花 粉 症 とスギ 葉 精 油 のスマートな 関 係 有 限 会 社 サクセス 髙 野 茂 信 はじめに 花 粉 症 は 風 媒 花 (スギ ヒノキ ブタクサ マ ツ イネ 科 ヨモギ ヤシャブシなど)が 風 に 花 粉 を 乗 せて 飛 ばすので 花 粉 症 の 原 因 とされること が 多 いが 虫 媒 花 (セイタカアワダチソウ)でも 花 粉 の 量 が 多 ければ 花 粉 症 の 原 因 とされる 特 に スギの 花 粉 症 の7 割 の 人 がヒノキの 花 粉 症 にも 継 続 して 罹 患 しているので 春 から 初 夏 にかけては マスクが 離 せないことになる 花 粉 症 をスギ 葉 精 油 で 対 処 すると 言 っても 杉 を 以 って 杉 を 制 す という 減 感 作 療 法 を 連 想 して 納 得 される 方 が 大 半 である ところが スギ 葉 精 油 は 広 範 囲 な 花 粉 をアレルゲンとする 花 粉 症 の 症 状 を 軽 減 する 可 能 性 があるということは 案 外 知 ら れていない スギ 葉 精 油 の 使 用 法 アレルゲンとなるスギ 花 粉 を 付 けない 季 節 のス ギ 葉 から 水 蒸 気 蒸 留 法 で 抽 出 したスギ 葉 精 油 を オリーブオイルで5% 程 度 に 希 釈 してソフトカプ セルに 封 入 し 飲 用 する あるいはキャリアオイル で5%に 希 釈 して 鼻 粘 膜 に 塗 布 することで 症 状 が 軽 減 されることは 2000 年 より 試 みられて 成 果 を 上 げている あらゆる 花 粉 症 に 対 して 適 用 でき しかも20 分 以 内 にその 効 果 が 体 感 できる 可 能 性 が あるので 試 していただきたい 鼻 粘 膜 に 塗 布 する ことが 直 接 的 であるが 飲 用 することも 意 外 なほ どの 効 果 が 体 感 できる カプセルが 溶 解 するのに 7 ~8 分 胃 壁 から 吸 収 され 血 中 濃 度 が 上 昇 して 体 内 を 循 環 するまでに5 ~10 分 程 度 であり 合 計 しても20 分 以 内 でスギ 葉 精 油 成 分 が 毛 細 血 管 にま で 浸 透 する これによって 体 内 からIgE 抗 体 と 肥 満 細 胞 の 結 合 により 絶 えず 産 生 されるヒスタミン の 放 出 を 抑 制 することができる 飲 用 のソフトカ プセルは500 万 粒 生 産 され20 分 以 内 に 花 粉 症 の 症 状 が 軽 快 する 確 率 75±5%との 安 定 した 評 価 を 得 ている 花 粉 症 は 即 時 Ⅰ 型 アレルギーに 分 類 され アト ピー 性 皮 膚 炎 や 喘 息 じんましんなどと 同 類 タイ プのアレルギーに 分 類 される 花 粉 を 抗 原 として 引 き 起 こされるアレルギー 反 応 とされるが IgE 的 に 好 酸 球 の 無 方 向 性 運 動 を 完 全 に 抑 制 することを 示 唆 している 図 1 青 葉 アルコールが 好 酸 球 の 無 方 向 性 運 動 およびLTB4(10nM)に 対 する 遊 走 能 に 及 ぼす 影 響
特 集 花 粉 症 自 然 療 法 からのアプローチ 的 に 好 中 球 の 無 方 向 性 運 動 を 完 全 に 抑 制 することを 示 唆 している 図 2 青 葉 アルコールが 好 中 球 の 無 方 向 性 運 動 およびLTB4(10nM)に 対 する 遊 走 能 に 及 ぼす 影 響 的 に 作 用 し 肥 満 細 胞 からヒ スタミンの 放 出 を 抑 制 する ことを 示 唆 している 抗 原 非 添 加 群 のラット 腹 腔 肥 満 細 胞 にも 最 初 から 低 いレベ ルでのヒスタミンは 存 在 す るが 抗 原 添 加 群 にも 青 葉 アルコールが 濃 度 依 存 的 に 作 用 し 抗 原 非 添 加 群 と 同 レベルにまで 低 下 すること を 示 唆 している 図 3 抗 原 抗 体 反 応 に 伴 うラット 腹 腔 肥 満 細 胞 からのHis 遊 離 量 青 葉 アルコールが 抗 原 - 抗 体 反 応 によるラット 気 管 平 滑 筋 の 収 縮 反 応 を 抑 制 する ことが 見 いだされた しか も 青 葉 アルコールの 即 効 性 と 持 続 性 を 示 唆 するもので ある 図 4 青 葉 アルコールが 気 管 平 滑 筋 におけるヒスタミンの 収 縮 反 応 及 ぼす 影 響 抗 体 が 肥 満 細 胞 に 結 合 し ヒスタミンが 放 出 され るという 機 序 によって 発 症 する スギ 葉 精 油 は 好 酸 球 好 中 球 の 無 方 向 運 動 を 濃 度 依 存 的 に 遊 走 の 抑 制 をする 1) 2) ( 図 1 図 2) また ヒスタミンの 放 出 を 濃 度 依 存 的 に 抑 制 す るという 優 れた 生 理 活 性 を 持 っている ラットに よる 動 物 試 験 ではあるがヒスタミンについては 正 常 値 にまで 放 出 を 抑 制 してしまうという 驚 くべき 結 果 となっている 1) 2) ( 図 3) このことによって 即 時 Ⅰ 型 アレルギーの 重 要
な 機 序 3 ヵ 所 のうち2 ヵ 所 について 短 時 間 にかつ 有 効 的 に 阻 止 していることが 示 されている 1) 2) ( 図 4) また ヒト 臨 床 試 験 で 即 時 Ⅰ 型 アレルギーに スギ 葉 精 油 の 優 れた 生 理 活 性 がそのまま 適 用 でき ることが 示 唆 されている これによればIgE 抗 体 が 肥 満 細 胞 と 結 合 してヒスタミンが 放 出 されるこ とを 阻 止 するのであるから 花 粉 症 の 主 たるケミ カルメディエーター( 情 報 伝 達 物 質 )が 放 出 され ず くしゃみ 鼻 水 鼻 詰 まり 目 の 痒 み など 花 粉 症 の 諸 症 状 を 抑 制 してしまうことに 繋 がる 3) 一 般 的 な 即 時 Ⅰ 型 アレルギーの 発 症 機 序 は 1 ~8の 経 過 をたどると 言 われている 1. 消 化 器 呼 吸 器 皮 膚 などからアレルゲンが 侵 入 する 2. マクロファージがこれを 捕 食 する 3. 捕 食 しきれないと アレルゲンの 残 骸 をT 細 胞 に 伝 達 する 4. T 細 胞 はこの 情 報 を 伝 達 し 白 血 球 の 成 分 であ る 好 酸 球 好 中 球 を 呼 び 集 める 5. IgE 抗 体 を 産 生 する 6. 肥 満 細 胞 にIgE 抗 体 が 結 合 する 7. 肥 満 細 胞 からヒスタミンが 放 出 される 8. このヒスタミンにより 花 粉 症 特 有 の くしゃ み 鼻 水 鼻 詰 まり 目 の 痒 み などが 起 こる これに 対 して 精 油 成 分 は 白 血 球 の 成 分 である 好 酸 球 好 中 球 に 働 きかける スギ 花 粉 を 加 工 してハードカプセルに 詰 め 飲 用 に 供 したり 花 粉 のついたスギ 葉 を 煮 詰 めて 液 体 にして 飲 用 食 品 として 販 売 するケースがあるが アナフィラキシーショック * を 起 こし 問 題 となっ ている 抗 原 から 抽 出 した 成 分 を 人 体 に 注 射 する 減 感 作 療 法 は 医 師 のみが 行 うことのできるデリ ケートな 医 療 行 為 であり 長 期 にわたる 根 気 の 要 る 治 療 法 である 花 粉 症 の 症 状 が 発 症 する 前 から 治 療 に 取 りかかり1 ~2 年 を 要 し また 微 熱 が 発 生 することがあるなどの 特 徴 がある 一 方 スギ 葉 精 油 の 生 理 活 性 を 用 いた 方 法 は 微 熱 が 発 生 せず きわめて 短 時 間 のうちに 効 果 が 体 感 できる 可 能 性 があるなどの 減 感 作 療 法 と 際 立 った 差 異 がある また スギ 葉 精 油 毒 性 につい ても 詳 細 な 毒 性 検 査 が 完 了 しており 通 常 の 飲 用 塗 布 にも 問 題 がない スギ( 日 本 柳 杉 学 名 :Cryptomeria japonica (L.F.)D.Don)は 太 古 より 北 海 道 を 除 く 日 本 列 島 に 生 育 しているユニークな 樹 木 であり 一 属 一 種 と 言 われ シナ 南 部 または 琉 球 諸 島 を 原 産 とす る 広 葉 杉 とは 明 瞭 に 区 別 されてきた それほど 日 本 人 のDNAにとって 身 近 であり 親 しんできた 代 表 的 な 樹 木 の 一 つである 原 因 についての 考 察 なぜ これほど 多 くの 花 粉 が 悪 者 にされている のであろうか また 最 初 はスギだけが 悪 者 になっ ていたが スギの 抗 原 を 克 服 しても 別 の 抗 原 に 感 作 した 場 合 には 最 初 から 減 感 作 療 法 を 始 めなけ ればならない また パッチテストで 十 数 種 類 の 抗 原 があるとされる 人 まで 発 生 していることは 事 態 がますます 深 刻 になっていることを 示 してい る 国 民 の3 割 が 花 粉 症 に 悩 まされている 現 状 で は 国 民 的 なQOLの 低 下 による 損 失 は 無 視 でき ないものになりつつある 代 表 的 なスギ 花 粉 症 について 見 ても スギ 花 粉 の 飛 散 量 に 比 例 してスギ 花 粉 症 の 発 症 が 増 減 する のかというと 厳 密 な 比 例 関 係 にはないので あ くまで 花 粉 は 花 粉 症 のトリガー( 引 き 金 )ではな いかと 思 われる なぜなら 花 粉 の 粒 径 は 数 十 μmあり そのまま 粘 膜 から 吸 収 できるものでは なく ただちに 即 時 Ⅰ 型 アレルギーの 発 症 機 序 に より 花 粉 症 の 発 症 に 直 結 するとは 言 えないからで ある 発 症 には 前 提 となるアレルギー 要 因 の 蓄 積 があり 花 粉 の 吸 入 が 一 つの 契 機 となり 発 症 す るものと 思 われる スギだけが 悪 者 なのか ある いはさまざまな 花 粉 が 直 接 の 原 因 なのかについて は 諸 説 あるが 一 度 個 々の 花 粉 を 離 れて 考 察 してみ たい 近 年 生 活 様 式 の 変 化 によって 化 学 物 質 の 摂 取 量 が 著 しく 増 大 している 窒 素 酸 化 物 NO X だけで
特 集 花 粉 症 自 然 療 法 からのアプローチ も20mL/ 日 食 品 添 加 物 10g/ 日 合 成 界 面 活 性 剤 合 成 化 粧 品 などが 否 応 なく 摂 取 されていることが 大 きな 問 題 である 昔 から 大 過 なく 共 存 してきた さまざまな 花 粉 が 突 然 アレルゲンとして 人 々を 悩 ませていることは こうした 化 学 物 質 の 摂 取 と 無 関 係 ではないと 思 われる これらすべてが 悪 い 因 子 とは 言 えないにして も 中 には 異 物 としてIgE 抗 体 で 対 抗 する 必 要 が あるものとして 免 疫 系 に 認 識 される 事 態 になっ ている 花 粉 症 の 自 然 的 免 疫 寛 容 を 獲 得 できるの は 全 罹 患 者 の1 ~2 割 であり 免 疫 寛 容 になりに くいのは 花 粉 が 飛 散 する 範 囲 が 広 大 で 数 十 km ~ 三 百 kmに 達 し 多 種 の 化 学 物 質 をハプテンや 化 学 物 質 として 花 粉 に 付 着 させ その 化 学 物 質 を 鼻 粘 膜 や 他 の 粘 膜 から 人 体 に 吸 収 するからではな 到 達 するには 化 学 物 質 の 過 剰 な 摂 取 を 意 識 して 減 少 させる 生 活 スタイルが 求 められる ファース トフードからスローフードに 象 徴 される 食 品 添 加 物 たっぷりの 調 理 済 み 食 品 から 手 料 理 への 回 帰 合 成 界 面 活 性 剤 の 使 用 から 純 石 鹸 の 使 用 薬 品 へ の 安 易 な 依 存 をやめる 腸 管 免 疫 を 含 む 免 疫 機 能 の 強 化 などが 取 り 入 れられてはじめて 後 天 的 免 疫 寛 容 に 到 達 することができる 3 年 以 上 花 粉 症 が 発 症 しない 状 態 が 根 治 と 定 義 されるのであるが 風 媒 花 の 花 粉 などにより 広 範 囲 な 地 域 の 化 学 物 質 が 運 ばれて 人 体 に 吸 着 摂 取 されている 現 状 からは 焦 点 の 絞 りにくい 症 状 とい うことも 言 えるが スギ 葉 精 油 の 生 理 活 性 の 活 用 と 生 活 様 式 を 昔 に 戻 す 努 力 により QOLを 正 常 な 生 活 に 戻 すことが 可 能 になる いか 花 粉 には 直 接 抗 原 として 作 用 する 化 学 物 質 やハプテンの 有 能 な 運 搬 役 としての 役 割 があるの ではないかと 推 論 することができる また 高 機 能 なマスクによってトリガーとして 謝 辞 東 京 大 学 名 誉 教 授 谷 田 貝 光 克 先 生 の 長 きにわ たるご 指 導 に 感 謝 致 します の 花 粉 を 吸 入 しないことも 有 効 であるが 花 粉 以 外 から 摂 取 する 化 学 物 質 の 蓄 積 がIgE 抗 体 の 産 生 を 必 要 とするほどの 異 物 として 免 疫 系 が 突 然 働 き 始 めたとき 即 時 Ⅰ 型 アレルギーのほかの 症 状 に 転 化 して 発 症 することが 見 られるようになった ハウスダストも 花 粉 症 類 似 のアレルギー 症 状 を 呈 する 花 粉 症 に 先 行 して 発 生 するアレルギーとし て 広 く 認 知 されるようになった アトピー 性 皮 膚 炎 の 患 者 は 花 粉 症 の 季 節 になると 痒 みが 増 す 喘 息 患 者 も 花 粉 症 飛 散 時 期 には 症 状 が 重 くなるなど の 転 化 が 発 生 するようになった *: ヒトや 他 の 哺 乳 類 で 認 められる 急 性 の 全 身 性 かつ 重 度 なアレルギー 反 応 の 一 つで わずかなアレルゲンが 生 死 にかかわる 反 応 を 引 き 起 こすことがある 参 考 文 献 1) 小 林 隆 弘 谷 田 貝 光 克 他 著, 自 然 生 態 からの 有 用 資 源 開 発 手 法 に 関 する 総 合 的 研 究 平 成 7 年 3 月 富 山 県 2) 谷 田 貝 光, 植 物 の 香 りと 生 理 活 性 -その 科 学 的 特 性 と 機 能 性 を 科 学 する,フレグランスジャーナル 社, 208-210 3) 髙 野 茂 信, 関 江 里 子, スギ 葉 精 油 のアトピー 性 皮 膚 炎 に 起 因 する かゆみ 抑 制 効 果 の 検 証, アロマリサーチ, Vol.13 No.2, 60-66, 2012 また 小 学 校 に 入 学 した 児 童 が 教 科 書 ノー トや 鉛 筆 に 含 まれる 化 学 物 質 に 感 作 し 突 然 鼻 血 を 出 したり スーパーで 買 い 物 中 の 主 婦 が 突 然 鼻 血 を 出 したりするような 化 学 物 質 に 直 接 感 作 して しまう 例 も 見 られるようになった これらは タ ンパク 質 を 介 することなく 直 接 ヒトの 免 疫 系 に 警 鐘 を 鳴 らしていると 受 け 止 めることができる これまで スギ 葉 精 油 による 花 粉 症 の 症 状 軽 快 髙 野 茂 信 Shigenobu Takano 有 限 会 社 サクセス 取 締 役 CTO 1970 年 明 治 大 学 経 営 学 部 経 営 学 研 究 科 卒 業 1980 年 明 治 大 学 大 学 院 経 営 学 研 究 科 修 了 専 攻 : 経 営 管 理 論 連 絡 先 103-0014 東 京 都 中 央 区 日 本 橋 蛎 殻 町 1-9-5 E-mail:cto@non-allergy.com に 着 目 してきたが 自 然 的 免 疫 寛 容 という 根 治 に