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平成16年度

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損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支


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弁護士報酬規定(抜粋)

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

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も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

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第25回税制調査会 総25-1

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賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

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第一部【証券情報】

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1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

子ども手当見直しによる家計への影響~高所得者層の可処分所得は大幅減少に

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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Microsoft Word

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

公表表紙

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

Microsoft Word - H27市・府民税のしくみ原稿(白黒)

平成24年度 業務概況書

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疑わしい取引の参考事例

ニュースリリース

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

Transcription:

う S SHINKIN C B SHINKIN CENTRAL CENTRAL BANK BANK 海 外 経 金 済 融 調 査 レポート 情 報 No.11 19-5 (2007.10.10) 2000.10 総 合 研 究 所 104-0031 東 京 都 中 央 区 京 橋 3-8-1 TEL.03-3563-7541 FAX.03-3563-7551 URL http://www.scbri.jp 高 齢 者 の 貯 蓄 状 況 と 金 融 機 関 の 高 齢 者 向 け 商 品 サービス 動 向 - 高 リスク 資 産 の 保 有 とリバースモーゲージの 商 品 性 改 善 が 課 題 - 視 点 公 的 年 金 制 度 に 対 する 不 安 感 の 高 まりから 老 後 の 生 活 に 備 えた 貯 蓄 が 活 発 化 している 一 方 で 時 代 の 変 化 から 高 齢 者 の 健 康 状 態 や 生 活 水 準 も 向 上 し 特 に 70 歳 代 前 半 までの 高 齢 者 が そのライフスタイルを 反 映 して 活 発 な 消 費 者 層 としても 注 目 されている そうした 中 日 本 の 人 口 動 態 上 人 口 の 集 中 度 が 高 い 団 塊 世 代 の 定 年 退 職 が 迫 っている 金 融 機 関 もその 退 職 金 や 既 存 貯 蓄 の 運 用 ニーズ 老 後 生 活 上 の 資 金 ニーズに 応 えるため 貯 蓄 運 用 商 品 や 融 資 商 品 に 工 夫 を 凝 らしている 本 稿 では 高 齢 者 の 金 融 貯 蓄 負 債 の 他 世 代 と 比 べた 特 徴 を 踏 まえ 昨 今 の 金 融 機 関 の 団 塊 世 代 向 け 商 品 を 類 型 化 してその 特 徴 を 洗 い 出 すとともに 同 世 代 に 望 まれ る 金 融 商 品 サービスについて 考 えてみたい 要 旨 高 齢 者 世 帯 で 老 後 の 生 活 費 のうち 公 的 年 金 で 賄 えるのは 現 状 でも 半 分 に 過 ぎず 将 来 の 公 的 年 金 制 度 への 不 安 の 高 まりもあり 老 後 の 生 活 資 金 目 的 の 貯 蓄 は 活 発 である しかし 我 が 国 では 住 宅 ローンの 負 担 もあって 30 歳 代 40 歳 代 は 貯 蓄 残 高 が 増 えても 純 貯 蓄 が 増 えず 株 式 株 式 投 信 などの 高 リスク 資 産 の 保 有 が 進 まない 純 貯 蓄 が 急 増 する 50 歳 代 60 歳 代 では 大 半 は 定 期 預 金 であるが 高 リスク 資 産 も 少 ないながら 増 えている 団 塊 世 代 の 退 職 金 取 込 み 戦 略 は やはり 定 期 預 金 が 主 となる 一 方 投 信 年 金 など 高 リス ク 商 品 への 関 心 の 高 まりにも 応 じていくべきである 金 融 機 関 も 金 利 優 遇 や 高 齢 者 のライ フスタイルを 意 識 した 情 報 提 供 などを 付 与 した 定 期 預 金 別 荘 向 け 住 宅 ローン 公 的 年 金 給 付 のない 月 に 分 配 する 投 信 投 信 ラップ 口 座 の 小 口 化 などで 取 込 みを 図 っている 持 ち 家 に 住 みながら その 価 値 を 老 後 の 生 活 費 に 転 換 していくリバースモーゲージも 有 効 な 手 段 であるが 利 用 者 の 死 亡 後 の 担 保 不 動 産 処 分 による 回 収 を 前 提 とするため 長 生 き リスク 担 保 不 動 産 価 格 下 落 リスクおよび 金 利 上 昇 リスクの3 大 リスクがあるなど 問 題 点 が 多 く 普 及 の 妨 げになっている リスク 軽 減 の 仕 組 みづくりが 今 後 の 普 及 のカギである キーワード 公 的 年 金 不 安 老 後 の 資 金 準 備 高 リスク 資 産 リバースモーゲージ 三 大 リスク

目 次 はじめに 1. 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 にみた 場 合 の 高 齢 者 世 帯 の 家 計 貯 蓄 負 債 の 特 徴 (1) 世 帯 主 が40 歳 代 から60 歳 代 になるにつれて 急 増 する 純 貯 蓄 (2) 預 貯 金 の 構 成 比 が 高 いものの 高 齢 者 層 で 厚 み 増 す 株 式 株 式 投 信 (3) 米 国 の 退 職 資 金 の 運 用 状 況 : 株 式 関 連 投 資 比 率 のピークは 30 歳 代 (4) 我 が 国 における 退 職 金 囲 込 みへの 示 唆 2. 団 塊 世 代 の 退 職 金 の 取 込 みを 狙 う 金 融 機 関 の 高 齢 者 向 け 商 品 サービス (1) 定 期 預 金 : 高 齢 者 層 取 込 みに 優 遇 金 利 や 懸 賞 品 情 報 提 供 などの 限 定 サービス (2) 融 資 商 品 : 定 年 後 のライフスタイルを 想 定 した 商 品 で 個 性 化 を 図 る (3) 投 資 商 品 : 分 配 時 期 や 投 資 一 任 商 品 の 小 口 化 など 高 齢 者 のニーズを 踏 まえた 工 夫 (4) 個 人 年 金 保 険 : 退 職 資 金 運 用 の 典 型 商 品 の 活 用 (5)その 他 3.リバースモーゲージの 仕 組 みと 今 後 の 課 題 (1)リバースモーゲージの 仕 組 みと 意 義 (2)リバースモーゲージの 問 題 点 (3) 今 後 の 課 題 おわりに はじめに 国 民 の 平 均 寿 命 の 長 期 化 と 少 子 化 に 伴 う 高 齢 化 社 会 の 進 展 により 現 行 の 公 的 年 金 制 度 の 継 続 可 能 性 に 対 する 不 安 感 が 年 々 高 まり 今 後 の 公 的 年 金 の 保 険 料 引 上 げ あるい は 給 付 水 準 の 引 下 げ 等 が 現 実 味 を 帯 びてきている ( 社 ) 生 命 保 険 文 化 センターが 2004 年 に 実 施 した 生 活 保 障 に 関 する 調 査 によると 自 分 の 老 後 生 活 に 不 安 を 感 じる 人 の 割 合 は 83.3%にのぼる そのうち 非 常 に 不 安 を 感 じる 人 の 割 合 だけで 20.4%に 達 する 不 安 内 容 のトップは 公 的 年 金 をあてにできない の 79.2%となっている また 自 助 努 力 による 準 備 が 不 足 する も 39.6%で3 位 となっている 一 方 で 時 代 の 変 化 から 高 齢 者 の 健 康 状 態 や 生 活 水 準 も 向 上 し そのライフスタイル を 反 映 して 特 に 70 歳 代 前 半 までの 高 齢 者 が アクティブシニアと 呼 ばれて 活 発 な 消 費 者 層 としても 注 目 されており そのための 資 金 も 必 要 としている その 結 果 定 年 退 職 を 控 え 老 後 の 生 活 準 備 のた ( 図 表 1) 老 後 の 生 活 資 金 のうち 公 的 年 金 で 賄 える 比 率 別 の 世 帯 の 割 合 めに 独 自 に 貯 蓄 を 行 う 必 要 性 が 高 まっていると 考 え (2004 年 10 月 ) ( 単 位 :%) ている 世 代 が 増 えてきている 郵 政 総 合 研 究 所 の 調 査 によれば( 図 表 1 参 照 ) 老 後 の 生 活 費 を 公 的 年 金 の 給 付 金 で 賄 えている 世 帯 は 約 半 分 の 50.4%に 過 ぎず 半 分 近 くの 世 帯 は 公 的 年 金 以 外 の 蓄 えや 収 入 を 必 要 としている 公 的 年 金 比 率 世 帯 割 合 1 10 割 以 上 50.4 8 割 以 上 10 割 未 満 10.6 6 割 以 上 8 割 未 満 9.6 4 割 以 上 6 割 未 満 10.2 2 割 以 上 4 割 未 満 6.5 2 割 未 満 2.1 ( 備 考 ) 郵 政 総 合 研 究 所 資 料 より 作 成

さらに ( 社 ) 生 命 保 険 文 化 センターの 調 査 では( 図 表 2 参 照 ) 平 均 世 帯 が 考 えて いる 最 低 限 の 生 活 費 とは 月 24.2 万 円 であるが ゆとりある 生 活 費 は 月 37.9 万 円 であ り ゆとりある 生 活 を 送 るため ( 図 表 2) 老 後 の1 月 あたり 生 活 費 (2004 年 10 月 ) ( 単 位 : 万 円 ) には 13.7 万 円 上 乗 せする 必 要 最 低 限 の ゆとりあ 差 額 生 活 費 る 生 活 費 がある 公 的 年 金 や 退 職 金 以 外 平 均 世 帯 24.2 37.9 13.7 100 万 円 以 上 300 万 円 未 満 23.1 36.4 13.3 に 準 備 した 資 金 を 生 活 費 とし 年 300 万 円 以 上 500 万 円 未 満 23.8 36.8 13.0 収 500 万 円 以 上 700 万 円 未 満 25.0 39.8 14.8 て 使 い 始 める 年 齢 を 老 後 生 活 別 700 万 円 以 上 1,000 万 円 未 満 26.5 42.3 15.8 の 開 始 時 期 とした 場 合 老 後 の 1,000 万 円 以 上 31.7 52.9 21.2 ( 備 考 )( 社 ) 生 命 保 険 文 化 センター 生 活 保 障 に 関 する 調 査 ( 平 成 税 込 み 年 収 別 平 均 で 必 要 上 乗 16 年 ) より 作 成 せ 額 をみると 300 万 円 未 満 の 平 均 13.3 万 円 から 年 収 が 多 い 層 になるとともに 増 加 し 1,000 万 円 未 満 までが 平 均 15.8 万 円 1,000 万 円 以 上 では 平 均 21.2 万 円 である 老 後 の 年 収 300 万 円 以 上 500 万 円 未 満 の 世 帯 の 場 合 最 低 限 の 生 活 費 と 考 える 年 額 約 286 万 円 は 年 収 で 賄 えているものの ゆとりある 生 活 費 と 考 える 額 は 年 額 約 442 万 円 であり 年 収 では 賄 えない 世 帯 も 多 いと 考 えられる また 老 後 の 年 収 100 万 円 以 上 300 万 円 未 満 の 世 帯 の 場 合 ゆとりある 生 活 費 である 437 万 円 はもちろん 最 低 限 の 生 活 費 である 約 277 万 円 をも 年 収 では 賄 えな い 世 帯 が 少 なくないと 考 えられる 退 職 後 は 無 職 となり 年 収 の 大 半 を 公 的 年 金 の 給 付 に 依 存 する 世 帯 は こうした 世 帯 に 属 するため 金 融 資 産 その 他 の 資 産 を 取 り 崩 してい くことになると 考 えられる そうした 中 日 本 の 人 口 構 成 において 他 の 世 代 に 比 べて 構 成 人 数 の 多 さが 目 立 って いる いわゆる 団 塊 世 代 の 定 年 退 職 が 始 まった 彼 らの 退 職 金 やこれまでの 貯 蓄 を 取 り 込 むため 金 融 機 関 は 世 代 限 定 退 職 金 限 定 使 途 限 定 などにより 金 利 を 優 遇 した 預 金 消 費 のための 情 報 提 供 サービス 相 談 サービスを 付 与 した 各 種 金 融 商 品 や アクテ ィブシニアのライフスタイルを 捉 えた 融 資 商 品 を 開 発 し その 資 金 の 取 込 みに 注 力 して いる さらに 定 年 退 職 時 の 退 職 金 の 運 用 や 年 金 給 付 だけでは 老 後 の 生 活 費 に 不 十 分 である 場 合 は 住 居 を 活 用 して 死 亡 までの 期 間 に 徐 々にそれを 担 保 とする 融 資 を 受 けること で 金 融 資 産 に 転 換 し 消 費 に 回 していくリバースモーゲージに 対 する 社 会 的 ニーズも 今 後 高 まっていく 可 能 性 がある そこで まず 第 1 章 で 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 の 家 計 の 貯 蓄 負 債 の 残 高 と その 内 容 構 成 における 年 齢 階 層 別 の 特 徴 を 踏 まえ 高 齢 者 世 帯 の 貯 蓄 の 状 況 について 考 えてみた い 第 2 章 では 各 金 融 機 関 が 団 塊 世 代 など 高 齢 者 をターゲットとした 金 融 商 品 を 類 型 化 して その 特 徴 をみていく 第 3 章 では 我 が 国 におけるリバースモーゲージの 概 要 を 整 理 し 普 及 する 上 での 問 題 点 についても 考 察 したい 2

1. 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 にみた 場 合 の 高 齢 者 世 帯 の 家 計 貯 蓄 負 債 の 特 徴 (1) 世 帯 主 が40 歳 代 から60 歳 代 になるにつれて 急 増 する 純 貯 蓄 総 務 省 の 家 計 調 査 から 2006 年 平 均 の 世 帯 当 たり 貯 蓄 負 債 現 在 高 を 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 にみると( 図 表 3 参 照 ) 貯 蓄 残 高 は ( 図 表 3) 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 貯 蓄 負 債 の 20 歳 代 から70 歳 以 上 まで 年 齢 階 層 が 上 が ( 万 円 ) 一 世 帯 当 たり 現 在 高 (2006 年 平 均 ) るほど 大 きい しかし 40 歳 代 までは 負 債 残 高 にも 同 様 の 傾 向 がある 負 債 残 高 の 大 半 を 占 めるのは 住 宅 土 地 のための 負 債 であり 40 歳 代 までで9 割 前 後 50 歳 代 や それ 以 上 も7 割 超 となっている その 結 果 貯 蓄 残 高 から 負 債 残 高 を 引 いた 純 貯 蓄 残 高 は 30 歳 代 までの 小 幅 マイナスから40 歳 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0-500 貯 蓄 残 高 (A) 負 債 残 高 (B) (A)-(B) ( 年 齢 階 層 ) ( 備 考 )1. 全 国 全 世 帯 の2 人 以 上 世 帯 が 対 象 で 農 林 漁 家 を 含 む 代 は 小 幅 のプラスに 転 じ そこから60 歳 代 2. 総 務 省 家 計 調 査 より 信 金 中 金 総 合 研 究 所 作 成 にかけて 急 増 する 動 きとなっている 一 方 勤 労 者 であれば 定 年 を 迎 える60~65 歳 までが 老 後 資 金 の 想 定 運 用 期 間 である 前 述 の( 社 ) 生 命 保 険 文 化 センターの 調 査 でも 公 的 年 金 と 退 職 金 以 外 の 老 後 資 金 の 使 用 開 始 年 齢 は 60 歳 ( 全 体 の26.1%)と65 歳 ( 同 28.9%)に 集 中 しており 平 均 で63.9 歳 となっている そう 考 えると 世 帯 主 が40 歳 代 までの 世 帯 は 想 定 運 用 期 間 が 長 く 時 間 分 散 効 果 を 通 じて 運 用 リスクを 取 りやすいはずであるが 貯 蓄 残 高 自 体 も 大 きくな く 負 債 を 差 し 引 いた 純 貯 蓄 もマイナスからプラス200 万 円 強 にとどまるため 住 宅 ロ ーンの 心 理 的 圧 迫 感 もあり 実 際 には 運 ( 図 表 4) 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 の 金 融 商 品 別 貯 蓄 構 成 用 リスクを 取 りにくいようにうかがえる (%) 金 融 機 (2006 関 以 外 での 年 貯 平 蓄 均 ) その 他 の 有 価 証 券 (2) 預 貯 金 の 構 成 比 が 高 いものの 高 齢 者 層 で 厚 み 増 す 株 式 株 式 投 信 次 に 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 の 金 融 商 品 別 貯 蓄 構 成 をみると( 図 表 4 参 照 ) 貯 蓄 残 高 の 積 上 がりとともに 20 歳 代 から 40 歳 代 までに 通 貨 性 預 貯 金 と 定 期 性 預 貯 金 の 構 成 比 は 合 計 で 70% 強 から 50% 強 まで 低 下 し そこから 70 歳 以 上 の 60% 強 まで 上 昇 している 預 貯 金 の 内 訳 では 通 貨 性 預 貯 金 の 構 成 比 は 20 歳 代 から 40 歳 代 までに 急 速 に 低 下 している 定 期 性 預 貯 金 の 構 成 比 は 20 歳 代 から 70 歳 以 上 にむ けて 一 貫 して 上 昇 している 40 歳 代 以 降 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 20 歳 代 20 歳 代 30 歳 代 30 歳 代 40 歳 代 40 歳 代 50 歳 代 50 歳 代 60 歳 代 70 歳 以 上 60 歳 代 70 歳 以 上 株 式 株 式 投 信 生 命 保 険 等 定 期 性 預 貯 金 通 貨 性 預 貯 金 ( 年 齢 階 層 ) ( 備 考 )1. 通 貨 性 預 貯 金 とは 信 用 金 庫 や 銀 行 等 の 普 通 預 金 当 座 預 金 通 知 預 金 納 税 準 備 預 金 と 郵 便 局 の 通 常 貯 金 2. 定 期 性 預 貯 金 とは 信 用 金 庫 や 銀 行 等 の 各 種 定 期 預 金 定 期 積 金 や 郵 便 局 の 定 額 貯 金 定 期 貯 金 および 積 立 貯 金 3. 生 命 保 険 等 とは 生 命 保 険 会 社 の 積 立 型 生 命 保 険 損 害 保 険 会 社 の 損 害 保 険 ( 火 災 傷 害 保 険 のうち 満 期 時 に 満 期 返 戻 金 が 支 払 われる 積 立 型 のもの) 農 業 協 同 組 合 の 養 老 生 命 共 済 簡 易 保 険 ( 保 険 商 品 年 金 商 品 ) 4.その 他 の 有 価 証 券 とは 債 券 公 社 債 投 信 貸 付 信 託 金 銭 信 託 など 5. 金 融 機 関 以 外 での 預 貯 金 とは 社 内 預 金 勤 め 先 の 共 済 組 合 などへの 預 貯 金 など 6. 総 務 省 家 計 調 査 より 信 金 中 金 総 合 研 究 所 作 成 3

70 歳 以 上 において 安 全 資 産 としての 預 貯 金 の 構 成 比 が 高 年 齢 層 になるにつれて 高 ま っており しだいに 運 用 リスクを 低 下 させる 合 理 的 な 動 きとなっている この 状 況 は 10 年 前 の 1996 年 末 時 点 とほぼ 同 じであるが 全 年 齢 層 で 当 時 よりも 定 期 性 預 貯 金 から 通 貨 性 預 貯 金 にウエイトが 移 っている 点 が 異 なっている 構 成 比 の 動 きが 預 貯 金 の 低 下 とともに 上 昇 し その 上 昇 とともに 低 下 しているのは 生 命 保 険 等 である ここでは 生 命 保 険 等 は 積 立 型 のものが 対 象 となっているが 保 険 会 社 が 予 定 利 率 を 保 証 する 定 額 型 のものが 多 く 株 式 株 式 投 信 などのように 契 約 者 個 人 が 運 用 リスクを 取 る 変 額 型 は 増 えてはいるものの 全 体 の 中 では 少 ない したがって 30 歳 代 40 歳 代 は 安 全 志 向 の 強 い 資 産 構 成 となっている ただ 1996 年 末 と 比 べると 2006 年 平 均 の 生 命 保 険 等 の 構 成 比 は 60 歳 代 (1996 年 末 の 方 は 60 歳 以 上 )でやや 上 回 る 以 外 は 概 ね 若 年 層 ほど 下 回 っており バブル 崩 壊 後 の 生 命 保 険 会 社 の 経 営 不 安 や 予 定 利 率 の 低 下 を 受 けて 保 険 貯 蓄 離 れの 傾 向 が 表 れて いると 考 えられる それらよりリスクが 高 いとされる 株 式 株 式 投 信 の 構 成 比 は 20 歳 代 の 3.4%から 70 歳 代 の 11.6%と 高 年 齢 層 になるほど 上 昇 する 結 果 となっている 前 述 のとおり 想 定 運 用 期 間 を 長 く 取 れる 30 歳 代 40 歳 代 の 純 貯 蓄 が 少 なく 長 く 取 りにくい 50 歳 代 60 歳 代 になってはじめて 株 式 株 式 投 信 に 資 金 を 回 す 余 裕 が 出 てくるからだと 考 えられる また ここには 純 粋 な 証 券 投 資 としての 株 式 ばかりでなく 個 人 経 営 者 な どの 自 社 株 式 も 含 まれていよう 1996 年 末 も 20 歳 代 から 60 歳 代 以 上 に 向 けて 高 年 齢 層 になるほど 上 昇 しているが 20 歳 代 で 1.2% 60 歳 代 で 3.5%にとどまっている な らしてみて 高 年 齢 層 になるほど 2006 年 平 均 は 1996 年 末 を 上 回 っており 各 世 代 で 株 式 株 式 投 信 の 保 有 が 進 んでいる 欧 米 先 進 国 に 比 べて 我 が 国 は 個 人 金 融 資 産 残 高 に 占 める 預 貯 金 の 構 成 比 の 水 準 が 高 い 点 はよく 指 摘 されているものの 近 年 は 長 く 低 金 利 の 状 況 が 続 いたことに 加 え 政 府 も 投 信 や 保 険 の 銀 行 窓 販 規 制 の 緩 和 や 投 資 優 遇 税 制 などにより 個 人 資 金 をより 資 本 市 場 に 誘 導 する 政 策 をとっていることが 影 響 してい ると 考 えられる 実 際 金 融 広 報 中 央 委 員 会 が 行 った 家 計 の 金 融 資 産 に 関 する 世 論 調 査 によると( 図 表 5 参 照 ) 2001 年 も 2006 年 も 全 年 齢 階 層 ( 図 表 5) 世 帯 主 年 齢 階 層 別 の 金 融 商 品 の 選 択 基 準 20 歳 代 30 歳 代 40 歳 代 50 歳 代 60 歳 代 70 歳 代 で 安 全 性 を 基 準 とする 世 帯 の 比 率 が 一 番 高 収 益 性 2001 年 19.5 15.9 16.7 15.5 14.0 13.9 く 流 動 性 収 益 性 の 順 となるものの 2006 2006 年 8.6 21.3 17.0 18.1 17.5 13.9 安 全 性 2001 年 41.6 53.4 57.1 55.5 52.8 52.8 年 は 2001 年 に 比 べて 収 益 性 と 流 動 性 は 20 2006 年 39.8 38.0 48.4 47.5 48.1 47.2 流 動 性 歳 代 を 除 く 全 年 齢 階 層 で 同 じか 上 回 り 安 2001 年 33.8 23.7 22.6 24.9 29.4 27.8 2006 年 32.3 29.6 26.8 28.5 31.2 31.6 全 性 は 全 年 齢 階 層 で 下 回 っている 30 歳 代 から 60 歳 代 では 安 全 性 で 劣 っても 収 益 性 と 流 動 性 の 高 い 金 融 資 産 に 対 する 選 好 度 合 いが5 年 前 に 比 べて 高 まっている ( 備 考 )1. 各 基 準 は 複 数 回 答 可 で 単 身 世 帯 も 対 象 に 含 む 2. 収 益 性 は 利 回 りが 良 い と 将 来 の 値 上 がり 益 が 期 待 できる の 合 計 安 全 性 は 元 本 が 保 証 さ れている と 取 扱 金 融 機 関 が 信 用 できて 安 心 の 合 計 流 動 性 は 現 金 に 換 えやすい と 少 額 でも 預 入 れや 引 出 しが 自 由 の 合 計 3. 金 融 広 報 中 央 委 員 会 資 料 より 作 成 4

(3) 米 国 の 退 職 資 金 の 運 用 状 況 : 株 式 関 連 投 資 比 率 のピークは 30 歳 代 一 方 米 国 では 老 後 に 備 えた 資 金 にどのような 傾 向 がみられるであろう (%) 100 か 確 定 拠 出 型 企 業 年 金 401k の 年 齢 階 90 80 層 別 資 産 構 成 をみると( 図 表 6 参 照 ) 70 60 401k の 資 産 残 高 に 占 める 株 式 と 株 式 50 40 投 信 の 割 合 は 合 計 で 20 歳 代 の6 割 30 株 式 投 信 20 から 30 歳 代 の7 割 弱 を 経 て 60 歳 代 10 株 式 の5 割 弱 に 低 下 している それに 株 式 0 20 歳 代 30 歳 代 40 歳 代 50 歳 代 60 歳 代 と 公 社 債 を 組 み 合 わせて 投 資 するバラ ンス 型 投 信 も 合 わせると 40 歳 代 まで は8 割 60 歳 代 でも6 割 を 株 式 関 連 投 資 資 産 が 占 めていることになる 一 方 年 齢 階 層 別 の 加 入 者 平 均 の 401k 資 産 残 高 をみると( 図 表 7 参 照 ) 我 が 国 の 家 計 貯 蓄 残 高 と 同 様 に 高 齢 者 層 に 近 くなるほど 増 加 している むろん 401k の 枠 外 での 貯 蓄 もあり その 分 も 含 めた 資 産 構 成 は 分 からない しかし 米 国 の 401k は 我 が ( 万 ドル) 国 の 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 と 異 なり 企 業 側 ば 18 16 かりでなく 従 業 員 側 も 所 得 税 課 税 前 の 給 与 か 14 12 ら 拠 出 をすることができ その 法 定 年 間 拠 出 10 8 上 限 は 2006 年 で 1.5 万 ドル(ICI 資 料 )とか 6 なり 大 きく 個 々の 企 業 の 401k プランの 実 際 4 2 の 従 業 員 拠 出 枠 もそれに 近 いと 思 われるため 0 20 歳 代 30 歳 代 40 歳 代 50 歳 代 60 歳 代 401k 加 入 者 は 目 一 杯 拠 出 金 と 運 用 益 への 課 税 繰 延 効 果 を 享 受 するため 401k の 制 度 内 で 貯 蓄 を 行 おうとすると 推 察 されている そう 考 えると 家 計 貯 蓄 全 体 でも 米 国 では 我 が 国 より 若 いうちから 株 式 などのリス ク 資 産 に 長 期 投 資 を 行 い 取 崩 しが 始 まる 高 齢 者 層 になるにつれて 安 全 資 産 の 比 率 を 高 め 残 る 期 間 の 運 用 リスクを 徐 々に 減 らしていると 推 察 される ( 図 表 6) 米 国 の 確 定 拠 出 型 企 業 年 金 401k の 年 齢 階 層 別 資 産 構 成 その 他 GICその 他 安 定 型 投 信 MMF 公 社 債 投 信 バランス 型 投 信 ( 年 齢 階 層 ) ( 備 考 )1. 株 式 投 信 はここではもっぱら 株 式 に 投 資 する 投 信 バランス 型 投 信 とは 株 式 と 公 社 債 を 組 み 合 わせて 投 資 する 投 信 GIC とは 米 国 生 命 保 険 会 社 が 提 供 する 利 回 り 保 証 商 品 で 安 定 型 投 信 も 資 産 価 値 が 安 定 的 に 増 加 する 商 品 であるとみられる 2. 投 信 以 外 にも 信 託 銀 行 の 金 銭 信 託 生 命 保 険 会 社 の 分 離 勘 定 な ども 含 まれている 3. 米 国 投 信 協 会 (ICI) 資 料 より 信 金 中 金 総 合 研 究 所 作 成 ( 図 表 7) 米 国 401K の 年 齢 階 層 別 加 入 者 平 均 資 産 残 高 ( 年 齢 階 層 ) ( 備 考 ) 米 国 投 信 協 会 (ICI) 資 料 より 信 金 中 金 総 合 研 究 所 作 成 (4) 我 が 国 における 退 職 金 囲 込 みへの 示 唆 以 上 のように 我 が 国 の 家 計 貯 蓄 残 高 に 占 める 預 貯 金 の 構 成 比 は 高 く 世 帯 主 が 60 歳 代 の 家 計 で 定 期 性 預 貯 金 は 42.5%を 占 めている そこで 平 均 的 な 60 歳 代 の 定 年 退 職 者 の 退 職 金 の 取 込 み 戦 略 としては まず 定 期 性 預 貯 金 で 取 り 込 み そのうち 半 分 を 3か 月 物 や6か 月 物 など 満 期 が 短 めのもので 受 け これらを 時 間 とともに 投 信 年 金 な どの 商 品 に 誘 導 していくことになろう それまで 十 分 なリスク 資 産 を 保 有 してこなかっ 5

た 分 資 金 の 余 裕 度 や 世 帯 主 本 人 の 知 識 経 験 などに 応 じて 高 齢 者 層 はもう 少 し 株 式 株 式 投 信 や 外 国 債 券 外 貨 預 金 ( 家 計 貯 蓄 残 高 に 占 める 構 成 比 は 50 歳 代 で 0.9% 60 歳 代 で 1.5%)といった よりリスクの 高 い 商 品 を 保 有 できる 余 地 があると 考 えられる 投 信 や 年 金 の 活 用 が 期 待 される 一 方 リスク リターンが 定 期 預 金 と 株 式 や 外 国 証 券 ば かりの 投 信 との 中 間 に 位 置 するような ミドルリスク ミドルリターン 商 品 を 加 えるこ とも 一 考 である さらに 米 国 でも 40 歳 代 までの 世 代 が 住 宅 ローンを 抱 えていようことから 我 が 国 の 40 歳 代 までの 世 代 についても 今 後 は 投 資 教 育 の 普 及 によって 純 貯 蓄 の 余 裕 がない なりに 株 式 投 信 などのリスク 資 産 の 保 有 比 率 をいくらかでも 高 めてくると 考 えられる 2. 団 塊 世 代 の 退 職 金 の 取 込 みを 狙 う 金 融 機 関 の 高 齢 者 向 け 商 品 サービス (1) 定 期 預 金 : 高 齢 者 層 取 込 みに 優 遇 金 利 や 懸 賞 品 情 報 提 供 などの 限 定 サービス 昨 今 の 金 融 機 関 は 団 塊 世 代 の 退 職 金 を 取 り 込 むため さまざまな 高 齢 者 向 け 商 品 サービスの 開 発 にしのぎを 削 っている 預 金 金 融 機 関 にとって 最 も 代 表 的 な 商 品 は 定 期 預 金 であり もっとも 有 力 な 退 職 金 の 受 け 皿 ともなりうるものである 基 本 的 に 金 融 機 関 の 信 用 リスク 以 外 にリスクがないため 商 品 の 性 格 も 至 ってシンプルなものである そこで 各 金 融 機 関 とも 付 随 サービスで 他 社 との 差 別 化 を 図 っている 図 表 8のように 基 本 的 なものは 導 入 時 の 優 遇 金 利 付 き 定 期 預 金 であるが 投 信 や 公 社 債 外 貨 預 金 とのパック 商 品 もある さらには 顧 客 全 員 へのプレゼントや 抽 選 に よる 懸 賞 をつけているものもある 対 象 者 に 対 する 実 年 齢 誕 生 日 による 制 限 利 用 ロ ットの 制 限 を 加 える 例 年 金 受 取 口 座 の 利 用 ( 予 定 ) 者 退 職 日 関 連 の 期 間 限 定 や ユ ニークなものとしては 地 域 へのUターン 移 住 者 限 定 などを 設 けるものもある 単 純 な 定 期 預 金 との 差 別 化 を 図 るため 年 金 と 類 似 の 受 取 りになるような 定 期 預 金 や 特 定 の 旅 行 者 の 旅 行 商 品 の 購 ( 図 表 8) 高 齢 者 向 け 定 期 預 金 商 品 の 類 型 入 を 目 的 とした 商 品 もある 優 遇 金 利 付 き 定 期 預 金 期 間 設 定 富 裕 層 を 囲 い 込 むための 会 当 初 3か 月 間 優 遇 金 利 が 主 流 他 に 初 回 3か 月 更 新 金 利 も 優 遇 するもの 6か 月 もの 1 年 もの 3 年 ものなど 員 制 サービスプランを 提 供 す パック 型 投 信 公 社 債 外 貨 預 金 とのパック 型 商 品 さらに 金 利 を 優 遇 特 典 付 商 品 るところもある 優 遇 金 利 預 金 プレゼント:ギフトカード 雑 炊 鍋 セット 食 事 券 など 懸 賞 品 : 地 元 魚 介 類 冬 の 味 覚 など のほか 会 員 情 報 誌 専 用 ホー 対 象 者 制 限 年 齢 : 年 齢 で50 歳 以 上 55 歳 以 上 55 歳 ~65 歳 57 歳 以 上 54 歳 ~61 歳 ムページなどによる 生 活 情 報 55 歳 ~58 歳 ( 満 期 は60 歳 の 誕 生 日 ) 58 歳 以 上 60 歳 未 満 など 誕 生 日 :1946 年 1 月 1 日 ~1951 年 12 月 31 日 の 人 ロット: 上 限 1,000 万 円 300 万 円 ~3,000 万 円 かつ 退 職 金 受 取 額 までなど 提 供 資 産 運 用 や 旅 行 に 関 する その 他 : 年 金 受 取 口 座 の 保 有 者 や 予 約 者 退 職 1 年 前 の 者 退 職 金 受 取 り 後 6か 月 以 内 に1 年 定 期 預 金 を 組 んだ 相 談 なども 受 け アクティブシ 者 退 職 金 受 取 り 後 1 年 以 内 の 者 預 金 が 退 職 金 であること 地 域 へのUターン 移 住 者 など ニアの 生 活 を 楽 しむライフス 年 金 式 定 期 預 金 満 期 まで 据 え 置 く 部 分 と 定 期 的 に 元 利 金 を 取 り 崩 せる 部 分 がある 定 期 預 金 ( 有 期 年 金 タイプ) タイルを 意 識 したサービスを 旅 行 目 的 定 期 預 金 満 期 時 に 元 本 をJTB 商 品 の 購 入 に 利 用 金 利 分 に 加 え 購 入 額 の1.5%を 上 乗 せ 提 供 している 会 員 制 サービスプラン 会 員 向 け 優 遇 金 利 預 金 などのほか 会 員 情 報 誌 専 用 ホームページなどによる 情 報 提 供 資 産 運 用 相 談 旅 行 相 談 提 携 先 福 利 厚 生 サービス 施 設 の 利 用 割 引 など ( 備 考 ) 各 種 報 道 等 より 作 成 6

(2) 融 資 商 品 : 定 年 後 のライフスタイルを 想 定 した 商 品 で 個 性 化 を 図 る 融 資 商 品 については 高 齢 期 前 半 のアクティブシニア 期 に 人 生 を 謳 歌 するために 顧 客 の 定 年 後 のライフスタイルを 想 定 し そのための 支 援 を 行 うような 商 品 が 工 夫 されて いる たとえば 60 歳 以 上 の 沖 縄 移 住 者 が 増 えているのを 受 けて そうした 顧 客 に 限 定 して 地 元 の 保 証 会 社 と 提 携 した 融 資 商 品 が 出 てきた また 地 元 のリゾートマンショ ン 別 荘 物 件 に 限 定 した 住 宅 ローンを 提 供 する 金 融 機 関 もある (3) 投 資 商 品 : 分 配 時 期 や 投 資 一 任 商 品 の 小 口 化 など 高 齢 者 のニーズを 踏 まえた 工 夫 投 資 信 託 などを 利 用 した 投 資 商 品 についても 高 齢 者 のニーズを 踏 まえた 工 夫 を 施 し たものが 出 てきた 例 えば 以 下 の 商 品 である イ. 奇 数 月 分 配 型 投 信 昨 今 海 外 債 券 型 や 内 外 バランス 型 などを 中 心 に 頻 繁 に 分 配 金 を 受 け 取 れる 毎 月 決 算 型 や 3か 月 決 算 型 が 人 気 を 集 める 中 公 的 年 金 の 支 払 われない 奇 数 月 に 分 配 金 を 出 すタイプの 同 種 の 投 信 が 販 売 されて 好 評 を 博 している ロ.500 万 円 から 契 約 できる 投 信 ラップ 口 座 一 方 顧 客 と 投 資 一 任 契 約 を 結 んで 顧 客 の 資 金 で 個 々の 顧 客 のニーズを 反 映 して 予 め 定 められた 範 囲 の 複 数 の 投 信 でポートフォリオを 構 築 し その 銘 柄 入 替 えや 構 成 比 の 変 更 によ って 運 用 し 結 果 を 定 期 的 に 報 告 する 投 信 ラップ 口 座 の 推 進 も 活 発 化 している 契 約 時 最 低 資 産 額 を1,000 万 円 にまで 小 口 化 する 動 きも 広 がり 500 万 円 とする 商 品 もでてきた より 多 く の 高 齢 者 の 投 資 商 品 の 運 用 を 専 門 家 に 任 せたいというニーズへの 対 応 を 可 能 としている ハ. 沖 縄 への 移 住 富 裕 層 を 狙 ったプライベートバンキング 契 約 また 都 市 圏 から 沖 縄 への 移 住 者 を 狙 って 投 資 一 任 契 約 に 基 づくプライベートバンキン グサービスを 提 供 するため 不 動 産 販 売 大 手 と 提 携 して 都 市 圏 や 沖 縄 で 高 額 物 件 を 売 買 した 富 裕 層 の 紹 介 を 受 けることにした 金 融 機 関 も 現 れている (4) 個 人 年 金 保 険 : 老 後 資 金 運 用 の 典 型 商 品 の 活 用 個 人 年 金 保 険 は そもそも 老 後 資 金 の 運 用 と 支 払 いを 主 な 目 的 とした 商 品 であり 高 齢 者 向 けだから 特 に 変 わるものではないが 20 歳 代 30 歳 代 の 若 いうちからの 購 入 では なく 60 歳 以 降 受 け 取 る 退 職 金 で 購 入 する 場 合 に 便 利 であると 考 えられる 種 類 がある 以 下 では 購 入 時 からの 各 段 階 で こうした 購 入 の 場 合 に 便 利 なタイプを 考 えてみたい イ. 払 込 み サラリーマンは 60 歳 以 降 の 退 職 金 受 取 り 後 は 公 的 年 金 等 の 受 取 り 開 始 までは 既 存 7

の 貯 蓄 の 運 用 と 取 崩 しで 生 活 費 等 を 賄 う 場 合 が 多 いと 考 えられる したがって 個 人 年 金 保 険 の 購 入 は 退 職 金 等 をあてた 一 時 払 い 型 が 中 心 となろう ロ. 年 金 受 取 り 開 始 時 期 すでに 高 齢 者 になってからの 契 約 者 のために 年 金 給 付 の 開 始 時 期 を 契 約 から10 年 後 にするなど 一 定 の 運 用 期 間 を 確 保 したタイプばかりでなく 契 約 の1 年 後 や 直 後 に 開 始 するタイプもあるようである しかし 後 者 のタイプはその 分 保 険 料 に 比 して 年 金 受 取 額 は 小 さくなろう ハ. 年 金 受 取 期 間 長 生 きリスクをヘッジするために 終 身 型 が 望 ましいが 高 齢 になってからの 購 入 で あるので あまり 年 金 を 受 け 取 れずに 受 取 人 が 死 亡 する 場 合 も 想 定 される 一 方 確 定 年 金 (あらかじめ 年 金 支 払 い 期 間 が 定 められており 受 取 人 の 死 亡 後 は 残 った 期 間 遺 族 に 対 して 年 金 が 支 払 われる)や 定 期 年 金 ( 年 金 支 払 い 期 間 中 に 受 取 人 が 死 亡 した 場 合 遺 族 に 残 りの 年 金 原 資 が 一 時 金 で 支 払 われる)では 長 生 きリスクをヘッジできな い そのため そうした 複 数 の 商 品 を 併 用 するほか あらかじめ 受 取 人 の 死 亡 後 は 遺 族 に 対 して 年 金 が 支 払 われる 保 証 期 間 のついた 保 証 期 間 付 終 身 個 人 年 金 もある さらに は 夫 婦 のいずれかが 生 存 している 限 り 年 金 を 受 け 取 れる 夫 婦 年 金 もある ニ. 受 取 年 金 額 受 取 年 金 額 についても 毎 年 一 定 の 定 額 型 のほか 一 定 期 間 ごとに 増 えていく 逓 増 型 がある 定 年 退 職 後 も 若 いうちは 貯 蓄 を 運 用 しながら 取 り 崩 し 加 齢 とともに 貯 蓄 残 高 が 減 少 し 運 用 リスク 許 容 度 が 低 下 したら 予 め 逓 増 するように 設 計 されていた 年 金 給 付 への 依 存 度 を 増 すといったことが 考 えられる ホ. 変 額 型 個 人 年 金 前 述 のとおり 定 年 を 迎 えてからだと 運 用 期 間 も 長 く 取 れないため 運 用 リスクの 時 間 分 散 効 果 を 享 受 しにくい そこで 変 額 型 個 人 年 金 は 定 額 型 個 人 年 金 より 利 用 し にくい 面 がある ただ 最 近 は 変 額 型 個 人 年 金 とはいっても 年 金 原 資 ( 将 来 の 年 金 払 いのために 積 み 立 てられる 金 額 )や 年 金 受 取 総 額 に 最 低 保 証 があるものも 出 てきてい る また 解 約 返 戻 金 について 多 くは 最 低 保 証 がないものの 最 低 保 証 のあるものもあ る そうした 保 証 のついた 商 品 の 活 用 が 考 えられよう (5)その 他 アクティブシニアの 旅 行 需 要 増 を 想 定 して 三 大 都 市 圏 や 成 田 空 港 にある 航 空 会 社 の エグゼクティブラウンジなどに 外 貨 両 替 専 門 店 を 設 置 している 金 融 機 関 がある 8

3.リバースモーゲージの 仕 組 みと 今 後 の 課 題 以 上 の 議 論 は 融 資 と 外 貨 両 替 などを 除 けば 貯 蓄 の 運 用 手 段 の 話 であった 一 方 持 ち 家 を 担 保 に 年 金 払 いで 借 入 れを 行 い 老 後 の 生 活 資 金 に 充 て 死 亡 後 の 持 ち 家 売 却 に よって 返 済 を 行 うことで 持 ち 家 という 実 物 資 産 を 金 融 資 産 に 転 換 して 流 動 化 するリバ ースモーゲージという 商 品 も しだいに 注 目 されつつある 戦 後 の 核 家 族 化 や 少 子 化 の 進 展 により 子 供 は 別 の 場 所 ですでに 持 ち 家 を 保 有 していたり 子 供 がいない 高 齢 者 世 帯 も 増 えてきているため 高 齢 者 の 死 後 に 持 ち 家 を 残 す 必 要 性 も 低 下 してきたことも 背 景 にある そこで ここでは リバースモーゲージの 仕 組 みと 意 義 問 題 点 と 課 題 につ いてみていくこととする ( 図 表 9) 住 宅 ローンとリバース (1)リバースモーゲージの 仕 組 みと 意 義 モーゲージの 資 金 の 流 れ リバースモーゲージとは 一 般 的 な 住 宅 ローンのこ ( 万 円 ) とを 指 すフォワードモーゲージとは 逆 のものという 3000 住 宅 ローン 意 味 である 2000 住 宅 ローンの 場 合 のキャッシュフローを 考 えると ( 借 入 れ) ( 図 表 9 参 照 ) 持 ち 家 を 購 入 するために3,000 万 円 1000 の 住 宅 ローンを20 年 元 利 均 等 払 いで 借 入 金 利 を 固 定 0 4%の 年 複 利 として 計 算 した 場 合 借 り 手 は20 年 間 に わたって 年 間 221 万 円 ずつ( 計 算 上 月 払 いの 場 合 の -1000 ( 返 済 ) 年 間 合 計 額 とは 異 なる) 返 済 していくことになる -2000 リバースモーゲージの 場 合 これとは 逆 に 借 り 手 リバースモーゲージ は 持 ち 家 を 担 保 に 先 に 毎 年 一 定 額 ずつ 借 入 れを 行 い -3000 0 1 2 3 19 20 終 身 契 約 の 場 合 亡 くなった 後 に 担 保 不 動 産 を 処 分 し ( 備 考 ) 信 金 中 金 総 合 研 究 所 作 成 て 返 済 することになる 契 約 後 の 平 均 余 命 が 20 年 で あり 20 年 後 の 不 動 産 の 処 分 額 が 3,000 万 円 だと 見 込 まれる 場 合 この 不 動 産 の 将 来 価 値 を 現 在 価 値 に 置 き 換 えるため 利 用 者 が 負 担 する 金 利 を 固 定 年 複 利 4%と 考 えると 毎 年 の 借 入 可 能 額 は 96 万 円 月 々8 万 円 相 当 になる ちなみに 2004 年 の 厚 生 労 働 省 の 簡 易 生 命 表 によれば 65 歳 の 平 均 余 命 は 男 性 で 18.21 年 女 性 で 23.28 年 である このようなリバースモーゲージの 活 用 に 際 しては 利 用 者 に 持 ち 家 があることが 前 提 となる 我 が 国 の 場 合 前 述 の 金 融 広 報 中 央 委 員 会 の 2006 年 の 調 査 によれば 60 歳 代 の 持 ち 家 比 率 は 79.6% 70 歳 以 上 の 持 ち 家 比 率 は 81.4%と ともに8 割 前 後 にのぼり リバースモーゲージの 利 用 可 能 性 のある 世 帯 の 割 合 は 高 いといえる また 総 務 省 の 2004 年 の 調 査 によれば 高 齢 者 の 金 融 資 産 ばかりでなく 実 物 資 産 も 含 む 資 産 合 計 額 のうち 現 住 居 の 比 率 が 50 歳 代 から 70 歳 代 まで 総 じて 半 分 近 くになって いる 長 期 間 にわたるリバースモーゲージの 場 合 には 住 宅 の 評 価 額 が 残 らないため 宅 地 部 分 のみでみても 4 割 前 後 を 占 めている ( 年 目 ) 9

したがって 老 後 の 生 活 準 備 のための 貯 蓄 が 十 分 とはいえない 世 帯 が 持 ち 家 に 住 み 続 けな がら 老 後 の 生 活 費 を 賄 うためにそれを 活 用 でき れば 助 けとなろう (2)リバースモーゲージの 問 題 点 イ.リバースモーゲージの3 大 リスク ( 図 表 10) 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 の 家 計 資 産 合 計 額 と 現 住 居 の 割 合 ( 単 位 : 万 円 %) 50 歳 代 60 歳 代 70 歳 代 資 産 合 計 額 4,751 5,830 6,145 現 住 居 の 割 合 48.3 45.3 46.7 うち 住 宅 10.4 7.6 6.1 うち 宅 地 37.9 37.8 40.7 ( 備 考 ) 総 務 省 全 国 消 費 実 態 調 査 (2004) より 作 成 金 融 機 関 等 がリバースモーゲージを 提 供 するに 際 には 1 長 生 きリスク 2 担 保 不 動 産 価 格 下 落 リスク 3 金 利 上 昇 リスクの3 大 リスクがあるとされている 1 長 生 きリスクとは リバースモーゲージが 終 身 契 約 となっており 利 用 者 が 亡 くな るまで 定 額 の 借 入 れを 継 続 することとなっている 場 合 に 生 じる リバースモーゲージの 契 約 時 には 利 用 者 の 余 命 がいくばくかは 知 りえないからである その 結 果 利 用 者 が リバースモーゲージの 契 約 時 に 想 定 した 期 間 を 超 えて 長 生 きした 場 合 金 融 機 関 等 が 想 定 どおりに 担 保 不 動 産 が 処 分 できた 場 合 でも 貸 出 を 回 収 しきれない 恐 れがあるからで ある そこで 金 融 機 関 等 が 定 額 貸 出 の 継 続 期 間 を 一 定 期 間 に 限 定 したり 貸 出 限 度 額 を 設 けた 場 合 それ 以 上 に 長 生 きすれば 利 用 者 が 貸 出 を 打 ち 切 られることになる 2 担 保 不 動 産 価 格 下 落 リスクとは 利 用 者 が 亡 くなって 担 保 不 動 産 を 処 分 する 際 に リバースモーゲージの 契 約 時 にその 時 点 での 担 保 不 動 産 の 実 勢 価 格 から 想 定 した 将 来 価 格 予 測 を 下 回 る 価 格 で 処 分 せざるを 得 なかった 場 合 である そのリスクを 軽 減 するた めに 設 ける 担 保 掛 目 が 保 守 的 に 過 ぎると 利 用 者 は 持 ち 家 の 価 値 を 十 分 老 後 の 生 活 費 に 活 用 できない このため 持 ち 家 を 売 却 して 低 価 格 の 物 件 に 買 い 換 えるか 借 り 家 住 ま いにかえて 残 った 資 金 を 老 後 の 生 活 にあてるという 選 択 もあろう 現 状 貸 出 限 度 額 が 土 地 評 価 額 の 50%から 70%に 設 定 されていることが 多 い 貸 出 限 度 額 があれば 利 用 者 は 借 入 れを 終 身 で 受 けることができなくなる 場 合 が 出 てくるため 利 用 者 が1のリ スクを 負 っていることになる 3 金 利 上 昇 リスクとは リバースモーゲージの 契 約 期 間 中 に 金 利 が 急 上 昇 した 場 合 金 融 機 関 等 が 利 用 者 に 貸 し 出 す 資 金 とその 調 達 コストを 回 収 し 切 れなくなるリスクで ある そのため 変 動 金 利 型 で 元 利 合 計 の 貸 出 限 度 額 を 設 ければ 利 用 者 は 予 定 より 早 期 に 貸 出 を 打 ち 切 られることになる これらのリスクは 長 生 きリスクを 通 じて 契 約 期 間 が 不 確 定 でかつ 長 期 化 することで さらに 増 幅 されるリスクだといえる 上 記 のリスクのうち 1は 生 命 保 険 会 社 が 終 身 年 金 を 通 じて 通 常 から 負 担 している リスクである これは 契 約 者 数 が 多 ければ 多 いほどその 契 約 者 全 体 の 平 均 余 命 が 社 会 全 体 の 平 均 余 命 に 近 づき そこからぶれるリスクが 減 るという 大 数 の 法 則 に 従 い 契 約 者 を 増 やせれば 軽 減 できるリスクである 3は 金 融 機 関 がALMを 通 じて 通 常 管 理 し ているリスクといえるが 管 理 するためには 平 均 契 約 期 間 もコントロールする 必 要 があ 10

るため 結 局 1の 軽 減 も 必 要 である 問 題 は 2であり 現 状 ではリスクヘッジする ための 取 引 ツールも 存 在 しないと 考 えられる つまり 生 命 保 険 会 社 との 提 携 等 の 手 段 も 用 いて 端 的 には 利 用 者 への 終 身 での 貸 出 金 のキャッシュフローを 賄 うために 自 らの 調 達 資 金 で 終 身 年 金 を 購 入 するなどすれば 1や3のリスクを 外 部 に 移 転 することはで きる しかし 2のリスクを 外 部 に 移 転 するのは 現 状 では 難 しい そして 金 融 機 関 等 が 自 らのリスクを 軽 減 するために 一 方 的 に 担 保 掛 目 を 低 く 抑 えれば 仮 に 処 分 後 の 超 過 利 潤 の 一 定 割 合 を 相 続 人 に 還 元 したとしても リバースモーゲージ 本 来 の 利 用 者 が 持 ち 家 の 価 値 を 老 後 の 生 活 資 金 に 生 かすという 意 義 は 低 下 してしまうのである ロ.その 他 の 問 題 点 その 他 の 問 題 点 として まず 中 古 住 宅 市 場 の 不 活 発 さが 挙 げられている 前 述 のと おり 建 物 は 評 価 されず もっぱら 宅 地 のみの 評 価 となり 中 古 物 件 が 過 小 評 価 され 流 通 市 場 は 新 築 住 宅 中 心 となっている その 分 担 保 不 動 産 からリバースモーゲージを 通 じて 受 けることのできる 借 入 金 も 少 額 となる 戦 後 の 我 が 国 の 住 宅 不 足 の 状 況 におい て 質 より 量 を 重 視 した 住 宅 関 連 施 策 が 採 られ 我 が 国 の 住 宅 が 欧 米 に 比 べて 著 しく 耐 用 年 数 の 短 いものとなったことが 背 景 にある 結 果 として 対 象 不 動 産 が 戸 建 に 限 ら れる 場 合 や その 現 在 の 宅 地 評 価 額 の 下 限 が 4,000 万 円 など 高 く 設 定 されている 場 合 も ある また リバースモーゲージの 提 供 者 が 回 収 の 手 続 きを 進 める 上 で 必 要 な 相 続 人 の 協 力 を 得 にくいといった 問 題 もある リバースモーゲージを 提 供 する 金 融 機 関 等 が 担 保 不 動 産 を 処 分 して 回 収 しようとする 際 相 続 人 に 自 らは 相 続 できない 対 象 不 動 産 の 処 分 に 対 して 所 得 税 等 の 負 担 が 発 生 するなど デメリットが 多 い このため 金 融 機 関 等 は 推 定 相 続 人 とのトラブルを 回 避 するために 利 用 者 に 対 し 推 定 相 続 人 の 連 帯 保 証 や 同 意 を 条 件 付 けることが 多 い しかし そうした 事 情 から 推 定 相 続 人 は 連 帯 保 証 や 同 意 に 応 じようとせず 利 用 者 は 利 用 を 断 念 するケースが 多 い これが リバースモーゲー ジの 普 及 を 妨 げる 要 因 の 一 つとなっている さらに 担 保 となる 居 住 用 不 動 産 について 配 偶 者 および 両 親 以 外 の 同 居 を 認 め ないケースが 多 い 点 も 普 及 を 妨 げる 要 因 の 一 つとなっている これはリバースモーゲー ジ 独 特 の 制 約 であり 担 保 不 動 産 を 処 分 して 清 算 する 際 に 第 三 者 に 居 住 権 を 主 張 されたり 融 資 資 金 を 第 三 者 に 不 正 使 用 されたりするのを 防 ぐのが 目 的 である しかし 利 用 者 たる 高 齢 者 は 子 供 とその 家 族 が 介 護 上 の 理 由 から 同 居 人 となっている 場 合 も 少 なくないため そうした 高 齢 者 が 利 用 できないこととなってしまう 問 題 点 がある 11

(3) 今 後 の 課 題 リバースモーゲージは 東 京 都 武 蔵 野 市 が 他 に 先 駆 けて 1981 年 から 実 施 して 以 来 厚 生 労 働 省 地 方 自 治 体 金 融 機 関 などが 取 り 扱 うようになった 武 蔵 野 市 の 場 合 は 担 保 不 動 産 の 価 格 の 下 限 を 設 定 せず 推 定 相 続 人 の 連 帯 保 証 や 同 意 を 不 要 としている 厚 生 労 働 省 は 融 資 額 の 上 限 は 土 地 評 価 額 の 70%とするものの その 元 本 および 利 子 の 返 済 を 利 用 者 の 死 亡 時 まで 繰 り 延 べられることとしている また 東 京 スター 銀 行 の 場 合 も 利 用 者 や 推 定 相 続 人 の 事 前 の 十 分 な 理 解 と 同 意 を 得 られれば 契 約 時 の 法 的 な 推 定 相 続 人 の 保 証 や 同 意 を 不 要 としている 加 えて 同 行 は 融 資 額 の 上 限 は 土 地 評 価 額 の 90%と 高 く 設 定 され 担 保 不 動 産 処 分 額 が 貸 出 金 元 利 合 計 を 超 えていた 場 合 差 額 が 相 続 人 に 返 却 される このように 前 述 のような 利 用 者 にとっての 制 約 条 件 のいく つかは 軽 減 されたリバースモーゲージが 取 り 扱 われているのは 事 実 である しかし 80 歳 までといった 有 期 契 約 を 提 供 する 場 合 があり また 上 記 事 例 でも 貸 出 限 度 額 が 設 定 されているなど これまでに 見 てきた 利 用 者 にとっての 制 約 条 件 が 一 切 な い 国 内 事 例 もまだみられない 制 約 条 件 は 金 融 機 関 等 のリバースモーゲージ 提 供 者 が 3 大 リスクなどの 諸 リスクを 負 担 し 切 れず それを 利 用 者 に 移 転 するために 設 けられて いることを 考 えると 提 供 者 サイドでのリスク 軽 減 の 工 夫 が リバースモーゲージ 普 及 のカギとなると 考 えられる 極 端 な 例 としては 米 国 の 連 邦 住 宅 都 市 開 発 省 の 提 供 しているホームエクイティコン バージョンモーゲージが 挙 げられる これは 連 邦 住 宅 庁 が3 大 リスクや 利 用 者 にとっ ての 金 融 機 関 倒 産 リスクを 100%カバーしていることが 最 大 の 特 徴 だとされている ま た 前 述 のリバースモーゲージを 提 供 する 金 融 機 関 等 が 担 保 不 動 産 を 処 分 して 回 収 しよ うとする 際 相 続 人 に 発 生 する 自 らは 相 続 できない 対 象 不 動 産 の 処 分 に 対 する 所 得 税 等 の 負 担 の 問 題 などは リバースモーゲージの 利 用 に 限 った 税 制 の 特 別 措 置 などの 検 討 余 地 があるのではないか リバースモーゲージの 普 及 の 社 会 的 重 要 性 が 高 まってくれば 公 的 部 門 自 身 によるリスク 分 担 や 不 動 産 デリバティブ 市 場 など 民 間 サイドでのリスク の 分 担 再 配 分 の 仕 組 みを 整 備 するなどの 方 策 があろうかと 考 えられる いずれにして も 3 大 リスク 軽 減 の 仕 組 みづくりが 今 後 の 課 題 となっていこう さらに 信 用 金 庫 や 地 域 銀 行 がリバースモーゲージを 取 り 扱 う 場 合 担 保 不 動 産 の 地 域 集 中 リスクに 晒 される その 場 合 仮 に 全 国 不 動 産 価 格 指 数 先 物 市 場 があったとして も それによるリスクヘッジには 限 界 がある そうすると 担 保 不 動 産 の 処 分 権 そのも のの 流 動 化 や 証 券 化 市 場 も 必 要 となるかもしれない ただ 不 動 産 現 物 市 場 自 体 が 証 券 市 場 とは 異 なり 流 動 性 が 低 いため そのデリバティブ 市 場 も 有 効 に 機 能 するかどうか 疑 問 視 する 向 きがある また 金 融 機 関 は 必 ずしも 担 保 不 動 産 の 処 分 を 回 収 の 前 提 にし てこなかったため 担 保 不 動 産 の 評 価 や 売 却 についてのノウハウが 十 分 ではない 場 合 が ある 点 についても 留 意 すべきであろう 12

おわりに 以 上 高 齢 者 の 老 後 の 生 活 資 金 準 備 の 状 況 をみ その 退 職 金 取 込 みをめざして 商 品 サービスに 工 夫 をこらす 金 融 機 関 の 動 向 についてみてきた さらには これまでの 金 融 商 品 とは 異 なる 性 格 をもつリバースモーゲージの 商 品 性 と 問 題 点 についても 概 観 した こうした 金 融 商 品 等 の 活 用 には つねにリスクの 問 題 が 避 けて 通 れない 運 用 商 品 の 中 では 一 般 に 期 待 リターンが 高 いものほどリスクも 高 くなる 傾 向 がある また リバ ースモーゲージにもさまざまなリスクがあり 金 融 機 関 が 負 いきれないリスクは 利 用 者 への 制 約 という 形 で 利 用 者 に 転 嫁 されている したがって 金 融 機 関 が 高 齢 者 に 対 して 老 後 の 生 活 資 金 に 関 するニーズに 応 えるた めに 各 種 金 融 商 品 を 販 売 する 際 には 十 分 な 説 明 を 行 い 適 合 性 の 原 則 に 照 らして 高 齢 者 の 資 産 状 況 金 融 や 資 産 運 用 に 対 する 知 識 や 判 断 能 力 からみてふさわしい 提 案 を 行 わなければならないことはいうまでもない 9 月 30 日 からは 金 融 商 品 取 引 法 も 本 格 施 行 されており 今 後 も 金 融 機 関 には 顧 客 向 け 説 明 体 制 の 整 備 強 化 に 努 めていく ことが 求 められている ( 間 下 聡 ) < 参 考 文 献 > Holden,S., VanDerhei, J. & Copeland, C.,"401(k) Plan Asset Allocation, Account Balances, and Loan Activity in 2006" Investment Company Institute Research Perspective, August 2007 Vol.13, No.1 小 沢 理 一 郎 (2000) リバースモーゲージの 活 用 ニーズと 普 及 促 進 の 方 向 性 価 値 総 合 研 究 所 喜 多 村 悦 史 ほか(2005) 老 後 革 命 高 齢 社 会 での 家 資 産 の 生 かし 方 リバースモーゲー ジ アース 工 房 倉 田 剛 (2006) 団 塊 世 代 とリバースモーゲージ 住 み 替 え とライフスタイル 住 宅 新 報 社 本 レポートのうち 意 見 にわたる 部 分 は 執 筆 者 個 人 の 見 解 です 投 資 施 策 実 施 等 についてはご 自 身 の 判 断 によってください 13