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2011 年 12 月 22 日 ロイヤリング 講 義 講 師 : 弁 護 士 許 功 先 生 文 責 渡 辺 望 医 療 事 故 と 交 通 事 故 ~ 医 療 過 誤 法 入 門 ~ Ⅰ.はじめに 私 は 1980 年 に 阪 大 法 学 部 に 入 学 して 5 年 生 のときに 医 学 部 に 入 り 直 した 司 法 試 験 に 合 格 し 医 者 と 同 時 並 行 でやっていた 現 在 弁 護 士 は22 年 目 であり 今 までに 約 420 件 の 医 療 事 故 の 案 件 をやってきた この 件 数 は 全 国 でも 上 から 数 えるほどの 数 字 であると 思 う そのうちの 半 分 が 示 談 交 渉 で 終 わっており もう 半 分 が 判 決 という 形 である 加 えて 弁 護 士 業 務 の22 年 間 すべて 医 療 法 務 1 本 でやってきて 医 療 法 務 専 門 の 弁 護 士 として 法 律 事 務 所 を 経 営 しています 法 律 の 専 門 分 野 としては どんな 弁 護 士 でもすべての 法 律 を 経 験 するが 私 はプラス 自 分 の 専 門 分 野 として 医 療 法 務 をしていま す 医 療 の 専 門 分 野 は 外 科 です 臨 床 医 として 現 在 も 少 ない 回 数 ではありますが 外 来 を 診 療 しております 医 療 の 仕 事 を 現 在 も 続 けて 行 くことで 日 々 変 化 して 行 く 医 療 の 内 容 を 肌 で 感 じながら 弁 護 士 の 仕 事 を 出 来 ていることは 幸 運 な 環 境 にあると 考 えてい る 今 日 の 講 義 の 主 題 は 医 療 過 誤 法 入 門 であるが 基 本 的 な 理 念 考 え 方 を 踏 まえながら 医 療 事 件 に 対 してどのような 姿 勢 で 対 峙 していくのかを 感 じてもらえるような 講 義 に したいと 思 う Ⅱ. 基 本 的 人 権 と 医 療 1. 医 療 行 為 の 目 的 について まず みなさんが 学 んでいる 憲 法 の 基 本 的 人 権 とは 何 でしょうか 学 生 生 まれながらに 持 っている 権 利 です これを みなさんが 朝 起 きてから 寝 るまでの 間 に 生 の 生 活 で 感 じる 言 葉 で 表 現 する と 奪 われ 得 ないもの が 人 権 であり 列 挙 すると 幸 福 追 求 権 自 由 権 不 当 に 拘 束 されない 権 利 不 当 に 生 命 を 奪 われない 権 利 考 える 自 由 など 様 々なものがある こ れらは 当 然 のものであるが 実 際 には 過 去 の 歴 史 の 中 で 奪 われて 来 た 経 緯 があるので

憲 法 で 奪 われ 得 ないもの と 作 られてきた 医 療 の 目 的 は 基 本 的 には 生 命 身 体 の 健 康 である では 今 挙 げた 基 本 的 人 権 と 医 療 の 目 的 の 関 係 は 何 だろうか 学 生 共 に 自 由 に 生 きるのを 助 けるもので 不 可 分 なものです 病 気 になって 健 康 を 奪 われると 自 由 に 生 きられないという 意 味 で 基 本 的 人 権 の 前 提 に 立 っているのが 医 療 である つまり 基 本 的 人 権 と 医 療 の 目 的 は 同 じであり 両 者 は 決 して 対 峙 するものではない 五 体 満 足 に 生 まれた 者 も 障 害 者 に 対 しても 差 別 がなされ てはならず 平 等 な 機 会 を 与 え 同 じように 幸 福 を 追 求 する 権 利 がある 医 療 の 面 でも 同 様 であり 差 別 なくリハビリなどの 保 護 が 必 要 になる まとめると 私 たちが 学 ぶ 基 本 的 人 権 と 医 療 というのは 全 く 同 じ 方 向 を 目 指 しているのである 2. 医 療 の 理 念 最 大 多 数 の 幸 福 追 求 例 えば タミフルを 使 用 したら 副 作 用 が 起 こり 脳 性 麻 痺 等 の 症 状 が 出 てしまった しかしこれは 医 療 の 持 つ 内 在 的 な 特 質 である 薬 というのは 例 えば95% 程 の 安 全 性 で 認 可 されてしまうからである 999 人 の 命 を 助 けるための 医 療 なのである つまり 1000 人 のうちの1 人 は 治 るのではなくもっと 重 篤 な 症 状 に 陥 ることになる 実 際 に 盲 腸 の 手 術 でも1 万 人 に1 人 くらいは 亡 くなりうる 理 由 は 麻 酔 の 副 作 用 やトラ ブルなど 様 々なケースが 存 在 する 医 療 というのは 必 ず 害 をもたらす 危 険 性 をはらんでいる これが 最 大 多 数 の 幸 福 追 求 のための 医 療 なのである あくまでも 最 大 多 数 にとって 安 全 で 有 益 であれば 医 療 と して 十 分 価 値 があるし これは 誰 が 見 てもそのような 医 療 を 受 けることを 肯 定 するもの である しかし 一 方 で 私 の 医 療 過 誤 の 紛 争 の 仕 事 と 言 うのは 最 大 多 数 から 不 幸 にも 外 れて しまった 人 つまり1000 人 のうちの1 人 にもれた 人 の 救 済 に 関 するものである こ れまで 医 療 と 基 本 的 人 権 の 話 は 同 じ 目 的 であると 述 べてきたが 一 転 して 利 害 対 立 の 強 い 状 況 に 変 わって 行 く 単 に 対 立 当 事 者 が あなたの 過 失 によって 被 害 を 受 けた と いう 事 象 を 処 理 するだけの 問 題 ではない 非 常 に 大 きなバックグラウンドを 持 った 世 界 共 通 の 認 知 の 上 に 立 った 問 題 である 医 療 と 人 権 というのは 本 来 同 じ 人 間 の 幸 福 追 求 をサポートするシステムであるにも 関 わらず 医 療 事 故 の 場 面 では 対 立 する 話 となってしまうのである そこで 両 者 をどの ように 調 和 させるのか どこに 解 決 線 を 見 出 すのか それが 弁 護 士 裁 判 官 らの 仕 事 で ある

Ⅲ. 医 療 事 故 の 法 的 処 理 と 交 通 事 故 の 法 的 評 価 処 理 の 比 較 交 通 事 故 というのは 今 までの 話 とは 全 く 違 う 状 況 下 で 起 きてしまう ただ 同 じ 不 法 行 為 や 債 務 不 履 行 の 問 題 として 処 理 せざるを 得 ないので 対 比 してみる まず 医 療 事 故 の 損 害 賠 償 の 際 に 用 いる 条 文 は 民 法 の415 条 709 条 である これらの 条 文 の 理 念 は ご 存 知 のように 被 害 者 救 済 と 損 害 補 填 の 公 平 な 分 担 である これらは 債 権 総 則 で 勉 強 されているかと 思 います 不 法 行 為 の 成 立 要 件 は 1 故 意 また は 過 失 によって 他 人 の 権 利 を 侵 害 すること 2 因 果 関 係 である これを 満 たす 場 合 には 加 害 者 側 に 法 的 責 任 が 生 じる 次 に 415 条 と709 条 では 成 立 要 件 に 違 いはあるでしょうか? 学 生 不 法 行 為 の 方 は 故 意 または 過 失 で 権 利 の 侵 害 が 要 件 であるのに 対 して 415 条 の 場 合 は 契 約 違 反 等 も 含 まれる 点 が 異 なる では 両 者 ともに 医 療 契 約 関 係 にあるという 前 提 の 場 合 は 成 立 要 件 に 差 異 はあります か 学 生 過 失 について 差 がある 709 条 の 場 合 過 失 がなければ 責 任 が 生 じるが 債 務 不 履 行 の 場 合 は 契 約 を 履 行 しなければならない 結 果 責 任 のイメージを 持 っている この 場 合 は 立 証 責 任 の 問 題 になる 債 務 不 履 行 の 場 合 には 結 果 が 生 じたらそれは 債 務 不 履 行 ではないということを 不 履 行 した 者 が 言 わなくてはならない 医 療 訴 訟 に おいては 実 際 に 結 果 が 発 生 した 場 合 過 失 の 立 証 は 患 者 がしなくてはならない 条 文 に 反 しているように 見 えるかもしれないが 過 失 の 特 定 自 体 は 患 者 がしなくてはならない この 過 失 の 特 定 作 業 は 過 失 の 立 証 作 業 とほとんど 同 じであるので 415 条 709 条 で 構 成 する 点 に 差 異 はないということが 言 える では 何 に 差 異 があると 考 えられるでしょうか 学 生 それは 時 期 や 期 間 にある 提 訴 の 権 利 行 使 期 間 が 709 条 が 損 害 があったこ と 加 害 者 を 知 ったときから3 年 であるのに 対 し 415 条 は 債 券 を 公 使 出 来 る 時 か ら10 年 である では その 知 ったとき というのは 何 を 知 るのでしょうか 学 生 損 害 があったこと それでは 医 療 訴 訟 に 戻 って 考 えましょう 医 療 過 誤 で 家 族 が 死 んだケースを 想 定 し た 場 合 である 709 条 について 知 ったとき というのは 損 害 の 発 生 を 知 ったとき であり 加 害 者 については 執 刀 した 医 師 か 判 断 した 医 師 である 医 者 には 医 療 過 誤 ではないと 説 明 をされた もしもそのまま 家 族 が 死 んだときには 医 療 過 誤 と 知 らず 10 年 後 に 医 療 過 誤 であったことを 知 った 場 合 について 知 ったとき に 当 たるかについては 当 たらないであろう

また 遅 延 利 息 の 起 算 は 709 条 については 不 法 行 為 の 時 からであり 債 務 不 履 行 の 時 は 請 求 の 時 からである ここで 被 害 者 救 済 と 損 害 い 補 填 の 公 平 な 分 担 という 理 念 に 戻 る この 理 念 はからする と 医 療 事 故 というのは 患 者 を 救 済 するために 法 律 家 や 裁 判 所 が 処 理 する 場 面 である つまり 被 害 者 救 済 の 立 場 に 立 って 法 的 処 理 をするということである 本 来 同 じ 目 的 で 医 療 者 も 法 律 家 もやって 来 たにもかかわらず 医 療 事 故 の 場 合 では 相 対 する 立 場 とし て 行 うという 難 しい 問 題 状 況 がある どちらを 保 護 するべきか ということは 一 概 には 言 えず どちらも 保 護 しなければなら ないが どこかで 線 引 きをする 必 要 がある Ⅳ 設 例 の 検 討 1. 過 失 判 断 ここから 具 体 的 な 事 例 に 入 っていく みなさんに 医 療 事 故 の 過 失 判 断 の 難 しさを 実 感 してもらおうと 思 う Ex1) 大 腸 ファイバーの 穿 孔 事 例 ( 過 失 判 断 の 具 体 的 検 討 ) 大 腸 の 悪 性 腫 瘍 の 有 無 を 検 査 するために 大 腸 ファイバー 検 査 を 受 けましたが S 状 結 腸 と 下 行 結 腸 の 繋 ぎ 目 部 分 でファイバーの 先 端 が 腸 管 を 穿 孔 してしまうという 事 故 が 発 生 しました 術 者 はファイバー 検 査 歴 10 年 のベテラン 医 師 で 穿 孔 の 直 前 に 患 者 さんが 特 に 痛 みを 訴 えたこともなく また 操 作 方 法 にも 特 に 問 題 はありませんでした 即 ち 突 然 穿 孔 が 発 生 したという 状 況 でした しかし 開 腹 所 見 では 肉 眼 的 には 穿 孔 部 が 特 に 薄 くなっているとかという 所 見 はありませんでした また 一 般 に 大 腸 ファイ バー 検 査 中 に 発 生 する 穿 孔 事 故 の 頻 度 は 稀 で 原 因 の 過 半 数 は 術 者 の 無 理 な 操 作 や 粗 暴 な 操 作 であると 言 われています このようなケースで 医 師 に 注 意 義 務 違 反 を 問 うこ とができるでしょうか 1 穿 孔 原 因 の 検 討 という 観 点 からはどうでしょうか 2 具 体 的 な 危 険 性 の 予 見 義 務 結 果 回 避 義 務 の 認 定 という 点 からはどうでしょうか まず 常 識 的 な 観 点 から このケースをどのように 捉 えるか 過 失 があったでしょう か? 学 生 常 識 的 には 過 失 を 取 ることを 出 来 ないのではないかと 思 う

1を 踏 まえて 考 えると 術 者 の 粗 暴 な 操 作 によって 操 作 に 問 題 はなく という 点 で 矛 盾 したことが 書 いてある また ここに 書 かれている 映 像 というのはカメラ( 胃 カメラ 等 )で 見 た 場 合 ということである ところが 術 者 が 実 際 にどうであったかどうか は 分 からない カメラで 見 た 場 合 に 問 題 はないということである またここで 注 意 する べきなのは 穿 孔 部 を 後 から 切 り 取 ってみたところ 特 に 薄 くなっているとかという 所 見 はなかったというところである 学 生 薄 くなっているということがないのであれば 乱 暴 なことをしなければ 穴 は 開 か なかっただろうと 推 定 する このように 最 初 は 一 般 論 で 検 討 するのである 術 者 が 具 体 的 にどうであったかとい うことではなく 一 般 論 から 粗 暴 な 操 作 によって 穴 が 開 いたと 推 定 する つまり 最 初 は 事 象 が 起 きた 場 合 の 一 般 論 で 検 討 し その 後 に 具 体 的 に 本 件 ではどうであるかについ て 検 討 を 加 える 本 件 では 薄 いところはないということ 一 般 に 穴 が 開 くのは 粗 暴 な 操 作 によるところが 多 いということから 本 件 においても 粗 暴 な 操 作 をした 疑 いがある という 一 応 の 推 定 をすることが 出 来 るのである その 次 に 具 体 的 にどうであったのかについて 検 討 する 本 件 では 穿 孔 の 直 前 に 患 者 さんが 特 に 痛 みを 訴 えたこともないと 書 いてある ではもし 穴 が 開 くときに 粗 暴 な 操 作 をしたら 人 は 痛 みを 訴 えるかどうかという 点 が 問 題 となる この 説 明 だけからすれば 操 作 方 法 には 問 題 なく 痛 みを 訴 えたこともなかったために 危 険 性 の 予 見 義 務 という 債 務 はなかったと 言 える 上 記 説 明 からすれば 過 失 の 推 定 が 本 件 に 当 てはめたとき にこのケースでは 当 てはまるとは 言 い 切 れない もしこの 例 で 患 者 が 痛 みを 訴 えて いた としたら 危 険 性 の 予 見 義 務 という 債 務 が 生 じ 注 意 義 務 が 発 生 し 得 ると 言 える このように 医 療 事 故 というのは 過 失 判 断 においても 通 常 の 交 通 事 故 のように 交 通 ル ールという 決 まりがあるのではないから 医 師 の 経 験 や 勘 といった 裁 量 に 委 ねられてい るところが 大 きい 専 門 家 から 見 ても 判 断 が 正 しいと 一 般 的 だと 思 える 程 度 まで 詳 し く 調 べて 本 件 で 具 体 的 にどのように 当 てはまるかを 検 討 する 必 要 がある 2. 因 果 関 係 次 に 医 療 事 故 においては 因 果 関 係 が 特 に 重 視 される 薬 を 飲 んだから 手 術 をした からこそ 本 当 にその 事 実 が 起 こったのかどうかが 問 題 となるケースは 少 なくない Ex2) 髄 液 鼻 漏 後 の 心 因 性 両 下 肢 麻 痺 ( 因 果 関 係 判 断 の 具 体 的 検 討 )

慢 性 副 鼻 腔 炎 の 手 術 施 行 中 に 術 者 が 誤 って 脳 と 副 鼻 腔 を 隔 てる 天 蓋 部 という 非 常 に 薄 い 骨 を 損 傷 してしまい そこから 髄 液 が 鼻 腔 に 漏 れるという 事 故 が 発 生 しました 直 ちに 髄 液 鼻 漏 ( 脳 を 取 り 囲 む 髄 液 が 鼻 から 漏 れる)を 塞 ぐために 太 ももの 筋 肉 の 一 部 を 採 取 して 穿 孔 部 にあてがうという 修 復 手 術 が 行 われました 修 復 手 術 自 体 は 成 功 し その 後 髄 液 が 漏 れるということもなく 治 癒 しました なお 修 復 手 術 の 際 に 医 師 から 脳 と 鼻 との 間 を 隔 てる 薄 い 骨 が 弱 くなっていたので 太 ももの 筋 肉 の 一 部 を 骨 の 弱 い 部 分 にあてがう 手 術 をします という 説 明 を 受 けました ところが 鼻 の 手 術 中 に 突 然 別 の 手 術 が 必 要 だといわれ 患 者 がその 意 味 を 十 分 に 理 解 できず その 説 明 を 両 足 の 太 ももを 根 元 から 切 断 します という 意 味 に 聞 き 間 違 えてしまいました しかも 術 後 1 週 間 は 頭 を 動 かしてはいけないといわれていたので 1 週 間 は 自 分 の 両 足 がない ものと 思 い 込 んでいました 1 週 間 後 に 自 分 の 足 が 切 断 されていないことに 気 づいたの ですが その 後 も 穿 孔 した 孔 から 感 染 して 髄 膜 炎 になるのではないか 等 の 不 安 から 歩 行 障 害 を 発 症 し 次 第 に 歩 行 がフラフラと 不 安 定 になり 1 年 6ヶ 月 後 には とうと う 完 全 に 歩 けなくなりました その 後 の 検 査 で 両 下 肢 麻 痺 は 髄 液 漏 や 髄 膜 炎 による ものでなく 心 の 病 が 下 肢 に 来 る 病 気 (ヒステリー 性 下 肢 麻 痺 転 換 性 障 害 解 離 性 運 動 障 害 という)であることが 判 明 しました 精 神 療 法 やリハビリ 治 療 によりその1 年 後 に 一 旦 は 歩 行 できるようになりましたが 裁 判 中 であるという 状 況 も 影 響 して 2 年 後 に 再 発 してまた 突 然 ある 歩 けなくなりました なお この 病 気 の 発 生 頻 度 は 極 めて 稀 です このようなケースで 医 師 は 髄 液 鼻 漏 を 発 生 させた 責 任 を 超 えて 両 下 肢 麻 痺 による 損 害 についても 責 任 を 負 わなければならないのでしょうか 1 条 件 関 係 相 当 因 果 関 係 という 考 え 方 はどのようなものか 2 疾 病 発 生 に 対 する 患 者 の 素 因 ( 同 じ 状 況 下 でも 普 通 の 人 は 発 症 しないが 患 者 の 素 因 に より 発 症 したという 意 味 )の 寄 与 率 を 損 害 額 から 控 除 する 方 法 で 解 決 をはかること( 民 法 722Ⅱ 類 推 )は 妥 当 か 3 歩 行 可 能 となった1 年 後 や 通 常 の 治 癒 期 間 まで 因 果 関 係 を 認 めるという 方 法 はどう か 前 提 となる 医 学 的 知 識 として 人 間 の 脳 というのは 周 りに 髄 液 というのが 満 たされて いる 副 鼻 膣 というのは 鼻 と 眉 間 の 後 ろに 位 置 する このケースの 因 果 関 係 について どのように 思 うか 耳 鼻 科 医 は 両 足 の 問 題 につい ても 責 任 を 負 う 必 要 があるのだろうか 学 生 私 は 責 任 を 負 わなくて 良 いのではないかと 思 う

因 果 関 係 はないと 思 う 人 は 手 を 挙 げて 下 さい そしてその 根 拠 についてはどう 考 えるか 学 生 根 拠 は 予 見 可 能 性 がないからだと 思 う どの 時 点 から 予 見 可 能 性 を 考 える 必 要 があるかについては 手 術 中 に 説 明 をするときからであると 思 う それは 予 見 不 可 能 であったということでしょうか しかし 医 学 的 にはヒステリー 障 害 というものは 説 明 がつく つまり 精 神 科 医 になら 予 見 は 可 能 な 問 題 であるが この 場 合 どうなるか 学 生 手 術 した 人 自 身 は 外 科 医 であるので 病 院 として 精 神 科 医 がいるという 状 況 で あれば 問 題 が 変 わるかもしれない その 点 病 院 に 精 神 科 医 がいるかどうかで 因 果 関 係 を 左 右 するということは 患 者 側 から 見 たら 不 公 平 だと 言 う 意 見 が 出 てくるかもしれない 事 に 対 しても 考 える 必 要 があ るでしょう では 一 方 で 本 件 において 因 果 関 係 がある と 思 われる 方 はいますか 学 生 手 術 の 最 中 の 話 なので 患 者 が 混 乱 するというのは 想 定 出 来 るはずである その 点 予 想 がついたとして 医 者 に 全 部 の 責 任 を 負 わせることについてはどうか 学 生 例 えば1 週 間 の 患 者 が 動 いてはならない 期 間 に 患 者 とのコミュニケーションを 取 っていたとしたら 状 況 が 変 わったのかも 知 れないと 考 えると 今 回 のケースには 責 任 があるのではないかと 思 う しかし 実 際 の 発 症 は1 年 後 である そのコミュニケーションが 決 定 的 な 理 由 になる のかどうかについてはどう 思 うか また 医 師 が 責 任 を 負 い 損 害 賠 償 金 1 億 円 を 支 払 わせるということについてはどう 思 うか 学 生 全 く 払 わせないのは 違 うのではないかと 思 う では 何 % 負 担 させるか 学 生 30%や40%だと 思 う 実 際 にも 高 裁 でも30% 程 度 での 判 決 が 出 ている この 割 合 は 今 後 患 者 が 治 癒 する かもしれないという 可 能 性 を 見 越 して 今 後 7 年 間 の 分 で 計 算 したものである 色 々な 割 合 の 認 定 の 方 法 があり 将 来 の 可 能 性 を 見 越 してその 時 点 までの 因 果 関 係 を 認 める あるいは 素 因 減 額 という 素 因 の 分 については 減 額 させるという 考 え 方 もある こ れらはすべて 損 害 の 公 平 な 分 担 の 理 念 に 基 づいた 話 である 3. 変 わったケース Ex3) 生 体 腎 移 植 とドナーの 損 害 ( 近 親 者 損 害 額 認 定 の 判 断 の 具 体 的 検 討 )

腎 不 全 の 息 子 のために 父 (ドナー)が 自 己 の 腎 臓 を1つ 提 供 して 息 子 (レシピエン ト)に 移 植 するという 生 体 腎 移 植 手 術 が 行 われました 父 の 腎 臓 摘 出 と 同 時 に 息 子 に 腎 臓 を 移 植 する 手 術 が 行 われ 手 術 自 体 は 成 功 しました しかし その 後 の 術 後 管 理 に 問 題 (ミス)があって 息 子 は 術 後 約 10 日 で 肺 水 腫 という 肺 に 水 のたまる 病 気 が 悪 化 し て 死 亡 するに 至 りました 1:この 場 合 父 は 自 己 の 腎 臓 を 喪 失 したことによる 損 害 賠 償 を 病 院 に 対 して 請 求 する ことができるか( 民 法 415 709) 2: 息 子 を 失 った 近 親 者 ( 父 )の 固 有 の 慰 謝 料 ( 民 法 711)について 腎 臓 提 供 者 であ ることを 考 慮 して 増 額 することはできるか 3: 腎 移 植 が 成 功 し 息 子 が 退 院 後 に 交 通 事 故 で 死 亡 した 場 合 には 父 親 は 腎 臓 提 供 者 として 加 害 者 に 対 して 提 供 した 腎 臓 の 逸 失 利 益 や 慰 謝 料 を 請 求 できるか まず 常 識 的 に 見 た 場 合 に 損 害 賠 償 を 請 求 することが 出 来 るでしょうか 学 生 臓 器 を 売 ったわけではないので 請 求 出 来 ないと 考 える これを 法 的 に 見 て 契 約 関 係 という 視 点 で 考 えてみると 誰 との 間 にどのような 契 約 をしたと 見 ることが 出 来 るでしょうか 学 生 父 が 病 院 に 対 して 手 術 をするという 依 頼 をしている 腎 臓 については 所 有 権 は 息 子 に 移 る 売 った 訳 ではないのに 所 有 権 が 息 子 に 移 るのは あげたからである 臓 器 移 植 法 では 贈 与 売 買 は 禁 止 されているが 実 際 行 為 としては 贈 与 に 近 い 実 体 で ある そうは 言 っても 贈 与 と 言 っては 問 題 が 生 じる では 他 に 息 子 に 所 有 権 を 移 す 法 的 構 成 として 考 えられるのは 何 かないだろうか ヒントは 原 始 取 得 である 学 生 混 同 だと 思 う 息 子 と 臓 器 が 一 体 と 成 るので 所 有 権 が 一 体 化 するのではないか 条 文 を 確 認 しましょう すると 混 同 (179 条 )ではなく 動 産 の 符 号 (243 条 ) であると 分 かります そしてこのケースで 主 たる 動 産 の 所 有 者 は 息 子 の 体 であ る この 場 合 所 有 権 は 息 子 に 移 ったと 言 えるので 父 は 所 有 権 に 基 づいては 請 求 出 来 ない し か し 父 親 は 息 子 の 手 術 は 成 功 することを 前 提 に 手 術 を 依 頼 したのであるから 手 術 に 対 して 医 師 は 注 意 義 務 に 則 って 実 行 しなかったという 点 で 不 法 行 為 成 立 が 言 え ないだろうか この 前 提 として 所 有 権 は 父 にはありません 学 生 父 自 身 に 所 有 権 はなくとも 手 術 の 契 約 に 基 づいて 病 院 の 不 完 全 履 行 を 言 える のではないかと 思 う では その 想 定 している 契 約 があるとすれば 誰 と 誰 との 間 の 契 約 になるでしょうか 学 生 父 親 と 病 院 の 間 での 契 約 である 父 は 病 院 に 対 して 手 術 を 成 功 することを 前 提 として 臓 器 を 提 供 するという 契 約 ならよいのではないか

その 点 他 人 の 身 体 を 対 象 とする 契 約 をすることが 出 来 るか 他 人 の 身 体 というのは 一 身 専 属 である これは 親 といえども 他 人 の 身 体 を 対 象 とする 契 約 を 結 ぶことは 出 来 な い それゆえに 父 は 息 子 の 身 体 を 持 って 契 約 主 体 とは 成 り 得 ない 最 後 に 残 された 慰 謝 料 (711 条 )の 手 段 について 考 える この711 条 を 適 用 す ることが 出 来 るが それ 以 上 の 権 利 をその 条 文 に 基 づいて 請 求 出 来 るのか 学 生 出 来 ると 思 う 腎 臓 を 失 ったこと 自 体 ではなく 腎 臓 を 失 ってまでも 息 子 を 助 け ようとしたにも 関 わらず 助 からなかったという 事 実 からの 精 神 的 な 損 害 によって 慰 謝 料 に 幅 を 持 たせることも 可 能 ではないのか では 例 えば 腎 臓 をあげていない 母 親 と 提 供 した 父 に 慰 謝 料 に 差 を 設 けることにつ いてはどう 思 うか 学 生 差 を 設 けても 問 題 ないと 思 う しかしこの 条 文 からすると 拡 大 解 釈 に 当 たってしまうと 考 えられる 東 京 高 裁 では 一 身 専 属 的 なものに 対 しては 親 と 言 え 契 約 の 対 象 とすることは 出 来 ず 不 法 行 為 につ いても 固 有 の 損 害 を 観 念 することは 出 来 ないと 判 断 している もちろんどんな 考 え 方 が 間 違 いだと 言 うことはなく 今 回 は 様 々な 考 え 方 があるという 材 料 を 提 供 したまでであ る Ⅴ.おわりに 最 初 に 取 り 挙 げたテーマとして 人 間 というのは 生 まれもって 持 った 奪 うことの 出 来 ない 権 利 を 持 っている これは 日 本 のみならず すべての 国 の 憲 法 にあるものだ しか し 一 方 でこの 権 利 が 脅 かされている 事 実 が 世 界 各 地 で 存 在 する それはテロや 戦 争 な ど 様 々な 形 であり これは 未 来 においても 変 わらない その 中 で 法 学 部 として 自 分 の 人 生 をどのように 計 画 するかを 考 える 上 でも 人 権 をどのように 考 えていくかが 重 要 となっている 基 本 的 人 権 から 考 えを 始 めて またそ こに 戻 ってくるということは 大 切 だと 思 う また 語 学 の 能 力 も 趣 味 の 一 環 としてでも 日 常 会 話 を 楽 しめる 程 度 には 出 来 た 方 が 良 いと 思 う どのような 道 に 進 むにしろ 国 際 的 な 活 動 は 増 えていくと 考 えられるので 法 律 だけ 勉 強 していても 十 分 対 応 出 来 ない 何 か 自 分 の 個 性 をアピールする 手 段 として 使 い 物 になる 自 分 の 武 器 を 作 れるとよいと 思 う 以 上