オーケストラ 等 の 大 規 模 アンサンブルと 協 奏 曲 の 演 習 および 発 表 音 楽 科 小 山 和 彦 1. 背 景 目 的 音 楽 科 では 2003 年 にカリキュラム 改 定 を 検 討 し 始 めた 時 一 層 のアンサンブル 教 育 の 充 実 を 提 唱 することになった 弦 楽 合 奏 管 楽 器 アンサ ンブルという 授 業 がカリキュラム 上 に 組 み 込 ま れるようになったのはそれ 以 来 である また 実 技 系 の 専 攻 を 担 当 する 専 任 教 員 は ピアノと 声 楽 のみだったが 2004 年 度 より 弦 楽 器 の 契 約 教 員 を 採 用 し 弦 楽 器 に 対 しても 指 導 する 上 でさらな る 充 実 を 計 ることとなった しかしながら 本 学 音 楽 科 における 当 時 の 管 弦 楽 器 の 専 攻 はフルー ト ヴァイオリンのみで 両 専 攻 生 は 尐 数 であった (1) 各 楽 器 専 攻 生 のみで 充 実 したアンサンブルを 行 うには ピアノとのデュオ( 二 重 奏 )はともかく として レパートリー( 作 品 )も 不 足 し 消 化 する 楽 曲 数 が 圧 倒 的 に 足 りないので 当 然 のこととし て 様 々な 音 楽 活 動 する 上 で 現 場 に 適 応 した 演 奏 能 力 は 培 われない 特 に 管 楽 器 アンサンブルでは 本 学 の 専 攻 楽 器 の 種 類 では 木 管 五 重 奏 のような スタンダードな 編 成 の 楽 曲 を 取 り 扱 うことも 出 来 るわけがない (2) そこで 技 量 の 差 があるとは いえ 副 科 楽 器 履 修 者 をも 含 めアンサンブルを 組 織 すること そしてカリキュラム 上 は 弦 楽 合 奏 管 楽 器 アンサンブルというように 授 業 自 体 は 分 かれていても 両 者 を 合 同 で 授 業 をする 形 態 を 授 業 担 当 者 間 で 模 索 することとなった 副 科 楽 器 を 含 めれば これまで 専 攻 楽 器 としてはなかった 弦 楽 器 ではヴィオラとチェロが 管 楽 器 ではクラリ ネットが 加 わり 室 内 オーケストラに 近 い 編 成 を 組 織 することが 出 来 る また コンサート 等 の 発 表 時 には 必 要 に 応 じて 助 演 者 を 依 頼 することに より 既 成 のオーケストラ 作 品 を 演 奏 する 機 会 が 徐 々に 増 えてきている 上 述 のように 管 弦 楽 器 の 各 専 攻 は 楽 器 の 種 類 が 尐 なく 各 学 年 定 員 35 名 という 尐 人 数 の 音 楽 科 では 大 規 模 なオーケストラを 組 織 するのは 不 可 能 に 近 いが 室 内 オーケストラ 的 な 方 向 で 比 較 的 尐 人 数 のアンサンブルを 中 心 にしつつも その 都 度 助 演 者 の 協 力 があれば 後 述 のようないろい ろな 音 楽 作 品 を 演 奏 することが 可 能 となる さら に 一 歩 進 んで 本 学 音 楽 科 で 可 能 な 範 囲 で オー ケストラの 特 色 をどのように 打 ち 出 し 他 大 学 と の 差 別 化 を 図 るということも 必 要 である また 実 際 の 音 楽 活 動 において 有 効 に 機 能 することが 何 かをも 検 討 実 践 してゆくべきである そこで 作 曲 の 専 任 教 員 が 本 学 の 楽 器 編 成 に 合 った 作 品 を 書 き 下 ろし 履 修 者 達 によってその 新 作 を 演 奏 することも その 特 性 を 生 かすことを 検 討 するひとつの 試 みとして 行 われている 2006 年 12 月 には 著 者 が 作 曲 した 明 日 へのシン フォニア を 学 内 で 初 演 した 演 奏 時 間 は6 分 程 度 であるが 楽 器 編 成 はフルート クラリネット ファゴット( 管 楽 器 アンサンブルの 授 業 担 当 の 本 学 非 常 勤 講 師 の 専 攻 楽 器 である) 第 1 2ヴァ イオリン ヴィオラ チェロ コントラバスであ る この 編 成 なら コントラバス 以 外 は 助 演 者 の 必 要 がなく それによりほぼオリジナルの 状 態 の 編 成 で 授 業 が 可 能 となる また 当 時 の 学 生 の 全 体 的 な 演 奏 技 量 にも 配 慮 して 作 曲 することも 出 来 るのである 授 業 においても 指 導 者 演 奏 者 ( 履 修 者 ) 時 には 作 曲 者 の 三 者 が 直 接 コンタクト を 取 りながら 作 品 の 演 奏 を 作 り 上 げてゆくこと も 出 来 るのである この 教 育 推 進 研 究 の 内 容 とほぼ 同 様 な 形 態 で の 授 業 その 発 表 および 音 楽 科 の 行 事 の 一 環 と して 行 われたのは 2009,2010 両 年 に オルケス 1
トル ドゥ シャンブルコンサート というタイ トルの 学 内 演 奏 会 そして 毎 年 開 催 されている 学 外 の 仙 台 市 青 年 文 化 センターと 学 内 の 大 学 講 堂 を 会 場 にした 音 楽 科 コンサート である 前 者 の オルケストル ドゥ シャンブルコン サート では 管 楽 器 アンサンブル 弦 楽 合 奏 の 履 修 者 によるオーケストラを 母 胎 とし 楽 曲 によっ て 不 足 するパートを 助 演 者 で 補 っている 演 奏 曲 目 としては ハイドンが 比 較 的 初 期 に 書 いたシン フォニー ホルスト 作 曲 ブルック グリーン 組 曲 などに 加 え ピアノ 実 技 担 当 の 非 常 勤 講 師 を ゲストに 迎 え ピアノ 協 奏 曲 もプログラムに 含 め た 2009 年 2 月 は 土 田 定 克 氏 の 独 奏 でショパン 作 曲 ピアノ 協 奏 曲 第 1 番 2010 年 2 月 には 海 鉾 智 子 氏 の 独 奏 でハイドン 作 曲 ピアノ 協 奏 曲 を それぞれ 本 学 非 常 勤 講 師 佐 藤 寿 一 氏 の 指 揮 で 演 奏 した このコンサートでは 独 奏 者 に 学 生 ではな く 教 員 を 起 用 した 理 由 としては まず 学 生 に 高 い 演 奏 レベルの 手 本 を 提 示 することにある オー ケストラの 中 には 副 科 楽 器 履 修 者 が 多 いことは すでに 述 べたが その 履 修 者 中 にはピアノ 専 攻 の 学 生 も 多 く 彼 女 らが 協 奏 曲 の 独 奏 パートの 演 奏 を 目 の 当 たりにしつつ 演 奏 に 参 加 できる 体 験 は 他 の 音 楽 大 学 でもなかなか 出 来 ない 貴 重 な 体 験 といえる また 2010 年 のコンサートでは 著 者 作 曲 の 明 日 へのシンフォニア が 再 演 されたことも 付 け 加 えておく この オルケストル ドゥ シャンブルコンサ ート は 授 業 の 成 果 発 表 という 意 味 合 いではある が 当 時 は 弦 楽 器 担 当 教 員 の 個 人 研 究 の 一 環 とし て 音 楽 科 では 位 置 づけられていて 教 育 的 な 効 果 が 非 常 に 高 いにも 拘 わらず 音 楽 科 の 主 催 事 業 に ならなかったことは 誠 に 残 念 であった 2009 年 に 開 催 された 音 楽 科 コンサート で は メインのプログラムとしてグリーグ 作 曲 ピ アノ 協 奏 曲 を 演 奏 した この 際 の 演 奏 者 は 上 述 のように 副 科 楽 器 履 修 者 が 大 きいパーセンテ ージを 占 める 学 生 のオーケストラと 独 奏 者 もオ ーディションによって 選 ばれたピアノ 専 攻 生 と いう 本 学 音 楽 科 としてはこれまでにない 画 期 的 な 出 来 事 であった 翌 年 2010 年 にはショパン 生 誕 200 年 という 記 念 の 年 ということ もちろん ピアノ 協 奏 曲 として 重 要 なレパートリーという こともありショパン 作 曲 ピアノ 協 奏 曲 第 1 番 を 取 り 上 げた これらのことが 可 能 となったのは 上 述 の オルケストル ドゥ シャンブルコンサ ート というオーケストラをする 上 での 教 育 組 織 構 成 上 その 他 諸 条 件 の 基 礎 固 めがあった 上 で 可 能 となったのである さて ピアノ 協 奏 曲 の 演 奏 体 験 の 機 会 および 有 効 性 ということについて 日 本 の 音 楽 大 学 にお ける 諸 事 情 を 交 えながら 一 言 申 し 上 げたい 日 本 の 音 楽 大 学 あるいは 音 楽 科 を 持 つ 大 学 は 近 年 の 受 験 生 減 尐 に 伴 い 独 自 性 を 打 ち 出 し 学 生 にとって 魅 力 ある 環 境 を 創 り 出 そうと 苦 慮 し ている すでに 書 いたことと 多 尐 重 複 するが 本 学 音 楽 科 では 上 述 のアンサンブル 教 育 の 充 実 に 関 連 して ピアノ 専 攻 の 学 生 に 独 奏 だけではなく 多 様 なアンサンブルをどのようにして 体 験 させ るかが 専 攻 楽 器 の 尐 ない 学 科 としては 課 題 のひ とつではある また オーケストラと 共 演 する 協 奏 曲 (コンチェルト)の 体 験 は 大 変 魅 力 的 である が オーケストラとの 合 わせ 時 間 その 他 の 条 件 から 多 くの 大 学 では 学 生 の 間 に 体 験 すること 2
は 非 常 に 難 しく そのような 機 会 があったとして も 独 奏 者 (ソリスト)に 選 ばれることは 大 変 狭 き 門 である そういった 意 味 では 尐 人 数 制 の 本 学 音 楽 科 では ソリストに 選 出 される 可 能 性 が 高 く それによりピアノの 学 習 意 欲 が 高 まることが 期 待 できる 尐 人 数 の 学 科 ならではの 特 色 を 生 かすという ことは つまり 尐 人 数 であることの 制 約 障 害 を いかにして 教 育 上 のメリットに 変 えてゆくか そ ういった 過 程 をここまで 辿 ってきた また 総 合 アンサンブル という 名 称 の 授 業 を 2010 年 度 から 新 設 した これにより1 年 次 か (1) カリキュラム 改 訂 前 フルート 専 攻 生 は 恒 常 的 に 入 学 していたが ヴァイオリン 専 攻 の 学 生 は 全 学 年 に 1 名 もしくは0 名 という 状 況 が 多 かった 2004 年 のカリキュラム 改 定 後 さらに 若 干 の 改 定 を 行 って チェロ 専 攻 次 いでヴィオラ 専 攻 の 学 生 を 募 集 して いる 参 考 までに 2010 年 度 の 管 弦 専 攻 の 学 生 数 はフ ルート 専 攻 6 ヴァイオリン 専 攻 1 名 ヴィオラ 専 攻 1 チェロ 専 攻 1 の 計 9 名 である (2) 管 楽 器 のレパートリーは 弦 楽 器 のそれに 比 して 圧 倒 的 に 尐 ない また 管 楽 器 のみのアンサンブルでは 木 管 五 重 奏 以 外 にはスタンダードな 編 成 は 特 になく その 編 成 のために 書 かれた 作 品 も 非 常 に 尐 ない らオーケストラの 授 業 を 履 修 出 来 場 合 によって は 副 科 にない 楽 器 による 参 加 も 認 められ 履 修 者 の 幅 も 広 がりつつある これまでの 経 過 についての 記 述 中 にほぼ この 教 育 推 進 研 究 の 目 的 についての 記 載 があるので なるべく 重 複 は 避 けるが 補 足 的 事 項 としては 以 下 のようなことがある この 教 育 研 究 の 大 きな 特 長 として まず 母 胎 と なるオーケストラに 参 加 する 学 生 が 専 攻 楽 器 の 学 生 より 副 科 楽 器 履 修 者 が 多 いことである 特 に 本 学 ではピアノ 専 攻 の 学 生 が 多 いが 発 音 形 態 の 違 う 別 の 楽 器 を 履 修 することにより 音 色 感 の 育 成 に 効 果 があり またオーケストラ 等 のアンサ ンブルの 実 践 によって 音 楽 を 立 体 的 に 把 握 する 力 他 者 の 出 す 音 を 客 観 的 に 聴 き 判 断 する 力 を 育 てるには 大 変 効 果 があると 考 えられる いずれにせよ 本 研 究 によって 音 楽 科 の 多 くの 学 生 が 取 り 組 むことが 出 来 かつ 音 楽 的 に 大 きな 効 果 が 上 がるのは 言 うまでもない 2. 実 施 内 容 この 教 育 研 究 はコンサート 等 による 成 果 の 発 表 と 授 業 におけるトレーニングであるが 発 表 についての 記 述 を 中 心 とする 1 2010 年 7 月 24 日 ( 土 ) オープンキャンパスにおけるミニコンサート 会 場 : 宮 城 学 院 礼 拝 堂 曲 目 : ホルスト 作 曲 ブルック グリーン 組 曲 ハイドン 作 曲 オルガンとオーケストラの ためのコンチェルト Hob.XIII:1 オルガン 独 奏 音 楽 科 3 年 改 正 若 葉 2 2010 年 10 月 31 日 ( 日 ) 音 楽 科 コンサート 会 場 : 宮 城 学 院 女 子 大 学 講 堂 曲 目 : ( 本 事 項 に 関 連 する 曲 目 のみ) ショパン 作 曲 ピアノ 協 奏 曲 第 1 番 ピアノ 独 奏 : 第 1 楽 章 音 楽 科 4 年 曽 根 由 里 子 3
第 2,3 楽 章 音 楽 科 4 年 梶 木 美 紗 3 2011 年 2 月 5 日 ( 土 ) オルケストル ドゥ シャンブルコンサート 会 場 : 宮 城 学 院 女 子 大 学 講 堂 曲 目 : ホルスト 作 曲 ブルック グリーン 組 曲 小 山 和 彦 作 曲 季 節 のポートレート ( 初 演 ) チャイコフスキー 作 曲 憂 鬱 なセレナード ヴァイオリン 独 奏 : 音 楽 科 3 年 千 葉 玲 奈 ハイドン 作 曲 シンフォニア 第 6 番 朝 Hob.I:6 独 奏 : 千 葉 玲 奈 大 築 萌 小 野 友 里 恵 小 笠 原 綾 香 畠 山 桜 コンサート および 実 施 に 至 る 経 過 と 詳 細 1 2010 年 7 月 24 日 ( 土 ) オープンキャンパスにおけるミニコンサート 毎 年 開 催 される 7 月 のオープンキャンパスは 多 くの 受 験 生 が 本 学 に 見 学 に 訪 れるが 本 学 の 広 報 目 的 とリンクして 前 期 の 練 習 の 成 果 を 発 表 す る 場 である 助 演 はオーボエ2 トランペット2 ヴァイオリン3 ヴィオラ2 コントラバス1の 計 10 名 に 加 え 授 業 担 当 の 菊 池 恭 江 (ヴァイオリ ン) 増 川 大 輔 (チェロ) 持 田 富 士 美 (ファゴット) の 各 氏 がオーケストラに 加 わった 指 揮 は 佐 藤 寿 一 氏 による 本 学 はキリスト 教 主 義 大 学 で その 恩 恵 によっ てパイプオルガンが 礼 拝 堂 と 音 楽 館 ハンセンホ ールに 主 なものがあるが 機 会 があればそのオル ガンを 出 来 るだけ 活 用 することも 念 頭 において いる 今 回 は ハイドン 作 曲 オルガンとオーケ ストラのためのコンチェルト をオルガン 専 攻 生 によって 演 奏 した ホルスト 作 曲 ブルック グリーン 組 曲 は 今 年 度 だけでも2 回 取 り 上 げられているが これは 本 学 音 楽 科 のオーケストラの 編 成 に 近 く このオ ーケストラの 授 業 と 発 表 の 際 に 重 要 なレパート リーのひとつである 繰 り 返 し 取 り 上 げることに よって 演 奏 の 完 成 度 を 高 め 作 品 の 細 部 につい て 演 奏 者 が 知 悉 することとなる 2 2010 年 10 月 31 日 ( 日 ) 音 楽 科 コンサート ここではメインのプログラムとしてショパン 作 曲 ピアノ 協 奏 曲 第 1 番 を 演 奏 した ピアノ 独 奏 者 はピアノ 専 攻 生 全 学 年 を 対 象 と した7 月 に 行 われたオーディションによって 選 出 した オーディションの 担 当 教 員 は 浅 野 繁 野 沢 真 弓 の 両 氏 が 中 心 となり 概 要 等 の 検 討 をし 独 奏 者 の 決 定 のとりまとめでは 中 心 的 な 役 割 を 果 たした 選 考 に 当 たっては 演 奏 するチャンスを 出 来 る だけ 拡 大 するため 第 1 楽 章 と 第 2,3 楽 章 の 独 奏 者 はそれぞれ1 名 で 計 2 名 とした オーディション 参 加 者 は5 名 と 尐 なかったが これは 公 示 をする 時 期 がやや 遅 くなった 上 テク ニック 的 には 高 い 難 易 度 の 協 奏 曲 であったこと が 理 由 としてあげられる (1) コンサートの 演 奏 に 際 して 事 前 のリハーサル は 前 日 と 当 日 (ゲネ プロ)の2 回 で オーケスト ラの 助 演 者 はその2 回 に 参 加 することになる 編 成 上 必 要 な 助 演 はオーボエ2 ファゴット 1 ホルン4 トランペット2 トロンボーン1 テ ィンパニー1 ヴァイオリン4 ヴィオラ2 チ ェロ1 コントラバス1の 計 19 名 に 加 え 授 業 4
担 当 の 菊 池 恭 江 (ヴァイオリン) 増 川 大 輔 (チェ ロ) 持 田 富 士 美 (ファゴット)の 各 氏 がオーケスト ラに 加 わった 指 揮 は 佐 藤 寿 一 氏 であった 4 2011 年 2 月 5 日 ( 土 ) オルケストル ドゥ シャンブルコンサート このコンサートではオーケストラに 後 期 開 設 の 科 目 の 総 合 アンサンブル 履 修 者 が 加 わった 演 奏 曲 目 としてここでも ブルック グリーン 組 曲 を 取 り 上 げたが その 意 義 については 上 述 の 通 りである 休 憩 前 にこの 教 育 推 進 研 究 の 代 表 で ある 著 者 が 作 曲 した 季 節 のポートレート を 初 演 した この 作 品 はこの 演 奏 会 のため 本 学 音 楽 科 のオーケストラのために 書 き 下 ろした 作 品 で ある 全 体 は3 曲 の 組 曲 となっていて 演 奏 する 上 でも 聴 く 上 でも 曲 想 を 理 解 しやすくするため に 各 曲 にタイトルを 付 した それぞれ 1. 初 冬 の 散 歩 道 2. 静 かな 春 の 訪 れ 3. 夏 の 大 海 原 という 具 合 にである また オプションとして ホルンパート (2) が 書 かれているが 本 学 の 事 情 を 考 慮 し なくても 演 奏 可 能 にしてある 休 憩 後 には チャイコフスキー 作 曲 の 憂 鬱 な セレナード がヴァイオリン 専 攻 生 の 独 奏 で 演 奏 された 背 景 目 的 の 項 目 でもピアノ 協 奏 曲 の 独 奏 者 の 意 義 についての 説 明 があるが もちろんヴ ァイオリンだけでなく 独 奏 者 としての 体 験 の 機 会 は なかなか 得 られないだけでなく 各 楽 器 の 専 攻 生 にとって 貴 重 な 体 験 となる 最 後 の 曲 目 としてハイドン 作 曲 のシンフォニ ア 第 6 番 朝 が 演 奏 されたが この 楽 曲 の 形 式 はコンチェルト グロッソ( 合 奏 協 奏 曲 )となって いる つまり オーケストラ 中 に 複 数 の 独 奏 者 が 内 在 している 形 である 独 奏 者 としてフルート そして 弦 楽 器 専 攻 生 だが 1 名 は 専 攻 生 でなく 副 科 楽 器 の 履 修 者 もいたことが 大 きな 点 である これだけの 充 実 したプログラム それに 向 かっ ての 練 習 も 十 分 な 練 習 を 学 生 がしたにも 拘 わら ず A 日 程 入 試 直 後 の 土 曜 日 だったこともあり 観 客 数 がやや 尐 なめだったことが 残 念 であった (1) ショパンの 作 曲 したピアノ 協 奏 曲 は 第 1 番 と 第 2 番 の2 曲 あるが いずれもワルシャワで4 年 ごとに 開 催 されるショパン 国 際 コンクールの 課 題 曲 で 最 終 選 考 に 残 った 参 加 者 のみがオーケストラと 共 演 でき る 曲 目 である (2) オーケストラでは ホルンは 中 音 域 においてかなり 重 要 な 役 割 を 果 たす 楽 器 である コンサート 当 日 は ホルンが 編 成 上 必 要 な 楽 曲 があり サウンドの 充 実 上 ホルンパートを 追 加 した 3. 結 果 及 び 考 察 カリキュラム 上 弦 楽 合 奏 A,B 管 楽 器 アン サンブル A,B 総 合 アンサンブル という3つ の 合 同 科 目 から 成 り 立 つオーケストラの 授 業 を 履 修 した 学 生 は 今 年 度 中 に3 回 のコンサートに 出 演 し 計 5 曲 の 楽 曲 をこなした 楽 曲 の 演 奏 時 間 では トータルで2 時 間 程 度 になる 各 楽 器 の 専 攻 生 が 尐 なく 非 専 攻 の 履 修 生 が 多 いオーケストラで しかも 原 則 週 1コマの 時 間 内 でコンサートの 曲 目 をすべて 仕 上 げたことは 大 いに 評 価 できる この 教 育 的 なプロジェクトは 単 年 度 のみでなく 背 景 目 的 の 項 目 中 にある ように 約 8 年 の 歳 月 をかけてようやく 本 学 音 楽 科 の 特 色 のひとつとなりうる 形 として 結 実 しつ 5
つあり しかも 今 年 度 は 教 育 推 進 研 究 費 の 補 助 を 受 けたおかげで 助 演 者 の 謝 礼 金 の 問 題 と 楽 曲 の 編 成 との 狭 間 で 検 討 していたプログラムに 今 回 は 比 較 的 融 通 が 利 くようになり 曲 目 演 奏 内 容 においても 充 実 したものとなった また オル ケストル ドゥ シャンブルコンサート も 今 年 度 から 音 楽 科 の 主 催 事 業 として 位 置 づけられる ようになった ショパンのピアノ 協 奏 曲 の 独 奏 者 についても 上 述 のように 難 曲 にも 拘 わらず 一 定 のオーディ ション 参 加 者 があり ピアノ 教 育 の 幅 も 広 がって いる 昨 今 の 音 楽 大 学 学 生 のレベルは 受 験 生 の 減 尐 に 伴 いレベルが 低 下 しつつあるが 一 定 のレ ベルをある 程 度 保 ち 続 けている 本 学 音 楽 科 は こ の 取 り 組 みだけでなく アンサンブル 教 育 に 対 す る 姿 勢 があるとも 考 えられる なお ピアノ 協 奏 曲 の 独 奏 者 として 参 加 した2 名 の 学 生 は3 月 に 開 催 する 卒 業 演 奏 会 にも 出 演 することを 付 け 加 えておく しかし コンサートをする つまり 観 客 に 演 奏 を 提 供 するためにまだ 様 々な 観 点 において 課 題 が 残 るのも 事 実 である 専 攻 楽 器 の 学 生 が 尐 なく 助 演 者 も 人 数 的 時 間 的 両 方 の 側 面 から 最 低 限 しか 依 頼 していない 難 しい 条 件 の 下 で 組 織 し 授 業 時 間 上 大 きい 制 約 がある 学 生 のオーケストラとしては 仙 台 市 内 の みならず 東 北 地 方 全 体 としては 比 較 的 高 いレベ ルにあるといえるが さらに 基 本 的 な 楽 器 のテク ニックを 向 上 させるための 体 制 を 構 築 する 必 要 があること また 多 くの 楽 曲 を 演 奏 する 上 だけ でなく アンサンブルをする 際 自 分 そして 他 者 の 音 を 聴 くゆとりを 持 たせ 楽 曲 構 造 の 全 体 像 をしっかり 把 握 する 意 味 でも 楽 譜 を 的 確 にスピ ーディーに 読 む 能 力 を 養 成 してゆく 必 要 性 があ る 運 営 面 では まず 練 習 時 間 要 するに 授 業 時 間 だが 一 週 間 に1コマ 80 分 の 時 間 帯 のみでは 臨 時 練 習 がコンサートの 前 にあっても 明 らかに 時 間 が 不 足 している カリキュラム 的 な 問 題 も 含 め この 時 間 の 不 足 については 非 常 に 大 きな 問 題 である (1) また 現 在 のところ 単 位 としては 単 年 度 のみしか 認 定 されないので 再 度 履 修 可 になる ようにカリキュラムを 検 討 しないと 専 門 的 な 実 習 として かつ 完 成 度 の 高 い 演 奏 につながらない のは 自 明 の 理 である 実 施 内 容 の 項 目 で 触 れたとおり コンサートの 際 には 時 期 的 な 不 都 合 とも 関 連 して 観 客 動 員 数 が 尐 ないことがあった 学 生 がイベントをする 際 に 自 発 的 に 宣 伝 する 力 が 欠 けていることがある 単 に 授 業 の 発 表 だからという 姿 勢 ではなく 周 囲 だけでなく 外 部 の 人 々ともどのようなコミニュ ケーションをとり 働 きかけられるかが 本 学 の 学 生 だけではなく 最 近 の 学 生 にとって 大 きな 課 題 であろう また コンサートは 演 奏 する 側 にと っても 多 くの 観 客 に 聴 いて 頂 くことは 最 も 大 切 なことのひとつであり プロの 演 奏 家 演 奏 団 体 でもその 点 に 苦 慮 し 奮 闘 している オーケストラという 複 数 の 人 間 によってアン サンブルをする 演 奏 形 態 は 団 体 スポーツと 同 じ ようにチームプレイがいかに 円 滑 に 出 来 るかと いうことと 演 奏 の 完 成 度 の 高 さは 全 く 比 例 する それは 演 奏 技 量 だけではなく すでに 触 れたと おり 広 報 活 動 演 奏 会 練 習 の 運 営 その 他 複 合 的 なことも 関 係 してくる 今 のところは あま り 広 報 や 運 営 面 に 学 生 が 関 わっていないが 今 後 はそういうことを 徐 々に 体 験 させ 学 生 の 運 営 が 6
中 心 となったコンサートが 出 来 るようにしてゆ く 必 要 があるであろう 細 谷 優 紀 横 浜 理 保 渡 邉 楓 以 上 39 名 授 業 担 当 教 員 (1) 音 楽 大 学 の 専 攻 生 によるオーケストラの 授 業 では 週 に 2コマ 分 の 授 業 時 間 が 確 保 されているのが 一 般 的 であ る ( 資 料 ) 今 年 度 弦 楽 合 奏 A,B 管 楽 器 アンサンブル A,B 総 合 アンサンブルを 履 修 して オーケスト ラに 参 加 した 学 生 (1) と 授 業 担 当 者 および 助 演 者 (2) は 以 下 の 通 りである( 順 不 同 ) 弦 楽 合 奏 A( 弦 楽 器 専 攻 生 ) 小 野 友 里 恵 千 葉 怜 奈 弦 楽 合 奏 B( 非 専 攻 生 ) 佐 藤 愛 美 吉 田 渚 沙 菅 野 成 美 齊 藤 美 咲 佐 藤 郁 美 佐 藤 偲 佐 藤 暢 子 佐 藤 宏 美 柴 田 詩 織 清 水 晶 子 下 田 葉 月 髙 橋 佳 那 山 石 奈 津 季 吉 田 元 子 木 口 恵 吉 田 愛 梨 管 楽 器 アンサンブル A( 管 楽 器 専 攻 生 ) 佐 藤 侑 菜 髙 野 菜 々 子 佐 藤 まどか 佐 藤 友 美 管 楽 器 アンサンブル B( 非 専 攻 生 ) 五 十 嵐 美 沙 大 槻 みゆき 神 田 麻 衣 小 関 志 穂 子 佐 藤 麻 衣 千 葉 梨 沙 畠 山 桜 佐 々 木 藍 総 合 アンサンブル(1 学 年 ) 大 岩 千 華 大 友 志 穂 小 笠 原 綾 香 川 村 智 英 子 菅 野 麻 樹 佐 々 木 紗 也 夏 弦 楽 合 奏 A,B 総 合 アンサンブル 担 当 菊 池 恭 江 増 川 大 輔 佐 藤 寿 一 管 楽 器 アンサンブル A,B 総 合 アンサンブル 担 当 持 田 富 士 美 佐 藤 寿 一 助 演 (パートごとの 人 数 のみ 記 載 ) オーボエ4 ファゴット1 ホルン4 トランペット3 トロンボーン1 ティンパニー1 ヴァイオリン4 ヴィオラ2 チェロ1 コントラバス1 計 22 名 (1) 履 修 者 の 内 若 干 名 の 単 位 途 中 放 棄 者 も 記 載 してある (2) 授 業 担 当 教 員 は 省 いている 曲 目 によっては 編 成 に 含 ま れない 楽 器 もあるので ここに 記 載 された 助 演 者 数 は のべ 人 数 である 7