技術者の観察力向上の必要性とその方法



Similar documents
<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

PowerPoint プレゼンテーション

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

Microsoft PowerPoint - 経営事項審査.ppt

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

「報・連・相」の方法

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

IAF ID x:2010 International Accreditation Forum, Inc. Page 2 of 8 国 際 認 定 機 関 フォーラム(IAF)は 適 合 性 評 価 サービスを 提 供 する 機 関 の 認 定 のためのプログラ ムを 運 営 している この 認 定

Microsoft Word - A6001A.doc

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

<4D F736F F D AC90D1955D92E CC82CC895E DD8C D2816A2E646F63>

●電力自由化推進法案

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

◆JREI固定インフォ No12◆◆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

< F2D A C5817A C495B6817A>

定款  変更

固定資産評価審査申出とは

景品の換金行為と「三店方式」について

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

2 県 公 立 高 校 の 合 格 者 は このように 決 まる (1) 選 抜 の 仕 組 み 選 抜 の 資 料 選 抜 の 資 料 は 主 に 下 記 の3つがあり 全 高 校 で 使 用 する 共 通 の ものと 高 校 ごとに 決 めるものとがあります 1 学 力 検 査 ( 国 語 数

< F2D8CF68D908A BA97AC89CD90EC8FF38BB592B28DB8>

職務発明等の申請に関する手続要領について(通達)

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

わない (1) そう 思 う (2)のそれぞれ3 段 階 で 回 答 をしてもらった その 結 果 を 次 節 で 数 値 に 換 算 している 4. 調 査 の 結 果 と 考 察 4.1 学 習 上 の 困 難 点 全 体 的 な 傾 向 表 1 漢 字 の 学 習 困 難 点 (

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

PowerPoint プレゼンテーション

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で


4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

<4D F736F F D208CF689768ED C8FE395FB978E8CEA8BA689EF814592E88ABC2E646F63>


4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

中根・金田台地区 平成23年度補償説明業務

一般競争入札について

<4D F736F F F696E74202D D382E982B382C68AF1958D8BE090A C98AD682B782E B83678C8B89CA81698CF6955C A2E >

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

1. 前 払 式 支 払 手 段 サーバ 型 の 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 利 用 者 保 護 等 発 行 者 があらかじめ 利 用 者 から 資 金 を 受 け 取 り 財 サービスを 受 ける 際 の 支 払 手 段 として 前 払 式 支 払 手 段 が 発 行 される 場 合

Microsoft Word - 通達(参考).doc

平成22年度

総合評価点算定基準(簡易型建築・電気・管工事)

Microsoft PowerPoint - エントリー04_結婚TextVoice

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

公表表紙

No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

Microsoft PowerPoint 神戸大学講義(前半)開示.ppt

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

第1章 簿記の一巡

2. 当 初 の 目 的 と 現 状 コア 会 議 の 役 割 目 的 現 状 分 析 マネジメント 会 議 の 運 営 や あり 方 問 題 取 り 組 みにつ いての 議 論 会 員 からの 意 見 の 吸 い 上 げ と 内 容 の 各 会 議 への 振 り 分 け 全 体 会 運 営 会 議

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

本 校 の 沿 革 昭 和 21 年 昭 和 49 年 昭 和 54 年 昭 和 60 年 平 成 9 年 平 成 11 年 平 成 18 年 北 海 道 庁 立 農 業 講 習 所 として 発 足 北 海 道 立 農 業 大 学 校 に 改 組 修 業 年 限 を1 年 制 から2 年 制 に 改



1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

様式(補助金)

任意整理について | 多重債務Q&A | 公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

主要生活道路について

回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

特 集 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 と 防 災 対 策 それぞれ 一 人 としてカウントされ) (3) 調 査 結 果 1 累 積 人 数 累 積 人 数 平 成 23 年 7 月 1 日 まで 10 月 1 日 まで 1 月 4 日 まで 3 月 31 日 まで 岩 手 県 14,99

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

鹿 児 島 厚 生 年 金 事 案 600 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 は 申 立 期 間 に 係 る 脱 退 手 当 金 を 受 給 していないものと 認 められるこ とから 申 立 期 間 に 係 る 脱 退 手 当 金 の 支 給 の 記 録 を 訂 正 することが 必 要 で

40 宮崎県

平成24年度 業務概況書

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

二 資本金の管理

<4D F736F F D F93878CA797708F4390B3816A819A95CA8B4C976C8EAE91E682538B4C8DDA97E12E646F6378>

1 年 女 子 保 健 体 育 生 徒 は 主 体 的 に 授 業 に 取 り 組 んでいる しかし 周 りが 動 かないと 動 けない 場 面 が 見 られる 体 育 係 が 声 掛 けをしているが 今 後 は 体 育 係 の 声 掛 けがなくても 動 けるようにしていく 運 動 が 苦 手 な

Transcription:

論 旨 技 術 者 の 観 察 力 向 上 の 必 要 性 とその 方 法 学 校 法 人 産 業 能 率 大 学 総 合 研 究 所 経 営 管 理 研 究 所 小 林 幸 平 このレポートは 事 実 情 報 を 見 て 状 況 を 正 しく 捉 える 能 力 を 向 上 させる 必 要 性 について 言 及 する 特 に 技 術 者 においてはそれを 不 得 手 とする 傾 向 があるが その 要 因 そして 克 服 するための 着 眼 点 につ いて 述 べる はじめに 高 度 化 複 雑 化 の 一 途 を 辿 る 現 代 において 思 うように 成 果 を 出 せていない 企 業 も 少 なくない 限 られた 人 員 で 最 大 の 成 果 を 出 すことを 求 められるが 簡 単 ではない 仕 事 は 問 題 解 決 の 連 続 であり 現 代 ではその 問 題 も 複 雑 化 高 度 化 している 複 雑 な 問 題 の 抜 本 解 決 を 望 むときには 表 面 的 な 現 象 のみにとらわれていてはならない 問 題 解 決 は まずは 状 況 を 正 し く 捉 えて 問 題 の 本 質 を 見 極 め その 本 質 にきちんと 手 を 打 っていく 必 要 がある その 際 に 必 要 になる のが 状 況 を 正 しく 捉 える 力 すなわち 観 察 力 である <キーワード> バイアス 認 知 の 偏 り 固 定 観 念 思 い 込 みのことを 指 す 認 知 心 理 学 や 社 会 心 理 学 の 分 野 において 原 因 帰 属 や 推 論 の 誤 りを 引 き 起 こす 存 在 としてさまざまなものが 紹 介 されている 認 知 バイアスと 呼 ばれる こともある 1.ビジネスパーソンにとって 不 可 欠 な 観 察 力 観 察 という 言 葉 を 辞 書 で 調 べると 物 事 の 様 相 をありのままに 詳 しく 見 極 め そこにある 種 々 の 事 情 を 知 ること ( 大 辞 林 )とある このレポートにて 使 用 している 観 察 という 言 葉 も 概 ね 前 述 の 辞 書 どおりの 意 味 で 使 用 している つまり 観 察 力 とは 事 実 情 報 としての 状 況 を 正 しく 捉 え き ちんと 状 況 を 把 握 する 能 力 のことである 上 記 は 一 見 簡 単 なように 思 えるが たやすいことではない 状 況 を 捉 える 際 にモレが 生 じていたり 状 況 把 握 が 表 層 的 であったりすることが 少 なくない 問 題 解 決 をしていくための 第 一 歩 として まず は 問 題 状 況 を 正 しく 捉 えることができないと 手 の 打 ち 所 を 誤 ってしまい 当 然 ながら 問 題 解 決 に 至 らない 2. 状 況 の 観 察 をうまくできない 技 術 者 観 察 力 は ビジネスパーソンである 以 上 必 ず 必 要 となる 能 力 である しかしながらとりわけ 技 術 者 において 観 察 がうまくできていない 傾 向 を 感 じる それは 技 術 者 が 置 かれている 環 境 や 業 務 特 性 に 起 因 する 部 分 が 大 きく 下 記 の2つの 原 因 が 考 えられる 1 比 較 的 狭 い 領 域 を 深 く 掘 り 下 げるタイプの 仕 事 である 2 開 発 のスピードを 求 められ 短 期 的 な 成 果 を 問 われるようになってきた 1 比 較 的 狭 い 領 域 を 深 く 掘 り 下 げるタイプの 仕 事 である これは 悪 いことでも 何 でもなく 専 門 領 域 を 極 める 技 術 者 として 当 然 のことである しかしながら この 業 務 特 性 が 災 いすることが 少 なくない というのも かつてはひとつの 専 門 領 域 だけで 完 結 する ような 製 品 が 多 くあったが 現 状 はひとつの 技 術 領 域 だけで 完 結 する 製 品 やシステムは 少 なく 複 数 の 技 術 領 域 にまたがってアウトプットが 仕 上 がることの 方 が 多 い 例 えば 自 動 車 を 取 り 上 げてみ ても 一 目 瞭 然 である 自 動 車 はかつて 機 械 工 学 の 技 術 領 域 の 独 壇 場 であった しかし 時 代 と 共 に 徐 々 1

に 電 気 的 な 制 御 をする 領 域 が 増 えたため 電 気 工 学 の 占 めるウエイトが 高 くなり 現 代 ではハードウェ アがどんどんソフトウェアに 置 き 換 わり 情 報 工 学 の 領 域 の 構 成 要 素 もかなり 多 い 何 かひとつの 専 門 家 だからといって 全 てを 網 羅 するのは 難 しい 時 代 になってきているのである そのような 状 況 の 中 で 何 か 問 題 が 発 生 したときには 技 術 者 は 自 分 の 専 門 領 域 の 中 で 解 決 策 を 模 索 することが 多 い 自 分 がよく 知 っている 領 域 であるため 当 然 である しかし 別 の 見 方 をすれば 知 らず 知 らずのうちに 自 分 の 専 門 領 域 のみに 固 執 してしまう 傾 向 にあるとも 言 える しかし 表 面 的 には 自 分 の 領 域 の 問 題 に 見 えても 根 本 的 なところは 別 の 領 域 に 起 因 しているとい うことも しばしばある 複 雑 に 多 くの 領 域 が 絡 み 合 っていることにより 最 善 の 解 決 策 がいつも 自 分 の 領 域 にあるとは 限 らないのである 積 極 的 に 他 の 専 門 領 域 に 問 題 の 本 質 はないかと 見 方 を 変 えてみる 必 要 がある それに 加 え 技 術 者 は 自 分 の 専 門 領 域 に 興 味 がある のである 逆 に 言 うと それ 以 外 の 領 域 に は 全 く 興 味 を 示 さない 人 も 多 い 人 間 興 味 がない 情 報 には 気 がつかず キャッチできない 上 記 を 説 明 するのに シフリンとアトキンソンが 提 唱 した 情 報 処 理 論 に 基 づく 記 憶 と 理 解 のメカ ニズムのモデルで 考 えると 分 かりやすい 情 報 処 理 論 に 基 づく 記 憶 と 理 解 のメカニズム 環 効 果 反 応 生 成 制 御 機 能 境 受 容 感 覚 登 録 作 業 記 憶 長 期 記 憶 (Atkinson,R.C. & Shiffrin,R.M. 1968) 我 々は 情 報 を 受 容 と 呼 ばれる 目 や 耳 などの 五 感 を 使 ってインプットする 感 覚 登 録 は 我 々の 頭 の 中 にあり インプットされた 情 報 を 感 覚 記 憶 として 蓄 える そして 作 業 記 憶 と 呼 ばれる 短 期 記 憶 の 領 域 に 送 られるのだが ここが 厄 介 なのである 感 覚 登 録 から 作 業 記 憶 に 送 られる 情 報 は 我 々 が 注 意 を 向 けたものだけに 限 られてしまうのである インプットされた 情 報 を 全 て 作 業 記 憶 に 送 って しまうと 情 報 が 多 すぎてパンクしてしまうからである 例 えば 車 の 運 転 をしていることを 想 像 し てみてほしい 周 りの 景 色 はたくさん 視 界 に 入 ってきているはずであるが 全 てを 認 知 しているわけ ではない しかしながら 信 号 が 変 わった という 情 報 や 子 供 が 飛 び 出 してきた などという 情 報 には 瞬 時 に 気 がつき ブレーキを 踏 むといった 行 動 を 起 こすことができる 車 の 運 転 時 には 無 意 識 のうちに 安 全 に 関 わる 情 報 が 作 業 記 憶 に 取 り 込 まれ それ 以 外 の 情 報 はフィルターにかけられて しまうのである そのような 機 能 がないと 情 報 過 多 に 陥 り 瞬 時 にブレーキを 踏 むといった 行 動 が できなくなるのである これは 人 間 にとって 必 要 不 可 欠 な 機 能 ではあるが 逆 に 弊 害 として 働 いてしまうことも 多 い 裏 を 返 せば 注 意 を 向 けていない 情 報 ( 興 味 のない 情 報 )はフィルターにかけ 入 ってくるのを 遮 断 して 2

しまう ということを 如 実 に 物 語 っている とかく 技 術 者 は 自 分 の 専 門 領 域 のみに 興 味 を 示 し それ 以 外 の 領 域 には 無 関 心 ということが 少 な くない そのように 考 えると キャッチできていれば 問 題 解 決 に 近 づけているような 情 報 も 注 意 を 向 けないがために 見 落 としてしまい 問 題 解 決 が 遠 ざかってしまっているような 状 況 もあるのではな いだろうか 2 開 発 のスピードを 求 められ 短 期 的 な 成 果 を 問 われるようになってきた 競 争 の 激 しい 現 代 においては どの 企 業 も 陥 ってしまっているのではないだろうか 競 合 他 社 との 競 争 に 打 ち 勝 ち 生 き 残 るためには 少 ない 資 源 で 最 大 の 成 果 を 出 さなければならない コモディティ 化 してしまっている 製 品 も 多 く 本 来 ならばイノベーションを 起 こすような 製 品 の 開 発 に じっくり 時 間 をかけて 取 り 組 むべきなのかもしれない しかしながら 現 状 は 目 の 前 のコストダウンに 追 われ てしまっている 技 術 者 が 多 いという 話 も 耳 にする そのような 環 境 が 技 術 者 を 近 視 眼 的 にしてしまい 表 面 的 な 現 象 への 対 処 しかできない 状 況 をつくり 出 してしまっているのではないだろうか (コラム こんなとき どうする? の 項 )で 示 した 高 層 ホテルのエレベータ の 事 例 などが 最 たるものである 特 に 技 術 者 は エレベータの 周 辺 にまで 視 野 を 拡 大 させることができない 傾 向 に ある エレベータが 遅 い と 言 われるので 速 くするためにエレベータをどうするか や 待 ち 時 間 を 短 くするためにエレベータをどうするか といった 着 眼 に 終 始 してしまう しかしこれでは で きることに 限 界 がある もっと 大 局 を 捉 え 対 策 の 打 ち 所 を 探 る 観 察 力 が 必 要 なのである 3.うまく 観 察 するための 方 法 では 技 術 者 にうまく 観 察 し 状 況 をきちんと 捉 えてもらうためにはどうしたらよいのだろうか 下 記 に 着 眼 ポイントを3つ 挙 げる 1 バイアスに 関 する 知 見 を 深 める 2 視 点 視 野 視 座 を 変 えて 捉 える 3 目 的 をきちんと 捉 える 1 バイアスに 関 する 知 見 を 深 める バイアスとは 認 知 の 偏 り 固 定 観 念 のことである 無 意 識 のうちに 枠 組 みを 決 めてしまったり フィルターにかけてしまったり 思 い 込 みをしてしまったりするものである 特 に 技 術 者 は この 手 の 知 見 に 乏 しい 学 生 時 代 に 授 業 で 学 んだことなどもなく 自 己 啓 発 も 興 味 がない ためにこの 領 域 に 手 をつけないことが 多 い 我 々の 認 知 を 偏 らせてしまうバイアスには さまざまなものがあるが ひとつご 紹 介 する 問 題 の 原 因 分 析 をする 際 に 陥 りやすいのが 自 己 高 揚 バイアスと 自 己 防 衛 バイアスである 自 己 高 揚 バイアス: 自 分 にとって 好 ましいことはその 原 因 を 内 的 に 帰 属 する 自 己 防 衛 バイアス: 自 分 にとって 好 ましくないことはその 原 因 を 外 的 に 帰 属 する 要 するに 都 合 の 良 いことは 自 分 の 手 柄 都 合 の 悪 いことは 他 人 のせいにしやすいということであ る 一 見 すると 疑 わしく 思 えるが 実 は 頻 繁 に 目 にする 問 題 の 原 因 を 分 析 する 際 に 顕 著 に 見 られる のである 問 題 というものは ネガティブな 事 柄 ( 好 ましくないこと)である そのため 原 因 とし て 自 分 以 外 の 周 囲 に 関 するものが 多 く 出 てきやすいのである 例 えば 筆 者 が 担 当 していたある 研 修 で 受 講 者 が 若 手 がなかなか 育 たない という 問 題 を 取 り 上 げ その 原 因 を 分 析 していた 研 修 を 受 けられる 機 会 が 少 ない 評 価 システムが 機 能 していない そもそも 若 手 にやる 気 が 感 じられな い 等 々 自 分 以 外 に 原 因 を 帰 属 させる 傾 向 にあった しかしながら このバイアスというものは 気 がつけば 打 ち 破 れるものである 講 師 から 自 己 防 衛 バイアスにとらわれてしまっていませんか? 3

と 示 唆 したところ 彼 らは 自 分 は 質 問 に 来 やすい 雰 囲 気 をつくってあげられていただろうか? 自 分 の 教 えるスキルは 十 分 だろうか? と 考 え 始 めたのである バイアスは 多 かれ 少 なかれ 我 々に 備 わってしまっているものである 認 知 心 理 学 の 領 域 でさまざ まなものが 提 唱 されているので それらの 理 解 を 深 め 留 意 する 必 要 がある 2 視 点 視 野 視 座 を 変 えて 捉 える 多 面 的 に 物 事 を 捉 える 際 拠 り 所 となるのが 視 点 視 野 視 座 の 観 点 である 下 記 にそれぞれの 意 味 を 挙 げておく 視 点 :ものごとや 事 象 を 見 る 際 の 着 眼 点 視 野 :ものごとや 事 象 を 見 る 際 の 範 囲 視 座 :ものごとや 事 象 を 見 る 際 の 立 場 視 点 については 逆 の 方 向 から 見 たり 言 葉 の 意 味 や 定 義 に 着 目 したりしてみるなどの 観 点 で ある 視 野 については 物 理 的 な 範 囲 に 加 え 時 間 的 な 範 囲 も 含 めて 考 えるというものである 短 期 的 に 見 たらどのように 捉 えられるか 長 期 的 に 見 たらどのように 捉 えられるかなどを 考 えてみる 切 り 口 である 視 座 については 立 場 を 変 えて 物 事 を 見 てみようという 観 点 である 自 分 の 立 場 のほか 一 緒 に 仕 事 をしている 他 部 門 の 立 場 に 立 ってみたり 会 社 の 立 場 に 立 ってみたり あるいは 顧 客 の 立 場 に 立 ってみたりすると いろいろな 角 度 から 多 面 的 に 捉 えやすい このように 多 様 な 視 点 視 野 視 座 から 物 事 を 捉 えてみると ひとつの 事 象 でもいろいろな 捉 え 方 があることに 気 づくことができる 単 に いろんな 角 度 から 物 事 を 見 なさい を 言 われてもなかなか たやすくできるものではない いろいろな 角 度 から 事 象 を 捉 えるためのひとつのフレームワークであ る 3 目 的 をきちんと 捉 える 目 の 前 の 業 務 に 追 われると これが 疎 かになってしまいやすい しかしながら 目 的 をきちんと 捉 えられていないと 抜 本 的 な 問 題 解 決 は 難 しくなり ピント 外 れになってしまう 前 述 の 高 層 ホテルのエレベータ のケースも この 観 点 で 考 えてみると 整 理 しやすい お 客 様 からのクレームをなくす お 客 様 をイライラさせない お 客 様 を 手 持 ち 無 沙 汰 にさせない エレベータの 待 ち 時 間 を 短 くしたい エレベータを 速 くしたい 上 記 のように 整 理 すると どこに 手 を 打 ってもいいのだが 最 初 に 思 いつきやすいのは 下 位 のレベ ルのものである すなわち 要 求 されたことそのもの である このように 目 的 - 手 段 の 関 係 で 状 況 を 整 理 すると 思 いつきやすい 対 策 案 がいかに 表 層 的 であるかというのが 分 かる 目 的 をきちんと 捉 えると 待 ち 時 間 が 同 じでも 手 持 ち 無 沙 汰 にさせない 方 法 はないか? という 方 向 性 の 解 決 策 も 考 えやすくなるのである 4.おわりに アウトプットを 産 み 出 し 続 けなければならない 企 業 にとって 技 術 者 は 大 きな 財 産 である しかし ながら その 財 産 である 技 術 者 が 能 力 を 発 揮 し 切 れていない 状 況 はないだろうか 少 しコツを 掴 む 4

だけで スムーズに 業 務 が 流 れるようになることも 少 なくない 彼 らの 持 てる 能 力 を 発 揮 してもらう ために なぜうまく 観 察 ができないのか に 気 づかせてあげ うまく 観 察 するための 方 法 を 提 供 してあげてほしい 参 考 文 献 1) 認 知 心 理 学 概 論 高 野 陽 太 郎 波 多 野 誼 余 夫 2) 認 知 心 理 学 4 思 考 市 川 伸 一 編 3) クリティカルシンキング 入 門 編 E.B.ゼックミスタ J.E.ジョンソン 著 C2015 SANNO Institute of Management K.Kobayashi 5