それゆえ リーニエンシー 制 度 の 対 象 となる 違 反 行 為 は 事 業 者 の 共 同 行 為 であるカルテル 談 合 に 限 られており 私 的 独 占 不 公 正 な 取 引 方 法 等 は 対 象 外 とされている 3. 課 徴 金 減 免 制 度 を 導 入 する 効 果 リーニエ



Similar documents
3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

大阪府電子調達システムの開発業務 (第一期)に係る仕様書案に対する意見招請のお知らせ

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

弁護士報酬規定(抜粋)


スライド 1

●労働基準法等の一部を改正する法律案

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

●電力自由化推進法案

スライド 1

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

1_2013BS(0414)

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

する 場 合 だけが 下 請 法 の 対 象 となる 5000 万 円 基 準 の 場 合 3 億 円 を5000 万 円 と 置 き 換 えればよい つ まり 自 社 の 資 本 金 の 額 が5000 万 円 超 であれば 5000 万 円 以 下 の 事 業 者 ( 法 人 だけでなく 個 人

Taro-契約条項(全部)

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

人 に 使 用 される 者 としての 勤 続 期 間 を 当 該 職 員 となつた 者 の 職 員 としての 勤 続 期 間 に 通 算 することと 定 められている 法 人 に 限 る )をいう 3 第 一 項 の 退 職 手 当 通 算 予 定 職 員 とは 任 命 権 者 又 はその 委 任

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

公表表紙

キ 短 時 間 労 働 者 の 雇 用 管 理 の 改 善 等 に 関 する 法 律 ( 平 成 5 年 法 律 第 76 号 ) ク 労 働 契 約 法 ( 平 成 19 年 法 律 第 128 号 ) ケ 健 康 保 険 法 ( 大 正 11 年 法 律 第 70 号 ) コ 厚 生 年 金 保

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (


Taro-29職員退職手当支給規程

平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

入札公告 機動装備センター

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

国 税 クレジットカード 納 付 の 創 設 国 税 のクレジットカード 納 付 については マイナンバー 制 度 の 活 用 による 年 金 保 険 料 税 に 係 る 利 便 性 向 上 に 関 するアクションプログラム( 報 告 書 ) においてその 導 入 の 方 向 性 が 示 されている

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 制度の概要_ED.docx

●不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

1

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

(Microsoft Word - \220\305\220\247\211\374\220\263.doc)

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

(5) 特 定 施 設 の 使 用 の 方 法 (6) 色 等 の 処 理 の 方 法 (7) 排 出 水 の 色 等 の 汚 染 状 態 及 び 量 2 一 の 施 設 が 特 定 施 設 となった 際 現 にその 施 設 を 設 置 している 者 ( 設 置 の 工 事 をしている 者 を 含

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

加 算 税 制 度 の 見 直 し 等 1. 現 行 制 度 の 概 要 関 税 においては 国 税 ( 輸 入 貨 物 に 対 する 内 国 消 費 税 を 含 む 以 下 同 じ ) の 制 度 と 同 様 の 過 少 申 告 加 算 税 無 申 告 加 算 税 及 び 重 加 算 税 の 制

<4D F736F F D208E9197BF A955B895E93AE82CC8B4B90A C982C282A282C42E646F6378>

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

目     次

工 事 名 渟 城 西 小 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 2 月 23 日 ( 火

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加


<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

一般競争入札について

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

必 要 なものとして 政 令 で 定 める 原 材 料 等 の 種 類 及 びその 使 用 に 係 る 副 産 物 の 種 類 ごとに 政 令 で 定 める 業 種 をいう 8 この 法 律 において 特 定 再 利 用 業 種 とは 再 生 資 源 又 は 再 生 部 品 を 利 用 することが

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

第316回取締役会議案

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

 

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

Ⅴ Ⅵ 目 予 算 編 成 のフローチャートと 決 算 書 類 19 図 表 6 予 算 編 成 のフローチャート 20 図 表 7 収 支 報 告 書 貸 借 対 照 表 財 産 目 録 備 品 台 帳 モデル 21 滞 納 金 回 収 に 関 する 管 理 会 社 の 業 務 と 役 割 25

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

Taro-01 議案概要.jtd

Taro-入札説明書(真空巻締め)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

答申書

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B38FDA8DD72E747874>

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

税制面での支援

答申第585号

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

(2) 協 会 加 入 月 の1カ 月 前 までに 様 式 1が 提 出 された 市 町 村 等 に 対 して 契 約 書 及 び 掛 金 請 求 書 を 送 付 します その 後 返 送 されてきた 様 式 2-2を 保 管 し 掛 金 の 納 入 を 確 認 します 第 2 章 契 約 更 新

Taro-○離島特産品等マーケティング支援事業に係る企画提案募集要領

る 第 三 者 機 関 情 報 保 護 関 係 認 証 プライバシーマーク ISO27001 ISMS TRUSTe 等 の 写 しを 同 封 のうえ 持 参 又 は 郵 送 とする 但 し 郵 送 による 場 合 は 書 留 郵 便 とし 同 日 同 時 刻 必 着 とする 提 出 場 所 は 上

定款

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

企業年金制度における個人番号の取扱いについて.PDF

第 8 条 乙 は 甲 に 対 し 仕 様 書 に 定 める 期 日 までに 所 定 の 成 果 物 を 検 収 依 頼 書 と 共 に 納 入 する 2 甲 は 前 項 に 定 める 納 入 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする 3 検 査 不 合 格 となった 場 合 甲 は

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

第 4 条 (1) 使 用 者 は 2 年 を 超 えない 範 囲 内 で( 期 間 制 勤 労 契 約 の 反 復 更 新 等 の 場 合 は その 継 続 勤 労 した 総 期 間 が2 年 を 超 えない 範 囲 内 で) 期 間 制 勤 労 者 を 使 用 することができる ただ し 次 の

TOBに 応 じた 株 主 の 会 計 税 務 処 理 1.みなし 配 当 の 課 税 関 係 上 場 会 社 が 株 式 公 開 買 付 で 自 己 株 式 を 取 得 する 場 合 は 市 場 取 引 で 取 得 するケースと 相 違 して 原 則 として 株 主 にみなし 配 当 課 税 と

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

Microsoft Word - 答申第143号.doc

消 費 ~ 軽 減 率 消 費 の 軽 減 率 制 度 が 消 費 率 10% 時 に 導 入 することとされています 平 成 26 年 4 月 1 日 平 成 27 年 10 月 1 日 ( 予 定 ) 消 費 率 5% 消 費 率 8% 消 費 率 10% 軽 減 率 の 導 入 平 成 26

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

Transcription:

摘 発 相 次 ぐ 大 型 談 合 カルテル 事 件 課 徴 金 減 免 制 度 の 効 果 と 課 題 鈴 木 満 * 1.はじめに 公 正 取 引 委 員 会 が2012 年 ₆ 月 に 公 表 した 資 料 によると 同 委 員 会 がカルテルや 談 合 をした 企 業 に 納 付 を 命 じた 課 徴 金 の 総 額 は 2006 年 度 が92.7 億 円 2007 年 度 が112.9 億 円 2008 年 度 が270.3 億 円 2009( 平 成 21) 年 度 が360.7 億 円 2010 年 度 が720.8 億 円 2011 年 度 が442.5 億 円 で この ₆ 年 間 の 総 額 は 約 2000 億 円 に 上 り 平 均 すると[ 年 間 333 億 円 ])になる この 金 額 は 公 正 取 引 委 員 会 の2012 年 度 当 初 予 算 額 [87.4 億 円 ]の[3.8 年 分 ]に 相 当 する 課 徴 金 は 国 庫 に 納 付 され 公 正 取 引 委 員 会 の 収 入 になるわけではないが これを 同 委 員 会 の 収 入 とみなすと 87 億 円 余 のコス トで330 億 円 余 の 収 入 を 得 ており 民 間 企 業 であれば 超 優 良 会 社 に 相 当 する 冗 談 めいた 言 い 方 を すれば 公 正 取 引 委 員 会 は 今 や 民 営 化 しても 十 分 やっていける 役 所 と 言 える このような 課 徴 金 の 高 額 化 は 最 近 における 独 占 禁 止 法 の 改 正 で 課 徴 金 減 免 制 度 が 導 入 された ことが 大 きいと 考 えられる そこで 本 稿 では 課 徴 金 減 免 制 度 を 中 心 に その 導 入 の 趣 旨 目 的 日 本 に 先 駆 けて 導 入 さ れている 米 国 EU のリーニエンシー 制 度 の 概 要 日 本 の 課 徴 金 減 免 制 度 の 特 徴 を 紹 介 するとと もに 課 徴 金 減 免 制 度 を 導 入 した 効 果 を 具 体 的 に 検 証 し 最 後 に 日 本 の 課 徴 金 減 免 制 度 に 残 さ れた 課 題 を 検 討 する 2. 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 の 趣 旨 目 的 リーニエンシー 制 度 ( 課 徴 金 減 免 制 度 )は 事 業 者 が 自 らカルテル 談 合 を 競 争 当 局 に 通 報 し た 場 合 当 該 事 業 者 に 対 し 刑 事 上 または 行 政 上 の 制 裁 を 免 除 軽 減 する 仕 組 みである カルテルや 談 合 は 密 室 の 犯 罪 といわれ 違 反 行 為 者 の 結 束 が 固 くて 沈 黙 の 掟 があると されている この 沈 黙 の 掟 を 情 報 提 供 者 に 優 遇 措 置 を 講 ずること および カルテルをす ると 発 見 されて 厳 しいペナルティを 被 るという カルテル リスク を 高 めること によって 打 破 しようとするのがリーニエンシー 制 度 導 入 の 趣 旨 目 的 である 編 集 部 注 * 桐 蔭 横 浜 大 学 法 科 大 学 院 客 員 教 授 弁 護 士 本 稿 は 2012 年 11 月 ₇ 日 に 開 催 された 第 45 回 現 代 法 セミナーの 報 告 原 稿 に 加 筆 修 正 したものである 1

それゆえ リーニエンシー 制 度 の 対 象 となる 違 反 行 為 は 事 業 者 の 共 同 行 為 であるカルテル 談 合 に 限 られており 私 的 独 占 不 公 正 な 取 引 方 法 等 は 対 象 外 とされている 3. 課 徴 金 減 免 制 度 を 導 入 する 効 果 リーニエンシー 制 度 の 導 入 により 想 定 される 効 果 を 要 約 すれば 以 下 の ₄ 点 に 整 理 できよう 第 一 は リーニエンシーの 申 請 者 を 優 遇 することによりカルテル 談 合 の 発 見 率 が 高 められる ことである 第 二 は 申 請 者 の 協 力 が 得 られるから 事 件 審 査 の 容 易 化 迅 速 化 が 図 り 得 ることである 第 三 は 事 業 者 に リーニエンシー 制 度 によって 違 反 行 為 が 露 見 するかもしれない との 疑 心 暗 鬼 を 抱 かせることによって 違 反 行 為 の 抑 止 が 期 待 できることである 第 四 は リーニエンシーを 有 効 に 活 用 するために 企 業 が 独 占 禁 止 法 のコンプライアンス 体 制 を 強 化 することが 期 待 されることである 4. 米 国 のリーニエンシー 制 度 米 国 のリーニエンシー 制 度 は 世 界 に 先 駆 けて1978 年 10 月 に 導 入 され さらに1993 年 により 有 効 に 機 能 するように 改 められた 米 国 のリーニエンシー 制 度 は 以 下 の ₅ つの 要 件 のすべてを 満 たす 事 業 者 については 刑 事 訴 追 を 免 除 するという 政 府 方 針 のことである 第 一 は 最 初 の 情 報 提 供 者 であること 第 二 は 反 トラスト 局 が 起 訴 をするのに 十 分 な 証 拠 を 有 していない 段 階 の 情 報 提 供 であるこ と 第 三 は 調 査 開 始 段 階 で 違 反 行 為 を 取 りやめていること 第 四 は 捜 査 に 全 面 的 に 協 力 すること 第 五 は 他 社 を 違 法 行 為 に 参 加 するように 強 制 し 違 法 行 為 をリードしていないこと さらに 1994 年 には 最 初 の 情 報 提 供 した 個 人 に 対 しても 刑 事 訴 追 が 免 除 することとされた このほか 米 国 には アムネスティ プラス 制 度 および ペナルティ プラス 制 度 という 制 度 が 設 けられている アムネスティ プラス 制 度 とは ₂ 番 目 以 下 に 情 報 提 供 した 事 業 者 が 別 の 関 連 市 場 で 行 わ れている 違 反 行 為 を 申 告 すれば 当 該 事 件 の 罰 金 も 減 額 される 仕 組 みである また ペナルティ プラス 制 度 とは アムネスティ プラス 制 度 が 利 用 可 能 であったのに これを 怠 った 場 合 には 当 該 事 業 者 に 対 する 罰 金 を 増 額 し 得 る 仕 組 みである 2

5.EU のリーニエンシー 制 度 の 概 要 EU のリーニエンシー 制 度 は 1996 年 に 委 員 会 告 示 という 形 で 導 入 され 2002 年 および 2006 年 に 改 訂 されている EU のリーニエンシー 制 度 は 以 下 の ₄ つの 要 件 すべてを 満 たす 事 業 者 に 対 し 制 裁 金 を 減 免 する 仕 組 みである 第 一 は 申 請 時 に 欧 州 委 員 会 が 十 分 な 証 拠 を 有 していないこと 第 二 は 調 査 開 始 までに 違 反 行 為 を 取 りやめていること 第 三 は 捜 査 に 全 面 的 に 協 力 すること 第 四 は 他 社 を 違 法 行 為 に 参 加 するように 強 制 し 違 法 行 為 をリードしていないこと そして 最 初 の 情 報 提 供 者 は 制 裁 金 が 全 額 免 除 され ₂ 番 目 以 下 の 情 報 提 供 者 は 制 裁 金 が20~ 50% 減 額 される このほか EU では 不 十 分 な 証 拠 しか 用 意 できない 時 点 でも 詳 細 な 証 拠 リストを 提 出 する ことによって リーニエンシーを 申 請 することができる マーカー 制 度 が 導 入 されている 6. 日 本 の 課 徴 金 制 度 および 課 徴 金 減 免 制 度 の 概 要 1 日 本 の 課 徴 金 制 度 ア 概 要 日 本 の 課 徴 金 制 度 は 1977 年 の 独 占 禁 止 法 改 正 で 導 入 された 当 初 の 課 徴 金 対 象 違 反 行 為 は 価 格 カルテルおよび 価 格 に 影 響 がある 数 量 カルテル 設 備 制 限 カルテルに 限 定 され 課 徴 金 算 定 の 一 定 率 も 原 則 1.5%であった その 後 1991 年 に 同 一 定 率 が[ 原 則 1.5%から ₆ %]に 引 上 げられ 2005 年 には 1 対 象 違 反 行 為 に[ 支 配 型 私 的 独 占 ]を 追 加 する 2 一 定 率 を[ 原 則 ₆ %から10%] に 引 上 げ 3 課 徴 金 の 加 算 制 度 および 減 免 制 度 を 導 入 するという 改 正 が 行 われた さらに 2009 年 には 1 排 除 型 私 的 独 占 不 公 正 な 取 引 方 法 の 一 部 を 対 象 違 反 行 為 に 追 加 する 2 課 徴 金 減 免 制 度 の 対 象 事 業 者 を 従 来 の ₃ 社 から ₅ 社 に 増 やすなどの 改 正 が 行 われた 課 徴 金 制 度 を 導 入 した 当 初 は カルテルによって 得 られた 不 当 な 利 得 が 違 反 行 為 者 の 手 元 にそ のまま 残 ると やり 得 になるので 不 当 な 利 得 を 国 庫 に 徴 収 し やり 得 をなくし 違 法 行 為 の 抑 止 力 を 強 化 するというものであったが 2005 年 の 法 改 正 により 課 徴 金 の 一 定 率 を 大 幅 に 引 き 上 げ さらに 加 算 制 度 を 導 入 したことにより 不 当 な 利 得 を 超 える 金 銭 を 徴 収 する 行 政 上 の 制 裁 という 色 彩 が 強 まった イ 課 徴 金 対 象 違 反 行 為 現 行 の 課 徴 金 対 象 違 反 行 為 は 以 下 のとおりである a 価 格 カルテル b 供 給 量 購 入 量 市 場 占 拠 率 取 引 の 相 手 方 を 実 質 的 に 制 限 する 価 格 に 影 響 するカルテル c 価 格 に 影 響 する 支 配 型 私 的 独 占 3

d 排 除 型 私 的 独 占 e 不 公 正 な 取 引 方 法 のうち 共 同 供 給 拒 絶 差 別 対 価 不 当 廉 売 再 販 売 価 格 の 拘 束 優 越 的 地 位 の 濫 用 なお 不 公 正 な 取 引 方 法 のうち 優 越 的 地 位 の 濫 用 以 外 は ₂ 回 目 の 違 反 行 為 から 適 用 される ウ 課 徴 金 算 定 の 一 定 率 カルテル 支 配 型 私 的 独 占 は 違 反 行 為 を 行 った 期 間 の 違 反 対 象 商 品 の 売 上 高 の[ 原 則 10% 小 売 業 ₃ % 卸 売 業 ₂ %]で 排 除 型 私 的 独 占 は [ 原 則 ₆ % 小 売 業 ₂ % 卸 売 業 ₁ %]であ る 不 公 正 な 取 引 方 法 のうち 共 同 供 給 拒 絶 差 別 対 価 不 当 廉 売 再 販 売 価 格 の 拘 束 は [ 原 則 ₃ % 小 売 業 ₂ % 卸 売 業 ₁ %]で 優 越 的 地 位 の 濫 用 は 取 引 高 の[ ₁ %]である なお 課 徴 金 の 最 長 計 算 期 間 は 違 反 行 為 がなくなってから 遡 って ₃ 年 間 である ただし 中 小 企 業 に 対 しては 課 徴 金 が 軽 減 される エ 課 徴 金 の 加 算 制 度 2005 年 改 正 で 課 徴 金 の 加 算 制 度 が 導 入 され 10 年 以 内 に 再 び 違 反 行 為 を 行 った 事 業 者 には 課 徴 金 を50% 加 算 カルテルを 主 導 した 事 業 者 には50% 加 算 され これら 両 方 に 該 当 する 場 合 は 課 徴 金 が ₂ 倍 になる オ 調 査 前 に 違 反 行 為 を 止 めた 場 合 の 減 額 公 正 取 引 委 員 会 が 調 査 を 開 始 する ₁ か 月 前 までに 違 反 行 為 を 中 止 している 事 業 者 に 対 しては 課 徴 金 が20% 減 額 される 2 日 本 の 課 徴 金 減 免 制 度 ア 制 度 の 概 要 日 本 の 現 行 の 課 徴 金 減 免 制 度 の 特 徴 を 整 理 すると 以 下 のとおりである 第 一 は 単 独 で 申 請 することである ただし 親 子 関 係 にある 場 合 には ₂ 社 で 共 同 申 請 するこ とができる 第 二 は 公 正 取 引 委 員 会 の 調 査 開 始 日 までに 違 反 行 為 を 止 めていることである 第 三 は 虚 偽 の 報 告 をしたり 報 告 を 拒 否 していないことである 第 四 は 他 の 事 業 者 に 違 反 行 為 を 強 要 していないことである 第 五 は 他 の 事 業 者 が 違 反 行 為 を 止 めることを 妨 害 していないことである 以 上 の ₅ 条 件 をすべて 満 たし かつ 調 査 開 始 前 に 申 請 した ₁ 番 目 の 事 業 者 に 対 しては 課 徴 金 が 全 額 免 除 され ₂ 番 目 の 事 業 者 に 対 しては 課 徴 金 が50% 減 額 され ₃ 番 目 から ₅ 番 目 の 事 業 者 に 対 しては 同 30% 減 額 される また 調 査 開 始 後 の 申 請 者 に 対 しては 最 大 ₃ 社 まで 課 徴 金 が30% 減 額 される ただし この 場 合 報 告 する 内 容 は 公 正 取 引 委 員 会 が 立 入 検 査 等 によって 把 握 されている 事 実 以 外 のもので なければならない 4

イ 申 請 の 方 法 減 免 制 度 の 申 請 はファクシミリに 限 定 されている ファクシミリであれば 地 方 の 事 業 者 でも 利 用 が 可 能 であること および 記 録 性 があるため 順 位 の 確 定 の 透 明 性 が 確 保 できることによる なお 申 請 は 匿 名 でも 構 わない ウ 申 請 後 の 調 査 協 力 事 業 者 は 申 請 した 後 公 正 取 引 委 員 会 から ₂ 回 に 亘 り 報 告 書 証 拠 資 料 等 の 提 出 が 求 められ る 報 告 書 の 主 な 記 載 事 項 は 1 違 反 行 為 に 関 わった 者 の 役 職 名 氏 名 2 違 反 行 為 に 関 わった 他 の 事 業 者 名 役 員 名 氏 名 3カルテルの 対 象 となった 商 品 名 4 他 の 事 業 者 との 接 触 状 況 であ る 3 日 本 の 課 徴 金 制 度 同 減 免 制 度 の 特 徴 (まとめ) 日 本 の 課 徴 金 制 度 課 徴 金 減 免 制 度 の 特 徴 を 整 理 すると 以 下 のとおりである ア 米 国 タイプと EU タイプの 折 衷 方 式 であること 主 要 国 の 競 争 当 局 がカルテル 入 札 談 合 を 抑 止 する 方 法 として 採 用 されているのは 大 きく 次 の ₂ タイプである 第 一 は 違 法 行 為 を 行 った 個 人 や 法 人 に 対 し 刑 事 罰 を 科 すことによってカルテル 入 札 談 合 を 抑 止 しようとする 方 法 であり 米 国 などで 採 用 されている 第 二 は 違 法 行 為 をした 事 業 者 に 対 し 刑 事 罰 ではなく 行 政 上 の 措 置 ( 排 除 措 置 命 令 と 制 裁 金 )を 課 すことによってカルテル 入 札 談 合 を 抑 止 しようとする 方 法 であり EU などで 採 用 さ れている 日 本 は 違 反 行 為 の 排 除 措 置 として 排 除 措 置 命 令 課 徴 金 納 付 命 令 のほか 悪 質 重 大 な 事 案 については 刑 事 罰 も 用 意 されており 米 国 タイプと EU タイプとの 折 衷 タイプといえよう イ 算 定 に 当 たって 公 正 取 引 委 員 会 の 裁 量 が 一 切 認 められていないこと EU や EU 加 盟 主 要 国 韓 国 などでは 法 律 や 規 則 で 課 徴 金 の 算 定 率 の 最 高 額 が 定 められている が 競 争 当 局 が 事 案 の 内 容 を 勘 案 して 裁 量 により 減 額 することが 認 められている しかし 日 本 では 課 徴 金 算 定 に 当 たって 公 正 取 引 委 員 会 の 裁 量 が 一 切 認 められていない これが 日 本 の 課 徴 金 制 度 課 徴 金 減 免 制 度 最 大 の 特 徴 といえる 課 徴 金 の 算 定 に 当 たって 公 正 取 引 委 員 会 の 裁 量 を 認 めない 理 由 は 定 かではないが 1977 年 に 独 占 禁 止 法 を 改 正 時 に 課 徴 金 算 定 に 公 正 取 引 委 員 会 の 裁 量 を 認 めると 事 務 量 が 増 大 して 事 件 処 理 に 支 障 があるというような 議 論 があった ウ 課 徴 金 減 免 の 対 象 事 業 者 数 が 法 律 で 5 社 に 制 限 されていること EU や EU 加 盟 主 要 国 では 課 徴 金 減 免 の 対 象 事 業 者 数 が 限 定 されていない また 韓 国 では 調 査 開 始 前 後 を 問 わず 最 初 と ₂ 番 目 に 申 請 してきた ₂ 社 に 対 して 課 徴 金 を 免 除 又 は50% 減 額 する 仕 組 みのほかに 公 正 取 引 委 員 会 の 調 査 への 協 力 度 によって 最 大 30% 減 額 をする 仕 組 みも 用 意 し ており 実 質 的 に 課 徴 金 減 免 対 象 事 業 者 数 は 限 定 されていない 5

これに 対 して 日 本 では 課 徴 金 減 免 対 象 事 業 者 数 が2009 年 改 正 前 は ₃ 社 に それ 以 降 は ₅ 社 に 限 定 されている ₅ 社 にした 理 由 は 限 定 した 方 がリーニエンシーを 申 請 しようとするインセン ティブが 働 くが あまり 対 象 企 業 数 を 限 定 し 過 ぎるとインセンティブが 弱 まるおそれがあること 等 が 考 慮 されたものと 推 測 される 7. 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 効 果 の 検 証 冒 頭 で 紹 介 したように 課 徴 金 減 免 制 度 の 想 定 される 効 果 は 1カルテル 談 合 の 発 見 率 が 高 められること 2 競 争 当 局 にとって 事 件 審 査 の 容 易 化 迅 速 化 が 図 り 得 ること 3 違 反 行 為 の 抑 止 効 果 が 期 待 できること 4 独 占 禁 止 法 のコンプライアンスを 普 及 させる 効 果 が 期 待 できること の ₄ 点 であった 以 下 では 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 により これら ₄ つの 効 果 があったかどうかを 具 体 的 に 検 証 す ることとする 1 第 1 カルテル 談 合 の 発 見 率 は 高 まったか? 表 ₁ は 公 正 取 引 委 員 会 が 発 表 している 課 徴 金 減 免 の 申 請 件 数 の 推 移 である これによれば 2006 年 ₁ 月 に 課 徴 金 減 免 制 度 が 導 入 されて 以 来 のべ623 件 ( 年 平 均 90 件 )の 課 徴 金 減 免 の 申 請 があり 申 請 件 数 は 年 々 増 加 傾 向 にあるとのことである また 同 じ 公 正 取 引 委 員 会 の 公 表 資 料 によれば 同 委 員 会 が 2006 年 度 以 降 カルテル 談 合 に 関 して 法 的 措 置 を 採 った 事 件 数 は89 件 で このうち67 件 が 減 免 制 度 適 用 事 件 であったとされている すなわち カル テル 談 合 事 件 ₄ 件 のうち ₃ 件 は 課 徴 金 減 免 制 度 の 適 用 があったということであり かなり 高 い 割 合 といえる また 2006 年 度 以 降 の 課 徴 金 総 額 は いずれの 年 も 公 正 取 引 委 員 会 の 年 間 予 算 で ある87.4 億 円 を 上 回 っており 大 型 事 件 の 摘 発 が 相 次 いでいることを 示 している 次 に どのような 事 業 者 が 減 免 制 度 の 適 用 を 受 けたかをみてみたい 公 正 取 引 委 員 会 のホームページには 減 免 制 度 が 適 用 された 事 件 名 と 当 該 事 業 者 が 同 意 した 場 合 には 事 業 者 名 が それぞれ 公 表 される 課 徴 金 減 免 の 適 用 を 受 けた 事 業 者 は 世 間 に 独 占 禁 止 法 のコンプライアンスに 努 力 している 企 業 だ と PR できるし また 官 公 庁 の 指 名 停 止 期 間 が 短 縮 されるというメリットがあるので 公 表 を 希 望 する 事 業 者 が 多 いと 聞 いている 公 正 取 引 委 員 会 のホームページで 公 表 されている 課 徴 金 減 免 制 度 が 適 用 された 事 件 および 事 業 者 は のべ[67 事 件 161 事 業 者 ]に 上 っている このうち 課 徴 金 を 全 額 免 除 されたのは[37 事 件 37 事 業 者 ] 50% 減 額 されたのが[ ₉ 事 件 ₉ 事 業 者 ] 30% 減 額 されたのが[103 事 業 者 ]で 表 1 課 徴 金 減 免 申 請 件 数 の 推 移 年 度 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 合 計 申 請 件 数 26 79 74 85 85 131 143 623 資 料 出 所 : 公 正 取 引 委 員 会 平 成 23 年 度 における 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 処 理 状 況 について ₄ 頁 6

ある このほか 課 徴 金 額 が100 万 円 未 満 であったなどが[12 事 業 者 ]となっている 最 初 にリーニエンシーを 申 請 した 事 業 者 は 当 該 事 業 者 が 申 請 しなかったならば 違 反 行 為 が 発 見 できなかったかもしれない という 意 味 で 貴 重 な 存 在 といえる そこで 課 徴 金 の 全 額 免 除 を 受 けた[37 事 件 37 事 業 者 ]を 子 細 にみてみると 以 下 のとおり 特 定 の 事 業 者 が 複 数 事 件 についてリーニエンシーを 申 請 していることが 分 かる トンネル 換 気 設 備 工 事 談 合 事 件 および 水 門 設 備 工 事 談 合 事 件 の ₃ 件 の 計 ₄ 件 ( 三 菱 重 工 業 ) ガス 用 ポリエチレン 管 同 継 手 製 造 業 者 カルテル 事 件 の ₂ 件 ( 富 士 化 工 ) ガス 用 フレキシブル 管 製 造 業 者 カルテル 事 件 の ₂ 件 ( 日 立 金 属 ) エックス 線 装 置 関 連 カルテル 事 件 の ₄ 件 ( 日 立 メディコ) 鉄 鋼 製 品 に 係 るカルテル 事 件 の ₂ 件 ( 住 友 金 属 工 業 ) 鋼 板 製 造 業 者 カルテル 事 件 の ₃ 件 (JFE 鋼 板 ) 電 線 ケーブルのカルテル 事 件 の ₂ 件 ( 昭 和 電 線 ケーブル) 自 動 車 メーカー 発 注 ワイヤーハーネス 等 談 合 事 件 の ₄ 件 ( 古 河 電 気 工 業 ) 以 上 のとおり 課 徴 金 が 全 額 免 除 された37 事 件 のうち ₆ 割 強 を 占 める23 事 件 が 三 菱 重 工 業 ら ₈ 社 からの 情 報 提 供 により 発 覚 した 事 件 ということになる 特 定 の 事 業 者 の 情 報 提 供 が 複 数 事 件 の 摘 発 に 繋 がったことになる 以 上 から 課 徴 金 減 免 制 度 の 導 入 によって カルテル 談 合 事 件 の 発 見 率 が 高 まっており と りわけ 大 型 のカルテル 談 合 事 件 の 摘 発 にも 役 立 っているといえる 2 第 2 事 件 審 査 を 容 易 化 迅 速 化 することはできたか? 結 論 を 先 に 言 えば この 答 えは 残 念 ながら NO である まず 公 正 取 引 委 員 会 が 公 表 している 平 均 事 件 処 理 期 間 をみてみると 2005 年 度 の 平 均 処 理 期 間 は 約 ₈ ヶ 月 であったが 2011 年 度 にはそれが 約 ₂ 倍 の 約 15ヶ 月 に 延 びており 処 理 期 間 の 長 期 化 が 目 立 っているのである 表 ₂ は 公 正 取 引 委 員 会 の 事 件 処 理 件 数 および 定 員 の 推 移 である 表 2 公 正 取 引 委 員 会 の 事 件 処 理 件 数 および 定 員 の 推 移 期 間 ( 年 度 ) 処 理 件 数 ( 件 ) 定 員 ( 人 ) 1 人 当 たり 処 理 件 数 ( 件 ) 指 数 1992~1996 141 507 0.278 100 1997~2001 141 558 0.253 91 2002~2006 129 673 0.192 69 2007~2011 101 785 0.128 46 資 料 出 所 : 事 件 数 は 年 次 報 告 定 員 は2011 年 ₇ 月 20 日 の 事 務 総 長 定 例 会 見 の 配 付 資 料 数 字 で 見 る 公 取 委 の 歴 史 による 上 表 から 明 らかなように 公 正 取 引 委 員 会 の 職 員 ₁ 人 あたり 事 件 処 理 件 数 は 年 々 低 下 する 傾 向 7

があり とりわけ 最 近 ₅ 年 間 の 減 少 幅 が 目 立 っているのである 以 上 から 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 によって 事 件 審 査 の 容 易 化 迅 速 化 の 効 果 は 見 られないとい う 結 論 になる 3 第 3 カルテル 談 合 の 抑 止 効 果 はあったか? 以 下 では ₂ つの 事 例 を 紹 介 することで カルテル 談 合 の 抑 止 効 果 はあったかどうかを 探 り たいと 思 う < 事 例 1 > スーパーゼネコンの 談 合 離 脱 宣 言 2005 年 12 月 末 鹿 島 建 設 大 林 組 大 成 建 設 清 水 建 設 のスーパーゼネコンといわれる ₄ 社 の 社 長 が 話 し 合 って 談 合 離 脱 宣 言 をした( 全 国 紙 にスクープ 記 事 として 掲 載 された ) このス ーパーゼネコンの 行 動 は 日 本 国 中 を 驚 かせた それまで 建 設 業 界 において 談 合 が 行 われてい るだろうことは 国 民 のほとんどが 認 識 していたが その 確 証 はなかった しかし この 宣 言 でそれまで 談 合 があったことが 明 るみになった この 宣 言 後 建 設 業 界 の 談 合 が 大 幅 に 減 っていることは 確 かである( 鈴 木 満 著 談 合 を 防 止 する 自 治 体 の 入 札 改 革 ( 学 陽 書 房 2008 年 )160 頁 以 下 ) それでは スーパーゼネコンの 社 長 らが なにゆえこのような 行 動 にでたのであろうか そ れは 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 によってカルテル 談 合 の 発 見 率 が 高 まり カルテルや 談 合 をする と 厳 しいペナルティを 被 るという カルテル リスク が 増 大 することを 見 越 してのことだと 思 われる すなはち スーパーゼネコンの 談 合 離 脱 宣 言 は 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 効 果 の 表 れであると 考 えられる < 事 例 2 > 競 合 タイヤメーカー 社 長 の 同 席 拒 否 事 件 これは 筆 者 が 直 接 目 にした 課 徴 金 減 免 制 度 の 導 入 により 競 争 業 者 間 の 協 調 行 動 が 撹 乱 さ れた 事 例 である この 事 件 には 次 のような 背 景 事 情 が 存 在 していた 日 本 の 代 表 的 なタイヤメーカーである Y 社 は マリンホースについてカルテルをやってい た と 公 正 取 引 委 員 会 にリーニエンシーを 申 請 し 課 徴 金 が 免 除 されていた 同 社 は 海 外 で もカルテルをやっていたと 米 国 EU の 競 争 当 局 にリーニエンシーを 申 請 し 刑 事 罰 や 制 裁 金 を 免 れていた これに 対 しタイヤのトップメーカーの B 社 は Y 社 からかなり 遅 れて 公 正 取 引 委 員 会 にリーニエンシーを 申 請 した その 結 果 多 額 の 課 徴 金 や 制 裁 金 を 支 払 い 社 員 が 刑 事 罰 も 受 けていた このような 背 景 事 情 の 下 で タイヤ 業 界 のパーティが 開 催 され 筆 者 も 出 席 していた Y 社 の 社 長 がそのパーティ 会 場 に 現 れたとたん B 社 の 社 長 が 足 早 にパーティ 会 場 から 退 席 するのを 目 撃 した そこで 筆 者 は 次 のようなことを 考 えた 8

B 社 の 社 長 は 沈 黙 の 掟 を 破 った Y 社 に 対 し 心 証 を 害 しており Y 社 の 社 長 との 同 席 を 嫌 ったのであろう この 様 子 をみると 課 徴 金 減 免 制 度 が 撹 乱 要 因 になり タイヤ 業 界 では 当 分 の 間 カルテル 談 合 が 行 われることはないだろう 以 上 ₂ つの 事 例 から 減 免 制 度 導 入 によるカルテル 談 合 の 抑 止 効 果 はかなりあったと 考 え る 4 第 4 独 占 禁 止 法 コンプライアンスの 普 及 が 期 待 できるか? 最 近 摘 発 された ₅ 件 の 大 型 カルテル 談 合 事 件 における 事 業 者 のビヘイビアを 通 して 課 徴 金 減 免 制 度 導 入 によって 独 占 禁 止 法 コンプライアンスの 普 及 が 期 待 できるかどうかを 検 証 してみ たい < 事 例 1 > 光 ファイバーケーブル 談 合 事 件 (2010 年 5 月 21 日 命 令 ) この 事 件 は NTT 向 けの 光 ファイバーケーブル 製 品 についての 談 合 であり 住 友 電 気 工 業 に 対 して67 億 6272 万 円 古 河 電 気 工 業 に 対 して46 億 0602 万 円 フジクラに 対 して44 億 1164 万 円 のべ14 社 に 対 し 総 額 160 億 9943 万 円 の 課 徴 金 が 課 された 古 河 電 気 工 業 は 調 査 開 始 後 に 減 額 申 請 して 課 徴 金 の30% 減 額 措 置 を 受 けている 仮 に 減 額 を 受 けなかったら 同 社 はおおよそ20 億 円 余 計 に 課 徴 金 を 取 られていたことになる この 古 河 電 気 工 業 の 対 応 を 知 った 住 友 電 気 工 業 の 株 主 は 2010 年 12 月 ₁ 日 大 阪 地 裁 に 対 し 同 社 の 役 員 を 相 手 に 総 額 67 億 円 余 の 損 害 を 賠 償 するように 求 めるいわゆる 株 主 代 表 訴 訟 を 提 起 した この 訴 訟 提 起 は 会 社 役 員 の 独 占 禁 止 法 コンプライアンスを 強 める 効 果 があると 思 われる < 事 例 2 > 溶 融 亜 鉛 メッキカルテル 事 件 (2009 年 8 月 27 日 命 令 ) この 事 件 では 日 鉄 住 金 鋼 板 に 対 して63 億 4067 万 円 日 新 製 鋼 に 対 して54 億 9075 万 円 淀 川 製 鋼 所 に 対 して36 億 7567 万 円 のべ ₉ 社 に 対 し 総 額 155 億 0718 万 円 の 課 徴 金 が 課 せられた 日 鉄 住 金 鋼 板 は 社 内 調 査 の 結 果 からカルテルの 存 在 を 知 り カルテルからの 脱 退 を 他 社 に 通 告 したが 自 らはリーニエンシーを 申 請 しなかった これに 対 し 日 鉄 住 金 鋼 板 からカルテル からの 離 脱 の 通 告 を 聞 いた JFE 鋼 板 は 直 ちに 公 正 取 引 委 員 会 にリーニエンシーを 申 請 し 最 初 の 申 請 者 として 課 徴 金 が 全 額 免 除 された 公 正 取 引 委 員 会 は この 申 請 を 基 に 調 査 を 開 始 し た 慌 てた 日 鉄 住 金 鋼 板 は 公 正 取 引 委 員 会 の 調 査 開 始 後 にリーニエンシーを 申 請 し 課 徴 金 の30% 減 額 措 置 を 受 けた 仮 に 日 鉄 住 金 鋼 板 が 他 社 にカルテルからの 離 脱 を 通 告 する 前 に リーニエンシーを 先 制 していれば 課 徴 金 の 全 額 免 除 措 置 を 受 けていたはずである 同 社 がな にゆえ 他 社 に 通 告 する 前 にリーニエンシーを 申 請 しなかったかが 理 解 できない この 事 例 は 多 くの 企 業 にリーニエンシー 申 請 に 際 しどのように 行 動 したらよいかを 教 えて くれている 9

< 事 例 3 > 特 定 エアセパレートガスカルテル 事 件 (2011 年 5 月 26 日 命 令 ) この 事 件 では 太 陽 日 酸 に 対 して51 億 4456 万 円 日 本 エアリキッドに 対 して48 億 2216 万 円 エア ウォーターに 対 して36 億 3911 万 円 岩 谷 産 業 に 対 して ₄ 億 9902 万 円 計 ₄ 社 に 対 し 総 額 141 億 0485 万 円 の 課 徴 金 が 課 せられた この 場 合 太 陽 日 酸 および 岩 谷 産 業 は 調 査 開 始 後 に 申 請 して 課 徴 金 を30% 減 額 されたが 仮 に 日 本 エアリキッドが 立 入 検 査 後 にリーニエンシーを 申 請 していれば 課 徴 金 を14.5 億 円 減 らせたはずである この 事 例 は 速 やかに 申 請 できるよう 独 占 禁 止 法 のコンプライアンス 整 備 する 必 要 性 を 教 えてくれている < 事 例 4 > 自 動 車 向 けワイヤーハーネス 受 注 調 整 事 件 (2012 年 1 月 19 日 命 令 ) この 事 件 では 矢 崎 総 業 に 対 して96 億 0713 万 円 住 友 電 気 工 業 に 対 して21 億 0222 万 円 フジ クラに 対 して11 億 8232 万 円 など のべ ₇ 社 に 対 し 総 額 128 億 9167 万 円 の 課 徴 金 が 課 せられた 古 河 電 気 工 業 は 立 入 検 査 前 に 最 初 にリーニエンシーを 申 請 し 徴 金 が 全 額 免 除 された ま た 住 友 電 気 工 業 は ₂ 番 目 に 申 請 し 50% 減 額 措 置 を 矢 崎 総 業 は 調 査 開 始 後 に 申 請 し 30% 減 額 措 置 を 受 けた 古 河 電 気 工 業 は 米 国 反 トラスト 法 違 反 に 問 われたのを 契 機 に 公 正 取 引 委 員 会 に 減 免 措 置 を 最 初 に 申 請 したが 同 じ 状 況 にあった 住 友 電 気 工 業 は 申 請 が 遅 れたため 最 初 の 申 請 者 にはな れなかった この 事 例 は リーニエンシーの 申 請 には 素 早 い 行 動 が 求 められることを 教 えてくれている < 事 例 5 > 塩 化 ビニル 管 同 継 手 カルテル 事 件 (2009 年 2 月 18 日 命 令 ) この 事 件 では 積 水 化 学 に 対 して79 億 6532 万 円 三 菱 樹 脂 に 対 して37 億 2137 万 円 計 ₂ 社 に 対 し 総 額 116 億 8669 万 円 の 課 徴 金 が 課 せられている なお クボタシーアイ 積 水 化 学 三 菱 樹 脂 の ₃ 社 は 別 の ₂ 件 で 排 除 措 置 命 令 を 受 けていた クボタシーアイは この 経 験 を 活 かし 最 初 にリーニエンシーを 申 請 し 課 徴 金 の 全 額 免 除 を 受 けている しかし 積 水 化 学 および 三 菱 樹 脂 の ₂ 社 は クボタシーアイと 同 様 の 事 情 にありながら リーニエンシーを 申 請 しなかっ た この 事 例 は 弁 護 士 や 役 職 員 の 独 占 禁 止 法 のコンプライアンス 意 識 を 高 める 重 要 性 を 教 えて くれている 8. 日 本 の 課 徴 金 減 免 制 度 の 課 題 最 後 に 日 本 の 課 徴 金 減 免 制 度 の 課 題 を 検 討 することとする 第 一 の 課 題 は 徴 金 の 算 定 に 当 たって 公 正 取 引 委 員 会 の 裁 量 を 一 切 認 めないという 硬 直 性 をこ のままにしてよいかということである 前 記 のとおり 課 徴 金 の 算 定 に 当 たって 裁 量 を 認 めると 公 正 取 引 委 員 会 の 事 件 処 理 に 支 障 があるという 理 由 で 非 裁 量 性 が 採 用 されたものと 解 されるが 10

硬 直 性 が 事 業 者 の 抵 抗 を 強 め 逆 に 事 件 処 理 を 遅 らせている 面 もあるように 思 われる 第 二 の 課 題 は 親 子 関 係 にある 事 業 者 を 一 体 とみて 課 徴 金 を 算 定 すべきではないかということ である 現 行 法 では 原 則 として 違 反 行 為 の 対 象 になった 商 品 等 の 売 上 高 に 課 徴 金 が 課 せられ るが これを 会 社 全 体 の 売 上 高 に 課 徴 金 を 賦 課 できるようにすれば さらに 抑 止 力 が 強 めること ができると 考 えられる 第 三 の 課 題 は 事 業 者 の 売 上 高 全 体 を 課 徴 金 賦 課 の 対 象 にすべきではないかということであ る 国 際 カルテルの 場 合 違 法 行 為 に 関 与 するのは 海 外 に 所 在 する 本 社 であり 日 本 の 子 会 社 はそ の 指 示 に 従 って 行 動 していることが 多 いと 思 われる この 場 合 日 本 の 子 会 社 の 売 上 高 を 親 会 社 の 日 本 における 売 上 高 とみなして 海 外 の 親 会 社 の 売 上 高 全 体 に 課 徴 金 を 課 することができるよ うになれば さらに 抑 止 力 を 強 めることができる 第 四 の 課 題 は 公 正 取 引 委 員 会 の 事 件 処 理 能 力 の 低 下 をどう 克 服 するかということである 事 件 処 理 の 効 率 化 迅 速 化 を 図 るためには 1 申 請 企 業 から より 精 緻 な 内 容 の 報 告 書 の 提 出 を 求 めて 情 報 の 精 度 を 高 める 必 要 があり 2 申 請 事 業 者 に 対 し 公 正 取 引 委 員 会 の 審 査 に 全 面 的 に 協 力 する 義 務 を 課 す 必 要 があり さらに 3 公 正 取 引 委 員 会 の 職 員 に 対 する 研 修 を 強 化 拡 充 して 処 理 能 力 を 高 める 必 要 がある 11