EUのマクロ 地 域 戦 略 :ドナウ 流 域 のケース 1 田 中 宏 ( 立 命 館 大 学 経 済 学 部 ) 欧 州 統 合 の 発 展 には 2 つの 側 面 がある 単 一 市 場 と 単 一 通 貨 というセクター 機 能 主 義 的 側 面 ( 政 策 統 合 )と 地 域 格 差 解 消 と 結 束 の 実 現 という 地 域 的 側 面 である そのEUは ガヴァナンスという 視 点 では 政 府 間 主 義 を 基 調 としながらも 様 々なレベルで 社 会 的 発 見 学 習 ( 危 機 を 経 験 することで 統 合 の 深 化 の 必 要 性 を 学 習 ) 複 雑 な 交 渉 の 連 続 さまざま な 統 合 手 段 の 混 成 を 特 徴 とするプラグマティックでモザイク 状 の 統 合 体 に 進 化 した 統 合 戦 略 という 点 では 欧 州 統 合 は 1980 年 代 半 ば 以 降 相 互 に 対 立 する 3 つの 統 合 シナリオ つまり 市 場 のヨーロッパ 企 業 のヨーロッパ そして 社 会 的 ヨーロッパ の3 者 の 対 立 と 依 存 関 係 のなかで 進 行 した 具 体 的 路 線 と 過 程 という 観 点 からは 単 一 市 場 の 構 築 と 単 一 通 貨 の 導 入 という 新 しい 挑 戦 が EUの 北 方 と 東 方 への 拡 大 という 異 なる 側 面 の 挑 戦 を 生 み 出 していった( 田 中 宏 2012) この 第 2 の 挑 戦 は 北 欧 諸 国 の 加 盟 (1995 年 第 4 次 拡 大 )と 第 5 次 拡 大 (2004 年 バルト 諸 国 ポーランド チェコ 共 和 国 スロヴァキア ハンガリー スロヴェニアの 加 盟 と 2007 年 ルーマニア ブルガリアの 加 盟 )とを 実 現 させた だがそこには 5 つの 問 題 が 残 された (1) 東 方 拡 大 では 中 東 欧 地 域 は 欧 州 系 多 国 籍 企 業 のネットワーク 汎 ヨーロッパ 的 国 分 業 構 造 のなかにすでに 統 合 されているが チェコ 共 和 国 ポーランド ハンガリーなど のこの 地 域 の 中 心 的 諸 国 はユーロ 加 盟 をまだ 将 来 の 課 題 として 残 している (2) 東 欧 の 南 半 分 の 地 域 ルーマニア ブルガリア 以 外 の 南 東 欧 (バルカン) 諸 国 はEU 加 盟 問 題 (2013 年 7 月 クロアチア 加 盟 予 定 )を 残 している (3) 西 欧 と 東 欧 を 隔 てている 地 域 間 格 差 の 解 消 という 実 質 的 な 問 題 が 2008 年 金 融 経 済 危 機 以 降 頓 挫 している (4) 中 東 欧 と 南 東 欧 の さらに 周 辺 との 近 隣 諸 国 政 策 の 発 展 が 対 外 政 策 の 課 題 として 残 されている さらに(5) 2008 年 に 始 まった 危 機 は 各 国 政 府 だけでなく EUの 経 済 財 政 資 源 のより 効 率 的 な 利 用 を 求 めている ドナウ 川 流 域 は(2)から(5)の 特 徴 を 抱 える 地 域 である 本 報 告 は 以 下 のように 構 成 される 第 1 節 ではEUのマクロ 地 域 戦 略 とは 何 かを 概 観 す る 第 2 節 ではそのマクロ 地 域 戦 略 が 従 来 の 越 境 地 域 協 力 超 国 家 的 領 域 協 力 とどの 点 で 異 なるのかを 示 す 第 3 節 ではEUのドナウ 川 流 域 戦 略 (EUSDR)とはどのようなも のなかを 概 略 する そして 第 4 節 ではEUのドナウ 川 流 域 戦 略 (EUSDR)の 現 状 到 1 本 報 告 は 科 研 費 プロジェクト EU 経 済 統 合 と 社 会 経 済 イノベーション: 新 リスボン 戦 略 と 地 域 開 発 ( 研 究 代 表 ; 八 木 紀 一 郎 )の 研 究 成 果 である 現 在 進 行 中 の 地 域 協 力 様 式 のイノベーションには 欧 州 領 域 協 力 団 体 European Grouping of Territorial Cooperation と EUマクロ 地 域 戦 略 EUSMR があるが 2 月 の 調 査 研 究 の 結 果 として 後 者 のみを 報 告 する 前 者 は 別 の 機 会 に 行 いたい pg. 1
達 点 と 問 題 点 を 明 らかにし まとめをおこなう ただし 第 4 節 とまとめは2 月 下 旬 に 予 定 する 現 地 調 査 結 果 を 踏 まえて 報 告 するつもりである 第 1 節 EUのマクロ 地 域 戦 略 とはなにか EUは 2009 年 にバルト 海 地 域 2010 年 にドナウ 川 流 域 地 域 の2つのマクロ 地 域 戦 略 を 準 備 した( 以 下 Stefunie Duhr (2011)) この2つの 戦 略 とは 性 格 は 異 なるが 同 様 なマクロ 地 域 協 力 には 地 中 海 戦 略 ノースダイメンジョンがあり 検 討 中 のマクロ 地 域 戦 略 は 欧 州 北 海 戦 略 アトランティク 戦 略 アロイネ 戦 略 ( 環 エーゲ 海 ) アドリア ロニク イニシ ャティブがある(p.11) マクロ 地 域 協 力 は 国 民 国 家 国 境 内 の 問 題 とEU 規 模 の 問 題 の 中 間 問 題 in-between issues と 取 り 組 むために 生 み 出 された それは 従 来 の 超 国 家 的 transnational な 協 力 形 態 とは 異 なる ではどの 点 で 異 なるのか 超 国 家 的 transnational な 協 力 形 態 の 場 合 国 民 国 家 の 空 洞 化 を 陰 に 陽 に 前 提 していている ところが マクロ 地 域 戦 略 の 場 合 は その 開 発 実 施 過 程 で 国 民 下 位 レベルのアクターや 非 EUのアクターが 肩 入 れし 関 与 する 程 度 が 限 定 化 され 反 対 に EUと 各 国 政 府 が 高 い 水 準 で 肩 入 れし 関 与 することが 前 提 とされている これは1つのイノベーションである このような 戦 略 が 出 現 したのは リスボン 条 約 のなかで 領 域 的 結 束 territorial cohesion がEUの 中 心 的 目 標 に 組 み 入 れられ(2008 年 ) 欧 州 2020 戦 略 では 欧 州 結 束 政 策 の 領 域 的 側 面 に 関 心 がもたれたからである(2010) さらに 2013 年 後 のEU 結 束 政 策 の 経 済 社 会 領 域 結 束 に 関 する 第 5 報 告 ( 2010)でもこの 問 題 が 議 論 された EUの 定 義 によればマクロ 地 域 とは 行 政 的 限 界 をもつ 諸 国 家 の 集 まりというよりもむし ろ 景 観 システムlandscape systemの 大 規 模 さ を 表 現 している したがって 取 り 上 げら れる 問 題 群 に 従 って 弾 力 的 に 理 解 される 景 観 システムは 必 ずしも 地 理 的 geographies 範 囲 と 同 一 ではない EUが 統 合 的 戦 略 を 採 用 するのに 有 益 な 地 域 が マクロ 地 域 戦 略 の 対 象 とする 地 域 となる その 意 味 で 機 能 的 なマクロ 地 域 を 意 味 し 弾 力 的 な 統 合 的 枠 組 み integrated frameworkともなる この 定 義 は EUのマクロ 地 域 戦 略 の 戦 略 としての 特 徴 3つのNO( 基 金 なし 2 新 立 法 なし 3 新 制 度 なし 4 )と 3 つのYES( 基 金 同 士 連 携 の 改 善 政 策 用 具 の 調 整 の 能 率 化 新 しいアイデア) 政 策 領 域 を 越 えた 行 動 調 整 が 付 加 価 値 を 2 新 基 金 がない 点 はこの 戦 略 の 弱 点 と 思 われるが より 強 い 調 整 と 様 々なレベルの 様 々な 財 政 資 金 のより 強 いシナジーを 求 め これまでの 基 金 に 依 存 する 機 会 を 強 化 し さまざまなプログラム 政 策 制 度 の 点 から 異 なる 資 源 を 調 整 する 様 式 や 現 実 可 能 性 を 考 慮 するようになる その 意 味 でガヴァンスの 挑 戦 である (Andrea Stocchiro 2010 p.7) 3 このことは 各 国 政 府 やEUの 戦 略 を 協 議 consultative 形 式 で 集 めた 行 動 計 画 を 準 備 実 施 することが 内 容 となる このことは ボトムアップ アプローチであると 同 時 に トップダウン のアプローチを 含 み 両 者 のあいだの 基 本 的 な 衝 突 を 含 んでいることを 意 味 している(Andrea Stocchiro 2010 p.6) 4 これはマルチレベルとマルチアクターのガヴァナンスによって 支 えられることを 意 味 する 欧 州 委 員 会 は 全 面 的 な 調 整 者 外 部 からのファシリテーター 公 平 で 正 直 な 破 壊 者 の 役 割 のなかでソフトパワーを 行 使 する(Andrea Stocchiro 2010 p.8) pg. 2
生 み 出 すこと 一 国 では 満 足 に 対 応 できない 特 殊 な 問 題 に 限 定 すること(transnational issue) 下 からの 明 確 に 共 有 できる 共 通 性 に 関 係 している 第 2 節 従 来 の 超 国 家 的 協 力 下 位 リージョナリズムとインターレグの 問 題 点 と 展 望 では どうしてEUにマクロ 地 域 戦 略 が 出 現 したのだろうか 蓮 見 雄 (2009)によれば EUは 多 元 的 開 放 型 リージョナルガヴァナンス の 形 成 過 程 で 自 由 市 場 モデルと 諸 地 域 からなるヨーロッパ 連 邦 モデルとの 結 合 の 途 上 にある そして 競 争 政 策 と 地 域 政 策 の 両 立 可 能 性 を 模 索 している その 結 果 多 層 多 次 元 のリージョン 多 面 のリージョン 多 形 態 のリージョンが 追 求 されている マクロ 地 域 戦 略 が 出 てきたのはこのような 状 況 の なかである Stefunie Duhr (2011 pp.15-24)によれば マクロ 地 域 戦 略 と 従 来 型 地 域 協 力 の 両 者 の 違 いに 注 目 しなければならない 従 来 の 超 国 家 的 協 力 であるサブリージョン 団 体 sub-regional grouping つまりベネディクス 経 済 同 盟 からポスト 冷 戦 期 に 形 成 されるまでの 地 域 団 体 化 は 制 度 化 の 傾 向 をもち 独 立 した 財 政 的 基 盤 をEUや 国 際 機 関 に 求 める 傾 向 があった ま た 1990 以 降 のインテーレグはEUとの 共 同 出 資 co-funding が 特 徴 的 で トランスナショ ナルな 問 題 を 解 決 するのではなくて 共 通 の 関 心 事 とくに 従 来 の 中 央 政 府 機 関 の 権 限 の 一 部 を 担 当 することになった それは 国 内 政 治 の 文 脈 でみると 優 先 順 序 の 高 くない 課 題 を 引 き 受 けることになっていった その 結 果 国 際 協 力 プロジェクトの 開 発 と 実 施 にイン ターレグ 協 力 は 強 力 に 関 与 することができず その 権 限 は 既 存 の 既 得 権 益 集 団 のもとに 留 まった それゆえにむしろ 効 果 的 なトランスナショナルな 協 力 プログラムの 障 害 物 になっ て 行 った 同 じく 2007-2013 年 の 構 造 基 金 によるトランスナショナル 協 力 エリアでは transnational spatial vision という 視 点 が 軽 視 されてきた バルト 海 協 力 の 場 合 は その 超 国 家 的 領 域 の 共 同 戦 略 は 成 功 してきたが それはセクター 政 策 を 強 く 調 整 しようとする ものである しかしその 成 功 は 限 界 をも 示 す 協 力 の 政 府 間 主 義 を 示 しているからである 今 回 のマクロ 地 域 戦 略 は これらの 諸 批 判 のうえに 考 案 されてきている つまり 協 力 の 局 面 に 関 して 強 力 な 政 府 間 主 義 をシフトさせて 超 国 家 的 制 度 のより 強 力 な 役 割 をともな うようなマルチレベルのガヴァナンスに 転 換 する 狙 いがある EUはその 調 整 のファシリ テーター 兼 調 整 者 になり そのことによりある 種 の 安 定 性 を 提 供 できるようにしたいと 構 想 している しかしそこには 同 時 に 以 下 のような 克 服 すべき 4 つの 挑 戦 が 待 ち 構 えてい る (ⅰ) 解 決 を 迫 られた 問 題 政 治 的 現 実 にしたがって 戦 略 の 地 理 的 範 囲 を 弾 力 的 に 変 更 すること (ⅱ) 複 雑 な 政 治 的 過 程 のなかで 真 に 意 義 のある 課 題 に 絞 りそれに 優 先 権 を 設 定 すること (ⅲ) 水 平 的 垂 直 的 そして 地 理 的 に 調 整 できる 複 合 的 なガヴァナンスを 構 築 す ること そして(ⅳ)ガヴァナンスと 戦 略 に 構 造 転 換 transformative 能 力 を 身 に 着 けさせ pg. 3
ることが 必 要 となってくるだろう 第 3 節 EUのドナウ 川 流 域 戦 略 とは 何 か 最 初 にEUドナウ 川 流 域 戦 略 EU Strategy for Danube Region: 以 下 EUSDR と 省 略 )とは 何 か それを 概 略 していこう 2010 年 12 月 8 日 欧 州 委 員 会 はドナウ 流 域 の 開 発 促 進 の 戦 略 に 関 するコミュニケーションを 発 表 し それを 受 けて 2011 年 4 月 13 日 の 欧 州 理 事 会 はそれを 採 択 した 現 在 約 200の 優 先 的 行 動 は 準 備 されている ドナウ 川 は 全 長 2850 kmで 約 1 億 1500 万 人 が 居 住 している( 図 1 参 照 ) 電 力 発 電 所 歴 史 的 な 汎 欧 州 輸 送 回 廊 欧 州 の 希 少 種 の 宝 庫 でもある これらの 問 題 は 反 対 に この 河 川 を 常 に 国 際 的 な 対 立 の 源 泉 とさせてきた だから 諸 問 題 の 統 一 的 な 解 決 を 迫 っている 特 に 1990 年 以 前 の 時 期 をみると 東 西 対 立 のために この 地 域 はインフラ 投 資 が 十 分 にされ ず 移 民 問 題 と 気 候 変 動 安 全 保 障 環 境 保 護 対 策 の 遅 れが 見 られた ドナウ 東 岸 地 域 は 西 岸 地 域 と 比 較 して 貧 困 と 失 業 がより 深 刻 な 問 題 になっている 図 1EUドナウ 川 流 域 戦 略 の 参 加 国 なぜこのような 戦 略 をEUは 採 択 したのか それはドナウ 川 のもつ 特 徴 に 関 係 する ドナ ウ 川 はEU 加 盟 の8カ 国 (ドイツ チェコ 共 和 国 オーストリア スロヴァキア ハンガ リー スロヴェニア ブルガリア ルーマニア)と 非 加 盟 の6カ 国 (クロアチア セルビ pg. 4
ア ボスニア&モンテネグロ ウクライナ モルドヴァ)を 包 摂 している そこは 環 境 問 題 の 脅 威 ( 汚 染 洪 水 気 候 変 化 ) 水 運 事 業 の 未 開 発 とそれと 陸 上 輸 送 網 との 連 結 の 不 十 分 さ エネルギー 問 題 不 平 等 な 社 会 経 済 的 発 展 バラバラな 教 育 研 究 イノベーショ ン 体 系 安 全 保 障 の 不 十 分 さの 問 題 を 抱 える したがってクリーンで 迅 速 な 河 川 運 輸 環 境 より 安 価 で 安 全 なエネルギーの 確 保 経 済 社 会 的 包 摂 研 究 イノベーション 開 発 による 地 域 全 体 の 繁 栄 ツーリズムと 文 化 による 魅 力 の 増 進 が 潜 在 的 に 求 められる だが 問 題 は それらに 必 要 な 財 源 やその 他 の 資 源 をどこから 拠 出 するか である このE USDRはこれらの 施 策 に 必 要 な 追 加 的 資 金 をEUから 提 供 することを 想 定 していない つまり すでに 述 べたように あたらしい 機 関 や 官 僚 機 構 新 しい 立 法 的 措 置 新 しい 基 金 の 設 立 を 全 く 想 定 していない すでに 利 用 できる 既 存 の 財 政 資 源 をより 統 合 した 方 法 で 利 用 しようとする つまりEUSDR 参 加 国 はEUの 結 束 政 策 や 他 のプログラムさらには 様 々な 国 際 金 融 機 関 を 利 用 することが 念 頭 に 置 かれている では EUSDRでEUはどのようにアクションを 取 ってきているのか 先 に 指 摘 したよ うに ドナウ 川 流 域 諸 国 の 多 くがEUに 加 盟 し 同 時 にドナウ 川 マクロ 地 域 が 抱 える 問 題 の 多 くはすでにEU 政 策 の 対 象 となっている その 意 味 でEUはこの 分 野 の 協 力 を 促 進 す ることができる 地 位 にあり 協 力 を 実 りあるものにするようなプログラムが 提 供 されてい る /tttp://www.danube-region.eu/announcement/20130122 参 照 / EUSDRには 4 つの 優 先 の 柱 がある それぞれの 柱 にはいくつかの 優 先 領 域 Priority areas( 以 下 PA 略 記 )をもつ (EUEC(2011, pp.4-7.) 第 1の 柱 :ドナウ 地 域 を 結 合 する 3つのPA:1 移 動 性 と 多 様 な 方 法 の 改 善 2 持 続 可 能 なエネルギーの 奨 励 3 文 化 ツーリズム 市 民 同 士 ptop の 促 進 第 2の 柱 :ドナウ 地 域 の 環 境 を 保 護 する 3つのPA:1 水 質 の 維 持 改 善 2 環 境 リスク の 管 理 3 生 物 多 様 性 景 観 大 気 と 水 の 質 の 保 持 第 3の 柱 :ドナウ 地 域 に 繁 栄 を 構 築 する 3つのPA:1 研 究 教 育 情 報 テクノロジー を 通 じた 知 識 社 会 の 発 展 2 企 業 クラスター ネットワークの 競 争 力 の 強 化 支 援 3 人 間 とスキルへの 投 資 第 4の 柱 :ドナウ 地 域 を 強 化 する 2つのPA:1 制 度 的 能 力 と 協 力 の 開 始 2 安 全 保 障 促 進 の 共 同 と 深 刻 な 組 織 犯 罪 への 対 処 では 実 際 にEUSDRはどのようにして 進 行 しているのか( 図 1 参 照 ) それは 5 つの 段 階 を 経 過 して 実 施 される 最 初 は 協 議 (consultation) 段 階 で 毎 年 の 総 会 Forum が 開 催 さ れ そこでは 各 国 政 府 関 係 者 EU 機 関 そして 利 害 関 係 者 ( 政 府 間 機 関 民 間 部 門 市 民 社 会 )が 参 加 して 行 動 計 画 について 議 論 協 議 する 第 2 段 階 は 政 策 調 整 で 関 係 政 府 の pg. 5
代 表 者 High Level Group と 委 員 commission が 政 策 について 調 整 する 合 意 に 達 しなかっ た 場 合 には 独 立 の 専 門 家 を 交 えた 対 話 を 継 続 する 第 3 段 階 では それぞれのプロジェク トを 通 じて 行 動 に 移 る それぞれの 優 先 領 域 PAは 域 内 の 担 当 する 国 が 行 う それぞれに PA 調 整 者 coordinators 専 門 家 experts が 省 庁 官 庁 の 線 に 沿 って 配 備 される その 優 先 領 域 調 整 者 PACoordinator は 計 画 と 目 標 指 標 タイムテーブルとの 整 合 性 と 各 担 当 者 間 の 効 果 的 な 協 力 を 引 き 出 すようにする 技 術 的 支 援 も 行 う 次 の 段 階 が 進 行 促 進 である これを 担 うのは 各 国 接 触 ポイント national contact point に 支 援 された 委 員 である 最 後 に 報 告 と 評 価 の 段 階 で 優 先 領 域 調 整 者 とパートナーを 組 んで 委 員 が 報 告 評 価 を 行 い 次 の 年 次 フォルムに 提 出 する 図 2 EUSDRのガバナンスモデル 第 4 節 EUのドナウ 川 流 域 戦 略 (EUSDR)の 現 状 到 達 点 と 問 題 点 省 略 まとめ 省 略 参 考 文 献 田 中 宏 (2012) 欧 州 統 合 の 到 達 点 と 経 済 危 機 の 構 図 経 済 No.202,7 月 号 蓮 見 雄 ( 編 )(2009) 拡 大 するEUとバルト 経 済 圏 の 始 動 昭 和 堂 Stefunie Duhr (2011) Baltic Sea, Danube and Macro-Regional Strategies: A Model for Transnational Cooperation in the EU?, Notre Europe 86) Andrea Stocchiero (2010) Macro-Regions of Europe: Old Wine in a New Bottle? CeSPI Working Papers, 65/2010(ENG) EUEC(2011)Panorama Inforegio 37. pg. 6