ( 高 松 平 和 クリニック) ( 河 本 敦 夫 先 生 東 京 医 科 大 学 病 院 ) 村 山 直 之 氏 (Hitachi Aloka Medical) 斉 藤 雅 博 氏 (Siemens) 谷 川 俊 一 郎 氏 (GE Healthcare) 村 上 潤 氏 (Philips Healthcare) 矢 野 雅 彦 氏 (Toshiba Medical) 吉 田 照 宏 氏 (Canon Lifecare Solutions)に 深 く 感 謝 いたします