190mm 加 振 ボックス 充 塡 試 験 による 高 密 度 配 筋 部 位 に 充 填 されるコンクリートの 品 質 徳 島 大 学 大 学 院 三 木 佑 介 徳 島 大 学 大 学 院 正 会 員 工 博 橋 本 親 典 徳 島 大 学 大 学 院 博 ( 工 ) 渡 辺 健 徳 島 大 学 大 学 院 石 丸 啓 輔 Abstract:In the prestressed concrete structures having large steel-contents of the section, the initial default and durability are affected by the construction placement of fresh concrete and the quality of the surface concrete at the cover strongly. However it has not been proposed that the test method on the relationship between the construction placement and the quality of concrete filled up at the cover. In this paper, the experimental study was carried out in order to clarify the influence of the strength and apparent density of hardened concrete and the filling ability through obstacle for steel bars on the distance from the obstacle to inner vibrator using the help of the box shaped-filling ability test with inner vibrator with R1 type of the obstacle for steel bars (D10, 5nos). The results showed that the vibration at the near distance from the obstacle to inner vibrator is effective for the filling ability and the quality of cover concrete as compared with the vibration at the usual distance from the obstacle to inner vibrator. Key words: Construction placement, Filling ability test, Inner vibrator, Strength, Apparent density 1.はじめに 土 木 学 会 コンクリート 委 員 会 第 3 種 委 員 会 の1つである 施 工 性 能 に もとづくコンクリートの 照 査 検 査 システム 研 究 小 委 員 会 (341 委 員 会 ) では,フレッシュコンクリー トの 施 工 性 能 を 現 場 で 対 応 できる 簡 易 な 試 験 方 法 で, 照 査 と 検 査 をする ことができるシステムを 構 築 するこ とを 最 終 目 的 として, 従 来 のスラン プ 試 験 に 変 わる 新 しいフレッシュコ 棒 状 バイブレータ 680mm 340mm A 室 B 室 10cm 側 面 図 図 -1 ボックス 型 試 験 装 置 および 障 害 部 分 ンクリートの 流 動 性 と 材 料 分 離 抵 抗 性 を 実 験 室 のみならず 現 場 の 荷 卸 し 時 点 においても 照 査 検 査 で きる 試 験 方 法 を 検 討 している 1 期 目 の 活 動 が2008 年 11 月 ~2011 年 3 月 で 終 了 し,すでに 委 員 会 報 告 が 刊 行 された 1) 2011 年 10 月 から2 期 目 の 活 動 が 開 始 された 1 期 目 では, 施 工 性 能 の 照 査 および 検 査 方 法 として,ボックス 型 充 塡 試 験 装 置 と 棒 状 バイブレータを 用 いた 加 振 ボックス 充 塡 試 験 方 法 を 提 案 した 1) 加 振 ボックス 充 塡 試 験 方 法 の 概 要 を 図 -1に 示 す 1) 加 振 ボックス 充 塡 試 験 方 法 では, 高 流 動 コンクリートの 充 塡 性 試 験 として 用 いられるボックス 型 容 器 を 用 い, 初 期 状 態 としてコンクリートを 充 塡 しておくA 室 と 流 動 障 害 をコンクリートが 移 動 した 後, 充 塡 されるB 室 のフレッシュコンクリートの 洗 い 分 析 を 行 い, 材 料 分 離 抵 抗 性 を 定 量 化 する この 充 塡 挙 動 は, 実 際 の 鉄 筋 コンクリート 構 造 物 のかぶりコンクリートを 想 定 している コンクリート 標 準 示 方 書 では,コンクリートの 横 流 しを 禁 止 しているが, 実 際 の 現 場 において, 狭
隘 なかぶり 部 に 直 接, 棒 バイブレータなどの 内 部 振 動 機 を 挿 入 することは 困 難 である そのため,か ぶりコンクリートは,かぶりの 内 側 に 在 る 内 部 コンクリートを 振 動 によって,かぶりの 外 側 空 間 に 移 動 させ 充 塡 される したがって,かぶりコンクリートは, 常 に, 鉄 筋 間 を 通 過 したあとのコンクリー トであり, 鉄 筋 通 過 という 履 歴 を 受 けている 341 委 員 会 で 検 討 している 加 振 ボックス 充 塡 試 験 方 法 で は,この 鉄 筋 通 過 によってフレッシュコンクリートの 材 料 分 離 がどの 程 度 発 生 するのかということを 定 量 化 することによって,フレッシュコンクリートの 流 動 性 と 材 料 分 離 抵 抗 性 を 同 時 に 定 量 的 に 評 価 するものである ところで, 材 料 的 あるいは 構 造 的 に 耐 久 性 に 富 むコンクリートを 製 造, 設 計 したとしても, 施 工 中 に,その 性 能 を 失 うようであれば, 当 初 の 性 能 を 発 揮 することができない 特 に,かぶりコンクリー トは, 鉄 筋 通 過 という 履 歴 を 受 けるため,その 可 能 性 が 他 の 部 位 よりも 大 きい しかしながら, 長 期 耐 久 性 を 考 える 場 合,かぶりコンクリートから 外 的 要 因 が 浸 入 してくるため, 最 も 性 能 を 発 揮 すべき コンクリートは,かぶりコンクリート,すなわち, 表 層 のコンクリートである したがって, 鉄 筋 通 過 という 履 歴 後 のコンクリートの 品 質 を 検 討 することは 重 要 であり, 通 常 の 耐 久 性 試 験 も, 鉄 筋 通 過 後 のコンクリートに 対 して 行 う 方 が,より 現 実 的 であると 考 えられる 2) しかし ながら, 実 構 造 物 を 対 象 として 施 工 報 告 や 研 究 報 告 は 多 くあるが 3), 鉄 筋 通 過 という 履 歴 を 考 慮 した 室 内 実 験 方 法 を 検 討 している 例 は 少 ない 実 構 造 物 レベルの 実 証 実 験 が 最 も 信 頼 が 高 いことは 当 然 であ るが,コンクリートの 配 合 選 定 を 性 能 照 査 として 行 う 場 合,すべてを 実 構 造 物 で 行 うことは, 現 実 的 でないことは 自 明 である 実 物 大 規 模 のモデル 実 験 を 行 うことはコストが 相 当 に 必 要 となる 本 研 究 では,より 簡 単 に 鉄 筋 通 過 という 履 歴 を 受 けたコンクリートの 品 質 評 価 を 行 う 試 験 方 法 とし て,この 加 振 ボックス 充 塡 試 験 方 法 で 得 られる 鉄 筋 障 害 通 過 後 のコンクリートを 採 取 し, 硬 化 後 のコ ンクリートの 圧 縮 強 度 と 見 掛 けの 密 度 について 検 討 した また, 高 密 度 配 筋 部 位 が 多 いPC 構 造 物 を 想 定 し,バイブレータと 鉄 筋 の 距 離 ( 加 振 距 離 )を 変 化 させ,A 室 の 中 心 にバイブレータを 挿 入 し 加 振 する 標 準 加 振 と 流 動 障 害 近 傍 で 加 振 する 近 傍 加 振 の 違 いが 間 隙 通 過 性 に 与 える 影 響 について 検 討 した 2. 実 験 概 要 2.1 実 験 の 構 成 本 研 究 で 扱 った 鉄 筋 履 歴 を 受 ける コンクリートのレベルとしては, 非 常 に 狭 隘 な 空 間 の 充 塡 を 想 定 した 流 動 障 害 R1で, 普 通 コンクリートとフ ライアッシュⅡ 種 とⅣ 種 を 用 いたフ ライアッシュコンクリート( 以 後, FAコンクリートと 称 す)を 対 象 とし た FAコンクリートを 対 象 とした 理 由 は, 既 往 の 研 究 で, 同 一 スランプにおいてFAコンクリー トの 充 塡 性 能 が 普 通 コンクリートよりも 良 好 になることが 確 認 されているためである 4) 2.2 実 験 概 要 (1) 使 用 材 料 本 研 究 で 使 用 した 材 料 の 物 理 的 性 質 を 表 -1, 表 -2に 示 す 粗 骨 材 は 最 大 寸 法 が13mmと20mmの2 種 類 を1:1の 割 合 で 混 ぜて 使 用 した 表 -1 使 用 材 料 の 物 理 的 性 質 表 乾 密 度 * 種 類 岩 種 最 大 寸 法 産 地 (g/cm 3 吸 水 率 粗 粒 率 実 積 率 ) セメント 普 通 ポルトランドセメント 3.16 細 骨 材 砕 砂 砂 岩 5mm 徳 島 県 阿 波 市 2.57 1.77 2.63 55.12 砕 石 安 山 岩 13mm 徳 島 県 鳴 門 2.55 2.30 6.63 59.52 粗 骨 材 砕 石 安 山 岩 20mm 市 2.56 2.16 7.03 60.16 高 性 能 AE 減 水 剤 ポリカルボン 酸 エーテル 系 化 合 物 AE 減 水 剤 リグニンスルホン 酸 系 化 合 物 およびポリオールの 複 合 体 混 和 剤 アルキルエーテル 系 AE 剤 高 アルキルカルボン 酸 系 (フライアッシュ 専 用 ) 表 乾 密 度 *:セメントは 単 に 密 度 を 意 味 する. 表 -2 フライアッシュの 物 理 的 性 質 種 類 密 度 (g/cm 3 ) 比 表 面 積 (cm 2 /g) 強 熱 減 量 二 酸 化 け い 素 Ⅱ 種 2.31 3980 2.1 63.6 Ⅳ 種 2.20 1610 64.8
(2) コンクリートの 配 合 本 研 究 に 用 い たコンクリート の 配 合 を 表 -3に 示 す 配 合 名 の 記 号 は,Nは 普 通 セメントを 用 い た 普 通 コンクリ ート,FⅡはFAⅡ 種 を20%セメントの 内 割 り 置 換 したFAコンクリート,FⅣは,FAⅣ 種 を20%セメント の 内 割 り 置 換 したFAコンクリートを 意 味 する 配 合 は, 目 標 スランプを18±2cmとし, 練 置 きをして8 ±2cm 程 度 までスランプロスさせて,18±2cm,12±2cm,8±2cmの3 種 類 の 目 標 スランプにおいて, 加 振 ボックス 充 塡 試 験 およびタンピング 試 験 を 実 施 した コンクリートの 練 混 ぜ 量 の 関 係 から,B 室 の 硬 化 コンクリートの 品 質 評 価 のためのシリンダー 供 試 体 の 採 取 は, 目 標 スランプ18cmと8cmにおいて 行 い, 目 標 スランプ12cmでは 採 取 しなかった (3) 試 験 方 法 60リットルの 二 軸 強 制 練 りミキサを 使 用 し 練 り 混 ぜを 行 った 後, 以 下 に 示 す 試 験 を 行 った a)フレッシュ 性 状 に 関 する 試 験 練 り 上 がり 直 後 に,フレッシュコンクリートのスランプと 空 気 量 を,スランプ 試 験 (JIS A 1101)お よび 空 気 量 試 験 (JIS A 1128)に 従 い 測 定 した b) 標 準 加 振 ボックス 充 塡 試 験 1) コンクリートの 間 隙 通 過 性 を 評 価 するため, 図 -1に 示 すボックス 型 容 器 およびE 社 製 棒 状 バイブレ ータ{ 全 長 :1015mm, 直 径 :28mm, 振 動 数 :220~270Hz,モーター:280W}を 用 いた 試 験 を 行 った 容 器 は, 土 木 学 会 規 準 高 流 動 コンクリートの 充 塡 装 置 を 用 いた 間 げき 通 過 性 試 験 方 法 ( 案 )(JSCE-F 511-2010) のボックス 型 容 器 と 同 寸 法 である まず, 流 動 障 害 を 有 するボックス 型 容 器 のA 室 にコ ンクリートを 満 たし, 棒 状 バイブレータを 中 心 に 挿 入 する つまり 鉄 筋 障 害 と 棒 状 バイブレータの 中 心 からの 距 離 は70mmとなる 挿 入 深 さは, 棒 状 バイブレータの 先 端 が 容 器 下 端 から100mmのところとし, 加 振 すると 同 時 にシャッターを 開 け,B 室 に 高 さ300mmになるまで 充 塡 を 行 う その 際, 加 振 開 始 直 後 からB 室 の 高 さ190mmと300mmに 充 塡 するまでの 時 間 を 測 定 し,これをそれぞれ190mm 充 塡 時 間,300mm 充 塡 時 間 とする 流 動 障 害 部 分 をコンクリートが 通 過 するのに 要 した 時 間 を 計 測 する 流 動 障 害 は, D10 鉄 筋 を5 本 配 置 した 障 害 R1とD13 鉄 筋 を3 本 配 置 した 障 害 R2の2 種 類 である 障 害 R1は 高 密 度 配 筋 を 想 定 し, 障 害 R2は 通 常 の 配 筋 を 想 定 している 流 動 障 害 R1の 加 振 ボックス 充 塡 試 験 の 計 測 を 終 わったあと,コンクリートの 練 舟 に 残 ったコンク リートからφ100 200mmのシリンダー 供 試 体 3 体,B 室 の 充 塡 されたコンクリートを 上 層, 中 層, 下 層 の 順 に1.7l 程 度 ずつ 採 取 し,シリンダー 供 試 体 を 作 製 した 供 試 体 は, 翌 日 脱 枠 し, 材 齢 28 日 まで20 ±2 の 水 槽 内 で 水 中 養 生 し,そのあと, 圧 縮 強 度 試 験 (JIS A 1108)を 行 い, 材 齢 28 日 の 圧 縮 強 度 と 見 掛 けの 密 度 を 求 めた 配 合 表 粗 骨 材 最 大 寸 法 (mm) c) 鉄 筋 近 傍 加 振 ボックス 充 塡 試 験 目 標 スランプ (cm) 標 準 加 振 ボックス 充 塡 試 験 と 同 様 の 装 置 を 用 いて, 同 手 順 で 鉄 筋 近 傍 加 振 ボックス 充 塡 試 験 を 行 っ た 相 違 点 は, 本 試 験 では 棒 状 バイブレータをボックス 中 央 より 流 動 障 害 の 鉄 筋 側 に30mm 近 づけ て 挿 入 する 点 である つまり 鉄 筋 障 害 と 棒 状 バイブレータの 中 心 からの 距 離 は40mmとした 流 動 障 害 はR1のみとした 充 塡 試 験 終 了 後 のシリンダー 供 試 体 用 の 試 料 の 採 取 や 硬 化 コンクリートの 試 験 は, 標 準 加 振 ボックス 充 塡 試 験 と 同 様 である 表 -3 実 験 に 供 したコンクリートの 配 合 W/C s/a Air 単 位 量 kg/m3 W C FA S G 空 気 量 混 和 剤 (C %) 高 性 能 AE 減 水 剤 * AE 剤 ** N43 58 300 0 4 1.5 0.04 FⅡ43 20 18±2.0 62 43 4.5 175 235 47 757 996 4 1.7 0.48 FⅣ43 64 227 45.4 6 2 0.56 高 性 能 AE 減 水 剤 *,,C %を 意 味 する. AE 剤 **:フライアッシュを 用 いたコンクリートには,フライアッシュ 専 用 のAE 剤 を 意 味 する
間 隙 通 過 速 度 Vpass(mm/s) 3. 間 隙 通 過 速 度 本 研 究 では,190mm 充 塡 時 間 や300mm 充 塡 時 間 を 個 別 に 評 価 するのではなく, 充 塡 高 さ190mmから 300mmまでの 充 塡 する 速 度 を 間 隙 通 過 速 度 Vpass と 定 義 し,この 間 隙 通 過 速 度 Vpass を 用 いて 間 隙 通 過 性 を 評 価 することとした すなわち, 間 隙 通 過 速 度 Vpass とは1 秒 あたりの 充 塡 高 さ(mm)を 表 わした もので, 式 (1)で 定 義 した 1) 110mm( 300mm 190mm) V pass (1) 300mm 充 填 時 間 -190mm 充 填 時 間 4. 実 験 結 果 および 考 察 4.1 フレッシュ 性 状 本 研 究 で 用 いた 各 配 合 の 練 上 がり 時 点 のフレッシュ 性 状 を 表 -4に 示 す スランプおよび 空 気 量 とも 目 標 範 囲 に 入 った 4.2 間 隙 通 過 性 R1 間 隙 通 過 速 度 Vpassとスランプの 関 係 を 図 -2に 示 す 近 傍 とは 鉄 筋 近 傍 加 振 ボックス 充 塡 試 験 を, 標 準 とは 標 準 加 振 ボックス 充 塡 試 験 を 意 味 する 配 合 の 種 類 に 関 係 なく, 鉄 筋 近 傍 加 振 ボックス 充 塡 試 験 のVpass が, 標 準 加 振 のVpassより 相 当 に 大 きい スランプ8cm 前 後 の 低 スランプより,スランプ12cm 以 上 の 高 スランプ 領 域 で 顕 著 である 鉄 筋 近 傍 で 加 振 することにより,コンクリートが 流 動 障 害 に 入 ろうとする 直 前 に, 粗 骨 材 粒 子 群 のアーチ ングが 解 消 し,スムーズな 間 隙 通 過 を 可 能 にしたためと 思 われる これに 対 して,スランプの 大 きさ, 配 合 の 種 類 に 関 係 なく, 標 準 加 振 は, 粗 骨 材 粒 子 群 のアーチングが 発 生 し, 間 隙 通 過 に 相 当 な 時 間 を 要 する FⅣが 最 もVpass が 大 きく,スランプ12cm 以 上 では,12mm/s 以 上 の 速 度 である 図 -3にR2 間 隙 通 過 速 度 Vpass とスランプの 関 係 を 示 す 標 準 加 振 を 比 較 すると,R2のVpass は, R1のVpassより 大 きくなるが,FⅣが 最 も 大 きい これに 対 してFⅡは,NよりもVpass が 小 さく,フ ライアッシュの 種 別 が 間 隙 通 過 性 に 与 える 影 響 は 大 きい 一 方, 標 準 加 振 であっても,Vpass は, 8mm/s 以 下 であり,R1での 近 傍 加 振 におけるVpass が 相 当 に 大 きいことが 明 らかである 高 密 度 配 筋 の 部 位 の 締 固 めに 作 業 で, 鉄 筋 に 接 触 することなく, 鉄 筋 近 傍 で 加 振 することは, 間 隙 通 過 性 を 向 上 させる 効 果 が 大 きいと 思 われる 配 合 番 号 表 -4 フレッシュ 性 状 スランプ (cm) 空 気 量 コンクリー ト 温 度 ( ) N 19.5 3.2 18.0 FⅡ 17.5 4.0 18.8 FⅣ 17.5 6.5 20.0 16 14 12 10 8 6 4 2 近 傍 N 近 傍 FⅡ 近 傍 FⅣ 標 準 N 標 準 FⅡ 標 準 FⅣ 間 隙 通 過 速 度 Vpass(mm/s) 16 14 12 10 8 6 4 2 標 準 N 標 準 FⅡ 標 準 FⅣ 0 5 10 15 20 スランプ (cm) 0 5 10 15 20 スランプ (cm) 図 -2 R1 間 隙 通 過 速 度 とスランプの 関 係 図 -3 R2 間 隙 通 過 速 度 とスランプの 関 係
通 過 前 の 見 掛 けの 密 度 に 対 する 相 対 比 通 過 前 の 見 掛 けの 密 度 に 対 する 相 対 比 4.3 鉄 筋 通 過 後 のコンクリートの 品 質 性 状 鉄 筋 通 過 後 のB 室 におけるコンクリートの 圧 縮 強 度 と 見 掛 けの 密 度 は,それぞれの 配 合 が 異 なるた めに, 大 きさが 異 なる 各 配 合 で, 加 振 ボックス 充 塡 試 験 に 供 していないコンクリートの 圧 縮 強 度 な らびに 見 掛 けの 密 度 を 基 準 として,Bの 上 層, 中 層 および 下 層 の 圧 縮 強 度, 見 掛 けの 密 度 の 相 対 比 を 求 めた 図 -4に 加 振 方 法 採 取 位 置 別 の 圧 縮 強 度 比 と 見 掛 けの 密 度 比 の 相 関 関 係 を 示 す 相 対 比 1.0の 軸 をx 軸,y 軸 とすると, 標 準 の 上 層 は 第 3また 第 4 象 限 に 比 較 的 分 布 し, 中 層 は 第 1ま た 第 4 象 限 に, 下 層 は 第 1 象 限 に 分 布 した 下 層, 中 層 および 上 層 の 順 に, 材 料 分 離 の 程 度 が 定 量 的 に 評 価 できている この 傾 向 は, 近 傍 加 振 に おいても 同 様 である 従 来 のA 室 とB 室 の 洗 い 分 析 では 明 確 に 評 価 できなかったB 室 での 充 塡 後 の 材 料 分 離 の 程 度 が, 硬 化 後 の 供 試 体 の 密 度 および 圧 縮 強 度 性 状 によって 明 確 に 評 価 できる ことが 明 らかになった 加 振 方 法 別 に 比 較 すると, 近 傍 加 振 と 比 較 し て 標 準 加 振 の 方 が,データがx 軸,y 軸 ともに 広 く 分 布 している 標 準 加 振 のVpass が 小 さく, 充 塡 時 間 が 長 いため, 分 離 が 増 大 したものと 思 われ る 一 方, 近 傍 加 振 は, 鉄 筋 近 傍 で 加 振 することによってアーチングの 発 生 頻 度 と 材 料 分 離 の 程 度 が 少 なくなり, 圧 縮 強 度 比 や 密 度 比 があまり ばらつかなかったと 思 われる 1.04 配 合 番 号 FⅡ 興 味 深 い 点 として, 上 層 の 材 料 分 離 して いるデータの 分 布 において, 見 掛 けの 密 度 比 に 比 べて 圧 縮 強 度 比 は,1.0 以 下 のもの が 少 ないことである これは, 流 動 障 害 を 通 過 したコンクリートのW/Cが 練 混 ぜ 直 後 のW/Cと 大 差 がないことを 意 味 する 骨 材 量 は 少 ないが,モルタルの 品 質 自 体 は 低 下 していないと 考 えられる 図 -5に,3 配 合 のうち,もっとも 材 料 分 離 の 程 度 が 小 さかった 配 合 番 号 FⅡの 圧 縮 強 度 比 と 見 掛 け 密 度 比 の 相 関 関 係 を 示 す 標 準 加 振 と 近 傍 加 振 ともに, 圧 縮 強 度 比 が 1.0 以 上 であり, 見 掛 け 密 度 比 が0.94 以 上 である 配 合 番 号 FⅡは, 間 隙 通 過 速 度 1.04 1.02 0.98 近 傍 上 層 近 傍 中 層 0.96 近 傍 下 層 標 準 上 層 0.94 標 準 中 層 0.92 標 準 下 層 0.70 0.80 1.10 1.20 1.30 通 過 前 の 圧 縮 強 度 に 対 する 相 対 比 図 -4 圧 縮 強 度 と 見 掛 けの 密 度 の 相 対 比 の 相 関 関 係 1.02 0.98 近 傍 上 層 0.96 近 傍 中 層 0.94 近 傍 下 層 標 準 上 層 0.92 標 準 中 層 標 準 下 層 0.70 0.80 1.10 1.20 1.30 通 過 前 の 圧 縮 強 度 に 対 する 相 対 比 図 -5 配 合 番 号 FⅡの 圧 縮 強 度 比 と 見 掛 けの 密 度 比 の 相 関 関 係 Vpassが 小 さく, 長 時 間 振 動 を 受 けており, 材 料 分 離 が 発 生 しやすいはずである しかしながら, 近 傍 標 準 の 振 動 条 件 に 関 係 なく, 材 料 分 離 していない FAⅡ 種 を 用 いたコンクリートは, 充 塡 という 施 工 性 は 劣 るが, 材 料 分 離 抵 抗 性 は 最 も 高 く, 厳 しい 振 動 条 件 下 でも 材 料 分 離 しにくいコンクリート であると 言 える 充 塡 時 間 が 短 い 方 が 材 料 分 離 しにくいという 一 般 的 な 原 則 が 成 り 立 たないコンクリ ートである
通 過 前 の 見 掛 けの 密 度 に 対 する 相 対 比 通 過 前 の 圧 縮 強 度 に 対 する 相 対 比 1.04 1.30 1.02 0.98 0.96 0.94 近 傍 上 層 近 傍 中 層 0.92 近 傍 下 層 標 準 上 層 標 準 中 層 標 準 下 層 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 間 隙 通 過 速 度 Vpass(mm/s) 1.20 1.10 0.80 近 傍 上 層 近 傍 中 層 近 傍 下 層 標 準 上 層 標 準 中 層 標 準 下 層 0.70 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 間 隙 通 過 速 度 Vpass(mm/s) 図 -6 R1 間 隙 通 過 速 度 Vpass と 見 掛 けの 密 度 比 と 圧 縮 強 度 比 の 関 係 図 -6に 流 動 障 害 R1の 間 隙 通 過 速 度 Vpass と 見 掛 けの 密 度 比 および 圧 縮 強 度 比 の 関 係 を 加 振 方 法 採 取 位 置 別 に 示 す スランプ12±2cmでは,B 室 のコンクリートを 採 取 してシリンダー 供 試 体 を 作 製 し ていない よって, 図 中 のデータは,スランプ18±2cmと8±2cmにおける 加 振 ボックス 充 塡 試 験 のとき のみである 間 隙 通 過 速 度 Vpass は, 加 振 方 法 別 で 大 きく 異 なり, 標 準 加 振 の 場 合,すべての 配 合 で1.0mm/s 以 下 で 相 当 に 遅 く, 流 動 障 害 という 履 歴 を 受 ける 時 間 が 長 い しかしながら 標 準 加 振 では, 上 層 のみが 0.96 以 下 の 領 域 に 分 布 し, 中 下 層 は1.0 付 近 以 上 の 領 域 に 分 布 する つまりB 室 の 上 層 と 中 下 層 間 において 材 料 分 離 が 起 こっている この 傾 向 は, 近 傍 加 振 の 間 隙 通 過 速 度 Vpass が 大 きい 場 合 は, 上 層 でも0.96 以 上 となり, 材 料 分 離 の 程 度 が 減 少 している 標 準 加 振 の 場 合,B 室 で 締 固 め 過 ぎによる 材 料 分 離 が 起 こっていると 考 えられる 鉄 筋 の 近 傍 で 締 め 固 めを 行 うことは,PC 構 造 物 のような 高 密 度 配 筋 の 部 位 の 締 固 めに 関 して, 間 隙 通 過 性 を 向 上 させ, 材 料 分 離 を 抑 制 することが 可 能 であると 思 われる 5.おわりに 本 研 究 では, 高 密 度 配 筋 を 想 定 した 流 動 障 害 R1(D10 5 本 )を 用 いた 加 振 ボックス 充 塡 試 験 を 用 い, バイブレータの 加 振 距 離 の 違 いが 間 隙 通 過 性 と 流 動 障 害 を 通 過 したあとのコンクリートの 圧 縮 強 度 と 見 掛 けの 密 度 に 与 える 影 響 について 実 験 的 に 検 討 した その 結 果, 鉄 筋 近 傍 ( 鉄 筋 とバイブレータの 距 離 40mm)で 振 動 締 固 めを 行 うことにより, 間 隙 通 過 性 が 向 上 し 鉄 筋 通 過 後 の 圧 縮 強 度 や 見 掛 けの 密 度 からコンクリートの 品 質 が 良 くなることが 確 認 できた 参 考 文 献 1) コンクリートの 施 工 性 能 の 照 査 検 査 システム 研 究 小 委 員 会 (341 委 員 会 ) 委 員 会 報 告 書, 土 木 学 会 コンクリート 技 術 シリーズ94,2011.4 2) 構 造 物 表 面 のコンクリート 品 質 と 耐 久 性 能 検 証 システム 研 究 小 委 員 会 (335 委 員 会 ) 成 果 報 告 書, 土 木 学 会 コンクリート 技 術 シリーズ80,2008.4 3) 蔵 重 勲, 西 田 孝 弘, 秋 山 仁 志, 岸 利 治 : 中 規 模 柱 試 験 体 を 対 象 とした 非 破 壊 評 価 による 表 層 品 質 の 要 因 分 析, コンクリート 工 学 年 次 論 文 集, Vol.33, No.1, pp.1835 1840,2011.7 4) 岸 上 裕 哉, 橋 本 親 典, 渡 邉 健, 石 丸 啓 輔 : タンピング 試 験 による 変 形 性 と 加 振 ボックス 充 て ん 試 験 による 間 隙 通 過 性 の 相 互 関 係 に 関 する 実 験 的 研 究, コンクリート 工 学 年 次 論 文 集, Vol.33, No.1, pp.1247 1252,2011.7