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の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

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する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

市街化区域と市街化調整区域との区分

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再 生 可 能 エネルギー 等 導 入 推 進 基 金 事 業 計 画 書 ( 各 年 度 計 画 書 ) ( 事 業 計 画 の 概 要 ) 計 画 の 名 称 京 都 府 地 球 温 暖 化 対 策 等 推 進 基 金 計 画 の 期 間 交 付 対 象 京 都 府 府 内 市 町 村 民 間

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第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

第1章 総則

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

01.活性化計画(上大久保)

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目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

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質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

16 日本学生支援機構

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

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PowerPoint プレゼンテーション

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

工 事 に 伴 う 伐 採 木 量 を 表 5163 に 示 す 伐 採 木 量 は 340.2tと 予 測 する 発 生 する 木 くずについては 樹 木 の 状 態 により 処 理 が 異 なるため できる 限 り 有 効 利 用 が 図 れる 方 法 で 処 理 を 行 う 区 分 表 516

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

2. 予 測 2.1. 予 測 項 目 予 測 項 目 は 以 下 のとおりとした 1 埋 設 廃 棄 物 の 掘 削 除 去 に 伴 う 廃 棄 物 2 造 成 等 の 施 工 の 一 時 的 な 影 響 による 建 設 工 事 に 伴 う 副 産 物 ( 建 設 発 生 土 建 設 廃 棄 物

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申


別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

●幼児教育振興法案

受 託 工 事 費 一 般 管 理 費 何 地 区 給 料 手 当 賞 与 引 当 金 繰 入 額 賃 金 報 酬 法 定 福 利 費 退 職 給 付 費 備 消 品 費 厚 生 福 利 費 報 償 費 旅 費 被 服 費 光 熱 水 費 燃 料 費 食 糧 費 印 刷 製 本 費 測 量 調 査

文化政策情報システムの運用等

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

 

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

目 次 第 1 章 総 則 第 1 節 計 画 の 目 的... 1 第 1 計 画 の 目 的 1 第 2 計 画 の 策 定 1 第 3 計 画 の 構 成 2 第 4 用 語 の 意 義 2 第 2 節 計 画 の 前 提 条 件... 3 第 1 自 然 条 件 3 第 2 社 会 条 件

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税制面での支援

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

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Transcription:

ISSN 0387-0332 No. 2012 Vol. 36 135 主 要 目 次 口 絵 巻 頭 言 論 説 国 土 交 通 省 B-DASHプロジェクト 神 戸 市 東 灘 処 理 場 再 生 可 能 エネルギー 生 産 革 新 的 技 術 実 証 事 業 KOBE グリーン スイーツプロジェクト 超 高 効 率 固 液 分 離 技 術 を 用 いたエネルギーマネジメントシス テムに 関 する 実 証 事 業 今 こそ 再 生 と 利 用 促 進 の 好 機 岡 久 宏 史 震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 野 池 達 也 特 集 第 24 回 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 に 関 するセミナー 特 集 解 説 研 究 紹 介 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 山 地 健 二 下 水 汚 泥 資 源 利 用 の 動 向 と 今 後 の 施 策 について 白 﨑 亮 / 西 廹 里 恵 兵 庫 県 における 下 水 汚 泥 溶 融 スラグの 有 効 利 用 について 的 場 令 基 農 業 集 落 排 水 施 設 と 連 携 したメタン 発 酵 消 化 液 の 液 肥 利 用 について 米 田 太 一 下 水 汚 泥 有 効 利 用 に 関 する( 社 ) 日 本 下 水 道 協 会 の 取 り 組 み 大 谷 佳 史 下 水 汚 泥 有 効 利 用 の 課 題 と 日 本 下 水 道 事 業 団 における 取 り 組 み 島 田 正 夫 下 水 道 を 核 としたバイオマス 利 活 用 に 関 する 研 究 開 発 岡 本 誠 一 郎 発 行 公 益 社 団 法 人 日 本 下 水 道 協 会 Q&A 現 場 からの 声 文 献 紹 介 講 座 投 稿 報 告 コラム 報 告 資 料 名 古 屋 市 の 下 水 汚 泥 処 理 について 北 折 康 徳 福 岡 県 大 木 町 バイオマス 循 環 センターを 訪 ねて 島 田 正 夫 デュラム 小 麦 のカドミウム 吸 収 抑 制 対 策 としてのケイ 素 の 効 果 川 崎 晃 高 負 荷 嫌 気 性 消 化 の 簡 易 管 理 パラメータによる メタン 変 換 効 率 の 評 価 水 田 健 太 郎 下 水 道 における 未 利 用 エネルギー 活 用 促 進 のための 制 度 について 西 廹 里 恵 安 定 化 処 理 後 下 水 汚 泥 焼 却 灰 入 りアスファルト 混 合 物 について 大 矢 昌 樹 / 山 本 幸 人 下 水 からのリン 回 収 技 術 黒 澤 建 樹 / 島 村 和 彰 / 築 井 良 治 汚 泥 熱 可 溶 化 による 高 効 率 嫌 気 性 消 化 技 術 の 概 要 栗 原 元 有 機 物 資 材 の 施 用 は 土 の 物 理 性 に 良 いことづくめ? 久 保 寺 秀 夫 第 24 回 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 に 関 するセミナー パネルディスカッション 概 要 会 場 : 神 戸 市 下 水 汚 泥 資 源 利 用 協 議 会 設 立 までの 経 緯 齋 藤 健 次 郎 おしらせ( 投 稿 のご 案 内 広 告 掲 載 依 頼 ) 汚 泥 再 資 源 化 活 動 日 誌 次 号 予 告 編 集 委 員 会 委 員 名 簿 編 集 後 記

国 土 交 通 省 B-DASHプロジェクト 神 戸 市 東 灘 処 理 場 再 生 可 能 エネルギー 生 産 革 新 的 技 術 実 証 事 業 KOBE グリーン スイーツプロジェクト. 地 域 バイオマス 受 入 施 設 実 証 概 要 実 施 者 : 神 鋼 環 境 ソリューション 神 戸 市 共 同 研 究 体 実 証 フィールド: 神 戸 市 東 灘 処 理 場 実 証 規 模 :0.7t-DS/ 日 実 証 期 間 : 平 成 23 年 度 ~ ( 平 成 23 年 度 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 委 託 研 究 による) 木 質 系 (グリーン)を 含 む 地 域 バイオマス 活 用 下 水 道 に 好 適 な 食 品 製 造 系 (スイーツ) 木 質 系 (グリーン)の 地 域 バイオマスと 汚 泥 の 混 合 処 理 による バイオガス 発 生 量 の 増 加 と 汚 泥 処 理 の 効 率 化 を 実 現 高 効 率 な 消 化 精 製 パッ ケージによる 建 設 維 持 管 理 費 の 縮 減 と 温 室 効 果 ガスの 大 幅 な 削 減 を 実 現 高 効 率 鋼 板 製 消 化 槽 ヒートポンプシステム 新 型 バイオガス 精 製 貯 留 圧 送 システム 高 効 率 にパッケージ 化 された 鋼 板 製 消 化 槽 ヒートポンプ バイオガス 精 製 貯 留 圧 送 システムによる 汚 泥 消 化 の 普 及 促 進

国 土 交 通 省 B-DASHプロジェクト 超 高 効 率 固 液 分 離 技 術 を 用 いた エネルギーマネジメントシステムに 関 する 実 証 事 業. 超 高 効 率 固 液 分 離 技 術 実 証 概 要 実 施 者 :メタウォーター 地 方 共 同 法 人 日 本 下 水 道 事 業 団 共 同 研 究 体 実 証 フィールド: 大 阪 市 中 浜 下 水 処 理 場 実 証 規 模 : 水 処 理 5700m 3 / 日 汚 泥 + 生 ごみ 0.6t-DS/ 日 スマート 発 電 システム100kW 実 証 期 間 : 平 成 23 年 度 ( 平 成 23 年 度 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 委 託 研 究 による) 徹 底 的 な 固 液 分 離 回 収 技 術 と 独 自 のエネルギー 回 収 利 用 システムの 組 み 合 わせで 温 室 効 果 ガスと 建 設 費 維 持 管 理 費 の 大 幅 な 削 減 を 実 現 高 効 率 高 温 消 化 システム スマート 発 電 システム

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巻 頭 言 巻 頭 言 今 こそ 再 生 と 利 用 促 進 の 好 機 国 土 交 通 省 水 管 理 国 土 保 全 局 下 水 道 部 長 岡 久 宏 史 ご 存 じだろうか 下 水 汚 泥 の 利 用 を2020 年 には85%とすることを 目 標 としていることを これは 平 成 21 年 6 月 に 成 立 した バイオマス 活 用 推 進 基 本 法 に 基 づき 策 定 し 閣 議 決 定 された バイオマス 活 用 推 進 基 本 計 画 に 記 載 されている 下 水 汚 泥 の 利 用 目 標 だ 下 水 汚 泥 のリサイクル 率 は 約 77%( 平 成 21 年 度 末 )であるが 下 水 汚 泥 に 含 まれるバイオマスの 利 用 率 つまり 消 化 ガスや 燃 料 化 緑 農 地 への 利 用 率 は 約 24%でしかない このバイオマスは カーボンニュートラルでもあり 利 用 することにより 地 球 温 暖 化 防 止 にも 寄 与 する この 貴 重 なバイオマスを 利 用 しない 手 はない そこで 本 基 本 計 画 は バイオガス 化 や 固 形 燃 料 化 等 のエネルギー 利 用 を 推 進 することによりこの 目 標 値 を 達 成 しようという 計 画 となっている 現 在 国 では この 目 標 の 達 成 に 向 けた 取 り 組 みを 積 極 的 に 進 めている 例 えば 新 成 長 戦 略 (H22.6 閣 議 決 定 )で グリーン イノベーション を 掲 げ 再 生 可 能 エネルギー 等 を 組 み 合 わせた 都 市 のエネル ギーマネジメントシステムの 構 築 を 指 摘 同 時 に 定 められた エネルギー 基 本 計 画 では 2020 年 までに 一 次 エネ ルギー 割 合 で10%を 目 標 に 設 定 し 下 水 熱 を 含 む 温 度 差 エネルギー 利 用 促 進 や 下 水 道 バイオガス 利 用 拡 大 などを 取 り 組 みとして 掲 げている また このような 政 策 を 推 進 するため 法 律 や 制 度 の 制 定 も 進 めている エネルギー 供 給 事 業 者 に 非 化 石 エネル ギーの 利 用 等 を 義 務 づけた いわゆる エネルギー 供 給 構 造 高 度 化 法 非 化 石 エネルギー 法 再 生 可 能 エネル ギーの 固 定 価 格 買 取 制 度 を 定 めた 電 気 事 業 者 による 再 生 可 能 エネルギー 電 気 の 調 達 に 関 する 特 措 法 また 都 市 再 生 特 措 法 を 改 正 し 特 定 の 地 域 において 未 処 理 下 水 熱 を 民 間 が 利 用 できるように 規 制 を 緩 和 した さらに 下 水 熱 や 下 水 汚 泥 の 利 用 を 促 進 するために 都 市 の 低 炭 素 化 の 促 進 に 関 する 法 律 案 を 今 国 会 に 提 出 する 予 定 である このように 下 水 道 の 持 つ 資 源 の 利 活 用 のドライビングフォースとなる 周 辺 環 境 が 整 いつつある この 期 を 逃 し てはいけない ところで この 利 活 用 を 推 進 するには それ 相 応 の 技 術 が 必 要 である そこで 国 自 ら 技 術 開 発 に 乗 り 出 してい る 下 水 道 未 利 用 エネルギーを 効 率 的 に 低 コストで 利 用 する 新 技 術 を 直 轄 事 業 として 実 規 模 で 実 証 する 事 業 を 開 始 した B-DASHと 名 付 けた 事 業 だ 実 証 する 機 会 が 簡 単 には 得 られない 民 間 企 業 に 変 わり 国 が 実 証 し 公 共 団 体 での 活 用 を 円 滑 に 進 めるための 制 度 だ 国 として 技 術 開 発 の 後 押 しを 積 極 的 に 進 めたいと 考 えている さらに 下 水 道 資 源 の 利 活 用 施 策 は 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 の 復 興 にも 役 立 てようと 考 えており 現 在 民 間 企 業 と 公 共 団 体 が 連 携 して 検 討 中 である また 来 年 度 は 下 水 熱 利 用 のモデル 的 な 事 業 も 開 始 する 世 は 日 々 変 化 し その 情 勢 も 刻 々と 変 わってくる そこに 新 たな 課 題 も 生 まる その 課 題 を 克 服 することを 好 機 と 捉 え 解 決 に 向 けた 挑 戦 を 開 始 することが 肝 要 である 好 奇 心 を 持 って 臨 めば 画 期 的 な 新 しいアイデアが 生 ま れるだろうし その 実 現 に 向 けて 冒 険 心 を 持 って 進 めば 活 路 も 開 ける 国 公 共 団 体 民 間 学 界 が 一 体 となって 知 恵 を 出 し 合 い 人 類 の 未 来 のために 下 水 道 資 源 の 再 生 と 利 用 を 促 進 しようではないか ( 5 )

再 生 と 利 用 論 説 yyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy 震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 日 本 大 学 大 学 院 総 合 科 学 研 究 科 野 池 達 也 キーワード: 震 災 復 興 メタン 発 酵 混 合 消 化 ランドフィルガス 地 産 地 消 エネルギー 拠 点 1.はじめに 2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分 18 秒 ( 日 本 時 間 ) 宮 城 県 牡 鹿 半 島 の 東 南 東 沖 130kmの 海 底 を 震 源 として 発 生 し た 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 は 日 本 における 観 測 史 上 最 大 のマグニチュード(Mw)9.0を 記 録 し 震 源 域 は 岩 手 県 沖 から 茨 城 県 沖 までの 南 北 約 500km 東 西 約 200kmの 広 範 囲 に 及 んだ この 地 震 により 場 所 に よっては 波 高 10m 以 上 最 大 遡 上 高 40.5mにも 上 る 大 津 波 が 発 生 し 東 北 地 方 と 関 東 地 方 の 太 平 洋 沿 岸 部 に 壊 滅 的 な 被 害 をもたらした 2011 年 7 月 25 日 時 点 で 震 災 による 死 者 行 方 不 明 者 は2 万 人 以 上 建 築 物 の 全 壊 半 壊 は 合 わせて24 万 戸 以 上 ピーク 時 の 避 難 者 は40 万 人 以 上 停 電 世 帯 は800 万 戸 以 上 断 水 世 帯 は 180 万 戸 以 上 に 上 った 1) 被 災 されました 皆 様 に 心 よりお 見 舞 い 申 し 上 げま す ご 犠 牲 になられました 方 々の 御 霊 に 慎 んで 哀 悼 の 意 を 表 してやみません 下 水 道 施 設 の 被 害 および 復 旧 状 況 については 岩 手 県 宮 城 県 及 び 福 島 県 の 沿 岸 部 にある 下 水 処 理 場 16か 所 が 主 に 津 波 による 機 械 電 気 設 備 の 損 傷 により 稼 働 停 止 し これら 処 理 場 のうち 汚 水 流 入 のある13か 所 では 応 急 対 策 が 実 施 されている 管 渠 については 129 市 町 村 等 の 下 水 管 64,730kmのうち 556kmで 被 災 破 損 箇 所 については 仮 配 管 や 仮 設 ポンプ 設 置 等 による 応 急 対 応 を 実 施 しつつ 順 次 本 復 旧 が 行 われて いる 2) 地 震 発 生 後 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 ( 福 島 県 双 葉 郡 大 熊 町 双 葉 町 )において 日 本 及 び 世 界 に おける 最 大 規 模 の 原 子 力 事 故 が 発 生 した 巨 大 地 震 及 び 大 津 波 が 原 因 で 炉 心 溶 融 および 水 素 爆 発 が 発 生 する までに 至 ったのも 米 国 メーカー 設 計 の 原 子 炉 容 器 が 大 きく 損 傷 して 放 射 性 物 資 が 大 量 に 外 へ 漏 れだしたの も 本 事 故 が 原 子 力 発 電 史 上 初 めてである 様 々な 要 因 が 重 なり 国 際 原 子 力 事 象 評 価 尺 度 のレベル7( 深 刻 な 事 故 )に 相 当 する 多 量 の 放 射 性 物 質 が 外 部 に 漏 れ 出 た 同 レベルの 原 子 力 事 故 は 1986 年 4 月 26 日 にソ ビエト 連 邦 で 起 きたチェルノブイリ 原 子 力 発 電 所 事 故 以 来 世 界 史 上 2 例 目 である 3) 政 府 は 原 子 力 災 害 特 別 措 置 法 に 基 づき 原 子 力 緊 急 事 態 を 宣 言 付 近 住 民 の 避 難 が 行 われた 住 民 の 方 々の 苦 しみは 測 り 知 れない また 福 島 原 発 の 停 止 などによって 東 京 電 力 の 供 給 量 が 不 足 し 計 画 停 電 ( 突 発 的 な 停 電 を 防 ぐため 地 域 と 時 間 を 限 定 して 行 う 停 電 )が 実 施 された 津 波 による 塩 害 を 受 けた 田 畑 は 宮 城 県 岩 手 県 で 23,600haにも 達 し 農 作 物 の 栽 培 は 当 分 の 間 不 可 能 の 状 態 となっている この 度 の 大 地 震 津 波 により 廃 墟 と 化 した 被 災 地 に 立 ち あまりの 悲 惨 さに 言 葉 を 失 う 加 えて 福 島 原 発 の 深 刻 な 問 題 が 生 じている 今 なお 悲 しみと 苦 し みの 中 にある 被 災 を 受 けられた 多 くの 方 々 尊 い 生 命 を 失 われた 犠 牲 者 の 方 々のことを 思 い 私 達 は 何 らか のありかたで 震 災 からの 復 興 のためのお 役 に 立 たせ ていただきたい 願 いに 駆 られる ( 6 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 政 府 自 治 体 をはじめ 国 をあげての 救 援 復 旧 活 動 が 行 われており ことに 現 地 に 行 かれ 瓦 礫 や 泥 の 排 除 等 のボランテイア 活 動 を 率 先 して 行 っておられる 若 き 人 々の 姿 に 心 打 たれる このような 悲 惨 な 被 災 地 の 状 況 を 目 の 前 にして せめて ライフワークとしてき たメタン 発 酵 によって 被 災 地 域 にバイオガスエネル ギーを 供 給 し 復 興 される 地 域 に 循 環 型 社 会 が 形 成 さ れ 津 波 による 塩 害 原 発 事 故 による 放 射 性 物 資 対 策 のために メタン 発 酵 を 如 何 に 活 用 してゆくべきかに ついて 考 えたい 2. 復 興 構 想 7 原 則 ー 悲 惨 の 中 の 希 望 ー 2011 年 6 月 25 日 東 日 本 大 震 災 復 興 構 想 会 議 によっ て 提 言 された 復 興 構 想 7 原 則 の 中 の 四 原 則 を 以 下 に 掲 げる 原 則 1: 失 われたおびただしい いのち への 追 悼 と 鎮 魂 こそ 私 たち 生 き 残 った 者 にとって 復 興 の 起 点 である この 観 点 から 鎮 魂 の 森 やモニュメントを 含 め 大 震 災 の 記 録 を 永 遠 に 残 し 広 く 学 術 関 係 者 により 科 学 的 に 分 析 し その 教 訓 を 次 世 代 に 伝 承 し 国 内 外 に 発 信 する 原 則 2: 被 災 地 の 広 域 性 多 様 性 を 踏 まえつつ 地 域 コミュニテイ 主 体 の 復 興 を 基 本 とする 国 は 復 興 の 全 体 方 針 と 制 度 設 計 によってそ れを 支 える 原 則 4: 地 域 社 会 の 強 い 絆 を 守 りつつ 災 害 に 強 い 安 全 安 心 のまち 自 然 エネルギー 活 用 型 地 域 の 建 設 を 進 める 原 則 7: 今 を 生 きる 私 達 全 てが この 大 災 害 を 自 ら のことと 受 け 止 め 国 民 全 体 の 連 帯 と 分 か ち 合 いによって 復 興 を 推 進 するものとす る 被 災 地 域 が 循 環 型 社 会 として 復 興 するために その 地 域 の 実 情 に 対 応 した 自 然 ( 再 生 可 能 )エネルギーに よる 地 産 地 消 のエネルギー 拠 点 の 形 成 が 求 められる 3. 日 本 におけるバイオガスエネルギー 生 産 の ポテンシャル (1)バイオマスのメタン 発 酵 により 供 給 可 能 なバイオ ガスエネルギーポテンシャルの 算 定 2007 年 度 の 廃 棄 物 系 バイオマスのうちで 下 水 汚 泥 生 ごみ 家 畜 排 泄 物 の 年 間 賦 存 量 に 対 して これ らを 全 量 メタン 発 酵 することによる 年 間 エネルギー 回 収 ポテンシャルを 表 1のように 算 定 すると 原 油 換 算 で376 万 klが 得 られる 4) これはわが 国 の 年 間 原 油 輸 入 量 2 億 4,900 万 kl(2005 年 度 )の 約 1.5%に 相 当 する 量 であり 膨 大 なエネル ギーポテンシャルの 存 在 を 示 している ちなみに 376 万 klの 原 油 を 電 力 に 換 算 すると 原 油 0.243Lか ら の 発 電 量 を1kwhと し て ( 発 電 効 率 38%) 154 億 7,325 万 kwhの 電 力 に 相 当 する (2) 東 京 電 力 福 島 第 1 原 子 力 発 電 所 発 電 量 との 比 較 1 号 機 出 力 :46 万 kwに 対 して 廃 棄 物 系 バイオマスのメタン 発 酵 による 総 電 力 154 億 7,325 万 kwhの 出 力 は 176 万 kwであるので 176 万 kw /46 万 kw = 3.8 1 号 機 規 模 の 原 発 約 4 基 分 に 相 当 する 巨 大 な 電 力 が 生 産 される また 1 世 帯 当 たり0.4kwとすれば441 万 5,900 世 帯 への 電 力 供 給 潜 在 能 力 が 示 される ドイツでの2010 年 における 約 6,000か 所 のバイオガ スプラントによる 発 電 量 は230 万 kwであるので 1 号 機 規 模 の 原 発 の5 基 分 に 相 当 する 電 力 が バイオマス 表 1 廃 棄 物 系 バイオマスからのメタンガス 生 成 量 (ポテンシャル) 原 油 換 算 ( 7 )

再 生 と 利 用 のメタン 発 酵 により 生 産 されている 4. 復 興 地 域 のエネルギー 拠 点 となり 得 るメタ ン 発 酵 システム (1) 日 本 におけるメタン 発 酵 の 普 及 の 現 状 5) 下 水 道 は 循 環 のみち として 生 活 環 境 の 保 全 はも とより 地 球 環 境 保 全 に 対 して 特 に 大 きな 役 割 を 担 う 時 代 となっている 下 水 汚 泥 は 代 表 的 な 廃 棄 物 系 バイ オマスであり 嫌 気 性 消 化 によって 生 成 されたバイオ ガスは 貴 重 な 石 油 代 替 エネルギー 資 源 である ま た コンポストとして 緑 農 地 利 用 されることによっ て 大 地 の 豊 かさを 守 ると 共 に 二 酸 化 炭 素 を 不 活 性 な 有 機 物 として 土 中 に 埋 設 処 分 することが 可 能 であ る 図 1に 示 すように 日 本 における 下 水 処 理 場 数 は 下 水 道 整 備 の 進 捗 によって 毎 年 増 え 続 け 2008 年 度 末 時 点 で2,120 箇 所 であるが そのうち 汚 泥 処 理 に 嫌 気 性 消 化 法 を 採 用 している 処 理 場 は 約 280 箇 所 ( 休 止 中 を 除 く)であり 標 準 活 性 汚 泥 法 を 採 用 している 処 理 場 676 箇 所 の41.4%の 箇 所 で 採 用 されており 6) こ こ20 年 間 は 横 ばい 状 態 にある また 処 理 水 量 規 模 が 1 万 ~5 万 m 3 / 日 の 処 理 場 では 概 ね50%の 処 理 場 で 採 用 され 1 万 m 3 / 日 未 満 では10%と 少 ない 6) 1990 年 代 の 後 半 から 循 環 型 社 会 の 形 成 に 対 応 する 廃 棄 物 処 理 システムとして 厚 生 省 ( 当 時 )により し 尿 処 理 施 設 は 地 域 の 汚 泥 再 生 処 理 センター とし て 新 たに 位 置 づけられ メタン 発 酵 堆 肥 化 などを 含 めた 資 源 循 環 型 システムの 開 発 が 求 められるように なった その 結 果 日 本 における 生 ごみメタン 発 酵 処 理 プラントの 建 設 は 平 成 9 年 (1997 年 ) 度 から 始 まった 汚 泥 再 生 処 理 センター 事 業 において 開 始 さ れ 現 在 までに20 箇 所 の 汚 泥 再 生 センターが 稼 働 して いる 7) バイオマス ニッポン 総 合 戦 略 の 推 進 のために メ タン 発 酵 による 廃 棄 物 系 バイオマスからのエネルギー 回 収 が 国 策 として 推 奨 され 2005 年 度 までに 食 品 工 場 廃 水 を 対 象 とする44ヵ 所 食 品 固 形 廃 棄 物 を 対 象 と する46ヵ 所 家 畜 排 せつ 物 を 対 象 とする76ヵ 所 のメタ ン 発 酵 施 設 が 建 設 されている 5) 8) (2) 下 水 処 理 場 における 混 合 メタン 発 酵 の 意 義 国 土 交 通 省 は 既 存 の 下 水 処 理 場 の 汚 泥 消 化 槽 に よって 多 くのエネルギー 生 産 を 行 うために 生 ご み 剪 定 枝 および 畜 産 排 せつ 物 等 のバイオマスを 投 入 し 下 水 汚 泥 + 他 のバイオマスの 混 合 メタン 発 酵 ( 消 化 )によるバイオマス 利 活 用 事 業 を 推 進 している 下 水 処 理 場 が 下 水 汚 泥 と 地 域 で 発 生 するバイオマ スを 受 け 入 れて 混 合 メタン 発 酵 し エネルギーを 回 図 1 日 本 におけるメタン 発 酵 施 設 の 現 状 ( 8 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 収 有 効 利 用 することで 地 域 の 廃 棄 物 処 理 コストを 大 幅 に 削 減 し 下 水 道 が 地 域 の 低 炭 素 社 会 および 地 産 地 消 のエネルギー 拠 点 となることができる 混 合 メタン 発 酵 においては 図 2に 示 すように 下 水 汚 泥 やそれぞれのバイオマスを 単 独 でメタン 発 酵 を 行 う 場 合 と 比 べて 物 質 分 解 における 相 乗 効 果 が 期 待 でき バイオガス 生 成 量 の 増 大 がもたらされる 下 水 汚 泥 中 には 嫌 気 性 細 菌 の 増 殖 に 必 要 な 微 量 元 素 が 豊 富 に 存 在 することも 混 合 メタン 発 酵 を 行 うことによ り 他 のバイオマス 単 独 のメタン 発 酵 の 場 合 よりも 安 定 したメタン 発 酵 が 行 われると 考 えられる さらにメタン 発 酵 対 象 物 のC/N 比 の 調 整 も 混 合 メタ ン 発 酵 の 効 果 である バイオマス 中 の 分 解 可 能 な 炭 素 と 窒 素 分 の 比 率 の 最 適 C/N 比 =15~25とされている C/N 比 が 高 いと 菌 の 増 殖 に 必 要 な 窒 素 分 が 不 足 し 分 解 作 用 が 遅 れる 例 乳 牛 ふん 尿 のC/N 比 15~34であ るが 分 解 困 難 な 体 毛 敷 料 を 除 くとC/N 比 25 以 下 と なる 配 合 飼 料 が 多 い 乳 牛 ふん 尿 厨 芥 食 用 油 水 産 加 工 残 さ ヒトデ ト 場 残 さのC/N 比 は 低 い( 窒 素 分 が 多 い)ので C/N 比 を 改 善 するために 有 機 物 を 添 加 して 調 整 することが 望 まれる 8) 1)LOUTUSプロジェクトによる 検 証 国 土 交 通 省 は 混 合 消 化 の 技 術 を 確 立 するため に 2005 年 より3 年 間 にわたって 財 団 法 人 下 水 道 新 技 術 推 進 機 構 に お い て LOTUS(Lead to Outstanding Technology for Utilization of Sludge) Project 下 水 汚 泥 資 源 化 先 端 技 術 誘 導 プロジェ クト を 実 施 した 1 有 機 物 分 解 率 特 性 の 検 証 実 証 実 験 を 行 った 生 ごみ25% 混 合 までは 下 水 汚 泥 および 生 ごみの 消 化 が 順 調 に 行 われ それぞれに 良 好 な 処 理 が 可 能 であることを 確 認 した さらに 生 ごみの 投 入 によってバイオガス 発 生 量 が 倍 増 し た 2 発 電 コストの 試 算 開 発 目 標 :9.3 円 /kwh(07 年 全 国 買 電 平 均 単 価 : 高 圧 B) 以 下 に 対 して 3.4 円 /kwh~5.0 円 /kwhの 優 れた 結 果 を 得 た 3エネルギー 化 技 術 ガイドライン( 混 合 消 化 マニュ アル)( 案 ) 8) の 作 成 2) 混 合 消 化 の 最 初 の 事 業 : 珠 洲 市 浄 化 センターバ イオマスメタン 発 酵 施 設 2007 年 8 月 石 川 県 珠 洲 市 浄 化 センターでは 国 土 交 通 省 からの 新 世 代 下 水 道 支 援 事 業 制 度 リサ イクル 推 進 事 業 並 びに 環 境 省 からの 循 環 型 社 会 形 成 推 進 交 付 金 事 業 により 下 水 汚 泥 農 業 集 落 排 水 汚 泥 浄 化 槽 汚 泥 生 し 尿 および 事 業 系 廃 棄 物 ( 生 ごみ 魚 アラ 等 )5 種 類 を 対 象 としたバイオマ スメタン 発 酵 が 開 始 された 発 生 したメタンガスをエネルギーとして 処 理 場 内 で 全 て 活 用 するとともに 処 理 の 最 終 過 程 で 発 生 す る 消 化 汚 泥 を 乾 燥 肥 料 化 ( 為 五 郎 の 愛 称 で 人 気 ) 図 2 混 合 消 化 を 行 うメリット ( 9 )

再 生 と 利 用 し 農 業 利 用 に 役 立 て 地 域 循 環 型 社 会 形 成 の 推 進 及 び 地 球 温 暖 化 防 止 に 大 きく 貢 献 するとともに コ スト 縮 減 においては 本 施 設 の 導 入 により 各 バイ オ マ ス い 減 2) 温 室 効 果 ガ ス 排 出 量 1 日 当 り 290kg 削 減 (CO2 換 算 )の 効 果 が 見 込 まれている 3) 北 海 道 北 広 島 市 バイオマス 混 合 処 理 施 設 下 水 汚 泥 :131トン/ 日 生 ごみ:17トン/ 日 し 尿 浄 化 槽 汚 泥 40トン/ 日 の 混 合 メタン 発 酵 を 行 い バイオガスは 消 化 タンクの 加 温 や 乾 燥 機 の 燃 料 と して 処 理 場 内 ですべて 活 用 する 消 化 汚 泥 は 緑 農 地 還 元 を 基 本 とし 地 域 で 肥 料 として 有 効 利 用 す る 2011 年 4 月 から 家 庭 系 生 ごみの 受 入 れを 開 始 し 8 月 からは 事 業 系 生 ごみの 受 入 れが 開 始 され た 下 水 汚 泥 消 化 槽 に 家 庭 系 生 ごみを 受 入 れる 事 業 は 北 広 島 市 が 初 めてである 9) 4) 富 山 県 黒 部 市 下 水 道 バイオマス 利 活 用 施 設 下 水 汚 泥 :24,346m 3 / 年 農 業 集 落 排 水 汚 泥 : 1,084 m 3 / 年 浄 化 槽 汚 泥 :134 m 3 / 年 デイスポー ザ 生 ごみ:688 m 3 / 年 コーヒー 粕 :2884 m 3 / 年 の 混 合 メタン 発 酵 を 行 い バイオガスはボイラーに 供 給 して 汚 泥 の 乾 燥 に 利 用 する 残 りのバイオガス は マイクロガスタービンの 燃 料 とし 発 電 した 電 力 は 場 内 で 利 用 する ガスタービンの 廃 熱 は 消 化 タンクの 加 温 に 使 い 乾 燥 汚 泥 は 事 業 者 が 石 炭 代 替 燃 料 として 売 却 する 施 設 の 大 きな 特 徴 は 化 石 燃 料 を 用 いず バイオマスエネルギーだけで 汚 泥 を 乾 燥 燃 料 化 する 自 己 完 結 型 のシステムである コー ヒー 粕 は すりつぶすことにより 1トン 当 たり 2,000m 3 のバイオガスを 発 生 させることができ 下 水 汚 泥 に 比 べて 約 10 倍 の 発 生 量 が 期 待 できる 2011 年 5 月 より 稼 動 を 開 始 している バイオガスに より 造 られた 温 水 で 見 学 者 は ばいおーゆ とい う 親 しみやすい 愛 称 の 足 湯 を 楽 しむことができる 5) 下 水 処 理 場 を 核 とした 地 域 バイオマス 利 活 用 構 想 山 形 市 浄 化 センターでは 下 水 汚 泥 を 消 化 槽 に よって 処 理 し 発 生 したバイオガスをガスエンジン および 燃 料 電 池 によって 発 電 し 処 理 場 の 総 電 力 の 61.6%の 電 力 をバイオガス 発 電 から 供 給 している 10) 発 電 によって 生 ずる 排 熱 は 消 化 槽 の 加 温 に 用 いら れ コージェネレーションを 行 っている 消 化 汚 泥 は 脱 水 ケーキにされ 西 明 石 コンポストセンターで コンポスト 化 されている 消 化 汚 泥 のコンポスト 化 は 悪 臭 の 発 生 がきわめて 低 く 疫 学 的 にも 安 全 度 が 図 3 珠 洲 市 浄 化 センターバイオマスメタン 発 酵 施 設 ( 10 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 高 く コンポスト 製 造 期 間 が 短 縮 化 される 生 産 さ れたコンポストは 山 形 コンポスト の 名 称 で 農 業 利 用 され 人 気 が 高 い 11) 表 2は 消 化 ガス 発 電 によ る 最 新 の 電 力 自 給 率 を 示 している 従 来 下 水 汚 泥 の 嫌 気 性 消 化 によって 生 成 されるバイオガス 発 電 に よって 回 収 される 電 力 は 下 水 処 理 場 総 電 力 の30% 程 度 であった 12) が 山 形 市 浄 化 センターにおける 類 い 稀 な 努 力 によって 61%を 超 える 電 力 の 自 給 率 を 得 ていることは 目 覚 しい 成 果 である 嫌 気 性 消 化 の 導 入 によって 市 の 財 政 の 上 でも また CO2 削 減 の 上 でも どれほど 大 きな 恩 恵 が 与 えられている か 測 り 知 れないことである 図 4は 山 形 市 下 水 処 理 場 を 核 とする 地 域 バイオマス 利 活 用 構 想 を 示 して いる これによれば 山 形 市 浄 化 センターの 場 合 は 下 水 汚 泥 単 独 のメタン 発 酵 であるが 1) 4)の 実 例 のように その 他 のバイオマスも 受 入 れて 混 合 メ タン 発 酵 を 行 うことにより エネルギー 生 産 と 物 質 循 環 のために 果 たす 役 割 はさらに 大 きくなる かく して 下 水 処 理 場 を 中 心 とした 循 環 型 社 会 が 当 該 都 市 において 形 成 される そのために 地 域 ごとにバイオマスメタン 発 酵 施 設 を 設 置 し 自 然 災 害 の 非 常 時 にも 電 力 エネルギーを 地 域 に 供 給 できるその 地 域 の 地 産 地 消 型 のエネルギー 拠 点 とするべきである さらに 地 域 分 散 型 小 規 模 メタン 発 酵 施 設 は 震 災 復 興 後 の 地 域 の 実 情 に 即 した 施 設 費 の 安 価 で 維 持 管 理 の 容 易 な 普 及 しやすいものが 願 わしい 1) 農 村 地 域 型 小 規 模 メタン 発 酵 施 設 (JARUS) 13) 農 村 地 域 の 生 活 排 水 処 理 を 行 う 農 業 集 落 排 水 処 理 施 設 ( 集 排 施 設 )は 現 在 全 国 に 約 5,200 箇 所 建 設 されている 農 村 地 域 でのバイオマス 利 活 用 のた めには 数 多 く 存 在 する 集 配 施 設 とバイオマス 利 活 用 施 設 (メタン 発 酵 施 設 )の 連 携 により 以 下 に 示 表 2 消 化 ガス 発 電 による 山 形 市 浄 化 センターの 電 力 10) 自 給 率 (3) 地 域 分 散 型 小 規 模 簡 易 型 メタン 発 酵 システム 東 日 本 大 震 災 における 原 発 事 故 による 電 力 不 足 や がて 必 ず 到 来 する 化 石 資 源 エネルギーの 枯 渇 に 対 し て これまで 安 易 に 焼 却 処 分 してきた 生 ごみなどのバ イオマスをエネルギー 資 源 として 有 効 利 用 する 時 に 至 っている 図 4 下 水 処 理 場 を 核 とする 地 域 バイオマス 利 活 用 構 想 ( 11 )

再 生 と 利 用 す 利 点 が 考 えられる 1 地 産 地 消 型 のエネルギー 拠 点 となり 得 る 2 既 存 の 集 排 施 設 に 隣 接 するメタン 発 酵 施 設 は 建 設 用 地 の 取 得 が 比 較 的 用 であり 維 持 管 理 の 上 で 既 存 の 集 排 施 設 の 管 理 組 合 等 の 協 力 が 得 やす い 3メタン 発 酵 により 生 成 する 余 剰 な 電 気 熱 エネ ルギーを 集 排 施 設 に 供 給 することにより 経 済 効 果 が 期 待 できる 図 6に 示 されるように 農 業 集 落 排 水 処 理 施 設 に メタン 発 酵 施 設 を 併 設 し その 地 域 の 水 循 環 およびバ イオマス 循 環 の 拠 点 とすることができる 2)メタン 発 酵 を 基 幹 施 設 とするバイオマスタウン 図 7は メタン 発 酵 を 基 幹 施 設 とするバイオマ スタウンのイメージを 示 している ここでは 地 域 社 会 から 排 出 される 浄 化 槽 汚 泥 汲 取 りし 尿 生 ごみ 食 品 残 渣 および 家 畜 排 せつ 物 などのバイ オマスは 全 てメタン 発 酵 堆 肥 化 施 設 に 運 ばれ 処 理 される ここで 生 産 されたバイオガスはこの 地 域 でエネルギーとして 利 用 され 液 肥 および 堆 肥 は 有 機 肥 料 として 農 業 利 用 され いわば 地 産 地 消 のエネルギーおよび 肥 料 の 生 産 および 循 環 利 用 が 行 われる このようにして この 地 域 に 循 環 型 社 会 が 実 現 される 3) 福 岡 県 大 木 町 に 実 現 したバイオマスタウン 14) 福 岡 県 大 木 町 は わが 国 において 最 初 に 実 現 した メタン 発 酵 を 基 幹 施 設 とするバイオマスタウンであ る 大 木 町 では 長 年 にわたり し 尿 浄 化 槽 汚 泥 の 処 理 は 海 洋 投 棄 に 頼 っていたが 2007 年 2 月 から 国 際 条 約 により 海 洋 投 棄 が 禁 止 されるため 陸 上 処 理 施 設 の 建 設 を 迫 られていた 行 政 担 当 者 はじめ 町 民 の 方 々の 地 球 環 境 問 題 に 対 する 関 心 が 高 く それ までの 焼 却 を 主 とする 安 易 なごみ 処 理 を 止 める 結 論 に 至 った そのため 一 方 町 内 の 生 ごみをメタン 発 酵 によ り 資 源 化 するための 共 同 研 究 には すでに2001 年 度 から 取 組 んできており 生 ごみと 一 緒 にし 尿 浄 化 槽 汚 泥 をメタン 発 酵 により 資 源 化 する 計 画 を 具 体 化 することになった しかし 生 ごみとし 尿 浄 化 槽 汚 泥 をメタン 発 酵 により 直 接 資 源 化 する 方 法 は 当 時 全 国 でも 実 績 が 少 なく メタン 発 酵 の 技 術 的 な 問 題 や 廃 棄 物 処 理 法 および 国 の 補 助 制 度 など いく つかの 課 題 があったが おりしも 2002 年 にはバイ オマス ニッポン 総 合 戦 略 の 施 策 が 開 始 され さら にバイオマスの 資 源 利 用 に 対 する 機 運 が 整 い 国 や 関 係 機 関 の 支 援 を 受 けることが 可 能 となり おおき 図 5 既 存 の 農 業 集 落 排 水 施 設 と 連 携 した 新 たなバイオマス 変 換 システム 13) ( 12 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 図 6 農 村 地 域 の 水 循 環 とバイオマス 循 環 図 7メタン 発 酵 を 基 幹 施 設 とするバイオマスタウン 循 環 センター くるるん の 建 設 計 画 がついに 実 現 することになった 生 ごみの 分 別 によって 焼 却 ご みの 量 は44%も 減 少 したことは 著 しい 成 果 である 町 民 の 方 々の くるるん に 対 する 熱 意 と 協 力 は 著 しく 大 木 町 もったいない 宣 言 子 供 達 の 未 来 が 危 ない のスローガンのもとで 3カ 条 の 宣 言 が 公 表 されるほどに 全 町 民 は 地 球 環 境 問 題 の 解 決 に 対 する 熱 意 にみちている 2006 年 11 月 より 図 8に 示 すように メタン 発 酵 施 設 くるるん において 町 内 から 発 生 する 全 て ( 13 )

再 生 と 利 用 の 生 ごみ:3.8t/ 日 浄 化 槽 汚 泥 30.6t/ 日 し 尿 : 7.0t/ 日 を 中 温 メタン 発 酵 することにより 消 化 液 は 約 6,000t/ 年 生 成 され 液 肥 として 水 稲 麦 作 に 利 用 し 環 のめぐみ の 名 称 のブランド 米 85t/ 年 が 生 産 されている 大 木 町 は 農 業 が 中 心 の 地 域 であ り メタン 発 酵 施 設 は 廃 棄 物 処 理 施 設 あるいはエ ネルギー 生 産 施 設 というよりも むしろ 液 肥 を 生 産 する 施 設 と 位 置 づけられている 化 学 肥 料 が 高 騰 し ている 今 日 農 家 にとって 大 きな 恩 恵 である 水 処 理 設 備 が 不 要 であり 施 設 の 電 力 も 自 家 製 造 したエ ネルギーで 自 給 されるので 維 持 管 理 費 用 を 抑 える ことができる おおき 循 環 センターくるるん は バイオマス タウン 構 想 のみでなく 大 木 町 の 循 環 のまちづく りの 象 徴 と 位 置 付 けられており 町 の 中 心 部 に 確 保 された2ヘクタールほどの 土 地 に 建 設 されてい る くるるん は あくまで 地 域 資 源 としてバイ オマスを 利 活 用 する 施 設 であり 本 当 の 意 味 で 循 環 の 中 核 施 設 であることを 町 民 の 方 々に 浸 透 させ たいとの 意 図 に 基 づいたものといえる また 同 施 設 で 生 産 された 液 肥 を 使 用 した 地 元 産 の 農 作 物 の 直 売 所 の 併 設 も 進 められ 安 全 な 農 作 物 を 地 域 に 還 元 する 地 産 地 消 をめざしている 図 9に 示 されるように 大 木 町 においては メ タン 発 酵 を 基 幹 施 設 として 生 ごみ し 尿 浄 化 槽 汚 泥 等 のバイオマスが 地 域 資 源 として 循 環 利 活 用 され 循 環 型 社 会 が 形 成 されている 15) 4) 埼 玉 県 小 川 町 における 生 ごみ 資 源 化 事 業 小 川 町 は 埼 玉 県 のほぼ 中 央 に 位 置 し 面 積 : 60.45km 2 人 口 :36,264 人 世 帯 数 :12,660 世 帯 の 農 業 地 域 である ここでは 特 定 非 営 利 活 動 法 人 小 川 町 風 土 活 用 センター(NPOふうど)を 中 心 に 1992 年 より 農 家 を 対 象 にバイオガスプラントの 建 設 運 転 や 生 産 される 副 産 物 の 肥 料 の 利 用 試 験 を 行 っている 2001 年 より それらの 経 験 を 生 かして 小 川 町 並 びに 地 域 住 民 との 協 働 で 生 ごみをバイオ ガスプラントで 資 源 化 する 実 証 事 業 を 行 っている 現 在 焼 却 している 生 ごみを 資 源 化 することよっ て 焼 却 の 補 助 燃 料 が 大 幅 に 節 減 され 得 られた 差 益 は 生 ごみクーポン 券 という 地 域 通 貨 として 生 ごみ 分 別 に 協 力 した 世 帯 に 還 元 されている 焼 却 処 理 費 用 は32 円 /kg 一 方 バイオガスプラントでの 資 源 化 費 用 は12 円 /kgなので 20 円 /kgがクーポン 分 となる 生 ごみを 提 供 する 世 帯 は 代 わりにこの クーポンを 受 け 取 り 年 2 回 開 かれる 野 菜 交 換 会 で 地 元 野 菜 と 交 換 できる 農 家 はクーポンを 町 に 渡 し 相 当 の 円 貨 を 受 け 取 るしくみである 図 8 おおき 循 環 センター くるるん のバイオガスシステムのフローシート ( 14 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 図 9 輪 をつなぐ 協 働 のしくみ 小 川 町 の 生 ごみ 発 生 総 量 は 年 間 1,600トンなので 最 大 約 3000 万 円 相 当 が 通 貨 原 資 に 振 替 られると 考 え ら れ て い る バ イ オ ガ ス 発 生 可 能 量 は お よ そ 490m 3 / 日 生 産 される 液 肥 は9,800m 3 / 年 小 川 町 の 全 水 田 面 積 に 施 肥 可 能 である 2011 年 7 月 現 在 小 川 町 学 校 給 食 センター( 小 中 学 校 向 け)からの 野 菜 くずと 残 飯 のほぼ 全 量 (2,000 食 / 日 ) および 一 般 家 庭 100 世 帯 の 生 ごみの2 種 類 が 収 集 されており 一 般 家 庭 数 に 換 算 すると 300 世 帯 程 度 に 相 当 する 地 元 の 自 然 エネルギー 技 術 と 地 域 の 生 ごみ を 使 って エネルギー 生 産 や 農 業 と 町 おこしに 取 り 組 んでいる メタン 発 酵 施 設 は 建 屋 を 含 めてすべて 参 加 住 民 の 手 造 りで あり 総 建 設 費 は800 万 円 で 参 加 住 民 の 出 資 と 銀 行 融 資 によるものであり 外 部 からの 補 助 金 を 全 く 受 けていない 施 設 は 順 調 に 稼 動 し 液 肥 の 生 産 ガスを 使 ったホンダ 技 研 とのコジェネ 発 電 実 験 も 継 続 中 である この 事 業 の 特 長 は 資 源 化 事 業 を 行 っているバイオガスプラントでのお 泊 り 体 験 コースで 全 国 から 参 加 者 が 集 まっている 図 11は 参 加 住 民 の 手 造 りによるメタン 発 酵 施 設 と 液 肥 貯 留 施 設 である メタン 発 酵 温 度 は35 滞 留 日 数 は 約 100 日 である 維 持 管 理 はすべて 参 加 住 民 の 手 で 行 い 生 ごみの 収 集 は 小 川 町 が 担 当 し ている 筆 者 は 2011 年 7 月 この 施 設 を 見 学 する 機 会 に 恵 まれ 農 家 の 方 々の 手 造 りによる 全 施 設 とメ タン 発 酵 装 置 液 肥 貯 留 槽 の 維 持 管 理 をご 自 分 た ちの 手 で 行 っておられる 貴 重 な 様 子 を 学 ぶことが でき メタン 発 酵 が 農 村 地 域 の 人 々の 生 活 と 活 動 を 支 えるために 如 何 になくてはならない 基 幹 施 設 であるかを 強 く 知 らされた 16) 5)エネルギー 自 給 による 有 機 農 場 経 営 埼 玉 県 小 川 町 霜 里 農 場 ( 金 子 美 登 場 長 )では 40 年 間 にわたって 有 機 農 業 を 確 立 し 世 界 40か 国 から の 研 修 生 を 受 け 入 れ 世 界 中 で 霜 里 農 場 方 式 の 有 機 農 業 が 実 践 されている さらに 太 陽 光 やバイオマ スを 利 用 し 農 業 から 生 活 までエネルギーの 自 給 を 行 っている 生 ごみや 糞 尿 はバイオガスという 自 然 エネルギーとして 生 かされ ウシ2 頭 (ブタなら8 頭 ニワトリなら280 羽 人 間 なら40 人 )で 1 日 2 立 方 メートルものガスがとれ 家 族 五 人 分 の 生 活 をまかなえるとし 図 12に 示 す 地 下 埋 設 式 無 加 温 無 撹 拌 のメタン 発 酵 槽 により バイオガスと 液 肥 の 生 産 を 行 い 自 家 のエネルギー 源 および 有 機 肥 料 に 用 いている 中 国 の 農 村 には 2010 年 に4,000 万 基 の 自 家 用 メタン 発 酵 槽 が 普 及 している 17) が わが 国 ( 15 )

再 生 と 利 用 においても 霜 里 農 場 で 見 られている メタン 発 酵 が これほど 簡 易 な 装 置 で 誰 にも 容 易 に 操 作 可 能 な 施 設 であることを 実 証 するものである 筆 者 は 2011 年 11 月 12 日 に 霜 里 農 場 を 見 学 し 有 機 農 業 の 重 要 性 と 自 然 エネルギーによる 農 場 経 営 の 素 晴 らしさ を 目 の 当 りに 学 ばせていただいた 6)わが 国 における 埋 立 処 分 場 からのバイオガス 生 産 わが 国 の 一 般 廃 棄 物 の 排 出 および 処 分 状 況 (2009 年 度 )は 以 下 のようである 1ごみ 総 排 出 量 :4,625 万 トン( 東 京 ドームの 約 124 杯 分 ) 2 調 査 対 象 市 町 村 :1,750 市 町 村 と597 一 部 事 務 組 合 3ごみ 焼 却 施 設 数 :1,243 施 設 4 処 理 能 力 :186,205トン/ 日 5 一 般 廃 棄 物 最 終 処 分 場 数 :1,800 施 設 6 最 終 処 分 量 :507 万 トン 処 理 後 処 分 量 435 万 ト ン 直 接 処 分 量 72 万 トン 即 ち 年 間 72 万 トンの 生 ゴミが 直 接 埋 立 てられて おり 故 に 埋 立 地 より 発 生 するガスを 吸 引 しバイ オガスの 燃 料 化 や 発 電 する 方 法 があるといえる わが 国 では ランドフィルバイオガス 施 設 は 一 か 所 東 京 都 中 央 防 波 堤 内 側 埋 立 地 ガス 有 効 利 用 施 設 がある ガス 発 電 設 備 は 1986 年 12 月 に 中 央 防 波 堤 内 側 埋 立 地 に 建 設 され 以 来 現 在 に 至 るまで 埋 立 地 内 の 施 設 設 備 に 電 力 を 供 給 している 内 側 埋 立 地 は 1986 年 度 に 埋 立 終 了 した 途 中 設 備 移 設 及 びエンジン 方 式 の 変 更 等 のためフル 稼 働 しなかった 時 期 を 除 いても 年 々ランドフィルガス 中 のメタンガスは 減 少 しており 発 電 量 は 減 少 傾 向 にある また 2006 年 2 月 下 旬 からマイクロガス タービンエンジンによる 発 電 方 式 に 変 更 した 18) すでに 下 水 汚 泥 や 生 ごみの 埋 立 処 分 を 行 ってき た 処 分 場 から 今 も メタンガスが 発 生 し 大 気 中 に 放 散 され 地 球 温 暖 化 の 原 因 となっていることが 考 えられる すでに 埋 立 て 処 分 を 終 えた 処 分 場 を ラ ンドフィルバイオガス 施 設 として 有 効 利 用 可 能 かの 調 査 が 必 要 とされる 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 室 循 環 計 画 システム 研 究 室 ( 古 市 研 究 室 ) 神 尾 英 俊 氏 は 20 年 以 上 にわ たって 厨 芥 等 の 有 機 物 の 埋 立 てを 行 ってきた 北 海 道 の 北 部 のA 市 における 実 際 の 最 終 処 分 場 から 採 取 し た 試 料 の 回 分 実 験 を 行 い 長 期 メタンガスの 発 生 の 原 因 となる 廃 棄 物 種 を 特 定 し メタンガス 発 生 ポテ ンシャルの 時 系 列 解 析 により 今 後 処 分 場 から 排 出 されるメタンガス 発 生 量 の 推 定 を 行 っている メ タン 発 生 量 をCO2に 換 算 して A 市 の 年 間 の 総 CO2 発 生 量 の2.9%にするメタンガスが 最 終 処 分 場 から 発 図 10 小 川 町 における 生 ごみ 資 源 化 事 業 15) ( 16 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 図 11 メタン 発 酵 施 設 ( 右 の 建 屋 )と 液 肥 貯 留 施 設 ( 左 の 白 いドーム) 図 12 バイオガス 施 設 のしくみ 生 している 推 定 値 を 得 ている 19) すでに 埋 立 て 処 分 を 終 えた 処 分 場 を ランドフィ ルバイオガス 施 設 として 有 効 利 用 可 能 かの 調 査 が 必 要 とされる 放 射 性 物 質 を 含 む 下 水 汚 泥 や 有 機 性 廃 棄 物 を 管 理 型 処 分 場 に 埋 立 処 分 し やがてメタン 発 酵 によるバ イオガスを 生 産 するランドフィルバイオガス 施 設 と して 活 用 する 方 法 が 有 望 であると 考 えられる なお ランドフィルバイオガスの 有 効 利 用 とし て 平 常 時 は ガスボンベに 充 填 して 一 般 家 庭 の 燃 料 として 供 給 する 非 常 時 は 発 電 し その 地 域 に 電 力 を 供 給 する 等 の 在 り 方 が 上 げられる 韓 国 では 約 20ヵ 所 米 国 では 約 450ヵ 所 のランド フィルガス( 略 LFG)の 回 収 設 備 が 建 設 され EU 諸 国 ことに 英 国 ではバイオガス 生 産 量 の85%は ラ ンドフィルガス( 略 LFG)が 占 めている 20) 回 収 さ ( 17 )

再 生 と 利 用 れたガスは 発 電 等 々に 有 効 利 用 されている 各 国 で は 更 に 増 設 新 設 を 予 定 していると 聞 いている 図 13は 韓 国 釜 山 市 郊 外 の 環 境 資 源 公 園 にある ランドフィルバイオガス 施 設 である わが 国 では 再 生 可 能 エネルギーとしてのバイオ ガスの 有 効 性 を 早 急 に 考 える 必 要 がある 再 生 可 能 エネルギーの 確 保 ということから ランドフィルバ イオガス 施 設 が 有 効 な 方 法 と 考 えられる 5. 放 射 性 物 質 を 含 むバイオマスのメタン 発 酵 および 塩 害 の 農 地 の 利 用 に 対 するメタン 発 酵 の 役 割 津 波 により 処 理 機 能 を 失 った 下 水 処 理 場 では 当 面 沈 殿 消 毒 後 無 処 理 で 放 流 されており 下 水 汚 泥 の 処 分 先 が 求 められている さらに 放 射 性 物 質 を 含 む 汚 泥 の 処 理 処 分 が 問 題 となっている また 塩 害 により 農 作 物 の 栽 培 が 困 難 な 農 地 の 利 用 について メタン 発 酵 による 対 処 のあり 方 について 考 えたい (1) 放 射 性 物 質 を 含 む 下 水 汚 泥 や 有 機 性 廃 棄 物 を 管 理 型 処 分 場 に 埋 立 処 分 し やがてメタン 発 酵 による バイオガスを 生 産 するランドフィルバイオガス 施 設 として 活 用 する 方 法 が 有 望 であると 考 えられ る (2) 放 射 性 物 質 で 汚 染 されたバイオマスのメタン 発 酵 を 行 い バイオガスを 生 産 し 有 効 利 用 するととも に 消 化 液 を 脱 水 し 放 射 性 物 質 が 脱 水 ケーキお よびろ 液 にどの 程 度 残 留 するかについて 実 験 によ り 検 討 する 放 射 性 物 質 が 脱 水 ケーキに 留 まり ろ 液 には 含 有 しないことが 確 証 できれば 減 量 化 された 脱 水 ケーキを 貯 留 することによって メタ ン 発 酵 槽 はバイオマス 中 の 放 射 性 物 質 を 除 去 する 新 たな 機 能 を 有 することになる (3) 津 波 による 塩 害 の 農 地 は 宮 城 県 岩 手 県 全 体 で 23,600haに 達 している かつては 美 しい 水 稲 が 見 事 に 生 育 していた 水 田 は 現 在 うず 高 い 雑 草 が 生 い 茂 り 広 大 な 耕 作 放 棄 地 となってい る このような 塩 害 の 農 地 にも メタン 発 酵 に 適 する 資 源 作 物 を 栽 培 することができれば (もちろん 農 家 の 方 々が 農 業 を 再 開 された 後 に) メタン 発 酵 によりエ ネルギー 生 産 を 行 うことが 可 能 となる ドイツは 世 界 で 最 もメタン 発 酵 の 盛 んな 国 であ り 2010 年 にはメタン 発 酵 施 設 数 は6,000 箇 所 にも 達 しており 日 本 の10 倍 である 大 部 分 は 資 源 作 物 の トウモロコシを 液 肥 で 栽 培 し サイレージしたものを メタン 発 酵 している ドイツのバイオガスによる 電 力 生 産 は 230 万 kwであり 前 述 したように 福 島 原 発 1 号 機 の5 基 分 に 相 当 する 図 14は ドイツの 農 村 で 見 られるトウモロコシに 囲 まれたメタン 発 酵 施 設 を 示 している 6.おわりに (1) 復 興 される 被 災 地 の 新 しい 社 会 形 態 として その 地 域 のエネルギーは 再 生 可 能 エネルギーが 重 要 な 役 割 を 担 う 循 環 型 社 会 の 実 現 を 目 指 すべきであ る (2)わが 国 には メタン 発 酵 の 原 料 となる 豊 富 な 量 の 廃 棄 物 バイオマスが 私 達 の 周 辺 に 常 時 排 出 され ている これらをメタン 発 酵 することにより バ イオガスエネルギーを 確 実 に 生 産 することができ る また 消 化 液 は 安 心 安 全 な 液 肥 として 化 学 肥 料 に 代 替 することができる (3) 復 興 後 の 被 災 地 域 における 公 共 下 水 道 下 水 処 理 場 および 農 業 集 落 排 水 処 理 場 に メタン 発 酵 施 設 を 設 置 し 下 水 汚 泥 とその 他 のバイオマスの 混 合 メ タン 発 酵 を 行 うことにより その 地 域 の 地 産 地 消 のエネルギー 拠 点 となることができる (4) 原 発 事 故 により わが 国 では 再 生 可 能 エネル ギーの 重 要 性 が 強 く 認 識 されている 太 陽 光 風 力 発 電 だけでなく むしろこれまで 焼 却 処 分 され てきた 生 ごみ 下 水 汚 泥 および 直 接 堆 肥 化 されて きた 家 畜 排 せつ 物 等 の 全 ての 廃 棄 物 系 バイオマス に 対 してメタン 発 酵 を 行 い より 多 くのバイオガ スエネルギーを 生 産 して 行 くべきである (5)より 多 くの 再 生 可 能 エネルギーが 求 められる 今 日 わが 国 ではこれまで 顧 みられてこなかったラ ンドフィルバイオガス 生 産 の 可 能 な 廃 棄 物 処 分 場 図 13 韓 国 釜 山 市 環 境 資 源 公 園 にあるランドフィルバ イオガス 施 設 ( 18 )

震 災 復 興 に 貢 献 するメタン 発 酵 図 14 資 源 作 物 のとうもろこしのメタン 発 酵 によるバイオガスの 大 量 生 産 20) の 調 査 を 行 い エネルギー 生 産 に 着 手 すべきであ る (6)メタン 発 酵 は 放 射 性 物 質 を 含 有 するバイオマス からのエネルギー 生 産 に 加 えて 放 射 性 物 質 を 発 酵 残 渣 に 濃 縮 する 機 能 を 有 すると 考 えられ メタ ン 発 酵 の 新 たな 機 能 として 検 討 すべきである (7)メタン 発 酵 の 普 及 のためには 施 設 建 設 費 が 安 価 で 市 町 村 民 の 方 々 自 身 にも 操 作 可 能 な 地 域 分 散 型 小 規 模 簡 易 型 のメタン 発 酵 シテムの 普 及 を 進 めることも 重 要 である 引 用 文 献 1)インターネット: 東 日 本 大 震 災 Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/ 2)インターネット: 下 水 道 関 係 の 被 害 及 び 応 急 復 旧 状 況 と 取 組 状 況 www.mlit.go.jp/common/000138622.pdf 3)インターネット: 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/ 4) 野 池 達 也 編 メタン 発 酵 pp.203-204 技 報 堂 出 版 2009 5)( 社 ) 日 本 有 機 資 源 協 会 バイオガス 化 マニュア ル pp.135-155 2006 6) 社 団 法 人 日 本 下 水 道 協 会 日 本 の 下 水 道 p.18 2010 7)4)とおなじ pp.14-15 8) 財 団 法 人 下 水 道 新 技 術 推 進 機 構 下 水 処 理 場 への バイオマス( 生 ごみ 等 ) 受 入 れマニュアル( 案 ) 2011 9) 北 広 島 下 水 処 理 センター フォーカス: 下 水 処 理 場 での 生 ごみの 受 け 入 れ 環 境 施 設 NO.125 pp.64-69 2011 10) 奥 出 晃 一 山 形 市 浄 化 センター 未 発 表 資 料 11) 奥 出 晃 一 山 形 市 浄 化 センターにおけるバイオマ ス 資 源 の 有 効 利 用 と 温 室 効 果 ガスの 排 出 抑 制 第 45 回 下 水 道 研 究 発 表 会 パネルデイスカッション 講 演 資 料 2008 12) 佐 藤 和 明 下 水 汚 泥 嫌 気 性 消 化 法 の 機 能 改 善 に 関 する 研 究 東 京 大 学 学 位 論 文 p.50 1987 13) 社 団 法 人 地 域 資 源 循 環 技 術 センター 農 村 地 域 向 け 小 規 模 メタン 発 酵 システム 技 術 マニュアル ( 案 ) 2011 14) 野 池 達 也 バイオマス 施 設 訪 問 記 メタン 発 酵 を 基 幹 施 設 とする 福 岡 県 大 木 町 おおき 循 環 センター くるるん 用 水 と 廃 水 Vol.33, No.123, pp.74-84 2009 15)インターネット: NPOふうど www.foodo.org/ 16)インターネット: 霜 里 農 場 www.knet.ne.jp/~simosato/ 17) 小 林 拓 朗 徐 開 欽 李 玉 友 中 国 農 村 地 帯 におけ る 家 庭 用 バイオガス 施 設 の 現 況 用 水 と 廃 水 Vol.3, No.9, pp.707-717, 2011 18) 財 団 法 人 エンジニアリング 振 興 協 会 平 成 22 年 度 地 下 管 理 型 処 理 施 設 のバイオガス 有 効 活 用 に 関 す る 調 査 研 究 報 告 書 2011 19) 神 尾 英 俊 埋 立 て 時 期 を 特 定 した 廃 棄 物 の 時 系 列 分 析 によるメタン 発 生 量 の 経 時 変 化 の 推 定 環 pp.97-105 2011 20)インターネット: バイオガス バロメータ 2010 www.nedo.go.jp/content/100120690.pdf ( 19 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 特 集 : 第 24 回 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 に 関 するセミナー 特 集 iiiiiiiiiiiiiiiii 解 説 iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 神 戸 市 建 設 局 下 水 道 河 川 部 計 画 課 課 長 山 地 健 二 iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii キーワード: 下 水 汚 泥 焼 却 灰 アスファルトフィラー 汚 泥 処 理 処 分 消 化 ガス こうべバイオガス 都 市 ガス 導 管 注 入 iiiiiiiiiiiiiiiii 1.はじめに 神 戸 市 の 下 水 道 は 慶 応 3 年 (1868 年 )の 兵 庫 開 港 にともなって 外 国 人 居 留 地 に 整 備 された 煉 瓦 造 りの 下 水 道 に 端 を 発 する 当 時 の 下 水 道 は 総 延 長 が1,890m 幹 線 には 神 戸 付 近 で 焼 成 されたレンガが 使 用 され 明 治 5 年 (1872 年 )に 完 成 した なお この 施 設 の 一 部 は 現 在 でも 公 共 下 水 道 の 雨 水 管 として 機 能 している その 後 市 制 を 施 行 した 明 治 22 年 (1889 年 )から 昭 和 初 期 にかけて 人 口 が 増 加 し 急 増 する 下 水 及 びし 尿 処 理 が 問 題 となった また 数 回 にわたってコレラが 発 生 するなど 衛 生 上 の 問 題 も 発 生 し 国 際 港 湾 都 市 とし て 本 格 的 な 下 水 道 整 備 の 必 要 性 が 高 まった このような 状 況 の 中 神 戸 市 では 下 水 道 先 進 国 であ る 欧 米 の 視 察 を 行 うとともに 久 保 赳 氏 ( 元 建 設 省 下 水 道 部 長 )らが 中 心 となって 市 域 全 域 での 調 査 測 量 などを 実 施 し 分 流 式 下 水 道 の 計 画 を 立 案 したが 財 政 窮 乏 のため 実 施 には 至 らなかった しかしながら 終 戦 後 の 混 乱 も 収 まりかけた 昭 和 25 年 (1950 年 ) 水 道 局 に 下 水 道 課 が 復 活 し ようやく 神 戸 市 でも 本 格 的 な 下 水 道 の 建 設 が 開 始 されることと なった 昭 和 26 年 (1951 年 )から 始 まった 第 1 期 下 水 道 事 業 では 将 来 のエネルギー 利 用 にも 着 目 し 当 時 として は 先 進 的 な 分 流 式 下 水 道 を 採 用 した また 昭 和 33 年 (1958 年 )に 本 市 で 最 初 に 稼 動 した 中 部 処 理 場 には 現 在 の 汚 泥 消 化 のルーツとも 言 えるし 尿 処 理 を 対 象 と した 消 化 槽 を 設 置 した ( 図 1 参 照 ) 事 業 開 始 当 初 は 管 渠 が 整 備 されてもなかなか 水 洗 化 が 進 まなかったことから 当 時 の 宮 崎 辰 雄 市 長 は 昭 和 45 年 (1970 年 )に 下 水 道 整 備 を 市 の 重 点 施 策 に 位 置 づけ 昭 和 51 年 度 末 に 既 成 市 街 地 6,639haを100% 水 洗 化 することを 目 標 に 掲 げた 目 標 達 成 に 向 け 下 水 道 局 では ロクロクサンキュー を 合 言 葉 に 整 備 を 進 め 年 間 200kmを 超 える 管 渠 整 備 を 実 施 した( 図 2 参 照 ) 2. 下 水 汚 泥 の 処 理 処 分 問 題 下 水 道 整 備 が 急 ピッチで 進 行 したことで 普 及 率 は 飛 躍 的 に 向 上 したが 一 方 で 下 水 汚 泥 量 が 急 増 し 陸 上 埋 立 地 が 逼 迫 するなど 新 たな 問 題 が 発 生 した そのため 神 戸 市 では 昭 和 56 年 (1981 年 )に 下 水 道 局 内 に 汚 泥 対 策 室 を 設 けて 長 期 的 に 安 定 した 処 理 処 分 方 法 を 検 討 し た その 結 果 焼 却 埋 め 立 ての 方 法 が 最 適 であると 結 論 付 け 昭 和 61 年 (1986 年 )に 汚 泥 を 焼 却 減 量 化 (20 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 図 -1 中 部 処 理 場 の 建 設 図 -2 神 戸 市 の 処 理 人 口 普 及 率 の 推 移 (21 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 図 -3 神 戸 市 におけるし 尿 収 集 量 と 下 水 道 普 及 率 するための 施 設 である 東 部 スラッジセンターを 建 設 し た また 発 生 した 焼 却 灰 については 大 阪 湾 フェニック ス への 埋 立 て 処 分 を 行 うこととした( 図 3 参 照 ) 大 阪 湾 フェニックス 大 阪 湾 圏 域 の 府 県 及 び 市 町 村 が 共 同 で 使 用 でき る 廃 棄 物 の 最 終 処 分 場 の 確 保 を 目 的 に 整 備 された 海 上 の 埋 め 立 て 処 分 場 である 神 戸 沖 をはじめ 現 在 4 箇 所 の 埋 め 立 て 処 分 場 があ り 近 畿 2 府 4 県 168 市 町 村 を 受 入 れ 対 象 区 域 とし ている( 図 4 参 照 ) 図 -4 大 阪 湾 フェニックス 埋 立 て 処 分 場 位 置 図 3. 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 の 取 り 組 み 現 在 神 戸 市 には6 箇 所 の 下 水 処 理 場 があり 日 平 均 約 51 万 m 3 の 下 水 を 処 理 している 下 水 道 人 口 普 及 率 は98.7% 処 理 人 口 は 約 151 万 人 に 達 している( 図 5 参 照 ) 下 水 処 理 に 伴 い 発 生 する 汚 泥 については 濃 縮 消 化 脱 水 焼 却 の 工 程 を 経 て 減 量 化 安 定 化 を 図 って いる また 近 年 では 機 械 濃 縮 の 実 施 や 卵 形 消 化 槽 へ の 建 替 え スクリュープレス 脱 水 機 の 導 入 など 新 しい 技 術 への 転 換 を 図 りながら 効 率 的 な 汚 泥 処 理 を 目 指 し ている なお 神 戸 市 では 消 化 に 伴 って 発 生 する 消 化 ガスや 焼 却 に 伴 って 発 生 する 下 水 汚 泥 焼 却 灰 や 排 熱 を 貴 重 な 資 源 と 捉 えて 有 効 利 用 に 取 り 組 んでいる( 図 6 参 照 ) 4. 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 有 効 利 用 神 戸 市 では 年 間 約 5,000トンの 下 水 汚 泥 焼 却 灰 が 発 生 している 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 大 部 分 は 大 阪 湾 臨 海 環 境 整 備 センター( 大 阪 湾 フェニックス)で 埋 め 立 て 処 分 している しかしながら 大 阪 湾 フェニックスの 廃 棄 物 受 け 入 れ 計 画 は 平 成 33 年 度 までとなっており そ の 後 の 新 たな 処 分 場 計 画 の 見 通 しも 不 確 定 であるな ど 将 来 的 には 埋 立 地 の 逼 迫 が 予 想 される また 地 球 環 境 保 全 に 向 けた 取 り 組 みとして 持 続 可 能 な 社 会 の 実 現 を 目 指 すためにも 今 後 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 有 効 利 用 の 拡 大 を 図 っていく 必 要 がある これまで 神 戸 市 では 建 設 資 材 を 始 めとしてさまざ まな 有 効 利 用 を 図 ってきた 主 な 利 用 方 法 はアスファ (22 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 図 -5 神 戸 市 の 下 水 処 理 場 汚 泥 焼 却 施 設 図 -6 神 戸 市 における 汚 泥 処 理 フロー ルトフィラーの 代 替 品 やインターロッキングブロック をはじめとするコンクリート 二 次 製 品 の 原 料 などであ り その 詳 細 について 以 下 に 述 べる( 図 7 参 照 ) 4.1 焼 却 灰 のアスファルトフィラーへの 利 用 道 路 舗 装 用 アスファルト 混 合 物 は 一 般 に 骨 材 とし ての 砕 石 砂 フィラーとバインダーとしてのアス ファルトを 加 熱 混 合 して 製 造 される フィラーとして の 石 粉 には 通 常 石 灰 石 を 粉 砕 したものが 用 いられ 全 質 量 の4 8% 程 度 を 添 加 する 神 戸 市 ではこの 石 粉 の 一 部 を 下 水 汚 泥 焼 却 灰 で 代 替 させることについて 平 成 4 年 度 から 検 討 を 開 始 した 図 -7 焼 却 灰 の 有 効 利 用 内 訳 (H22) (23 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 検 討 にあたり 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 物 理 特 性 を 調 査 し た 結 果 石 粉 に 比 べ 粒 度 が 粗 くフィラーとしての 規 格 値 を 満 足 しなかった またフロー 試 験 値 も 目 標 より 大 きく アスファルトを 吸 収 しやすい 特 性 が 示 された ( 表 1 参 照 ) この 要 因 は 焼 却 灰 と 石 粉 の 電 子 顕 微 鏡 写 真 の 比 較 から 焼 却 灰 には 表 面 に 細 かな 凹 凸 が 多 く あり 比 表 面 積 が 大 きいためであると 考 えられた( 写 真 1 参 照 ) これにより 焼 却 灰 をフィラーとして 用 いる 場 合 粒 度 については 細 骨 材 に 含 まれる 細 粒 分 によりある 程 度 調 整 は 可 能 であるが 焼 却 灰 がアスファルトを 通 常 よりも 多 く 吸 収 するため 必 要 アスファルト 量 は 増 加 した 加 えて 耐 流 動 性 や 剥 離 抵 抗 性 の 低 下 も 懸 念 され たため 石 粉 と 混 合 して 使 用 することとした 平 成 7 年 1 月 からは 神 戸 市 の 道 路 補 修 を 直 営 で 行 う 表 -1 焼 却 灰 と 石 粉 の 物 理 的 性 質 写 真 -1 焼 却 灰 と 石 粉 の 電 子 顕 微 鏡 写 真 図 -8 アスファルトフィラーとしての 焼 却 灰 利 用 の 推 移 写 真 -2 アスファルトフィラー 利 用 状 況 (24 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 神 戸 市 土 木 局 道 路 機 動 隊 ( 当 時 )による 試 験 舗 装 を 実 施 し 焼 却 灰 を 全 フィラー 分 の30%に 留 めれば 通 常 の 混 合 物 とほぼ 同 等 の 品 質 を 得 ることを 確 認 した これらの 調 査 結 果 を 受 け 平 成 13 年 12 月 から 民 間 プ ラントによる 事 業 を 開 始 した なお 下 水 汚 泥 焼 却 灰 は 産 業 廃 棄 物 に 当 たることから 民 間 プラントは 中 間 処 理 の 処 分 業 の 許 可 を 取 得 し 神 戸 市 が 中 間 処 分 を 委 託 する 形 で 有 効 利 用 を 行 っている 現 在 処 分 業 の 許 可 を 受 けている 民 間 プラントは 全 部 で5 社 あり 年 間 約 435トンの 焼 却 灰 が 有 効 利 用 されている( 図 8 写 真 2 参 照 ) また 民 間 プラントではアスファルト ( 注 混 合 物 の 事 前 審 査 制 度 1 を 活 用 し 神 戸 市 の 公 共 事 業 において 焼 却 灰 入 りアスファルトを 利 用 する 際 の 手 続 きの 簡 素 化 も 図 られている 4.2 焼 却 灰 の 建 設 資 材 としての 利 用 建 設 資 材 については 強 度 環 境 に 対 する 安 全 性 市 場 性 経 済 性 等 に 関 する 一 定 の 基 準 を 設 け これを 満 たす 製 品 については 神 戸 市 下 水 汚 泥 焼 却 灰 入 製 品 と して 認 定 し 広 く 神 戸 市 の 公 共 事 業 等 に 利 用 すること により 神 戸 市 の 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 有 効 利 用 の 促 進 を ( 注 1:アスファルト 混 合 物 の 事 前 審 査 制 度 公 共 工 事 におけるアスファルトの 混 合 所 の 品 質 管 理 に 関 する 合 理 化 と 品 質 の 安 定 化 を 図 ることを 目 的 とした 制 度 で アスファルト 混 合 所 から 出 荷 するアスファルト 混 合 物 を 事 前 に 第 三 者 機 関 が 認 定 することにより 従 来 の 工 事 ごとに 行 ってい た 基 準 試 験 や 試 験 練 りなどを 省 略 できる 制 度 写 真 -3 インターロッキングブロック 利 用 状 況 ( 垂 水 処 理 場 恋 人 岬 ) 図 -9 灰 入 り 製 品 の 認 定 利 用 の 流 れ (25 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 図 っている( 図 9 写 真 3 参 照 ) 現 在 39 製 品 が 認 定 を 受 けており インターロッキ ングブロックについては 神 戸 市 のグリーン 調 達 等 推 進 基 本 方 針 における 重 点 物 品 にも 指 定 されている( 表 2 参 照 ) なお 建 設 資 材 に 使 用 する 焼 却 灰 については 有 価 物 として 販 売 しており 廃 掃 法 の 適 用 は 受 けていない 表 -2 神 戸 市 下 水 汚 泥 焼 却 灰 入 製 品 認 定 数 4.3 公 募 型 共 同 研 究 の 実 施 平 成 18 年 に 神 戸 市 の 下 水 道 中 期 経 営 計 画 である こうべアクアプラン2010( 平 成 18 年 度 平 成 22 年 度 (5 年 間 )) を 策 定 した 本 プランでは 循 環 型 社 会 の 形 成 地 球 環 境 の 保 全 を 目 的 の 一 つとしている 本 プランでは 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 有 効 利 用 率 の 目 標 を 65%( 平 成 22 年 度 )と 設 定 した しかしながら 長 期 間 にわたる 景 気 の 低 迷 などに 伴 い 平 成 15 年 度 以 降 は 有 効 利 用 率 の 低 下 が 顕 著 となり 目 標 の 達 成 は 厳 しい 状 況 であった( 図 10 参 照 ) このような 背 景 を 受 け 神 戸 市 では 平 成 21 年 6 月 に 本 市 の 神 戸 市 建 設 局 下 水 道 技 術 共 同 研 究 実 施 要 綱 に 基 づき 共 同 研 究 審 査 会 を 開 催 し 要 綱 に 定 める 公 募 型 共 同 研 究 により 民 間 企 業 が 保 有 する 先 端 技 術 や 製 品 開 発 力 を 活 用 した 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 有 効 利 用 の 拡 大 を 図 ることを 決 定 した 共 同 研 究 については 平 成 21 年 度 22 年 度 の2 年 間 実 施 した 募 集 の 結 果 合 計 9 社 ( 平 成 21 年 度 :7 社 平 成 22 年 度 2 社 )が 共 同 研 究 者 として 選 定 され 研 究 を 実 施 した( 表 3 参 照 ) 平 成 21 年 度 においては 下 水 汚 泥 焼 却 灰 を 使 用 した 図 -10 焼 却 灰 の 有 効 利 用 率 の 推 移 表 -3 共 同 研 究 実 施 概 要 (26 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 図 -11 高 圧 水 吸 収 法 の 仕 組 み 製 品 だけでなく 有 効 利 用 拡 大 につながる 技 術 開 発 の 応 募 も 受 け 付 け 幅 広 く 民 間 の 技 術 を 活 用 することを 目 的 とした また 平 成 22 年 度 においては 有 効 利 用 の 更 なる 拡 大 を 図 るため 選 定 条 件 として 年 間 30トン 以 上 の 焼 却 灰 の 使 用 が 見 込 まれるもの を 追 加 した 5. 消 化 ガスの 有 効 活 用 に 不 純 物 を 除 去 するに 成 功 した 高 圧 水 吸 収 法 とは 下 水 処 理 場 に 豊 富 にある 水 を 活 用 で き か つ 原 理 の シ ン プ ル な 方 法 で 約 0.9MPaに 加 圧 した 消 化 ガスを 処 理 水 中 に 通 すことに より 二 酸 化 炭 素 や 硫 化 水 素 等 がほとんど 水 中 に 溶 解 するのに 比 べ メタンはほとんど 溶 解 しないという 溶 解 度 の 差 を 利 用 して 消 化 ガス 中 のメタンのみを 取 り 出 す 方 法 である( 図 11 参 照 ) 神 戸 市 では 事 業 当 初 から 下 水 を 処 理 する 過 程 で 発 生 する 汚 泥 は 全 て 消 化 槽 で 中 温 消 化 (30 40 で 嫌 気 性 微 生 物 によって 有 機 物 を 分 解 し 最 終 的 にはメタ ン 二 酸 化 炭 素 等 を 生 成 する)し 汚 泥 の 減 量 化 安 定 化 を 図 っている 消 化 の 過 程 で 消 化 ガスが 日 平 均 約 36,000Nm 3 発 生 しており 約 50%は 脱 硫 工 程 を 経 て 消 化 槽 の 加 温 や 空 調 設 備 の 燃 料 として 利 用 し 残 りは 未 利 用 のまま 焼 却 処 分 していた ( Nm 3 : 標 準 状 態 (0 1 気 圧 )における 気 体 の 体 積 を 表 す 単 位 ) 消 化 ガスの 利 用 拡 大 において 最 大 の 課 題 はガスの 品 質 であった 消 化 ガスはメタン 濃 度 が 約 60%でカロ リーが 低 く また 硫 化 水 素 やシロキサン 等 を 含 んでお り これらの 不 純 物 は 機 器 を 損 傷 劣 化 させる 原 因 と なっていた そこで 平 成 16 年 度 消 化 ガスのバイオ 天 然 ガス 化 に 関 する 共 同 研 究 を 地 元 企 業 と 開 始 し 高 圧 水 吸 収 法 により 消 化 ガスのメタン 濃 度 を98%に 高 めると 共 5.1 こうべバイオガスの 活 用 消 化 ガスのバイオ 天 然 ガス 化 の 成 功 を 受 け 平 成 20 年 度 に 東 灘 処 理 場 において こうべバイオガスステー ション を 供 用 開 始 し 天 然 ガス 自 動 車 燃 料 として 供 給 を 開 始 した さらに 平 成 22 年 度 には 都 市 ガスとし て 活 用 する 実 証 事 業 に 取 り 組 んだ 5.1.1 こうべバイオガス の 天 然 ガス 自 動 車 燃 料 への 活 用 平 成 20 年 4 月 1 日 より こうべバイオガスステー ション で こうべバイオガス を 天 然 ガス 自 動 車 燃 料 として 供 給 を 開 始 し 充 填 量 及 び 充 填 台 数 とも 順 調 に 推 移 している( 写 真 4 図 12 参 照 ) 現 在 では 登 録 車 両 も142 台 に 達 しており 市 バス ( 登 録 台 数 10 台 )を 始 め 下 水 道 脱 水 汚 泥 運 搬 車 ごみ 収 集 車 の 他 民 間 事 業 者 の 運 送 用 車 両 宅 配 車 等 にも 広 く 利 用 されている しかし 平 成 21 年 度 でも 東 灘 処 理 場 での 有 効 利 用 は (27 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 写 真 -4 こうべバイオガスステーション 図 -12 天 然 ガス 自 動 車 燃 料 活 用 状 況 日 平 均 約 6,300Nm 3 であり 約 4,800Nm 3 の 消 化 ガスは 焼 却 処 分 していたため( 発 生 量 ベース 換 算 値 ) 更 な る 利 活 用 を 模 索 していた 5.1.2 こうべバイオガス の 都 市 ガスへの 活 用 平 成 21 年 7 月 に ガスなどエネルギー 供 給 事 業 者 に 非 化 石 エネルギーの 利 用 拡 大 などを 促 す エネルギー 供 給 構 造 高 度 化 法 が 成 立 した 経 済 産 業 省 資 源 エネ ルギー 庁 では この 法 律 成 立 をにらみ 平 成 21 年 度 補 助 事 業 として バイオガスの 都 市 ガス 導 管 注 入 実 証 事 業 の 補 助 金 を 交 付 し 都 市 ガス 振 興 センターが バイ オマス 等 未 活 用 エネルギー 実 証 試 験 補 助 金 を 公 募 した 神 戸 市 では 消 化 ガスのさらなる 活 用 を 図 るため バイオマス 等 未 活 用 エネルギー 実 証 試 験 補 助 金 の 採 択 を 受 けて 平 成 21 年 10 月 神 戸 市 ガス 供 給 事 業 者 地 元 企 業 の3 者 共 同 の 実 証 事 業 として 東 灘 処 理 場 において バイオガス 都 市 ガス 導 管 注 入 実 証 事 業 を 実 施 した 平 成 22 年 9 月 より 試 運 転 10 月 12 日 より 本 格 供 給 を 開 始 した 実 証 事 業 の 期 間 は10 年 間 とし 最 初 の2 年 間 は 運 転 状 況 維 持 管 理 コストなどのデータを 経 済 産 業 省 に 報 告 する 図 -13 バイオガス 都 市 ガス 導 管 注 入 実 証 事 業 (28 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 表 -4 バイオガス 性 状 ( 参 考 値 ) 神 戸 市 は 原 料 となるバイオガスを 供 給 地 元 企 業 が 都 市 ガス 仕 様 に 調 整 すると 共 にガス 導 管 に 注 入 し ガス 供 給 事 業 者 が 買 い 取 り 都 市 ガスとして 供 給 する ( 図 13 参 照 ) 都 市 ガス 仕 様 に 精 製 した 下 水 汚 泥 由 来 のバイオガス を 直 接 都 市 ガス 導 管 に 注 入 する 試 みは 日 本 初 であり 本 事 業 を 通 じて 運 営 方 法 や 経 済 性 を 検 証 し 循 環 型 エネルギー 活 用 の 神 戸 モデル を 示 すことで 同 様 事 業 の 普 及 促 進 やバイオマス 資 源 の 有 効 活 用 につなげて いく 予 定 である こうべバイオガス は 消 化 ガスに 比 較 して メ タン 濃 度 を 高 めると 共 に 不 純 物 を 除 去 しており 天 然 ガス 自 動 車 燃 料 としては 十 分 な 品 質 である しかしな がら 受 入 事 業 者 であるガス 供 給 事 業 者 の 購 入 要 領 に 合 わせるため さらなる 微 量 成 分 の 除 去 熱 量 の 調 整 及 び 都 市 ガスと 同 じ 付 臭 が 必 要 である( 写 真 5 表 4 参 照 ) 本 事 業 では 既 存 の こうべバイオガス 精 製 装 置 に 加 えて ガス 中 の 酸 素 を 水 素 と 触 媒 で 反 応 させ 水 にし て 取 り 除 く 酸 素 除 去 装 置 二 酸 化 炭 素 を 吸 着 剤 で 取 り 除 く 二 酸 化 炭 素 除 去 設 備 とプロパンガスを 追 加 する ことで 熱 量 を 調 整 する 熱 量 調 整 設 備 や 付 臭 設 備 を 設 置 し 現 在 ガス 供 給 事 業 者 が 供 給 する 都 市 ガスと 同 等 レ ベルまで 成 分 を 調 整 している 精 製 後 成 分 調 整 されたガスは ガス 供 給 事 業 者 の 導 管 網 に 直 接 注 入 し 都 市 ガスとして 需 要 家 に 供 給 し ている 東 灘 処 理 場 で 発 生 する 消 化 ガスは 約 10,000Nm 3 / 日 で 全 てを 精 製 すれば 約 6,000Nm 3 / 日 の こうべバ イオガス になり そのうち 約 1,300Nm 3 / 日 を 自 動 車 燃 料 約 2,700mNm 3 / 日 を 場 内 利 用 し 残 る 約 2,000Nm 3 / 日 を 都 市 ガス 導 管 用 に 使 用 している 本 事 業 により 予 定 している 都 市 ガス 導 管 注 入 量 は 約 80 万 m 3 / 年 (45MJ/m 3 )で 約 2,000 戸 の 家 庭 が1 年 間 に 使 用 するガス 量 に 相 当 し これによるCO2 削 減 写 真 -5 バイオガス 都 市 ガス 導 管 注 入 設 備 量 は 約 1,200t-CO2/ 年 になる 昨 年 度 の 都 市 ガス 導 管 注 入 量 は 年 度 途 中 から 約 30 万 m 3 で 安 定 した 注 入 を 実 施 できた この 事 業 により 消 化 ガスの 発 生 量 と 使 用 量 のアンバランスを 吸 収 し 完 全 100% 有 効 利 用 が 可 能 となる 東 灘 処 理 場 における 取 り 組 みは 発 生 したバイオガ スを 高 度 に 精 製 し 都 市 ガスの 製 造 所 を 通 すことなく そのまま 都 市 ガスとして 導 管 に 注 入 するものである これにより 都 市 ガスの 製 造 所 との 距 離 に 制 約 を 受 け ることなく 下 水 処 理 場 等 で 発 生 するバイオガスを 余 すことなく 有 効 利 用 することができるようになり 理 想 的 な 地 産 地 消 型 のエネルギー 供 給 を 実 現 した 6. 今 後 の 取 り 組 み 6.1 神 戸 市 下 水 道 の 国 際 展 開 本 市 では 平 成 22 年 11 月 に 水 インフラ 整 備 に 関 する 国 際 貢 献 の 新 たな 取 り 組 み として 基 本 方 針 を 策 定 した 基 本 方 針 では 海 外 展 開 を 志 向 する 地 元 企 業 等 からの 支 援 要 請 に 基 づき 一 連 の 水 循 環 システム (29 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 都 市 整 備 など 本 市 が 蓄 積 してきたまちづくりの 経 験 や ノウハウ 震 災 の 教 訓 を 活 用 して 地 元 企 業 等 の 海 外 展 開 を 積 極 的 に 支 援 することとしている このような 中 ベトナム 国 キエンザン 省 において 上 下 水 道 分 野 における 技 術 協 力 交 流 に 関 する 覚 書 の 締 結 を 執 り 行 った 覚 書 締 結 後 は 国 等 の 支 援 制 度 も 活 用 しながら 官 民 互 いの 強 みを 活 かして 神 戸 仕 様 の 下 水 道 システムを 現 地 に 導 入 していく 予 定 である 6.2 KOBEグリーン スイーツプロジェクト 平 成 23 年 5 月 18 日 に 地 元 企 業 神 戸 市 共 同 研 究 体 が 提 案 した KOBEグリーン スイーツプロジェクト が 国 土 交 通 省 より 下 水 道 革 新 的 技 術 実 証 事 業 (B- DASH 事 業 )として 採 択 された この 事 業 は 食 品 系 木 質 系 等 の 下 水 道 に 好 適 な 地 域 バイオマスを 下 水 汚 泥 と 混 合 し 汚 泥 処 理 の 効 率 化 を 図 ると 共 に バイオガ ス 量 を 増 加 させ 東 灘 処 理 場 の 地 産 地 消 型 の 再 生 可 能 エネルギー 供 給 拠 点 化 を 図 るものである 今 後 は 本 施 設 を 水 ビジネスのハブ 拠 点 として 活 用 していく 予 定 である( 図 14 参 照 ) 7. 神 戸 市 下 水 道 の 将 来 像 下 水 道 は 消 化 ガスや 下 水 汚 泥 焼 却 灰 など 様 々な 再 生 可 能 エネルギーを 有 している そのため 今 後 は 再 生 可 能 エネルギーの 供 給 拠 点 としての 役 割 が 大 きく 期 待 さ 図 -14 KOBEグリーン スイーツプロジェクト れている 神 戸 市 では 東 灘 処 理 場 のほか 平 成 22 年 度 から 垂 水 処 理 場 において 消 化 ガスの 高 度 精 製 装 置 を 導 入 し バ イオ 天 然 ガス 発 電 設 備 (ガスコージェネレーション 設 備 )による 発 電 を 開 始 した これにより 場 内 の 電 力 の 一 部 をまかなうと 共 に 廃 熱 を 消 化 槽 の 加 温 に 活 用 し ている 他 の 処 理 場 においても それぞれのエネルギー 使 用 の 状 況 を 踏 まえ 改 築 更 新 に 合 わせて 空 調 等 場 内 利 用 や コージェネ 都 市 ガス 導 管 注 入 等 を 組 み 図 -15 神 戸 市 の 下 水 道 の 将 来 像 (30 )

Vol.36 No.135 2012/4 神 戸 市 における 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 と 今 後 の 取 り 組 み 合 わせた 最 適 なガス 利 用 により 消 化 ガスの100% 活 用 を 目 指 していく 予 定 である また 今 後 は これまで 取 り 組 んできた 下 水 汚 泥 焼 却 灰 の 建 設 資 材 等 への 有 効 利 用 に 加 え リン 回 収 など 民 間 企 業 の 革 新 的 な 技 術 にも 注 視 しながら 多 面 的 な 利 活 用 方 法 を 検 討 し 焼 却 灰 の 有 効 利 用 率 の 向 上 を 図 る 予 定 である( 図 15 参 照 ) 8.おわりに 神 戸 市 では 平 成 7 年 の 阪 神 淡 路 大 震 災 を 教 訓 とし て 下 水 道 ネットワークシステムの 構 築 や 復 興 街 づく りへの 高 度 処 理 水 の 送 水 こうべバイオガスへの 利 活 用 などの 新 しい 下 水 道 インフラの 構 築 に 取 り 組 んできた 下 水 道 は 人 類 が 存 在 する 限 り 枯 渇 することのない 都 市 の 貴 重 な 資 源 である 今 後 も 魅 力 的 な 神 戸 のまち の 創 造 に 貢 献 する 下 水 道 の 実 現 に 向 けて 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 に 積 極 的 に 取 り 組 んでいきたい (31 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 特 集 : 第 24 回 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 に 関 するセミナー 特 集 iiiiiiiiiiiiiiiii 1.はじめに 解 説 iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii 下 水 汚 泥 資 源 利 用 の 動 向 と 今 後 の 施 策 について iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii キーワード:エネルギー 利 用 マテリアル 利 用 下 水 道 革 新 的 技 術 実 証 事 業 下 水 汚 泥 エネルギー 化 技 術 ガイドラ イン( 案 ) 下 水 道 は 生 態 系 や 自 然 の 循 環 システムを 健 全 に 保 つための 重 要 な 構 成 要 素 と 位 置 付 けることができる 今 後 とも 拡 大 する 諸 活 動 を 支 えつつ それに 伴 う 環 境 への 負 荷 を 極 力 抑 制 することが 下 水 道 に 課 せられた 大 きな 使 命 である 一 方 下 水 の 排 除 処 理 の 過 程 で 国 土 交 通 省 水 管 理 国 土 保 全 局 下 水 道 部 下 水 道 企 画 課 下 水 道 国 際 技 術 調 整 官 白 﨑 亮 資 源 利 用 係 長 西 廹 里 恵 下 水 汚 泥 をはじめとして スクリーンかす 土 砂 など が 発 生 する これら 発 生 汚 泥 等 を 適 正 に 処 理 すること は 放 流 水 の 水 質 管 理 とともに 下 水 道 の 維 持 管 理 上 最 も 大 きな 課 題 である 平 成 20 年 度 における 全 国 の 産 業 廃 棄 物 排 出 量 は 約 4 億 トンとなっている そのうち 約 19%の7,724 万 トン ( 含 水 率 97%)が 下 水 汚 泥 であり( 図 -1) その 発 生 量 は 下 水 道 の 普 及 等 に 伴 って 今 後 さらに 増 加 する 見 込 iiiiiiiiiiiiiiiii 図 -1 産 業 廃 棄 物 排 出 量 に 占 める 下 水 汚 泥 の 割 合 ( 単 位 : 万 トン/ 年 ) 出 典 : 環 境 省 産 業 廃 棄 物 排 出 処 理 状 況 等 ( 平 成 20 年 度 実 績 ) ( 国 土 交 通 省 にて 一 部 加 工 ) (32 )

Vol.36 No.135 2012/4 下 水 汚 泥 資 源 利 用 の 動 向 と 今 後 の 施 策 について 図 -2 下 水 道 普 及 率 と 発 生 汚 泥 量 処 理 水 量 の 推 移 ( 下 水 道 統 計 及 び 国 土 交 通 省 調 べ) みである( 図 -2) これに 対 し 平 成 21 年 4 月 1 日 現 在 の 産 業 廃 棄 物 最 終 処 分 場 の 残 余 年 数 は 首 都 圏 で4.7 年 全 国 で10.6 年 となっており 廃 棄 物 の3R(Reduce, Reuse,Recycle)の 推 進 が 急 務 となっている このような 背 景 から 平 成 8 年 の 下 水 道 法 改 正 にお いて 発 生 汚 泥 等 の 減 量 化 に 努 める 旨 の 規 定 が 設 けら れており この 規 定 に 沿 った 取 組 がなされてきてい る その 後 循 環 型 社 会 への 転 換 廃 棄 物 処 理 の 適 正 化 が 社 会 的 な 課 題 となる 中 で 循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 法 や 各 種 リサイクル 関 連 法 が 制 定 改 正 されており 平 成 15 年 3 月 には 循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 計 画 が 閣 議 決 定 され 我 が 国 における 循 環 型 社 会 構 築 に 向 け た 取 組 が 各 方 面 で 進 められている 今 後 下 水 汚 泥 については 発 生 量 が 大 量 であるこ と 下 水 道 は 地 方 公 共 団 体 という 公 的 主 体 が 事 業 者 で あることなどから 廃 棄 物 の 減 量 化 リサイクルの 推 進 を 率 先 して 計 画 的 に 進 めていくことが 必 要 である また 大 量 の 資 源 エネルギーの 消 費 に 伴 う 環 境 負 荷 の 増 大 により 地 球 温 暖 化 の 影 響 が 顕 在 化 してきて おり 平 成 17 年 2 月 の 京 都 議 定 書 の 発 効 を 受 け その 対 応 は 国 際 的 な 最 重 要 課 題 となっている バイオマスである 下 水 汚 泥 は バイオガス 化 固 形 燃 料 化 により 再 生 可 能 エネルギーとして 活 用 すること が 可 能 で 温 暖 化 対 策 に 有 効 である そのため 地 球 温 暖 化 対 策 の 推 進 に 関 する 法 律 第 8 条 に 基 づき 平 成 20 年 3 月 に 閣 議 決 定 された 京 都 議 定 書 目 標 達 成 計 画 では 下 水 汚 泥 焼 却 施 設 における 燃 焼 の 高 度 化 とともに 省 エネルギー 対 策 と 汚 泥 のエネ ルギー 利 用 等 の 新 エネルギー 対 策 の 推 進 が 下 水 道 分 野 の 対 策 として 盛 り 込 まれており 国 地 方 公 共 団 体 事 業 者 国 民 といったすべての 主 体 が 参 加 連 携 し て 同 計 画 に 掲 げられた 各 種 対 策 施 策 を 推 進 するこ とが 求 められている 加 えて 地 方 公 共 団 体 において は 地 球 温 暖 化 対 策 の 推 進 に 関 する 法 律 第 20 条 の3に 基 づき 地 方 公 共 団 体 実 行 計 画 を 策 定 し 庁 舎 等 に おけるエネルギー 消 費 のみならず 下 水 道 事 業 等 の 運 営 といった 事 業 を 含 めた 温 室 効 果 ガスの 総 排 出 量 に 関 する 目 標 を 掲 げ かつ 定 期 的 に 実 施 状 況 の 点 検 を 行 うことが 求 められている また 平 成 21 年 3 月 に 閣 議 決 定 された 社 会 資 本 整 備 重 点 計 画 では 下 水 汚 泥 中 の 有 機 物 が エネルギー 利 用 や 緑 農 地 利 用 等 に 有 効 利 用 された 割 合 を 示 す 下 水 道 バイオマスリサイクル 率 が 指 標 とされ 2012 年 の 目 標 は39%とされている 平 成 22 年 12 月 には バイオマス 活 用 推 進 基 本 計 画 が 閣 議 決 定 され 下 水 汚 泥 につい て バイオガス 化 や 固 形 燃 料 化 等 のエネルギー 利 用 を 推 進 することにより 2020 年 には 約 85%が 利 用 される ことを 目 指 すとされている さらに 平 成 22 年 6 月 に 閣 議 決 定 された エネル ギー 基 本 計 画 では 太 陽 光 やバイオマス 等 の 再 生 可 能 エネルギーが 一 次 エネルギー 供 給 に 占 める 割 合 につ いて2020 年 の 目 標 を10%に 設 定 している 平 成 22 年 11 月 にはエネルギー 供 給 高 度 化 法 の 基 本 方 針 及 び 判 断 基 準 が 策 定 され 一 般 ガス 事 業 者 等 のバイオガスの 利 用 目 標 が 定 められるとともに 平 成 23 年 8 月 には 電 気 事 業 者 による 再 生 可 能 エネルギー 電 気 の 調 達 に 関 する 特 別 措 置 法 が 成 立 し 下 水 汚 泥 を 含 むバイオマスを 用 いて 発 電 された 電 気 が 買 取 対 象 になっている 以 上 のように 循 環 型 社 会 低 炭 素 社 会 の 進 展 が 求 められる 中 下 水 道 事 業 ではバイオマスである 下 水 汚 泥 といった 資 源 を 大 量 に 有 しているため 下 水 道 管 理 者 は 率 先 して 地 域 の 特 性 を 踏 まえ 下 水 汚 泥 をバ イオガスや 汚 泥 燃 料 あるいはコンポストとして 積 極 的 (33 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 に 活 用 し 下 水 道 を 資 源 エネルギーの 回 収 再 生 供 給 インフラとして 整 備 することが 求 められている る 有 効 利 用 の 実 施 主 体 としては いずれの 利 用 形 態 においても 民 間 で 行 われている 量 が 多 い 2. 下 水 汚 泥 の 発 生 量 と 処 理 処 分 等 の 現 状 3. 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 平 成 21 年 度 における 下 水 汚 泥 の 処 理 及 び 処 分 の 状 況 を 表 -1 表 -2に 示 す 下 水 汚 泥 は 年 間 218 万 DS-t ( 乾 燥 重 量 トン)が 発 生 しており そのうち 約 77%が 緑 農 地 利 用 建 設 資 材 利 用 燃 料 化 等 として 有 効 利 用 されている 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 の 状 況 を 表 -3 図 -3に 示 す 埋 立 処 分 量 は 年 々 減 少 しており 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 が 着 実 に 進 展 している 有 効 利 用 の 内 訳 としては 従 来 緑 農 地 利 用 が 中 心 であったが 近 年 はセメント 原 料 としての 利 用 などの 建 設 資 材 利 用 が 進 んできており 平 成 7 年 度 に 建 設 資 材 利 用 が 緑 農 地 利 用 の 割 合 を 上 回 り 平 成 21 年 度 においてもこの 傾 向 が 一 層 進 んでい 下 水 汚 泥 の 有 効 利 用 の 形 態 は マテリアル 利 用 エ ネルギー 利 用 に 分 けられる セメント 原 料 等 としての 建 設 資 材 利 用 やコンポスト 等 としての 緑 農 地 利 用 が 着 実 に 進 展 している 一 方 下 水 道 バイオガス 又 は 汚 泥 燃 料 としてのエネルギー 利 用 は 低 い 水 準 にとどまってい る それぞれの 状 況 を 以 下 に 概 観 する (1)マテリアル 利 用 1 建 設 資 材 利 用 下 水 汚 泥 の 建 設 資 材 利 用 としては セメント 原 料 としての 利 用 の 割 合 が 多 くなってきており 平 成 21 年 度 においては 乾 燥 重 量 ベースで 約 60%が 建 設 資 表 -1 下 水 汚 泥 の 処 理 及 び 処 分 状 況 ( 汚 泥 発 生 時 乾 燥 重 量 ベース 平 成 21 年 度 )( 国 土 交 通 省 調 べ) 表 -2 下 水 汚 泥 の 処 理 及 び 処 分 状 況 ( 処 分 時 体 積 ベース 平 成 21 年 度 )( 国 土 交 通 省 調 べ) (34 )

Vol.36 No.135 2012/4 下 水 汚 泥 資 源 利 用 の 動 向 と 今 後 の 施 策 について 表 -3 実 施 主 体 別 の 有 効 利 用 実 施 状 況 ( 汚 泥 発 生 時 乾 燥 重 量 ベース 平 成 21 年 度 )( 国 土 交 通 省 調 べ) 図 -3 下 水 汚 泥 の 最 終 処 分 利 用 形 態 の 経 年 変 化 ( 汚 泥 発 生 時 乾 燥 重 量 ベース)( 国 交 省 調 べ) 汚 泥 処 理 の 途 中 段 階 である 消 化 ガス 利 用 は 含 まれない (35 )

Vol.36 No.135 2012/4 再 生 と 利 用 材 利 用 されており うち 約 2/3がセメント 原 料 とし ての 利 用 となっている 焼 却 灰 や 溶 融 スラグを 建 設 資 材 として 利 用 する 形 態 は 大 きく 分 けて 次 の2つ がある 1) 処 理 された 下 水 汚 泥 ( 焼 却 灰 や 溶 融 スラグ) そのものを 資 材 として 利 用 するもの ( 例 : 石 灰 系 焼 却 灰 の 埋 め 戻 し 材 路 盤 材 等 ) 2) 焼 却 灰 や 溶 融 スラグを 建 設 資 材 の 原 材 料 の 一 部 又 は 全 部 として 利 用 するもの ( 例 : 高 分 子 系 焼 却 灰 の 陶 管 及 び 透 水 性 レンガ 原 料 としての 利 用 等 ) 最 近 では 焼 却 灰 と 掘 削 残 土 を 用 いて 改 良 土 を 製 造 する 技 術 が 実 用 化 されているほか 下 水 汚 泥 焼 却 灰 だけで 他 の 材 料 を 添 加 することなく レンガやタ イル 等 の 製 品 を 作 り 出 す 技 術 も 開 発 されている 下 水 汚 泥 の 建 設 資 材 利 用 促 進 に 関 しては 以 下 の ような 指 針 類 がある 1) 下 水 汚 泥 の 建 設 資 材 利 用 マニュアル( 案 ) 2001 年 版 (( 社 ) 日 本 下 水 道 協 会 ) 2) 下 水 汚 泥 建 設 資 材 化 のガイドライン( 案 ) 2001 年 版 (( 社 ) 日 本 下 水 道 協 会 ) 2 緑 農 地 利 用 下 水 汚 泥 には 多 量 の 肥 効 成 分 や 有 機 物 が 含 まれ ており 適 正 な 施 用 を 行 うことによって 土 壌 改 良 材 や 肥 料 として 十 分 な 効 果 を 有 することが 明 らかに なっており 平 成 21 年 度 においては 乾 燥 重 量 ベー スで 約 15%が 緑 農 地 利 用 されている 下 水 汚 泥 を 緑 農 地 に 利 用 する 場 合 の 形 態 として は 脱 水 ケーキ 乾 燥 汚 泥 炭 化 汚 泥 コンポスト 化 汚 泥 が 考 えられる このうち コンポスト 化 汚 泥 は 汚 泥 が 質 的 に 改 善 されており 取 り 扱 いやす く 発 酵 処 理 の 際 に 滅 菌 安 定 化 する 利 点 があるこ とから 有 効 利 用 の 促 進 の 観 点 からコンポスト 化 の 意 義 は 大 きい 緑 農 地 利 用 に 関 しては 次 のような 指 針 類 がある 1) 都 市 緑 化 における 下 水 汚 泥 の 施 用 指 針 ( 昭 和 61 年 平 成 7 年 一 部 改 正 ) 2) 下 水 汚 泥 の 農 地 緑 地 利 用 マニュアル-2005 年 版 -(( 社 ) 日 本 下 水 道 協 会 ) 3) 下 水 汚 泥 コンポスト 施 設 便 覧 -2001 年 版 - (( 社 ) 日 本 下 水 道 協 会 ) なお 肥 料 の 品 質 を 保 全 するため 肥 料 の 規 格 等 を 定 めている 肥 料 取 締 法 が 平 成 11 年 7 月 に 改 正 され 平 成 12 年 10 月 から 施 行 されている これにより 特 殊 肥 料 とされていた 下 水 汚 泥 を 原 料 とする 肥 料 が 普 通 肥 料 に 位 置 付 けられ 下 水 汚 泥 肥 料 は 農 林 水 産 大 臣 の 登 録 を 受 けなければならないとされている また 最 近 では 全 量 を 輸 入 に 頼 っているリンに ついて その 枯 渇 が 懸 念 されていることや 食 料 需 要 の 増 大 及 び 産 出 国 による 輸 出 制 限 のため 国 際 相 場 が 乱 高 下 しており 下 水 及 び 下 水 汚 泥 中 に 含 まれるリ ンを 回 収 し 肥 料 や 肥 料 原 料 として 活 用 する 取 組 が 注 目 されているところである そのため 国 土 交 通 省 下 水 道 部 では 下 水 道 管 理 者 がリン 資 源 化 事 業 の 実 施 について 検 討 するための 手 引 きをとりまとめる ことを 目 的 として 平 成 21 年 度 に 下 水 道 における リン 資 源 化 検 討 会 ( 座 長 : 津 野 洋 京 都 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 教 授 )を 設 置 し 検 討 を 行 った 同 検 討 会 では リン 資 源 化 の 検 討 に 際 しては 下 水 処 理 場 の 特 性 リン 資 源 化 技 術 需 要 者 のニーズ の 3 要 素 のマッチングが 重 要 との 視 点 に 立 って 事 業 化 に 向 けた 検 討 が 進 められ 下 水 道 におけるリン 資 源 化 の 手 引 き が 平 成 22 年 3 月 にとりまとめられてい る 国 土 交 通 省 下 水 道 部 では 今 後 とも 農 林 水 産 省 など 関 係 省 庁 をはじめとする 多 様 な 主 体 と 連 携 し つつ 下 水 道 におけるリン 資 源 化 が 推 進 されるよ う 取 り 組 んでいく 予 定 である (2)エネルギー 利 用 下 水 汚 泥 のエネルギー 利 用 は 主 に 下 水 道 バイオガ スの 利 用 固 形 燃 料 化 であり この 他 下 水 汚 泥 焼 却 廃 熱 を 利 用 した 発 電 冷 暖 房 等 がある 1 下 水 道 バイオガス 利 用 下 水 道 バイオガスには 下 水 汚 泥 の 嫌 気 性 消 化 過 程 において 発 生 するメタンを 主 成 分 とするバイオガ スと 下 水 汚 泥 をガス 化 炉 により 熱 分 解 することで 発 生 する 一 酸 化 炭 素 や 水 素 を 主 成 分 とするバイオガ スの2 種 類 がある ガス 化 炉 は 平 成 22 年 度 に 東 京 都 において 世 界 で 初 めて 導 入 されているが 全 国 で は 主 に 嫌 気 性 消 化 によるバイオガス 化 が 進 められて いる 平 成 21 年 度 の 消 化 槽 からの 下 水 道 バイオガス 発 生 量 は 約 3 億 m³であり 内 訳 をみると 約 7 割 (220 百 万 m³)が 利 活 用 されており 残 り 約 3 割 (86 百 万 m³)は 焼 却 処 分 されている また 下 水 道 バイ オガス 発 生 量 の 約 2 割 (66 百 万 m³)はガス 発 電 に 利 活 用 されているが 約 3 割 (89 百 万 m³)は 消 化 槽 の 加 温 用 としての 用 途 にとどまっており 今 後 熱 と 電 気 を 同 時 に 発 生 させるコジェネレーション 利 用 の 普 及 が 望 まれる 下 水 道 バイオガスを 用 いた 発 電 は 下 水 処 理 場 の 電 力 費 の 節 約 と 資 源 有 効 利 用 の 観 点 から 進 められて い る 平 成 21 年 度 時 点 で40 基 総 発 電 容 量 約 23,232kW 総 発 電 量 は 約 9,000 万 kwh/ 年 に 上 り 平 成 21 年 度 に 全 国 のポンプ 場 及 び 下 水 処 理 場 で 消 費 された 総 電 力 量 約 72 億 kwhの 約 1%に 相 当 する (36 )

Vol.36 No.135 2012/4 下 水 汚 泥 資 源 利 用 の 動 向 と 今 後 の 施 策 について 図 -4 バイオガス 利 用 の 経 年 変 化 ( 国 交 省 調 べ) 2 固 形 燃 料 化 利 用 下 水 汚 泥 の 固 形 燃 料 化 の 手 法 として 現 在 炭 化 油 温 減 圧 乾 燥 及 び 造 粒 乾 燥 があり 火 力 発 電 所 や 製 紙 工 場 のボイラーの 化 石 燃 料 代 替 として 利 用 す る 取 組 が 行 われている 炭 化 とは 脱 水 汚 泥 を 乾 燥 した 後 低 酸 素 もしくは 無 酸 素 状 態 で 蒸 し 焼 きするもので 工 程 の 温 度 に 大 き く 依 存 するが 炭 化 汚 泥 は 約 13MJ/kg(3,000 kcal/kg)の 発 熱 量 ( 低 位 )を 有 しており( 石 炭 は 26.6MJ/kg) また ほとんど 臭 いがしないという 特 徴 を 有 しており 広 島 市 や 愛 知 県 大 阪 市 などで 具 体 的 な 取 組 が 進 められている また 脱 水 汚 泥 を 廃 食 用 油 等 に 投 入 し 減 圧 加 熱 の 条 件 下 で 水 分 を 蒸 発 させる 油 温 減 圧 乾 燥 汚 泥 は 約 22MJ/kgの 発 熱 量 ( 低 位 )を 有 しており 福 岡 県 御 笠 川 浄 化 センターでは 平 成 13 年 度 より 松 浦 火 力 発 電 所 に 供 給 を 行 っている 平 成 21 年 度 に 固 形 燃 料 として 利 用 された 下 水 汚 泥 は 約 2.7 万 t-dsであり 全 体 の 約 1%であるが 複 数 の 自 治 体 で 事 業 化 が 検 討 されており 今 後 固 形 燃 料 化 の 進 展 が 予 想 される 4. 重 点 施 策 (1) 資 源 のみち の 創 出 平 成 17 年 9 月 に 下 水 道 政 策 研 究 委 員 会 中 長 期 ビ ジョン 小 委 員 会 が これまでの 普 及 拡 大 中 心 の20 世 紀 型 下 水 道 から 健 全 な 水 循 環 と 資 源 循 環 を 創 出 する21 世 紀 型 下 水 道 への 転 換 を 目 指 すべき として 長 期 的 視 点 からみた 今 後 の 下 水 道 の 方 向 性 を 下 水 道 ビジョン2100 として 取 りまとめた その 施 策 方 針 の 1つとして 水 環 境 の 保 全 等 下 水 道 の 有 する 機 能 に 加 え 下 水 道 の 有 する 資 源 回 収 供 給 機 能 を 積 極 的 に 活 かして 下 水 処 理 場 のエネルギー 自 立 や 地 球 温 暖 化 防 止 等 に 貢 献 する 資 源 のみち の 創 出 が 盛 り 込 まれて いる 資 源 のみち の 創 出 に 向 けては 下 水 道 施 設 のエ ネルギーの 自 立 率 を 高 める 自 立 する 資 源 のみち 集 積 する 下 水 汚 泥 や 空 間 立 地 条 件 を 活 用 し 地 域 社 会 に 供 給 する 活 かす 資 源 のみち さらにそれらエネ ルギーや 資 源 の 活 用 による 地 球 温 暖 化 防 止 等 環 境 保 全 に 貢 献 する 優 しい 資 源 のみち の3つを 施 策 展 開 上 の 視 点 とすることとされている 今 後 の 下 水 道 のあり 方 として 下 水 道 を 従 来 の 下 水 を 排 除 処 理 する 一 過 性 のシステムから 資 源 エ ネルギーの 回 収 再 生 供 給 システムへと 転 換 し 資 源 エネルギー 循 環 の 形 成 を 図 ることで 循 環 型 社 会 形 成 及 び 低 炭 素 社 会 の 構 築 に 貢 献 することが 重 要 である (2) 重 点 施 策 今 後 重 点 的 に 取 り 組 む 施 策 は 以 下 のとおりである 1 下 水 道 革 新 的 技 術 実 証 事 業 ( B-DASH: BreakthroughbyDynamicApproachinSewage Hightechnology) 本 事 業 の 目 的 は 下 水 処 理 過 程 における 省 エネル ギー 化 下 水 汚 泥 のエネルギー 利 用 の 高 効 率 化 を 図 り 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 削 減 や 建 設 コストの 削 減 を 可 能 にする 革 新 的 技 術 について 実 規 模 レベルの プラントを 設 置 して 技 術 的 な 検 証 を 行 い ガイド ラインをとりまとめ 全 国 の 下 水 処 理 場 への 導 入 を (37 )