web在宅下腿潰瘍.doc



Similar documents
図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

1章A_責了.indd

3 保 険 料 ( 掛 金 )を 納 めていること 原 則 として 初 診 日 月 前 々 月 まで 国 民 年 金 加 入 期 間 全 体 うち 3 分 2 以 上 きち んと 納 めている( 保 険 料 免 除 期 間 も 含 む)ことが 必 要 です 現 在 は 特 例 として 初 診 日 が

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

診療行為コード

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

Microsoft Word - h28rifo


Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx

資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

<4D F736F F F696E74202D208D4C94A C BB38EBA814089FC95CF2E B8CDD8AB B83685D>

Microsoft Word - 1表紙.doc

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

目 改 正 項 目 軽 自 動 車 率 の 引 上 げ 〇 国 及 び 地 方 を 通 じた 自 動 車 関 連 制 の 見 直 しに 伴 い 軽 自 動 車 の 標 準 率 が 次 のとおり 引 き 上 げられます 車 種 区 分 引 上 げ 幅 50cc 以 下 1,000 円 2,000 円

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

 

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

2) 効 果 の 高 い 治 療 薬 が 限 定 されているので 病 診 間 で 意 思 統 一 した 薬 物 治 療 を 行 いやすい 3) 薬 物 治 療 などの 効 果 が 緩 徐 であるので 長 期 の 通 院 が 必 要 である 4) 手 術 が 必 要 になる 場 合 でも 徐 々に 増

首 は 下 あ ご の 骨 の 下 か ら 鎖 骨 の 上 ま で 自 分 の 首 を 両 手 で は さ ん で お さ え て み ま し ょ う 師 首 っ て ど ん な 仕 事 を し て い る か な 子 頭 を の せ て い る 頭 を お さ え て い る 頭 を 動 か し

新ひだか町住宅新築リフォーム等緊急支援補助金交付要綱

アフターケア.indd

75 歳 以 上 の 方 の 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 75 歳 になると 全 ての 方 が 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 に 加 入 して 医 療 を 受 けます 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 は 東 京 都 後 期 高 齢 者 医 療 広 域 連 合 が 主 体 となり 区

Taro-iryouhoken

Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

目次

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

各論_1章〜7章.indd

Taro-条文.jtd

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

4 ぼうこう又は直腸機能障害

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

(Microsoft Word - \220V\227v\215j\221S\225\266.DOC)

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症

全設健発第     号

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

<8B8B95742E786C73>

EST_  H.8.6.

Taro (完成版) 「

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

< F2D C482C682EA B40945C8BE6>

(2) 騒 音 振 動 の 防 止 対 策 工 場 事 業 場 の 規 制 基 準 工 場 事 業 場 の 騒 音 及 び 振 動 は 騒 音 規 制 法 振 動 規 制 法 及 び 静 岡 県 生 活 環 境 の 保 全 等 に 関 する 条 例 によって 規 制 されており 市 長 ( 平 成

<90568A838E C B A E815B8FF097E12895BD90AC36944E378C8E3593FA8FF097E191E632338D86295F E786477>

2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

Microsoft Word - nagekomi栃木県特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きのご案内 - コピー

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章


1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>

柔 道 整 復 師 の 施 術 料 金 の 算 定 方 法 ( 平 成 22 年 6 月 1 日 改 正 ) 柔 道 整 復 師 の 施 術 に 係 る 費 用 の 額 は 次 に 定 める 額 により 算 定 するものとする 1 初 検 往 療 及 び 再 検 初 検 料 初 検 時 相 談 支

表紙

質 を 向 上 させることが 医 療 経 済 の 効 率 化 につながると 思 われます( 図 1) 感 染 症 の 場 合 を 考 えてみます 早 期 に 診 断 し 適 正 な 治 療 をし 合 併 症 なく 早 期 に 治 癒 させることができれば 入 院 費 治 療 費 などを 減 少 させ

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

01.活性化計画(上大久保)

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

δ

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

Microsoft Word - 目次.doc

PowerPoint プレゼンテーション

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

大 腸 がん 術 後 内 服 化 学 療 法 連 携 1コース~3コース 大 腸 がん 術 後 内 服 化 学 療 法 連 携 4コース 以 降 拠 点 病 院 への 紹 介 基 準 : 食 事 が 入 らないとき 腫 瘍 マーカー 上 昇 時 発 熱 時 処 方 拠 点 病 院 への 紹 介 基

スライド 1

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

10w.xdw

< F2D817995DB94AD D8691E6328D86817A96BE8DD78F91>

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

1 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 ( 一 般 事 務 職 )とは 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 とは 一 般 の 職 員 が 育 児 休 業 を 取 得 した 際 に 代 替 職 員 とし て 勤 務 する 職 員 です 一 般 事 務 職 については 候 補 者 として

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される

記者発表資料

目  次

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B38FDA8DD72E747874>

Microsoft Word - h doc

製 造 業 者 は 製 造 販 売 業 者 の 管 理 監 督 の 下 適 切 な 品 質 管 理 を 行 い 製 品 を 製 造 します なお 製 造 業 は 製 造 に 特 化 した 許 可 となっており 製 造 業 の 許 可 のみでは 製 品 を 市 場 に 出 荷 することはできま せん

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

観血的治療を勧められたColle’s骨折2症例に対する非観血的治療

Taro-H19退職金(修正版).jtd

工 業 用 水 道 更 新 耐 震 化 事 業 の 費 用 対 効 果 の 算 定 工 業 用 水 道 更 新 耐 震 化 事 業 における 費 用 対 効 果 を 工 業 用 水 道 事 業 に 係 る 政 策 評 価 実 施 要 領 ( 経 済 産 業 省 ) 及 び 費 用 対 効 果 分 析

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

Transcription:

在 宅 下 腿 潰 瘍 高 岡 駅 南 クリニック 院 長 塚 田 邦 夫 在 宅 では 褥 創 の 他 に 下 腿 潰 瘍 も 多 く 経 験 し 治 療 に 難 渋 することがあります 今 回 は 下 腿 潰 瘍 としての 典 型 的 な 例 として 動 脈 性 潰 瘍 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 熱 傷 性 下 腿 潰 瘍 ( 低 温 熱 傷 ) 爪 白 癬 による 下 腿 潰 瘍 を 取 り 上 げ 局 所 療 法 について 私 の 経 験 をまとめて みました 下 腿 潰 瘍 の 診 断 下 腿 潰 瘍 がみられた 場 合 まず 注 目 するのは 潰 瘍 発 症 の 直 接 原 因 が 何 であろうと 動 脈 閉 塞 が 合 併 しているのかいないのかの 判 定 です さらに 深 部 静 脈 閉 塞 ( 血 栓 )ができていな いことの 確 認 です 動 脈 閉 塞 および 静 脈 閉 塞 は いずれも 潰 瘍 への 血 流 供 給 の 低 下 と 関 連 し 創 傷 治 癒 に 直 結 した 問 題 をはらんでおり 潰 瘍 の 種 類 にかかわらず 治 療 方 針 に 直 接 影 響 するからです ところで 血 流 に 関 する 診 断 には 理 学 的 所 見 と 画 像 や 機 器 による 診 断 がありま す 機 器 による 診 断 では ABI( 足 関 節 / 上 腕 血 圧 比 ) サーモグラフィー 経 皮 酸 素 分 圧 レーザー 血 流 計 皮 膚 潅 流 圧 などがあり さらに 大 がかりなものとして 動 脈 造 影 3D-CT MRI 等 があります これら 機 器 による 診 断 は 在 宅 では 利 用 できず 理 学 的 所 見 を 優 先 使 用 して 診 断 することになります 理 学 的 所 見 には 動 脈 の 触 知 皮 膚 温 触 知 ( 暖 冷 左 右 差 ) 疼 痛 の 有 無 ( 間 欠 性 跛 行 圧 痛 挙 上 時 痛 下 垂 時 痛 ) 浮 腫 の 有 無 皮 膚 の 色 ( 色 素 沈 着 発 赤 リンパ 管 炎 ) 皮 膚 の 乾 燥 などを 観 察 します

動 脈 性 潰 瘍 の 治 療 基 本 方 針 動 脈 性 潰 瘍 (ASO)の 治 療 の 原 則 は 血 行 再 建 です バイパス 手 術 や 経 皮 的 末 梢 動 脈 形 成 術 ( 血 管 内 拡 張 術 )の 他 に 高 度 先 進 医 療 として 幹 細 胞 移 植 骨 髄 細 胞 療 法 血 小 板 血 漿 法 などがありますが いずれも 在 宅 療 養 では 行 えません また 血 流 改 善 薬 のプロスタグラ ンディン 製 剤 の 注 射 療 法 でも 在 宅 では 行 いません 在 宅 での 療 養 は 疼 痛 対 策 と 感 染 予 防 が 主 となり できれば 創 傷 治 癒 を 目 ざす 方 法 になり ます 原 則 的 に 過 大 なデブリードメントは 禁 忌 であり 感 染 が 明 らかな 場 合 を 除 いて 動 脈 性 潰 瘍 では 壊 死 組 織 のデブリードメントはあまり 行 いません 動 脈 性 下 腿 潰 瘍 下 肢 動 脈 の 触 知 を 行 い 動 脈 開 存 の 程 度 を 判 定 します 前 ページのように 足 背 動 脈 後 脛 骨 動 脈 膝 窩 動 脈 鼡 径 動 脈 を 触 知 してみます 膝 窩 動 脈 や 鼡 径 動 脈 を 触 知 できないようであれば 動 脈 閉 塞 の 程 度 はかなりひどく 下 腿 潰 瘍 の 治 癒 はあまり 期 待 できません したがって 治 療 は 感 染 予 防 と 疼 痛 軽 減 がゴールにな ります 後 脛 骨 動 脈 や 足 背 動 脈 が 触 れるようであれば 潰 瘍 の 治 癒 はかなり 期 待 できるので もち ろん 疼 痛 軽 減 や 感 染 予 防 は 原 則 ですが 同 時 に 潰 瘍 の 治 癒 を 積 極 的 に 目 指 しゴールは 潰 瘍 の 治 癒 となります 上 のスライドは 足 背 動 脈 を 触 知 不 能 の 左 第 2 趾 潰 瘍 症 例 です ハイドロコロイドドレッシング 材 を 用 いて 湿 潤 環 境 を 維 持 し 潰 瘍 の 治 癒 を 図 りましたが 3.5 ヶ 月 たっても 全 く 治 癒 傾 向 はありません そこで 感 染 予 防 を 目 的 にゲーベンクリー ムを 塗 布 しポリウレタンフィルム 材 (オプサイトなど)で 密 閉 し 毎 日 交 換 したところ 2.5 ヶ 月 後 の 表 皮 化 しました 血 流 障 害 の 強 い 部 位 でのゲーベンクリームの 有 用 性 を 確 認 しました すでに 潰 瘍 が 壊 死 した 症 例 でもゲーベンクリームは 有 用 でした

次 のスライドは やはり 足 背 動 脈 を 触 知 しない 症 例 でした 潰 瘍 が 壊 死 し 黒 色 の 痂 皮 とな っていた 例 です ひどい 疼 痛 を 伴 い 異 物 に 対 する 強 い 炎 症 反 応 が 痂 皮 周 囲 にみられます 感 染 対 策 と 疼 痛 軽 減 効 果 を 狙 って ゲーベンクリームを 塗 布 し ポリウレタンフィルム 材 で 密 閉 して 毎 日 交 換 しました この 方 法 を 用 いると 疼 痛 はかなり 軽 減 し また 痂 皮 周 囲 にみられた 炎 症 反 応 も 軽 減 しまし た 一 時 感 染 を 恐 れユーパスタ 軟 膏 とポリウレタンフィルム 材 による 方 法 も 行 いましたが 主 にゲーベンクリームを 用 いていきました 2.5 ヶ 月 で 写 真 のように 壊 死 部 が 遊 離 し 遊 離 部 に 表 皮 が 入 り 込 み 接 合 部 を 切 除 することでほとんど 壊 死 が 取 れました 引 き 続 きゲー ベンクリームとポリウレタンフィルム 材 による 密 閉 療 法 を 継 続 することで 表 皮 化 を 完 成 さ せることができました 以 上 の 経 験 に 示 すように 動 脈 閉 塞 性 足 潰 瘍 を 在 宅 で 治 療 するにあたっては 外 科 的 デブ リードメントは 最 小 限 にし 創 部 の 乾 燥 を 極 力 避 けることで 疼 痛 を 軽 減 し その 際 ゲーベ ンクリームを 基 本 的 に 使 用 してフィルムで 密 閉 します 感 染 が 強 い 時 は 一 時 的 逃 げーー 便 クリームの 代 わりにユーパスタ 軟 膏 を 選 択 しました この 方 法 により 動 脈 閉 塞 の 高 度 な 例 でも 感 染 を 予 防 し 疼 痛 を 軽 減 することができるだけではなく ある 程 度 治 癒 も 望 むこ とができました しかし 治 癒 した 症 例 も 再 発 は 高 率 であり また 心 疾 患 や 脳 循 環 疾 患 を 発 症 し 長 期 予 後 は 不 良 でした

静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 下 肢 の 静 脈 弁 異 常 によって 発 症 する 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 では 原 因 となった 皮 静 脈 と 穿 通 枝 の 抜 去 切 除 硬 化 療 法 などが 治 療 として 選 択 されます しかし 在 宅 では 手 術 療 法 を せずに 局 所 療 法 が 行 われます 治 療 開 始 の 前 提 条 件 として 生 命 予 後 に 影 響 する 深 部 静 脈 ( 大 腿 静 脈 )に 血 栓 ができて 閉 塞 していないことを 確 認 します 理 学 的 所 見 としては 一 側 の 下 腿 に 疼 痛 があり ふくらは ぎを 大 きくつまむと 痛 がる 場 合 は 要 注 意 です 局 所 療 法 は ハイドロコロイドドレッシング 材 が 第 1 選 択 で 貼 付 した 上 から 下 腿 全 てを 少 なくとも 膝 上 まで 弾 性 包 帯 で 均 一 に 圧 迫 固 定 します 圧 迫 包 帯 をすることで 弁 の 壊 れ た 皮 静 脈 に 血 液 がうっ 滞 して 浮 腫 がおこることを 予 防 します ハイドロコロイドドレッシング 材 を 使 うと 悪 臭 が 強 い 場 合 は 一 時 的 にゲーベンクリーム を 多 めに 塗 布 し 吸 収 パッドでカバーして その 上 から 弾 性 包 帯 で 同 様 に 圧 迫 固 定 します 在 宅 ではハイドロコロイドドレッシング 材 は 使 いにくいため 実 際 はストーマケアに 使 う 皮 膚 保 護 材 の 板 状 になったものを 用 います ストーマケアに 使 う 皮 膚 保 護 材 とハイドロコ ロイドドレッシング 材 はほぼ 同 じ 材 料 でできています 静 脈 うっ 滞 による 静 脈 瘤 のある 方 では できるだけ 下 肢 を 挙 上 位 にすることと 適 宜 下 腿 筋 を 収 縮 させる 運 動 をする 癖 をつけてもらいます ところで 在 宅 高 齢 者 における 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 治 療 では 脳 血 管 疾 患 による 活 動 性 の 低 下 や 意 欲 の 低 下 による 不 動 がみられ 著 明 な 下 肢 の 浮 腫 が 見 られる 例 があります このような 例 に 潰 瘍 ができた 場 合 治 療 には 難 渋 し 再 発 と 治 癒 を 繰 り 返 します しかし 原 則 は 弾 性 包 帯 による 圧 迫 と 湿 潤 環 境 維 持 による 潰 瘍 治 療 であり 局 所 療 法 は 変 わりません 以 下 の 写 真 は ハイドロコロイドドレッシング 材 と 圧 迫 包 帯 による 治 療 経 過 を 示 していま す ハイドロコロイドドレッシング 材 の 替 わりに ストーマ 用 皮 膚 保 護 材 を 用 いてもかま いません

熱 傷 潰 瘍 ( 低 温 熱 傷 ) 熱 傷 では 受 傷 早 期 には 熱 で 損 傷 した 皮 下 組 織 で 炎 症 反 応 が 持 続 し 活 性 酸 素 による 組 織 破 壊 が 進 行 していきます そこでまずは 氷 水 を 入 れたビニール 袋 などで 積 極 的 に 創 傷 部 を 冷 やすことが 重 要 です また 皮 膚 表 面 も 熱 によって 組 織 障 害 が 起 こり 正 常 な 皮 膚 のバリア 機 能 が 損 なわれてい ます そこで 皮 膚 深 層 の 生 きた 細 胞 を 守 るため 空 気 との 接 触 を 避 け また 皮 膚 面 を 乾 燥 から 保 護 することで 疼 痛 の 軽 減 と 組 織 再 生 の 促 進 を 目 指 します 具 体 的 にはハイドロコロイドドレッシング 材 が 第 1 選 択 と 考 えています 経 験 的 には 薄 い ハイドロコロイドドレッシング 材 よりも 厚 いハイドロコロイドドレッシング 材 の 方 が 疼 痛 軽 減 効 果 が 高 く また 皮 膚 再 生 効 果 も 優 れている 印 象 です 在 宅 高 齢 者 では 電 気 アンカや 携 帯 カイロの 使 用 による 低 温 熱 傷 を 多 く 経 験 しました 一 見 軽 い 熱 傷 に 見 えますが 治 療 してみるとしだいに 組 織 破 壊 が 深 くに 及 んでいることに 気 付 きます 治 療 をしていてもしだいに 創 が 深 くなってくることから 治 療 が 間 違 ってい るのではと 不 安 を 感 じるのが 低 温 熱 傷 の 特 徴 でもあります 以 下 に 示 す 写 真 は 当 初 軽 い 熱 傷 と 判 断 し 治 療 を 開 始 しましたが しだいに 組 織 破 壊 が 深 部 に 及 んでいることが 判 明 し 創 部 が 悪 化 したと 勘 違 いした 例 です 結 局 当 初 の 予 定 通 り ハイドロコロイドドレッシング 材 による 治 療 で 4.5 ヶ 月 で 治 癒 しました 低 温 熱 傷 は あたかも 褥 創 と 同 じような 経 過 を 取 ることが 分 かりました

爪 白 癬 による 足 潰 瘍 褥 創 の 治 療 で 往 診 している 方 の 足 の 爪 が 盛 り 上 がり 巻 き 爪 もあいまって 食 い 込 み 爪 周 囲 炎 を 起 こしている 例 でした 取 りあえず 経 口 の 抗 生 剤 を 投 与 し 同 時 に 抗 真 菌 薬 の 内 服 も 開 始 しました 日 を 改 めて 往 診 しました その 時 に 整 形 外 科 で 使 うリューエルを 持 参 し 硬 く 盛 り 上 がっ た 爪 を 除 去 しました 抗 真 菌 薬 の 内 服 を1 年 以 上 続 けたところ 写 真 のように 見 違 えるほどにきれいな 足 になり ました 最 後 に 在 宅 でよくみられる 下 腿 潰 瘍 について 私 の 経 験 をお 示 しいたしました 病 院 での 治 療 と 在 宅 での 治 療 は 基 本 的 な 考 え 方 には 差 はないのですが 実 際 の 局 所 療 法 の 選 択 においては 在 宅 ならではの 方 法 を 行 います 今 後 まだまだ いろいろな 工 夫 がさ れより 安 全 で 苦 痛 のない 方 法 が 開 発 されてくるのではと 思 っています