32:589 第 35 回 日 本 脳 卒 中 学 会 シンポジウム 4 < 原 著 > 脳 内 出 血 に 対 する 外 科 治 療 の 現 状 と 課 題 1) 岡 村 耕 一 岡 野 晴 子 1) 山 口 竜 一 小 林 洋 和 脊 山 西 山 1) 1) 英 徳 丸 山 啓 介 1) 栗 田 浩 樹 1) 塩 川 芳 昭 2 ) 和 利 高 橋 秀 寿 Key words:brain hemorrhage, surgical treatment, outcome ( 脳 卒 中 32:589 594,2010) はじめに 1950 年 代 より 降 圧 薬 が 普 及 し,わが 国 の 脳 出 血 の 死 亡 率 は 年 々 減 少 した.しかし 最 近 は 脳 出 血 での 死 亡 率 が 横 ばいになっているものの, 脳 卒 中 データバンク 2009 によると, 脳 卒 中 に 占 める 脳 出 血 の 比 率 は 依 然 として 18%を 占 めており 1), 高 血 圧 性 脳 出 血 の 発 症 率 は 減 少 していない.その 背 景 には 脳 梗 塞 心 筋 梗 塞 な どアテローム 血 栓 症 の 増 加 と, 加 齢 に 伴 う 非 弁 膜 性 心 房 細 動 の 増 加 に 伴 い, 高 齢 者 の 多 くに 抗 血 小 板 薬 や 抗 凝 固 薬 が 投 与 され,これらの 投 与 が 関 与 していると 考 えられる. 脳 実 質 内 出 血 は, 出 血 量 が 少 ない 場 合 でも 破 壊 され る 部 位 によっては 後 遺 症 を 残 すことが 多 く, 内 科 的 治 療 を 上 回 る 外 科 的 治 療 の 有 用 性 は 依 然 として 証 明 され ていない. 出 血 量 が 多 い 場 合 に 外 科 治 療 が 選 択 される ことが 多 いが,それは 機 能 的 予 後 の 改 善 ではなく 救 命 目 的 という 意 味 合 いが 強 い.このように 脳 実 質 破 壊 性 病 変 である 脳 内 出 血 の 外 科 治 療 の 意 義 が 不 明 確 である にもかかわらず, 学 会 などで 論 議 される 機 会 はむしろ 減 っていると 思 われる. 今 回 われわれは 当 施 設 での 脳 出 血 治 療 における 外 科 治 療 の 現 状 と 課 題 について, 内 科 的 治 療 と 比 較 検 討 した. 対 象 方 法 当 院 脳 卒 中 センターないし 脳 神 経 外 科 に 2008 年 1 1) 杏 林 大 学 脳 神 経 外 科 杏 林 大 学 医 学 部 付 属 病 院 脳 卒 中 センター (2010 年 9 月 6 日 受 付,2010 年 9 月 7 日 受 理 ) 月 より 12 月 までの 1 年 間 に 入 院 した 脳 内 出 血 連 続 152 例 ( 男 性 78 例, 女 性 74 例, 平 均 年 齢 は 64.9 歳 )を 対 象 とした. 脳 出 血 症 例 は 当 院 での 全 脳 卒 中 ( 脳 梗 塞 341 例,くも 膜 下 出 血 88 例 等 )のおよそ 26%を 占 めた. 出 血 部 位 によるその 頻 度 は 被 殻 出 血 61 例 (40%), 視 床 出 血 38 例 (25%), 皮 質 下 出 血 28 例 (18%), 小 脳 出 血 12 例 (8%), 脳 幹 出 血 6 例 (4%), 尾 状 核 出 血 6 例 (4%),その 他 1 例 であった. 出 血 性 梗 塞 や 腫 瘍, 外 傷 による 脳 出 血 は 除 外 した.また, 基 底 核 を 中 心 に 大 脳 半 球 広 範 囲 に 及 ぶ 出 血 は 被 殻 出 血 に 分 類 した. 方 法 当 院 に 搬 送 された 脳 出 血 症 例 の 治 療 方 法 は, 後 述 の 手 術 適 応 に 従 って 外 科 治 療 が 選 択 され,それ 以 外 の 症 例 は 血 圧 管 理 を 重 視 した 保 存 的 加 療 を 行 った. 外 科 治 療 を 施 行 した 症 例 では, 血 腫 部 位 ごとに 手 術 施 行 率 とそ の 手 術 方 法, 手 術 治 療 による 血 腫 の 摘 出 率 を 集 計 した. 症 例 の 転 帰 は 退 院 時 の mrs(modified Rankin Scale) を 用 いて 後 方 視 的 に 検 討 した. 入 院 時 重 症 度 と 退 院 時 転 帰 を 比 較 した 検 討 では, 回 帰 分 析 を 用 いて 検 定 し, 危 険 率 5% 以 下 で 有 意 差 ありとした. 手 術 適 応 手 術 適 応 は, 原 則 として 脳 卒 中 ガイドライン 2009 に 準 拠 し, 当 院 での 脳 内 出 血 の 2008 年 度 手 術 適 応 を フローチャートにして 図 1 に 記 した. 被 殻 出 血 につい ては 血 腫 量 25~34 ml を 内 視 鏡 的 血 腫 除 去 術,35 ml 以 上 の 被 殻 出 血 に 関 しては 意 識 レベルが JCS(Japan coma scale):200 までを 開 頭 術 とした. 視 床 出 血 は 健 側 ( 出 血 対 側 )の 側 脳 室 まで 脳 室 内 穿 破 が 及 ぶものを 適
32:590 脳 卒 中 32 巻 6 号 (2010:11) 図 1 脳 内 出 血 手 術 適 応 フローチャート(2008 年 度 ) 図 2 出 血 部 位 による 手 術 施 行 率 症 例 数 の 少 ない 尾 状 核 出 血 を 除 けば, 小 脳, 皮 質 下, 被 殻 出 血 にて 手 術 施 行 例 が 多 い. 図 3 手 術 方 法 内 訳 手 術 施 行 例 の 手 術 方 法 を 出 血 部 位 別 に 表 した. 皮 質 下, 小 脳, 被 殻 出 血 で 開 頭 術 が 選 択 されることが 多 い. 応 とし, 内 視 鏡 にて 脳 室 内 および 脳 内 出 血 を 摘 出 する こととした. 皮 質 下 出 血 は 25 ml 以 上 を 開 頭 術 に, 小 脳 出 血 は 最 大 径 3 cm 以 上 を 開 頭 術 とした. 血 腫 量 の 測 定 に は, 電 子 画 像 (Picture Archive Communication System: PACS)を 用 いて 1 スライスの 面 積 をフリーハ ンドで 測 定 し,スライス 厚 ( 天 幕 上 10 mm, 後 頭 蓋 窩 5 mm)を 掛 け,その 和 を 近 似 値 として 算 定 した.な お 手 術 適 応 の 決 定 に 際 しては, 患 者 の 年 齢, 発 症 前 の 日 常 生 活 レベル, 脳 卒 中 の 既 往, 抗 血 栓 療 法 の 有 無, 本 人 の 意 思 (living will), 家 族 の 意 向 などを 十 分 考 慮 した. 結 果 脳 出 血 152 例 中, 手 術 施 行 例 は 53 例 ( 平 均 年 齢 60.9 歳 )であった. 手 術 施 行 率 とその 方 法 ( 図 2,3)は, 被 殻 出 血 21 例 ( 開 頭 術 19 例, 内 視 鏡 2 例 ), 視 床 出 血 8 例 ( 内 視 鏡 5 例, 穿 頭 ドレナージ 術 3 例 ), 皮 質 下 出 血 10 例 ( 全 例 開 頭 術 ), 小 脳 出 血 8 例 ( 全 例 開 頭 術 ), 尾 状 核 出 血 5 例 ( 開 頭 術 1 例, 内 視 鏡 4 例 )であった. 術 前, 術 後 の 血 腫 量 を 測 定 し, 手 術 方 法 ごとの 血 腫 摘 出 率 を 計 測 ( 図 4,5)した. 開 頭 術 において, 被 殻 出 血 では 全 例 95% 以 上 の 摘 出 率 であり, 皮 質 下 出 血 では 全 摘 出 が 8 割 を 占 めたが, 小 脳 出 血 では 全 摘 出 は 1 症 例 のみであった. 内 視 鏡 手 術 においては, 被 殻 出 血 では 全 例 100%の 摘 出 が 可 能 であった. 視 床 出 血 例 では, 脳 室 内 血 腫 を 半 分 以 上 適 出 することが 可 能 で あったが, 実 質 内 血 腫 を 半 分 以 上 適 出 することができ たのは 6 割 に 留 まった. 退 院 時 の mrs では, 小 脳, 皮 質 下 出 血 の 転 帰 は mrs 0~2 が 約 4 割 認 められ,ほかの 出 血 部 位 と 比 較
脳 出 血 治 療 32:591 図 4 開 頭 術 施 行 症 例 の 出 血 部 位 別 摘 出 率 ( 図 上 の 数 字 は 人 を 表 す) 小 脳 出 血 では 9 割 以 上 の 摘 出 率 が 約 6 割 にとどまる. 図 5 内 視 鏡 の 出 血 部 位 別 摘 出 率 ( 図 上 の 数 字 は 人 を 表 す) 内 視 鏡 手 術 では 視 床 出 血 の 摘 出 率 が 低 い. 図 6 内 科 治 療 症 例 転 帰 小 脳 出 血 と 皮 質 下 出 血 において 転 帰 良 好 例 が 多 かった. 視 床 出 血, 脳 幹 出 血 にて 死 亡 例 が 認 められた. 図 7 外 科 治 療 症 例 転 帰 外 科 治 療 例 では 小 脳 出 血 が 最 も 転 帰 が 良 く, 皮 質 下 出 血 がこれに 続 いた. 被 殻 出 血, 視 床 出 血 にて 死 亡 例 が 認 め られた. すると 比 較 的 転 帰 は 良 好 であった.また, 脳 幹 出 血 の 転 帰 は 不 良 であり, 全 体 の 死 亡 例 の 3 割 は 脳 幹 出 血 で あった. 外 科 治 療 症 例 と 内 科 治 療 症 例 にて, 出 血 部 位 別 に 退 院 時 mrs を 解 析 ( 図 6,7)した. 外 科 治 療 症 例 は 前 記 の 如 く 53 例 ( 平 均 年 齢 60.9 歳 )であったが, 内 科 治 療 症 例 は 99 例 ( 平 均 年 齢 67.1 歳 )であった. 内 科 治 療 症 例 において, 小 脳 出 血 はほぼ 全 例 転 帰 良 好 であったが, 視 床 出 血 と 脳 幹 出 血 において 死 亡 例 が 散 見 された. 外 科 治 療 症 例 においても 小 脳 出 血 が 他 の 部 位 と 比 較 する と mrs 0~2 の 予 後 良 好 例 の 割 合 が 多 く, 被 殻 出 血 と 視 床 出 血 では 死 亡 例 がみられた. 全 症 例 の 入 院 時 重 症 度 を GCS(Glasgow coma scale) で 評 価 し, 被 殻 出 血 と 視 床 出 血 にて 退 院 時 転 帰 との 関 係 を 検 討 した. 内 科 治 療 症 例 においては, 被 殻 出 血, 視 床 出 血 のいずれも 入 院 時 重 症 度 が 退 院 時 の 転 帰 と 有 意 に 相 関 した( 図 8A,B). 外 科 治 療 症 例 は, 被 殻 出 血 と 視 床 出 血 のいずれも 入 院 時 の 重 症 度 と 退 院 時 の 転 帰 において 相 関 は 認 められなかった( 図 9A,B). 考 察 当 院 での 脳 出 血 治 療 全 体 の 手 術 介 入 は 約 35%で あった. 脳 卒 中 データバンク 2009 では 17.0% 3) ( 退 院 時 mrs 記 載 症 例 に 限 る)となっており, 当 院 での 治 療 対 象 となった 母 集 団 が 重 症 である 可 能 性 が 示 唆 され るが, 全 症 例 の mrs 0~2 は 全 体 の 29.0%であり, データバンク 2009 での 33.0% 4) ( 脳 出 血, 退 院 時 mrs 0~と 比 較 するとほぼ 近 似 していた.また 当 院 では 小 脳, 皮 質 下, 被 殻 出 血 で 手 術 施 行 例 が 多 く,その 手 術 方 法 としては, 開 頭 術 が 選 択 されることが 多 かった.
32:592 脳 卒 中 32 巻 6 号 (2010:11) 図 8 内 科 治 療 症 例 の 入 院 時 重 症 度 と 退 院 時 転 帰 (A: 被 殻 出 血,B: 視 床 出 血 ) 入 院 時 軽 症 例 ほど 退 院 時 転 帰 は 良 好 であった. 図 9 外 科 治 療 症 例 の 入 院 時 重 症 度 と 退 院 時 転 帰 (A: 被 殻 出 血,B: 視 床 出 血 ) 入 院 時 重 症 度 と 退 院 時 転 帰 との 間 で 一 定 の 関 係 は 認 めら れなかった. 開 頭 術 で 小 脳 出 血 の 摘 出 率 が 低 かった 原 因 については, テント 上 出 血 との 解 剖 学 的 差 異 に 加 えて 術 者 の 後 頭 蓋 窩 手 術 への 熟 練 度 のばらつきが 反 映 されている 可 能 性 が 示 唆 された. 昨 今 の 内 視 鏡 技 術 の 進 歩 は 目 覚 ましく, 当 院 でもそ の 低 侵 襲 性 から 深 部 病 変 に 対 して 積 極 的 に 内 視 鏡 治 療 を 行 っている. 視 床 出 血 の 過 半 数 は 内 視 鏡 で 手 術 され ていたが,その 摘 出 率 は 決 して 高 いものではなかった. 止 血 操 作 が 開 頭 術 と 比 べて 困 難 であるという 内 視 鏡 手 技 自 体 の 技 術 的 課 題 かもしれないが, 急 性 水 頭 症 合 併 例 に 対 して 同 時 に 第 三 脳 室 開 窓 術 の 実 施 も 可 能 である こと 等 を 考 慮 すると, 今 後 の 内 視 鏡 治 療 での 更 なる 成 績 の 向 上 が 求 められた. 内 科 治 療 症 例 では 入 院 時 重 症 度 と 退 院 時 の 転 帰 が 相 関 していた. 当 院 では 徹 底 した 降 圧 ( 収 縮 期 血 圧 140 mmhg 以 下 )により 入 院 後 の 血 腫 拡 大 は 7.6%に 抑 え られており 5), 来 院 時 の 神 経 症 状 が 良 好 であるほど 退 院 時 の 転 帰 が 良 好 であるという 急 性 期 降 圧 の 有 用 性 が 示 唆 されたとも 言 える. 一 方, 外 科 治 療 症 例 では 機 能 予 後 の 面 で 入 院 時 重 症 度 とは 相 関 が 認 められなかった. 手 術 適 応 について 本 邦 のガイドラインでは, 現 在 のと ころ 脳 出 血 の 手 術 治 療 に 関 しては 非 手 術 群 と 比 較 し, 予 後, 死 亡 率 などの 転 帰 が 良 好 であったとするエビデ ンスレベルの 高 い 報 告 はなく, 手 術 適 応 の 記 述 はいず れもグレード C どまりである. 早 期 外 科 治 療 と 保 存 的 治 療 の 有 効 性 を 比 較 した STICH(Surgical Trial in Intracerebral Haemorrhage)study 6) にても 両 群 の 治 療 効 果 には 差 がなく, 早 期 手 術 が 保 存 的 治 療 より 有 用 で あるという 結 論 は 得 られなかったが,これは STICH study の 対 象 に 外 科 治 療 とはならない 小 型 出 血 例 が 多 く 含 まれているためと 考 えられる.Pantazis ら 7) は 血 腫 量 30 ml 以 上 の 脳 出 血 ( 皮 質 下, 被 殻 出 血 )に 対 して, 急 性 期 開 頭 血 腫 除 去 術 が 機 能 予 後 の 面 で 有 効 であると, 内 科 的 治 療 群 との 比 較 で 有 意 差 を 示 した.しかしこの 報 告 は 前 向 き 無 作 為 化 試 験 であるが 症 例 数 が 100 人 余 りと,STICH のような 多 施 設 試 験 に 比 べ 症 例 数 が 少 ない. 現 在, 機 能 予 後 に 関 しては 手 術 の 優 位 性 は 未 だ 証 明 されておらず, 血 腫 を 積 極 的 に 摘 出 しても 症 状 の 回 復 には 限 界 があり, 脳 神 経 外 科 医 の 葛 藤 が 窺 い 知 れる. 著 者 らは, 発 症 数 日 から 2 週 間 程 度 に 遭 遇 する 遅 発 性
脳 出 血 治 療 32:593 脳 浮 腫 が 意 識 障 害 や 麻 痺 を 進 行 させる 場 合 があること をしばしば 経 験 しており, 急 性 期 の 血 腫 除 去 により, 早 期 離 床 や 全 身 合 併 症 の 回 避,リハビリテーションに 対 する 反 応 性 の 向 上 等 の 利 益 があると 考 えている. この 点 については, 従 来 の 検 討 では 脳 出 血 の 機 能 予 後 評 価 に 重 点 が 置 かれていたが, 元 来 脳 出 血 は 脳 実 質 の 破 壊 性 病 変 であるため, 網 様 体 賦 活 系 や 錐 体 路 への 障 害 が 大 きい 場 合 にはその 機 能 予 後 悪 化 は 不 可 避 であり, 運 動 機 能 予 後 ないし 救 命 を 評 価 因 子 とすることは, 自 ずと 限 界 があると 考 えている. 特 に 錐 体 路 障 害 を 生 じ やすい 被 殻 出 血, 視 床 出 血 は 機 能 予 後 が 重 症 になりや すく, 当 院 での 調 査 でも, 運 動 機 能 を 軸 とした 評 価 で は 手 術 効 果 が 不 明 確 であった. 今 後 は 脳 出 血 の 転 帰 を 死 亡 率 や 生 活 自 立 度 のみで 評 価 するのではなく, 患 者 や 家 族 の 満 足 度 など 心 理 学 的 因 子 に 基 づいた 評 価 項 目 の 策 定 も 求 められると 思 われた. 同 時 に 重 症 例 の 手 術 適 応 決 定 や 救 命 効 果 の 意 義 は 大 きな 生 命 倫 理 学 的 な 問 題 も 含 んでおり, 将 来 の 再 生 医 学 や 新 たな 機 能 回 復 手 段 の 開 発, 介 入 と 合 わせ 取 り 組 むべき 課 題 であるとも 考 えている. 結 論 脳 内 出 血 の 予 後 良 好 例 の 多 くは 小 脳, 皮 質 下 出 血 に 対 する 開 頭 術 施 行 例 であった. 脳 実 質 破 壊 性 病 変 に 対 する 外 科 治 療 介 入 の 効 果 を 機 能 予 後 で 判 定 するには 限 界 があり, 新 たな 指 標 導 入 などが 必 要 である. 参 考 文 献 1) 荒 木 信 夫, 大 櫛 陽 一, 小 林 祥 泰 : 病 型 別 年 代 別 頻 度 欧 米 アジアとの 比 較. 小 林 祥 泰 監 修 : 脳 卒 中 データバンク 2009. 東 京, 中 山 書 店,2009, pp 22 23 高 血 圧 性 脳 出 血 の 手 術 適 応. 脳 卒 中 合 同 ガイドラ イン 委 員 会, 篠 原 幸 人 ほか 編 集 : 脳 卒 中 ガイドラ イン 2009. 東 京, 協 和 企 画,2009,pp 152 158 3) 小 沢 義 典, 金 大 成, 小 林 祥 泰 : 脳 出 血 重 症 度 別 頻 度 外 科 的 治 療 頻 度 手 術 群 と 保 存 的 加 療 群 の 予 後 比 較. 小 林 祥 泰 監 修 : 脳 卒 中 データバンク 2009. 東 京, 中 山 書 店,2009,pp 134 135 4) 相 澤 仁 志, 齋 藤 司, 柴 田 健 雄 ら: 重 症 度 予 後 と 加 齢 血 圧 の 関 係. 小 林 祥 泰 監 修 : 脳 卒 中 デー タバンク 2009. 東 京, 中 山 書 店,2009,pp 136 137 5) 脊 山 英 徳, 西 山 和 利, 高 橋 秀 寿 : 急 性 期 脳 内 出 血 に 対 する 厳 格 な 血 圧 管 理 の 安 全 性, 有 用 性 について の 検 討.The 28th Meeting of The Mt. Fuji Workshop on CVD 東 京,ニューロン 社,2009,pp 38 40 6)Mendelow AD, Gregson BA, Fernandes HM, et al: Early surgery versus initial conservative treatment in patients with spontaneous supratentorial intracerebral haematomas in the International Surgical Trial in Intracerebral Haemorrhage (STICH): a randomised trial. Lancet 365: 387 397, 2005 7)Pantazis G, Tsitsopoulos P, Mihas C, et al: Early surgical treatment vs conservative management for spontaneous supratentorial intracerebral hematomas: A prospective randomized study. Surg Neurol 66: 492 501; discussion 501 492, 2006
32:594 脳 卒 中 32 巻 6 号 (2010:11) Abstract The current situation and issues of the surgical treatments result for brain hemorrhage Koichi Okamura 1), Ryuichi Yamaguchi 1), Hidenori Seyama 1), Keisuke Maruyama 1), Hiroki Kurita 1), Haruko Okano, Hirokazu Kobayashi, Kazutoshi Nishiyama, Hidetoshi Takahasi and Yoshiaki Shiokawa 1) 1) Department of Neurosurgery, Kyorin University Faculty of Medicine Kyorin University Hospital, Stroke Center The aim of this study to evaluate treatment results for brain hemorrhage at Kyorin University Faculty of Medicine. We treated consecutive 152 cases of brain hemorrhage. We studied to examine their treatment contents and mrs (modified Rankin scale) at the time of their discharge. The surgeries were performed for 53 cases. Outcome of cerebellar and subcortical hemorrhage was relatively satisfactory compared to other bleeding sites and mrs: 0 2 was recognized in about 40% of the cases. In contrast, outcome of brain-stem hemorrhage was poor, and it caused 30% of overall mortality. There has been no specific evidence regarding surgical intervention for brain hemorrhage. As for putaminal hemorrhage which is likely to develop pyramidal tract disorder, the functional prognosis tends to deteriorate easily compared to cerebellar and subcortical hemorrhage, and it was considered to be the limit for judging prognostic evaluation based on functional assessment. Decisions for surgical indication for severe cases and significance of lifesaving effects include important life ethical issues, which are to be worked on in order to establish decision making methods which can be effective with limited time and manpower and to combine them with the development and application of regenerative medicine in future. (Jpn J Stroke 32: 589 594, 2010)