REPORT 不 動 産 市 場 で 存 在 感 を 高 める 大 学 ~ 少 子 化 時 代 における 経 営 課 題 を 背 景 に 2011 年 6 月 13 日 私 募 投 資 顧 問 部 研 究 員 吉 田 資 yoshida@stbri.co.jp 1. 少 子 化 時 代 における 大 学 経 営 の 課 題 わが 国 では 少 子 高 齢 化 に 伴 い 大 学 入 学 時 年 齢 にあたる 18 歳 の 人 口 は 平 成 22 年 の 122.1 万 人 から 平 成 42 年 には 89.1 万 人 まで 減 少 する 1 と 予 想 されている このため 大 学 大 学 院 専 修 学 校 等 を 経 営 する 学 校 法 人 ( 以 下 大 学 と 呼 ぶ)においては 学 生 の 確 保 および 授 業 料 収 入 に 代 わる 財 源 の 確 保 が 喫 緊 の 課 題 となっている これに 対 し 一 部 の 大 学 においては キャンパスの 都 心 立 地 および 資 産 運 用 の 一 環 として 不 動 産 取 得 が 検 討 実 施 されており 不 動 産 市 場 において 買 い 手 としての 存 在 感 が 増 しつつあ る 本 稿 は 不 動 産 市 場 への 参 加 拡 大 が 期 待 される 大 学 の 行 動 原 理 を 理 解 するために その 市 場 参 入 の 目 的 背 景 等 を 整 理 把 握 したものである 2. 学 生 確 保 のための 不 動 産 取 得 ~ 都 心 立 地 ニーズ~ 昨 今 学 生 が 大 学 に 求 める 要 素 の 一 つに 通 学 上 の 利 便 性 が 高 くアルバイトや 就 職 活 動 等 も 容 易 な 都 心 立 地 の 大 学 キャンパスが 挙 げられる また 企 業 の 教 育 訓 練 費 の 削 減 および 業 務 の 専 門 化 高 度 化 に 伴 い 社 会 人 における 再 教 育 ニーズが 高 まる 中 で 都 心 部 を 中 心 に 社 会 人 受 講 生 の 利 便 性 を 考 慮 した 夜 間 および 休 日 開 講 のサテライトキャンパス 2 が 増 加 しており 3 大 学 と 就 業 場 所 との 近 接 性 が 不 可 欠 な 要 素 となりつつある( 図 表 1 参 照 ) 首 都 圏 近 畿 圏 の 都 心 部 に 大 学 のキャンパスの 新 設 増 設 を 行 うことは 以 前 は 首 都 圏 既 成 市 街 地 工 場 等 規 制 法 及 び 近 畿 圏 既 成 市 街 地 工 場 等 規 制 法 により 制 限 されてきた しかし 平 成 14 年 に 両 法 律 が 廃 止 されたことにより 大 学 のキャンパスや 各 種 機 能 を 従 来 の 郊 外 から 都 心 に 移 転 する 動 きが 加 速 している 実 際 近 年 大 学 が 行 った 不 動 産 取 得 の 主 な 理 由 には 医 科 系 大 学 による 医 療 施 設 の 併 設 とともに 都 心 部 でのキャンパス 新 設 拡 充 が 挙 げられている( 図 表 2 参 照 ) 1 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 18 年 12 月 推 計 ) 出 生 中 位 ( 死 亡 中 位 ) 推 計 2 大 学 が 本 部 キャンパス 以 外 に 都 心 部 のターミナル 駅 周 辺 のオフィスビル 等 に 設 置 した 学 習 拠 点 3 サテライト 教 室 で 正 規 授 業 を 実 施 している 大 学 大 学 院 数 は 37 校 ( 平 成 12 年 )から 101 校 ( 平 成 19 年 )まで 増 加 ( 文 部 科 学 省 大 学 規 模 大 学 経 営 部 会 資 料 より) 1
図 表 1 都 心 部 における 主 なサテライトキャンパスの 設 置 状 況 ( 首 都 圏 関 西 圏 ) 首 都 圏 大 学 名 キャンパス 名 称 所 在 地 最 寄 駅 設 置 学 科 名 古 屋 商 科 大 学 東 京 丸 の 内 キャンパス 千 代 田 区 丸 の 内 二 重 橋 前 東 京 Weekend MBA 埼 玉 大 学 東 京 ステーションカレッジ 千 代 田 区 丸 の 内 東 京 大 手 町 経 済 科 学 研 究 科 事 業 創 造 大 学 院 大 学 東 京 キャンパス 千 代 田 区 丸 の 内 東 京 大 手 町 事 業 創 造 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 慶 應 義 塾 大 学 慶 應 丸 の 内 シティキャンパス( 慶 應 MCC) 千 代 田 区 丸 の 内 二 重 橋 前 東 京 知 的 基 盤 能 力 プログラム 先 端 専 門 プログラム 東 洋 大 学 大 手 町 サテライト 千 代 田 区 大 手 町 大 手 町 東 京 経 済 学 研 究 科 公 民 連 携 専 攻 北 陸 先 端 化 学 技 術 大 学 院 大 学 東 京 サテライト 港 区 港 南 品 川 情 報 科 学 研 究 科 知 識 科 学 研 究 科 多 摩 大 学 品 川 サテライト 港 区 港 南 品 川 経 営 情 報 学 研 究 科 聖 徳 大 学 三 田 サテライトキャンパス 港 区 三 田 田 町 児 童 学 研 究 科 高 知 工 科 大 学 東 京 教 室 港 区 芝 浦 田 町 工 学 研 究 科 ( 起 業 家 コース) テンプル 大 学 ジャパンキャンパス 三 田 校 舎 港 区 三 田 白 金 高 輪 MBAプログラム ロースクール 首 都 大 学 東 京 新 宿 サテライトキャンパス 新 宿 区 西 新 宿 新 宿 社 会 科 学 研 究 科 (ビジネススクール) 宝 塚 造 形 芸 術 大 学 東 京 新 宿 キャンパス 新 宿 区 西 新 宿 新 宿 西 口 新 宿 メディア 造 形 研 究 科 マギル 大 学 MBAジャパン 東 京 キャンパス 新 宿 区 西 新 宿 新 宿 マギル MBA ジャパンプログラム 東 京 福 祉 大 学 池 袋 キャンパス 豊 島 区 東 池 袋 東 池 袋 池 袋 社 会 福 祉 学 研 究 科 横 浜 国 立 大 学 みなとみらいキャンパス 横 浜 市 西 区 みなとみらい 桜 木 町 国 際 社 会 科 学 研 究 科 大 東 文 化 大 学 信 濃 町 キャンパス 新 宿 区 信 濃 町 信 濃 町 法 務 研 究 科 ( 法 科 大 学 院 ) 産 業 能 率 大 学 代 官 山 キャンパス 目 黒 区 青 葉 台 代 官 山 総 合 マネジメント 研 究 科 東 海 大 学 代 々 木 キャンパス 渋 谷 区 富 ヶ 谷 代 々 木 八 幡 代 々 木 上 原 実 務 法 学 研 究 科 早 稲 田 大 学 日 本 橋 キャンパス 中 央 区 日 本 橋 日 本 橋 ファイナンス 研 究 科 千 葉 商 科 大 学 Galleria 商.Tokyo( 丸 の 内 サテライトキャンハ ス) 千 代 田 区 丸 の 内 日 比 谷 有 楽 町 会 計 ファイナンス 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 千 葉 商 科 大 学 虎 ノ 門 サテライト 教 室 港 区 虎 ノ 門 神 谷 町 会 計 ファイナンス 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 金 沢 工 業 大 学 東 京 虎 ノ 門 キャンパス 港 区 愛 宕 虎 ノ 門 神 谷 町 工 学 研 究 科 一 橋 大 学 神 田 キャンパス 千 代 田 区 一 ツ 橋 神 保 町 竹 橋 国 際 企 業 戦 略 研 究 科 日 本 工 業 大 学 神 田 キャンパス 千 代 田 区 神 田 神 保 町 神 保 町 技 術 経 営 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 筑 波 大 学 東 京 キャンパス 千 代 田 区 神 田 神 保 町 神 保 町 ビジネス 科 学 研 究 科 人 間 総 合 科 学 研 究 科 中 央 大 学 後 楽 園 キャンパス 文 京 区 春 日 後 楽 園 戦 略 経 営 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 中 央 大 学 市 ヶ 谷 田 町 キャンパス 新 宿 区 市 谷 田 町 市 ヶ 谷 アカウンティングスクール 城 西 国 際 大 学 東 京 紀 尾 井 町 キャンパス 千 代 田 区 紀 尾 井 町 麹 町 ビジネスデザイン 研 究 科 人 文 科 学 研 究 科 桜 美 林 大 学 四 谷 キャンパス 新 宿 区 四 谷 四 ツ 谷 国 際 学 研 究 科 言 語 教 育 研 究 科 大 学 アト ミニストレーション 研 究 科 老 年 学 研 究 科 国 際 医 療 福 祉 大 学 東 京 青 山 キャンパス 港 区 南 青 山 青 山 一 丁 目 医 療 福 祉 学 研 究 科 薬 科 学 研 究 科 桐 蔭 横 浜 大 学 六 本 木 キャンパス 港 区 六 本 木 六 本 木 法 務 研 究 科 ( 法 科 大 学 院 ) 東 洋 英 和 女 学 院 大 学 六 本 木 キャンパス 港 区 六 本 木 六 本 木 人 間 科 学 研 究 科 国 際 協 力 研 究 科 東 京 国 際 大 学 早 稲 田 キャンパス 新 宿 区 西 早 稲 田 早 稲 田 臨 床 心 理 学 研 究 科 芝 浦 工 業 大 学 豊 洲 キャンパス 江 東 区 豊 洲 豊 洲 工 学 マネジメント 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 英 国 国 立 ウェールズ 大 学 東 京 校 港 区 新 橋 新 橋 MBA( 日 本 語 )プログラム 中 央 大 学 市 ヶ 谷 キャンパス 新 宿 区 市 谷 本 村 町 曙 橋 ロースクール( 専 門 職 大 学 院 ) 出 所 ) 各 大 学 HP をもとに 住 信 基 礎 研 究 所 作 成 関 西 圏 大 学 名 キャンパス 名 称 所 在 地 最 寄 駅 設 置 学 科 関 西 学 院 大 学 大 阪 梅 田 キャンパス(K.Gハフ スクエア 大 阪 ) 大 阪 市 北 区 茶 屋 町 梅 田 経 済 学 研 究 科 言 語 コミュニケーション 文 化 研 究 科 経 営 戦 略 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 文 学 研 究 科 大 阪 産 業 大 学 梅 田 サテライトキャンパス 大 阪 市 北 区 梅 田 梅 田 経 済 学 研 究 科 大 阪 市 立 大 学 梅 田 サテライト 大 阪 市 北 区 梅 田 北 新 地 西 梅 田 創 造 都 市 研 究 科 テンプル 大 学 ジャパン 大 阪 センター 大 阪 市 北 区 梅 田 北 新 地 教 育 学 英 語 教 授 法 名 古 屋 商 科 大 学 大 阪 梅 田 キャンパス 大 阪 市 北 区 梅 田 西 梅 田 梅 田 Weekend MBA 大 阪 工 業 大 学 大 阪 センター 大 阪 市 北 区 梅 田 福 島 知 的 財 産 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 同 志 社 大 学 大 阪 サテライト 大 阪 市 北 区 梅 田 西 梅 田 大 阪 ビジネス 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 立 命 館 大 学 大 阪 キャンパス 大 阪 市 北 区 小 松 原 町 梅 田 東 梅 田 言 語 教 育 情 報 研 究 科 テクノロシ ー マネシ メント 研 究 科 経 営 管 理 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 関 西 福 祉 科 学 大 学 大 学 院 サテライト 大 阪 市 天 王 寺 区 上 本 町 上 本 町 社 会 福 祉 学 研 究 科 グロービス 経 営 大 学 院 大 学 大 阪 校 大 阪 市 中 央 区 博 労 町 心 斎 橋 本 町 経 営 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 大 阪 府 立 大 学 社 会 人 なんばサテライト 教 室 大 阪 市 浪 速 区 難 波 中 なんば 経 営 学 研 究 科 大 阪 大 学 中 之 島 センター 大 阪 市 北 区 中 之 島 中 之 島 新 福 島 医 学 系 研 究 科 基 礎 工 学 研 究 科 経 済 学 研 究 科 工 学 研 究 科 情 報 科 学 研 究 科 兵 庫 教 育 大 学 大 阪 サテライト 大 阪 市 北 区 中 之 島 中 之 島 新 福 島 連 合 学 校 教 育 学 研 究 科 奈 良 女 子 大 学 サテライト キャンパス 大 阪 市 北 区 中 之 島 中 之 島 新 福 島 人 間 文 化 研 究 科 高 知 工 科 大 学 大 阪 教 室 大 阪 市 北 区 中 之 島 中 之 島 新 福 島 工 学 研 究 科 ( 起 業 家 コース) 桃 山 学 院 大 学 サテライト キャンパス 大 阪 市 北 区 中 之 島 中 之 島 新 福 島 経 営 学 研 究 科 日 中 連 携 ビジネスコース 大 阪 経 済 大 学 北 浜 キャンパス 大 阪 市 中 央 区 北 浜 北 浜 経 営 学 研 究 科 経 営 情 報 研 究 科 宝 塚 造 形 芸 術 大 学 大 阪 梅 田 キャンパス 大 阪 市 北 区 芝 田 梅 田 メディア 造 形 研 究 科 デザイン 経 営 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 英 国 国 立 ウェールズ 大 学 大 阪 校 大 阪 市 中 央 区 南 船 場 心 斎 橋 MBA( 日 本 語 プログラム) 関 西 大 学 天 六 キャンパス 大 阪 市 北 区 長 柄 西 天 神 橋 筋 六 丁 目 総 合 情 報 学 研 究 科 デジタルハリウッド 大 学 院 大 阪 サテライトキャンパス 大 阪 市 北 区 西 天 満 東 梅 田 デジタルコンテンツ 研 究 科 ( 専 門 職 大 学 院 ) 京 都 造 形 芸 術 大 学 大 阪 サテライトキャンパス 大 阪 市 北 区 小 松 原 町 梅 田 東 梅 田 臨 床 美 術 士 資 格 取 得 講 座 西 洋 美 術 史 日 本 美 術 史 出 所 ) 各 大 学 HP をもとに 住 信 基 礎 研 究 所 作 成 2
図 表 2 学 校 法 人 による 主 な 取 得 事 例 契 約 時 期 大 学 名 物 件 名 称 住 所 価 格 土 地 面 積 (m2) 取 得 理 由 2008.05 早 稲 田 大 学 警 察 大 学 校 跡 地 の 一 部 東 京 都 中 野 区 - 7,948 2012 年 を 目 途 に 中 野 キャンパスを 開 設 する 構 想 がある 2008.06 東 京 電 機 大 学 日 本 たばこ 産 業 千 住 旭 町 アパート 跡 地 東 京 都 足 立 区 - 15,000 2012 年 4 月 を 目 途 に 神 田 キャンパスから 移 転 する 2008.10 帝 京 大 学 高 津 パークプラザ 神 奈 川 県 川 崎 市 高 津 区 - 6,884 近 隣 に 帝 京 大 学 医 学 部 附 属 溝 口 病 院 が ある 2009.06 関 西 大 学 千 里 留 学 生 会 館 跡 地 大 阪 府 吹 田 市 16 億 111 万 円 10,036 地 上 6 階 延 床 面 積 7,318m2の 留 学 生 宿 舎 を 建 設 することを 予 定 している 2009.08 順 天 堂 大 学 センチュリータワー 東 京 都 文 京 区 - 4,009 隣 接 するキャンパスの 再 整 備 を 計 画 している 2009.08 中 央 大 学 市 谷 田 町 ビル 東 京 都 新 宿 区 - 1,495 近 隣 に 市 谷 キャンパス( 主 に 大 学 院 )が 立 地 している 2009.09 明 治 国 際 医 療 大 学 京 都 エミナース 京 都 府 京 都 市 西 京 区 15 億 1500 万 円 12,700 現 状 使 用 ならびに 学 校 ( 医 療 ) 施 設 として 使 用 する 2009.09 同 志 社 大 学 京 都 厚 生 年 金 休 暇 センター 京 都 府 京 田 辺 市 12 億 1110 万 円 130,200 当 該 物 件 は 体 育 施 設 を 備 えた 宿 泊 施 設 学 校 用 地 として 利 用 することを 予 定 している 2010.03 昭 和 大 学 豊 洲 5-2-10の 土 地 東 京 都 江 東 区 40 億 円 3,273 看 護 師 宿 舎 を 建 設 することを 予 定 している 2010.03 関 西 医 科 大 学 クラボウ 旧 枚 方 工 場 跡 地 大 阪 府 枚 方 市 35 億 8500 万 円 25,084 以 前 からグラウンド 駐 車 場 として 賃 借 していた 大 学 建 設 用 地 として 利 用 する 2010.05 五 島 育 英 会 ( 東 京 都 市 大 学 ) 二 子 玉 川 園 スポーツセンター 東 京 都 世 田 谷 区 20 億 10 万 4000 円 26,891.00 出 所 ) 日 経 不 動 産 マーケット 情 報 日 経 BP 社 をもとに 住 信 基 礎 研 究 所 作 成 東 京 都 市 大 学 グループの 総 合 グラウンド として 利 用 する 2010.06 明 治 大 学 多 摩 テック 跡 地 東 京 都 日 野 市 - 約 200,000 ラグビー 場 や 合 宿 場 などの 施 設 を 移 転 する ( 協 議 中 ) 将 来 的 には 新 学 部 の 設 置 も 予 定 している 2010.11 立 命 館 大 学 サッポロビール 大 阪 工 場 跡 地 大 阪 府 茨 木 市 190 億 円 121,891.00 2015 年 4 月 に 新 キャンパスを 開 設 することを 予 定 している 2011.01 帝 京 大 学 旧 竜 ヶ 峰 小 学 校 東 京 都 多 摩 市 14 億 5000 万 円 22,911.40 付 属 小 学 校 を 建 設 することを 予 定 している 2011.03 城 西 大 学 平 河 町 2 丁 目 の 土 地 建 物 東 京 都 文 京 区 - 2,411.89 近 隣 に 東 京 都 紀 尾 井 町 キャンパスが 立 地 している 3. 財 源 確 保 のための 不 動 産 取 得 ~ 資 産 運 用 ニーズ~ 大 学 経 営 における 収 支 と 収 入 の 関 係 を 表 す 帰 属 収 支 差 額 比 率 ( 売 上 高 経 常 利 益 率 に 相 当 )は 全 国 平 均 ( 病 院 経 営 の 要 素 を 含 む 医 歯 系 大 学 を 除 く)で 平 成 15 年 度 の 10.5%から 平 成 21 年 度 の 3.7%まで 低 下 しており 大 学 の 経 営 状 況 は 急 速 に 悪 化 している 4 これは 収 入 の 7 割 強 を 占 める 授 業 料 収 入 が 学 生 数 ( 入 学 者 数 )の 減 少 に 伴 い 急 減 しているためで 大 学 の 閉 鎖 など 需 給 バランスが 改 善 されない 限 り 今 後 もさらなる 悪 化 が 予 想 される このため 授 業 料 収 入 に 代 わる 財 源 確 保 が 不 可 欠 になっているが 収 入 の1 割 強 を 占 める 補 助 金 については 政 府 自 身 が 莫 大 な 財 政 赤 字 を 抱 えている 現 状 では 大 幅 な 増 額 は 期 待 できない そこで 現 状 では 収 入 の 3% 程 度 にとどまる 資 産 運 用 収 入 5 を 拡 大 することが 求 められている 米 国 で は ハーバード 大 学 など 資 産 運 用 収 入 が 収 入 全 体 の 4 割 弱 を 占 める 6 例 も 散 見 され 今 後 日 本 でも 積 極 的 な 資 産 運 用 により 授 業 料 収 入 の 落 ち 込 みを 補 うことが 喫 緊 の 課 題 になっている 大 学 における 資 産 運 用 に 際 しては 人 件 費 教 育 研 究 費 管 理 経 費 等 を 賄 うため 長 期 にわたり 一 定 水 準 以 上 の 安 定 的 な 収 益 (インカムゲイン)を 確 保 することが 求 められる ところが 国 内 の 大 学 全 体 で の 運 用 資 産 構 成 は 現 預 金 と 国 内 債 券 が 大 部 分 を 占 めており 7 インカムゲインの 水 準 は 極 めて 低 い 日 本 私 立 学 校 振 興 共 済 事 業 団 の 調 査 (2008 年 )によると 私 立 大 学 の 運 用 利 回 りの 全 国 平 均 は 1.6%と 4 帰 属 収 支 差 額 比 率 =( 帰 属 収 入 消 費 支 出 ) 帰 属 収 入 ( 企 業 会 計 では 売 上 高 経 常 利 益 率 にあたる) [ 日 本 私 立 学 校 振 興 共 済 事 業 団 平 成 22 度 版 今 日 の 私 学 財 政 に 基 づく] 帰 属 収 入 = 学 校 生 徒 等 納 付 金 ( 授 業 料 収 入 )+ 手 数 料 + 寄 付 金 + 補 助 金 + 事 業 収 入 + 資 産 運 用 収 入 + 資 産 売 却 差 額 + 雑 収 入 消 費 支 出 = 人 件 費 + 教 育 研 究 費 + 管 理 経 費 + 借 入 金 等 利 息 + 資 産 売 却 差 額 + 徴 収 不 能 額 5 日 本 私 立 学 校 振 興 共 済 事 業 団 平 成 22 度 版 今 日 の 私 学 財 政 によると 全 国 平 均 ( 医 歯 系 を 除 く)では 授 業 料 収 入 が 帰 属 収 入 全 体 の 73% 資 産 運 用 収 入 が 全 体 の 3%を 占 める( 平 成 21 年 度 ) 6 全 収 入 における 寄 付 基 金 の 運 用 収 入 は 38%(2009 年 度 )[HARVARD UNIVERSITY FINANCIAL REPORT に 基 づく] 7 資 産 運 用 を 行 っている 大 学 が 所 有 する 金 融 商 品 の 内 訳 は 国 立 大 学 では 現 預 金 が 45% 国 内 公 共 債 が 42% 私 立 大 学 では 現 預 金 が 22% 国 内 公 共 債 が 18%( 特 定 非 営 利 活 動 法 人 21 世 紀 大 学 経 営 協 会 第 3 回 大 学 法 人 における 資 産 運 用 状 況 (2009 年 10 月 )) 3
低 水 準 に 留 まっている これに 対 し 運 用 対 象 としての 不 動 産 は 一 定 範 囲 内 の 収 益 変 動 は 生 じるものの 家 賃 収 入 を 原 資 とした 比 較 的 高 水 準 なインカムゲインを 得 ることが 期 待 できる( 図 表 3 参 照 ) また 一 定 水 準 以 上 の 安 定 的 な 収 益 (インカムゲイン)の 確 保 とともに リスクを 極 力 低 く 抑 えるこ とが 求 められる 資 産 運 用 の 失 敗 による 巨 額 の 損 失 は 大 学 本 来 の 目 的 である 教 育 研 究 活 動 を 停 滞 さ せる 恐 れがある 例 えば 駒 沢 大 学 はリーマンショック 後 デリバティブ 取 引 で 150 億 円 を 超 える 損 失 を 出 し その 損 失 を 補 う 目 的 で 銀 行 融 資 を 受 ける 際 にキャンパスの 土 地 建 物 やグラウンドを 担 保 に 入 れる 事 態 に 陥 った そもそも 日 本 の 大 学 の 資 産 運 用 の 形 態 は 資 産 運 用 の 成 果 が 大 学 経 営 に 直 接 反 映 される 形 になってしまっており 寄 付 基 金 という 形 で 大 学 本 体 と 資 産 運 用 を 切 り 離 している 米 国 の 大 学 と 比 べ 大 きなリスクをとることはできない( 図 表 4 参 照 ) そのような 状 況 に 置 かれている 大 学 の 資 産 運 用 に おいて 株 式 や 債 券 と 相 関 の 低 い 不 動 産 をポートフォリオに 入 れることは 分 散 効 果 により リスクを 低 下 させることが 期 待 できる 一 方 運 用 資 産 としての 不 動 産 は 他 資 産 に 比 べ 投 資 規 模 が 大 きく 投 資 対 象 も 限 られ 必 要 な 場 合 に 即 時 に 売 買 できない いわゆる 流 動 性 の 低 さが 懸 念 される しかし 一 定 水 準 以 上 の 収 益 を 安 定 的 に 確 保 することを 目 指 す 大 学 の 資 産 運 用 においては キャピタルゲインの 必 要 性 は 小 さく また 財 務 上 の 理 由 を 除 き 短 期 的 に 売 買 を 繰 り 返 す 必 要 性 も 小 さい 以 上 のように 大 学 の 資 産 運 用 スタイルと 不 動 産 の 投 資 特 性 は 合 致 しており 不 動 産 をポートフォリ オに 入 れることでリスク 調 整 済 みリターンを 高 めることが 期 待 できる 不 動 産 は 大 学 経 営 にとって 有 効 な 資 産 運 用 対 象 の 一 つと 言 えるであろう 図 表 3 主 な 運 用 資 産 のリターン 特 性 株 式 不 動 産 債 券 現 預 金 インカムゲイン( 水 準 ) 低 高 低 低 インカムゲイン( 変 動 ) 大 中 ゼロ ゼロ キャピタルゲイン( 可 能 性 ) 高 中 低 ゼロ 流 動 性 高 低 高 高 図 表 4 日 本 の 大 学 と 米 国 の 大 学 の 資 産 運 用 形 態 の 違 い 日 本 の 大 学 米 国 の 大 学 収 入 収 入 授 業 料 収 入 国 など からの 補 助 金 資 産 運 用 収 入 授 業 料 収 入 国 などから の 補 助 金 資 産 運 用 収 入 運 用 資 産 ( 寄 付 基 金 ) 運 用 資 産 支 出 ( 人 件 費 管 理 経 費 など) 基 本 金 支 出 ( 人 件 費 管 理 経 費 など) 基 本 金 寄 付 金 注 ) 基 本 金 大 学 経 営 に 必 要 な 資 産 ( 校 舎 奨 学 基 金 等 )を 継 続 的 に 保 持 するため 収 入 のうちから 拠 出 する 資 金 4
4. 大 学 の 不 動 産 取 得 余 力 少 子 化 を 背 景 とした 都 心 立 地 ニーズと 資 産 運 用 ニーズによって 大 学 による 不 動 産 取 得 は 従 来 以 上 に 増 加 することが 期 待 されるが 実 際 に 実 現 するためには 併 せて 不 動 産 取 得 が 可 能 な 財 務 的 な 余 力 も 必 要 となる 大 学 が 教 育 目 的 のために 不 動 産 を 含 む 固 定 資 産 を 取 得 する 場 合 主 に1 帰 属 収 支 差 額 の 留 保 分 2 借 入 金 3 第 2 号 基 本 金 ( 施 設 整 備 資 産 ) 等 の 3 種 類 の 資 金 を 充 てることになる 特 に 第 2 号 基 本 金 は 私 立 学 校 法 に 基 づく 学 校 法 人 会 計 基 準 により 不 動 産 等 の 固 定 資 産 取 得 のために 事 前 に 資 金 計 画 を 立 て 貸 借 対 照 表 に 計 上 するよう 規 定 されている( 図 表 5 図 表 6 参 照 ) 最 近 不 動 産 取 得 を 行 った 関 東 関 西 の 有 力 な 総 合 私 立 大 学 4 校 について 施 設 整 備 資 産 が 総 資 産 に 占 める 割 合 をみると( 図 表 7 参 照 ) 平 成 18 年 度 までは 将 来 の 不 動 産 取 得 に 備 えて 上 昇 基 調 で 推 移 してきたが その 後 不 動 産 価 格 の 高 騰 や 金 融 危 機 に 伴 う 借 入 条 件 の 悪 化 にも 関 わらず 不 動 産 取 得 が 行 われたこともあり 平 成 19 年 度 以 降 は 一 転 して 低 下 傾 向 を 示 している このように 不 動 産 取 得 に 備 えて 資 金 を 蓄 えてきた 大 学 は 不 動 産 市 況 によらず 売 買 が 可 能 な 存 在 と 言 える また 資 産 運 用 のための 不 動 産 取 得 に 係 る 資 金 は 奨 学 金 等 の 基 金 として 継 続 的 に 保 持 し 運 用 するた めの 第 3 号 基 本 金 として 同 じく 貸 借 対 照 表 上 に 計 上 される それらの 集 計 結 果 によると 1 大 学 あた りの 第 3 号 基 本 金 8 は 平 成 16 年 度 の 1,135 百 万 円 から 平 成 21 年 度 の 1,279 百 万 円 と 増 加 傾 向 にあり 比 較 的 投 資 規 模 の 大 きい 不 動 産 運 用 の 可 能 性 が 高 まってきていると 言 える 図 表 5 学 校 法 人 会 計 における 貸 借 対 照 表 負 債 流 動 資 産 資 産 基 本 金 固 定 資 産 消 費 収 支 差 額 流 動 負 債 固 定 負 債 第 1 号 基 本 金 第 2 号 基 本 金 第 3 号 基 本 金 第 4 号 基 本 金 〇 〇 年 度 消 費 支 出 準 備 金 翌 年 度 繰 越 消 費 収 支 超 過 額 〇 〇 年 度 消 費 支 出 準 備 金 将 来 の 特 定 の 会 計 年 度 ( 例 100 年 記 念 式 典 がある 年 度 )の 消 費 支 出 に 充 当 する 目 的 をもって 留 保 する 準 備 金 図 表 6 帰 属 収 入 と 基 本 金 組 入 額 の 関 係 基 本 金 組 入 額 帰 属 収 入 消 費 支 出 消 費 収 支 超 過 額 消 費 収 入 帰 属 収 入 授 業 料 などの 学 校 法 人 の 負 債 とならない 収 入 消 費 支 出 人 件 費 教 育 研 究 経 費 や 管 理 経 費 など 学 校 法 人 が 経 常 的 に 支 出 する 経 費 消 費 収 入 帰 属 収 入 - 基 本 金 組 入 額 8 日 本 私 立 学 校 振 興 共 済 事 業 団 平 成 22 年 度 版 今 日 の 私 学 財 政 の 全 国 平 均 ( 医 歯 系 を 除 く)のデータに 基 づく 5
図 表 7 施 設 整 備 資 産 比 率 の 推 移 施 設 整 備 資 産 比 率 の 推 移 7.0% 6.0% 5.0% 4.0% 4.9% 5.8% 6.6% 5.6% 4.9% 3.9% 3.0% 2.0% 1.0% 0.0% 平 成 16 年 度 平 成 17 年 度 平 成 18 年 度 平 成 19 年 度 平 成 20 年 度 平 成 21 年 度 注 ) 施 設 整 備 資 産 比 率 = 第 2 号 基 本 金 / 総 資 産 1 校 は 施 設 等 拡 充 引 当 特 定 資 産 / 総 資 産 出 所 ) 関 東 関 西 の 有 力 な 総 合 私 立 大 学 4 校 の 学 校 法 人 公 表 資 料 をもとに 住 信 基 礎 研 究 所 作 成 5. 大 学 が 不 動 産 の 有 力 な 買 い 手 に 不 動 産 賃 貸 需 要 および 不 動 産 取 得 需 要 は 景 気 底 入 れにより 回 復 局 面 に 差 し 掛 かっていたが 東 日 本 大 震 災 発 生 後 その 回 復 スピードはやや 減 速 している その 一 方 で 上 述 したように 大 学 は 都 心 立 地 ニーズ および 資 産 運 用 ニーズを 強 めている 特 に 施 設 整 備 資 金 ( 第 2 号 基 本 金 )や 資 産 運 用 資 金 ( 第 3 号 基 本 金 )を 積 み 増 している 大 学 は 今 後 の 不 動 産 取 得 の 可 能 性 が 高 く 不 動 産 市 場 における 存 在 感 がより 一 層 高 まるものと 思 われる( 図 表 8 参 照 ) 図 表 8 少 子 化 の 進 行 が 及 ぼす 影 響 少 子 化 の 進 展 学 生 数 の 減 少 学 生 の 確 保 授 業 料 収 入 の 減 少 財 源 の 確 保 大 学 の 都 心 立 地 ニーズ ⅰ 通 学 アルバイト 等 に 便 利 な 立 地 ⅱ 社 会 人 も 通 学 しやすい 立 地 大 学 の 資 産 運 用 ニーズ ⅰ 学 生 の 減 少 に 伴 う 財 政 悪 化 ⅱ 現 預 金 債 権 に 偏 った 運 用 の 見 直 し 大 学 が 不 動 産 の 有 力 な 買 い 手 に 6
お 問 い 合 わせ https://www.stbri.co.jp/contact/form-private/private_investment.html 1. この 書 類 を 含 め 当 社 が 提 供 する 資 料 類 は 情 報 の 提 供 を 唯 一 の 目 的 としたものであり 不 動 産 および 金 融 商 品 を 含 む 商 品 サービスまたは 権 利 の 販 売 その 他 の 取 引 の 申 込 み 勧 誘 あっ 旋 媒 介 等 を 目 的 としたもので はありません 銘 柄 等 の 選 択 投 資 判 断 の 最 終 決 定 またはこの 書 類 のご 利 用 に 際 しては お 客 さまご 自 身 でご 判 断 くださいますようお 願 いいたします 2. この 書 類 を 含 め 当 社 が 提 供 する 資 料 類 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 に 基 づいて 作 成 していますが 当 社 はその 正 確 性 および 完 全 性 に 関 して 責 任 を 負 うものではありません 本 資 料 は 作 成 時 点 または 調 査 時 点 におい て 入 手 可 能 な 情 報 等 に 基 づいて 作 成 されたものであり ここに 示 したすべての 内 容 は 作 成 日 における 判 断 を 示 したものです また 今 後 の 見 通 し 予 測 推 計 等 は 将 来 を 保 証 するものではありません 本 資 料 の 内 容 は 予 告 なく 変 更 される 場 合 があります 3. この 資 料 の 一 切 の 権 利 は 当 社 に 帰 属 しております 当 社 の 事 前 の 了 承 なく その 目 的 や 方 法 の 如 何 を 問 わず 本 資 料 の 全 部 または 一 部 を 複 製 転 載 改 変 等 してご 使 用 されないようお 願 いいたします 4. 当 社 は 不 動 産 鑑 定 業 者 ではなく 不 動 産 等 について 鑑 定 評 価 書 を 作 成 交 付 することはありません 当 社 は 不 動 産 投 資 顧 問 業 者 または 金 融 商 品 取 引 業 者 として 投 資 対 象 商 品 の 価 値 または 価 値 の 分 析 に 基 づく 投 資 判 断 に 関 する 助 言 業 務 を 行 います 当 社 は 助 言 業 務 を 遂 行 する 過 程 で 不 動 産 等 について 資 産 価 値 を 算 出 する 場 合 があります しかし この 資 産 価 値 の 算 出 は 当 社 の 助 言 業 務 遂 行 上 の 必 要 に 応 じて 行 うものであ り ひとつの 金 額 表 示 は 行 わず 複 数 幅 分 布 等 により 表 示 いたします 7