Microsoft Word - 計画学11秋



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T T VWAPギャランティ 取 引 とは T T VWAPギャランティ 取 引 とは これまでの 成 行 や 指 値 とは 異 なる 東 海 東 京 証 券 が 提 供 する 新 しい 形 の 売 買 方 法 です その 方 法 とは 1 金 融 商 品 取 引 所 ( 以 下 取 引 所 )に

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都 市 部 観 光 地 域 における 観 光 入 込 客 数 推 計 の 実 証 的 考 察 吉 田 樹 1 1 正 会 員 首 都 大 学 東 京 助 教 大 学 院 都 市 環 境 科 学 研 究 科 ( 192-0397 東 京 都 八 王 子 市 南 大 沢 1-1) E-mail: itsuki-y@mue.biglobe.ne.jp 地 域 における 観 光 政 策 を 計 画 的 かつ 戦 略 的 に 推 進 するためには, 個 々の 観 光 地 域 における 観 光 入 込 客 数 の 推 計 技 術 の 向 上 が 重 要 である. 本 稿 では, 都 市 部 における 観 光 地 域 の 事 例 として, 東 京 都 台 東 区 上 野 浅 草 地 域 を 対 象 に, 来 訪 者 に 対 する 着 地 側 アンケート 調 査 ( 来 訪 者 アンケート 調 査 )を 実 施 した.そのう えで, 以 下 の 点 を 明 らかにすることを 目 的 とした. 第 一 に, 従 来 の 観 光 統 計 で 用 いられてきた, 来 訪 者 の 主 観 的 な 観 光 意 図 ( 来 訪 者 が 自 身 の 活 動 目 的 を 観 光 と 捉 えていること)の 有 無 による 観 光 客 の 判 別 が 都 市 部 観 光 地 域 において 適 当 であるかを 考 察 し, 非 日 常 的 な まち への 来 訪 が 観 光 現 象 の 一 形 態 として 捉 え ることが 可 能 であるかを 考 察 した. 第 二 に, 都 市 部 観 光 地 域 における 観 光 総 入 込 客 数 を 推 計 する 手 法 を 提 案 し, 上 野 浅 草 各 地 域 を 対 象 に 推 計 を 試 みることで, 手 法 の 適 用 性 や 課 題 を 示 した. Key Words : tourist behavior, tourism planning 1. はじめに 観 光 立 国 政 策 を 計 画 的 かつ 戦 略 的 に 推 進 するためには, 観 光 者 の 現 状 やニーズを 捉 える 観 光 統 計 の 充 実 が 欠 かせ ない.わが 国 の 観 光 立 国 推 進 基 本 計 画 (2007 年 6 月 閣 議 決 定 )では, 観 光 立 国 の 実 現 に 関 し, 政 府 が 総 合 的 か つ 計 画 的 に 講 ずべき 施 策 として, 旅 行 観 光 消 費 動 向 調 査 や 宿 泊 旅 行 統 計 調 査 の 充 実 といった 観 光 統 計 の 整 備 が 位 置 づけられている 1).こうした 施 策 は, 都 道 府 県 間 や 国 地 域 間 の 観 光 の 現 状 を 比 較 することが 目 的 の 一 つであるが,その 土 台 となる 個 々の 地 域 にお ける 観 光 入 込 客 数 の 推 計 技 術 の 向 上 が 重 要 である. 有 料 の 観 光 施 設 が 存 在 する,あるいは 観 光 客 のゲートウェイ が 明 確 である 場 合 など,いわば 関 所 のある 観 光 地 域 では, 観 光 入 込 客 数 の 推 計 が 比 較 的 容 易 である.しかし, こうした 関 所 のない 観 光 地 域 では, 観 光 入 込 客 数 の 推 計 は 難 しく, 特 に 本 研 究 の 対 象 とする 大 都 市 観 光 地 域 では, 観 光 目 的 の 活 動 をどう 捉 えるかも 課 題 となる. 岡 本 (2001) 2) は, 都 市 における 観 光 地 ( 都 市 観 光 地 )について, 純 然 とした 観 光 目 的 以 外 に 様 々な 目 的 で 人 々が 集 まる 場 所 として 位 置 づけており, 都 市 の 魅 力 として,スポーツ 見 学, 芸 術 演 劇 の 鑑 賞, 先 進 的 な 建 築 物 や 商 業 施 設 都 市 再 開 発 などの 視 察, 買 物 な どを 挙 げている.このように, 都 市 においては, ま ち の 魅 力 が 来 訪 者 を 惹 きつける 重 要 な 資 源 であり, 同 様 に 都 市 における 観 光 政 策 では,こうした 非 日 常 的 な まち への 来 訪 にも 着 目 した 取 り 組 みが 重 要 になる. しかし,これらの 活 動 は, 従 来 からの 純 然 たる 観 光 の 対 象 ではないため, 観 光 計 画 の 場 面 でもあまり 考 慮 さ れることはなく,どの 実 態 も 明 確 にされていない. そこで, 本 稿 では, 都 市 部 における 観 光 地 域 の 事 例 と して, 東 京 都 台 東 区 上 野 浅 草 地 域 を 対 象 に, 来 訪 者 に 対 する 着 地 側 アンケート 調 査 ( 来 訪 者 アンケート 調 査 ) を 実 施 した.そのうえで, 以 下 の 点 を 明 らかにすること を 目 的 とする. 第 一 に, 従 来 の 観 光 統 計 で 用 いられてきた, 来 訪 者 の 主 観 的 な 観 光 意 図 ( 来 訪 者 が 自 身 の 活 動 目 的 を 観 光 と 捉 えていること)の 有 無 による 観 光 客 の 判 別 が 都 市 部 観 光 地 域 において 適 当 であるかを 考 察 し, 非 日 常 的 な ま ち への 来 訪 が 観 光 現 象 の 一 形 態 として 捉 えることが 可 能 であるかを 考 察 する. 第 二 に, 都 市 部 観 光 地 域 における 観 光 総 入 込 客 数 を 推 計 する 手 法 を 提 案 し, 上 野 浅 草 各 地 域 を 対 象 に 推 計 を 試 みることで, 手 法 の 適 用 性 や 課 題 を 示 す. 2. 都 市 部 における 観 光 現 象 (1) 来 訪 者 アンケートの 実 施 概 要 来 訪 者 アンケート 調 査 は, 上 野 浅 草 各 地 域 に 設 定 し た 調 査 地 点 で 来 訪 者 に 調 査 票 を 配 布, 後 日 郵 送 回 収 する 1

形 式 で 実 施 した. 詳 細 は, 表 -1に 示 したとおりである. 本 調 査 では, 来 訪 者 の 居 住 地 や 上 野 浅 草 各 地 域 に 到 着 時 の 利 用 交 通 手 段, 来 訪 回 数, 滞 在 時 間 などを 質 問 した. また, 上 野 浅 草 各 地 域 で 回 答 者 自 身 が 実 際 に 行 った 活 動 に 関 して, 表 -2に 示 した 目 的 ごとに 活 動 の 実 施 有 無 を 質 問 した.なお, 調 査 日 は,いずれも 大 型 イベントが 実 施 されていない 時 期 であり, 平 常 時 の 活 動 実 態 を 反 映 し たものであると 考 えられる. 表 -1 来 訪 者 アンケート 実 施 概 要 調 査 方 法 配 布 場 所 配 布 月 日 配 布 時 間 帯 回 数 部 数 調 査 員 が 趣 旨 を 説 明 の 上 来 街 者 に 調 査 票 を 手 渡 し, 後 日 郵 送 回 収 するアンケート 形 式 で 実 施. 上 野 JR 上 野 駅 周 辺 3 箇 所 ( 上 野 公 園 2 箇 所,アメ 横 1 箇 所 ) 浅 草 浅 草 寺 周 辺 2 箇 所 ( 伝 法 院 通 り, 宝 蔵 門 付 近 各 1 箇 所 ) 上 野 浅 草 2010 年 10 月 6 日 ( 木 )7 日 ( 金 ) 2010 年 10 月 4 日 ( 火 )5 日 ( 木 ) 10 日 ( 日 ) 各 日 とも 午 前 10 時 ~ 午 後 6 時 上 野 377 票 ( 回 収 率 31.4%) 浅 草 320 票 ( 回 収 率 21.3%) 表 -2 来 訪 者 アンケート 調 査 で 把 握 した 活 動 目 的 1 職 場 への 出 勤 学 校 への 通 学 2 職 場 外 の 業 務 商 用 出 張 3 食 事 喫 茶 4 買 物 5 芸 術 鑑 賞 上 野 のみ 6 動 物 園 見 学 上 野 のみ 7 寺 社 参 拝 浅 草 のみ 8 大 衆 演 劇 落 語 の 鑑 賞 浅 草 のみ 9 花 やしき 来 園 浅 草 のみ 10 散 歩 散 策 11 その 他 私 用 ( 通 院 塾 習 い 事 ) (2) 主 観 的 観 光 意 図 の 形 成 要 因 従 来 の 観 光 調 査 では, 来 訪 者 の 主 観 的 な 観 光 意 図 ( 来 訪 者 が 自 身 の 活 動 目 的 を 観 光 と 捉 えていること)の 有 無 を 根 拠 に, 地 域 の 総 入 込 数 に 占 める 観 光 客 割 合 を 求 めて いるケースが 多 い( 例 えば, 東 京 都 における 観 光 客 数 推 計 ).しかし, 都 市 部 観 光 地 域 では, 純 然 たる 観 光 ではない, 非 日 常 的 な 活 動 が 行 われていると 考 えられる. そこで, 本 稿 では, 上 野 浅 草 各 地 域 で 実 施 した 来 訪 者 アンケート 結 果 をもとに, 主 観 的 な 観 光 意 図 を 形 成 す る 要 因 を 明 らかにすることを 目 的 として, 数 量 化 Ⅱ 類 分 析 を 行 った( 表 -3).その 結 果, 相 関 比 が 0.29( 的 中 率 76.3%)となり, 一 定 程 度 信 頼 度 の 高 いモデルが 構 築 さ れた. 飲 食 や 買 物 の 活 動 特 性, 宿 泊 の 有 無, 居 住 エリア や 来 訪 回 数 といった 変 数 が 影 響 することが 明 らかになっ た 一 方 で, 最 も 偏 相 関 が 高 い 変 数 として, 地 域 を 示 す 変 数 が 選 択 された. 浅 草 地 域 の 来 訪 者 は 主 観 的 観 光 意 識 を 持 ちやすい 傾 向 にあるという 分 析 結 果 であるが, 対 象 と する 地 域 によって 主 観 的 な 観 光 意 識 の 形 成 しやすさが 異 なることが 示 された. また, 食 事 や 買 物 の 活 動 特 性 に 関 しては, 上 野 浅 草 各 地 域 において 飲 食 ( 食 事 喫 茶 ) や 買 物 を 行 ったと 回 答 者 に 対 して,さらに, 自 身 が 行 きたかった 店 で 買 いたかった( 食 べたかった) 商 品 を 購 入 し たかを 質 問 している. 以 下 の 数 量 化 Ⅱ 類 分 析 では, 両 者 を 満 たした 飲 食 と 買 物 に 関 する 活 動 を 意 図 あ る 消 費 行 動 として 定 義 しているが,こうした 意 図 あ る 消 費 行 動 を 行 う 来 訪 者 ほど, 主 観 的 な 観 光 意 図 を 抱 きやすいことが 示 された. 加 えて, 意 図 ある 消 費 行 動 を 行 う 来 訪 者 は, 買 物 や 飲 食 に 係 る 消 費 金 額 が 大 き いことが 示 されている (1) ことから, 都 市 部 における 観 光 客 数 の 推 計 においては, 意 図 ある 消 費 行 動 を 含 め, 来 訪 者 の 活 動 目 的 に 着 眼 した 手 法 が 求 められる. (2) 表 -3 主 観 的 な 観 光 意 図 の 形 成 要 因 項 目 名 カテゴリー 名 カテコ リ-スコア n レンジ 偏 相 関 飲 食 した( 意 図 ある 行 動 ) 0.0719 187 0.1445 0.0443 した(それ 以 外 ) -0.0187 231 6 6 しない -0.0726 126 買 物 した( 意 図 ある 行 動 ) 0.2008 168 0.4329 0.2625 した(それ 以 外 ) 0.1200 152 5 4 しない -0.2321 224 宿 泊 宿 泊 を 伴 う 行 程 0.5093 87 0.6063 0.3397 宿 泊 を 伴 わない 行 程 -0.0970 457 4 3 来 訪 回 数 初 回 0.1622 152 0.6313 0.2555 2~10 回 目 0.0617 300 3 5 11 回 以 上 -0.4691 92 居 住 エリア 台 東 区 と 周 辺 5 区 -0.4705 24 0.8519 0.3539 その 他 首 都 圏 (1 都 6 県 ) 内 -0.0885 398 2 2 首 都 圏 以 外 0.3813 122 地 域 上 野 地 域 -0.5281 304 1.1970 0.4683 浅 草 地 域 0.6689 240 1 1 判 別 的 中 率 76.3% 内 は 順 位 相 関 比 0.29 3. 観 光 入 込 客 数 推 計 における 技 術 的 課 題 本 稿 で 取 り 上 げた 来 訪 者 アンケート 調 査 は, 着 地 サイ ドのデータである.しかし, 永 井 ほか(1985) 3) は 現 在 最 も 信 頼 できるデータが 得 られない 状 況 にあるのが 着 地 サイドの 入 込 観 光 客 数 に 関 するデータである と 指 摘 しており,このことは, 今 日 も 基 本 的 に 変 わらない 特 徴 であると 考 えられる. 例 えば,1995 年 に 日 本 観 光 協 会 が 全 国 観 光 統 計 基 準 を 提 案 し, 観 光 入 込 客 数 推 計 の 対 象 とする 観 光 地 点 の 統 一 的 な 選 定 基 準 を 示 したが, 多 くの 府 県 が 同 基 準 を 採 用 せずに, 各 府 県 が 個 別 に 設 定 し た 観 光 地 点 の 入 込 客 数 を 単 純 に 足 し 上 げた 延 べ 人 数 を 公 表 してきた( 現 在 は, 観 光 庁 の 主 導 により 都 道 府 県 レベルの 観 光 統 計 手 法 の 統 一 化 は 図 られつつある). 一 方 で, 同 基 準 を 採 用 している 都 道 府 県 においても 対 象 と する 個 々の 観 光 地 点 の 入 込 客 数 を 計 測 あるいは 推 計 する 技 術 が 要 求 される. 東 京 都 の 場 合, 神 社 仏 閣 公 2

園 庭 園 といった 地 点 も 観 光 統 計 の 対 象 であり, 複 数 のゲートウェイが 存 在 する 面 的 な 観 光 地 点 の 入 込 客 数 推 計 の 技 術 開 発 が 課 題 でなる. 複 数 のゲートウェイが 存 在 する 観 光 地 点 の 観 光 入 込 客 数 を 推 計 するためには, 式 (1)に 示 したとおり, 各 ゲー トウェイにおける 歩 行 者 自 転 車 交 通 量 ( 入 場 方 向 )に 観 光 客 割 合 を 乗 じたものを 合 計 することが 考 えられる. このとき, 観 光 客 割 合 a i を 求 めるには,ゲートウェイを 通 過 する 人 が 生 活 者 ( 地 元 民 ) であるか 観 光 客 であるかを 判 断 する 基 準 が 必 要 となる. 地 方 部 の 観 光 地 域 では, 生 活 者 の 数 よりも 観 光 客 の 数 の 方 が 多 いと 考 えられるが, 本 研 究 の 対 象 とした 大 都 市 観 光 地 域 では, 相 当 数 の 生 活 者 が 存 在 しているため, 観 光 客 に 生 活 者 を 加 えた 総 入 込 数 に 占 める 観 光 客 割 合 a i を 求 める 手 法 が 必 要 である. X = a i x (1) i X 観 光 地 点 における 観 光 入 込 客 数 a i ゲートウェイ iにおける 観 光 客 割 合 x i iの 歩 行 者 自 転 車 交 通 量 ( 入 場 方 向 ) 一 方 で, 観 光 客 の 母 集 団 の 特 定 自 体 が 困 難 であるとの 指 摘 もある. 小 林 ほか(1993) 4) は, 観 光 を 目 的 とし て 調 査 当 日 に 対 象 地 域 に 滞 在 する 主 体 の 集 合 を 観 光 客 の 母 集 団 として 定 義 したとき, 母 集 団 が 調 査 時 点 によっ て 変 動 することを 課 題 に 挙 げている.また, 着 地 サイド の 調 査 を 実 施 した 時,その 時 点 における 1 回 の 調 査 で 獲 得 できる 情 報 は, 調 査 日 にたまたま 実 現 した 母 集 団 に 含 まれる 一 部 の 入 込 客 の 情 報 である とも 述 べている. このことは, 二 つの 意 味 を 内 包 していると 考 えられる. 一 つは, 調 査 日 当 日 に 実 現 する 母 集 団 の 性 質 を 明 らか にすることが 必 要 である. 観 光 入 込 客 数 は, 季 節 や 曜 日, 集 客 力 のあるイベントの 開 催 などにより 変 動 する.その ため, 着 地 サイドのデータを 収 集 する 日 数 を 増 やす 工 夫 が 求 められる. 観 光 客 に 限 定 せず, 調 査 地 域 の 総 入 込 数 を 求 めるのであれば, 公 共 交 通 機 関 の 乗 降 客 数 や 観 光 施 設 の 入 場 者 数 などを ベース として 年 間 の 総 入 込 数 を 推 計 することは 可 能 であると 考 えられる. いま 一 つは, 着 地 サイドの 来 訪 者 アンケート 調 査 に 基 づき 観 光 客 割 合 a i を 求 める 場 合, 観 光 客 という 目 標 母 集 団 を 事 前 に 特 定 することが 困 難 な 点 である.そのた め, 通 常 の 社 会 調 査 法 のように,あらかじめ 調 査 母 集 団 と 計 画 標 本 を 設 定 することもできない.また, アンケートの 回 収 率 が 低 い 場 合 には, 得 られた 有 効 標 本 の 精 度 にも 疑 問 が 生 じる.このことに 関 し, 小 林 ほ か(1993) 4) は, 入 込 客 の 行 動 パターンに 大 規 模 な 変 動 がない 場 合 であると 述 べたうえで, 到 着 地 ベース の 入 込 客 調 査 の 精 度 を 向 上 させるためには,アンケート i 調 査 において 一 定 の 標 本 抽 出 率 を 確 保 することが 重 要 で ある と 述 べるに 止 まる.しかし, 従 来 の 観 光 客 数 統 計 における 根 本 的 な 問 題 は, 示 された 人 数 に 明 確 な 算 出 根 拠 がなく, 過 大 推 計 になりがちなことであろう.そうで あれば,まずは, 観 光 地 域 における 総 入 込 数 の 計 測 手 法 を 確 立 することが 肝 要 である. 観 光 入 込 客 数 は 総 入 込 数 を 超 えることはないため, 推 計 された 総 入 込 数 が 確 からしい 人 数 であれば, 観 光 入 込 客 数 の 大 幅 な 過 大 推 計 を 排 除 することが 可 能 になる. 4. 平 常 時 における 年 間 総 入 込 数 の 推 計 (1) 推 計 方 法 任 意 の 観 光 地 域 における 年 間 観 光 入 込 客 数 を 推 計 す る 場 合, 平 常 時 と イベント 時 の 入 込 数 を 分 けて 推 計 する. 季 節 による 来 訪 者 数 の 変 動 が 大 きい( 観 光 需 要 の 季 節 性 が 大 きい) 場 合 は, 平 常 時 を 閑 散 期 と 繁 忙 期 に 分 けて 考 えることが 必 要 であるが, 今 回 対 象 とした 上 野 浅 草 各 地 域 は,イベントの 開 催 時 を 除 き, 観 光 需 要 の 季 節 性 が 比 較 的 小 さい 地 域 であると 思 わ れる. 図 -1 は, 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 の 推 計 フローで ある. 来 訪 者 アンケート 調 査 は, 一 年 のうち 数 日 のみを 対 象 としており,その 結 果 をもとに, 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 を 推 計 することになる.そのため, 図 中 に 示 したように, 有 料 の 観 光 施 設 の 入 場 者 数 や 鉄 道 駅 の 乗 客 数 降 客 数 といった, 比 較 的 確 からしい 人 数 をベー スとして,その 入 場 者 や 利 用 者 の 割 合 を 着 地 サイドの 調 査 から 求 め, 上 野 浅 草 各 地 域 における 全 目 的 の 年 間 総 入 込 数 を 推 計 する. このとき,ベースとなる 確 からしい 人 数 として 採 用 するデータは, 観 光 地 域 の 特 性 による 相 性 がある と 考 えられる.そこで, 本 研 究 では, 以 下 に 示 す 3 種 類 のベースとなる 人 数 を 用 意 し, 地 域 特 性 が 異 なる 上 野 浅 草 各 地 域 を 対 象 に,それぞれのデータの 適 用 性 につい て 考 察 する. 1 各 地 域 の 観 光 施 設 における 年 間 入 場 者 数 2 各 地 域 の 鉄 道 駅 における 降 客 数 3 各 地 域 の 歩 行 者 交 通 量 Step1 ベースとなる 確 からしい 人 数 の 集 計 ( 着 地 側 調 査 から 得 られる 数 値 ) 1 ( 例 ) 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 鉄 道 駅 の 年 間 乗 客 数 など 2 観 光 施 設 の 入 場 者 割 合 鉄 道 駅 の 利 用 者 割 合 など 3 区 外 居 住 者 の 入 場 者 割 合 鉄 道 駅 利 用 者 割 合 など Step2 地 域 における 全 目 的 の 年 間 総 入 込 数 の 推 計 4 =1 2 3 5 観 光 目 的 として 捉 えられる 行 動 の 実 施 率 Step3 地 域 の 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 の 推 計 6 =4 5 図 -1 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 の 推 計 フロー 3

(2) 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 に 基 づく 推 計 a) 区 内 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 はじめに, 上 野 浅 草 両 地 域 を 中 心 とした 台 東 区 内 の 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 を 集 計 した. 台 東 区 内 の 観 光 施 設 36 箇 所 (うち 1 箇 所 は 通 年 で 休 館 )に 調 査 票 を 配 布 し, 平 成 22 年 ( 平 成 22 年 1 月 ~12 月 )の 年 間 入 場 者 数 の 回 答 が 29 箇 所 から 得 られた.その 結 果, 上 野 地 域 は 830 万 人, 浅 草 地 域 は 115 万 人 (いずれも 延 べ 数 )と なり, 区 内 合 計 は 960 万 人 であった. b) 年 間 総 入 込 数 の 推 計 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 をベースに, 各 地 域 の 年 間 総 入 込 数 を 推 計 する.まずは, 観 光 施 設 における 年 間 入 場 者 数 の 実 数 を 導 き 出 す 必 要 がある.そこで, 各 地 域 における 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 ( 延 べ 数 )を 来 訪 者 ア ンケート 調 査 で 得 られた 来 訪 者 一 人 あたりの 平 均 立 ち 寄 り 箇 所 数 で 除 すことで, 各 地 域 における 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 の 実 数 を 求 めた( 表 -4). 表 -4 観 光 施 設 の 平 均 立 ち 寄 り 箇 所 数 と 年 間 入 場 者 数 実 数 の 推 計 1 延 べ 数 2 箇 所 数 3 実 数 上 野 地 域 8,300,261 1.13 7,378,010 浅 草 地 域 1,151,619 1.21 949,581 [ 人 箇 所 ] [ 箇 所 ] [ 人 ] 次 に, 各 地 域 における 観 光 施 設 の 立 ち 寄 り 率 を 集 計 した( 表 -5). 上 野 地 域 は 来 訪 者 の 76.4%が 観 光 施 設 に 入 場 している 一 方 で, 浅 草 地 域 は 10.6%であった.しか し, 上 野 地 域 では, 美 術 館 や 博 物 館 の 多 い 公 園 側 と アメ 横 側 に 配 布 箇 所 が 分 かれているため, 双 方 の 回 収 率 が 異 なることによるサンプリングの 偏 りが 懸 念 される. 表 -5 観 光 施 設 の 立 ち 寄 り 率 1 上 野 地 域 動 物 園 見 学 芸 術 鑑 賞 サンプル 数 割 合 21 5.6% 32 8.5% 76.4% 235 62.3% 89 23.6% 花 やしき 来 園 演 芸 鑑 賞 サンプル 数 割 合 2 0.6% 13 4.1% 10.6% 19 5.9% 286 89.4% そこで, 本 稿 では,2010 年 3 月 と 9 月 の 平 休 日 各 1 日 に 実 施 した 上 野 駅 公 園 口 ( 公 園 方 向 ) と アメ 横 上 野 口 ( 御 徒 町 方 向 ) の 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 に 基 づき 歩 行 者 交 通 量 の 確 からしい 比 率 を 算 出 し,データ 数 の 少 ない アメ 横 上 野 口 を 訪 れたサンプルに ウェイ ト をかけることにした( 表 -5).なお, 歩 行 者 交 通 量 調 査 は,いずれも 10~18 時 までの 時 間 帯 で 行 われてお り, 来 訪 者 アンケート 調 査 の 実 施 時 間 帯 とほぼ 同 様 であ る. 来 訪 者 アンケート 調 査 の 結 果 上 野 駅 公 園 口 を 訪 れたのは 331 サンプル, アメ 横 上 野 口 を 訪 れたのは 76 サンプルであった.この 比 率 を 表 中 に 示 した 歩 行 者 交 通 量 の 比 率 ( 上 野 駅 公 園 口 (68,335 人 )とアメ 横 上 野 口 (52,452 人 ))に 合 わせるためには, アメ 横 上 野 口 を 訪 れたサンプルについて,1 人 あたり 3.3 倍 のウ ェイトをかけることが 必 要 である. 表 -5 上 野 駅 公 園 口 アメ 横 上 野 口 おける 歩 行 者 交 通 量 月 日 / 曜 日 上 野 駅 公 園 口 3 月 17 日 水 26,565 15,058 3 月 7 日 日 18,638 13,476 9 月 10 日 金 7,899 7,934 9 月 12 日 日 15,233 15,984 合 計 ( 比 率 ) サンプル 数 ( 注 ) 分 析 時 のウェイト アメ 横 上 野 口 68,335 52,452 56.6% 43.4% 331 76 1 3.3 ( 注 ) 双 方 の 地 点 を 訪 問 しているサンプルは 重 複 計 上 ウェイト 付 加 後 の 上 野 地 区 における 観 光 施 設 の 立 ち 寄 り 率 を 集 計 した 結 果, 観 光 施 設 に 入 場 する 来 訪 者 割 合 は 66.2%となった( 表 -.6).なお, 観 光 施 設 に 立 ち 寄 る 来 訪 者 のうち, 台 東 区 民 以 外 の 割 合 は, 上 野 地 区 で は 98.6%(ウェイト 付 加 後 ), 浅 草 地 区 では 94.1%であ った. 表 -6 観 光 施 設 の 立 ち 寄 り 率 ( 上 野 地 域 ウェイト 付 加 後 ) 1 上 野 地 域 ( 広 小 路 口 サンプル ウェイト 付 加 後 ) 動 物 園 見 学 芸 術 鑑 賞 サンプル 数 割 合 27.9 5.1% 43.5 7.9% 66.2% 292.5 53.2% 185.9 33.8% ところで, 観 光 施 設 への 立 ち 寄 り 率 が 低 い 地 域 にお いて, 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 をベースに 全 目 的 の 年 間 総 入 込 数 を 求 めようとする 場 合, 年 間 入 場 者 数 に 高 い 拡 大 率 を 乗 じて, 年 間 総 入 込 数 を 推 計 することが 必 要 となる.そのため, 推 計 誤 差 が 生 まれやすくなり, ベースとする 数 値 として 適 さないことになる.したが って, 上 野 地 区 では, 観 光 施 設 の 年 間 入 場 者 数 をベー スに 観 光 客 数 の 推 計 を 試 みる 適 性 は 高 いものの, 浅 草 地 区 では 適 さないと 考 えられる. 以 上 の 考 察 より 観 光 施 設 における 年 間 入 場 者 数 を もとに 推 計 した 上 野 地 域 の 年 間 総 入 込 数 は, 以 下 の ようになった. 830 万 261 人 ( 観 光 施 設 年 間 入 場 者 数 ) 0.662( 観 光 施 設 の 立 ち 寄 り 率 ) 0.986( 台 東 区 民 以 外 の 割 合 ) = 1,236 万 8,181 人 (2) (3) 鉄 道 駅 年 間 降 客 数 に 基 づく 年 間 総 入 込 数 の 推 計 a) 各 地 域 到 着 時 の 利 用 交 通 手 段 最 初 に, 上 野 浅 草 各 地 域 の 来 訪 者 が 利 用 する 交 通 手 段 を 整 理 する. 表 -7 は 来 訪 者 アンケート 調 査 で 得 られ 4

た 上 野 ( 浅 草 ) 地 域 に 到 着 した 際 に 利 用 してい た 交 通 手 段 を 集 計 したものである.その 結 果, 上 野 地 区 では 全 体 の 91.1%, 浅 草 地 区 では 56.7%が 鉄 道 を 利 用 してそれぞれの 地 域 を 訪 れていることが 分 かった. 表 4-7 各 地 域 到 着 時 の 利 用 交 通 手 段 到 着 時 交 通 手 段 上 野 地 域 浅 草 地 域 N 割 合 N 割 合 1. 鉄 道 339 91.1% 178 56.7% 2. 路 線 バス( 都 営 バス) 4 1.1% 11 3.5% 3. 観 光 バス(はとバス 貸 切 バス) 4 1.1% 77 24.5% 4. 水 上 バス 0 0.0% 8 2.5% 5.タクシー 1 0.3% 9 2.9% 6. 自 動 車 (レンタカー 含 ) 8 2.2% 12 3.8% 7. 自 動 二 輪 原 付 バイク 0 0.0% 0 0.0% 8. 自 転 車 2 0.5% 3 1.0% 9. 徒 歩 14 3.8% 14 4.5% 10.その 他 0 0.0% 2 0.6% 総 計 372 100.0% 314 100.0% b) 各 地 域 到 着 時 の 利 用 鉄 道 駅 次 に, 各 地 域 に 鉄 道 を 利 用 して 到 着 した 来 訪 者 の 利 用 鉄 道 駅 を 表 -8 に 集 計 した.その 結 果, 上 野 地 域 では JR 線 をはじめとした 上 野 駅 の 合 計 で 90.5%を 占 め, 浅 草 地 域 でも,つくばエクスプレスを 含 めた 浅 草 駅 の 合 計 で 94.2%を 占 める 結 果 となった. したがって, 上 野 地 域 の 来 訪 者 が 上 野 駅 で 降 車 する 割 合 ならびに, 浅 草 地 域 の 来 訪 者 が 浅 草 駅 で 降 車 する 割 合 はそれぞれ 以 下 の 通 りに 計 算 される. 上 野 地 区 ; 0.911( 鉄 道 利 用 割 合 ) 0.905( 上 野 駅 利 用 割 合 )= 0.824 浅 草 地 区 ; 0.567( 鉄 道 利 用 割 合 ) 0.942( 浅 草 駅 利 用 割 合 )= 0.534 それぞれの 鉄 道 駅 で 降 車 する 割 合 が 過 半 を 占 めてお り, 両 駅 の 年 間 降 客 数 に 基 づき 各 地 域 の 年 間 総 入 込 数 を 推 計 することが 適 当 であると 確 認 された. 表 -8 各 地 域 到 着 時 の 利 用 鉄 道 駅 1 上 野 地 域 駅 名 N 割 合 上 野 駅 JR 東 日 本 ( 山 手 線 等 ) 246 73.0% 東 京 地 下 鉄 ( 銀 座 線 ) 26 7.7% 東 京 地 下 鉄 ( 日 比 谷 線 ) 16 4.7% 京 成 電 鉄 17 5.0% 上 野 駅 ( 小 計 ) 305 90.5% 御 徒 町 駅 (JR 東 日 本 ) 9 2.7% 上 野 広 小 路 駅 ( 東 京 地 下 鉄 ( 銀 座 線 )) 1 0.3% 仲 御 徒 町 駅 ( 東 京 地 下 鉄 ( 日 比 谷 線 )) 1 0.3% 上 野 御 徒 町 駅 ( 東 京 都 交 通 局 ( 大 江 戸 線 )) 10 3.0% 新 御 徒 町 駅 (つくばエクスプレス) 0 0.0% その 他 11 3.3% 合 計 337 100.0% 駅 名 N 割 合 浅 草 駅 東 京 地 下 鉄 ( 銀 座 線 ) 97 56.1% 東 京 都 交 通 局 ( 浅 草 線 ) 36 20.8% 東 武 鉄 道 20 11.6% つくばエクスプレス 10 5.8% 浅 草 駅 ( 小 計 ) 163 94.2% その 他 10 5.8% 合 計 173 100.0% c) 上 野 駅 の 年 間 降 客 数 上 野 駅 の 年 間 降 客 数 を 推 定 する. 表 -.9 は 関 東 広 告 協 議 会 関 東 交 通 広 告 協 議 会 各 社 各 駅 乗 降 人 員 通 過 人 員 輸 送 人 員 に 示 された 平 成 21 年 度 の 一 日 平 均 降 客 数 ( 定 期 外 )を 示 したものである. 来 訪 者 アンケート 調 査 の 配 布 時 間 帯 ( 各 日 10 時 ~18 時 )は, 上 野 駅 の 降 客 に 定 期 券 利 用 者 ( 主 として 通 勤 通 学 客 )はほとんど 含 まれないと 考 えられる.し たがって, 本 来 であれば 地 域 における 全 目 的 の 総 入 込 数 を 推 計 することが 求 められるのだが,ここでは 普 通 券 利 用 者 ( 定 期 外 利 用 者 )のみを 対 象 にして 分 析 する ことが 妥 当 である. 上 野 駅 は 多 くの 路 線 が 乗 り 入 れており, 乗 換 駅 でもあ る. 各 社 間 の 乗 換 実 態 については, 平 成 17 年 度 に 実 施 された 大 都 市 交 通 センサス に 基 づき 算 出 した.その 結 果, 上 野 駅 を 最 終 目 的 地 としない(つまり 乗 換 駅 とし ている) 割 合 が 81.2%を 占 めていることが 分 かった (3). また, 上 野 駅 の 降 客 数 のなかには, 区 内 居 住 者 も 含 ま れていると 考 えられるが,これも 大 都 市 交 通 センサ ス のデータから, 上 野 駅 から 乗 車 ( 初 乗 り)する 人 数 を 求 めた.その 結 果, 降 客 数 に 対 して 6.8%のウェイト を 持 つことが 分 かり,この 部 分 が 降 客 数 に 占 める 上 野 地 区 の 居 住 者 割 合 になると 仮 定 した. d) 浅 草 駅 の 年 間 降 客 数 浅 草 駅 についても, 関 東 広 告 協 議 会 関 東 交 通 広 告 協 議 会 各 社 各 駅 乗 降 人 員 通 過 人 員 輸 送 人 員 に 示 された 平 成 21 年 度 の 一 日 平 均 降 客 数 ( 定 期 外 )を 用 い た( 表 -9). 平 成 17 年 度 に 実 施 された 大 都 市 交 通 センサス の 結 果, 浅 草 駅 でも 降 客 数 の 43.8%(つくばエクスプレス を 除 く)が 他 路 線 への 乗 換 客 であり, 浅 草 駅 を 最 終 目 的 地 としていないことが 分 かった.また, 上 野 駅 と 同 様 に 降 客 数 のなかには, 区 内 居 住 者 も 含 まれていると 考 えら れるが, 同 様 に 大 都 市 交 通 センサス のデータから 浅 草 駅 から 乗 車 ( 初 乗 り)する 人 数 を 求 めた 結 果, 降 客 数 に 対 して 30.1%のウェイトを 占 めており,この 部 分 が 降 客 数 に 占 める 浅 草 地 区 の 居 住 者 割 合 になると 仮 定 した. 表 -9 上 野 駅 浅 草 駅 降 客 数 ( 平 成 21 年 度 ) 1 上 野 駅 路 線 名 定 期 外 降 客 数 対 前 年 度 比 JR 東 日 本 ( 山 手 線 等 ) 90,258-2.0% 東 京 地 下 鉄 ( 銀 座 線 ) 38,859-3.6% 東 京 地 下 鉄 ( 日 比 谷 線 ) 26,207-2.8% 京 成 電 鉄 12,605-1.0% 合 計 167,929 路 線 名 定 期 外 降 客 数 対 前 年 度 比 東 京 地 下 鉄 ( 銀 座 線 ) 28,562-1.7% 東 京 都 交 通 局 ( 浅 草 線 ) 12,613-1.1% 東 武 鉄 道 13,949-5.1% つくばエクスプレス* 4,912 - 合 計 60,036 5

e) 年 間 総 入 込 数 の 推 計 以 上 の 分 析 より 鉄 道 駅 における 年 間 降 客 数 を もとに 推 計 した 各 地 域 における 年 間 総 入 込 数 は 以 下 のようになる. 上 野 地 域 ; 167,929 人 ( 一 日 あたり 降 客 数 ) (1-0.812( 上 野 駅 における 乗 換 率 )) 365( 年 間 日 数 ) 0.824 ( 上 野 地 域 の 来 訪 者 が 上 野 駅 で 降 りる 割 合 ) (1-0.068( 降 客 数 に 占 める 上 野 地 域 の 居 住 者 割 合 )) = 1,303 万 3,621 人 (3) 浅 草 地 域 ; 55,124 人 ( 一 日 あたり 降 客 数 (TXを 除 く)) (1-0.438( 浅 草 駅 における 乗 換 率 ))+ 4,912 人 (つくば エクスプレスの 降 客 数 ) = 1( 一 日 あたり 降 客 数 ) 1 365( 年 間 日 数 ) 0.534 ( 浅 草 地 域 の 来 訪 者 が 浅 草 駅 で 降 りる 割 合 ) (1-0.301( 降 客 数 に 占 める 浅 草 地 域 の 居 住 者 割 合 )) = 1,714 万 8,362 人 (4) (4) 歩 行 者 交 通 量 に 基 づく 推 計 a) 上 野 地 域 における 年 間 総 入 込 数 の 推 計 上 野 駅 公 園 口 付 近 および 上 野 公 園 袴 越 広 場 を 対 象 と して, 平 成 22 年 3 月 と 9 月 の 平 休 日 各 1 日 で 実 施 した 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 をもとに, 上 野 地 域 の 年 間 総 入 込 数 を 推 計 する. 上 野 地 域 における 歩 行 者 交 通 量 の 調 査 地 点 を 図 -2 に 示 した. 調 査 地 点 A B ともに 上 野 公 園 ( 図 中 網 掛 け 部 )に 入 場 する 方 向 ( 矢 印 の 方 向 )を 指 しており, 歩 行 者 交 通 量 の 合 計 値 を 上 野 公 園 の 一 日 入 場 者 数 として 考 える.なお 歩 行 者 交 通 量 調 査 は, 各 日 とも 10 時 ~18 時 の 間 である. B カウント 調 査 地 点 上 野 恩 賜 公 園 駐 車 場 A A 図 -2 上 野 地 区 の 歩 行 者 交 通 量 調 査 地 点 A B JR 上 野 駅 公 園 口 付 近 上 野 公 園 袴 越 し 広 場 カウント 調 査 地 点 各 日 の 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 を 整 理 したものを 表 -10 に 示 した.しかし, 同 調 査 結 果 は 4 日 間 という 限 られた 日 数 のデータであるため,それを 年 間 の 歩 行 者 交 通 量 に 拡 大 しない 限 り, 上 野 地 区 における 年 間 総 入 込 数 を 求 めることはできない. 表 -10 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 ( 上 野 公 園 ) 月 日 / 曜 日 上 野 公 園 方 面 歩 行 者 交 通 量 (10~18 時 ) センターモール 上 野 駅 公 園 口 周 辺 上 野 公 園 袴 越 広 場 合 計 方 向 1( 全 日 ) 3 月 17 日 水 26,565 7,702 34,267 13,491 3 月 7 日 日 18,638 3,572 22,210 14,455 9 月 10 日 金 7,899 3,743 11,642 12,847 9 月 12 日 日 15,233 7,804 23,037 17,223 年 間 合 計 (H22.1.1~H22.12.31) 5,229,014 方 向 1; 上 野 駅 方 面 からセンターモールへの 入 場 者 数 そこで, 上 野 駅 公 園 口 側 と 広 小 路 口 側 でのサンプル の 偏 りを 補 正 するための 根 拠 として 用 いたアメ 横 上 野 口 ( 上 野 センターモール)の 歩 行 者 交 通 量 から, 上 野 公 園 方 面 の 年 間 歩 行 者 交 通 量 を 推 計 する 方 式 を 採 るこ とにした. 上 野 センターモールには, 歩 行 者 計 測 カウ ンターが 設 置 されており, 通 年 で 歩 行 者 交 通 量 を 計 測 している.そのため, 年 間 の 歩 行 者 交 通 量 を 求 めるこ とが 可 能 である. 具 体 的 には, 上 野 公 園 方 面 歩 行 者 交 通 量 ( 合 計 )と, 上 野 センターモールの 歩 行 者 交 通 量 から 上 野 公 園 の 交 通 量 を 推 計 する 単 回 帰 モデルを 構 築 した.なお 3 月 17 日 に 関 しては, 上 野 駅 公 園 口 周 辺 の 歩 行 者 交 通 量 のみが 極 端 に 多 いことから 対 象 から 除 外 した( 修 学 旅 行 等 の 団 体 旅 行 者 が 集 中 したと 考 えら れる).その 結 果, 両 者 の 相 関 は r=0.82 と 一 定 の 水 準 を 保 っており, 以 下 の 回 帰 モデルが 構 築 された(5 式 ) Y = 2.3522X 15947 (5) Y 上 野 公 園 方 面 歩 行 者 交 通 量 ( 合 計 ) X 上 野 センターモールの 歩 行 者 交 通 量 ( 方 向 1 全 日 ) その 結 果, 上 野 公 園 方 面 の 年 間 歩 行 者 交 通 量 は,セン ターモール 年 間 歩 行 者 交 通 量 (5,229,014 人 )を 用 いて, 1,228 万 3,739 人 と 推 計 される. 一 方 で, 上 野 公 園 の 入 場 口 に 関 しては, 図 -2 に 示 した A( 上 野 駅 公 園 口 )と B( 袴 越 し 広 場 )が 主 であるが, 観 光 バスや 乗 用 車 を 利 用 する 場 合 は 上 野 公 園 恩 賜 駐 車 場 から 直 接 入 場 することが 可 能 である.そこで, 同 駐 車 場 における 2010 年 中 の 駐 車 台 数 を 車 種 別 ( 普 通 車 大 型 車 バス バイク)に 分 けて 集 計 した 結 果,90,662 台 と なった.これに, 日 本 観 光 協 会 全 国 観 光 客 数 統 計 で 示 された 車 種 別 の 平 均 乗 車 人 数 (4) を 乗 じて 同 駐 車 場 を 経 由 した 総 入 込 数 を 推 計 した.その 結 果,99 万 9,457 人 となった. 次 に, 上 野 地 区 の 総 入 込 数 に 対 する 上 野 公 園 の 入 場 者 数 割 合 について, 来 訪 者 アンケート 調 査 結 果 を 用 いて 推 計 する. 表 -11 は, 動 物 園 や 美 術 館 博 物 館 といった 観 光 施 設 の 入 場 に 加 えて, 散 策 の 実 施 率 を 示 したもの である. 先 に 示 した アメ 横 側 のサンプル 数 に 3.3 倍 6

の ウェイト を 付 加 した 上 で 集 計 した 結 果, 観 光 施 設 への 入 場 と 散 策 のいずれも 実 施 しない 来 訪 者 は 9.2%で あった.また, 観 光 施 設 に 入 場 せず 散 策 のみ 実 施 した 来 訪 者 は 24.6%を 占 めた. なお, 散 策 の 大 部 分 は, 上 野 公 園 内 で 行 われていると 推 測 されるが, アメ 横 等 の 商 店 街 で 購 買 を 伴 わなか った 来 訪 者 も 含 まれていると 考 えられる.そこで 表 -5 に 示 した 上 野 駅 公 園 口 とアメ 横 上 野 口 の 歩 行 者 交 通 量 比 率 を 用 いて 配 分 することにした. 具 体 的 には,1 総 入 込 数 (100%)から, 観 光 施 設 への 入 場 と 散 策 のいずれも 実 施 しない 来 訪 者 割 合 (9.2%)に 加 え,2 散 策 のみを 行 った 来 訪 者 (24.6%)のうち 43.4%(アメ 横 上 野 口 の 歩 行 者 比 率 )が 上 野 公 園 を 散 策 していないと 考 えた.した がって, 上 野 地 区 の 総 入 込 数 に 対 する 上 野 公 園 の 入 場 者 数 割 合 は, 以 下 の 通 りに 推 計 される. 100% - 9.2% -(24.6% 43.4%) = 80.2% 表 -11 観 光 施 設 入 場 散 策 の 実 施 率 ( 上 野 地 域 ) 1 上 野 地 域 (ウェイト 付 加 後 ) 観 光 施 設 入 場 散 策 実 施 サンプル 数 割 合 262.1 47.7% 101.8 18.5% 90.8% 135.3 24.6% 50.6 9.2% 以 上 の 考 察 より, 歩 行 者 交 通 量 をもとに 推 計 し た 上 野 地 区 における 年 間 総 入 込 数 は, 以 下 のよ うになる.なお, 来 訪 者 全 体 に 占 める 台 東 区 民 以 外 の 割 合 は,98.9%( 広 小 路 口 側 のサンプルのウェイト 付 加 済 )であった. 1,228 万 6,273 人 ( 上 野 公 園 方 面 の 年 間 歩 行 者 交 通 量 )+ 99 万 9,457 人 ( 上 野 公 園 恩 賜 駐 車 場 を 経 由 した 入 場 者 数 )= 1( 上 野 公 園 の 総 入 込 数 数 ) 1 0.802( 上 野 地 区 の 総 入 込 数 に 占 める 上 野 公 園 の 入 場 者 数 割 合 ) 0.989 ( 台 東 区 民 以 外 の 来 訪 者 比 率 ) = 1,638 万 3,524 人 (6) b) 浅 草 地 域 における 年 間 総 入 込 数 の 推 計 浅 草 地 区 については, 雷 門, 新 仲 見 世 入 口,つくば エクスプレス(TX) 浅 草 駅 周 辺, 二 天 門 前 の 計 4 箇 所 を 対 象 として, 平 成 22 年 3 月 と 9 月 の 平 休 日 各 1 日 で 実 施 した 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 をもとに, 年 間 総 入 込 数 を 推 計 する. 図 -3 は, 浅 草 地 区 における 歩 行 者 交 通 量 の 調 査 地 点 を 示 しているが, 調 査 地 点 A~D はいずれも 浅 草 寺 ( 図 中 網 掛 けのエリア)に 入 場 する 方 向 ( 矢 印 の 方 向 )を 指 しており, 歩 行 者 交 通 量 の 合 計 値 を 浅 草 寺 の 一 日 入 場 者 数 として 考 える.なお 歩 行 者 交 通 量 調 査 は, 各 日 と も 9 時 ~17 時 の 間 である. D カウント 調 査 地 点 A B C A B C D 雷 門 新 仲 見 世 入 口 TX 浅 草 駅 周 辺 二 天 門 前 カウント 調 査 地 点 図 -3 浅 草 地 区 の 歩 行 者 交 通 量 調 査 地 点 各 日 の 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 を 整 理 したものを 表 -12 に 示 した.しかし, 同 調 査 結 果 は,4 日 間 という 限 られ た 日 数 のデータであるため,それを 年 間 の 歩 行 者 交 通 量 に 拡 大 しない 限 り, 浅 草 地 区 における 年 間 総 入 込 数 を 求 めることはできない.そこで, 浅 草 から 乗 船 可 能 な 水 上 バス の 乗 船 者 数 と 浅 草 寺 方 面 の 歩 行 者 交 通 量 の 相 関 を 求 めたうえで, 水 上 バスの 乗 船 者 数 か ら 浅 草 寺 方 面 の 歩 行 者 交 通 量 を 推 計 する 単 回 帰 モデル を 構 築 した.なお, 歩 行 者 交 通 量 が 他 の 調 査 日 に 比 べ て 高 い 半 面, 水 上 バスの 乗 船 者 数 が 少 ない 3 月 7 日 を 特 異 日 として 除 外 し 分 析 した 結 果, 両 者 の 相 関 は r=0.92 と 一 定 の 水 準 を 保 っており, 以 下 の 回 帰 モデルが 構 築 さ れた(7 式 ). 推 計 された 回 帰 モデル(7 式 )を 用 いて 浅 草 寺 方 面 の 年 間 歩 行 者 交 通 量 を 推 計 した 結 果, 以 下 のようになる. 31.925 501,615 人 ( 水 上 バス 年 間 乗 船 者 数 )+ 2882.4 = 1,601 万 1,694 人 表 -12 歩 行 者 交 通 量 調 査 結 果 ( 浅 草 地 域 ) 月 日 / 曜 日 浅 草 寺 方 面 歩 行 者 交 通 量 (9~17 時 ) 水 上 バス 雷 門 新 仲 見 世 入 口 TX 浅 草 駅 周 辺 二 天 門 前 合 計 乗 船 者 数 3 月 17 日 水 14,826 6,792 2,726 3,419 27,763 633 3 月 7 日 日 20,334 10,370 7,312 4,917 42,933 657 9 月 10 日 金 10,523 6,151 2,704 5,087 24,465 882 9 月 12 日 日 23,968 11,263 8,953 8,267 52,451 1,493 年 間 合 計 (H22.1.1~H22.12.31) 501,615 Y = 31.925X 2882.4 (7) Y 浅 草 寺 方 面 歩 行 者 交 通 量 ( 合 計 ) X 水 上 バス 乗 船 者 数 次 に, 浅 草 地 区 の 総 入 込 数 に 対 する 浅 草 寺 の 入 場 者 数 割 合 について, 着 地 側 調 査 の 結 果 を 用 いて 推 計 する. 表 -13 は, 動 物 園 や 美 術 館 博 物 館 といった 観 光 施 設 の 入 場 に 加 えて, 寺 社 参 拝 および 散 策 の 実 施 率 を 示 したものである. 7

表 -13 観 光 施 設 入 場 散 策 の 実 施 率 ( 浅 草 地 域 ) 観 光 施 設 入 場 寺 社 参 拝 散 策 実 施 サンプル 数 割 合 23 7.2% 6 1.9% 2 0.6% 3 0.9% 95.0% 198 61.9% 50 15.6% 22 6.9% 16 5.0% その 結 果, 観 光 施 設 への 入 場, 寺 社 参 拝, 散 策 のい ずれも 実 施 しない 来 訪 者 は 5.0%であることから, 浅 草 地 区 の 総 入 込 数 に 対 する 浅 草 寺 への 入 場 者 数 割 合 は 95.0%を 占 めると 推 測 される. 以 上 の 分 析 より, 歩 行 者 交 通 量 をもとに 推 計 し た 浅 草 地 域 における 年 間 総 入 込 数 は, 以 下 のよう になる.なお, 来 訪 者 全 体 に 占 める 台 東 区 民 以 外 の 割 合 は 97.8%であった. 1,601 万 1,694 人 ( 浅 草 寺 方 面 の 年 間 歩 行 者 交 通 量 ) 0.950( 浅 草 地 区 の 総 入 込 数 に 占 める 浅 草 寺 の 入 場 者 数 割 合 ) 0.978 ( 台 東 区 民 以 外 の 来 訪 者 比 率 ) = 1,648 万 3,617 人 (8) (5) 小 括 本 章 では,1 観 光 施 設 における 年 間 入 場 者 数,2 鉄 道 駅 における 降 客 数,3 歩 行 者 交 通 量 の 各 変 数 をベー スとして, 東 京 都 台 東 区 浅 草 上 野 各 地 域 を 対 象 に 年 間 総 入 込 数 の 推 計 を 試 みた.その 結 果,ベースとする 変 数 が 異 なっても, 推 計 された 総 入 込 数 は, 概 ね 近 い 数 値 となった( 表 -14).このことは 複 数 の 手 法 で 総 入 込 数 を 推 計 することによって,より 確 からしい 値 を 導 き 出 せる 可 能 性 を 示 している. 一 方 で, 以 下 の 課 題 が 存 在 する. 1 ベースとなる 各 変 数 の 実 施 率 が 低 く,サンプルに 対 して 大 きな 拡 大 率 を 必 要 とする 場 合 は, 推 計 された 観 光 入 込 客 数 の 精 度 が 保 たれないことになる. 2 鉄 道 駅 の 乗 換 客 や 自 駅 下 車 客 に 関 するデータの 入 手 が 困 難 だったり, 大 都 市 交 通 センサス などによ って 入 手 できても 精 度 が 低 かったりする 場 合 がある ため, 推 計 誤 差 が 大 きくなる 可 能 性 がある. 3 歩 行 者 交 通 量 をベースとする 推 計 の 場 合, 地 域 条 件 に 関 わらず 計 測 可 能 であるものの, 通 常 のカウント 調 査 では, 特 定 日 のデータに 依 存 せざるを 得 ない. そのため, 通 年 のデータに 拡 大 する 場 合, 交 通 機 関 の 降 客 数 や 駐 車 場, 観 光 施 設 の 入 場 者 数 など 毎 日 の 人 数 を 示 すデータを 別 途 に 準 備 し,その 値 と 歩 行 者 交 通 量 との 関 係 から 通 年 の 歩 行 者 交 通 量 に 拡 大 するプロセスが 必 要 となる.また, 複 数 のゲートウ ェイがある 地 域 では, 計 測 方 法 に 工 夫 を 要 する. 表 -14 年 間 総 入 込 数 の 推 計 結 果 ベースとなる 変 数 上 野 地 域 浅 草 地 域 1 年 間 入 場 者 数 1,236 万 人 - 2 鉄 道 駅 降 客 数 1,303 万 人 1,714 万 人 3 歩 行 者 交 通 量 1,638 万 人 1,648 万 人 5. 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 の 推 計 前 章 で 求 めた 各 地 域 の 年 間 総 入 込 数 をもとに, 平 常 時 における 年 間 観 光 客 数 を 推 計 する. 先 に 述 べた 主 観 的 な 観 光 意 識 を 形 成 する 要 因 に 基 づき, 本 稿 では,1 観 光 施 設 入 場,2 意 図 ある 食 事 買 物 行 動,3 寺 社 参 拝 ( 浅 草 のみ)を 観 光 目 的 として 捉 えられる 活 動 であると 定 義 し, 上 記 の 活 動 を 一 つでも 実 施 した 来 訪 者 を 観 光 客 として 捉 えることにした.このとき, 飲 食 や 買 物 については, 生 活 者 の 活 動 と 切 り 離 す 必 要 があることから, 意 図 ある 消 費 行 動 である 場 合 に 限 り, 観 光 目 的 の 活 動 と 考 える ことにした. 以 上 の 活 動 目 的 を 組 み 合 わせた 実 施 率 を 表 -15 に 示 し た. 上 野 地 域 では 年 間 総 入 込 数 の 85.9%, 浅 草 地 域 では 年 間 総 入 込 数 の 94.2%が 観 光 目 的 に 該 当 する 行 動 である ことから, 上 野 浅 草 各 地 域 の 平 常 時 における 年 間 観 光 入 込 客 数 は, 以 下 の 通 り 推 計 される.なお,ベース となる 年 間 総 入 込 数 ( 表 -14)には 幅 があるため, 最 小 のケースと 最 大 のケースの 双 方 を 示 してある( 式 (9)~ (12)). 表 -15 観 光 目 的 として 捉 えられる 活 動 の 実 施 率 1 上 野 地 域 (ウェイト 付 加 後 ) 観 光 施 設 入 場 意 図 ある 消 費 行 動 サンプル 数 割 合 154.7 28.6% 204.2 37.7% 85.9% 106.4 19.6% 76.5 14.1% 観 光 施 設 入 場 意 図 ある 消 費 行 動 寺 社 参 拝 サンプル 数 割 合 15 4.8% 2 0.6% 12 3.8% 3 1.0% 94.2% 135 43.3% 20 6.4% 107 34.3% 18 5.8% 上 野 地 域 ; 最 小 )1,236 万 8,181 人 0.859 1,062 万 人 (9) 最 大 )1,638 万 3,524 人 0.859 1,407 万 人 (10) 浅 草 地 域 ; 最 小 )1,648 万 3,617 人 0.942 1,552 万 人 (11) 最 大 )1,714 万 8,362 人 0.942 1,615 万 人 (12) 8

6. まとめ 本 研 究 は, 都 市 部 観 光 地 域 における 観 光 入 込 客 数 の 推 計 技 術 に 関 して, 東 京 都 台 東 区 上 野 浅 草 両 地 域 を 対 象 に 考 察 した. 第 一 に, 従 来 の 観 光 統 計 で 用 いられてきた, 来 訪 者 の 主 観 的 な 観 光 意 図 ( 来 訪 者 が 自 身 の 活 動 目 的 を 観 光 と 捉 えていること)の 有 無 による 観 光 客 の 判 別 が 都 市 部 観 光 地 域 において 適 当 であるかを 考 察 し, 非 日 常 的 な ま ち への 来 訪 が 観 光 現 象 の 一 形 態 として 捉 えることが 可 能 であるかを 考 察 した.その 結 果, 自 身 の 行 きたかっ た 店 で 買 いたかった( 食 べたかった) 商 品 を 購 入 または 飲 食 した(つまり 意 図 ある 消 費 行 動 を 実 施 し た) 来 訪 者 ほど, 自 身 が 観 光 していると 主 観 的 に 判 断 する 傾 向 が 示 された.また, 意 図 ある 消 費 行 動 を 行 う 来 訪 者 は, 消 費 金 額 が 多 くなる 傾 向 が 見 られたこと から, 大 都 市 観 光 地 域 では,こうした 非 日 常 的 な ま ち への 来 訪 に 着 目 した 観 光 施 策 が 有 効 であることが 示 された. 第 二 に,1 観 光 施 設 における 年 間 入 場 者 数,2 鉄 道 駅 における 降 客 数,3 歩 行 者 交 通 量 の 各 変 数 をベース として, 地 域 における 年 間 総 入 込 数 を 推 計 する 方 法 を 考 察 した.その 結 果,ベースとする 変 数 が 異 なっても, 推 計 された 総 入 込 数 は, 概 ね 近 い 数 値 となり, 複 数 の 手 法 を 用 いて 総 入 込 数 を 推 計 することで,より 確 から しい 値 を 導 き 出 せる 可 能 性 を 示 した. 一 方 で,1ベー スとなる 各 変 数 の 実 施 率 が 低 く,サンプルに 対 し 大 き な 拡 大 率 を 必 要 する 場 合 は, 推 計 された 観 光 入 込 客 数 の 精 度 が 保 たれないことや,2 鉄 道 駅 の 乗 換 客 や 自 駅 下 車 客 に 関 するデータの 入 手 が 困 難 であることを 挙 げ た.また,3 歩 行 者 交 通 量 をベースとする 場 合, 通 常 のカウント 調 査 では 特 定 日 のデータに 依 存 せざるを 得 ないことから, 通 年 のデータに 拡 大 する 場 合 は, 交 通 機 関 の 降 客 数 や 駐 車 場, 観 光 施 設 の 入 場 者 数 など 毎 日 の 人 数 を 示 すデータを 別 途 に 準 備 することが 必 要 であることを 述 べた. 最 後 に, 来 訪 者 の 活 動 パターン 着 目 した 年 間 観 光 入 込 客 数 の 推 計 を 試 みた. 謝 辞 本 研 究 は, 東 京 都 台 東 区 と 筆 者 らが 共 同 して 実 施 した 平 成 20 年 度 台 東 区 観 光 客 マーケット 調 査 に 基 づくものであり, 鈴 木 英 雄 台 東 区 観 光 地 域 プロデューサーには 実 務 上 における 多 くの 示 唆 を 頂 戴 した.データ 提 供 にご 協 力 いただいた 関 係 主 体 にもこの 場 をお 借 りして 御 礼 申 し 上 げる. 補 注 (1) 例 えば, 上 野 地 域 の 場 合, 意 図 ある 消 費 行 動 を 行 う 来 訪 者 の 飲 食 代 の 平 均 が1,898 円 であるのに 対 し, 消 費 行 動 を 伴 っても 特 別 の 意 図 がない 来 訪 者 の 飲 食 代 の 平 均 は1,495 円 に 止 まっている. (2) 周 辺 5 区 : 台 東 区 に 隣 接 する 千 代 田 中 央 文 京 墨 田 荒 川 の 各 特 別 区 を 指 す. (3) 乗 換 客 の 割 合 (81.2%)は 定 期 券 利 用 者 に 限 定 した 数 値 であるが,ここでは 普 通 券 利 用 者 も 同 じ 割 合 であ ると 仮 定 している. (4) 普 通 車 =3 人 大 型 車 バス=40 人 バイク=1 人 として 扱 った. 5) 参 考 文 献 1) 国 土 交 通 省 (2007): 観 光 立 国 推 進 基 本 計 画,pp.58-59. 2) 岡 本 伸 之 編 (2001): 観 光 学 入 門, 有 斐 閣 アルマ, pp.46~54. 3) 永 井 護 野 倉 淳 遠 藤 弘 太 郎 (1985): 観 光 地 におけ る 入 込 客 数 の 推 計 方 法, 土 木 学 会 論 文 集 No.353, pp.93-100. 4) 小 林 潔 司 関 原 康 成 (1991): 到 着 地 ベース 調 査 によ る 観 光 入 込 客 数 の 推 計 方 法 に 関 する 研 究, 土 木 計 画 学 研 究 論 文 集 No.9,pp.101-108. 5) 日 本 観 光 協 会 (1996) 全 国 観 光 統 計 基 準, pp.29-31 (2011.8.5 受 付 ) 9