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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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目 次 1. 三 菱 電 機 の 過 大 請 求 事 案 発 覚 から 特 別 調 査 に 至 るまでの 経 緯 2. 特 別 調 査 の 目 的 と 方 法 2.1 特 別 調 査 の 目 的 2.2 特 別 調 査 の 方 法 3. 三 菱 電 機 における 過 大 請 求 の 実 態 とその 原 因 3.1 過 大 請 求 の 実 態 とその 原 因 の 調 査 方 法 3.2 工 数 付 替 えの 目 的 背 景 動 機 3.3 工 数 付 替 えの 実 施 方 法 3.4 工 数 データの 有 無 3.5 組 織 の 問 題 4. 過 払 い 額 算 定 に 係 る 特 別 調 査 4.1 過 払 い 額 算 定 に 係 る 特 別 調 査 の 対 象 4.2 特 別 調 査 の 観 点 4.3 特 別 調 査 の 結 果 5. 過 払 い 額 の 算 定 5.1 過 払 い 額 算 定 の 基 本 的 な 考 え 方 5.2 算 定 結 果 5.3 その 他 6. 再 発 防 止 策 6.1 制 度 調 査 6.2 原 価 監 査 6.3 企 業 側 提 出 資 料 の 信 頼 性 確 保 6.4 契 約 制 度 の 見 直 し 6.5 三 菱 電 機 に 対 する 特 別 調 査 6.6 三 菱 電 機 が 実 施 する 再 発 防 止 策 2

1. 三 菱 電 機 の 過 大 請 求 事 案 発 覚 から 特 別 調 査 に 至 るまでの 経 緯 独 立 行 政 法 人 情 報 通 信 研 究 機 構 ( 以 下 NICT という )は 三 菱 電 機 株 式 会 社 ( 以 下 三 菱 電 機 という )との 間 で 契 約 を 締 結 し 情 報 収 集 衛 星 ( 以 下 IGS とい う ) その 他 の 研 究 開 発 等 を 行 っている NICTは 平 成 24 年 1 月 27 日 の 報 道 発 表 ( 三 菱 電 機 鎌 倉 製 作 所 が 製 造 等 に 直 接 従 事 した 作 業 時 間 である 工 数 1 を 他 の 契 約 等 との 間 で 付 け 替 えることなどにより 申 告 する 工 数 を 水 増 しして 防 衛 省 内 閣 官 房 内 閣 情 報 調 査 室 内 閣 衛 星 情 報 センター( 以 下 CSICE という ) 及 び 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 ( 以 下 JAXA と いう )に 対 して 過 大 請 求 していたという 内 容 )を 踏 まえ NICTとの 契 約 においても 同 様 の 事 態 がないかを 三 菱 電 機 に 対 して 調 査 するよう 指 示 した その 結 果 NICT は 平 成 24 年 2 月 3 日 三 菱 電 機 から NICT との 契 約 におい て 不 適 切 な 作 業 実 績 の 計 上 による 費 用 の 請 求 を 行 っていたとの 報 告 を 受 けたため 三 菱 電 機 に 対 し 当 該 行 為 の 具 体 的 内 容 を 明 白 にし その 原 因 究 明 のため 早 急 に 徹 底 的 な 事 実 関 係 の 調 査 を 実 施 することを 要 求 し 同 社 に 対 して 同 日 付 で 指 名 停 止 の 措 置 を 取 った 同 時 に NICT は 三 菱 電 機 に 対 し 事 実 関 係 の 全 容 解 明 過 払 い 額 の 算 定 を 行 うための 調 査 を 実 施 し 再 発 防 止 策 を 含 めて 調 査 結 果 を 以 下 のとおり 取 りまと めた なお IGS 以 外 の NICT の 研 究 開 発 に 係 る 三 菱 電 機 及 び 三 菱 電 機 の 関 連 会 社 との 契 約 についても 調 査 を 行 ったが 不 適 切 な 請 求 は 認 められなかった 1 工 数 とは 作 業 に 投 入 された 人 数 と 時 間 の 積 により 作 業 量 を 量 るための 数 値 である 1 工 数 は 1 人 時 間 (hour) である 3

2. 特 別 調 査 の 目 的 と 方 法 2.1 特 別 調 査 の 目 的 三 菱 電 機 による 過 大 請 求 事 案 ( 以 下 本 事 案 という )の 実 態 及 びその 原 因 を 明 らかにし 今 後 の 実 効 的 な 再 発 防 止 策 の 策 定 等 につなげるとともに 本 事 案 によって 生 じた 過 払 い 額 等 を 算 定 するために 特 別 調 査 を 実 施 する 2.2 特 別 調 査 の 方 法 1 NICT においては 本 事 案 の 発 覚 を 受 け 調 査 内 容 スケジュール 等 の 計 画 等 の 方 針 を 策 定 するとともに 調 査 結 果 再 発 防 止 策 等 の 妥 当 性 を 検 討 するため 平 成 24 年 2 月 17 日 に 総 務 理 事 を 本 部 長 とする 不 適 切 請 求 問 題 対 策 本 部 の 第 1 回 会 合 を 開 催 した 2 特 別 調 査 に 当 たっては 三 菱 電 機 鎌 倉 製 作 所 ( 以 下 鎌 倉 製 作 所 という ) に 立 入 検 査 を 実 施 し 契 約 関 係 書 類 財 務 帳 簿 勤 務 時 間 関 係 書 類 関 連 の 原 始 帳 票 等 の 関 係 する 書 類 を 確 認 するとともに 財 務 就 業 関 係 の 電 子 システム 電 子 メールの 記 録 三 菱 電 機 社 内 の 調 査 委 員 会 ( 以 下 三 菱 調 査 委 員 会 という ) が 関 係 社 員 に 対 して 聞 き 取 りした 記 録 等 を 確 認 した 3 2の 立 入 調 査 と 並 行 して 三 菱 調 査 委 員 会 の 調 査 結 果 に 関 する 中 間 報 告 を 複 数 回 にわたって 聴 取 し その 内 容 について 立 入 調 査 で 確 認 し 立 入 調 査 の 結 果 に ついて 三 菱 調 査 委 員 会 に 確 認 する 等 の 調 査 を 実 施 した 4 また 特 別 調 査 を 通 じて 本 事 案 の 調 査 結 果 等 の 妥 当 性 等 を 確 保 するため 弁 護 士 の 支 援 を 得 た 4

3. 三 菱 電 機 における 過 大 請 求 の 実 態 とその 原 因 3.1 過 大 請 求 の 実 態 とその 原 因 の 調 査 方 法 調 査 に 当 たっては 三 菱 電 機 の 調 査 員 の 報 告 を 複 数 回 にわたって 聴 取 し その 内 容 の 明 確 化 や 疑 問 点 の 解 消 等 に 努 めるとともに 社 内 の 調 査 委 員 会 が 鎌 倉 製 作 所 の 所 員 に 対 して 行 った 聴 取 の 記 録 等 の 書 類 を 閲 覧 し その 内 容 を 確 認 した また 鎌 倉 製 作 所 の 現 地 調 査 において 過 大 請 求 に 係 るシステム 書 面 等 を 確 認 す るとともに 鎌 倉 製 作 所 の 所 員 に 対 して NICT の 職 員 が 直 接 聞 き 取 り 調 査 を 行 う 等 の 手 法 によって 過 大 請 求 の 実 態 や 原 因 についての 裏 付 けとなる 調 査 を 実 施 した 3.2 工 数 付 替 えの 目 的 背 景 動 機 IGSの 開 発 に 関 してNICTが 三 菱 電 機 と 締 結 した 契 約 は 上 限 付 概 算 契 約 2 と 確 定 契 約 3 であったが 衛 星 開 発 に 主 体 的 に 関 わっていた 鎌 倉 製 作 所 においては 赤 字 工 事 を 減 らすことを 目 的 に 上 限 付 概 算 契 約 確 定 契 約 に 関 わらず 機 種 ごとに 損 益 管 理 を 行 っていた 損 益 管 理 の 基 本 は 実 際 の 製 造 原 価 を 契 約 時 の 製 造 原 価 に 合 わせるこ とである 特 に 上 限 付 概 算 契 約 は 実 際 の 工 事 費 用 が 契 約 時 に 予 定 した 額 を 超 えた 場 合 には 三 菱 電 機 側 が 赤 字 分 を 負 担 し 逆 に 工 事 費 用 が 契 約 時 の 予 定 額 を 下 回 った 場 合 は 差 額 分 を 減 額 されることから 工 事 費 用 を 契 約 時 の 予 定 額 に 一 致 させた 場 合 に 最 大 の 利 益 が 得 られる 仕 組 みとなっている 工 事 費 用 のうち 直 接 材 料 費 等 とは 異 なり 設 計 費 や 加 工 費 等 の 工 数 は 人 為 的 に 計 上 実 績 を 操 作 することが 容 易 であったことから 損 益 管 理 上 減 額 回 避 や 利 益 確 保 のために 工 数 の 付 替 えを 行 っていた これが 今 回 の 過 大 請 求 事 案 が 発 生 した 背 景 である なお 確 定 契 約 においては 契 約 の 相 手 方 からの 支 払 額 は 契 約 時 点 において 確 定 し ているため 実 績 額 が 支 払 額 を 下 回 った 分 は 利 益 になるが 上 回 った 場 合 赤 字 分 は 費 用 の 回 収 ができず 三 菱 電 機 側 で 負 担 することになる 三 菱 電 機 の 宇 宙 事 業 は 赤 字 工 事 が 多 かったことから 契 約 単 位 で 大 幅 な 赤 字 にならないことが 社 内 的 に 求 められて いたため 工 数 の 付 替 えが 行 われていた 確 定 契 約 では 工 数 の 付 替 えがあっても 過 大 請 求 とはならないが 確 定 契 約 と 上 限 付 概 算 契 約 の 間 での 工 数 の 付 替 えにより 損 益 の 平 準 化 の 操 作 が 行 われていた 鎌 倉 製 作 所 においては 契 約 額 に 基 づいて 損 益 管 理 を 行 う 指 標 として 目 標 工 数 を 設 定 していた その 目 標 工 数 は 設 計 費 や 加 工 費 等 に 対 する 工 数 の 目 安 として 各 課 に 配 分 されて 2 上 限 付 概 算 契 約 とは 契 約 金 額 が 確 定 していない 状 態 で 概 算 額 を 見 込 み,その 金 額 をもって 契 約 金 額 とし 調 達 仕 様 書 に 規 定 された 工 事 の 履 行 完 了 後 に 実 際 に 要 した 原 価 を 監 査 し 契 約 金 額 を 上 限 として 支 払 金 額 を 確 定 する 契 約 である 3 確 定 契 約 とは 契 約 前 に 企 業 側 から 提 出 される 見 積 りから 契 約 金 額 を 確 定 する 契 約 である 5

いた 課 長 は 配 布 された 目 標 工 数 を 達 成 することを 責 務 として 捉 え 実 際 の 作 業 時 間 に 基 づき 申 告 する 実 績 工 数 が 目 標 工 数 を 上 回 った 場 合 は その 上 回 った 分 を 目 標 工 数 を 下 回 っている 他 契 約 等 の 実 績 工 数 に 付 け 替 えることにより 当 該 契 約 の 実 績 工 数 として 申 告 していた また 課 長 による 工 数 付 替 えは 課 の 人 員 確 保 という 課 長 固 有 の 動 機 もあった 課 の 人 数 の 適 正 性 を 判 断 するにあたっての 一 つの 指 標 として 標 準 在 場 時 間 に 対 する 課 に 所 属 している 全 作 業 者 の 実 績 工 数 の 合 計 ( 以 下 総 実 績 工 数 という ) との 割 合 である 直 接 作 業 率 ( 以 下 直 作 率 4 という )が 採 用 されていた 標 準 在 場 時 間 は ほぼ 在 籍 人 員 数 に 比 例 するため 総 実 績 工 数 が 少 なくなると 直 作 率 が 低 下 し 同 社 の 人 事 担 当 部 門 から 余 剰 人 員 を 抱 えていると 判 断 され 人 員 削 減 の 対 象 となることから 実 際 の 工 数 が 目 標 工 数 を 超 える 場 合 には 実 際 の 工 数 が 目 標 工 数 を 下 回 ることが 見 込 まれる 別 の 工 事 に 付 け 替 えるなどして 課 の 直 作 率 が 低 下 しない ように 申 告 していた 3.3 工 数 付 替 えの 実 施 方 法 三 菱 電 機 による 工 数 の 付 替 えは 鎌 倉 製 作 所 で 遅 くとも 1990 年 代 初 め( 平 成 2 年 頃 )から 行 われており NICT と 直 接 契 約 した 契 約 間 だけではなく 防 衛 省 CSICE 及 び JAXA の 防 衛 宇 宙 部 門 や 民 需 部 門 等 の 契 約 間 でも 一 部 行 われていた 三 菱 電 機 は 主 に 以 下 の 方 法 によって 付 替 えをするなどして 実 績 工 数 として NICT に 申 告 を 行 っていた 1 課 長 等 が 実 績 工 数 の 集 計 の 際 課 員 が 記 載 した 実 際 の 作 業 時 間 を 手 書 きや 専 用 端 末 等 により 目 標 工 数 に 付 け 替 えて 実 績 工 数 を 計 上 した 2 課 長 が 課 員 に 指 示 して 実 績 工 数 ではなく 目 標 工 数 を 計 上 させていた 3 実 際 の 作 業 時 間 ではない 過 去 の 計 上 実 績 を 実 績 工 数 として 計 上 した 3.4 工 数 データの 有 無 実 際 の 作 業 時 間 を 記 録 した 工 数 データは 元 々 実 際 の 工 数 ではなく 目 標 工 数 に 沿 った 形 で 作 成 されており また システム 上 に 残 存 していたデータも 平 成 22 年 の システムの 切 替 え 時 に 大 半 が 廃 棄 されており 一 部 しか 保 管 されていない (4.3 項 を 参 照 ) 3.5 組 織 の 問 題 工 数 の 付 替 え 行 為 は 課 長 レベルのメールや 口 頭 による 指 示 に 基 づき 作 業 員 のレベ ルで 行 われていたが プロジェクト マネージャーも 付 替 え 行 為 を 認 識 しており 目 標 工 数 の 配 分 を 行 っている また 長 年 にわたる 工 数 付 替 えが 行 われてきていること 4 直 作 率 とは 直 接 作 業 率 で 計 画 においては( 当 該 課 における 計 上 工 数 の 総 和 ) ( 当 該 課 に 所 属 している 直 接 作 業 者 の 人 数 標 準 在 場 時 間 )で 計 算 される 6

から 鎌 倉 製 作 所 や 通 信 機 製 作 所 の 部 長 所 長 レベルについても 製 作 所 の 課 長 とし て 勤 務 している 際 に 付 替 えを 行 っていたこと 等 から 人 により 濃 淡 はあるものの 工 数 付 替 えが 行 われている 事 実 については 認 識 をしていた さらに 鎌 倉 製 作 所 の 上 位 組 織 である 電 子 システム 事 業 本 部 の 本 部 長 をはじめとする 事 業 本 部 幹 部 においても 鎌 倉 製 作 所 において 付 替 えが 行 われていることを 認 識 していた また 三 菱 電 機 では このような 不 正 行 為 の 防 止 や 発 見 をするために 内 部 通 報 制 度 を 設 けていたり 本 社 監 査 部 門 による 鎌 倉 製 作 所 の 内 部 監 査 についても 定 期 的 に 実 施 されていたが 本 件 事 案 が 発 覚 するに 至 るまで 工 数 の 付 替 えを 発 見 することがで きなかった 7

4. 過 払 い 額 算 定 に 係 る 特 別 調 査 4.1 過 払 い 額 算 定 に 係 る 特 別 調 査 の 対 象 額 の 確 定 している IGS の 開 発 に 関 する 上 限 付 概 算 契 約 及 び 確 定 契 約 を 対 象 として 調 査 を 実 施 した 1 上 限 付 概 算 契 約 三 菱 電 機 と 上 限 付 概 算 契 約 を 開 始 した 平 成 17 年 度 以 降 原 価 調 査 を 完 了 し 額 が 確 定 したすべての 契 約 (11 契 約 ) 2 確 定 契 約 NICT 及 び 三 菱 電 機 の 保 管 文 書 からその 内 容 が 確 認 できる 契 約 (7 件 ) 4.2 特 別 調 査 の 観 点 (1) 事 実 確 認 IGS 開 発 に 関 する 契 約 に 基 づく 作 業 が 実 施 されていた 三 菱 電 機 の 設 計 試 験 部 門 及 び 製 造 部 門 における 不 適 切 な 工 数 付 替 えの 実 態 の 確 認 (2) 過 払 い 額 確 定 のための 調 査 1 不 適 切 な 工 数 付 替 えによる 過 払 い 額 の 算 定 ア 三 菱 電 機 鎌 倉 製 作 所 ( 以 下 鎌 倉 製 作 所 という ) 設 計 試 験 部 門 イ 同 製 造 部 門 ウ 三 菱 電 機 通 信 機 製 作 所 ( 以 下 通 信 機 製 作 所 という ) 2 不 適 切 な 工 数 付 替 え 以 外 の 不 適 切 な 請 求 による 過 払 い 額 の 算 定 (3) 確 定 契 約 に 関 する 調 査 工 数 の 付 替 えによる 過 大 請 求 は 発 生 し 得 ないが 過 大 請 求 が 判 明 した 実 績 を 基 に 見 積 りを 作 成 した 契 約 時 に 判 明 していた 実 績 を 反 映 せずに 見 積 りを 作 成 した 等 見 積 りの 虚 偽 性 の 検 証 4.3 特 別 調 査 の 結 果 (1) 事 実 確 認 3. 三 菱 電 機 における 過 大 請 求 の 実 態 とその 原 因 にて 記 述 (2) 過 払 い 額 確 定 のための 調 査 1 不 適 切 な 工 数 付 替 えによる 過 払 い 額 の 算 定 ア 鎌 倉 製 作 所 の 設 計 試 験 部 門 A 不 適 切 な 工 数 付 替 えを 行 う 前 のデータの 有 無 8

設 計 試 験 部 門 では 当 初 から 作 業 データの 改 ざんが 行 われており 原 データは 残 存 しておらず システム 上 も 改 ざんされた 後 のデータのみ が 保 存 されていたことを 鎌 倉 製 作 所 での 特 別 調 査 にて 確 認 した B 代 替 データによる 推 計 ⅰ 上 記 Aで 述 べたように 設 計 試 験 部 門 では 実 際 の 工 数 が 残 存 して いなかったため 鎌 倉 製 作 所 において 人 員 計 画 を 策 定 する 上 での 基 礎 的 データである 負 荷 工 数 5を 使 用 して 真 値 を 推 計 することを 検 討 した ⅱ 当 該 検 討 に 当 たっては 以 下 の 項 目 について 負 荷 工 数 による 推 計 値 と 原 データ( 実 績 人 員 在 場 時 間 6 数 等 )との 整 合 性 のチェックを 多 角 的 に 実 施 し その 確 からしさを 確 認 した a. 負 荷 工 数 の 真 実 性 負 荷 工 数 が 事 案 発 覚 後 に 策 定 されたものでなく 半 年 ごとに 開 かれ る 負 荷 工 数 調 整 会 議 において 事 前 に 策 定 されたものであることを 確 認 した b. 負 荷 工 数 に 基 づく 人 員 計 画 と 実 績 人 員 との 整 合 性 負 荷 工 数 に 基 づく 計 画 人 員 と 実 績 人 員 ( 原 データ 有 )との 比 較 を 行 い 両 者 が 近 似 しており 全 期 間 で 実 績 人 員 が 計 画 人 員 を 上 回 って いることを 確 認 した c. 負 荷 工 数 に 基 づく 直 接 作 業 時 間 の 推 計 の 妥 当 性 原 データの 残 存 する 在 場 時 間 数 から 推 計 した 間 接 作 業 時 間 7( 個 別 の 間 接 作 業 に 要 する 時 間 数 を 作 業 員 からの 聞 取 りにより 積 み 上 げて 推 計 )を 除 いて 推 計 の 直 接 作 業 時 間 を 算 出 した これを 負 荷 工 数 に 基 づき 推 計 された 直 接 作 業 時 間 を 推 計 し 平 成 21 年 ~ 平 成 23 年 におい て 比 較 を 行 い 在 場 時 間 数 から 推 計 したものが 負 荷 工 数 から 推 計 した 直 接 作 業 時 間 を 上 回 っていることを 確 認 した なお 間 接 作 業 時 間 の 推 計 の 確 からしさについては 事 案 発 覚 後 の 平 成 24 度 上 期 の 数 値 を 用 いて 同 様 の 比 較 を 行 うとともに 同 時 期 の 間 接 作 業 時 間 の 計 上 の 適 正 性 を 確 認 するため 作 業 員 が 記 載 している 作 業 日 誌 のサンプル 調 査 を 実 施 した d. 正 常 化 後 の 計 上 工 数 と 負 荷 工 数 との 比 較 検 証 平 成 24 年 2 月 1 日 以 降 工 数 計 上 は 適 正 化 されていることから 平 成 24 年 度 上 期 の 工 数 の 計 上 実 績 ( 計 上 工 数 )と 負 荷 工 数 を 比 較 し 5 負 荷 工 数 とは 契 約 に 対 して 必 要 となる 設 計 試 験 の 作 業 時 間 を 推 定 したものであり 各 部 署 での 人 員 計 画 を 策 定 する 基 礎 データである 6 在 場 時 間 とは 始 業 時 効 から 終 業 時 刻 までの 時 間 から 所 定 の 休 憩 時 間 などを 差 し 引 いた 時 間 のことである 7 間 接 作 業 時 間 とは 直 接 作 業 時 間 以 外 の 作 業 時 間 すべてであり 各 製 品 共 通 の 作 業 等 に 従 事 した 時 間 のことで ある 9

負 荷 工 数 が 実 績 の 計 上 工 数 に 近 しいことを 確 認 した e. 負 荷 工 数 に 基 づく 機 種 別 の 総 作 業 時 間 の 推 計 の 妥 当 性 三 菱 電 機 の 人 事 評 価 関 係 書 類 ( 役 割 成 果 レビューシート)に 基 づ き 作 業 者 の 担 当 を 特 定 し その 作 業 割 合 に 基 づき 特 定 した 機 種 別 (IGS 官 需 商 用 輸 出 その 他 )の 総 作 業 時 間 と 負 荷 工 数 による 推 計 時 間 を 比 較 し 両 者 が 整 合 していることを 確 認 した イ 鎌 倉 製 作 所 の 製 造 部 門 A 不 適 切 な 工 数 付 替 えを 行 う 前 のデータの 有 無 製 造 部 門 では 作 業 者 本 人 が 作 業 の 開 始 時 及 び 終 了 時 に 操 作 するPOP (Point of Production)システム 8 の 原 データが 一 部 の 期 間 を 除 き 残 存 していることを 鎌 倉 製 作 所 での 調 査 において 確 認 した このデータ を 基 に 次 のBで 述 べる 補 正 補 完 による 妥 当 性 の 確 保 を 行 うことによっ て 実 態 原 価 の 推 計 が 可 能 と 判 断 した B 補 正 補 完 による 妥 当 性 の 確 保 ⅰ 補 正 の 必 要 性 及 びその 妥 当 性 a. 補 正 の 必 要 性 POP データは 上 記 A で 述 べたとおり 作 業 者 本 人 が 操 作 するため 人 為 的 なミス( 入 力 忘 れ 等 )が 発 生 することが 避 けられず 作 業 者 の 入 退 出 時 間 就 業 時 間 との 不 整 合 24 時 間 以 上 の 稼 働 本 来 作 業 に 携 わっていない 者 の 作 業 等 を 示 すデータが 散 見 されたため これを 補 正 することが 必 要 であった b. 補 正 プログラムの 検 証 この 補 正 に 当 たっては 対 象 となるデータが 膨 大 であることから 三 菱 電 機 が 上 記 の 補 正 を 自 動 的 に 行 うプログラムを 作 成 した NICT は 各 プログラムの 内 容 を 検 証 するとともに プログラムが 正 常 に 動 作 していることを 確 認 した ⅱ 補 完 の 必 要 性 及 びその 妥 当 性 a. 補 完 の 必 要 性 POP データは ほとんどの 期 間 で 原 データが 残 存 していたが 1 年 弱 ( 平 成 21 年 9 月 ~ 平 成 22 年 8 月 )の 期 間 は 欠 落 していたため 当 該 期 間 における 数 値 を 算 定 するため 何 らかの 方 法 を 用 いて 補 完 する 必 要 があった b. 補 完 方 法 の 検 証 当 該 補 完 に 当 たっては 上 記 ⅰの 補 正 を 経 た POP データに 基 づく 補 正 後 の 工 数 ( 以 下 POP 補 正 工 数 という )と 計 上 工 数 実 績 ( 付 替 8 POP システムとは 加 工 作 業 者 が POP 端 末 で 加 工 作 業 の 前 後 に 作 業 指 示 票 のバーコードを 読 み 取 って 作 業 時 刻 を 記 録 するシステムのことである 10

え 後 の 工 数 )との 比 率 を 算 出 し 課 ごとにその 欠 落 した 期 間 の POP 補 正 工 数 を 推 計 した ウ 通 信 機 製 作 所 の 設 計 試 験 部 門 A 不 適 切 な 工 数 付 替 えを 行 う 前 のデータの 有 無 通 信 機 製 作 所 においても 鎌 倉 製 作 所 と 同 様 に 目 標 工 数 の 維 持 が 目 的 化 され 作 業 実 施 時 から 工 数 付 替 えが 行 われており 原 データは 残 存 し ていなかった また 通 信 機 製 作 所 では 負 荷 工 数 の 策 定 も 行 われていないため 鎌 倉 製 作 所 とは 別 の 手 法 を 用 いて 真 値 を 推 計 することが 必 要 であった B 直 作 率 による 工 数 推 計 直 作 率 を 使 用 して 工 数 の 真 値 を 推 計 することにした 推 計 方 法 は 事 案 発 覚 後 の 正 常 なデータから 直 接 作 業 時 間 と 在 場 時 間 を 算 出 して 直 作 率 を 求 め 工 数 データがない 期 間 の 在 場 時 間 に 直 作 率 を 掛 けることによ る 直 接 作 業 時 間 を 算 出 して 工 数 を 推 計 する なお 工 数 データがない 期 間 の 在 場 時 間 は 入 退 出 データとの 突 合 に より 当 該 在 場 時 間 が 正 しいことを 確 認 した エ 通 信 機 製 作 所 の 製 造 部 門 A 不 適 切 な 工 数 付 替 えを 行 う 前 のデータの 有 無 鎌 倉 製 作 所 のように POP データを 作 成 していなかったため 準 TS を 使 用 して 工 数 を 推 計 することとした B 準 TS の 実 測 TS(Time Standard: 標 準 時 間 )とは 通 信 機 製 作 所 での 標 準 的 な 工 程 における 作 業 時 間 を 実 測 したものであり 人 員 配 置 計 画 の 策 定 等 に 使 われる 基 礎 的 なデータである しかしながら 本 事 案 に 係 る 工 程 は 通 信 機 製 作 所 における TS の 対 象 とならない 工 程 があるため 本 事 案 に 係 る 当 該 9 工 程 について NICT 職 員 が 実 測 に 立 ち 会 って 再 現 実 証 を 行 い 本 事 案 に 係 る 準 TS を 導 出 した 2 不 適 切 な 工 数 付 替 え 以 外 の 不 適 切 な 請 求 による 過 払 い 額 の 算 定 ア 費 目 別 の 不 適 正 計 上 の 有 無 の 確 認 A 設 計 試 験 外 注 費 ⅰ 確 認 方 法 サンプルを 選 定 して 外 注 項 目 ごとに 発 注 に 応 じた 成 果 物 の 存 在 が 確 認 できるか できないか 成 果 物 が 確 認 できても 外 注 の 目 的 に 沿 った 成 果 物 であるか ないかについての 仕 分 けを 行 い 不 明 瞭 な 案 件 は 担 当 者 への 面 接 や 関 係 資 料 の 提 出 をさせるなど 再 チェックを 実 施 した 11

ⅱ 不 適 切 計 上 の 有 無 上 記 ⅰによる 確 認 の 結 果 成 果 物 が 確 認 できない 又 は 成 果 物 が 発 注 の 目 的 に 沿 っていないもの 等 の 不 適 切 な 計 上 が 認 められた B 材 料 費 ⅰ 確 認 方 法 a. サンプルを 選 定 し 実 態 原 価 報 告 書 と 原 価 元 帳 計 上 額 との 突 合 を 行 い 一 致 していることを 確 認 した b. 注 文 書 と 見 積 書 との 突 合 により 取 引 が 正 しく 行 われていることを 確 認 した c. 設 計 図 面 を 確 認 し 当 該 オーダー9 に 使 用 されていることを 確 認 し た ⅱ 不 適 切 計 上 の 有 無 不 適 切 な 計 上 は 見 受 けられなかった C 自 家 製 品 費 専 用 冶 工 具 仕 損 費 ⅰ 確 認 方 法 設 計 試 験 部 門 での 作 業 製 造 部 門 の 作 業 を 基 に 算 出 されているた め 上 記 1ア イにおいて 負 荷 工 数 POP データを 基 に 再 計 算 され た 数 値 を 正 しく 反 映 されているのか 確 認 した ⅱ 不 適 切 計 上 の 有 無 不 適 切 な 計 上 は 見 受 けられなかった D 出 張 費 雑 費 ⅰ 確 認 方 法 a. 出 張 費 は サンプルを 選 定 し 原 価 元 帳 との 突 合 確 認 及 び 出 張 精 算 伝 票 在 場 一 覧 表 旅 費 精 算 伝 票 により 出 張 内 容 妥 当 性 等 を 確 認 した b. 雑 費 は サンプルを 選 定 し 原 価 元 帳 との 突 合 確 認 及 び 注 文 書 と 見 積 書 との 突 合 により 取 引 が 正 しく 行 われていることを 確 認 した ⅱ 不 適 切 計 上 の 有 無 出 張 費 雑 費 とも 不 適 切 な 計 上 は 見 受 けられなかった (3) 確 定 契 約 に 関 する 調 査 確 定 契 約 については 契 約 時 に 支 払 額 が 確 定 し 工 数 の 付 替 えによる 利 益 の 最 大 化 といった 問 題 はなく また 工 数 付 替 えによる 過 払 いの 問 題 は 発 生 すること はない しかしながら 確 定 契 約 に 係 る 作 業 についても 過 大 請 求 が 判 明 した 実 績 を 基 9 オーダーとは 契 約 を 更 に 細 分 化 した 作 業 の 単 位 のことである 12

に 作 成 した 見 積 りや 契 約 時 に 判 明 していた 実 績 を 反 映 せずに 作 成 した 見 積 り 等 虚 偽 の 見 積 りによって 契 約 額 が 決 定 されている 場 合 返 還 請 求 の 対 象 となると 考 えられる 宇 宙 関 連 事 業 においては ほとんど 全 てが 開 発 の 伴 う 新 規 品 であり 従 前 の 契 約 において 計 上 された 作 業 工 数 を 見 積 りの 根 拠 値 として 使 用 していないとしてい るが 見 積 りにおける 虚 偽 性 を 確 認 するため 以 下 の 手 法 によってサンプル 調 査 を 実 施 したが 見 積 りに 虚 偽 がなかったことを 確 認 した ⅰ 契 約 別 の 見 積 / 実 態 差 異 書 を 入 手 チェックし 見 積 りと 実 態 とが 異 な る 項 目 の 詳 細 な 差 異 内 容 の 有 無 ⅱ 差 異 があるものについて 差 異 理 由 の 主 要 因 となる 費 目 について 証 憑 等 ( 見 積 書 進 捗 管 理 表 等 )からの 妥 当 性 の 確 認 できること 13

5. 過 払 い 額 の 算 定 5.1 過 払 い 額 算 定 の 基 本 的 な 考 え 方 本 事 案 は 契 約 に 基 づく 作 業 が 行 われた 段 階 から 目 標 工 数 による 作 業 記 録 の 作 成 が 作 業 員 に 対 して 指 示 され 実 態 に 基 づく 設 計 試 験 費 の 工 数 や 加 工 費 の 工 数 は 記 録 として 存 在 しないという 一 重 帳 簿 的 な 方 法 で 付 け 替 えられており 付 替 え 前 の 工 数 を 正 規 に 記 録 した 資 料 に 基 づいて 真 の 原 価 ( 以 下 真 値 という )を 算 出 する ことができない 状 況 である このため 4. 過 払 い 額 算 定 に 係 る 特 別 調 査 の 項 で 述 べたとおり 設 計 試 験 費 の 工 数 については 三 菱 電 機 に 残 された 他 の 資 料 に 基 づき 特 別 調 査 で 真 値 におおむ ね 相 当 するデータであると 判 定 した 代 替 データを 用 いて 真 値 を 推 計 また 加 工 費 の 工 数 については 一 部 の 期 間 を 除 き システム 上 にデータが 残 存 していたことから 当 該 データを 補 正 補 完 した 上 で 真 値 を 推 計 した さらに 不 適 切 な 工 数 の 付 替 え 以 外 の 不 適 切 な 請 求 による 過 払 い 額 についても 4. 3(2)2 不 適 切 な 工 数 付 替 え 以 外 の 不 適 切 な 請 求 による 過 払 い 額 の 算 定 の 項 で 述 べた 手 法 により 過 払 い 額 の 算 定 を 行 った 5.2 算 定 結 果 上 記 5.1 項 に 述 べたような 方 法 によって 上 限 付 概 算 契 約 (11 件 )で 支 払 い 済 みの 21 経 費 区 分 10 に 関 して 過 払 い 額 を 算 定 した 結 果 契 約 総 額 約 204 億 円 ( 税 抜 き)に 対 して 過 払 い 額 約 7 億 円 ( 税 抜 き)であった 5.3 その 他 三 菱 電 機 に 対 しては 5.2 項 に 述 べた 過 払 い 額 の 他 契 約 の 違 約 金 条 項 に 基 づく 相 応 の 違 約 金 等 を 請 求 する 予 定 である また 民 事 法 定 利 率 の 遅 延 損 害 金 (5% ) 特 別 調 査 に 要 した 費 用 等 の 損 害 賠 償 請 求 を 行 う 予 定 である 10 経 費 区 分 とは 各 契 約 における 開 発 段 階 ごと( 概 念 設 計 要 素 試 作 試 験 システム 設 計 等 )の 区 分 であり 各 契 約 の 中 には 開 発 段 階 ごとに 経 費 区 分 を 設 定 しており この 経 費 区 分 ごとに 上 限 金 額 を 設 けて 計 理 が 行 われる 14

6. 再 発 防 止 策 今 後 本 事 案 のような 工 数 付 替 えによる 過 大 請 求 等 契 約 相 手 方 の 不 正 な 行 為 等 に 基 づく 不 正 請 求 等 の 再 発 等 を 防 ぐために 3. 三 菱 電 機 における 過 大 請 求 の 実 態 とそ の 原 因 の 内 容 の 分 析 会 計 検 査 院 の 報 告 11 や 意 見 12 等 も 踏 まえ NICTでのIGSの 開 発 に 係 る 契 約 における 再 発 防 止 策 を 以 下 のとおり 取 りまとめた 6.1 制 度 調 査 NICTは 三 菱 電 機 に 対 して 上 限 付 概 算 契 約 における 契 約 書 の 中 で 制 度 調 査 13を 実 施 することとしているが 制 度 調 査 の 対 象 となる 経 費 率 や 原 価 計 算 システムについ ては 同 種 の 契 約 を 三 菱 電 機 と 締 結 しているJAXAと 同 じ 経 費 率 を 使 用 していること また 鎌 倉 製 作 所 の 原 価 計 算 システムはJAXA 用 とNICT 用 は 同 一 であること JAXA が 三 菱 電 機 に 対 して 制 度 調 査 を 実 施 していることから NICT 独 自 に 制 度 調 査 により 確 認 する 必 要 がないとして これまで 制 度 調 査 を 実 施 していなかった これに 対 して 会 計 検 査 院 から 制 度 調 査 は 経 費 率 の 適 正 性 を 確 認 するだけでな く 見 積 書 等 の 適 正 性 を 確 認 するために 個 々の 契 約 の 作 業 現 場 において 工 数 計 上 の 実 態 を 把 握 することなどにより 原 価 計 算 のためのシステムの 適 正 性 等 を 確 認 する 調 査 であること JAXA が 実 施 する 制 度 調 査 は NICT が 締 結 した 契 約 を 調 査 対 象 として いないことなどから NICT は 制 度 調 査 の 必 要 性 実 施 方 法 等 について 十 分 に 検 討 す る 必 要 がある と 指 摘 され また 制 度 調 査 を 実 施 できるよう 体 制 整 備 を 図 り 実 施 に 当 たっては 実 績 及 び 知 見 を 有 する 他 の 調 達 機 関 と 連 携 を 図 るなど 制 度 調 査 の 実 施 方 法 等 について 早 急 に 検 討 を 行 うこと との 意 見 が 表 示 された 上 記 会 計 検 査 院 の 意 見 も 踏 まえ NICT において 以 下 のような 方 法 によって 制 度 調 査 を 実 施 することを 検 討 している 1 制 度 調 査 原 価 監 査 専 任 の 担 当 者 を 配 置 する 2 公 認 会 計 士 の 協 力 を 得 て 制 度 調 査 のための 実 施 要 領 を 整 備 する 3 制 度 調 査 の 実 施 に 当 たり ノウハウを 有 する 公 認 会 計 士 を 活 用 する 4 制 度 調 査 の 結 果 をもって CSICE JAXA と 協 議 を 行 い CSICE JAXA との 共 通 部 分 を 確 認 し 次 回 以 降 の 制 度 調 査 で CSICE JAXA と 連 携 しながら 実 施 する 11 会 計 検 査 院 発 国 会 宛 三 菱 電 機 株 式 会 社 等 による 過 大 請 求 事 案 に 関 する 会 計 検 査 の 結 果 について 平 成 24 年 10 月 12 会 計 検 査 院 長 発 NICT 理 事 長 宛 情 報 収 集 衛 星 の 研 究 開 発 等 に 関 する 契 約 等 における 制 度 調 査 及 び 原 価 監 査 の 実 施 状 況 等 について 平 成 24 年 10 月 25 日 13 制 度 調 査 とは 契 約 相 手 方 から 示 された 見 積 書 等 や 経 費 率 の 適 正 性 を 会 計 制 度 等 の 面 から 確 認 するため 契 約 相 手 方 の 原 価 計 算 制 度 及 び 見 積 り 手 順 手 法 その 他 原 価 要 素 別 に 費 用 を 積 上 げ 計 算 する 原 価 計 算 方 式 に 関 する 事 項 を 調 査 するものである 15

6.2 原 価 監 査 上 限 付 概 算 契 約 において NICT は 三 菱 電 機 に 契 約 で 定 めた 経 費 区 分 の 事 項 単 位 の 業 務 が 完 了 した 場 合 には 費 用 の 発 生 状 況 を 詳 細 に 記 述 した 実 績 原 価 報 告 書 を 提 出 させ 原 価 監 査 を 実 施 してきた これに 対 して 会 計 検 査 院 から NICT の 原 価 監 査 において NICT 職 員 が 三 菱 電 機 の 事 業 所 で 個 別 に 担 当 者 への 説 明 を 求 めていたものの 三 菱 電 機 が 示 す 事 項 の 事 実 確 認 を 中 心 に 行 っていた また あらかじめ 三 菱 電 機 が 準 備 した 帳 票 類 を 突 合 してい た このような 原 価 監 査 では 一 重 帳 簿 による 工 数 付 替 えを 発 見 したり 牽 制 するのは 困 難 であり 実 際 に 工 数 計 上 を 行 った 担 当 者 への 聴 取 抜 打 ちによる 原 価 監 査 作 業 現 場 に 赴 いて 作 業 実 態 工 数 計 上 の 手 続 き 等 を 実 地 に 確 認 する 調 査 (フロアチェック) を 行 うことが 有 効 であるが NICT はこれを 行 っていなかった また 原 価 監 査 で 監 査 すべき 項 目 や 監 査 方 法 などを 規 定 した 原 価 監 査 実 施 要 領 を 整 備 していなかったこ とから 一 重 帳 簿 による 工 数 付 替 えに 対 応 できなかった と 指 摘 され 自 らが 監 査 の 項 目 を 選 定 して 直 接 担 当 者 に 確 認 したり フロアチェックを 実 施 したり 抜 打 ち 監 査 を 行 ったりするなど 実 際 の 発 生 工 数 原 価 計 算 の 実 態 等 の 把 握 が 行 えるよう 監 査 の 手 法 等 を 見 直 すとともに これを 反 映 させた 実 施 要 領 を 整 備 したり 監 査 が 効 果 的 に 実 施 できるような 体 制 を 整 備 したりするなど 原 価 監 査 の 充 実 強 化 を 図 ること との 意 見 を 表 示 された 上 記 を 踏 まえ NICT では 以 下 のように 原 価 監 査 を 充 実 強 化 を 図 る 1 制 度 調 査 を 実 施 し これを 踏 まえ 公 認 会 計 士 の 協 力 も 得 ながら 原 価 監 査 実 施 要 領 を 整 備 する 2 原 価 監 査 を 実 施 するに 当 たり 公 認 会 計 士 を 活 用 する 6.3 企 業 側 提 出 資 料 の 信 頼 性 確 保 企 業 側 から 提 出 される 資 料 の 信 頼 性 を 確 保 することは 必 要 不 可 欠 である 過 払 い 事 案 の 発 生 を 未 然 に 防 ぎ また 過 払 い 案 件 を 的 確 に 発 見 できるよう 資 料 の 信 頼 性 を 確 保 するために 契 約 上 の 制 裁 措 置 として 違 約 金 規 定 等 の 以 下 の 内 容 を 付 して 契 約 ( 契 約 履 行 中 の 案 件 については 契 約 変 更 時 に 改 訂 予 定 )を 行 う 1 実 際 原 価 を 確 認 するために 必 要 となる 作 業 報 告 書 出 勤 簿 及 び 給 与 支 払 明 細 書 に 相 当 する 帳 票 類 ( 電 子 データを 含 む)の 保 存 期 間 を 委 託 契 約 の 代 金 の 支 払 いが 完 了 した 日 の 属 する 年 度 の 翌 年 度 の 4 月 1 日 から 1 年 間 とする 2 虚 偽 の 見 積 等 による 請 求 に 対 して 違 約 金 を 2 倍 とする 悪 質 な 場 合 の 更 なる 増 額 等 を 検 討 する 3 事 前 の 通 告 を 行 わない 抜 打 ちによる 調 査 (フロアチェックを 含 む)を 実 施 する なお 上 記 3に 関 連 して NICT は 三 菱 電 機 と 抜 打 ち 調 査 に 関 する 覚 書 を 既 に 交 わしており 本 年 8 月 2 日 及 び 12 月 19 日 に 鎌 倉 製 作 所 に 対 して 抜 打 ち 調 査 を 実 施 している 16

今 回 の 過 大 請 求 事 案 は 工 数 付 替 えを 主 とするものであり 作 業 実 態 ( 特 に 工 数 ) の 記 録 の 信 頼 性 に 重 大 な 問 題 があったことから 作 業 実 態 の 記 録 を 確 保 して 工 数 付 替 えを 防 止 する 観 点 で 調 査 を 行 った また 事 案 発 覚 後 に 三 菱 電 機 が 自 発 的 に 実 施 して いた 再 発 防 止 の 取 組 み 状 況 の 確 認 も 行 った 抜 打 ち 調 査 では 実 際 に 作 業 室 に 出 向 いて 課 長 等 及 び 課 員 に 対 して 直 接 ヒアリン グを 行 いながら 当 日 の 作 業 計 画 表 に 基 づいた 人 員 配 置 が 行 われていること 作 業 計 画 表 に 沿 った 作 業 が 実 施 されていること 作 業 日 誌 が 適 切 に 記 載 されており かつ 就 業 管 理 システムの 入 力 内 容 と 整 合 していること 作 業 日 誌 が 上 長 により 検 認 されて いること 作 業 日 誌 が 適 切 に 保 管 されていること 等 について 確 認 を 行 い 不 適 切 な 事 象 がないことを 確 認 した また 電 子 システム 事 業 本 部 コンプライアンス 室 鎌 倉 製 作 所 の 課 長 レベルから 再 発 防 止 における 取 組 状 況 等 の 説 明 の 聴 取 を 行 った 6.4 契 約 制 度 の 見 直 し 今 回 の 過 大 請 求 問 題 が 発 生 したのは 上 限 付 概 算 契 約 を 行 っている IGS の 開 発 に 関 するものである IGS の 開 発 は 大 型 衛 星 を 開 発 できる 国 内 企 業 に 限 られているが NICT は JAXA と 共 同 で 価 格 についても 評 価 要 素 とした 企 画 競 争 により 再 委 託 先 を 選 定 した 上 で 上 限 付 概 算 契 約 を 締 結 している しかしながら 今 回 の 事 案 では 製 造 原 価 の 低 減 等 による 返 納 回 避 による 利 益 の 最 大 化 のインセンティブが 主 要 な 要 因 にもなっていることから 企 業 側 の 製 造 に 係 る 費 用 削 減 のためのインセンティブを 保 ちつつ 競 争 的 な 環 境 で 開 発 等 を 行 う 枠 組 みにつ いて 検 討 することが 重 要 であると 考 える このため CSICE JAXA からの 受 託 契 約 との 整 合 性 を 確 認 しつつ 企 業 側 の 製 造 に 係 る 費 用 削 減 のインセンティブを 保 てる 調 達 制 度 を 検 討 する 6.5 三 菱 電 機 に 対 する 特 別 調 査 NICT は 必 要 に 応 じて 三 菱 電 機 に 対 して 特 別 調 査 を 実 施 することにより 1 コンプライアンス 体 制 が 強 化 され コンプライアンスが 確 実 に 機 能 しているこ と 2 作 業 時 間 計 上 の 適 正 であること 3 外 注 管 理 ( 設 計 試 験 外 注 )が 適 正 であること などの 三 菱 電 機 が 取 り 組 んでいる 再 発 防 止 策 が 確 実 に 実 施 されており 今 後 も 引 続 き 不 正 を 起 こさない 職 場 環 境 であることを 確 認 していく 6.6 三 菱 電 機 が 実 施 する 再 発 防 止 策 三 菱 電 機 は 本 事 案 を 受 けて 同 様 な 不 正 事 案 を 再 び 起 こさないため 同 社 が 既 に 実 施 し また 今 後 実 施 する 予 定 の 再 発 防 止 策 について 以 下 のとおり NICT に 対 して 報 告 を 行 った 17

ア. 三 菱 電 機 全 社 コンプライアンス 体 制 に 関 する 再 発 防 止 策 (1) 全 社 コンプライアンス 方 針 の 明 確 化 と 浸 透 策 の 推 進 1 三 菱 電 機 社 長 から 法 や 契 約 に 反 する 活 動 行 為 は 行 わない 旨 のメッセー ジ( 指 示 ) 発 信 などによるコンプライアンス 方 針 の 再 徹 底 2 三 菱 電 機 全 従 業 員 へのコンプライアンス 教 育 や 各 階 層 別 のコンプライアン ス 研 修 の 実 施 によるコンプライアンス 意 識 の 向 上 (2)コンプライアンスに 関 する 監 査 調 査 体 制 の 強 化 1 内 部 通 報 制 度 の 見 直 し 2 三 菱 電 機 のみならず 他 社 における 不 正 不 祥 事 事 例 等 を 踏 まえたリスクの 把 握 と 予 防 策 の 展 開 等 社 内 監 査 の 改 善 を 行 う 3 三 菱 電 機 社 内 監 査 部 門 による 再 発 防 止 策 の 実 施 定 着 状 況 の 確 認 監 査 (3) 三 菱 電 機 全 社 コンプライアンス 施 策 の 推 進 体 制 の 強 化 三 菱 電 機 全 本 部 に 本 部 長 直 轄 組 織 として コンプライアンス 部 を 新 設 やコ ンプライアンス 要 員 の 増 強 (4) 将 来 の 経 営 管 理 者 の 育 成 コンプライアンスを 含 めた 多 面 的 な 価 値 観 見 識 を 有 する 多 様 な 人 材 を 計 画 的 に 育 成 (5) 厳 格 な 社 内 処 分 の 実 施 本 事 案 に 関 与 した 関 係 者 の 厳 正 な 社 内 処 分 の 実 施 と 法 契 約 違 反 行 為 に 対 しては 極 めて 厳 格 な 社 内 処 分 を 行 うとの 方 針 の 周 知 徹 底 イ. 電 子 システム 事 業 本 部 に 関 する 再 発 防 止 策 (1) 電 子 システム 事 業 本 部 における 経 営 陣 の 刷 新 本 部 長 並 びに 副 本 部 長 電 子 システム 業 務 部 長 の 経 営 幹 部 については 電 子 システム 事 業 本 部 以 外 の 部 門 からの 登 用 を 実 施 し 経 営 陣 を 一 新 した また 事 案 終 結 後 事 案 に 関 係 するその 他 経 営 幹 部 の 再 配 置 を 行 う (2)コンプライアンス 体 制 の 強 化 電 子 システム 事 業 本 部 内 にコンプライアンス 室 を 設 置 する また 鎌 倉 製 作 所 通 信 機 製 作 所 の 両 製 作 所 に 電 子 システム 事 業 コンプライアンス 室 兼 務 者 ( 副 所 長 総 務 部 長 )を 配 置 する (3) 電 子 システム 事 業 本 部 における 経 営 管 理 手 法 の 見 直 し 事 業 全 体 での 損 益 管 理 から 個 別 機 種 別 損 益 管 理 による 経 営 管 理 手 法 に 改 める 1 工 数 付 替 えを 誘 引 する 損 益 の 厳 しい 工 事 ( 赤 字 工 事 )の 受 注 時 損 益 管 理 の 強 化 2 個 別 契 約 単 位 で 適 正 な 原 価 計 上 実 績 を 把 握 するとともに 徹 底 した 原 価 低 減 と 生 産 力 強 化 による 製 品 競 争 力 の 強 化 損 益 改 善 18

(4) 作 業 時 間 計 上 の 適 正 化 1 作 業 項 目 と 期 限 による 個 人 への 作 業 指 示 従 来 行 っていた 個 人 への 目 標 工 数 指 示 を 暫 時 取 りやめ 上 長 から 各 個 人 へは 作 業 項 目 と 期 限 を 指 示 し 作 業 工 程 管 理 を 行 う 2 作 業 日 誌 による 作 業 内 容 と 作 業 時 間 の 記 録 各 課 員 は 1に 記 述 の 上 長 指 示 に 基 づき 作 業 を 行 った 後 作 業 日 誌 を 作 成 す る 上 長 は 日 々 部 下 の 作 業 日 誌 に 記 載 された 作 業 内 容 計 上 された 契 約 及 び 計 上 された 作 業 時 間 が 整 合 しているかを 確 認 する 各 課 員 が 作 成 した 作 業 日 誌 は 透 明 性 を 高 めるため 管 理 者 が 紙 面 にて 保 管 す るとともに 写 を 各 製 作 所 のコンプライアンス 部 門 が 保 管 する 3 直 接 作 業 間 接 作 業 の 区 分 明 確 化 具 体 的 作 業 内 容 に 照 らした 直 接 間 接 作 業 の 計 上 区 分 を 指 針 (ガイドライン) として 示 すことにより 作 業 時 間 計 上 ルールの 明 確 化 を 図 る (5) 作 業 時 間 計 上 に 対 する 監 査 両 製 作 所 内 の 各 部 門 によるセルフチェック 電 子 システム 事 業 コンプラアン ス 部 による 監 査 などの 実 施 (6)システム 及 びデータの 健 全 性 確 保 のための 仕 組 み 構 築 既 存 の 費 用 請 求 に 係 るシステムに 対 する 三 菱 電 機 社 内 の 第 三 者 による 健 全 性 確 認 や 今 後 のシステムの 機 能 追 加 改 善 時 における 健 全 性 確 認 と 社 内 コン プライアンス 部 門 による 確 認 ( 監 査 ) (7) 外 注 管 理 ( 設 計 外 注 )の 適 正 化 外 注 案 件 の 仕 様 審 査 時 に 生 産 計 画 との 整 合 と 作 業 内 容 の 適 正 性 を 確 認 と 発 注 者 と 検 収 者 を 分 離 による 成 果 物 の 要 求 仕 様 への 整 合 を 確 認 (8) 契 約 制 度 原 価 計 算 規 定 の 理 解 促 進 に 向 けた 教 育 電 子 システム 事 業 本 部 全 所 属 員 に 対 して 当 該 過 大 請 求 事 案 に 関 する 説 明 NICT との 契 約 に 関 する 教 育 原 価 計 算 規 定 に 関 する 教 育 などの 実 施 19