1 はじめに 2 H.I.S.とは 3 H.I.S.の 経 営 戦 略 3.1コスト リーダーシップ 戦 略 3.2 集 中 戦 略 4 なぜ 成 功 できたのか 5 これからの 課 題 6 おわりに 1 はじめに 私 は 以 前 3 年 間 ハンガリーに 住 んでいた 経 験 がある その 頃 か



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対 象 者 株 式 (1,287,000 株 ) 及 び 当 社 が 所 有 する 対 象 者 株 式 (1,412,000 株 )を 控 除 した 株 式 数 (3,851,673 株 )になります ( 注 3) 単 元 未 満 株 式 も 本 公 開 買 付 けの 対 象 としております なお

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(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

Transcription:

H.I.S.の 経 営 戦 略 2 年 船 山

1 はじめに 2 H.I.S.とは 3 H.I.S.の 経 営 戦 略 3.1コスト リーダーシップ 戦 略 3.2 集 中 戦 略 4 なぜ 成 功 できたのか 5 これからの 課 題 6 おわりに 1 はじめに 私 は 以 前 3 年 間 ハンガリーに 住 んでいた 経 験 がある その 頃 からヨーロッパ 各 地 を 旅 行 してきたことから 海 外 に 関 係 のある 仕 事 に 興 味 を 持 った そして 海 外 に 関 係 のある 仕 事 と して 旅 行 会 社 が 思 い 浮 かび 旅 行 業 界 について 興 味 を 持 った 旅 行 は 大 学 生 にとって 身 近 な ものであり 夏 季 休 暇 のどの 長 期 休 暇 になると 旅 行 に 行 く 計 画 を 立 てる 学 生 も 多 く 旅 行 に ついて 興 味 を 持 っている 学 生 は 非 常 に 多 い 旅 行 には 国 内 旅 行 と 海 外 旅 行 の 2 種 類 がある が 今 回 は 海 外 旅 行 に 力 を 入 れており 学 生 から 支 持 されている H.I.S.について 論 じていき たいと 思 う 初 めに H.I.S/がどのような 経 営 戦 略 をとり 成 長 してきたのか そして 今 後 の 課 題 にはどのようなことが 挙 げられるかを 考 察 していきたいと 思 う 2 H.I.S.とは H.I.S.は 本 社 を 新 宿 に 置 いた 旅 行 会 社 である 創 業 者 は 澤 田 秀 雄 であり 1980 年 に 前 身 である 株 式 インターナショナルツアーズが 設 立 された 国 内 国 外 の 旅 行 業 において 格 安 で 航 空 券 を 購 入 できることから 若 者 を 中 心 に 人 気 の 企 業 である 企 業 理 念 は 1 ツーリズ ムを 通 じて 世 界 の 人 々の 見 識 を 高 め 国 籍 人 種 文 化 宗 教 などを 越 え 世 界 平 和 相 互 理 解 の 促 進 に 貢 献 する である 満 足 度 の 高 い 理 由 としてはコスト パフォーマンス であったり 情 報 の 提 供 力 が 挙 げられる 次 にH.I.S.の 経 営 戦 略 について 論 じていこうと 思 う 3 H.I.S.の 経 営 戦 略 3.1 コスト リーダーシップ 戦 略 H.I.S.の 特 徴 的 な 戦 略 の 一 つとして コスト リーダシップ 戦 略 があげられる マイケル ポーターは 対 象 とする 市 場 の 幅 と 競 争 優 位 をどこに 求 めるかの 面 から 基 本 戦 略 を 導 出 し た 基 本 戦 略 はコスト リーダシップ 戦 略 差 別 化 戦 略 集 中 戦 略 の3つである そして 1 http://www.his.co.jp/

業 界 平 均 以 上 の 業 績 と 達 成 するためには この3つのうちのいずれかを 追 求 しなければな らないと 主 張 した 2 コスト リーダーシップ 戦 略 とは 競 合 企 業 よりも 低 いコスト 水 準 を 達 成 することで コスト 面 での 優 位 性 を 確 保 し 高 いマージンを 得 たり または 販 売 増 を 目 指 す 戦 略 である コスト リーダーシップ 戦 略 は 経 験 効 果 規 模 の 経 済 に 基 づいて 説 明 されることが 多 いが 業 務 活 動 の 連 結 や 共 同 化 業 務 品 質 向 上 による 効 率 化 など 多 様 な 方 法 によって 達 成 することができる ポーターの 基 本 戦 略 を 図 で 表 すと コスト リーダー シップ 戦 略 は 他 社 より 低 いコストで 戦 略 ターゲットの 幅 は 広 い そして この 戦 略 をとる 企 業 は 製 品 やサービスを 最 も 安 いコストで 顧 客 に 提 供 できる 企 業 である したがって もし 仮 に 他 のすべての 競 合 企 業 が 同 じ 価 格 で 販 売 していたとすると 最 も 高 い 利 益 率 を 獲 得 することができる また この 戦 略 は 業 界 において 最 大 手 の 企 業 が 選 択 する 戦 略 でもあ る なぜならば 価 格 設 定 の 主 導 権 を 握 ることができるからだ 最 も 低 コストで 顧 客 に 販 売 することができる 企 業 は 必 要 があれば 他 社 が 真 似 できないような 価 格 まで 下 げて 販 売 す ることも 可 能 である そして 業 界 に 価 格 設 定 の 面 大 きな 影 響 力 を 与 えることができるのだ この 戦 略 が 低 価 格 での 提 供 を 実 現 しているのであると 言 える H.I.S.は 創 業 当 初 から 格 安 航 空 券 の 販 売 をしてきた 当 時 海 外 へ 行 くことは 多 額 の 費 用 がかかることであった H.I.S. はその 点 に 目 を 向 けて 航 空 券 を 低 価 格 で 販 売 することに 目 を 付 けた 3.2 集 中 戦 略 もうひとつの 特 徴 的 な 経 営 戦 略 としては 集 中 戦 略 が 挙 げられる 3 集 中 戦 略 とはターゲッ トを 全 体 に 絞 るのではなく 特 定 のターゲットに 絞 るという 経 営 戦 略 である 業 界 最 大 手 の 企 業 がしばしば 選 択 するコスト リーダーシップ 戦 略 に 対 して 集 中 戦 略 は 比 較 的 規 模 の 小 さな 企 業 が 選 択 する 戦 略 である そして 大 企 業 が 参 入 しないニッチに 集 中 した 戦 略 である 当 時 旅 行 業 界 にとってのニッチは 価 格 の 安 さであった そこでH.I.S.はターゲット を 学 生 などの 富 裕 層 ではない 顧 客 に 絞 った 大 企 業 がニッチ 戦 略 をとらない 理 由 は 市 場 規 模 の 小 ささから 無 視 しても 特 に 影 響 はないという 考 えからである そこでH.I.S.はお 金 の ない 顧 客 をターゲットにし 格 安 商 品 の 提 供 を 徹 底 した その 結 果 H.I.S.イコール 安 いと 言 う イメージの 定 着 につながった 操 業 当 初 は 格 安 で 航 空 券 を 販 売 することに 取 り 組 んできた 操 業 当 初 は 海 外 旅 行 はお 金 のかかるイメージがあった しかしこの 低 価 格 での 販 売 は 旅 行 業 界 に 大 きな 衝 撃 を 与 え H.I.S.は 航 空 分 野 での 成 功 をおさめた 航 空 分 野 での 地 位 を 築 いてからは 主 力 事 業 を 徐 々に 航 空 券 の 販 売 から 海 外 旅 行 パッケージへと 移 行 していく 海 外 旅 行 者 も 年 々 増 加 していくにつれて 企 業 は 急 速 に 成 長 していった H.I.S.は 特 定 分 野 に 特 化 し 低 価 格 で 他 社 と 差 別 化 することにより シェアを 拡 大 する 戦 略 をとっている ま た H.I.S.は 現 会 長 の 澤 田 秀 雄 氏 が 3 名 で 始 めた 企 業 であり ベンチャーしてスタートした 会 社 である 特 定 の 系 列 やグループに 属 していたわけではないので 一 からのスタートとな 2 明 治 大 学 経 営 学 研 究 会 (2012), pp.72-73 3 高 橋 宏 幸 ほか (2002) pp.59-60

る このような 企 業 に 必 要 な 戦 略 こそ 集 中 戦 略 である H.I.S.は 格 安 航 空 券 と 海 外 旅 行 の 分 野 に 集 中 し 弱 者 から 強 者 へと 成 長 した 会 社 なのだ 企 業 時 点 ではどの 企 業 もみな 弱 小 企 業 である そのような 弱 小 企 業 が 大 企 業 へと 成 長 していくためには ある 特 定 の 部 門 で 一 番 になることが 大 切 である このような 戦 略 をランチェスター 戦 略 という H.I.S.はこの 戦 略 に 忠 実 であった 創 業 当 初 は 海 外 航 空 券 の 格 安 販 売 事 業 だけに 集 中 した 結 果 H.I.S.は 旅 行 業 界 において 急 成 長 を 遂 げた 社 員 の 中 には 当 時 の 流 行 であったパッケージツアーをほかの 旅 行 業 者 と 同 じようにするべ きだと 言 う 声 も 上 がっていた しかし 弱 者 はナンバーワンになるまではほかの 範 囲 に 手 を 広 げてはならないというランチェスター 戦 略 に 乗 っ 取 って 格 安 旅 行 の 提 供 という 一 点 に 集 中 しとおした 今 後 H.I.S.はアジア 気 域 を 中 心 に 集 中 戦 略 と 展 開 する 見 込 みである ま た 主 力 の 海 外 拠 点 をより 増 やしていき 出 店 を 加 速 する 見 込 みである この 点 から 言 えるこ とは 経 営 当 初 においてどのような 企 業 でも 初 めは 弱 者 の 立 場 である そこから 強 者 に 成 長 していくためには 一 点 集 中 し そこから 成 長 していくことが 出 来 るということである 4 なぜ 成 功 できたのか H.I.S.の 前 身 である 株 式 インターナショナルツアーズが 設 立 されたのは 1980 年 である なぜ 35 年 余 りでここまで 成 長 できたのだろうか 旅 行 業 界 において 人 気 やトレンドは 時 代 とともに 移 り 変 わる いくら 大 人 気 を 博 した 企 画 であっても いつまでもそこに 踏 みとど まっていてはいけない 人 気 も 流 行 も 人 に 好 みも 時 とともに 移 り 変 わるものであり 決 して 一 か 所 にいつまでもとどまっているものではない 4 旅 行 業 界 はその 人 気 やトレンドに 合 った 旅 行 プランの 提 供 が 必 要 になってくる H.I.S.は 過 去 にロシアで 無 重 力 体 験 ツアー を 実 施 したが 失 敗 に 終 わった 原 因 としては 高 額 なツアー 料 金 と 当 時 の 旅 行 先 としてのロ シアのイメージの 悪 さがあげられる しかし H.I.S.は 失 敗 したというだけでは 終 わらせず にその 失 敗 した 企 画 の 中 から 教 訓 を 引 出 し 次 の 企 画 に 生 かすことができた 市 場 動 向 の 半 歩 先 もしくは 一 歩 先 を 読 みながら 新 たな 企 画 を 仕 掛 けてくことは 何 よりも 仕 入 れコ ストの 安 い 新 商 品 開 発 を 可 能 にするのだ 他 社 よりもいち 早 く 旅 行 のトレンドをつかみ 新 商 品 を 仕 掛 けることができれば 自 社 にとって 有 利 な 条 件 で 独 創 的 な 企 画 を 立 案 実 施 することが 可 能 になり 成 功 につながるのだ 5 5 これからの 課 題 H.I.S.は 旅 行 業 界 において 急 成 長 を 遂 げてきた しかしこれからより 成 長 していくために はいくつかの 課 題 を 克 服 する 必 要 がある H.I.S.はこれまでターゲットを 学 生 やお 金 のない 若 者 に 絞 って 経 営 戦 略 を 展 開 してきた しかしそのため 高 齢 者 にはまだ 影 響 力 が 薄 いと 言 える 日 本 は 高 齢 化 社 会 であり 現 在 65 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 は 3186 万 人 で 総 人 口 に 占 め 4 澤 田 秀 雄 (1996)p.115-116 5 脚 注 4 と 同 pp. 116-118

る 割 合 は 25.0%となっている 6 このため 高 齢 者 をターゲットにした 戦 略 をしていくこと が 重 要 である 創 業 当 初 のまだ 規 模 が 小 さかった 時 には 集 中 戦 略 をとっていたが 現 在 で は 多 くの 人 々に 知 られている 大 企 業 となった そこでターゲットや 旅 行 プランの 幅 を 広 げ てみてもよいのではないかと 考 える また H.I.S.は 海 外 旅 行 を 中 心 にしている 近 年 石 油 価 格 の 高 騰 の 影 響 で 飛 行 機 代 が 上 がったことや 近 年 ではテロなどの 治 安 の 悪 化 により 海 外 旅 行 者 が 減 少 している そこで 国 内 旅 行 に 目 を 向 けてみてもよいのではないだろうか 海 外 に 現 在 の 治 安 状 態 で 旅 行 に 行 くことに 抵 抗 があると 感 じる 人 は 依 然 と 比 べて 確 実 に 増 えている しかし 国 内 の 旅 行 に 関 しては 治 安 の 面 で 旅 行 を 控 えたいという 人 はあまりい ないのではないだろうか 高 齢 者 の 間 も 距 離 が 離 れている 海 外 旅 行 よりも 国 内 旅 行 の 方 が より 人 気 がある 今 後 は 国 内 旅 行 に 力 を 入 れる 割 合 を 増 やして 経 営 戦 略 を 行 うのも 一 つの 手 ではないだろうかと 考 える 6 おわりに 今 回 H.I.S.について 戦 略 や 今 後 の 課 題 について 論 じた 以 前 からCMなどで H.I.S.が 格 安 料 金 というイメージはあったが そのイメージはどのようにして 誕 生 したのかを 今 回 の 論 文 を 作 成 するにあたって 調 べることができた またランチェスター 戦 略 に 忠 実 に 則 り 周 りに 惑 わされないような 経 営 戦 略 を 行 った 結 果 成 功 に 至 ったと 考 える また その 様 に 価 格 に 創 業 当 初 からこだわった 結 果 消 費 者 に H.I.S.は 安 いというイメージを 定 着 させブラ ンドという 付 加 価 値 を 得 たことも 大 きな 成 功 の 要 因 だろう しかし 旅 行 業 界 には 政 治 や 経 済 状 況 からの 影 響 を 受 けやすいという 弱 点 がある 景 気 の 悪 化 や 治 安 の 悪 化 などの 様 々 な 問 題 により 業 界 は 大 きなダメージを 受 けることも 十 分 考 えられる 今 後 この 様 な 課 題 はその 時 になってみないと 予 測 することが 難 しい そのターゲットや 旅 行 場 所 など 時 代 の 経 済 や 政 治 状 況 に 合 った 旅 行 サービスの 提 供 をするために 時 代 の 動 向 を 敏 感 に 察 知 し 経 営 につなげていくことが 大 切 である 参 考 文 献 明 治 大 学 経 営 学 研 究 会 (2012) 経 営 学 の 扉 白 桃 書 房 高 橋 宏 幸 丹 沢 安 治 坂 野 友 昭 (2002) 現 代 経 営 入 門 有 斐 閣 澤 田 秀 雄 (1996) 旅 行 ビジネス という 名 の 冒 険 HIS はなぜ 成 長 したのか ダイ ヤモンド 社 参 考 URL http://www.stat.go.jp/data/topics/topi721.htm ( 総 務 省 統 計 局 2016 年 1 月 14 日 アクセ ス) http://www.his.co.jp/ (H.I.S.ホームページ 2016 年 1 月 14 日 アクセス) 6 http://www.stat.go.jp/data/topics/topi721.htm