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重回帰分析による高校生のエネルギーおよび栄養素摂取量と食品群別摂取量との関係

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2014年 希望小売価格表 クボタ

233 第四回日露協約と英米協調路線の再考 石井菊次郎を中心に

別子銅山の産業遺産 東平 ( 新居浜市 ) 2017/ 9 Guarantee Information Column 地域の魅力発信 お知らせ平成 29 年 6 月 7 日から 7 月 27 日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定について経営安定関

₂.₁ アンケート調査の目的広島県耐震改修促進計画の策定にあたり, 県内の住宅や特定建築物の所有者等の耐震診断 耐震改修に関する意識を調査し, 耐震化を促進する上で必要となる事項, 障害となる事項を抽出するために, アンケートによるサンプル調査を実施した ₂.₂ 調査対象 1 昭和 ₅₆ 年以前に建

問 題 1 ₁ ₃ ₅ ₂ ₄ ₆ 問 題 2 ₁ ₂ ₃ 問 題 3 ₁ ₂ ₃ ₄ ₅ 2 2

石鎚山 ( 西条市 ) 2019/ 1 Guarantee Information Column いろいろ日本百選 お知らせ 超長期借換保証 スーパーランディング 20 を創設しました 愛媛銀行女性行員との第 2 回合同研修会を開催しました伊予銀行法人融資アカデミーで講義を行いました愛媛大学ビジネス

する指導の手引き でも高校生への食育については具体的にふれられていない. 高校進学率 ₉₈.₄%( 平成 ₂₅ 年度学校基本調査 ) である高校生は, 社会に巣立つ前に, 学校教育で一斉に健康に対する自己管理能力を養うことができる最後の機会である. 健康日本 ₂₁( 第二次 ) がめざす次世代の健康

仲下 中村 木山 北村 影響を及ぼす要因について検討することを目的とした. 減量成功に影響を及ぼす促進および阻害要因を明らかにすることは, 特定保健指導を効果的に実施するうえで有用と考えた. Ⅱ 方法 1. 研究デザインと対象本研究は縦断的研究デザインを用いた.₂₀₀₈ 年 ₄ 月から₂₀₀₉ 年

2016/ 4 Contents Guarantee Information 平 成 28 年 度 組 織 体 制 のご 案 内 050ダイヤルイン 番 号 表 変 更 のご 案 内 お 知 らせ 条 件 変 更 改 善 型 借 換 保 証 の 創 設 について 愛 媛 県 中 小 企 業 振 興

放射線防護用設備・機器ガイド_2014/15年版(設備・機器資料_放射線管理用品)

標準範囲のBMI でHbA1c 高値の若年女性の生活習慣病リスクに関する検討

図 ₁ 試験体 図 ₂ 試験体の接合金物 図 ₃ 鋼製金物詳細 表 ₁ 試験体名と形態 斜材 ( 段組数 ( 段 ) 設置形態 B₄₀-₃D ₄₀ ₁₀₅ ₃ 対角止め B₄₀-₃C₁ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₃C₂ ₄₀ ₁₀₅ ₃ 中央止め B₄₀-₁D ₄₀ ₁₀₅ ₁ 対角止め

₁₀) 表 1. 穀類 100 あたりの栄養成分 エネルギー kcal タンパク質 脂質 炭水化物 カリウム m 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 大麦押麦 ₃₄₀ ₆.₂ ₁.₃ ₇₇.₈ ₁₇₀ ₆.₀ ₃.₆ 大麦米粒麦 ₃₄₀ ₇.₀ ₂.₁ ₇₆.₂ ₁₇₀ ₆.₀ ₂.₇ 小麦 ₃₃₇ ₁

山西央朗 山田裕也 清水斉 層 ₈ ₇ ₆ ₅ ₄ ₃ ₂ ₁ 表 ₁ 部材リスト 柱 梁 C₁, C₂ C₃ G₁ G₂ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₉ ₁₂ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₉ -₄₀₀ ₄₀₀ ₁₆ H-₄₅₀ ₂₅₀ ₉ ₁₆ H-₄₀₀ ₂₀₀ ₁₂ ₂₂ -₄₀

₁₈ ₂ RI フード ( オークリッジ型 ) ₁₃₀ 万円 ( 本体 )~ ₁.₅ ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ 核医学施設向けセフティキャビネット SCシリーズ 別途打合 ₁.₅ヵ月 千代田テクノル ₁₈ ₂ フード ( オークリッジ型 ) NSO ₁₂₀₀ ₁₅₀₀ ₁₈₀₀ ₁₁₈ ₁₃₂

上 野 山 崎 石 川 の 理 解 ₆,₁₃) や 医 療 従 事 者 との 良 好 な 関 係 ₁₄,₁₅), 治 療 への 参 加 意 識 ₃), 治 療 への 同 意 ₃) や 納 得 ₁₆), 疾 患 に 対 するリスクや 薬 の 必 要 性 についての 知 識 を 得 て いること ₃,₁

2016/ 5 Contents Guarantee Information 平 成 27 年 度 事 業 実 績 お 知 らせ 融 資 保 証 制 度 一 覧 ( 保 証 月 報 4 月 号 )のお 詫 びと 訂 正 経 営 安 定 関 連 4 号 に 規 定 する 災 害 及 び 地 域 の 指

す, 搗く, 焼く, 茹でるの ₄ 種類に分けられ, ソルギトックは蒸して作る餅の基本であり米粉に水, 砂糖, 蜂蜜などを加えふるいにかけ, 型に入れてから蒸した餅である ₁₀)₁₁). 本研究では本来うるち米粉を蒸して作るソルギトックにもち米粉を加え, もち米で作った粘りのある餅を食べてきた日本人

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石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 を 明 らかにし 理 解 することが 必 要 である ₁₀,₁₁).リ スク 認 知 とは,リスクに 対 する 主 観 的 なイメージ であり, 認 知 心 理 学 より 発 達 し 研 究 されてきた. 一 般 の 人 々と 専 門 家 でリスク 認 知 が 違 う

石巻地域 COPD ネットワーク (ICON) における教育効果と増悪の関係 表 1 ICON 基幹病院パス ( 初回治療導入 逆紹介 ) 1 呼吸器内科外来 2 看護外来 3 ICON 外来 (2 から ₁₄ 日後 ) 4 ICON 外来 (3 から ₁₄ 日後 ) 呼吸器内科外来受診 ( 通常の

放射線管理用品 ₂₄ ₁ 多機能除染用ワイパー別途見積 ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ RI 実験衣 ₀.₄₅ 万円 ( 税抜 ) ₁₀ 日 アトックス ₂₄ ₁ 放射線管理区域標識別途見積別途打合医建エンジニアリング ₂₄ ₁ LED 表示灯 ( 使用中表示灯 ) 別途見積別途打合医建エンジニアリ

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2016/ 9 Contents Guarantee Information お知らせ経営安定関連保証制度 1 号に規定する 事業者 の指定について 創業者向けリーフレットを作成しました 事業成長支援保証 ( まるサポ 2000) をご活用ください 協会職員紹介 ❺ 新居浜支所 管理課 Q&A よく

刻な児童虐待であり, その防止が行政の最優先課題であることは異論がないであろう 児童虐待死亡ケースは, 家庭内で起きる 親による子殺し であるが, 日本における 殺人事件全体, 殺人事件の半数は家族親族の児童虐待, 100 間で起きる

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2 長田尚子 板橋衛 活用しつつ自給率の低い転作作物等の需要に応じた生産拡大が図られた.2010 年に戸別所得補償モデル対策が開始され, 米の 生産数量目標 に即した生産を行った販売農家 ( 集落営農を含む ) に対して所得補償を行い, 今後の戸別所得補償制度で米以外の多くの品目を広く組み込む方向を

ウォーキングに 対 する 恩 恵 認 知 尺 度 の 開 発 身 体 活 動 運 動 と 関 連 性 のある 恩 恵 を 同 定 するこ とが 重 要 である. 日 常 活 動 に 多 く 含 まれるウォーキングは, 最 も 基 本 的 な 身 体 活 動 であり ₈,₉),₆₀ 歳 代 においても

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Vol. No. 校教育修了後の日常生活における, 手芸 裁縫活動の嗜好意識や実践度, 技能の習得状況等の調査を行い, 手芸 裁縫活動に対する意識と実態を明らかにすることを目的とした. それによって, 日常生活における ものづくり の意義や今日の手芸 裁縫活動及びそれらの技能の習得の意義について再考


Fire Department - - 広 報 ざ. 広 報 ざ. 室 定 先 着 順 講 無 期 間 氺 署 講 事 項 乙 訓 組 署 救 係 乙 訓 組 救 救 昼 間 初 式 優 良 体 育 館 初 式 式 典 頃 火 災 献 身 的 努 貢 献 優 良 次 敬 称 略 京 都 府 協 会

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2018,30,41-51 資料 におけるダイエット とメディアの を とした より 1 めぐみ 2 3 Dieting behaviors and the media influence in females: A cross-sectional study with female student

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2017 年第 26 巻第 3 号 慢性呼吸器疾患における Physical Activity Scale for the Elderly を用いた身体活動量評価の有用性に関する検証 甲南女子大学看護リハビリテーション学部 ₁), 国家公務員

観 測 点 名 称 住 所 表 ₁ 防 災 科 学 研 究 所 強 震 ネットの 実 地 震 記 録 波 から 求 めた 計 測 震 度 計 測 震 度 震 度 階 ₃ 合 成 最 大 加 速 度 継 続 時 間 地 動 最 大 加 速 度 地 動 最 大 速 度 地 動 最 大 変 位 gal s


目 次 ページ 1. 事業報告書 1 2. 収支計算書 6 3. 事業別収支計算書 8 4. 貸借対照表 財産目録 正味財産増減計算書 正味財産減少理由書 監査報告書 14

338 西博行 生中雅也 西村良夫 H Br F 図 ₁ ラニレスタットの構造式 のエナンチオマー評価法の開発研究を行っている 本論文では, ラニレスタットの光学活性中間体につき, キラル HPLC を用いた評価法の検討を行った結果について報告する なお, ラニレスタットは, 糖尿病合併症薬として臨

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指定演題 1 D 2 経頭蓋直流電気刺激による歩行 認知課題の機能向上効果 篠田亮平 1) 松浦晃宏 1) 石川衛 1) 苅田哲也 1) 森大志 2) key word: 二重課題 経頭蓋直流電気刺激 歩行 1) 大山リハビリテーション病院 2) 県立広島大学 目的 歩きながら話をするなど 動作の遂

世界のナマズ食文化とその歴史

ⅠⅠ 1 Ⅰ Ⅰ 2 Ⅰ 3 Ⅰ Ⅰ Ⅰ 4 Ⅰ 4 Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅲ 1 791

入 門 都 市 計 画 サンプルページ この 本 の 定 価 判 型 などは, 以 下 の URL からご 覧 いただけます. このサンプルページの 内 容 は, 初 版 1 刷 発 行 時 のものです.


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広島工業大学紀要教育編第 ₁₅ 巻 (₂₀₁₆)1 10 論文 同期型 CSCL を使った国際協調的外国語学習の実践 ツールの違いにおける社会的存在感と満足度との関係性 安部由美子 * 益子行弘 ** ( 平成 ₂₇ 年 ₁₀ 月 ₂₇ 日受付 ) International Collaborati

2016 Vol.65 No.2 p < 資料 > 母体要因, 出生要因, 分娩様式と児の公衆衛生学的健康障害リスクとの関連についての研究 : 養育医療給付児での検討 高橋篤 ₁,2 ), 原澤和代 ₁ ), 原田明菜 ₁ ), 伊藤里加 ₁ ), 高橋雪子 ₁ ), 勅使河原洋子

佐見 植田 結びつくと考えられている ₅). 畑は, その疾病をいかに深刻なものととらえていたとしても, 罹患の可能性がないと考えている場合には, その疾病への恐れは存在しないことになり, 結果としていかなる予防行動も起こりえないとしている. また, この 重大性 の自覚と 罹患性 の自覚の ₂ つ

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56 56 The Development of Preschool Children s Views About Conflict Resolution With Peers : Diversity of changes from five-year-olds to six-year-olds Y

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32, 15, 3 EUS TIC 1 db,eus EG SR EUS 60, 27, 24 EUS EG SR 0. 11, , EUS EUS EG ₂₆ ₆ 1, 2, 1, 1, 3, 2, 4, 1 1, 2, 3, 4 FibroScan,

広島工業大学紀要教育編第 ₁₂ 巻 (₂₀₁₃)21 27 論文 CIEDE2000 色差式を用いたディジタルシネマ画像の所要ビット長の評価 古川功 * 鈴木純司 ** Evaluation of Required Bit Depth for Digital Cinema using CIEDE20

幼児における数字の読みと書きの発達 古池若葉 ( 児童学科准教授 ) はじめに書字, 描画, 数字などの表記活動の発達については,1990 年代以降, それぞれ他のシンボル表記体系と広く関連づけられながら研究されるようになってきた ( 例えば,Tolchinsky, 2003) 山形 (2009)

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美作大学 美作大学短期大学部紀要 2011, Vol ~ 14 論 文 GABA(γ- アミノ酪酸 ) の味覚への関与について ~ 酸味と塩味への関与 ~ Involvement of GABA in taste sensation : interaction with acid ta

横浜市立大学論叢人文科学系列 2018 年度 :Vol.70 No.1 幼児における罪悪感表出の理解の発達 謝罪の種類は排除判断に影響するのか? 長谷川真里 問題と目的罪悪感や誇りなどの道徳感情 (moral emotion) は 人々が道徳的に行動し 道徳的逸脱行動を避けるよう動機づけるものである

( 建築設備 ) 1 最も不適当な 2 最も不適当な 3 最も不適当な

2 251 Barrera, 1986; Barrera, e.g., Gottlieb, 1985 Wethington & Kessler 1986 r Cohen & Wills,

注意事項 法令等略記凡例

高齢者福祉施設入所者の食事摂取状況と排便習慣に対する乳酸菌含有飲料の影響

高流量鼻カニュラ酸素療法 ( ネーザルハイフロー ) 図 1 HFNC による換気パターンの変化 2) 健常人,COPD 患者,IPF 患者それぞれ ₁₂ 人の HFNC 前後の変化 量の増大が見られたが, 健常者では減少した. 全ての群で呼吸数と分時換気量は減少し,COPD と IPF 患者では毛

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2016 年第 26 巻第 1 号 気管支喘息患者に対する看護師による吸入指導の効果 医療法人康曜会プラーナクリニック看護科 ₁), 医療法人康曜会プラーナクリニック呼吸器内科 ₂), 群馬大学医 ₃) 学部附属病院呼吸器 アレルギー内科 中

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2015 年第 25 巻第 3 号 慢性閉塞性肺疾患患者における低酸素血症が高次脳機能と脳血流反応に及ぼす影響の検討 近畿大学医学部附属病院リハビリテーション部 ₁), 聖隷クリストファー大学リハビリテーション科学研究科理学療法開発学領域 ₂

風間慶祐, 他 ながら,LACの安全性や忍容性の検討は, これまで主に ₇₅ 歳以下もしくは₈₀ 歳以下を対象に検討が行われてきた. 一方で, 加齢により ADLの低下が見られ有訴率は上昇し ₅), 全身臓器機能低下が予想され, 一般に術後合併症のリスクは増加すると言われている ₆). このため ₈

研究組織 研究代表者西山哲成 日本体育大学身体動作学研究室 共同研究者野村一路 日本体育大学レクリエーション学研究室 菅伸江 日本体育大学レクリエーション学研究室 佐藤孝之 日本体育大学身体動作学研究室 大石健二 日本体育大学大学院後期博士課程院生

pp Dimensional Change Card Sort ****** ** Zelazo, P. D., Carter, A., Reznick, J. S. & Frye, D Zelaz

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日本家政学会誌 Vol. ₆₆ No. ₅ 197~212(₂₀₁₅) 報文 近現代における 着物 の表記法とその意味の変遷 1874 年 ~1980 年の新聞記事を中心に 森理恵 ₁* Changes in the Term Kimono in 1870 s 1970 s Japan Rie MO

理科教育学研究

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下里侑子, 他 写真 ₁ 胸痛自覚時の胸部 X 線右胸水を認めた. 写真 ₂ a を開始された. 移植 ₉ 年後より拘束性換気障害 (%VC ₄₁% FEV₁.₀ % ₁₁₆%) を認めたが, 慢性咳嗽の増悪はなく,SpO ₂は大気下で₉₈% と保たれ Activity of daily life

放射線 ( 能 ) 測定システム ₁₁ ₁ 簡易型ホールボディカウンタ AT₁₃₁₆ 別途見積別途問合 ₁₁ ₁* ベッド式ホールボディカウンタ ACCUSCAN 別途見積別途問合 アドフューテックベラルーシ ATOMTEX 社 アドフューテックキャンベラジャパン 米国キャンベラ社 ₁₁ ₁* 立式

論文内容の要旨

だしに学ぶ

ネーザルハイフロー療法の適応と限界 図 1 左 : フィッシャーアンドパイケル社システム ( 出典 : 社内資料 ) 右 : パシフィックメディコ社システム ( 出典 : 社内資料 ) と酸素濃度計が付属している. ブレンダーには酸素配管と圧縮空気配管からのガスを混合させるものと, 酸素配管からの酸

革新の高効率へシフトする NEW プロフロー シリーズ シフト 新設計のコントロールスプールが生み出す異次元のエアーセーブ能力 圧倒的な省エネ性能 ( 他社比で -60% のエアー消費量の削減 ) 全く新しいエアー切替システムによる効率革命 2

先端社会研究所紀要 第12号☆/1.巻頭言

はじめに慶應義塾では, 海外で教育を受けた受験生の学歴背景を尊重し, 能力 適性等を多面的に評価することで, 広く多様性のある優秀な入学者受入れをすべく,₁₉₇₉ 年 ₄ 月より帰国生入試を実施しています この 募集要項 には, 入学試験の概要と, 出願準備から入学手続までのすべての事項を時間の流れ

在宅酸素療法と地域医療 ( ガスメディキーナ 2013 ガスレビュー社を改変 ) 準備期普及定着期円熟期 安定期 定常期 黎明期 介護保険制度 Ⅰ 期 Ⅱ 期 Ⅲ 期 Ⅳ 期 内科 -100 年のあゆみ ( 呼吸器 ) 三嶋理晃木村健太郎内科学学会雑誌第 91 巻第 6 号 -(33~36) 大阪府

スポーツ教育学研究(2013. Vol.33, No1, pp.1-13)

高糖生地に適した酵母の発酵特性

田中武 栗栖慎也 甲斐健 山崎勇 織田浩二 﨑将智 植月唯夫 に対する評価基準が異なっても良いと考えられる ₂ ) 体育館のスポーツ照明として,LED 光源を用い, ₁ ) 照明用光源の LED 素子単体が見えない状態にする ₂ ) 実際の直下照度を低下させない ことで, 体育館内の照度分布の達成,

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

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教育心理学研究,₂₀₂₀,₆₈,23-32 23 幼児における絵の表現調整の発達 他者とのミスコミュニケーション場面での検討 山田真世 * 子どもたちは幼児期早期から絵を描き始め, 絵が自身のイメージや経験といった何らかの指示対象を示すこと, そして, 絵が他者へ情報を伝達することを理解していく 本研究では, 子ども自身が描いた絵に対して直接的なミスコミュニケーション場面を設定し, 子どもの描く絵の表現変化とその変化に影響を及ぼす要因を検討することで, 幼児期における絵の情報伝達機能の理解を明らかにすることを目的とした ₃ 歳クラスから ₅ 歳クラスの幼児に, ある対象を描くことを求めた ( 第 ₁ 描画 ) その後, 絵を描くところを見ていない調査者が何を描いたのか尋ね, 参加児の絵への意味づけに同意する状況 ( 一致条件 ) と参加児の意味づけ以外の見え方があることを指摘する状況 ( 不一致条件 ) を設定した やりとりの後に, 参加児は第 ₁ 描画で描いた対象を再び描いた ( 第 ₂ 描画 ) 結果, 不一致条件の第 ₂ 描画において, 対象についてのより詳細な情報を描き込む表現調整が生じていた 表現調整に対して, 他者と自己の心的状態の理解との関連を検討したところ, 他者信念の理解と表現調整の成績間に関連が見られた キーワード : 描画, コミュニケーション, 他者の心の理解, 幼児 問題幼児期早期より, 子どもは身体と画材を使って点や線を描き出す 子どもは運動動作や軌跡への興味から徐々にそこに何かを表わすことに楽しみを見出し (Gardner, ₁₉₈₀ 星訳 ₁₉₉₆; Kellogg, ₁₉₆₉ 深田訳 ₁₉₉₈; Lowenfeld, ₁₉₅₇ 竹内 堀内 武井訳 ₁₉₆₃; Luquet, ₁₉₂₇ 須賀監訳 ₁₉₇₉), 絵が言語などのシンボルと同様に, 自身のイメージや経験といった何らかの指示対象を示すことを理解していく しかしながら, 絵はその場にはないものをそこに示す指示機能だけではなく, 他者へ物事を伝達する機能を持つ 特に幼児期早期の描画は, 人格やその個別性の表現であると同時に, 自分自身や他者と交わすコミュニケーションであると指摘されている (Wallon, Cambier, & Engelhart, ₁₉₉₀ 加藤 日下訳 ₁₉₉₅) よって, 幼児期の描画発達を検討するためには, 他者とのコミュニケーションを踏まえて, 子どもがどのように描画を理解し, 使用するのかを検討することが必要とされている これまで描画を通したコミュニケーション場面を実験的に検討してきた先行研究から, おおよそ ₃ 歳代より, 子どもは自分自身で行う描画において, あらかじめ何かを描くことを志向し, 描画を行うことが明らかになっている (Bloom & Markson, ₁₉₉₈; 山田, ₂₀₁₄) そし * 福山市立大学 m-yamada@fcu.ac.jp て, 架空の他者が子どもの絵を鑑賞するという仮想的なコミュニケーション場面を設定した研究 (Allen, Bloom, & Hodgson, ₂₀₁₀; Burkitt, Watling, & Murray, ₂₀₁₁; 橘, ₂₀₀₇) では, おおよそ ₅ 歳頃には他者の年齢や知識などを想定し, 他者に合わせた表現の調整を試みることが示されてきている 例えば,Burkitt et al. (₂₀₁₁) では,₆ 歳児を対象とし, 感情の異なる ₃ 種類の人物画 ( 悲しい気分の人物, 幸せな気分の人物, 統制としてのニュートラルな人物 ) を描く際に, その人物画を鑑賞する他者として, 大人を想定させる条件, 子どもを想定させる条件, 誰向けかは指定しないで描く条件に割りあてた その結果, 鑑賞者の違いによって人物画の特徴の描き込みに違いが見られている これらの先行研究から,₃ 歳代より子どもは自身の描画意図を自覚して描画を行っており, 絵はその場にないものを示す指示機能を持つものとして理解され, 使用されていることが考えられる ₅ 歳代以降では,₃ 歳代の理解に加えて, 他者への伝達を目的とすればあらかじめ他者の知識状態を想定した上で, 伝達するべき情報を考慮した描画が行われていることが示唆される この時, 子どもは, 絵が他者に情報を伝達する機能を持つことについても認識していると考えられる しかし, 絵の指示機能を理解した上で, あらかじめ他者を想定して描画を行うことのできる ₅ 歳代に至るプロセスにはまだ明らかになっていない点が多い 数少ない研究の中で,Callaghan(₁₉₉₉) は,₂ 歳児から ₄

24 教育心理学研究第 ₆₈ 第 ₁ 号 歳児を対象に, 形状や大きさが異なるおもちゃを用意し, 自分が欲しいおもちゃを絵に描いてその場にいる大人に伝えるという実験状況を設定した 結果として, ₂ 歳児に比べて ₃, ₄ 歳児はよりおもちゃの区別がつくような絵を産出し,₃, ₄ 歳児では実験者からの直接的なフィードバックを受けること ( 描かれたものがわからないと伝えられること ) によってより対象の区別がつくような絵を産出することが明らかとなっている すなわち, ₃, ₄ 歳児であっても自分自身の表そうとした意味が目の前の他者に伝わらないといった直接的なミスコミュニケーション場面に遭遇することで, 表現の調整を行うことが示された しかし,Callaghan (₁₉₉₉) では直接的なフィードバック以外の要因についての検討までは行われていない 直接的なフィードバックがあったとしても表現調整を行わない子どももいることから, その効果は別の要因との交互作用によって示されていることが考えられる 交互作用を示す他の要因を推定するために, 表現調整が生じるプロセスを以下で整理する まず, 認知レベルで, 描き手は自分自身が描いた絵に対して, 描き手の表そうとした意味 A 以外の意味の解釈 ( 意味 X) があることを理解しなければならない その上で, 行為レベルで, 描き手は描き手自身の表そうとする意味 A が伝わるように表現の調整を試みることが考えられる 認知レベルにおいて, 同じ絵を見ているにもかかわらず, そこに複数の意味の解釈が可能になるということは, 絵の多義性を理解していることを示す 絵の多義性を理解するときには, 二つの視点の取り方が考えられる 一つ目は, 同じ絵を見ているにもかかわらず, その絵に複数の解釈が可能であることを描き手自身が自覚する ( そもそもは意味 A としていたが, 今は意味 X にも解釈可能である ) といった自己の視点からの多義性の理解である これは自分自身の見え方の変化を理解するという点で, 自己の心的状態の理解が関連していると考えられる また, 同じ絵を見ているにもかかわらず, 描き手は意味 A と解釈するが, 他者は異なる意味 X と解釈することを理解するといった他者の視点に立った多義性の理解も考えられる これは他者からの見えや解釈を理解する他者の心的状態の理解が関連していると推測される Perner (₁₉₉₁ 小島 佐藤 松田訳 ₂₀₀₆) は, ₄ 歳以上になると, 他者に自身とは異なる表象 ( 信念 ) を帰属させることができるようになると指摘する これによって, 他人は, 自分や別の人が知っている事実とは異なった信念をもっている ことが理解される ( 松村, ₁₉₉₄) このように, 絵の多義性の理解には, 自己の心的状態の理解と他者の心的状態の理解が関連することが考えられる 描き手と他者の絵の解釈が異なることを提示する直接的なフィードバック場面では, 描き手の表そうとした意味とは異なる解釈が存在することが他者によって明示的に示されている そのため, 他者の視点に立って表現の調整を行うことが必要となり, 他者の心的状態の理解が影響を及ぼすと考えられる したがって, 直接的なフィードバックが効果を示すためには, 描き手の子どもが他者の心的状態を理解している必要があると推測される 以上より, 本研究では, 子どもが絵によって表そうとした意味を目の前の他者が異なって解釈するという直接的なフィードバックを与えるミスコミュニケーション場面において, 子どもが絵の表現を変化させるかどうかを検討し, 幼児期に絵の情報伝達機能が理解されているかを明らかにする この時, 他者が異なった絵の解釈をするといったミスコミュニケーション場面が表現調整を促すことを確認するため, 絵に関するミスコミュニケーションが生じる条件と絵に関するミスコミュニケーションが生じない条件を設定する あわせて, ミスコミュニケーションが生じる条件において表現調整が生じる要因として, 心的状態の理解をとりあげ関連を検討する その際, 先行研究 (Allen et al., ₂₀₁₀; Burkitt et al., ₂₀₁₁; Callaghan, ₁₉₉₉; 橘, ₂₀₀₇; 山田, ₂₀₁₅) より, 表現調整は月齢に伴い増加すると考えられることから, 月齢を統制して検討を行う 自己ならびに他者の心的状態の理解については, 誤信念課題 ( 例えば, 子安, ₁₉₉₇; Perner, Leekam, & Wimmer, ₁₉₈₇) を用いて測定を行う 仮説として,(₁) 絵の解釈についてのミスコミュニケーションが生じない場面よりも, 絵の解釈についてのミスコミュニケーションが生じる場面において伝達するべき情報を表そうとする表現調整が行われる (₂) ミスコミュニケーションが生じる場面における表現調整では, 他者からの見えや解釈を想定することが必要となるため, 心的状態の理解において他者の心的状態の理解との関連が見られる, の ₂ つを設定した 方法参加児 X 県下の保育園に通う園児 ₆₈ 名が参加した 課題不成立 手続き不備のため ₃ 名が除外され, 最終分析対象は ₆₅ 名であった 内訳は,₃ 歳クラス ₁₆ 名 ( 平均年 齢 ₃ 歳 ₉ ヶ月, 年齢範囲 ₃ 歳 ₄ ヶ月 ₄ 歳 ₃ ヶ月, 男児 ₉ 名, 女

25 Table 呈示図形および図形によって異なる教示, 質問の詳細 セッション ₂ 質問呈示図形セッション ₁ 第 ₁ 描画描画課題質問 (₂) 形 色 [ 事前命名のための手がかり ] [ 事前命名物 ] [ 他者による命名 ] 一致条件 橙色オレンジ色で甘くて酸っぱい果物ミカン ( オレンジ ) なし茶色お目目があって, ここがグルグルの虫さんカタツムリ ( デンデンムシ ) なし 不一致条件 赤色赤色で丸い形をしたおいしい果物リンゴ ( トマト, イチゴ ) 赤信号黒色お顔があって, ここがしっぽの生き物オタマジャクシ ( サカナ, ヘビ ) スプーン 注 )[ 事前命名物 ] の ( ) 内は, 参加児からの自発的な命名例である 児 ₇ 名 ),₄ 歳クラス ₂₀ 名 ( 平均年齢 ₄ 歳 ₁₁ ヶ月, 年齢範囲 ₄ 歳 ₄ ヶ月 ₅ 歳 ₂ ヶ月, 男児 ₁₃ 名, 女児 ₇ 名 ),₅ 歳クラス ₂₉ 名 ( 平均年齢 ₅ 歳 ₉ ヶ月, 年齢範囲 ₅ 歳 ₃ ヶ月 ₆ 歳 ₄ ヶ月, 男児 ₁₈ 名, 女児 ₁₁ 名 ) である 手続き調査は, 調査者と調査補助者 ( 発達心理学を専攻している大学院生 ) と参加児 ₁ 名で個別に行われた 調査に先立ち, 調査者, 調査補助者は事前に保育へ参加し, ラポールの形成に努めた 調査で使用した課題は描画課題 ( 一致条件, 不一致条件 ) と信念変化課題である 描画課題は, セッション ₁ 第 ₁ 描画, セッション ₂ 質問 ( 一致条件, 不一致条件で質問内容が異なる ), セッション ₃ 第 ₂ 描画から成る 描画課題のセッション ₁ 第 ₁ 描画は調査者が退席して調査補助者が行い, セッション ₂ 質問は調査補助者が退席して調査者が行い, セッション ₃ 第 ₂ 描画は調査者が退席して調査補助者が行った 所要時間は一人 ₂₀ ₃₀ 分であった 課題の順番については, 描画課題の一致条件は描画の変化を測定するベースラインであったため, 描画課題の一致条件 (₂ 試行 ), 信念変化課題 (₂ 題 ), 不一致条件 (₂ 試行 ) の順で行った なお, 描画課題の各条件内での試行はカウンターバランスをとった 倫理的配慮調査に先立ち保育者より保護者へ調査内容についての説明が行われ, 参加児へは お姉さんたちと一人ずつお部屋でお絵かきをする と説明がなされていた 参加児には調査者と調査補助者からも個別に課題内容の説明を行い, 調査は随時中止可能であることも伝えた上で, 調査への参加意志を確認した セッション中に子どもが描画を嫌がったり, 中止を求めた際には調査を中止した 材料描画課題のセッション ₁ 第 ₁ 描画では, 呈示図形とクレヨン (₁₂ 色 ), わら半紙 (A₄) であった セッション ₃ 第 ₂ 描画では, 呈示図形とクレヨン (₁₂ 色 ), 縁取 りのある白画用紙 (A₄) であった なお, 呈示図形は調査者が作成したものであり, 詳細は Table ₁ に示した通りであった 信念変化課題の調査材料は, ポッキーの箱, 鉛筆, おもちゃの洗濯機, おもちゃの冷蔵庫, おもちゃのアイスクリームであった 描画課題セッション 1 第 1 描画調査者が退席している状況で, 調査補助者は お姉さん ( 調査者 ) にお絵かきをプレゼントしようと思っているんだけど, 参加児名 ちゃんにお絵かきをしてもらってもいいかな? この紙 ( 縁取りのある白画用紙 ) に描いて渡そうと思うんだけど, 最初に, こっちの紙 ( わら半紙 ) で練習してみてくれる? とわら半紙を呈示しながら教示した ₁ 次に, 参加児に図形 ( 例えば橙色図形 ) を呈示し, 図形を意味づけられるように順次教示を行い描いてもらった その際の教示は この形を描いてくれるかな?, お姉さん ( 調査補助者 ) はこの形何かに似ていると思うんだけど, 参加児名 ちゃん何かわかる?, こんな風に [ 事前命名のための手がかり ] はなんだっけ? の順である [ ] 内には図形によって異なる教示が入る 例えば, 橙色図形の場合は こんな風にオレンジ色で甘くて酸っぱい果物はなんだっけ? である ここまでの教示の中で参加児が対象の名前を宣言した時には, そこで教示を終わらせ, 調査補助者は そうだ [ 事前命名物 ] だね と参加児の図形への命名を肯定した ( 橙色図形の場合は そうだ ミカンだね ) 参加児が最後まで自分自身で命名出来ない場合は, 調査補助者が これ[ 事前命名物 ] に見えるなぁ と対象の名前を提案した ( 橙色図形の場合は これミカンに見えるなぁ ) 参加児自身による図形への命名, または調査補助者による名前の提案後には, 命名された対象 ( 例えば, ミカン ) について 参加児名 ちゃん,( ミカンを ) 食べたことはある?, いつ食べたのかな? などの会話を ₁ わら半紙は参加児に対して横向きに呈示された 描く際のわら半紙の向きについては教示せず, 向きの変更は自由であった

26 教育心理学研究第 ₆₈ 第 ₁ 号 行い, 対象のイメージを想起するような促しを行った その後, じゃあ, この [ 事前命名物 ] を描いてくれるかな? と教示し, 図形と同色のクレヨンを呈示して絵を描くよう求めた 例えば, 橙色図形の場合は じゃあ, このミカンを描いてくれるかな? と教示し, 橙色のクレヨンを呈示した 描画後には 上手だね などの肯定的な教示を行った 図形によって異なる [ 事前命名のための手がかり ],[ 事前命名物 ] の内容は Table ₁ に示した通りである なお, 参加児の自発的な事前の命名を尊重するため, 事前命名物として想定されている物以外でも参加児からの命名が生じた場合にはそちらを採用した セッション 2 質問調査者が部屋に戻り, 調査補助者は 参加児名 ちゃんが上手にたくさんお絵かきしてくれたよ, お姉さん ( 調査者 ) にお絵かきを見せてあげよう 何を描いたか教えてあげてね と教示し, 退席した この時, 参加児の前には, 参加児の描いた ₂ 枚の絵が置かれていた 一致条件では, 調査者は次の質問 (₁) (₃) を行い, 絵の解釈についてミスコミュニケーションは生じないようにした 質問 (₁) として描いたものの確認を行った 調査者は絵を発見し, 参加児の描いた絵を ₁ 枚ずつ指差して これは何かな? とそれぞれの名前を尋ねた 質問 (₂) として調査者は参加児の命名へ同意し, その対象についての質問を行った 調査者はまず お姉さんも, 参加児名 ちゃんが教えてくれた [ 質問 (₁) 参加児による命名 ] だと思った [( 橙色図形の場合 ) おいしい食べ物 /( 茶色図形の場合 ) 雨の日にでてくる虫さん ] だよね と参加児の命名を肯定した さらに, ここは[( 橙色図形の場合 ) 食べるところ?/( 茶色図形の場合 ) お顔かな?] や 参加児名 ちゃんは[ 質問 (₁) 参加児による命名 ] が好きなの? など, 描かれた絵や対象についての質問を行った 質問 (₃) として最初の描画意図の確認を行った 調査者は 参加児名 ちゃんがこんなに上手にお絵かきしてくれたから, ここに ( 参加児が描画を行った用紙の下部を指す ) 参加児名 ちゃんのお名前と描いたものを書いておくね 最初にお姉さん ( 調査補助者 ) とお絵かきしたとき, 何を描こうとしていたのかな? と質問した 不一致条件においては, 調査者は次の質問 (₁) (₃) を行った 質問 (₁),(₃) は一致条件と同様の質問であるが,(₂) において絵の解釈についてミスコミュニケーションが生じた 質問 (₁) として描いたものの確認を行った 調査者は絵を発見し, 参加児の描いた絵を ₁ 枚ずつ指差して これは何かな? とそれぞれの名前を尋ねた 質問 (₂) として調査者は異なる命名を提案することで, 絵の解釈について不一致を生じさせた 調査者は お姉さん( 調査者 ) には, 参加児名 ちゃんが教えてくれた [ 質問 (₁) 参加児による命名 ] 以外にも,[ 他者による命名 ] みたいにも見えるなぁ [ 質問 (₁) 参加児による命名 ] かな? それとも [ 他者による命名 ] かな? 両方に見えるかな? と質問した 後半のそれぞれの命名と 両方に見えるかな? の教示の順番は, カウンターバランスをとった 質問後には一致条件同様に描かれた絵や対象についての質問を行った 図形によって異なる [ 他者による命名 ] の内容は Table ₁ に示した通りである 質問 (₃) として最初の描画意図の確認を行った 調査者は 参加児名 ちゃんがこんなに上手にお絵かきしてくれたから, ここに ( 参加児が描画を行った用紙の下部を指す ) 参加児名 ちゃんのお名前と描いたものを書いておくね 最初にお姉さん ( 調査補助者 ) とお絵かきしたとき, 何を描こうとしていたのかな? と質問した セッション 3 第 2 描画調査者は再び退席し, 調査補助者が子どもと対面した 一致条件では, 調査補助者は お姉さん ( 調査者 ), 参加児名 ちゃんが描いたものすぐにわかっていたね と教示した 不一致条件では, 調査補助者は お姉さん ( 調査者 ), 色々他のものの名前も言っていたね これ ( 赤色図形 ) は 赤信号, これ ( 黒色図形 ) は スプーン って言っていたね と教示し, 調査者との間でミスコミュニケーションが生じていたことを確認した その後, 新たな紙 ( 縁取りのある白画用紙 ) を呈示し, 調査補助者は じゃあ, さっきのお姉さん ( 調査者 ) にわかるように, お姉さん ( 調査者 ) にあげる本番の絵を描いてみよう と教示し, セッション ₁ 第 ₁ 描画と同様に ₁ 枚ずつ図形を呈示しながら, この[ 事前命名物 ] を描いてくれるかな と教示した ₂ 子どもから絵を変えていいかなどの質問が出た場合には, 参加児名 ちゃんがいいと思った通りに描いてくれたらいいよ と肯定した それぞれの図形を描画後に, ありがとう これでさっきのお姉さん ( 調査者 ) も [ 事前命名物 ] だってわかるかな? と確認した ₂ 白画用紙は参加児に対して横向きに呈示された 描く際の白画用紙の向きについては教示せず, 向きの変更は自由であった

27 信念変化課題調査者と子どもは机を挟んで対面し, 以下の課題を行った 位置課題子安 (₁₉₉₇), 木下 (₂₀₀₁) に準じて設定した おもちゃの洗濯機と冷蔵庫を用意し, 洗濯機の中におもちゃのアイスクリームを隠し参加児に呈示した これらがおもちゃの洗濯機と冷蔵庫であることを確認してから, 参加児に 洗濯機と冷蔵庫のどちらかにアイスクリームが入っています 参加児名 ちゃんはどちらにアイスクリームが入っていると思いますか? と質問した 参加児の回答後に, 洗濯機にアイスクリームが入っていることを確認し, 次の ₃ つの質問を行った (a) 他者信念質問 参加児名 ちゃんのお友達の 他の園児名 ちゃんは, この中を見ていません 他の園児名 ちゃんはこれを見て, どこにアイスクリームが入っていると言うでしょうか? 回答がない場合は選択肢 ( 冷蔵庫, 洗濯機 ) を与えた (b) 過去の自己信念質問 最初, 参加児名 ちゃんはどこにアイスクリームが入っていると言いましたか? (c) 現実質問 本当は今, アイスクリームはどこに入っていますか? 中身課題郷式 (₁₉₉₉), 子安 (₁₉₉₇), 木下 (₂₀₀₁) に準じて設定した 中に鉛筆の入ったポッキーの箱を用意し, 参加児に この箱の中には何が入っていると思いますか? と質問した 回答がない場合には, この箱は何の箱? と質問して, ポッキー( またはお菓子 ) などの回答を得るようにした ポッキーの箱を開け, 中身が鉛筆であることを確認させた後, 次の ₃ つの質問を行った (a) 他者信念質問 他の園児名 ちゃんはこの箱の中身を見ていません 他の園児名 ちゃんはこの箱を見て, 何が入っていると言うでしょうか? 回答がない場合は, 選択肢 ( ポッキー, 鉛筆 ) を与えた (b) 過去の自己信念質問 この箱を最初に見た時, 参加児名 ちゃんは何が入っていると言いましたか? (c) 現実質問 本当は今, 箱の中には何が入っていますか? 結果最初に仮説 (₁) に関して, 描画課題において描かれた絵の分類を行い表現の変化について分析を行った その後, 仮説 (₂) について, 信念変化課題での回答を整理し, 表現調整に対する心的状態の理解の関連について分析を行った 描画課題における表現調整参加児が条件によってどのような表現調整を行って いたかを検討するため, 各条件の第 ₁ 描画から第 ₂ 描画での表現の変化に着目した ₃ まず, 各条件ともに第 ₁ 描画と第 ₂ 描画で描かれた絵を比較し, 表現に相違があるかどうかを判断し, その内容を分類した その後, 相違があると判断された場合において, 第 ₂ 描画は第 ₁ 描画に比べてその対象らしく表現しているかを評価し, 相違が対象を表わす有効性を持つ表現の変化であったかを判断した 相違の有無についての判断の一致率は ₉₁.₂%,κ 係数 =.₇₁ であり, 有効性を持つ表現の変化であったかについての判断の一致率は ₉₂.₃%,κ 係数 =.₆₅ であった ₄ 相違の内容は, 絵の一部分が変化しているもの (1 6) と, 絵の複数の部分に変化があるもの (7,8) があった 1 形状の変化 ( 呈示図形にある要素の形を変化させて描く 例えば, 事前の命名が カタツムリ であった時に, 第 ₁ 描画は呈示図形通りであったが, 第 ₂ 描画で円形の描き方と線の引き方が変化した ),2 要素の追加 ( 呈示図形にない要素を追加して描く 例えば, 事前の命名が オタマジャクシ であった時に, 第 ₁ 描画は呈示図形通りであったが, 第 ₂ 描画において目や胴を付け足した ),3 要素の削除 ( 呈示図形にない要素を第 ₁ 描画で追加し, 第 ₂ 描画で削除する 例えば, 事前の命名が トマト であった時に第 ₁ 描画では と という文字を書いていたが第 ₂ 描画では書かれなかった ),4 色の変化 ( 使用する色を変化させて描く 例えば, 事前の命名が リンゴ であった ₃ ₄ 質問 (₁) これは何かな? に対する回答は, 一致条件, 不一致条件ともに事前に定めた事前命名物を回答していた ( 一致条件での事前命名の回答率 :₃ 歳クラス ₈₇.₅%,₄ 歳クラス ₁₀₀%,₅ 歳クラス ₁₀₀%, 不一致条件での事前命名の回答率 : ₃ 歳クラス ₉₃.₈%,₄ 歳クラス ₉₇.₅%,₅ 歳クラス ₁₀₀%) 不一致条件において, 他者から異なる命名を提案される質問 (₂) お姉さん( 調査者 ) には, 参加児名 ちゃんが教えてくれた [ 質問 (₁) 参加児による命名 ] 以外にも,[ 他者による命名 ] みたいにも見えるなぁ [ 質問 (₁) 参加児による命名 ] かな? それとも [ 他者による命名 ] かな? 両方に見えるかな? に対する回答においても, 事前命名物での回答が多かったことからも ( 回答率 :₃ 歳クラス ₈₄.₄%,₄ 歳クラス ₉₀.₀%,₅ 歳クラス ₉₁.₄%), 参加児は事前に定めた対象を描く意図を持って描画を行っていたと考えられる 相違の有無の判断と有効性を持つ表現の変化であったかについての判断は, 調査者と発達心理学を専門とする本仮説を知らない者によって行われた 相違の有無の判断の際には, 第 ₁ 描画の絵と第 ₂ 描画の絵を対呈示し, どちらがどの絵かは説明をせずに, この ₂ つの絵を見て, 相違があるか判断をしてください ( 相違がある場合, ない場合があります ) と教示し, 判断を求めた 有効性を持つ表現の変化であったかについての判断の際には, 第 ₁ 描画の絵と第 ₂ 描画の絵を対呈示し, 相違があったと判断した対において, 枠線のある絵はわら半紙の絵に比べてその対象 ( 例えばリンゴ ) らしくなっているか判断してください と教示し, 判断を求めた

28 教育心理学研究第 ₆₈ 第 ₁ 号 時に第 ₁ 描画では呈示図形と同様の赤色で描き, 第 ₂ 描画では赤色と緑色で描いた ),5 着色面積の増加 ( 着色面積を増加させる 例えば, 事前の命名が ミカン であった時に, 第 ₁ 描画では輪郭線のみだったが第 ₂ 描画で円形の中に色を塗った ),6 着色面積の減少 ( 着色面積を減少させる 例えば, 事前の命名が ミカン であった時に, 第 ₁ 描画で円形の中を塗りつぶすが第 ₂ 描画では塗りつぶさず着色面積が減った ),7 要素の追加 + 形状の変化 ( 要素の追加と形状の変化を行う 例えば, 事前の命名が オタマジャクシ であった時に, 第 ₁ 描画は呈示図形通りであったが第 ₂ 描画において目を付け足し線の部分を胴のように Table 相違があった絵の内容と例, 有効性の判断を含む描画課題での出現枚数 相違の内容 1 形状の変化 無し ( 左 : 第 ₁ 描画, 右 : 第 ₂ 描画 ) 事前命名物 : オレンジ 例有効性 有り ( 左 : 第 ₁ 描画, 右 : 第 ₂ 描画 ) 事前命名物 : カタツムリ 一致条件有効性 不一致条件有効性 無し有り無し有り ₅ ₁ ₃ ₄ 事前命名物 : オタマジャクシ 事前命名物 : オタマジャクシ 2 要素の追加 ₂ ₄ ₂ ₁₆ 事前命名物 : トマト 3 要素の削除 ₄ ₀ ₂ ₀ 事前命名物 : カタツムリ全て茶から黄緑へ 事前命名物 : リンゴ全て赤から実 ( 赤 ) 茎 ( 茶 ) 葉 ( 緑 ) へ 4 色の変化 ₂ ₀ ₂ ₃ 事前命名物 : カタツムリ 事前命名物 : オレンジ 5 着色面積の増加 ₁ ₁ ₁ ₁ 事前命名物 : オレンジ 6 着色面積の減少 ₂ ₀ ₁ ₀ 事前命名物 : オタマジャクシ 7 要素の追加 + 形状の変化 ₀ ₀ ₀ ₂ 事前命名物 : オタマジャクシ 8 要素の追加 + 着色面積の増加 ₀ ₀ ₀ ₁ n ₁₆ ₆ ₁₁ ₂₇ 注 ) は該当する例がなかったことを示す

29 太くした ),8 要素の追加 + 着色面積の増加 ( 要素の追加と着色面積を増加させる 例えば, 事前の命名が オタマジャクシ であった時に, 第 ₁ 描画は呈示図形通りであったが第 ₂ 描画においてヒレを付け足し, 円形なども塗りつぶした ) であった 相違の内容と絵の例, 各条件で有効性があると判断された描画枚数は Table ₂ に示した通りである Table ₂ より,1 形状の変化や2 要素の追加が多く見られること,7 要素の追加 + 形状の変化や8 要素の追加 + 着色面積の増加のような絵の複数部分の変化は少ないことがわかる また,3 要素の削除や6 着色面積の減少といった変化が生じた絵は有効性がないと判断されていた 有効性を持つ表現の変化と判断された絵は, 参加児が事前の命名に即してより詳細な情報を付加し, 描いた対象を他者 ( 調査者 ) に伝達しようと描いていたことが考えられる そこで描画課題の条件間で有効性を持つ表現の変化の出現に違いがあるかを検討するため, 有効性を持つ表現をした場合に ₁ 点を与え, 得点化を行った ( 各条件 ₀ ₂ 点, 以下表現調整得点とする ) 基礎統計量は Table ₃ に示した 表現調整得点を従属変数に描画課題 ( 一致条件, 不一致条件 ) での t 検定を行ったところ, 描画課題の主効果が有意であり (t(₆₄)=₄.₆₄, p<.₀₀), 不一致条件で表現調整得点が高かった 表現調整と心的状態の理解との関連第 ₁ 描画から第 ₂ 描画での表現調整と心的状態の理解との関連を検討した 表現調整の得点化については, 前出の表現調整得点 ( 各条件 ₀ ₂ 点 ) を用いた 信念変化課題では, 位置課題と中身課題ともに他者信念質問, 過去の自己信念質問 ( 以下, 自己信念質問 ), 現実質問があった 現実質問については,₃ 歳クラスの ₁ 名が誤答したのみであった 他者信念質問と自己信念質問は, 位置課題と中身課題の ₂ 課題ともに正答した場合を通過, どちらかのみ正答または両方誤答した場合は不通過とみなした これは,₂ つの選択肢のうち偶然どちらかを選択したことで質問に正答するという可能性を避けるためであった 月齢の変化が表現調整得点や心的状態の理解に影響を及ぼしている可能性が高いことから, 月齢の影響を統制した分析を行う必要がある そのため, 月齢を共変量として統制し, 表現調整得点 (₀ ₂ 点 ) を従属変数 Table 描画課題別の表現調整得点の平均値 ( 標準偏差 ) 平均値 ( 標準偏差 ) 一致条件 ₀.₀₉(₀.₃₄) 不一致条件 ₀.₄₂(₀.₇₀) として, 描画課題 ( 一致条件, 不一致条件 ), 他者信念 ( 通過, 不通過 ), 自己信念 ( 通過, 不通過 ) を独立変数とした ₃ 要因の共分散分析を行った まず, 共分散分析の前提条件を満たしているか確認するために, 回帰係数の平行性と回帰の有意性について検討した 回帰の平行性を検討する際には, 共変量の月齢は中心化を行った 分析の結果, 月齢と独立変数間の交互作用は有意ではなかったため, 回帰係数の平行性が認められた ( 月齢 描画課題 他者信念 自己信念, F(₁, ₅₇)=₀.₈₂, ns) また, 回帰の有意性については, 月齢の主効果が有意であったことから (F(₁, ₆₀)=₄.₉₉, p<.₀₅), 月齢と表現調整に直線的な関係があることが認められた つづいて, 共分散分析の結果に移る Table ₄ に調整平均を含む基礎統計量を示す ₅ 描画課題の主効果(F(₁, ₆₁)=₂₁.₀₉, p<.₀₀), 描画課題と他者信念の交互作用が有意であった (F(₁, ₆₁)=₁₆.₀₄, p<.₀₀) 描画課題と他者信念の交互作用が有意であったため, 単純主効果の検定を行ったところ,Figure ₁ に示したように描画課題の不一致条件において他者信念通過群は不通過群よりも表現調整得点が有意に高かった (t(₁₂₁)=-₃.₁₉, p<.₀₀) なお, 他者信念の主効果 (F(₁, ₆₀)=₂.₂₂, ns), 自己信念の主効果 (F(₁, ₆₀)=₁.₇₁, ns), 描画課題と自己信念の交互作用 (F(₁, ₆₁)=₂.₆₅, ns), 他者信念と自己信念の交互作用 (F(₁, ₆₀)=₀.₁₇, ns), 描画課題と他者信念と自己信念の交互作用 (F(₁, ₆₁)=₁.₀₈, ns) は有意ではなかった 考察本研究では, 子どもが絵によって表そうとした意味を目の前の他者が異なって解釈するという直接的なミスコミュニケーション場面を設定し, 子どもの表現の変化を検討するとともに, ミスコミュニケーションが生じる場面での表現調整に影響を及ぼす要因として, 他者の心的状態の理解を想定し分析を行った 表現調整の出現まず, 絵の解釈についてのミスコミュニケーションが生じない場面よりも, 絵の解釈についてのミスコミュニケーションが直接生じる場面において伝達するべき情報を表そうとする表現調整が行われるという仮説 ₁ についてである 参加児の第 ₁ 描画から第 ₂ 描画での表現の変化の有無について分析し, その変化の内容について分類を行ったところ, 形状や要素, 色, 着 ₅ 平均得点から調整平均の変化を見ると, 平均月齢の高い群では調整平均が下がり, 平均月齢が低い群では調整平均が高くなっていることから, 各群の月齢の違いが適切に反映されていると考えられる

30 教育心理学研究第 ₆₈ 第 ₁ 号 Table 他者信念と自己信念の通過 ( 不通過 ) 別の人数, 平均月齢 ( 月齢範囲 ), 描画課題での表現調整得点の平均得点 ( 標準偏差 ), 調整平均描画課題他者信念自己信念 n 調整平均調整平均 ₅ 歳 ₅ ヶ月 ₀.₁₁(₀.₃₂) ₀.₅₈(₀.₇₇) 通過通過 ₁₉ (₄ 歳 ₁₁ ヶ月 ₆ 歳 ₂ ヶ月 ) ₀.₀₃ ₀.₅₀ 通過不通過 ₁₀ 不通過通過 ₄ 不通過不通過 ₃₂ 2.00 ちっちゃいもん と答えていた ここからも, 対象の 1.80 詳細な情報を付け加えることや, それらしい色で描く 1.60 他者信念通過群 1.40 等の表現調整は, 目の前の他者と絵の解釈についての他者信念不通過群 1.20 ミスコミュニケーションが生じるという経験から, 他者 1.00 へより伝わる表現を試みた結果生じたことが示された 0.80 0.60 表現調整をしなかった参加児について, 事前命名の 0.40 対象についての知識の不足, また描画スキルの不足か 0.20 ら情報を付加しなかった可能性も考えられる しかし, 0.00 0.20 事前命名の対象 ( ミカン, カタツムリ, リンゴ, オタマジャク一致条件不一致条件シ ) は全ての参加児で対象についての経験, 知識があ Figure 描画課題 他者信念別の表現調整得点の調ること ( 食べたことがある, 保育園で飼育している, 絵本など整平均で見た等 ) を確認している また, 手続きにも示したよ注 ) エラーバーは標準誤差を示す うに, 参加児の自発的な事前の命名を尊重するため, 色面積についての変化が見られた これらの変化の中事前命名物として想定されている物以外でも参加児かで, 第 ₂ 描画において事前の命名に即して第 ₁ 描画よらの命名が生じた場合にはそちらを採用したことから, りもその対象らしく表現している場合に得点を与え, 参加児は対象についてのイメージや知識を一定程度描画課題 ( 一致条件, 不一致条件 ) での t 検定を行ったと持っていたと考えられる 表現調整の方法に関しても, ころ, 不一致条件で有効性を持つ表現が多く生じてい例えば線や点が描ければ要素の追加 ( 例えば目, 茎 ) がた また, 不一致条件で表現調整を行った参加児の発可能であったことから, 知識不足や描画スキル不足の話からは他者への伝達を意識した発言が見られていた 影響は除外されると考えられる 従って, 本研究で見例えば, リンゴ ( 赤色図形 ) の描画において第 ₂ 描画でられた表現調整は, 絵の解釈についてミスコミュニ茎を描き足した参加児は, 第 ₂ 描画後の調査者補助者ケーションを経験し他者への伝達を意識したために生からの確認 ありがとう これでさっきのお姉さん ( 調じた反応であり, 仮説 ₁ は支持されたと考えられる 査者 ) もリンゴだってわかるかな? に対して, わか表現調整に影響を及ぼす要因るとおもう さっきはこれだけ ( 円のみ ) かいてたか次に, ミスコミュニケーションが生じる場面におけら と答えていた オタマジャクシ ( 黒色図形 ) の描画る表現調整では, 他者からの見えや解釈を想定するこにおいて第 ₂ 描画で目を描き足し, シッポの部分を長とが必要となるため, 心的状態の理解において他者のく角度をつけて描くといった表現調整を行った参加児心的状態の理解との関連が見られるという仮説 ₂ につにおいても, 第 ₂ 描画後の調査者補助者からの確認いてである 月齢を統制し, 表現調整に対して他者信 ありがとう これでさっきのお姉さん( 調査者 ) もオ念の理解と自己信念の理解の関連を検討したところ, タマジャクシだってわかるかな? に対して, 長いか絵の解釈についてミスコミュニケーションが生じた不らわかる だってスプーンちゃうもん ( スプーンは ) 一致条件において, 他者信念通過群は不通過群よりも平均月齢 ₅ 歳 ₃ ヶ月 ₅ 歳 ₂ヵ月 ₄ 歳 ₇ヵ月一致条件 ₀.₀₀(₀.₀₀) ₀.₀₀(₀.₀₀) ₀.₁₃(₀.₄₂) 不一致条件 ₀.₉₀(₀.₇₄) ₀.₀₀(₀.₀₀) ₀.₂₂(₀.₆₁) ( 月齢範囲 ) (₄ 歳 ₁ ヶ月 ₆ 歳 ₀ ヶ月 ) (₃ 歳 ₆ ヶ月 ₆ 歳 ₁ヵ月 ) (₃ 歳 ₄ ヶ月 ₆ 歳 ₄ ヶ月 ) 平均得点 ( 標準偏差 ) -₀.₀₅ -₀.₀₃ ₀.₁₉ 平均得点 ( 標準偏差 ) ₀.₈₅ -₀.₀₃ ₀.₂₈

31 表現調整得点が有意に高いことが示された これは, 仮説 ₂ を支持する結果である 表現調整が行われる時に生じる絵の多義性の理解においては, 自己の心的状態の理解と他者の心的状態の理解の二つの視点の取り方が想定可能であった 本研究では, 他者信念通過群の表現調整得点が高いといった成績間の関連性が示されたにすぎないが, 表現調整において, 他者からの見え方を想定できることにより絵の多義性を理解し, その上で自身の表そうとする意味が伝わるように表現の調整が行われることが考えられる 表現調整と他者の心的状態の理解の関連が見られたことは, 架空の他者への伝達を求めた先行研究 ( 山田, ₂₀₁₅) とも一致する結果である ここから, 他者への情報伝達がどのような場面で求められようとも, 他者の心的状態を理解することが表現調整に影響を及ぼすことが示唆される 本研究の成果と今後の課題本研究より, 絵の解釈についての直接的なミスコミュニケーション場面で表現調整が生じること, 表現調整と他者の心的状態の理解との間に関連が見られることが明らかになった おおよそ ₃ 歳頃から子どもは自身の描画意図を持った描画を行っており, 絵の指示機能が理解されている (Bloom & Markson, ₁₉₉₈; 山田, ₂₀₁₄) そして, 自身の描画意図に基づいて描画が行われているだけではなく, 自身の絵への他者からの見えが理解され始め, ここに至って絵が他者に情報を伝達する機能を持つことが理解され始めていると考えられる 他者からの見えを配慮するのは, まずは本研究の状況のような実際のミスコミュニケーションに直面し, 他者からの見えを意識した時であると想定される その後, 自身の絵の鑑賞者として他者が内面化することで, 直接的なミスコミュニケーションが生じなくとも, 他者への伝達において表現調整が可能となると推測される 今後の課題としては,₅ 歳クラスの幼児でさえも全員が表現調整を行ったわけではないことから, 表現調整を促す条件 ( 手続き, 刺激 ) についての検討が挙げられる 本研究の結果は,₃ 歳児においても表現調整が見られた Callaghan (₁₉₉₉) の研究と一部結果が異なるものであった Callaghan (₁₉₉₉) の手続きでは, 子どもの描いた絵が実験者に伝わらなければゲームができず, 実験者から直接描き直しを求められるという状況が設定されていた そのため, 絵の表現を変化させることは単に他者に情報を伝達するためだけではなく, ゲームを継続させるという子ども自身の利益をも含む状況となっていた これに比すると, 本研究では絵を調整 したからといって子ども自身に何らかの利益があるわけではなかった 加えて, 絵の理解に不一致が生じた実験者が直接描き直しを求めたわけでもなく, 第三者の調査補助者が実験者に伝わるように描き直しを促す状況であった 本研究は, あくまでも他者への伝達のみを強調させる状況を設定することで, 自発的な他者への表現調整の出現を明らかにしたといえよう 表現調整が生じうるコミュニケーションには様々なレベルがあることが推測されることから, それらを精査し, 検討する必要がある また, 描画の刺激に関して, 描く対象が比較的単純なものであり, 参加児にとって表現を工夫する必要性が低い課題であった可能性が示唆される 例えば, 保育において題材になるような生活画や観察画を課題にすることによって, より表現の広がりのある課題を設定することが考えられる 引用文献 Allen, M. L., Bloom, P., & Hodgson, E. (₂₀₁₀). Do young children know what makes a picture useful to other people? Journal of Cognition and Culture, 10, ₂₇-₃₇. doi:₁₀.₁₁₆₃/₁₅₆₈₅₃₇₁₀x₄₉₇₁₅₈ Bloom, P., & Markson, L. (₁₉₉₈). Intention and analogy in children's naming of pictorial representations. Psychological Science, 9, ₂₀₀-₂₀₄. doi:₁₀.₁₁₁₁/₁₄₆₇- ₉₂₈₀.₀₀₀₃₈ Burkitt, E., Watling, D., & Murray, L. (₂₀₁₁). Children's drawings of significant figures for a peer or an adult audience. Infant and Child Development, 20, ₄₆₆- ₄₇₃. doi:₁₀.₁₀₀₂/icd.₇₃₅ Callaghan, T. C. (₁₉₉₉). Early understanding and production of graphic symbols. Child Development, 70, ₁₃₁₄-₁₃₂₄. doi:₁₀.₁₁₁₁/₁₄₆₇-₈₆₂₄.₀₀₀₉₆ Gardner, H. (₁₉₈₀). Artful scribbles: The significance of children's drawings. New York: Basic Books.( ガードナー, H. 星三和子 ( 訳 )(₁₉₉₆). 子どもの描画 なぐり描きから芸術まで誠信書房 ) 郷式徹 (₁₉₉₉). 幼児における自分の心と他者の心の理解 心の理論 課題を用いて教育心理学研究, 47, ₃₅₄-₃₆₃. doi:₁₀.₅₉₂₆/jjep₁₉₅₃.₄₇.₃_₃₅₄ Kellogg, R. (₁₉₆₉). Analyzing children's art. Palo Alto, CA: National Press Books.( ケロッグ, R. 深田尚彦 ( 訳 )(₁₉₉₈). 児童画の発達過程 なぐり描きからピクチュアへ黎明書房 ) 木下孝司 (₂₀₀₁). 遅延提示された自己映像に関する幼児の理解 自己認知 時間的視点 心の理論 の関

32 教育心理学研究第 ₆₈ 第 ₁ 号 連発達心理学研究, 12, ₁₈₅-₁₉₄. doi:₁₀.₁₁₂₀₁/jjdp. ₁₂.₁₈₅ 子安増生 (₁₉₉₇). 幼児の 心の理論 の発達 心の表象と写真の表象の比較心理学評論, 40, ₉₇-₁₀₉. doi: ₁₀.₂₄₆₀₂/sjpr.₄₀.₁_₉₇ Lowenfeld, V. (₁₉₅₇). Creative and mental growth (₃rd ed.). New York: Macmillan.( ローウェンフェルド, V. 竹内清 堀内敏 武井勝雄 ( 共訳 )(₁₉₆₃). 美術による人間形成 創造的発達と精神的成長黎明書房 ) Luquet, G. H. (₁₉₂₇). Le dessin enfantin. Paris, France: Alcan.( リュケ, G. H. 須賀哲夫 ( 監訳 )(₁₉₇₉). 子どもの絵 児童画研究の源流金子書房 ) 松村暢隆 (₁₉₉₄). 幼児の 心の理論 と理論説 模擬説との議論について心理学評論, 37, ₉₂-₁₀₇. doi:₁₀.₂₄₆₀₂/sjpr.₃₇.₁_₉₂ Perner, J. (₁₉₉₁). Understanding the representational mind. Cambridge, MA: MIT Press.( パーナー, J. 小島康次 佐藤淳 松田真幸 ( 訳 )(₂₀₀₆). 発達する 心の理論 ₄ 歳 : 人の心を理解するターニングポイントブレーン出版 ) Perner, J., Leekam, S. R., & Wimmer, H. (₁₉₈₇). Threeyear-olds difficulty with false belief: The case for a conceptual deficit. British Journal of Developmental Psychology, 5, ₁₂₅-₁₃₇. doi:₁₀.₁₁₁₁/j.₂₀₄₄-₈₃₅x.₁₉₈₇. tb₀₁₀₄₈.x 橘春菜 (₂₀₀₇). 他者への情報伝達を意図した描画表現の発達 幼児 児童の非視覚的情報の表現方略の検討教育心理学研究, 55, ₄₆₉-₄₇₉. doi:₁₀.₅₉₂₆/jjep ₁₉₅₃.₅₅.₄_₄₆₉ Wallon, P., Cambier, A., & Engelhart, D. (₁₉₉₀). Le dessin de l'enfant. Paris, France: Presses Universitaires de France.( ワロン, P. カンビエ, A. エンゲラール, D. 加藤義信 日下正一 ( 訳 )(₁₉₉₅). 子どもの絵の心理学名古屋大学出版会 ) 山田真世 (₂₀₁₄). 幼児期の描画における意図の発達 命名行為の変化の検討発達心理学研究, 25, ₄₇-₅₇. doi:₁₀.₁₁₂₀₁/jjdp.₂₅.₄₇ 山田真世 (₂₀₁₅). 幼児期の情報伝達を意図したシンボル産出の発達 情報伝達場面の変化と他者理解に着目して心理科学, 36, ₂₉-₄₃. doi:₁₀.₂₀₇₈₉/jraps.₃₆.₂_₂₉ 付記調査にご協力いただきました園児のみなさま, ならびに先生方に心より御礼申し上げます なお, 本研究は科研費 ( 若手研究 (B), 課題番号 ₁₆K₁₆₆₂₅) の助成を受けた (₂₀₁₇.₁₁.₁₅ 受稿,₂₀₁₉.₉.₅ 受理 ) Content of Children s Drawings: Effects of Other People s Interpretation of the Drawings MAYO YAMADA (FUKUYAMA CITY UNIVERSITY) JAPANESE JOURNAL OF EDUCATIONAL PSYCHOLOGY, 2020, 68, 23 32 The present study investigated whether the content of children's drawings changed after they were provided with other people's interpretation of their drawings, and examined factors that may be correlated with such changes. Preschool children (N=65; 3 to 5 years old) engaged in 2 tasks: a false-belief task and a drawing task. The latter had a miscommunication condition and an acceptance condition. In the first drawing in the miscommunication condition, the children were asked by experimenter A to draw a figure (e.g., a red circle) as an object (e.g., a red apple). Experimenter B then incorrectly named the drawing (e.g., "it's a red light"). For the second drawing in this condition, the children were again asked by experimenter A to draw a red apple. In the acceptance condition, the first and third steps were the same as in the miscommunication condition, but instead of naming the drawing incorrectly, experimenter B accepted the children's description of what it was. The children who had been told that they had drawn (for example) a red light (miscommunication condition) adjusted their pictures more than the children who had been told that they had drawn (for example) a red apple (acceptance condition). The discussion suggests that understanding of other-mind may have been correlated with changes in the content of the children's drawings. Key Words: children's drawings, communication, understanding of other-mind, preschool children