財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 大 臣 官 房 地 方 課 長 保 井 俊 之 財 務 局 の 機 能 強 化 プロジェクトチーム *1 1.はじめに 財 務 局 は 地 域 における 財 務 省 の 総 合 出 先 機 関 として また 金 融 庁 からの 法 令 に 基 づく 事 務 委 任 を 受 けて 財 政 国 有 財 産 金 融 等 に 関 する 施 策 を 実 施 しています さらに 財 務 省 及 び 金 融 庁 の 施 策 を 地 域 に 広 報 するとともに 地 域 の 意 見 要 望 や 地 域 経 済 の 実 態 を 財 務 省 及 び 金 融 庁 に 的 確 かつ 迅 速 に 伝 達 し 効 果 的 な 施 策 の 形 成 に 寄 与 し ています また 地 域 の 特 性 を 踏 まえた 施 策 の 実 施 を 通 じて 地 域 貢 献 に 努 めています *2 このように 財 務 局 とその 職 員 の 使 命 は 施 策 の 実 施 施 策 の 地 域 への 広 報 地 域 の 意 見 要 望 や 地 域 経 済 の 実 態 の 伝 達 そしてこれらを 通 じた 地 域 貢 献 により 国 民 生 活 の 安 定 向 上 と 我 が 国 経 済 の 発 展 に 貢 献 することにあります 財 務 省 の 総 合 出 先 機 関 として 広 汎 な 機 能 を 持 つ 財 務 局 が その 機 能 をより 良 く 発 揮 し 地 域 経 済 社 会 によ り 貢 献 していこう こうした 考 えの 下 大 臣 官 房 地 方 課 と 財 務 局 が 協 力 して 財 務 局 の 機 能 強 化 を 進 めています 本 稿 では 今 事 務 年 度 における 財 務 局 の 機 能 強 化 の 取 組 を 説 明 するとともに 各 財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 事 例 を 紹 介 します 2. 財 務 局 の 機 能 強 化 に 向 けた 取 組 (1) 財 務 局 が 結 節 点 (ハブ)となるプ ラットフォームの 構 築 1 基 本 的 な 考 え 方 財 務 局 の 実 施 広 報 伝 達 並 びに 地 域 貢 献 という 機 能 は 各 地 域 での 中 長 期 的 な 視 野 に 立 った 不 断 の 関 係 構 築 があってこそ 効 果 的 に 果 た され 得 ます 財 務 局 の 機 能 強 化 も 中 長 期 を 見 据 え 継 続 的 組 織 的 に 進 めていくことが 重 要 であり 今 事 務 年 度 は 各 財 務 局 において こ れまでの 既 存 のネットワークを 発 展 させ 地 域 の 関 係 者 が 自 発 的 積 極 的 に 参 加 する 恒 常 的 な 双 方 向 の 意 見 交 換 の 場 (プラットフォーム)を 作 ることに 重 点 を 置 き 種 々の 取 組 を 進 めまし た 各 財 務 局 の 取 組 のうち 革 新 的 かつ 特 色 あ る 事 例 を 以 下 に 紹 介 します *1) 大 臣 官 房 地 方 課 では 財 務 局 の 機 能 強 化 を 推 進 するためのプロジェクトチームを 作 り メンバー 各 々の 担 当 分 野 を 通 じ 財 務 局 が 地 域 経 済 社 会 に 貢 献 するための 取 組 を 推 進 しています プロジェクトチームのメンバーは 次 のとおりです 青 木 均 折 居 光 博 川 路 智 児 玉 光 載 坂 巻 綴 佐 藤 牧 夫 清 水 健 一 清 水 雅 之 杉 田 直 幸 髙 橋 智 武 石 孝 文 田 村 嘉 啓 西 村 則 人 松 田 幸 造 *2) 財 務 局 の 業 務 は 9つの 財 務 局 ( 北 海 道 東 北 関 東 北 陸 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 )と 福 岡 財 務 支 局 並 びに 内 閣 府 沖 縄 総 合 事 務 局 財 務 部 からなる11のブロック 単 位 で 行 っており 財 務 ( 支 ) 局 と 沖 縄 総 合 事 務 局 財 務 部 の 下 には 全 都 道 府 県 を 網 羅 する 形 で 40の 財 務 事 務 所 と15の 出 張 所 があります 本 稿 ではこれらの 官 署 をまとめて 財 務 局 または 財 務 局 財 務 事 務 所 と 呼 びます 財 務 局 の 使 命 役 割 機 能 に 関 しては 平 成 25 年 1 月 発 行 の 本 誌 第 48 巻 第 10 号 の24~35ページで 詳 細 にご 紹 介 しています
財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 2 北 陸 地 域 連 携 プラットフォーム の 設 置 金 沢 市 では 北 陸 経 済 連 合 会 日 本 政 策 投 資 銀 行 北 陸 支 店 などの 協 力 を 得 て 北 陸 財 務 局 の 呼 び 掛 けで 北 陸 地 域 連 携 プラットフォーム が 設 置 されました このプラットフォームは 日 頃 より 意 識 認 識 されてはいても 未 だ 課 題 として 形 をなしていないもの 議 論 しにくいも のなどで 北 陸 地 域 にとって 重 要 と 思 われる 事 柄 などについて 地 域 の 各 界 各 層 の 有 識 者 の 方 々 に 御 意 見 や 御 議 論 をいただき 現 状 や 課 題 の 明 確 化 と それへの 対 応 などについて 広 く 地 域 の 方 々と 共 有 連 携 していく 場 です 本 年 1 月 4 月 6 月 と 四 半 期 毎 に 会 合 を 開 催 し 先 ずは 人 口 減 少 少 子 高 齢 化 をテー マに 意 見 交 換 を 重 ねました 現 状 北 陸 地 域 の 人 口 減 少 少 子 高 齢 化 は 全 国 に 先 行 して 進 んでいます そしてそこから 発 生 する 諸 課 題 に は 先 頭 に 立 って 考 え 対 応 する 必 要 があるとの 認 識 の 下 北 陸 地 域 に 根 ざす 伝 統 や 文 化 世 界 的 に 評 価 されている ものづくり 力 など 地 域 の 豊 かな 潜 在 力 を 活 かし 幸 せを 実 感 でき る 地 域 コミュニティー 形 成 への 道 筋 を 醸 成 さ せていく その 手 掛 かりの 場 として 北 陸 地 域 の 住 民 の 方 々が 幸 せを 実 感 できる 地 域 の 未 来 を 積 極 的 に 選 択 していく そして 未 来 に 向 か って 自 ら 働 きかけていく そうした 連 鎖 とそれ ぞれの 地 域 における 議 論 の 広 がりを このプラ ットフォームが 生 むことが 期 待 されています 3 九 州 の 未 来 力 2030 の 発 足 福 岡 市 では 昨 年 12 月 福 岡 財 務 支 局 が 中 心 北 陸 地 域 連 携 プラットフォーム での 意 見 交 換 となり 九 州 の 未 来 力 2030 が 発 足 しました このプラットフォームは 九 州 の 未 来 をどう 構 想 するかについて 平 素 から 問 題 意 識 を 持 ち 活 動 されている 産 学 金 官 の 有 識 者 が 自 発 的 かつ 継 続 的 に 参 画 するものです 九 州 の 未 来 力 2030 では メンバー 相 互 の 問 題 意 識 や 意 見 情 報 を 交 差 させ 化 学 反 応 を 起 こすことによっ て メンバー 各 位 の 構 想 力 を 更 に 高 め 平 素 の 活 動 の 中 で 役 立 てるとともに 積 極 的 な 情 報 発 信 を 通 じて 九 州 の 未 来 力 を 高 めることをコンセ プトにしています 年 4 回 程 度 開 催 することとしており これま でにアジアと 九 州 の 構 造 変 化 九 州 農 業 の6 次 産 業 化 東 九 州 自 動 車 道 の 開 通 と 九 州 経 済 をテ ーマに 活 発 な 意 見 交 換 を 行 いました また 会 合 のたびに 議 事 概 要 や 座 長 提 言 を 公 表 していま す 九 州 の 未 来 力 2030 での 意 見 交 換 (2) 地 域 経 済 活 性 化 に 向 けた 取 組 1 基 本 的 な 考 え 方 財 務 局 は 政 府 が 昨 年 6 月 に 閣 議 決 定 した 日 本 再 興 戦 略 に 盛 り 込 まれている 各 種 施 策 の 地 方 での 活 用 促 進 を 図 る 結 節 点 (ハブ)となり 地 域 経 済 の 発 展 に 貢 献 することを 目 指 した 取 組 を 進 めています 今 事 務 年 度 は 特 に 政 府 施 策 の 広 報 や 政 府 系 金 融 機 関 の 地 方 支 店 等 を 含 む 地 域 金 融 機 関 企 業 大 学 等 の 相 互 交 流 を 促 す こと 等 を 通 じ 既 存 の 経 営 資 源 の 活 用 組 合 せ から 新 たなビジネスを 形 成 する 取 組 (オープン イノベーション)を 加 速 させるための 支 援 を 強 化 しました
2 地 域 でのオープンイノベーションを 支 援 する 取 組 日 本 経 済 の 課 題 は 製 品 (ものづくり)そのも のから 製 品 を 用 いた 仕 組 みを 提 供 すること (ことづくり)に 移 行 しており 技 術 の 高 度 化 複 合 化 もあり 1 社 の 技 術 領 域 だけでは 完 結 し ない 領 域 が 拡 大 していると 言 われています *3 価 値 創 造 につながる 連 携 促 進 に 向 けた 構 想 力 を 強 化 し その 構 想 をビジネスとして 実 践 実 現 する 場 の 構 築 を 促 進 する 観 点 から 日 本 政 策 投 資 銀 行 が 大 手 町 にイノベーション ハ ブ(iHub)を 立 ち 上 げ オープンイノベーショ ンを 支 援 しています 財 務 局 では こうした 動 きと 全 国 津 々 浦 々で 連 携 するため 日 本 政 策 投 資 銀 行 と 協 力 し 広 島 浜 松 大 阪 など 各 地 で 民 間 事 業 者 等 の 方 々 が 参 加 するワークショップ( 地 域 版 ihub)を 開 催 する 支 援 をしています た 国 の 出 先 機 関 等 の 協 力 を 得 て 経 済 政 策 や 防 災 対 策 など 各 省 の 各 種 補 助 制 度 のうち 地 方 公 共 団 体 と 地 域 金 融 機 関 の 双 方 が 連 携 して 活 用 できるものに 絞 ってワンストップで 紹 介 すると いう 全 国 初 の 取 組 です 高 松 市 での 補 助 制 度 等 合 同 説 明 会 での 質 疑 応 答 浜 松 ihubでの 参 加 者 による 寸 劇 の 一 コマ 3 国 の 補 助 制 度 等 合 同 説 明 会 の 開 催 高 松 市 では 本 年 4 月 四 国 4 県 の 地 方 公 共 団 体 地 域 金 融 機 関 商 工 関 係 者 を 対 象 に 総 務 省 国 土 交 通 省 農 林 水 産 省 経 済 産 業 省 所 管 の 補 助 制 度 等 の 合 同 説 明 会 が 開 催 されまし た この 合 同 説 明 会 は 四 国 経 済 の 活 性 化 に 貢 献 するため 地 方 公 共 団 体 と 地 域 金 融 機 関 をつな ぐ 橋 渡 し 役 をすべく 四 国 財 務 局 が 企 画 しまし 4 経 済 連 携 協 定 の 利 用 支 援 セミナーの 開 催 経 済 連 携 協 定 (EA)とは 幅 広 い 経 済 関 係 の 強 化 を 目 指 して 貿 易 や 投 資 の 自 由 化 を 進 め る 協 定 です このEAの 重 要 な 要 素 として 関 税 の 削 減 撤 廃 があり EA 締 結 国 との 間 の 貿 易 取 引 については 通 常 より 低 い 関 税 率 (EA 関 税 率 )の 適 用 が 認 められます 現 在 我 が 国 はAEAN 諸 国 を 中 心 とした13 の 国 地 域 との 間 でEAを 締 結 しています また 環 太 平 洋 パートナーシップ() 東 アジア 地 域 包 括 的 経 済 連 携 (RCE) 日 EU EA 等 の 数 多 くのEA 交 渉 に 同 時 並 行 的 に 取 り 組 んでいる ところであり 今 後 これらの 協 定 が 発 効 すれば EA 税 率 の 適 用 対 象 となる 貿 易 取 引 は 大 きく 増 加 することが 見 込 まれています その 一 方 中 小 企 業 のEA 利 用 率 は 低 く その 主 な 要 因 とし てEA 制 度 や 手 続 きに 関 する 情 報 が 不 足 してい ることが 挙 げられています *4 このため 各 財 務 局 では 昨 年 7 月 から 本 年 5 月 にかけ 税 関 と 協 力 しつつ 我 が 国 のEAの 概 要 EAを 利 用 するために 必 要 な 原 産 地 規 則 *3) 日 本 政 策 投 資 銀 行 競 争 力 強 化 に 関 する 研 究 会 中 間 報 告 ( 平 成 25 年 1 月 11 日 公 表 )などによる *4) JER 世 界 貿 易 投 資 報 告 (2013 年 版 )などによる
財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 及 び 関 税 分 類 等 を 説 明 するセミナーを 全 国 20か 所 で 開 催 しました *5 (3) 消 費 税 転 嫁 対 策 等 に 関 する 取 組 1 財 務 省 の 総 合 出 先 機 関 としての 財 務 局 国 税 の 賦 課 徴 収 を 担 当 する 地 方 支 分 部 局 は 国 税 局 税 務 署 ですが 財 務 局 財 務 事 務 所 も 財 務 省 の 総 合 出 先 機 関 として 税 に 関 する 様 々 な 情 報 を 地 域 の 皆 様 に 伝 え 地 域 の 声 を 財 務 省 に 伝 える 役 割 があります 本 年 4 月 から 消 費 税 率 が8%に 引 き 上 げられたことに 伴 い 各 財 務 局 では 消 費 税 の 転 嫁 対 策 並 びに 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 の 広 報 等 を 行 いました 2 消 費 税 転 嫁 対 策 各 財 務 局 では 事 業 者 が 消 費 税 を 価 格 へ 転 嫁 しやすい 環 境 の 整 備 に 向 け 公 正 取 引 委 員 会 や 中 小 企 業 庁 をはじめ 政 府 の 転 嫁 対 策 の 取 組 に 関 し 説 明 するとともに 法 令 違 反 となる 転 嫁 拒 否 等 がないか 各 地 域 でヒアリングを 行 っていま す このヒアリングを 通 じ 買 いたたきなどの 法 令 違 反 が 疑 われる 相 談 を 受 けた 場 合 は 関 係 省 庁 と 連 携 し その 是 正 に 取 り 組 んでいます 3 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 の 広 報 昨 年 10 月 の 消 費 税 率 引 上 げ 判 断 を 踏 まえ 各 財 務 局 では 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 に 関 し 地 方 公 共 団 体 経 済 商 工 団 体 地 域 金 融 機 関 大 学 など 地 域 の 皆 様 への 広 報 を 行 いました 本 年 3 月 末 までの 間 に 個 別 説 明 を10,142 回 講 演 会 意 見 交 換 会 を1,058 回 実 施 するととも に 厚 生 労 働 省 経 済 産 業 省 財 務 省 から 講 師 を 招 いた 地 方 説 明 会 を47 都 道 府 県 で 開 催 し 合 わせて4,000 人 を 超 える 方 々に 参 加 いただきま した (4)ボトムアップでの 取 組 これまでの 地 域 貢 献 に 向 けた 取 組 は 主 として 財 務 局 幹 部 が 中 心 となり 実 施 してきました 今 事 務 年 度 は 財 務 局 幹 部 の 取 組 を 継 続 することに 加 え 更 に 財 務 局 幹 部 が 設 計 (デザイン)や 段 取 り(マネジメント)を 工 夫 することにより 中 堅 札 幌 市 での 地 方 説 明 会 の 様 子 若 手 職 員 も 含 めたボトムアップでの 活 動 に 発 展 さ せることを 目 指 しました 例 えば 近 畿 財 務 局 では 若 手 職 員 が 主 体 とな り 次 世 代 の 地 域 の 担 い 手 である 若 手 経 営 者 への ヒアリングを 実 施 しました このヒアリングは 企 画 立 案 実 施 とりまとめの 全 てを 若 手 職 員 が 行 いました 若 手 職 員 が 主 体 的 に 参 加 した 結 果 とし て このヒアリングを 契 機 に 双 方 向 で 意 見 交 換 を 行 う 会 合 を 立 ち 上 げることにもつながりまし た また 本 省 でも フラットな 対 話 形 式 での 会 議 や 中 堅 若 手 職 員 を 対 象 とするワークショップな どを 通 じて 財 務 局 職 員 とこのような 考 え 方 を 共 有 することに 加 え 財 務 局 の 中 堅 職 員 と 地 域 への 貢 献 の 在 り 方 を 議 論 する 研 修 の 機 会 を 新 たに 設 け ました どうしたら 財 務 局 が 地 域 の 課 題 を 解 決 で きるか 全 国 の 財 務 局 から 公 募 に 応 じて19 名 の 新 進 気 鋭 の 職 員 が 集 まり 1 産 学 官 金 の 連 携 2 地 域 金 融 機 関 の 金 融 仲 介 機 能 の 強 化 3 国 有 財 産 の 活 用 4 災 害 査 定 立 会 予 算 執 行 調 査 及 び 財 政 融 資 等 の 切 り 口 からの 地 域 貢 献 のそれぞれのテ ーマに 沿 って 議 論 を 深 めました 本 省 からは 見 えにくい 地 域 の 課 題 や その 課 題 を 解 決 するための 具 体 的 な 取 組 などに 関 し 今 後 も 本 省 財 務 局 が 車 の 両 輪 として 議 論 を 続 けなが ら 納 税 者 の 皆 様 の 負 託 に 応 える 施 策 の 立 案 と 執 行 に 努 めて 行 きたいと 思 います *5) 詳 細 は 税 関 ホームページ http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/ea_ichiran.htm をご 覧 ください
神 戸 財 務 事 務 所 での 若 手 経 営 者 と 若 手 職 員 との 意 見 交 換 3. 各 財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 これまで 述 べてきたように 各 財 務 局 では 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 のための 様 々な 取 組 を 進 めて います 残 念 ながら 全 ての 取 組 を 紹 介 することは できませんが 紙 面 が 許 す 限 り 以 下 各 地 域 で の 主 な 取 組 をご 紹 介 します (1) 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 支 援 ( 東 北 財 務 局 ) 平 成 23 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 で 東 北 地 方 は 甚 大 な 被 害 を 受 け 今 も 復 興 の 途 上 にあります 震 災 発 生 直 後 から 東 北 財 務 局 は 被 災 自 治 体 への 職 員 派 遣 被 災 者 の 公 務 員 宿 舎 への 迅 速 な 入 居 等 に 尽 力 してきました 更 に 被 災 住 宅 のローン 等 を 減 免 する 個 人 版 私 的 整 理 ガイドライン の 運 用 が 平 成 23 年 8 月 から 始 まったことを 受 け 住 民 説 明 会 の 開 催 仮 設 住 宅 等 でのチラシ 配 布 など そ の 周 知 に 取 り 組 んでいます また 復 興 公 営 住 宅 の 敷 地 として 国 有 地 を 売 却 する 市 庁 舎 と 国 の 合 同 庁 舎 を 合 築 し 津 波 避 難 ビ ルとして 整 備 するなど 地 方 公 共 団 体 と 緊 密 に 連 携 し 被 災 地 の 復 興 のため 最 善 を 尽 くしています (2) 待 機 児 童 解 消 のための 国 有 地 活 用 投 資 詐 欺 被 害 防 止 に 向 けた 広 報 ( 関 東 財 務 局 ) 待 機 児 童 の 解 消 は 都 市 部 を 中 心 に 喫 緊 の 課 題 と 東 松 島 市 での 個 人 版 私 的 整 理 ガイドライン 広 報 活 動 なっています *6 平 成 25 年 4 月 に 安 倍 総 理 の 成 長 戦 略 スピーチ で 発 表 された 待 機 児 童 解 消 加 速 化 プラン で 国 有 地 を 活 用 した 保 育 所 整 備 が 示 され 財 務 局 もこのプランに 沿 い 定 期 借 地 制 度 を 用 いた 国 有 地 の 貸 付 や 優 先 的 売 却 を 積 極 的 に 行 っています 首 都 圏 を 抱 える 関 東 財 務 局 では 他 の 財 務 局 に 率 先 し 保 育 ママ 事 業 のための 国 家 公 務 員 宿 舎 の スペースの 活 用 や 社 会 福 祉 法 人 に 対 する 定 期 借 地 制 度 を 活 用 した 未 利 用 国 有 地 の 貸 付 待 機 児 童 数 が 多 い 地 方 公 共 団 体 を 訪 問 しての 廃 止 予 定 宿 舎 や 未 利 用 国 有 地 の 情 報 提 供 など 地 域 の 課 題 解 決 に 向 けた 積 極 的 な 努 力 を 続 けています また 未 公 開 株 やファンド 取 引 といった 名 目 で の 高 齢 者 に 対 する 投 資 詐 欺 被 害 が 深 刻 化 している 川 崎 市 での 公 務 員 宿 舎 を 活 用 した 保 育 ママ 事 業 の 様 子 *6) 首 都 圏 ( 東 京 都 神 奈 川 県 埼 玉 県 千 葉 県 )における 平 成 25 年 4 月 1 日 の 保 育 所 入 所 待 機 児 童 数 は11,821 人
財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 実 情 を 踏 まえ 関 東 財 務 局 内 に 専 担 チームを 設 置 し 無 登 録 業 者 への 社 名 を 公 表 しての 文 書 警 告 警 察 地 方 公 共 団 体 に 対 する 悪 質 業 者 情 報 の 提 供 商 店 街 での 注 意 喚 起 活 動 など 地 域 に 密 着 したき め 細 やかな 活 動 を 実 施 しています (3) 地 域 の 中 小 企 業 支 援 国 有 地 と 財 政 融 資 資 金 を 活 用 した 地 域 医 療 へ の 貢 献 ( 近 畿 財 務 局 ) 近 畿 財 務 局 では 従 来 から 地 域 の 中 小 企 業 を 継 続 的 にヒアリングしており 約 3,500 社 とのネッ トワークを 維 持 しています このネットワークを 活 かし 企 業 活 動 の 現 場 における 金 融 機 関 のコン サルティング 努 力 や 中 小 企 業 支 援 施 策 の 浸 透 状 況 等 を 重 点 的 にヒアリングして 課 題 を 把 握 し 経 済 産 業 局 や 中 小 企 業 支 援 機 構 とも 連 携 して 中 小 企 業 の 状 況 に 応 じた 支 援 態 勢 を 構 築 しました また 公 務 員 宿 舎 の 移 転 により 生 じた 未 利 用 国 有 地 を 活 用 し 地 元 の 地 方 公 共 団 体 に 協 力 し 購 入 費 の 一 部 に 財 政 融 資 を 充 てることにより 地 域 医 療 の 拠 点 病 院 整 備 を 支 援 しました 旧 名 古 屋 空 港 跡 地 に 整 備 された 航 空 機 関 連 の 研 究 拠 点 (5) 障 害 者 就 労 サポートセンター 特 別 支 援 学 校 整 備 ( 中 国 財 務 局 ) 中 国 財 務 局 では 障 害 者 就 労 サポートセンター を 経 営 する 社 会 福 祉 法 人 の 要 望 を 真 摯 に 受 け 止 め 財 務 本 省 と 調 整 した 結 果 新 たに 社 会 福 祉 法 人 に 対 し 定 期 借 地 制 度 により 国 有 地 を 貸 与 すること を 可 能 としました また 地 方 公 共 団 体 が 設 立 す る 特 別 支 援 学 校 の 移 転 に 当 たり 財 政 融 資 資 金 を 活 用 することを 通 じ 日 本 有 数 の 施 設 設 備 を 持 つ 特 別 支 援 学 校 の 整 備 に 協 力 しています 枚 方 市 の 公 務 員 宿 舎 跡 地 に 整 備 予 定 の 地 域 医 療 拠 点 病 院 (4) 航 空 機 関 連 の 研 究 開 発 生 産 整 備 拠 点 への 国 有 地 の 活 用 ( 東 海 財 務 局 ) 東 海 財 務 局 では 旧 名 古 屋 空 港 跡 地 について 当 該 地 域 が 国 際 戦 略 総 合 特 区 (アジアNo.1 航 空 宇 宙 産 業 クラスター 形 成 特 区 )に 指 定 されたことを 受 け 愛 知 県 に 対 し 航 空 機 関 連 の 研 究 開 発 生 産 整 備 拠 点 用 地 として 処 分 することを 通 じ 県 が 推 進 する 航 空 宇 宙 産 業 の 育 成 に 協 力 しています 平 成 24 年 9 月 に 広 島 市 に 開 校 した 特 別 支 援 学 校
(6) 預 金 口 座 の 不 正 利 用 による 犯 罪 防 止 に 向 けた 協 定 の 締 結 ( 福 岡 財 務 支 局 ) 福 岡 財 務 支 局 では 振 り 込 め 詐 欺 等 の 金 融 犯 罪 による 被 害 の 未 然 防 止 に 向 け 管 内 全 県 の 警 察 本 部 及 び 金 融 団 体 との 間 で 預 金 口 座 の 不 正 利 用 に よる 犯 罪 の 被 害 防 止 に 向 けた 取 組 を 進 める 協 定 を 締 結 しました この 協 定 に 基 づき 福 岡 財 務 支 局 が 事 務 局 とな り 金 融 犯 罪 の 被 害 撲 滅 に 向 けた 関 係 者 連 携 会 議 を 設 置 し 銀 行 等 が 取 り 組 む 有 効 な 対 策 について 関 係 者 間 で 協 議 をしています この 結 果 福 岡 県 内 の 全 銀 行 の 本 支 店 で 一 定 金 額 以 上 の 預 金 払 出 し 等 を 行 う 顧 客 に 対 する 防 犯 チェックシートを 交 付 するなど 被 害 の 未 然 防 止 に 向 けた 具 体 的 な 取 組 が 始 まっています 長 崎 県 警 察 本 部 等 との 協 定 締 結 式 (7) 地 方 公 共 団 体 との 連 携 ( 北 海 道 財 務 局 九 州 財 務 局 沖 縄 総 合 事 務 局 ) 北 海 道 財 務 局 では 本 年 3 月 大 規 模 な 災 害 が 発 生 した 場 合 に 迅 速 な 被 災 地 支 援 を 行 うため 北 海 道 及 び 北 海 道 内 の 全 179 市 町 村 との 間 で 災 害 時 の 応 援 に 関 する 協 定 を 締 結 しました この 協 定 は 北 海 道 内 で 大 規 模 な 災 害 が 発 生 した 場 合 に 北 海 道 財 務 局 が 関 係 者 と 連 携 し 初 動 時 の 情 報 収 集 等 を 迅 速 に 実 施 するほか 北 海 道 及 び 北 海 道 内 の 市 町 村 へ 財 務 局 職 員 を 派 遣 し 避 難 施 設 の 運 営 補 助 や 支 援 物 資 の 受 付 罹 災 証 明 書 の 発 行 事 務 等 の 業 務 を 行 うことで 一 日 も 早 い 被 災 地 の 復 旧 と 生 活 の 安 定 に 努 めるものです 北 海 道 財 務 局 の 取 組 と 同 様 に 九 州 財 務 局 沖 縄 総 合 事 務 局 など 他 の 財 務 局 でも 地 方 公 共 団 体 と の 連 携 を 強 化 しており 国 の 庁 舎 や 国 家 公 務 員 宿 舎 を 緊 急 避 難 施 設 として 指 定 する 宿 舎 管 理 人 を 地 域 の 児 童 の 見 守 り 相 談 員 ( こども )とし て 登 録 する 国 有 地 の 活 用 等 に 関 し 地 方 公 共 団 体 と 協 議 会 を 設 置 する 広 域 市 町 村 組 合 に 災 害 時 緊 急 避 難 施 設 備 蓄 倉 庫 等 敷 地 として 国 有 地 を 売 却 するといった 取 組 を 進 めています 4. 財 務 局 の 業 務 改 善 と 優 秀 な 取 組 の 表 彰 (1) 効 率 的 な 業 務 運 営 財 務 局 では 新 たな 業 務 の 導 入 や 現 在 行 ってい る 業 務 の 複 雑 高 度 化 に 伴 い 常 にコスト 意 識 を もって 効 率 的 な 業 務 運 営 に 取 り 組 むことが 重 要 な 課 題 となっています このため 財 務 局 の 機 能 強 化 の 一 環 として 職 員 の 創 意 工 夫 により 財 務 局 の 果 たす 機 能 の 一 層 の 発 揮 又 は 業 務 の 効 率 性 向 上 を 目 指 した 業 務 改 善 を 図 ることを 目 的 に 職 員 か ら 業 務 改 善 策 を 募 り 業 務 の 見 直 しに 積 極 的 に 取 り 組 んでいます (2) 優 秀 な 取 組 の 表 彰 上 記 の 財 務 局 職 員 による 業 務 改 善 の 取 組 に 加 え 財 務 局 が 推 進 している 様 々な 地 域 連 携 の 取 組 地 方 公 共 団 体 との 協 定 契 約 の 締 結 を 発 表 する 財 務 局 幹 部
財 務 局 の 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 の 中 で 特 に 優 れた 功 績 のあった 職 員 や 部 局 に 対 し 事 務 次 官 表 彰 を 実 施 しています 今 事 務 年 度 に 事 務 次 官 表 彰 となったのは 次 の7つの 取 組 で す ( 業 務 改 善 ) 庁 舎 宿 舎 引 受 事 務 マニュアルの 作 成 について ( 関 東 財 務 局 ) 国 有 財 産 総 合 情 報 管 理 システム 使 用 者 のための 普 通 財 産 決 議 書 記 載 例 の 整 備 ( 近 畿 財 務 局 ) 資 金 実 地 監 査 マニュアルの 策 定 について( 福 岡 財 務 支 局 ) ( 地 域 連 携 ) 組 織 力 を 活 かした 積 極 果 敢 な 地 域 連 携 ( 関 東 財 務 局 ) 北 陸 地 域 連 携 プラットフォーム( 北 陸 財 務 局 ) 組 織 一 丸 となった 戦 略 的 地 域 連 携 ( 近 畿 財 務 局 ) 九 州 の 未 来 力 2030 プラットフォーム( 福 岡 財 務 支 局 ) 5. 財 務 局 で 働 くことの 魅 力 財 務 局 では 財 務 専 門 官 と 総 合 職 の 採 用 を 行 っ ています 財 務 専 門 官 は 平 成 24 年 度 の 国 家 公 務 員 採 用 試 験 制 度 の 変 更 に 伴 い 創 設 された 財 務 専 門 官 採 用 試 験 の 合 格 者 から 採 用 されます 財 務 専 門 官 は 全 国 各 地 の 財 務 局 において 予 算 執 行 調 査 財 政 融 資 資 金 の 貸 付 国 有 財 産 の 管 理 活 用 地 域 経 済 の 調 査 金 融 機 関 の 検 査 監 督 など 幅 広 い 業 務 を 担 当 するだけでなく 財 務 省 や 金 融 庁 へ 出 向 し て 企 画 立 案 業 務 も 経 験 します 研 修 も 充 実 してお り いずれ 財 政 金 融 資 産 管 理 の 専 門 家 として 地 域 のために 様 々な 業 務 分 野 で 活 躍 していくこと が 期 待 されています 財 務 局 の 総 合 職 は 財 務 省 や 金 融 庁 を 中 心 に 留 学 や 海 外 勤 務 等 も 含 めて 様 々な 経 験 を 積 み い ずれ 財 務 局 のマネジメントを 担 うとともに 本 省 庁 でも 活 躍 の 場 が 広 がっています 政 策 を 実 現 す るためには 企 画 立 案 された 政 策 が 地 域 の 現 場 において 円 滑 に 執 行 されることが 必 要 です 財 務 局 の 総 合 職 は 本 省 庁 の 企 画 立 案 と 財 務 局 の 執 行 の 両 方 をつなぐ 重 要 な 役 割 を 果 たすことが 期 待 さ れています 既 述 のとおり 財 務 局 の 業 務 は 地 域 社 会 と 密 接 に 関 係 しています 例 えば 財 務 局 では 地 方 公 共 団 体 が 地 域 に 必 要 な 病 院 学 校 社 会 福 祉 施 設 や 地 下 鉄 などを 整 備 する 資 金 が 必 要 な 場 合 に 財 政 融 資 資 金 を 貸 し 付 けています また 地 方 公 共 団 体 等 が 地 域 に 必 要 な 医 療 や 育 児 介 護 のための 施 設 を 整 備 する 場 合 に 国 有 地 を 定 期 借 地 権 制 度 により 長 期 間 貸 し 付 けるなど 地 域 社 会 に 役 立 つ 形 での 国 有 財 産 の 活 用 を 推 進 していま す 金 融 面 では 地 域 の 金 融 機 関 が 健 全 で 積 極 的 に 金 融 の 円 滑 化 に 貢 献 できるように 地 域 の 金 融 機 関 に 密 着 して きめ 細 やかな 検 査 や 監 督 を 行 っています 災 害 発 生 時 には 少 しでも 早 く 災 害 復 旧 が 行 われ 生 活 環 境 の 安 定 が 図 られるよう 被 災 現 地 に 出 向 き 関 係 機 関 と 協 力 して 迅 速 な 予 算 措 置 に 努 めるとともに 被 災 した 地 方 公 共 団 体 の 一 時 的 な 資 金 不 足 に 対 応 するため 短 期 のつな ぎ 資 金 を 財 政 融 資 資 金 から 貸 し 付 けています 国 有 財 産 関 係 では 被 災 者 向 けの 仮 設 住 宅 用 地 等 と して 国 有 地 を 無 償 で 提 供 しているほか 金 融 関 係 では 被 災 者 が 金 融 面 で 困 ることのないよう 金 融 機 関 に 特 別 な 対 応 を 要 請 しています このように 財 務 局 は 様 々な 業 務 の 実 施 を 通 じて 地 域 の 安 定 と 発 展 のために 貢 献 しており 財 務 局 の 職 員 は 地 域 のために 国 の 仕 事 をしたい という 気 持 ちを 強 く 持 って 日 々の 仕 事 に 邁 進 し ています 財 務 局 の 職 員 は 今 日 も 地 域 経 済 社 会 への 貢 献 のため に 一 丸 となって 働 いています ( 注 ) 文 中 意 見 にわたる 部 分 は 筆 者 の 個 人 と しての 見 解 です プロフィール 保 井 俊 之 (やすい としゆき) 昭 和 60 年 旧 大 蔵 省 入 省 苫 小 牧 税 務 署 長 金 融 庁 総 務 企 画 局 参 事 官 大 臣 官 房 政 策 金 融 課 長 等 を 経 て 平 成 25 年 6 月 から 現 職 国 際 基 督 教 大 学 博 士 ( 学 術 ) 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 DM 特 別 招 聘 教 授 ( 無 給 非 常 勤 )