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Title 親 密 な 関 係 におけるコミットメントのモデルの 概 観 Author(s) 古 村, 健 太 郎 ; 松 井, 豊 Citation 対 人 社 会 心 理 学 研 究. 13 P.59-P.70 Issue 2013 Date Text Version publisher URL http://doi.org/10.18910/25840 DOI 10.18910/25840 Rights Osaka University

親 密 な 関 係 におけるコミットメントのモデルの 概 観 古 村 健 太 郎 ( 筑 波 大 学 大 学 院 人 間 総 合 科 学 研 究 科 ) 松 井 豊 ( 筑 波 大 学 人 間 系 ) 本 稿 では 恋 愛 関 係 や 夫 婦 関 係 などの 親 密 な 関 係 におけるコミットメントの 定 義 やモデルを 概 観 した 先 行 研 究 にお けるコミットメントのモデルの 共 通 点 として 関 係 維 持 についての 動 機 づけであること 関 係 の 将 来 についての 展 望 や 期 待 を 含 むこと 関 係 維 持 についての 責 任 感 や 義 務 感 を 含 むこと 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 が 存 在 することの 四 点 が 挙 げ られた また, 相 違 点 として 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 をコミットメントそのものとするか 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 をどのように 扱 うかが 挙 げられた これらの 共 通 点 と 相 違 点 に 基 づき モデルの 適 切 性 を 議 論 した キーワード:コミットメント 関 係 維 持 親 密 な 関 係 本 稿 の 目 的 は 恋 愛 夫 婦 関 係 などの 親 密 な 関 係 におけるコミットメントが どのように 定 義 され モデル 化 されているかを 概 観 し それらの 共 通 点 と 相 違 点 を 議 論 することである その 後 その 議 論 からモデルの 適 切 性 を 検 討 していく 現 在 まで 親 密 な 関 係 の 維 持 の 促 進 因 や 崩 壊 の 予 防 因 について 数 多 くの 研 究 がなされてきた それら のレビューを 行 った Cate, Levin, & Richmond (2002)やメタ 分 析 を 行 った Le, Dove, Agnew, Korn, & Mutso (2010)は コミットメントが 関 係 維 持 にとって 重 要 な 概 念 であることを 指 摘 した コミットメントは 多 様 な 意 味 合 いを 持 つ 概 念 である 例 えば Fehr(1988)は アメリカの 大 学 生 がコミットメ ントという 用 語 を 忠 誠 や 責 任 誠 実 さ 信 頼 など 多 義 的 に 用 いていることを 明 らかにした その 多 義 性 のた めか コミットメントは 関 係 維 持 にとって 重 要 な 概 念 で あるにも 関 わらず その 定 義 やモデルが 一 意 に 定 まっ ていない 実 際 コミットメントをどのように 定 義 するか は 過 去 30 年 にわたり 議 論 され 続 けている(e.g., Kelley, 1983; Adams & Jones, 1997; Fincham & Beach, 2010) 研 究 間 で 定 義 が 一 意 に 定 まらない 問 題 は 研 究 ごとに 構 成 概 念 の 領 域 が 異 なる 尺 度 が 開 発 され 研 究 間 の 比 較 が 困 難 になる 問 題 も 引 き 起 こ す(Adams & Jones, 1997) これらの 問 題 を 改 善 するためにも コミットメントの 理 論 的 分 析 を 行 い コミットメントとは 何 かについて 検 討 する 必 要 がある( 松 井, 1998) そこで 本 稿 では 先 行 研 究 においてコミットメントがどのように 定 義 され モ デル 化 されてきたのかを 概 観 し それらの 定 義 やモデ ルの 異 同 を 検 討 していく なお 本 稿 で 扱 うコミットメントは 恋 愛 関 係 や 夫 婦 関 係 へのコミットメント(romantic commitment; marital commitment; relationship commitment) に 限 定 し 組 織 コミットメントや 説 得 研 究 のコミットメント などは 扱 わない コミットメントの 研 究 の 推 移 コミットメントの 研 究 の 推 移 を 検 討 するため 査 読 付 きの 英 語 文 献 と 日 本 語 文 献 の 数 を 確 認 した 英 語 文 献 は PsycINFO によって タイトル キーワード 主 題 のいずれかに commit を 含 む 文 献 を 検 索 した こ の 際 intimacy, romance, dyad, couple, love, pre-marital, social dating, interpersonal interaction, marital, spouse, dissolution, cohabit, interpersonal relationship, divorce, persist, relationship termination のいずれかが 主 題 に 含 ま れていること かつ work commitment, job commitment, career commitment, organizational commitment, sports commitment, school commitment, acceptance and commitment therapy が 含 まれていないことを 検 索 条 件 とした 検 索 の 結 果 500 件 の 文 献 が 見 出 された 一 方 日 本 語 文 献 については CiNii と J-STAGE によって 関 係 関 与 コミット 関 係 継 続 と 恋 愛 もしくは 夫 婦 を 組 み 合 わせて 文 献 を 検 索 した その 結 果 31 件 の 文 献 が 見 出 された コミットメントの 研 究 を 年 代 ごとに 整 理 した 図 を Figure 1 に 示 す 英 語 文 献 は 1995 年 から 研 究 数 が 急 増 しており 5 年 毎 に 100 件 以 上 のペースで 文 献 が 増 え 続 けている なお 1999 年 には Handbook of Interpersonal Commitment and Relationship Stability(Adams & Jones, 1999a)が 出 版 され そ れまでの 研 究 のまとめが 行 われている さらに 2010 年 以 降 も 2 年 間 で 69 件 の 論 文 が 公 刊 されており 研

本 数 Figure 1 コミットメントを 扱 った 論 文 の 推 移 究 数 は 増 加 の 一 途 を 辿 っている 一 方 日 本 語 文 献 は 1990 年 代 に 入 り 徐 々に 研 究 数 が 増 加 していった その 内 容 は 社 会 的 交 換 の モデル 比 較 が 主 として 行 われていた ( 中 村, 1990; 奥 田, 1994; 和 田 山 口, 1999) また 親 密 な 関 係 に おけるコミットメントではなく 信 頼 の 解 き 放 ち 理 論 ( 山 岸, 1998)に 基 づくコミットメントの 研 究 (e.g., 清 成 山 岸, 1996)も 行 われてきた 2000 年 代 の 研 究 では 友 人 関 係 におけるコミットメ ントの 規 定 因 を 検 討 した 相 澤 (2003)やコミットメントを 愛 情 の 一 部 として 扱 い コミットメントが 関 係 内 での 自 己 認 知 に 与 える 影 響 を 検 討 した 金 政 大 坊 (2003) 友 人 からの 拒 絶 予 期 とその 対 処 との 関 連 がコミットメン トによって 媒 介 されるかを 検 討 した 宮 崎 池 上 (2011) 女 子 青 年 から 見 た 夫 婦 のコミットメントを 扱 った 宇 都 宮 (2005)がある しかし コミットメントを 統 制 変 数 として 扱 う 研 究 ( 山 下 坂 田, 2008; 相 馬 浦, 2009)などコミ ットメントをメインテーマとしていないものも 多 い コミットメントの 定 義 とモデル コミットメントは 多 義 的 な 概 念 であり 様 々な 定 義 とモ デルが 提 出 されており それらが 一 意 に 定 まっていな い そこで 本 節 では コミットメントの 代 表 的 なモデル として 投 資 モデル(Rusbult, 1980,1983) 愛 情 の 三 角 理 論 (Sternberg, 1986) バリアーモデル(Lund, 1985) 動 機 づけられた 認 知 アプローチ(Lydon, Burton, & Menzies-Toman, 2005) 三 側 面 モデル (Johnson, 1991, 1999) 次 元 モデル(Stanley & Markman, 1992) 接 近 回 避 コミットメント (Strachman & Gable, 2006)を 取 り 上 げ それらの モデルを 概 観 していく Table 1 には 定 義 や 構 成 要 素 を Table 2 には 尺 度 に 含 まれる 項 目 例 を 表 記 した 投 資 モデル 投 資 モデル(Investment Model)は 相 互 依 存 性 理 論 (Kelley & Thibaut, 1978) を 基 盤 として Rusbult(1980, 1983)によって 提 唱 されたモデルであ る 投 資 モデルでは パートナー 同 士 の 依 存 性 が 高 い 状 態 すなわち 個 人 の 得 られる 成 果 がパートナー の 活 動 に 規 定 されているほど コミットメントが 強 くなる とされる(Rusbult, Olsen, Davis, & Hannon, 2001; Rusbult & Van Lange, 2003) 特 に 関 係 満 足 度 の 高 さ 代 替 関 係 の 質 の 低 さ 投 資 量 の 大 きさが 依 存 性 を 強 め それによりコミットメントが 強 められることが 明 らかになっている(Le & Agnew, 2003) 投 資 モデルでは コミットメントを 長 期 的 志 向 性 と 心 理 的 愛 着 を 含 む 関 係 継 続 意 思 と 定 義 する 長 期 的 志 向 性 とは パートナーとの 関 係 が 長 期 間 継 続 してい ることを 想 像 できたり 関 係 の 将 来 についての 認 知 的 表 象 が 形 成 されていたりすることである(Arriaga & Agnew, 2001) 心 理 的 愛 着 とは パートナーとの 感 情 的 なつながりのことである(Arriaga & Agnew, 2001) 投 資 モデルに 基 づくコミットメントの 尺 度 として Rusbult, Martz, & Agnew (1998)や Arriaga & Agnew (2001)がある これらの 尺 度 は 定 義 の 通 り 長 期 的 志 向 性 心 理 的 愛 着 関 係 継 続 意 思 を 尋 ねる

Table 1 コミットメントの 各 モデルの 定 義 と 要 因 コミットメントの 構 成 要 素 モデル 名 定 義 次 元 数 関 係 維 持 の 動 機 づ け パートナー 関 係 の 将 関 係 同 一 への 責 任 来 の 展 望 性 や 義 務 感 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 投 資 モデル (Rusbult 1980, 1983) 長 期 的 志 向 性 と 心 理 的 愛 着 を 含 む 関 係 継 続 意 思 1 先 行 要 因 愛 情 の 三 角 理 論 (Sternberg, 1986) バリアーモデル (Lund, 1985) 動 機 づけられた 認 知 アプローチ(Lydon et al., 2005) 凝 集 性 モデル (Levinger, 1999) 短 期 的 には 誰 かを 愛 する 長 期 的 には 愛 を 維 持 する 決 定 や 意 思 関 係 継 続 可 能 性 の 判 断 代 替 関 係 の 回 避 関 係 崩 壊 時 の 損 失 予 期 関 係 脅 威 状 況 に 直 面 した 際 に 関 係 を 維 持 保 持 しよ うとする 動 機 づけ ( 関 係 の 魅 力 + 関 係 のバリアー) - ( 代 替 関 係 の 魅 力 + 代 替 関 係 のバリアー) 1 1 1 先 行 要 因 2 三 側 面 モデル (Johnson, 1991, 1999) 関 係 の 維 持 と 崩 壊 を 決 定 する 動 機 づけ 3 先 行 要 因 先 行 要 因 次 元 モデル (Stanley & Markman, 1992) 接 近 回 避 コミットメント (Strachman & Gable, 2006; Frank & Brandstatter, 2002) ( 個 人 的 献 身 ) パートナーとの 共 同 の 利 益 のために 関 係 良 好 性 を 維 持 改 善 しようとする 欲 求 ( 拘 束 コミットメント) 個 人 を 関 係 維 持 に 縛 り 付 ける 力 ( 接 近 コミットメント) 関 係 の 維 持 に 接 近 しようとする 目 標 ( 回 避 コミットメント) 関 係 崩 壊 を 避 けようとする 目 標 2 2 注 ) 表 中 の は 定 義 や 下 位 概 念 にその 要 因 が 含 まれることを 表 す は 定 義 や 下 位 概 念 には 含 まれないが 尺 度 項 目 に 含 まれるかコミットメントの 特 徴 として 指 摘 されていることを 表 す は 定 義 にも 尺 度 項 目 にも 含 まれないことを 表 す 項 目 によって 構 成 されている 愛 情 の 三 角 理 論 Sternberg(1986)の 愛 情 の 三 角 理 論 (Triangular Theory of Love)は それまでに 提 出 されてきた 愛 情 のモデル(Spearman モデル Thomsonian モデル Thurstonian モデル)の 比 較 検 討 を 通 して 提 唱 され たモデルである 愛 情 の 三 角 理 論 では 愛 情 を 情 熱 親 密 性 コミットメントを 頂 点 とする 三 角 形 で 表 現 する さらに この 頂 点 の 強 弱 によって 様 々な 愛 情 が 表 現 さ れる その 中 で コミットメントは 短 期 的 には 誰 かを 愛 する 長 期 的 には 愛 を 維 持 する 決 定 や 意 思 と 定 義 される (Sternberg, 1986) コミットメントは 関 係 を 維 持 する か 否 かの 意 思 決 定 に 関 わる 認 知 的 要 素 であり 関 係 が 危 機 的 な 状 態 に 陥 った 場 合 その 状 態 の 改 善 を 促 すことで 関 係 維 持 に 寄 与 する つまり,コミットメントは 関 係 継 続 のための 活 動 を 促 進 しており,この 点 におい て 動 機 づけ 的 側 面 を 含 意 していると 考 えられる 愛 情 の 三 角 理 論 に 基 づく 尺 度 としては Sternberg(1997)やその 邦 訳 版 である 金 政 大 坊 (2003)がある これらの 尺 度 は 関 係 継 続 に 対 する 責 任 感 関 係 の 将 来 の 展 望 関 係 継 続 意 思 を 尋 ねる 項 目 によって 構 成 されている バリアーモデル Lund(1985)のバリアーモデル(Barrier Model)は 関 係 維 持 にとって 愛 情 や 報 酬 といったポジティブな 側 面 の 影 響 力 よりも 関 係 崩 壊 に 関 わる 終 結 コストの 影 響 力 の 方 が 大 きいことを 明 らかにしたモデルであ る バリアーモデルにおいて コミットメントは 関 係 継 続 可 能 性 の 判 断 代 替 関 係 の 回 避 関 係 崩 壊 時 の 損 失 予 期 と 定 義 される この 定 義 は 愛 情 との 弁 別 性 を 高 めるために 関 係 維 持 の 願 望 や 動 機 づけを 意 図 的 にコミットメントから 取 り 除 いている 点 に 特 徴 がある Lund(1985)は 愛 情 と 報 酬 を 合 計 したポジティブな 誘 因 (positive pull)とコミットメントと 投 資 量 を 合 計 した バリアーを 説 明 変 数 とし 関 係 の 維 持 崩 壊 を 目 的 変 数 とした 判 別 分 析 を 行 った その 結 果 バリアーの 方 が 関 係 崩 壊 をより 予 測 できることが 明 らかになった バリアーモデルに 基 づくコミットメント 尺 度 には Lund(1985)やその 邦 訳 版 である 中 村 中 田 (2002)が ある この 尺 度 は 関 係 継 続 可 能 性 代 替 関 係 の 回 避 関 係 崩 壊 時 の 損 失 予 期 関 係 継 続 の 責 任 感 を 尋 ねる 項 目 によって 構 成 されている 動 機 づけられた 認 知 アプローチ 動 機 づけられた 認 知 アプローチ(Motivated

-Cognition Approach)は コミットメントが 関 係 維 持 に 寄 与 する 認 知 や 行 動 を 促 す 動 機 づけであることを 主 張 する (Lydon & Linardatos, 2012) 特 に コミット メントと 関 係 脅 威 状 況 の 関 連 を 検 討 し コミットメントの 強 さと 関 係 脅 威 状 況 の 強 さが 均 衡 している 場 合 に コ ミットメントが 関 係 維 持 活 動 を 促 進 することを 明 らかに した(e.g., Lydon, Meana, Sepinwall, Richard, & Mayman, 1999) 動 機 づけられた 認 知 アプローチにおいて コミットメ ントは 関 係 脅 威 状 況 に 直 面 した 際 に 関 係 を 維 持 保 持 しようとする 動 機 づけ と 定 義 され (Lydon et al., 2005) 三 つの 種 類 があると 想 定 されている(Lydon & Linardatos, 2012) 第 一 に 関 係 満 足 度 に 基 づくコ ミットメントである 第 二 に 不 安 や 義 務 感 に 基 づくコミ ットメントである 第 三 に 同 一 化 に 基 づくコミットメント である 直 接 的 な 実 証 はなされていないが これらの コミットメントはそれぞれが 異 なる 成 果 と 結 びつくと 考 えられている(Lydon & Linardatos, 2012) 動 機 づけられた 認 知 アプローチに 基 づくコミットメン ト 尺 度 としては Gagné & Lydon (2003)がある この 尺 度 は 関 係 やパートナーに 対 する 感 情 的 側 面 ( 愛 着 献 身 忠 誠 没 頭 )や 投 資 量 を 尋 ねる 項 目 によっ て 構 成 されており 三 種 類 のコミットメントを 弁 別 するよ うな 尺 度 にはなっていない 凝 集 性 モデル 凝 集 性 モデル(Cohesiveness Model) は Levinger(1976, 1999)が 場 の 理 論 (Lewin, 1951) を 基 に 夫 婦 関 係 の 存 続 と 崩 壊 を 説 明 しようとした 理 論 である 凝 集 性 モデルは パートナーとの 関 係 を 二 者 集 団 と して 捉 え そこに 生 じる 魅 力 とバリアーが 関 係 の 維 持 に 影 響 することを 主 張 している 魅 力 は 関 係 から 得 られる 報 酬 がコストを 上 回 っている 場 合 に 生 じる 関 係 をより 深 化 させていこうとする 力 と 定 義 される 一 方 バリアーは 別 れることで 悪 い 評 価 を 受 けるという 不 安 別 れへの 道 徳 的 態 度 社 会 的 な 圧 力 などによって 生 じる 関 係 崩 壊 を 防 ぐ 力 と 定 義 される さらに 凝 集 性 モ デルでは パートナーとの 関 係 だけではなく 代 替 関 Table 2 尺 度 が 測 定 している 要 因 と 項 目 例

係 の 魅 力 とバリアーもコミットメントに 影 響 するとしてい る 以 上 から Levinger(1991)はコミットメントを 関 係 の 魅 力 関 係 のバリアー 代 替 関 係 の 魅 力 代 替 関 係 のバリアー) と 定 義 している 凝 集 性 モデルに 基 づく 尺 度 は 作 成 さ れていない 三 側 面 モデル 三 側 面 モデル(Tripartite Model)は 人 々がコミット メントをどのように 体 験 するかという 現 象 学 的 アプロー チに 基 づくモデルである(Johnson, 1991) 三 側 面 モデルは コミットメントを 関 係 の 維 持 崩 壊 を 決 定 する 動 機 づけ と 定 義 する この 動 機 づけは 三 種 類 のコミットメントとして 体 験 される 第 一 は 個 人 的 コミットメントである 個 人 的 コミットメントは パートナー やパートナーとの 関 係 の 魅 力 関 係 同 一 性 によって 強 められる 関 係 を 続 けたいと 感 じるコミットメントであ り want to コミットメントとも 呼 ばれる なお 関 係 同 一 性 とは パートナーとの 関 係 が 自 己 概 念 と 結 びつい ていることと 定 義 される(Johnson, 1991) 第 二 は 構 造 的 コミットメントである 構 造 的 コミットメントは 魅 力 的 な 代 替 関 係 が 存 在 しないこと 関 係 が 崩 壊 すること で 価 値 を 失 う 投 資 をしていること 社 会 的 ネットワーク からの 圧 力 別 れの 面 倒 さによって 強 められる 関 係 を 続 けなければならないと 感 じるコミットメントであり have to コミットメントとも 呼 ばれる 第 三 は モラルコミ ットメントである モラルコミットメントは 夫 婦 関 係 など 特 定 の 関 係 は 継 続 すべきだという 信 念 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 一 度 はじめたことはやり 遂 げなければ ならないという 価 値 観 によって 強 められる 関 係 を 続 けるべきだと 感 じるコミットメントであり ought to コミッ トメントとも 呼 ばれる 三 側 面 モデルに 基 づく 尺 度 には Adams & Jones(1997)や それぞれのコミットメントを 各 1 項 目 ずつで 尋 ねる Johnson, Caughlin, & Huston(1999)がある 次 元 モデル 次 元 モデル 1) は Stanley & Markman(1992)が 提 案 したモデルである 次 元 モデルは コミットメントを 個 人 的 献 身 と 拘 束 コミットメントの 二 次 元 に 分 類 する 個 人 的 献 身 は パートナーとの 共 同 の 利 益 のために 関 係 良 好 性 を 維 持 改 善 しようとする 欲 求 と 定 義 される 拘 束 コミットメントは 個 人 を 関 係 維 持 に 縛 り 付 ける 力 と 定 義 される 個 人 的 献 身 と 拘 束 コミットメントは それぞれ 6 つの 下 位 概 念 によって 構 成 されている 個 人 的 献 身 は 関 係 の 計 画 (relationship agenda) 関 係 の 優 先 関 係 同 一 性 自 己 犠 牲 への 満 足 代 替 関 係 のモニタリング メタコミットメント によって 構 成 さ れている 一 方 拘 束 コミットメントは 構 造 的 投 資 社 会 的 圧 力 別 れの 面 倒 さ 魅 力 的 ではない 代 替 関 係 パートナーの 利 用 可 能 性 別 れへの 道 徳 的 態 度 によって 構 成 されている Stanley & Markman(1992)は 夫 婦 を 主 たる 対 象 としているが Owen, Rhoades, Stanley, & Markman(2011) や Rhoades, Stanley, & Markman(2010)は 次 元 モデルを 恋 愛 関 係 に 適 用 してい る その 結 果 個 人 的 献 身 は 一 次 元 構 造 であり 拘 束 コミットメントは 構 造 的 投 資 金 銭 的 な 代 替 関 係 の 不 足 パートナーの 福 利 への 関 心 社 会 的 圧 力 代 替 関 係 の 利 用 可 能 性 別 れの 面 倒 さ によ って 構 成 されていた 次 元 モデルに 基 づく 尺 度 には Stanley & Markman(1992)や Owen et al. (2011) がある 接 近 回 避 コミットメント 接 近 回 避 コミットメント(Approach-Avoidance Commitment)は コミットメントを 関 係 維 持 について の 目 標 として 捉 え その 基 本 的 分 類 である 接 近 次 元 と 回 避 次 元 によって 分 類 したモデルである 目 標 とは 評 価 感 情 行 動 に 影 響 を 与 える 望 ましい 最 終 状 態 についての 認 知 的 表 象 のことである(Fishbach & Ferguson, 2007) 望 ましい 最 終 状 態 には 接 近 す べき 最 終 状 態 と 回 避 すべき 最 終 状 態 がある(e.g., Higgins, 1998) 関 係 維 持 についての 目 標 といった 場 合 接 近 すべき 最 終 状 態 は 関 係 維 持 回 避 すべき 最 終 状 態 は 関 係 崩 壊 と 考 えられる したがって 接 近 コミットメントは 関 係 維 持 に 接 近 しようとする 目 標 であり 回 避 コミットメントは 関 係 崩 壊 を 避 けようとする 目 標 で ある 接 近 コミットメントは 関 係 満 足 度 やパートナーとの 類 似 性 など 関 係 継 続 によって 得 られる 報 酬 と 回 避 コミ ットメントは 投 資 量 や 交 際 期 間 など 関 係 崩 壊 と 関 連 す る 罰 や 終 結 コストと 関 連 する(Frank & Brandstätter, 2002) また 関 係 維 持 についての 義 務 感 が 回 避 コミ ットメントに 含 まれることも 指 摘 されている(Frank & Brandstätter, 2002) このモデルに 基 づく 尺 度 は Frank & Brandstätter(2002)によって 作 成 されてい るが 内 容 的 妥 当 性 の 問 題 が 指 摘 されている (Strachman & Gable, 2006) 各 モデルの 共 通 点 ここまで コミットメントの 代 表 的 なモデルについて 概 観 してきた 以 下 では 多 くのモデルに 共 通 する 四 点 に 着 目 し, 議 論 する

第 一 の 共 通 点 : 関 係 維 持 についての 動 機 づけで ある 各 モデルの 第 一 の 共 通 点 は コミットメントを 関 係 維 持 についての 動 機 づけ として 捉 えている 点 である (e.g., Ogolsky, 2009) 動 機 づけられた 認 知 アプロー チや 三 側 面 モデル 次 元 モデル 接 近 回 避 コミットメ ントは 定 義 において 直 接 的 に 動 機 づけに 言 及 して いる また 投 資 モデルの 定 義 における 関 係 継 続 意 思 とは 関 係 継 続 への 動 機 づけと 同 じ 内 容 である (Arriaga & Agnew, 2001) 愛 情 の 三 角 理 論 では 愛 を 維 持 しようとする 意 思 と 定 義 し コミットメントを 関 係 維 持 についての 意 思 決 定 に 関 わるものとした (Sternberg, 1986) さらに 愛 情 の 三 角 理 論 尺 度 (Sternberg, 1997)の 項 目 では 私 はパートナーと の 関 係 を 維 持 するつもりだ など 関 係 継 続 の 動 機 づけ を 尋 ねる 項 目 がある これらから 愛 情 の 三 角 理 論 の 定 義 も 関 係 維 持 についての 動 機 づけに 言 及 してい る 一 方 バリアーモデルは コミットメントに 関 係 維 持 に ついての 動 機 づけを 含 めていない バリアーモデル は 愛 情 との 弁 別 性 を 高 めるために コミットメントに 動 機 づけを 含 めない 方 が 良 いと 主 張 している (Lund, 1985) 以 上 から バリアーモデル 以 外 の 各 モデルにおいて コミットメントが 関 係 維 持 についての 動 機 づけ と 捉 え られている 点 で 共 通 していた 第 二 の 共 通 点 : 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 や 期 待 を 含 む 第 二 の 共 通 点 は 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 や 期 待 を 含 むことである(Surra, Hughe, & Jacquet, 1999) 投 資 モデルは 長 期 的 志 向 性 がコミットメント に 含 まれると 定 義 をしている また 愛 情 の 三 角 理 論 では 定 義 で 明 言 されていないが 尺 度 項 目 には 私 と 〇 〇 さんの 関 係 は 揺 るぎないものである など パー トナーとの 将 来 について 尋 ねる 項 目 が 存 在 している バリアーモデルでは 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 であ る 関 係 の 存 続 可 能 性 や 関 係 崩 壊 時 の 損 失 予 期 が 定 義 に 含 まれている 凝 集 性 モデルでは 定 義 で 明 言 されていないが コミットメントが 強 くなることで 二 者 の 将 来 についての 関 心 が 生 じていくことが 指 摘 されてい る(Levinger, 1999) したがって 直 接 的 ではないが 凝 集 性 モデルも 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 をコミットメ ントとして 扱 っていると 考 えられる 次 元 モデルでは コミットメントの 下 位 概 念 として 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 や 期 待 が 設 定 されている 接 近 回 避 コミットメント は 将 来 関 係 から 得 られると 予 測 される 報 酬 へ 接 近 し たり 将 来 生 じる 可 能 性 がある 罰 から 回 避 したりするコ ミットメントであることから 関 係 の 将 来 についての 展 望 や 期 待 を 含 むと 考 えられる 一 方 動 機 づけられた 認 知 アプローチは コミットメ ントを 動 機 づけとしており 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 や 期 待 を 含 んでいない また 尺 度 項 目 についても パートナーや 関 係 への 感 情 的 側 面 を 尋 ねているのみ であり 関 係 の 将 来 に 対 する 展 望 や 期 待 については 言 及 していない 以 上 から 動 機 づけられた 認 知 アプローチは 将 来 の 展 望 について 言 及 していないが それ 以 外 のモデル は 関 係 の 将 来 についての 展 望 や 期 待 を 含 む 点 で 共 通 していた 第 三 の 共 通 点 : 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 や 義 務 感 を 含 む 第 三 の 共 通 点 は 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 や 義 務 感 を 含 むことである 三 側 面 モデルは モラルコミット メントとして 責 任 感 や 義 務 感 を 扱 っており 次 元 モデ ルは 別 れに 対 する 義 務 感 を 下 位 概 念 として 扱 ってい る 凝 集 性 モデルや 接 近 回 避 コミットメントでは 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 や 義 務 感 が それぞれバリア ーや 回 避 コミットメントの 一 部 であるとされる また 愛 情 の 三 角 理 論 やバリアーモデルでは 定 義 で 明 示 さ れていないが 尺 度 には,どのくらい 関 係 維 持 に 責 任 を 感 じているかを 尋 ねる 項 目 が 存 在 している 一 方 投 資 モデルについては Cox, Wexler, Rusbult, Gaines(1997)が 友 人 からの 期 待 によって 生 じる 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 や 義 務 感 がコミットメ ントの 先 行 要 因 となりうる 可 能 性 を 示 唆 しているものの 定 義 や 尺 度 項 目 に 関 係 維 持 に 対 する 責 任 感 や 義 務 感 は 含 まれていない 以 上 から 投 資 モデル 以 外 のモデルは 関 係 維 持 についての 責 任 感 や 義 務 感 を 含 んでいる 点 で 共 通 し ていた 第 四 の 共 通 点 : 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 が 存 在 する 第 四 の 共 通 点 は コミットメントに 魅 力 次 元 (attraction)と 抑 止 力 次 元 (constraint)という 性 質 の 異 なる 二 つの 次 元 が 存 在 することである(Adams & Jones, 1999b) 魅 力 次 元 とは 関 係 満 足 度 や 愛 情 の 強 さと 関 連 する 自 発 的 に 関 係 を 継 続 しようとする 次 元 である 一 方 抑 止 力 次 元 とは 終 結 コストの 高 まりによって 関 係 から 離 れられなくなる 次 元 である Adams & Jones(1999b)や Cate et al. (2001)は 各 モデルと 魅 力 次 元 抑 止 力 次 元 の 対 応 について 以 下 のように 述 べている 投 資 モデルでは コミットメント の 先 行 要 因 である 関 係 満 足 度 が 魅 力 次 元 に 代 替 関 係 の 質 と 投 資 量 が 抑 止 力 次 元 に 対 応 する 愛 情 の 三

角 理 論 におけるコミットメントは 魅 力 次 元 に 対 応 する バリアーモデルのコミットメントは 抑 止 力 次 元 に 対 応 す る 三 側 面 モデルでは 個 人 的 コミットメントが 魅 力 次 元 に 構 造 的 コミットメントが 抑 止 力 次 元 に 対 応 する 2) 凝 集 性 モデルでは 関 係 の 魅 力 が 魅 力 次 元 バリア ーが 抑 止 力 次 元 に 対 応 する 次 元 モデルは 個 人 的 献 身 が 魅 力 次 元 に 拘 束 コミットメントが 抑 止 力 次 元 に 対 応 する さらに Adams & Jones(1999b)や Cate et al. (2001)では 触 れられてはいないが 動 機 づけられた 認 知 アプローチにおける 関 係 満 足 度 に 基 づくコミッ トメントや 関 係 同 一 性 に 基 づくコミットメントは 魅 力 次 元 に 不 安 や 義 務 に 基 づくコミットメントは 抑 止 力 次 元 に 対 応 し 接 近 回 避 コミットメントにおける 接 近 コミットメ ントは 魅 力 次 元 に 回 避 コミットメントは 抑 止 力 次 元 に 対 応 すると 考 えられる 以 上 から 愛 情 の 三 角 理 論 では 魅 力 次 元 のみ バリ アーモデルでは 抑 止 力 次 元 のみが 扱 われているが それ 以 外 のモデルでは 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 の 両 方 が 扱 われている 点 が 共 通 していた 各 モデルの 相 違 点 前 節 では 各 モデルの 共 通 点 を 検 討 し 4 つの 共 通 点 があることを 指 摘 した その 一 方 で 各 モデル 間 の 相 違 点 として どの 要 因 をコミットメントそのものとし ど の 要 因 を 先 行 要 因 とするかが 異 なると 指 摘 されている (Surra et al., 1999) また 共 通 点 で 指 摘 した 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 をどのように 扱 うかについても 各 モ デルで 相 違 が 見 られる 以 降 では これらの 相 違 点 に 触 れていく 何 がコミットメントそのもので 何 が 先 行 要 因 か どの 要 因 をコミットメントそのものとし どの 要 因 を 先 行 要 因 とするかについて 各 モデル 間 で 三 つの 要 因 に 違 いが 見 られた 第 一 に 関 係 同 一 性 は 投 資 モ デルや 次 元 モデルにおいてコミットメントそのものとさ れるのに 対 して 動 機 づけられた 認 知 アプローチや 三 側 面 モデルにおいては コミットメントの 先 行 要 因 と 捉 えられていた(Table 1 の 関 係 同 一 性 の 列 を 参 照 ) 一 方 愛 情 の 三 角 理 論 バリアーモデル 凝 集 性 モデ ル 接 近 回 避 コミットメントにおいて 関 係 同 一 性 は コミットメントの 要 因 に 含 まれなかった 第 二 に 代 替 関 係 の 質 は,バリアーモデルと 凝 集 性 モデル 次 元 モデルではコミットメントそのものとされ 投 資 モデルと 三 側 面 モデルでは 先 行 要 因 とされてい た(Table 1 の 代 替 関 係 の 質 の 列 を 参 照 ) 一 方 愛 情 の 三 角 理 論 や 動 機 づけられた 認 知 アプローチ 接 近 回 避 コミットメントにおいて 代 替 関 係 の 質 はコミッ トメントの 要 因 に 含 まれなかった 第 三 に 自 己 犠 牲 への 満 足 や 代 替 関 係 のモニ タリング といった 関 係 維 持 活 動 は 次 元 モデルでは コミットメントそのものとされたが それ 以 外 のモデルで はコミットメントの 要 因 に 含 まれなかった(Table 1 の 関 係 維 持 活 動 の 列 を 参 照 ) 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 の 扱 い 方 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 の 扱 い 方 や 測 定 の 仕 方 には 大 きく 二 つの 種 類 があることを Cate et al. (2002)や Givertz & Segrin(2005)が 論 じている 第 一 は 全 体 的 コミットメント(global commitment; general commitment)である 全 体 的 コミットメントは コミットメントを 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 を 集 約 した 一 次 元 構 造 として 扱 うモデル 群 である 例 えば 投 資 モデ ルは 魅 力 次 元 に 対 応 する 関 係 満 足 度 抑 止 力 次 元 に 対 応 する 代 替 関 係 の 質 と 投 資 量 を 一 次 元 に 集 約 し たものをコミットメントとしている また 動 機 づけられた 認 知 アプローチは 三 種 類 のコミットメントを 想 定 しな がら 実 際 には 一 次 元 構 造 のものとして 扱 っている 他 にも 愛 情 の 三 角 理 論 バリアーモデルは コミット メントを 一 次 元 構 造 として 扱 っていることから 全 体 的 コミットメントであると 考 えられる なお 全 体 的 コミット メントの 測 定 は 単 一 項 目 ( 例 えば 私 は 関 係 の 維 持 に 関 与 (commit)していると 感 じる など)が 用 いられる こともある 第 二 は 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 を 独 立 した 次 元 とし て 扱 うモデル 群 である 本 稿 では このモデルを 次 元 的 コミットメントと 呼 ぶこととする 例 えば 三 側 面 モデ ルは 個 人 的 コミットメント 構 造 的 コミットメント モラル コミットメントを 集 約 せず それぞれを 独 立 したものとし て 扱 っている 次 元 的 コミットメントとしては 三 側 面 モ デルの 他 に 凝 集 性 モデル 次 元 モデルがある (Givertz & Seglin, 2005) また 接 近 回 避 コミットメ ントも 次 元 的 コミットメントに 分 類 できる モデルの 適 切 性 判 断 前 節 では 各 モデルの 相 違 点 を 指 摘 した 以 下 で は,これらの 相 違 点 について 整 理 し モデルの 適 切 性 を 議 論 する 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 の 相 違 点 の 整 理 第 一 の 相 違 点 として 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 をコミットメントそのものとするか 先 行 要 因 とするかが 異 なっていたことを 指 摘 した これらの 要 因 はどのように 扱 えばよいのであろうか まず 関 係 同 一 性 は コミットメントとは 独 立 した 概 念 であると 考 えられる Linardatos & Lydon(2011)や

Gagné & Lydon(2003)は 関 係 同 一 性 とコミットメン トが 関 係 維 持 活 動 をそれぞれ 独 立 して 予 測 すること コミットメントと 関 係 維 持 活 動 の 関 連 が 関 係 同 一 性 によ って 調 整 されることを 明 らかにしている さらに Agnew, Van Lange, Rusbult, & Langston(1998) は コミットメントと 関 係 同 一 性 が 互 いを 強 め 合 う 双 方 向 的 な 関 係 であることを 明 らかにしている これらの 結 果 は 関 係 同 一 性 が 関 係 維 持 に 対 して コミットメント とは 独 立 した 異 なる 影 響 を 与 えることを 示 唆 している これより 関 係 同 一 性 は コミットメントそのものではな いとするのが 適 切 と 考 えられる また 代 替 関 係 の 質 も コミットメントそのものではな いと 考 えられる 代 替 関 係 の 質 とは 自 分 の 重 要 な 欲 求 がパートナー 以 外 の 関 係 で 満 たされている 程 度 (Rusbult et al., 1998)や パートナーとの 関 係 の 代 わりになるものに 対 する 評 価 (Johnson, 1991)とされる 3) 代 替 関 係 の 質 は 関 係 への 依 存 を 強 め 終 結 コス トを 高 めることでコミットメントを 強 める(Kelley & Thibaut, 1978) したがって コミットメントそのものではな く コミットメントの 先 行 要 因 と 考 えられる さらに 関 係 維 持 活 動 は コミットメントそのものでも 先 行 要 因 でもないと 考 えられる 次 元 モデルにおいて コミットメントそのものとされている 代 替 関 係 のモニタ リング や 犠 牲 への 満 足 は それぞれ 代 替 選 択 肢 の 切 り 下 げ(e.g., Johnson & Rusbult, 1989; Lydon et al., 1999) 自 己 犠 牲 (e.g., Mattingly & Clark, 2010; Van Lange, Rusbult, Drigotas, Arriaga, Witcher, & Cox, 1997)として 検 討 されてきた 関 係 維 持 活 動 と 同 様 の 内 容 である これらの 関 係 維 持 活 動 は コミットメントによって 促 進 されることが 明 らかにな っている(e.g., Wieselquist, Rusbult, Agnew, & Foster, 1999) そのため 関 係 維 持 活 動 はコミットメ ントそのものではないと 考 えられる 以 上 の 議 論 から 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 をコミットメントそのものとして 含 まないモ デルが 適 切 と 考 えられる 全 体 的 コミットメントと 次 元 的 コミットメントの 整 理 全 体 的 コミットメントと 次 元 的 コミットメントを 比 較 する と 以 下 の 二 つの 理 由 から 次 元 的 コミットメントの 方 が より 詳 細 に 親 密 な 関 係 の 維 持 について 検 討 できる 可 能 性 がある 第 一 に 全 体 的 コミットメントが 魅 力 次 元 に 偏 った 測 定 をしている 可 能 性 があるためである 全 体 的 コミット メントの 尺 度 は 愛 情 や 関 係 満 足 度 と 高 い 相 関 を 示 すことから(e.g., Rusbult et al., 1998; Sternberg, 1997) 魅 力 次 元 に 偏 った 測 定 をしている 可 能 性 があ る (Johnson, 1999) 実 際 Hendrick & Hendrick(1989)や Kurdek(1996)は 愛 情 の 三 角 理 論 尺 度 のコミットメントと 他 の 関 係 性 評 価 の 尺 度 につい て 二 次 因 子 分 析 を 行 い コミットメントが 関 係 満 足 度 親 密 性 ラブスタイルのエロスやマニアと 同 じ 因 子 に まとまることを 明 らかにした これらの 結 果 は コミットメ ントの 測 定 が 魅 力 次 元 に 偏 っていることを 示 唆 するも のである このように 全 体 的 コミットメントは 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 の 存 在 を 想 定 しながら 魅 力 次 元 に 偏 った 測 定 をしているため 構 成 概 念 的 妥 当 性 の 問 題 を 有 して いる 可 能 性 もある(Johnson, 1999; Cate et al., 2002) 第 二 の 理 由 は 次 元 的 コミットメントは 二 つの 次 元 を 独 立 させて 測 定 するため それぞれの 次 元 が 関 係 維 持 に 異 なる 影 響 を 与 えることを 明 確 に 検 討 できるため である 例 えば Roloff, Souel, & Carey(2001)は コミットメントの 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 が 恋 人 との 葛 藤 時 の 行 動 とどのように 関 連 するかを 検 討 した その 結 果 魅 力 次 元 が 強 い 人 はパートナーの 視 点 に 立 っ たり 関 係 修 復 を 試 したりすることで 葛 藤 に 対 処 してい た 一 方 抑 止 力 次 元 の 強 い 人 は 復 讐 することを 思 い 浮 かべたり 友 人 への 相 談 をしたり パートナーを 無 視 したりすることで 葛 藤 に 対 処 していた また Lydon, Pierce, & O Regan (1997)は 遠 距 離 恋 愛 をしている 大 学 生 を 対 象 とした 縦 断 調 査 において モ ラルコミットメントが 関 係 維 持 を 予 測 するのに 対 して コミットメントの 魅 力 次 元 が 関 係 維 持 を 予 測 しないこと を 報 告 した さらに モラルコミットメントが 強 い 人 ほど 自 分 たちの 関 係 を 意 味 のあるものとして 捉 えることや 投 資 量 が 増 加 することも 報 告 している Roloff et al. (2001)や Lydon et al. (1997)の 結 果 は 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 とが 関 係 維 持 に 異 なる 影 響 を 持 つことを 示 すものである 以 上 の 二 つの 理 由 から 次 元 的 コミットメントは 全 体 的 コミットメントよりも 親 密 な 関 係 がどのように 維 持 され ているのかを 詳 細 に 検 討 できる 可 能 性 がある したが って 次 元 的 コミットメントを 採 用 しているモデル 群 の 方 が 適 切 と 考 えられる 結 論 ここまで コミットメントの 定 義 やモデルを 概 観 し 共 通 点 と 相 違 点 を 指 摘 した 共 通 点 として 関 係 維 持 に ついての 動 機 づけであること 関 係 の 将 来 についての 展 望 や 期 待 を 含 むこと 関 係 維 持 についての 責 任 や 義 務 感 を 含 むこと 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 を 含 むこと が 挙 げられた また 相 違 点 として 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 をコミットメントそのものと

するか 否 かが 異 なること, 魅 力 次 元 と 抑 止 力 次 元 の 扱 い 方 には 全 体 的 コミットメントと 次 元 的 コミットメントが 存 在 することが 挙 げられた 相 違 点 については, 関 係 同 一 性, 代 替 関 係 の 質, 関 係 維 持 活 動 をコミットメント そのものとしない 方 が 良 いこと, 次 元 的 コミットメントの 方 が 全 体 的 コミットメントよりも 詳 細 に 親 密 な 関 係 の 維 持 を 検 討 できる 可 能 性 があることが 指 摘 された 本 稿 では コミットメントの 定 義 を 収 束 させるための 一 つの 方 法 として 四 つの 共 通 点 をいずれも 含 んで おり 関 係 同 一 性 代 替 関 係 の 質 関 係 維 持 活 動 を コミットメントそのものとしない 次 元 モデルを 採 用 して いる 定 義 やモデルを 採 択 することを 提 案 する この 基 準 に 従 えば 採 用 されるモデルは 三 側 面 モデルもし くは 接 近 回 避 コミットメントとなる 今 後 これらのモデ ルの 枠 組 みを 用 いて 親 密 な 関 係 の 維 持 を 検 討 してい くことで 日 本 における 親 密 な 関 係 の 研 究 がより 発 展 していくと 考 えられる また 近 年 社 会 問 題 としてデート DV が 注 目 され 続 けている 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 (2012)は デート DV が 生 じているにも 関 わらず 相 手 の 反 応 が 怖 か ったから や 世 間 体 が 悪 いと 思 ったから などの 理 由 で その 相 手 と 別 れなかった 人 がいることを 報 告 して いる この 理 由 は 三 側 面 モデルの 構 造 的 コミットメン ト 接 近 回 避 コミットメントの 回 避 コミットメントに 対 応 する 構 造 的 コミットメントや 回 避 コミットメントを 理 由 と して 関 係 が 続 いている 場 合 そこに 介 入 することでデ ート DV が 生 じているような 不 適 応 的 な 関 係 を 終 結 さ せられる 可 能 性 がある したがって 三 側 面 モデルや 接 近 回 避 コミットメントの 枠 組 みは デート DV のよう な 親 密 な 関 係 に 関 する 社 会 問 題 を 捉 える 有 効 な 視 点 となる 可 能 性 がある しかし 欧 米 で 行 われたコミットメントの 研 究 を 日 本 にそのまま 適 用 できるかについては 慎 重 に 検 討 して いく 必 要 がある それは 日 本 にコミットメントと 一 対 一 で 対 応 する 語 が 存 在 しないためである そのため 欧 米 でコミットメントとして 捉 えられる 現 象 が 日 本 では 全 く 別 の 概 念 で 説 明 される 可 能 性 は 否 定 できない 実 際 Ballard-Reisch, Weigel, & Zaguidoulline (1999)は コミットメントと 同 義 の 語 が 存 在 しないロシア において 欧 米 ではコミットメントと 関 連 するとされた 行 動 が 別 な 概 念 ( 例 えば 社 会 的 規 範 )で 説 明 されて いたことを 見 出 している 日 本 においても 同 様 の 現 象 が 見 られる 可 能 性 は 高 いと 考 えられる したがって 三 側 面 モデルや 接 近 回 避 コミットメントの 理 論 的 な 枠 組 みを 採 用 しながら 日 本 における 親 密 な 関 係 の 維 持 に 適 用 できる 部 分 と 適 用 できない 部 分 を 詳 細 に 検 討 していくことが 望 まれる 引 用 文 献 Adams, J. M., & Jones, W. H. (1997). The conceptualization of marital commitment: An integrative analysis. Journal of Personality and Social Psychology, 72, 1177-1196. Adams, J. M., & Jones, W. H. (1999a). Handbook of Interpersonal Commitment and Relationship Stability. Pleum New York. Adams, J. M., & Jones, W. H. (1999b). Interpersonal commitment in historical perspective. In J. M. Adams, & W. H. Jones (Eds.), Handbook of Interpersonal Commitment and Relationship Stability. New York: Pleum. pp. 3-33. Agnew, C. R., Van Lange, P. A. M., Rusbult, C. E., & Langston, C. A. (1998). Cognitive interdependence: Commitment and the mental representation of close relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 74, 939-954. 相 澤 寛 史 (2003). 同 性 友 人 関 係 における 投 資 モデル の 精 緻 化 実 験 社 会 心 理 学 研 究, 42,131-145. Arriaga, X. B., & Agnew, C. R. (2001). Being committed: Affective, cognitive, and conative components of relationship commitment. Personality and Social Psychology Bulletin, 27, 1190-1203. Ballard-Reisch, D. S., Weigel, D. J. & Zaguidoulline, M. G. (1999). Relational maintenance behavior, marital satisfaction and commitment in Tatar, Russian and mixed Russian/Tatar marriages: An Exploratory analysis. Journal of Family Issues, 30, 677-697. Cate, R. M., Levin, C. L., & Richmond, L. S. (2002). Premarital relationship stability: A review of recent research. Journal of Social and Personal Relationships, 19, 261-284. Cox, C. L., Wexler, M. O., Rusbult, C. E., & Gaines Jr, S. O. (1997). Prescriptive support and commitment processes in close relationships. Social Psychology Quarterly, 60, 79-90. Fehr, B. (1988). Prototype analysis of the concepts of love and commitment. Journal of Personality and Social Psychology, 55, 557-579. Fincham, F. D., & Beach, S. R. H. (2010). Of memes and marriage: Toward a positive relationship science. Journal of Family Theory and Review, 2, 4-24. Fishbach, A., & Ferguson, M. J. (2007). The goal construct in social psychology. In A. W. Kruglanski, & E. T. Higgins (Eds.), Social Psychology Handbook of Basic Principles. New York: Guiford Press. pp. 490-515. Frank, E., & Brandsttäter, V. (2002). Approach versus avoidance: Different type of commitment in intimate relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 82, 208-221. Gagné, F. M., & Lydon, J. E. (2003). Identification and the commitment shift: Accounting for gender differences in relationship illusions. Personality and Social Psychology Bulletin, 29, 907-919.

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The review of commitment in close relationships Kentaro KOMURA(Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba) Yutaka MATSUI(Faculty of Human Science, University of Tsukuba) The purpose of this article was to review definitions and models of commitment to close relationships. Models of commitment in previous studies suggested four commonalities : the motivation toward maintenance relationships, the foresight or expectation about future state of the relationships, the senses of responsibility or obligation to relationship maintenance and the presence of attraction and constraint. Furthermore, there were two different points; whether or not relationship identity, quality of alternative, and relationship maintenance act are commitment itself, and how attraction and constraint of commitment are treated with. We discussed the appropriateness of models of commitment based on these commonalities and difference points. Keywords: commitment, relationship maintenance, close relationships.