はしがき アトラクション 施 策 と リテンション 施 策 双 方 のバランスがとれた 新 たな 新 卒 採 用 の 方 法 論 この 本 のタイトルにある A&R とは アトラクション(Attraction)とリ テンション(Retention)の 頭 文 字 をそれぞれとったものであり いかにして 優 秀 な 人 材 を 採 用 (Attraction: 引 きつけ)し 定 着 (Retention: 引 き 留 め) させるか という 人 材 マネジメントの 基 本 戦 略 を 意 味 します この A&R 戦 略 を 新 卒 採 用 に 応 用 した 場 合 いかにして 優 秀 な 学 生 の 興 味 関 心 を 引 きつけ プレエントリーしてもらい(Attraction) 選 考 途 中 の 辞 退 や 内 定 辞 退 をさせない(Retention)か と 言 い 換 えることができます 現 在 の 雇 用 マーケットのような 買 い 手 市 場 では 優 秀 な 学 生 の 興 味 関 心 を 引 き プレエントリーさせることも 選 考 中 や 内 定 後 の 辞 退 防 止 も 本 来 容 易 に 達 成 できるはずです しかし 実 際 には プレエントリー 数 は 昨 年 の 2 倍 に 増 えたが 優 秀 な 学 生 がまったく 採 用 できなかった あるいは 欲 しい 学 生 が 選 考 途 中 にどんどん 抜 けていってしまう 内 定 を 出 しても 出 しても 辞 退 されてしまう といった 声 が 後 を 絶 たないのはなぜでしょうか その 主 たる 理 由 は 日 本 の 新 卒 採 用 では 売 り 手 市 場 買 い 手 市 場 にか かわらず 企 業 は 学 生 に 自 社 の 存 在 を 認 知 注 目 させるための 広 報 施 策 即 ち アトラクション 施 策 を 重 視 し 採 用 予 算 の 大 半 が 割 かれてきたからでは ないでしょうか 確 かに 新 卒 採 用 を 行 う 上 で 母 集 団 形 成 は 最 も 重 要 な 施 策 のひとつで あることは 言 うまでもありません ところが インターネット 経 由 で 多 くの 企 業 に 簡 単 にプレエントリーできるようになった 現 在 では 学 生 は 特 に 強 い 興 味 を 抱 かなくても 持 ち 駒 を 増 やすために とりあえずエントリー をする 傾 向 が 強 くなっています その 結 果 母 集 団 の 水 ぶくれ 現 象 が 生 じ 母 集 団 は 十 分 な 大 きさだったのに 選 考 が 進 むにつれて 応 募 者 が 少 なくなり 最 終 的 に 当 初 設 定 した 採 用 目 標 が 達 成 できなかった という 結 末 に 至 ることも 少 なくあり はしがき iii
ません 特 に プレエントリーした 後 の 学 生 の 興 味 関 心 を 高 め 御 社 で 働 きたい という 願 望 にまで 高 めるための リテンション 施 策 を 講 じなけれ ば 売 り 手 市 場 買 い 手 市 場 にかかわらず 複 数 の 企 業 から 内 定 を 得 ることが 多 い 最 優 秀 層 の 学 生 を 採 用 できる 確 率 は 大 きく 低 下 します このような 採 用 成 果 の 竜 頭 蛇 尾 現 象 を 避 けるためには 限 られた 資 源 を アトラクション 施 策 と リテンション 施 策 のいずれにも 偏 ることなくバ ランスよく 配 分 し 最 終 的 に 意 図 した 成 果 を 上 げるための 方 法 論 がいま 求 めら れています この A&R 新 卒 採 用 マニュアル は 新 卒 採 用 における 資 源 の 最 適 配 分 を 計 りつつ 採 用 成 果 を 最 大 化 するために 採 用 ホームページ マイページ RPO(Recruitment Process Outsourcing= 採 用 アウトソーシング) などの 費 用 対 効 果 に 優 れたメディアやアウトソーシングサービスをいかに 有 効 活 用 す るか その 方 法 論 と 具 体 的 なノウハウを 株 式 会 社 ヒューマネージがこれまで 様 々な 規 模 様 々な 業 種 の 企 業 様 の 新 卒 採 用 を 支 援 してきた 経 験 と 実 績 に 基 づ き 新 卒 採 用 に 携 わる 皆 様 へご 提 供 するものです 貴 社 の 持 続 可 能 な 成 長 を 支 える 貴 重 な 人 的 資 本 を 採 用 する 新 卒 採 用 の 成 果 を 向 上 させるために 本 書 をぜひご 活 用 ください 最 後 に 本 書 の 出 版 に 尽 力 いただきました 弘 文 堂 の 鯉 渕 社 長 編 集 部 の 上 野 氏 にはこの 場 を 借 りて 改 めて 御 礼 申 し 上 げます また この 本 の 執 筆 に 際 して 協 力 してくれたヒューマネージの 山 口 真 貴 子 ( 広 報 室 ) 大 柳 岳 彦 ( 事 業 戦 略 室 ) 並 びに 数 々の 貴 重 な 事 例 を 紹 介 してくれたコンサルタント 諸 氏 にはこ の 場 を 借 りて 感 謝 します そして いつもヒューマネージの 社 員 を 支 えてくだ さる 家 族 の 皆 様 と すべてのクライアントに 本 書 を 捧 げたいと 思 います 2010 年 7 月 株 式 会 社 ヒューマネージ 代 表 取 締 役 社 長 齋 藤 亮 三 * 本 書 は 多 くの 企 業 で 新 卒 採 用 の 主 要 チャネルとなっている 大 学 及 び 大 学 院 の 新 卒 者 の 採 用 を 主 な 対 象 としています iv
A&R 新 卒 採 用 マニュアル 目 次 はしがき iii 第 1 章 なぜいまアトラクション & リテンション 採 用 が 求 められているのか? ₁ ₁ アトラクション&リテンション 採 用 が 求 められる 背 景 2 ₁ ₂ アトラクション&リテンション 採 用 とは 何 か? 5 第 2 章 アトラクション 施 策 ₂ ₁ 効 果 的 なアトラクション 施 策 とは? 12 ₂ ₂ 各 アトラクション 手 段 の 有 効 性 と 効 果 を 高 めるための 留 意 点 1 15 合 同 会 社 説 明 会 ₂ ₃ 各 アトラクション 手 段 の 有 効 性 と 効 果 を 高 めるための 留 意 点 2 18 企 業 主 催 の 早 期 イベント ₂ ₄ 各 アトラクション 手 段 の 有 効 性 と 効 果 を 高 めるための 留 意 点 3 23 総 合 就 職 情 報 サイト ₂ ₅ 各 アトラクション 手 段 の 有 効 性 と 効 果 を 高 めるための 留 意 点 4 26 ダイレクトメール 第 3 章 リテンション 施 策 ₃ ₁ 最 終 的 な 採 用 成 果 を 大 きく 左 右 するリテンション 施 策 32 ₃ ₂ 採 用 ホームページ 35 ₃ ₃ 採 用 ホームページのコンテンツ 構 成 39 ₃ ₄ CMSを 活 用 した 採 用 ホームページ 作 成 44 目 次 v
第 4 章 マイページを 通 じたリテンション 施 策 の 推 進 ₄ ₁ 効 果 的 なマイページの 活 用 方 法 50 ₄ ₂ マイページへのアクセス 頻 度 を 高 め 他 コンテンツに 誘 導 する 工 夫 59 ₄ ₃ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 1 61 企 業 情 報 の 提 供 ₄ ₄ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 2 65 仕 事 情 報 の 提 供 ₄ ₅ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 3 68 社 員 紹 介 ₄ ₆ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 4 71 採 用 イベントの 告 知 紹 介 ₄ ₇ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 5 74 就 職 活 動 支 援 /アドバイス ₄ ₈ マイページを 通 じた 採 用 広 報 の 展 開 事 例 6 77 その 他 の 様 々な 活 用 事 例 第 5 章 選 考 管 理 システムの 活 用 とRPO ₅ ₁ 選 考 管 理 システムの 活 用 82 ₅ ₂ RPO( 採 用 アウトソーシング)サービスの 活 用 85 ₅ ₃ 採 用 支 援 会 社 選 びのポイント 92 ₅ ₄ 選 考 管 理 システムとRPOサービスの 活 用 事 例 95 第 6 章 リテンション 施 策 としての 面 接 ₆ ₁ 学 生 が 企 業 を 選 ぶ 場 としての 面 接 のあり 方 104 ₆ ₂ コンピテンシー 面 接 リテンション 施 策 としての 面 接 のあり 方 109 ₆ ₃ コンピテンシー 面 接 に 取 り 組 む 際 の 基 本 的 な 準 備 心 構 え 113 vi
₆ ₄ 簡 易 型 コンピテンシー 面 接 の 全 体 フロー 115 ₆ ₅ 簡 易 型 コンピテンシー 面 接 の 実 施 方 法 (1) 118 ステップ1 取 り 組 み 課 題 テーマの 特 定 および 最 終 的 な 成 果 の 確 認 ₆ ₆ 簡 易 型 コンピテンシー 面 接 の 実 施 方 法 (2) 120 ステップ2 特 に 工 夫 した 点 あるいは 苦 労 した 点 を 確 認 ₆ ₇ 簡 易 型 コンピテンシー 面 接 の 実 施 方 法 (3) 122 ステップ3 工 夫 あるいは 苦 労 とその 克 服 を 行 った 具 体 的 な 場 面 を 特 定 ₆ ₈ 簡 易 型 コンピテンシー 面 接 の 実 施 方 法 (4) 125 ステップ4 工 夫 あるいは 苦 労 とその 克 服 にまつわる 行 動 事 実 の 列 挙 確 認 ₆ ₉ コンピテンシーの 評 価 128 5 段 階 のコンピテンシー レベル 第 7 章 内 定 者 フォロー ₇ ₁ 最 終 的 な 採 用 成 果 を 左 右 する 内 定 者 フォロー 132 ₇ ₂ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 1 138 定 期 的 なコミュニケーション ₇ ₃ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 2 141 各 種 事 務 手 続 き ₇ ₄ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 3 144 内 定 者 間 コミュニケーション 促 進 ₇ ₅ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 4 148 人 材 開 発 ₇ ₆ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 5 151 入 社 後 の 生 活 の 変 化 に 対 する 不 安 を 解 消 するコンテンツの 提 供 ₇ ₇ 内 定 者 フォローサイトの 活 用 事 例 6 155 社 員 としての 意 識 付 け 目 次 vii
第 8 章 オンボーディングからタレントマネジメントへ ₈ ₁ 早 期 離 職 防 止 のための 新 入 社 員 受 け 入 れ(オンボーディング)の 重 要 性 160 ₈ ₂ より 長 期 的 なリテンションを 促 進 するタレントマネジメント 163 あとがきにかえて 165 編 集 協 力 小 林 誠 一 viii
1-1 アトラクション & リテンション 採 用 が 求 められる 背 景 社 会 経 済 情 勢 により 変 化 する 新 卒 採 用 のスタンス 図 表 1-1-1 経 済 の 変 化 との 新 卒 採 用 大 成 DNA 継 承 企 業 の 新 卒 採 用 の 傾 向 は 時 代 ごとの 社 会 経 済 情 勢 に 応 じて 変 化 してきま した 図 表 1-1-1は 1985 年 のバブル 景 気 から2009 年 に 発 生 した 世 界 的 な 金 融 危 機 による 不 況 期 までの 経 済 環 境 の 変 化 と 新 卒 採 用 の 傾 向 をまとめたもので す 1980 年 代 のバブル 景 気 の 時 代 には 好 景 気 に 支 えられて 多 くの 企 業 が 業 務 を 拡 張 していたため 新 卒 者 を 大 量 に 採 用 していました また この 時 期 の 企 業 には 時 間 をかけて 人 材 を 育 てる 余 裕 が 十 分 にあったため 入 社 後 10 年 ほど 経 った 頃 に 一 人 前 になってくれればいい そのうち 会 社 を 担 う 存 在 になってくれ ればいいという いわば 大 器 晩 成 型 の 採 用 が 行 われていました 主 な 選 考 基 準 は 有 名 大 学 出 身 者 かどうかといったごく 大 雑 把 なものでした その 後 バブル 経 済 の 崩 壊 とともに 日 本 は 失 われた10 年 と 形 容 される 2
長 い 不 況 に 突 入 し 企 業 の 人 材 育 成 にかける 余 裕 が 急 速 に 失 われていく 中 即 戦 力 の 人 材 が 求 められるようになりました この 時 期 人 的 資 本 の 調 達 チャネ ルとして 新 卒 採 用 の 重 要 性 は 急 激 に 低 下 し 即 戦 力 の 中 途 採 用 が 脚 光 を 浴 びる ようになりました また 選 考 基 準 においても 成 果 を 創 出 する 能 力 いわゆる コンピテンシー や 厳 しい 経 営 環 境 の 中 でもやっていけるかというような ストレス 対 処 力 (コーピング) のレベルが 問 われるようになりました この ように この 頃 から 選 考 基 準 が 増 加 し 新 卒 採 用 が 高 度 化 複 雑 化 するよう になりました 2000 年 代 に 入 り 景 気 がようやく 回 復 基 調 に 乗 っても かつてのような 高 度 成 長 を 望 むことができない 中 成 果 創 出 能 力 やストレス 対 処 力 に 焦 点 を 当 てた 厳 選 採 用 の 傾 向 は 続 き さらに コミュニケーション 力 や 社 会 性 の 有 無 など 新 たな 要 件 も 問 われるようになりました 一 方 で 失 われた10 年 の 間 に 新 卒 採 用 を 抑 制 した 結 果 生 じた 社 員 構 成 の 歪 みを 是 正 し さらに 団 塊 の 世 代 の 大 量 退 職 に 備 えて 新 卒 者 を 相 当 数 採 用 する 必 要 が 生 じたため 要 件 に 合 致 する 人 材 を 厳 しく 見 極 めつつも できるだけ 多 く 確 保 しなければならないとい う 厳 しい 要 求 が 企 業 の 採 用 担 当 者 に 突 きつけられました このような 就 職 売 り 手 市 場 下 では 人 材 要 件 を 高 いレベルで 満 たす 優 秀 層 の 学 生 は 複 数 の 企 業 から 内 々 定 を 獲 得 した 上 で どの 企 業 に 入 社 するかを 決 め るといったことが 当 たり 前 になりました そのため この 頃 から 優 秀 層 の 学 生 に 選 考 途 中 で 辞 退 されることなく また 内 々 定 を 出 してからもフォローを 怠 らず 入 社 にまでつなげる リテンション 施 策 の 重 要 性 が 強 く 認 識 されるよう になりました 2009 年 に 発 生 した 世 界 金 融 危 機 以 降 の 不 況 により 企 業 はそれまでの 量 も 質 も 重 視 した 採 用 から 再 び 量 より 質 を 重 視 した 採 用 へと 方 針 を 転 換 しました が 優 秀 層 の 学 生 は 買 い 手 市 場 下 でも 変 わらず 引 く 手 あまたであり むしろ 質 に 一 層 こだわる 企 業 間 の 争 奪 戦 が 激 化 したため 優 秀 層 に 対 するリテンショ ン 施 策 の 重 要 性 はさらに 高 まることになりました 組 織 DNAの 継 承 者 として 新 卒 採 用 者 への 期 待 が 高 まる 昨 今 企 業 は そのDNAを 継 承 してくれるコア 人 材 を 調 達 するチャネルと して 新 卒 採 用 の 意 義 を 改 めて 認 識 するようになっています 企 業 DNAとは 簡 単 に 言 えば その 組 織 の 出 自 や 歩 みの 中 で 培 われた 独 自 の 感 じ 方 や 考 え 方 第 1 章 なぜいまアトラクション & リテンション 採 用 が 求 められているのか? 3