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Transcription:

( 様 式 乙 8) 氏 名 山 内 繁 ( ふ り が な ) (やまうち しげる) 学 位 の 種 類 博 士 ( 医 学 ) 学 位 授 与 番 号 乙 第 号 学 位 審 査 年 月 日 平 成 28 年 1 月 13 日 学 位 授 与 の 要 件 学 位 規 則 第 4 条 第 2 項 該 当 学 位 論 文 題 名 Effects of a polymorphism in CACNA1C on schizophrenia with prolonged QTc ( 統 合 失 調 症 における CACNA1C 遺 伝 子 の 遺 伝 的 多 型 が QTc 延 長 にもたらす 影 響 ) 論 文 審 査 委 員 ( 主 ) 教 授 石 坂 信 和 教 授 星 賀 正 明 教 授 木 村 文 治 学 位 論 文 内 容 の 要 旨 背 景 および 目 的 統 合 失 調 症 の 病 態 生 理 は 解 明 されておらず 生 物 学 的 手 法 を 用 いた 様 々な 研 究 が 行 われ ているが 依 然 として 一 定 の 生 物 学 的 特 徴 は 明 らかにされていない 統 合 失 調 症 の 治 療 に は 長 期 にわたる 抗 精 神 病 薬 の 服 用 が 必 要 であるが 抗 精 神 病 薬 の 有 効 性 や 体 重 増 加 錐 体 外 路 症 状 悪 性 症 候 群 及 び 水 中 毒 などの 有 害 事 象 の 発 現 には 個 人 差 があり その 基 盤 としてこれらの 薬 理 学 的 特 性 に 関 する 遺 伝 学 的 な 研 究 が 行 われている 抗 精 神 病 薬 療 法 による 有 害 事 象 の 一 つとして 突 然 死 の 増 加 がある これにより 統 合 失 調 症 患 者 の 平 均 寿 命 は 20% 低 下 すると 言 われており QTc 延 長 からの 多 形 性 心 室 頻 拍 (Torsade de Pointes)などの 心 血 管 障 害 によって 引 き 起 こされる 突 然 死 の 発 生 率 は 抗 精 神 病 薬 を 服 用 していない 人 の 約 2 倍 と 言 われている また 抗 精 神 病 薬 は 大 きく 第 一 世 代 抗 精 神 病 薬 と 第 二 世 代 抗 精 神 病 薬 に 分 類 され 第 二 世 代 抗 精 神 病 薬 のほうが 一 般 に 錐 体 外 - 1 -

路 症 状 の 副 作 用 は 少 ないと 言 われている 一 方 Ray らが 報 告 した 大 規 模 調 査 では 突 然 死 の 発 生 率 はわずかながら 第 一 世 代 1.99 に 比 し 第 二 世 代 の 薬 剤 で 2.26 と 増 加 したことが わかっている(Ray et al., NEJM, 2009) 今 回 我 々は 突 然 死 につながる QTc 延 長 に 注 目 し 統 合 失 調 症 患 者 における QTc 延 長 にな りやすいハイリスク 群 を 同 定 するために 分 子 遺 伝 学 的 研 究 を 行 った 候 補 とした CACNA1C 遺 伝 子 上 には 3 万 5 千 箇 所 以 上 の 一 塩 基 多 型 が 存 在 し そのうち 957 箇 所 が アミノ 酸 置 換 を 伴 う 非 同 義 置 換 とされている イントロン 上 に 存 在 する rs1006737 におい て 双 極 性 障 害 や 他 の 精 神 疾 患 である 統 合 失 調 症 やうつ 病 の GWAS を 用 いた 解 析 により 統 計 学 的 に 有 意 な 関 連 が 示 され 統 合 失 調 症 と 大 うつ 病 性 障 害 の 脆 弱 性 を 形 成 することが 報 告 されている さらに 変 異 の 場 所 は 異 なるものの QT 延 長 症 候 群 (LQTS)の 一 つであ る LQT8(QT 延 長 症 候 群 の 一 つである Timothy 症 候 群 ) の 責 任 遺 伝 子 として 知 られてい る この Timothy 症 候 群 は QT 延 長 のほかに 合 指 症 や 顔 面 形 態 異 常 中 枢 神 経 障 害 を 特 徴 とする 疾 患 で 平 均 死 亡 年 齢 は 2.5 歳 と 言 われており 統 合 失 調 症 との 関 連 は 明 確 にはされ ていない 対 象 および 方 法 対 象 は DSM-IV TR で 統 合 失 調 症 と 診 断 された 184 名 で 第 一 第 二 世 代 の 抗 精 神 病 薬 を 投 与 されている 患 者 である 心 電 図 は 午 前 10 時 から 11 時 30 分 までの 間 に 仰 臥 位 で 記 録 した 184 名 の 統 合 失 調 症 群 の 中 で QTc 時 間 が 0.44s より 延 長 した 51 例 を QTc 延 長 群 (0.44-0.533s) QTc 時 間 が 0.44s 以 下 であった 133 例 を QTc 正 常 群 とした 遺 伝 子 解 析 で は QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 で CACNA1C 遺 伝 子 の rs1006737 における 多 型 を 用 い た 遺 伝 的 関 連 を 解 析 した 遺 伝 子 型 の 頻 度 は 対 象 とした 統 合 失 調 症 群 とデータベース 上 の 一 般 人 と 差 は 認 められなかった 統 計 解 析 にはカイ 二 乗 検 定 および Fisher の 直 接 確 率 検 定 を 用 いた なお 本 研 究 は 大 阪 医 科 大 学 倫 理 委 員 会 によって 承 認 されており すべての 対 象 者 について 文 書 による 同 意 を 得 た - 2 -

結 果 QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 に 年 齢 や 性 別 に 有 意 差 は 見 られなかった 対 象 者 全 体 の 検 討 では QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 の 両 群 間 で 対 立 遺 伝 子 頻 度 遺 伝 子 型 頻 度 ともに 有 意 差 は 見 られなかった 一 方 女 性 のみを 検 討 すると QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 を 比 較 したとこ ろ 遺 伝 子 型 頻 度 で 有 意 差 を 認 めた(Fisher の 直 接 確 率 検 定 p=0.024;hardy-weinberg 平 衡 検 定 p=0.45) 抗 精 神 病 薬 を 第 一 世 代 と 第 二 世 代 の 投 薬 別 に CACNA1C の 遺 伝 子 頻 度 遺 伝 子 型 頻 度 を 比 較 したが 全 体 でも また 女 性 の 対 象 者 においても 有 意 な 差 は 認 めなかった 次 に 女 性 の 統 合 失 調 症 患 者 において 薬 剤 別 に 比 較 したところ リスペリドン 服 用 群 で QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 に 遺 伝 子 型 頻 度 の 有 意 差 が 見 られ 遺 伝 子 型 が G/G の 場 合 QTc 延 長 をきたしやすい 結 果 となった (Fisher の 直 接 確 率 検 定 p=0.048) 考 察 統 合 失 調 症 の 治 療 として 抗 精 神 病 薬 による 薬 物 療 法 は 重 要 であるが 突 然 死 を 含 めた 有 害 事 象 の 可 能 性 があり そのリスクをできるだけ 避 ける 安 全 な 薬 物 療 法 を 選 択 することが 重 要 である 本 研 究 は 突 然 死 を 引 き 起 こしうる 有 害 事 象 である QTc 延 長 に 関 して CACNA1C 遺 伝 子 を 用 いて 分 析 した CACNA1C 遺 伝 子 は 統 合 失 調 症 や 大 うつ 病 性 障 害 を 含 めた 精 神 障 害 の 疾 患 感 受 性 遺 伝 子 と 報 告 されており さらに CACNA1C 遺 伝 子 のエク ソン 8A に 存 在 する gly406-to-arg 変 異 は QT 延 長 症 候 群 (LQT8)を 引 き 起 こすことが 報 告 されている さらに 薬 剤 別 ではリスペリドンを 服 用 している 女 性 の 統 合 失 調 症 群 で QTc 延 長 との 関 連 が 認 められたことから CACNA1C 遺 伝 子 の 遺 伝 的 変 異 における 性 別 の 機 能 的 関 与 が 示 唆 された QT 延 長 症 候 群 の 原 因 遺 伝 子 の 中 で 今 回 候 補 とした LQT8 の 亜 型 である LQT1 (11p15.5 上 KVLQT1) LQT2(7q35-36 上 HERG) および LQT3(3p21-24 上 SCN5A) にも 年 齢 や 性 別 との 関 連 が 示 唆 されており 高 齢 化 と 女 性 は QTc 延 長 の 危 険 因 子 と 言 わ れている QTc 延 長 には 内 分 泌 系 の 関 与 ことに 遺 伝 的 な 制 御 によらない 性 ステロイドホ ルモンの 関 与 が 知 られており 今 回 の 結 果 はそれと 矛 盾 しない 今 回 の 研 究 では 統 合 失 調 - 3 -

症 の 抗 精 神 病 薬 療 法 が 性 別 や 遺 伝 子 型 によって QTc 延 長 に 関 連 する 可 能 性 が 示 唆 されてお り 今 後 の 個 別 化 医 療 に 結 びつく 可 能 性 がある 点 で 臨 床 的 意 義 があると 考 えられた 一 方 今 回 の 研 究 結 果 がサンプル 数 の 少 なさによる 偽 陽 性 である 可 能 性 や 抗 精 神 病 薬 投 与 中 の 一 時 点 での QTc 時 間 によるものであることなどの 研 究 上 の 限 界 があげられる 今 後 今 回 の 結 果 を 検 証 するために より 多 くのサンプル 数 が 必 要 であり 他 民 族 や 他 の 遺 伝 子 座 の 遺 伝 子 多 型 における 解 析 を 行 うことが 必 要 であると 考 えられた - 4 -

( 様 式 乙 9) 論 文 審 査 結 果 の 要 旨 統 合 失 調 症 の 治 療 には 長 期 間 の 抗 精 神 病 薬 の 服 用 が 必 要 であるが 抗 精 神 病 薬 の 効 果 や 有 害 事 象 の 発 現 には 個 人 差 がみられ その 基 盤 を 明 らかにするために 薬 理 遺 伝 学 的 な 研 究 が 行 われている 抗 精 神 病 薬 療 法 による 重 篤 な 有 害 事 象 として 突 然 死 が 知 られている これにより 統 合 失 調 症 患 者 の 平 均 寿 命 は 20% 低 下 し QTc 延 長 からの 多 形 性 心 室 頻 拍 (Torsade de Pointes)などの 心 血 管 障 害 によって 引 き 起 こされる 突 然 死 の 発 生 率 は 抗 精 神 病 薬 を 服 用 していない 人 の 約 2 倍 と 言 われている 申 請 者 は 突 然 死 につながる QTc 延 長 に 注 目 し 統 合 失 調 症 患 者 における QTc 延 長 にな りやすいハイリスク 群 を 同 定 するために 分 子 遺 伝 学 的 研 究 を 行 った 対 象 は DSM-IV TR に 従 って 統 合 失 調 症 と 診 断 された 患 者 のうち QTc が 延 長 した 群 51 例 QTc が 正 常 の 群 133 例 である 候 補 とした 遺 伝 子 は CACNA1C であり この 遺 伝 子 は QT 延 長 症 候 群 (LQTS)の 一 つである LQT8(QT 延 長 症 候 群 の 一 つである Timothy 症 候 群 ) の 責 任 遺 伝 子 として 知 られている CACNA1C 遺 伝 子 の rs1006737 における 多 型 を 用 いた 遺 伝 的 関 連 を QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 で 解 析 した その 結 果 女 性 の 統 合 失 調 症 患 者 で QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 に 遺 伝 子 型 頻 度 で 有 意 差 を 認 め 女 性 の 統 合 失 調 症 患 者 においてリスペリドン 服 用 群 で QTc 延 長 群 と QTc 正 常 群 との 間 に 遺 伝 子 型 頻 度 の 有 意 差 が 見 られた このような 結 果 から 申 請 者 は CACNA1C の 遺 伝 的 変 異 における 性 別 の 機 能 的 な 関 与 が QTc 延 長 に 関 連 する 可 能 性 があると 結 論 づ けている 本 研 究 の 結 果 は 統 合 失 調 症 に 対 する 抗 精 神 病 薬 療 法 における QTc 延 長 のリスク 因 子 を 明 らかにする 上 で 重 要 な 示 唆 を 与 えているものと 考 えられる 以 上 により 本 論 文 は 本 学 学 位 規 程 第 3 条 第 2 項 に 定 めるところの 博 士 ( 医 学 )の 学 位 を 授 与 するに 値 するものと 認 める ( 主 論 文 公 表 誌 ) Bulletin of the Osaka Medical College 60(2): 53-60, 2014-5 -