る 可 能 性 があることから 早 期 の 導 入 を 見 合 わせたい との 声 も 聞 かれる とはいえ 公 的 年 金 の 行 方 を 考 えると 自 助 努 力 による 早 い 段 階 からの 老 後 資 産 を 準 備 する 必 要 性 は(とくに 公 的 年 金 に 対 する 信 頼 感



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ディスカッションペーパー マッチング 拠 出 ( 従 業 員 拠 出 )の 影 響 と 対 応 佐 々 木 哲 夫 NPODC 総 研 常 務 理 事 1.はじめに 確 定 拠 出 年 金 制 度 は スタートしてから 今 年 で 満 11 年 を 経 過 した 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 承 認 規 約 数 は 2013 年 1 月 末 現 在 で4,192 件 加 入 者 数 約 4,377 千 人 実 施 事 業 主 数 は16,874 社 に 達 している 適 格 年 金 からの 移 行 が 収 束 して 普 及 スピードが 落 ちているとはいえ 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 の 制 度 加 入 者 数 は 厚 生 年 金 基 金 の 加 入 者 数 に 肩 を 並 べる 水 準 まで 増 加 している 運 用 環 境 の 悪 化 国 際 会 計 基 準 (IFRS)への 対 応 及 び 厚 年 基 金 からの 脱 退 などを 考 えると 確 定 給 付 型 企 業 年 金 から 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 への 流 れは 今 後 も 止 まることはない しかし 確 定 拠 出 年 金 制 度 がアメリカにみられるように 企 業 年 金 制 度 のメインとなるためには 大 きな 課 題 限 界 性 を 抱 えている 柔 軟 な 制 度 設 計 を 阻 む 拠 出 限 度 額 の 設 定 中 途 解 約 の 制 限 自 動 移 換 問 題 企 業 型 と 個 人 型 の 制 度 分 離 などが 当 該 制 度 を 企 業 が 本 格 活 用 する 際 の 大 きな 壁 となっているからである もし これらの 制 約 がないと 仮 定 した 場 合 制 度 導 入 企 業 数 だけでなく 確 定 拠 出 年 金 への 拠 出 金 額 や 対 退 職 給 付 制 度 移 行 割 合 などにおいても 現 状 以 上 に 増 えているに 相 違 ない とはいえ2011 年 は 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 歴 史 にとって 大 きな 節 目 の 年 として 記 憶 され ることになろう なぜなら 2011 年 8 月 4 日 年 金 確 保 支 援 法 ( 正 式 名 称 : 国 民 年 金 及 び 企 業 年 金 等 による 高 齢 期 における 所 得 の 確 保 を 支 援 するための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 )が 成 立 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 において1 加 入 資 格 年 齢 の 引 き 上 げ(60 歳 65 歳 ) 2 従 業 員 拠 出 (マ ッチング 拠 出 ) 可 能 3 事 業 主 による 従 業 員 に 対 する 継 続 的 教 育 の 実 施 を 明 文 化 などの 改 正 が なされたからである( 但 し 施 行 時 期 はそれぞれ 異 なる) この3つの 中 で 企 業 およびその 従 業 員 にとって 特 に 影 響 が 大 きいと 考 えられるものは 2マッチ ング 拠 出 といわれている マッチング 拠 出 は 長 年 にわたって 企 業 年 金 連 合 会 及 び 経 済 関 連 団 体 金 融 業 界 などからの 導 入 要 望 が 強 く また 導 入 企 業 の 側 からも 従 業 員 の 確 定 拠 出 年 金 制 度 に 対 する 関 心 を 高 める 効 果 があるとして 強 い 期 待 が 寄 せられていた しかし この 従 業 員 拠 出 (マッ チング 拠 出 )の 中 身 を 見 ると 労 使 合 わせた 掛 金 額 の 上 限 は 現 行 と 変 わらないだけでなく 従 業 員 拠 出 額 は 会 社 拠 出 額 を 超 えてはいけないとの 制 限 がある このため 会 社 拠 出 額 が 少 ないと 思 われる20 代 30 代 の 社 員 にとって 自 ら 拠 出 できる 金 額 は 少 なく 会 社 拠 出 額 が 多 い40 代 50 代 の 社 員 にとっても 会 社 の 拠 出 額 と 拠 出 限 度 額 の 差 が 小 さいため マッチング 拠 出 額 はそれほど 多 くはない つまり 現 在 の 制 度 設 計 においては マッチング 拠 出 そのものの 魅 力 があまり 感 じ られないかもしれない 加 えて 企 業 ( 担 当 者 )からは 個 人 拠 出 額 をめぐるル-ル 作 り 給 与 計 算 システム 改 正 拠 出 金 管 理 教 育 コミュニケーション 実 施 などの 事 務 負 担 費 用 負 担 が 増 え 1

る 可 能 性 があることから 早 期 の 導 入 を 見 合 わせたい との 声 も 聞 かれる とはいえ 公 的 年 金 の 行 方 を 考 えると 自 助 努 力 による 早 い 段 階 からの 老 後 資 産 を 準 備 する 必 要 性 は(とくに 公 的 年 金 に 対 する 信 頼 感 が 薄 い) 若 年 齢 層 中 心 に 益 々 高 まるはずで そのため にも 少 額 とはいえ 税 制 優 遇 が 得 られる 従 業 員 拠 出 (マッチング 拠 出 )の 活 用 メリットは 大 きい しかし 現 時 点 では 確 定 拠 出 年 金 制 度 に 対 する 従 業 員 の 関 心 自 体 が 低 い 制 度 理 解 もそれほど 進 んでいない 制 度 への 関 心 が 低 いために 拠 出 元 本 運 用 益 ともに 非 課 税 というマッチング 拠 出 の 税 制 優 遇 メリット 認 知 が 浸 透 せず あまり 活 用 されない 可 能 性 もある そこで カギを 握 るのは 継 続 教 育 コミュニケーション である 厚 労 省 が 事 業 主 による 従 業 員 に 対 する 継 続 的 な 教 育 実 施 を 明 文 化 した 背 景 には 継 続 教 育 コミュニケーションによ って 当 事 者 意 識 の 醸 成 と 従 業 員 拠 出 を 促 すことへの 期 待 がある と 考 えられる 継 続 教 育 コミュニケーションの 必 要 性 について 筆 者 も 全 く 同 感 である 現 状 の 継 続 的 な 教 育 コミュニケーションの 実 施 率 はそれほど 高 くはない また 制 度 導 入 後 全 く 継 続 教 育 コミ ュニケーションを 実 施 していない 企 業 も 少 なくない しかし 継 続 教 育 の 必 要 性 重 要 性 に 異 論 がないとしても 厚 労 省 が 唱 える 継 続 教 育 が 依 然 と して 投 資 教 育 に 偏 重 している 様 にみえる 点 に 筆 者 は 違 和 感 を 覚 える なぜなら 従 業 員 拠 出 (マ ッチング 拠 出 )の 前 と 後 では 継 続 教 育 の 視 点 は 異 なる と 考 えるからである 勿 論 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 関 与 を 促 し 間 違 わない 運 用 投 資 を 行 うための 投 資 教 育 を 行 う 意 義 は 関 係 者 の 誰 もが 認 めている 運 用 に 際 して 最 低 限 の 知 識 や 留 意 点 などを 繰 返 し 伝 える 必 要 はあるだろう では 継 続 教 育 を 投 資 教 育 である と 限 定 的 に 捉 えることの 疑 問 点 は 何 か 従 業 員 拠 出 (マッチング 拠 出 )の 登 場 は 確 定 拠 出 年 金 制 度 を 会 社 主 導 の 制 度 から 従 業 員 主 導 (または 相 互 連 携 )の 制 度 へと 転 換 させるものである 更 に このような 従 業 員 主 導 による 老 後 向 けの 資 産 形 成 促 進 は 財 形 年 金 制 度 や 従 業 員 持 ち 株 会 団 体 年 金 保 険 など 会 社 が 既 に 用 意 して いるものの 実 際 はあまり 認 知 活 用 されない 他 の 福 利 厚 生 制 度 と 連 携 相 乗 効 果 ( 制 度 認 知 と 効 果 的 な 活 用 ミックス 例 )を 高 めることによって 制 度 導 入 効 果 を 向 上 させることができる つまり 従 業 員 拠 出 (マッチング 拠 出 ) 後 の 教 育 とは 他 の 福 利 厚 生 制 度 と 連 動 した 資 産 形 成 ( 支 援 ) 教 育 や 税 教 育 ライフプラン 研 修 など 幅 広 い 観 点 から 継 続 教 育 を 組 み 立 て 従 業 員 に 確 定 拠 出 年 金 制 度 を 含 む 福 利 関 連 諸 制 度 への 主 体 的 関 与 を 促 すことではないだろうか 投 資 教 育 はその 一 部 にすぎない その 場 合 資 産 形 成 に 向 けた 統 合 視 点 とは ライフプラ ンであり 戦 略 的 生 活 設 計 者 への 挑 戦 であるかもしれない このように 従 業 員 拠 出 (マッチング 拠 出 )は 当 該 制 度 にとどまらず 他 の 福 利 厚 生 制 度 退 職 給 付 制 度 や 従 業 員 の 資 産 形 成 意 欲 税 意 識 などに 大 きなインパクトを 与 える 可 能 性 がある 我 々は このインパクトをどのように 捉 え この 好 機 を 効 果 的 に 活 用 すべきであろうか この 小 論 では 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 における 従 業 員 拠 出 (マッチング 拠 出 )の 影 響 と 対 応 につ いて 筆 者 なりの 考 えをまとめたものです 関 係 各 位 の 業 務 に 多 少 でもお 役 に 立 てれば 幸 いで す なお 小 論 は 筆 者 の 考 えをまとめたものであり 機 関 の 考 えを 代 表 するものではありませ ん 従 って 論 文 内 容 に 関 する 責 任 は 筆 者 にあります 2

2.マッチング 拠 出 のインパクト マッチング 拠 出 の 最 大 のメリットは 従 業 員 個 人 による 給 与 課 税 前 ( 所 得 控 除 )でのマッチン グ 拠 出 を 認 めるという その 税 制 優 遇 措 置 にある ただし 本 人 掛 金 については 無 制 限 に 積 み 立 てができるわけではなく 2つの 制 約 が 課 せられている( 下 図 参 照 ) 第 一 に 会 社 との 掛 金 との 合 計 が 法 律 上 の 拠 出 限 度 額 を 超 えることはできない 他 に 企 業 年 金 の ない 場 合 5.1 万 円 / 月 額 他 に 企 業 年 金 を 併 用 している 場 合 2.55 万 円 / 月 額 が 限 度 額 となる 第 二 に 会 社 より 多 額 の 掛 金 拠 出 は 認 められな い つまり 会 社 が1 万 円 / 月 額 の 掛 金 を 拠 出 し ている 人 は 本 人 も1 万 円 / 月 額 までしか 拠 出 で きない 上 記 の 条 件 はふたつとも 同 時 に 満 たすこ とが 求 められている 仮 に 毎 月 1 万 円 ( 年 間 12 万 円 )を 従 業 員 がマッチング 拠 出 したとしよう 実 効 税 率 は 所 得 水 準 により 異 なるが 例 えば 課 税 所 得 が500 万 円 の 従 業 員 世 帯 では 実 効 税 率 は30%なので 年 間 3.6 万 円 の 節 税 となる( 表 1) 従 業 員 の 自 助 努 力 による 資 産 形 成 支 援 措 置 としては 他 に 年 金 財 形 社 内 預 金 従 業 員 持 株 会 などがあるが マッチング 拠 出 はこれらに 比 べて 税 制 優 遇 の 度 合 いは 群 を 抜 いている(たとえば 年 金 財 形 は 利 子 優 遇 のみ) 表 1:マッチング 拠 出 の 節 税 効 果 給 与 等 の 金 額 実 効 税 率 ( 所 得 税 + 住 民 税 ) ( 計 算 式 ) 節 税 額 300 万 円 15% 12 万 円 0.15 1.8 万 円 400 万 円 20% 12 万 円 0.20 2.4 万 円 500 万 円 30% 12 万 円 0.30 3.6 万 円 1000 万 円 33% 12 万 円 0.33 3.9 万 円 現 在 確 定 拠 出 年 金 において 実 効 税 率 (15%~)を 上 回 るリターンを 得 て 運 用 している 従 業 員 は 皆 無 であろう 運 用 がプラスになっている 社 員 は 元 本 確 保 型 商 品 でその 太 宗 を 運 用 してい ると 推 測 される 従 って 運 用 がプラスの 場 合 でも 元 本 比 1% 以 下 に 留 まっていることが 多 い それゆえ 定 期 預 金 金 利 が1%に 満 たない という 現 在 の 低 金 利 市 場 の 状 況 のなかでは 実 効 税 率 分 を 金 利 と 考 えると(たとえ 従 業 員 拠 出 部 分 を100% 元 本 確 保 型 商 品 で 運 用 したとしても) マッチング 拠 出 は 十 分 高 いリターンを 確 保 できる 実 に 有 利 な 金 融 商 品 といえる その 活 用 は 合 理 的 な 老 後 向 け 資 産 形 成 行 動 である(しかも 高 い 所 得 税 率 が 適 用 される 高 額 所 得 層 ほど 有 利 な 拠 出 となる) 3

また 会 社 拠 出 分 に 個 人 拠 出 分 が 加 わることによって 個 人 拠 出 部 分 を 元 本 確 保 型 商 品 で 運 用 し 会 社 拠 出 部 分 をリスクテイク 型 金 融 商 品 ( 投 資 信 託 )で 運 用 する という 様 に 使 い 分 けるこ とができる リスク 分 散 を 図 るうえではマッチング 拠 出 によって 運 用 行 動 の 幅 が 格 段 に 広 がる その 結 果 マッチング 拠 出 は 投 資 運 用 に 関 する 企 業 の 訴 訟 リスクを 低 下 させるかもしれない (しかし だからといって 継 続 教 育 を 実 施 しないで 済 むことにならない 効 果 的 な 資 産 形 成 に 向 けた 継 続 教 育 コミュニケーションの 重 要 性 は 後 述 するように 今 までと 違 った 意 味 で むしろ これまで 以 上 に 高 まるはずである) このようにマッチング 拠 出 は 企 業 にとって 制 度 に 対 する 従 業 員 の 関 心 関 与 が 低 い と いう 悩 みを 解 決 し 普 及 や 活 用 を 高 める 可 能 性 がある そのため 経 営 トップや 労 組 ( 従 業 員 )か らの 要 望 を 契 機 に 新 規 に 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 導 入 を 始 めたり* 既 に 導 入 している 企 業 では 従 業 員 拠 出 額 を 増 額 するために 会 社 拠 出 額 を 増 やすなどの 制 度 改 正 が 今 後 活 発 化 するかも しれない その 結 果 増 加 した 会 社 拠 出 分 を 確 保 するために 退 職 一 時 金 を 減 額 したり 他 の 企 業 年 金 制 度 の 減 額 廃 止 および 他 の 福 利 制 度 の 見 直 しなどの 制 度 改 正 が 行 われる と 予 想 される つまり 退 職 給 付 制 度 法 定 外 企 業 福 利 厚 生 制 度 の 再 編 見 直 しが 始 まる * 平 成 20 年 就 労 条 件 総 合 調 査 結 果 ( 厚 労 省 )によると 退 職 一 時 金 制 度 だけの 企 業 は 従 業 員 数 が30-99 人 企 業 で63% 100-299 人 企 業 で41%に 達 する 今 後 こうした 企 業 年 金 未 導 入 企 業 においても 従 業 員 の 非 課 税 での 有 利 な 資 産 形 成 機 会 を 提 供 しなければならないという 義 務 感 や 従 業 員 側 からの 強 い 要 請 などから 新 たに 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 導 入 を 検 討 する 企 業 が 増 える と 予 測 される ただ マッチング 拠 出 における2つの 制 約 と 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 拠 出 限 度 額 は 企 業 だけでな く 従 業 員 にとっても マッチング 拠 出 への 取 組 意 欲 (インセンティブ)を 低 める 懸 念 がある 老 後 向 け 資 産 形 成 ツールとしての 有 効 性 と 魅 力 ある 制 度 設 計 によるインセンティブ 向 上 への 貢 献 などを 考 えると 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 拠 出 限 度 額 の 増 加 (または 撤 廃 ) マッチング 拠 出 の 制 約 の 解 除 を 早 急 に 望 みたい 厚 労 省 は 制 度 の 浸 透 活 用 に 向 けて 継 続 教 育 を 行 うことを 指 導 している 勿 論 それ 自 体 は 間 違 いないし 正 論 である しかし 政 策 当 局 としてあまり 気 づいていないことがある それは 使 いやすく 魅 力 のある 制 度 こそ 最 大 の 教 育 であるというダイナミズムについてである 制 度 それ 自 体 は ハードであり 教 育 コミュニケーションというソフトとミックスすることに よって 制 度 の 浸 透 活 用 を 図 ることができる しかし 制 度 内 容 に 魅 力 がなければ いかに 教 育 コミュニケーションを 強 化 しても 限 界 はある 従 って 政 策 当 局 にはマッチング 拠 出 の 普 及 につ いて 継 続 的 モニタリングを 行 うとともに この 相 互 ダイナミズムの 向 上 に 向 けて 更 なる 制 度 改 善 に 取 り 組 んで 頂 きたい と 考 える マッチング 拠 出 は 企 業 が 行 う 継 続 教 育 コミュニケーション 内 容 にも 影 響 を 与 える 以 下 継 続 教 育 コミュニケーションへの 影 響 について 考 察 してみる 4

3.マッチング 拠 出 と 継 続 教 育 コミュニケーションへの 影 響 先 述 したように 今 回 のような 従 業 員 の 課 税 前 拠 出 は 今 までの 企 業 主 導 による 福 利 厚 生 制 度 か らの 転 換 という 点 では エポックメイキングな 出 来 事 と 言 える 従 業 員 個 人 が 将 来 に 向 けて よ り 主 体 的 戦 略 的 に 自 らの 生 活 設 計 (ライフプラン)を 行 い 実 現 する 機 会 が 退 職 給 付 制 度 と いう 世 界 から 新 たに 開 かれようとしているからである しかし マッチング( 従 業 員 ) 拠 出 をライフプランの 中 に 取 り 入 れ 活 用 しようとする 際 に 現 在 の 制 度 には 大 きな 問 題 がある つまり 60 歳 以 前 における 中 途 引 出 ができないことである 長 い 人 生 においては 何 が 起 きるかわからない その 時 に 税 制 優 遇 があるとはいえ 比 較 的 多 額 に 積 まれている 自 分 の 貯 金 ( 金 融 資 産 ) を 活 用 できないのでは リスクが 大 きすぎる また 併 せて 節 税 という 強 い 誘 導 効 果 によって 特 定 の 退 職 給 付 制 度 だけに 従 業 員 の 資 金 が 集 中 する 点 も 問 題 になるかもしれない なぜなら 貯 蓄 目 的 は 老 後 の 資 産 形 成 だけではないからで ある 結 婚 子 育 て 子 供 の 学 資 住 宅 購 入 などにも 資 金 がいる 従 って 中 途 引 出 が 出 来 ない という 拘 束 性 の 強 い 貯 蓄 ツールに 対 して 必 要 以 上 の 資 金 を 投 入 することは それ 自 体 リスクを 伴 うことになろう 勿 論 公 的 年 金 制 度 の 行 方 が 定 まらず 信 頼 性 に 問 題 があることを 考 えると 従 業 員 に 対 して 老 後 資 産 に 限 定 した 貯 蓄 ツールを 提 供 する 意 義 は 大 きい 従 って もしマッチング( 従 業 員 ) 拠 出 を 導 入 したり 導 入 を 検 討 しているのであれば 企 業 が 提 供 している 他 の 資 産 形 成 支 援 制 度 の 認 知 と 理 解 を 促 し ライフプランに 適 合 した 資 産 形 成 ツー ルを 複 数 以 上 利 用 するという 過 不 足 のない 資 産 形 成 を 行 う 教 育 ( 指 導 )をする 必 要 があろう ( 尤 も 他 の 資 産 形 成 支 援 制 度 の 認 知 と 理 解 が 低 い という 現 状 を 鑑 みれば このような 教 育 は マッチング( 従 業 員 ) 拠 出 の 導 入 とは あまり 関 係 のないことかもしれない) 下 表 に 現 在 企 業 が 制 度 導 入 している 主 な 資 産 形 成 支 援 型 の 福 利 厚 生 制 度 をまとめた 表 2. 資 産 形 成 支 援 を 目 的 とした 企 業 福 利 制 度 制 度 目 的 会 社 拠 出 会 社 負 担 加 入 従 業 員 拠 出 ( 自 助 努 力 型 ) 在 職 中 の 生 活 保 障 弔 慰 金 死 亡 退 職 金 制 度 法 定 外 労 災 補 償 制 度 医 療 保 障 制 度 長 期 障 害 所 得 補 償 制 度 団 体 定 期 保 険 (Bグループ) 医 療 保 障 保 険 ( 団 体 型 ) 団 体 傷 害 保 険 ( 団 体 割 引 適 用 給 与 天 引 ) 遺 族 遺 児 育 英 年 金 制 度 退 職 後 の 生 活 保 障 確 定 給 付 企 業 年 金 確 定 拠 出 年 金 ( 企 業 型 ) 退 職 一 時 金 ( 確 定 拠 出 年 金 マッチンク 拠 出 ) 財 形 年 金 ( 給 与 天 引 ) 団 体 年 金 保 険 ( 団 体 割 引 適 用 給 与 天 引 ) 在 職 中 の 財 産 形 成 (マイホーム 助 成 生 活 設 計 助 成 ) 債 務 保 証 制 度 ( 団 体 信 用 保 険 ) 持 家 支 援 の 社 内 融 資 制 度 財 形 貯 蓄 ( 給 与 天 引 き) 従 業 員 持 株 制 度 ( 持 株 援 助 ) 社 内 預 金 ( 利 子 上 乗 せ) 5

企 業 の 福 利 厚 生 制 度 には 企 業 保 障 制 度 および 自 助 努 力 支 援 制 度 があるが 企 業 負 担 に よる 企 業 保 障 制 度 は すべての 従 業 員 に 対 して 一 定 水 準 の 保 障 を 提 供 する 性 格 を 持 つ 一 方 自 助 努 力 支 援 制 度 は 企 業 が 従 業 員 に 対 して 福 利 厚 生 の 場 を 提 供 する 制 度 であ る 従 業 員 が 社 会 保 障 や 企 業 保 障 で 不 足 する 部 分 を 合 理 的 かつ 有 利 な 条 件 で 準 備 対 応 できるよう 企 業 が 自 助 努 力 を 促 すために 整 備 提 供 しているものである( 表 2 右 欄 ) 会 社 は これらの 制 度 の 活 用 を 促 すために 利 子 補 給 をしたり 給 与 天 引 きサービスをするなどの 便 宜 を 図 っている 表 2 を 見 ると 企 業 は 実 に 多 くの 制 度 を 導 入 していることがわかる しかし 残 念 ながら 社 員 の 多 くは これらの 制 度 を 認 知 していない 有 効 に 活 用 している 人 は 更 に 少 ないであろう 現 状 では 制 度 というハードだけが 先 行 している 状 況 にある しかし 今 回 の 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 におけるマッチング( 従 業 員 ) 拠 出 は 自 助 努 力 によ る 資 産 形 成 という 観 点 から これらの 諸 制 度 を 包 括 的 に 認 知 目 覚 めさせ 活 用 を 促 す 絶 好 の 機 会 となろう 我 々は このような 自 助 努 力 型 ( 資 産 形 成 関 連 ) 福 利 厚 生 制 度 の 活 用 によって 適 切 な 資 産 形 成 に 向 け 最 大 の 効 果 をあげるよう 従 業 員 を 導 くことができる 同 時 に 60 歳 まで 途 中 引 き 出 しができないにも 関 わらず 必 要 以 上 に 拠 出 してしまうかもしれないマッチング 拠 出 のリスクを 回 避 することができる ところで 企 業 によっては マッチング 拠 出 を 導 入 したり 従 業 員 の 拠 出 枠 を 拡 大 するために 表 2 にあるような 企 業 福 利 制 度 を 一 部 やめたり 費 用 を 減 額 させたりするかもしれない しかし 住 宅 購 入 に 際 して 低 利 融 資 を 受 けられる 住 宅 財 形 制 度 はメリットの 大 きい 制 度 である ( 持 家 促 進 に 貢 献 する) 子 供 の 学 資 を 用 意 しておくためには 社 内 預 金 制 度 団 体 保 険 制 度 や 一 般 財 形 制 度 も 捨 てがたい これら 諸 制 度 の 更 なる 従 業 員 の 活 用 が 求 められる 従 って 自 助 努 力 支 援 制 度 については 廃 止 するのでなくむしろ 充 実 していくべきであろう 筆 者 はマッチング( 従 業 員 ) 拠 出 の 導 入 に 際 して 継 続 教 育 コミュニケーションを 従 前 同 様 の 投 資 運 用 中 心 の 内 容 から ライフプラン ライフリスクマネジメントの 重 要 性 を 前 面 に 打 ち 出 すとともに 会 社 が 用 意 している 自 助 努 力 型 資 産 形 成 支 援 メニュー を 包 括 的 に 提 示 認 知 と 活 用 を 促 す 内 容 のものに 転 換 するべきである と 考 えている 他 の 制 度 との 相 乗 効 果 を 引 き 出 すことが 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 継 続 教 育 コミュニケーション 効 果 を 一 層 高 めるに 相 違 ない 自 分 のライフプランの 中 で 今 どの 程 度 ( 額 )のマッチング 拠 出 をするのが 妥 当 か 余 裕 資 金 をどう 振 り 分 けるのが 適 切 か このようなプロセス 自 体 が 従 業 員 の 自 律 性 ( 自 立 性 )を 促 し 確 定 拠 出 年 金 制 度 に 対 する 関 心 とコミットメントを 高 めるはずである 従 業 員 の 自 助 努 力 による 資 産 形 成 分 野 は 今 後 本 格 化 する 高 齢 社 会 に 従 業 員 が 適 応 するために 欠 かせない 重 要 な 分 野 になってくる 公 的 年 金 公 的 健 康 保 険 企 業 年 金 などを 最 大 限 活 用 することは 当 然 であるが これらに 多 くの 期 待 をかけることは 難 しくなってきている とくに 20 代 30 代 の 人 は 老 後 の 生 活 ( 期 待 ) 水 準 を 確 保 するための 自 立 的 な 準 備 を 始 めなければならない それは 一 刻 も 早 く 計 画 ( 戦 略 ) 的 に かつ 十 分 な 金 融 保 険 税 等 に 関 する 知 識 を 活 かした 形 で 行 われることが 望 まれる そのためにも 企 業 は 企 業 年 金 だけでなく 表 2 にあるような 諸 制 度 について それぞれの 制 度 概 要 活 用 メリット(デ メリット)などについて 理 解 を 促 す 必 要 がある なぜなら これらの 制 度 は 金 融 保 険 6

税 等 に 関 する 知 識 を 必 要 としているため 従 業 員 はこれらの 制 度 研 修 を 通 じて 各 々の 知 識 を 身 に 着 けることができるからである 企 業 は それなりに 多 様 な 選 択 肢 を 確 保 するための 制 度 的 なインフラを 整 備 している しかし 先 に 触 れたように 制 度 をハードとすれば その 活 用 を 促 すソフトは 十 分 とはいえ ない(やや 宝 の 持 ち 腐 れ 的 な 感 がしないわけではないが) 制 度 は 複 合 的 に 活 用 されて 初 めて バランスのとれた 資 産 形 成 を 実 現 することができる そのため 企 業 は これら 諸 制 度 をどううまく 活 用 するか 効 果 的 な 活 用 ミックス 例 など ソフト 面 に 注 力 する 必 要 がある とくに 若 年 層 からの 段 階 的 なライフプラン セミナーなどを 通 じて 気 づき 的 な 刺 激 を 与 え 若 年 期 からの 無 理 のない 資 産 形 成 生 活 保 障 準 備 自 己 啓 発 能 力 開 発 を 支 援 す るなど 戦 略 的 包 括 的 な 継 続 教 育 コミュニケーションが 今 こそ 求 められよう ところで 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 は もともと 社 員 自 ら 望 んで 導 入 したものでなく 会 社 都 合 で 導 入 した 制 度 ( 与 えられたもの )である このため 従 業 員 にとっては 制 度 導 入 当 初 で は やらされ 感 が 支 配 し 制 度 に 対 する 関 心 度 は 低 かった モチベーション 理 論 からいえば 外 発 的 動 機 付 け の 段 階 にある( 下 図 ) つまり 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 における 継 続 教 育 の 難 しさとは このような やらされ 感 が 強 い 制 度 導 入 初 期 の 段 階 から 多 くの 従 業 員 がスター トしていることにある しかも 筆 者 が 多 くの 導 入 企 業 と 実 施 した 社 員 調 査 の 結 果 をみても この ような やらされ 感 は 現 在 でも 多 くの 従 業 員 が 抱 いている DC 制 度 の 自 己 統 合 化 へのステップ やらされている 関 心 取 り 組 まなければい 自 分 にとって 重 要 と 積 極 的 に 関 与 したい がない(やらされ 感 ) けない( 義 務 感 ) 思 う( 内 在 化 ) 楽 しい( 統 合 ) 現 在 こ れ か ら そこで 最 初 は 外 発 動 機 付 けからスタートしたものを どのようにして 従 業 員 自 身 の 問 題 とし て 捉 えさせ 自 ら 積 極 的 に 関 与 させる 方 向 に 導 くか つまり このようなステップ アップへの プロセスをどう 効 率 的 効 果 的 に 進 めるのかが 企 業 が 長 期 的 に 取 り 組 むべき 課 題 となる そして この 外 発 的 動 機 付 け(やらされ 感 義 務 化 )から 内 発 的 動 機 付 け( 内 在 化 統 合 )に 向 かうプロセスにおいて 大 きな 役 割 を 果 たすのが 継 続 教 育 コミュニケーションである ^ ただ 効 率 効 果 の 高 い 継 続 教 育 コミュニケーションを 実 施 するためには 次 ページ 表 3 のように 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 自 己 統 合 化 に 至 る 各 ステップ 毎 に 教 育 目 標 や 主 な 教 育 コ ンテンツを 変 える 必 要 がある 7

外 発 的 動 機 付 け 中 心 の 段 階 では 確 定 拠 出 年 金 制 度 だけでなく 先 述 したような 他 の 福 利 関 連 諸 制 度 と 関 連 しながら 当 該 制 度 への 興 味 関 心 を 高 める 教 育 が 効 果 的 と 考 えられる 表 3. 自 己 統 合 化 へのステップ 別 : 教 育 目 標 と 教 育 コンテンツ( 案 ) * 各 種 資 料 より 筆 者 作 成 自 己 統 合 化 のレベル 従 業 員 の 心 理 的 状 況 感 情 教 育 目 標 (STEP UP) 教 育 コンテンツ 案 外 的 調 整 仕 方 なくやらされている 制 度 に 関 心 はないが 会 社 の 確 定 拠 出 年 金 制 度 内 容 だけでなく 会 社 として 他 の 人 事 関 連 制 度 とあわせ 何 のためにこの 当 該 制 度 の 導 入 目 的 当 該 制 度 の 内 容 ( 徹 底 ) 老 後 の 資 産 形 成 を 図 る 他 の 諸 制 度 紹 介 (リンク 研 修 ) 制 度 なので 関 与 している 制 度 を 導 入 したか 基 本 的 な 認 知 を 得 る ライフリスク ライフプラン 研 修 ( 基 礎 編 ) 取 り 入 れ 制 度 に 関 与 しなければならな 当 制 度 は いかに 従 業 員 の 老 後 資 産 形 成 に ライフリスク ライフプラン 研 修 ( 実 践 編 ) いとの 気 持 ちがある( 義 務 感 ) 役 立 つか いかに 重 要 か( 関 与 しないデメ モニタリングを 行 うための 各 種 ツール 類 の 活 用 損 をしたくない リットは 何 か)などの 認 知 理 解 を 得 る ( 活 用 目 的 活 用 の 仕 方 など)に 関 する 基 礎 研 修 価 値 の 内 在 化 自 分 にとって 当 制 度 は 重 要 取 組 む 価 値 がある 実 践 的 な 投 資 運 用 理 論 を 学 び 適 切 な モニタリングを 通 じて 自 分 にあった 資 産 モニタリングに 関 する 応 用 研 究 ( 目 標 設 定 とその 管 理 資 産 配 分 変 更 のタイミングなど) 自 己 決 定 の 感 覚 を 伴 う 運 用 に 向 け 努 力 する 意 義 面 白 さの 理 解 投 資 運 用 に 関 する 基 礎 研 修 運 用 に 関 する 個 別 相 談 コーチング 自 己 統 合 積 極 的 に 関 与 したい 各 種 情 報 を 自 ら 収 集 設 定 された 目 標 に モニタリングに 関 する 応 用 研 修 当 制 度 は 自 分 の 価 値 観 と 向 け 自 己 調 整 努 力 を 惜 しまないで 目 標 を 投 資 運 用 に 関 する 応 用 研 修 あっている 楽 しい 達 成 できる 自 己 効 力 感 の 高 い 人 材 の 育 成 運 用 に 関 する 個 別 相 談 コーチング 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 自 己 統 合 化 に 至 る 各 ステップ( 制 度 関 与 モチベーションレベル 別 ) において どのような 教 育 内 容 教 育 方 法 が 効 率 的 か どのようなコンテンツ 方 法 がステップ アップを 可 能 とするか 導 入 企 業 は 今 後 試 行 錯 誤 を 繰 り 返 しながらノウハウを 蓄 積 していくこと になる ところで 教 育 の 現 場 には 二 つのカリキュラム が 存 在 すると 言 われている ひとつは 本 来 教 えようしているもの であり 今 回 の 場 合 であれば 投 資 教 育 のように 確 定 拠 出 年 金 制 度 に 関 連 する 限 定 的 な 教 育 が 該 当 する もう1つは ヒドゥン カリキュラム(Hidden Curriculum : 潜 在 的 カリキュラム) といわれるもので 教 育 現 場 において 無 意 識 的 かつ 暗 黙 のうち 学 習 者 に 伝 達 してしまう 価 値 観 行 動 様 式 知 識 など である 企 業 においては 企 業 風 土 や 学 習 ( 支 援 ) 環 境 が 該 当 する 企 業 において どのような 人 材 や 行 動 役 割 が 評 価 され たり 推 奨 されるか そのためにどのような 人 事 関 連 諸 制 度 を 用 意 しているかなどの 特 殊 個 別 要 素 がヒドゥン カリキュラムに 相 当 する これらは 従 業 員 にいろいろな 形 で 影 響 を 与 える 学 習 心 理 学 によると 高 い 目 標 をもち 成 功 を 信 じて 自 助 努 力 することを 推 奨 支 援 する 環 境 下 においては 内 発 的 な 意 欲 が 高 く 課 題 志 向 の 人 が 多 い 失 敗 の 原 因 を 自 分 の 努 力 不 足 と 受 けとめ る 傾 向 が 強 い としている 概 ね ヒドゥン カリキュラムは 従 業 員 に 対 して 長 い 年 月 を 通 して 影 響 を 与 える ヒドゥン カリキュラムは 毎 日 経 験 され 学 習 されるので それに 伴 う 価 値 行 動 規 範 態 度 技 術 などは 長 い 間 蓄 積 記 憶 されている そこで 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 浸 透 従 業 員 の 関 与 度 アップのために 継 続 教 育 メニューとし てヒドゥン カリキュラムを 取 り 入 れることの 有 効 性 について 考 えてみたい ヒドゥン カリキュラムの 内 容 としては 会 社 が 求 める 人 材 像 自 律 自 立 を 促 す 人 事 関 連 諸 制 度 とその 内 容 老 後 資 産 形 成 のための 確 定 拠 出 年 金 制 度 以 外 の 諸 制 度 とその 活 用 ( 財 形 年 金 持 ち 株 制 度 社 内 預 金 など) などだが これらを 随 時 取 り 入 れ 認 知 理 解 を 促 すこ とで 確 定 拠 出 年 金 制 度 への 関 心 を 高 められないだろうか ヒドゥン カリキュラムは 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 関 与 を 推 進 する 学 習 環 境 であるとともに モ 8

チベーションまたは 制 度 関 与 へのマインドセットに 関 わる ( 投 資 教 育 とは 異 なる) 第 2の 継 続 教 育 コミュニケーション といえる つまり 我 々は 投 資 教 育 を 中 心 とする 正 規 の 継 続 教 育 と モチベーション 理 論 をベースに 確 定 拠 出 年 金 制 度 における 継 続 教 育 を 併 用 することによって 継 続 教 育 コミュニケーションを 豊 かで 広 がりがある 内 容 に 仕 立 てあげることができる しかし 自 己 統 合 化 へのステップ 毎 に それぞれの 段 階 で 次 なるステップ アップをめざす 作 業 は 簡 単 ではない モチベーションのレベルは 社 員 個 人 やグループによって 異 なり 一 律 の 継 続 教 育 は 結 果 的 に 教 育 効 果 を 減 少 させることになりかねない 社 員 のモチベーションのレベル 構 成 はどうなっているか それぞれのレベルを 考 慮 しながら どのように 効 果 的 な 教 育 コミュ ニケーションを 実 施 するのか これから 取 り 組 まなければならない 教 育 課 題 は 山 積 している ところで お 気 づきと 思 うが 先 述 した 他 の 福 利 厚 生 制 度 と 連 動 した 戦 略 的 包 括 的 な 継 続 教 育 コミュニケーション とは ヒドゥン カリキュラムの 内 他 の 資 産 形 成 支 援 型 福 利 厚 生 制 度 の 活 用 を 意 識 している マッチング 拠 出 導 入 後 の 継 続 教 育 は 資 産 形 成 型 福 利 厚 生 制 度 を 中 心 としたヒドゥン カリ キュラムを 活 用 し 包 括 的 なものに 仕 立 てあげることによって 効 率 効 果 を 高 められると 思 う が どうであろうか 4. 次 の10 年 は 豊 かな 継 続 教 育 が 花 開 く 前 節 で 取 り 上 げた 戦 略 的 包 括 的 な 継 続 教 育 コミュニケーション の 有 効 性 や 当 制 度 の 自 己 統 合 化 別 教 育 コミュニケーションの 効 果 などについては 実 は 十 分 に 検 証 されている 訳 では ない そこで 効 果 効 率 的 な 教 育 コミュニケーションの 経 験 知 見 を 蓄 積 するためには モチベー ションのレベル(ステップ) 毎 に 適 合 する 教 育 コンテンツ 方 法 などの 仮 説 を 立 案 し 実 施 後 に その 検 証 を 行 う 必 要 がある ヒドゥン カリキュラムの 内 容 や 自 己 統 合 化 のステップ 構 成 割 合 な どは 各 企 業 ごとに 異 なっているために 仮 説 立 案 の 作 業 は 導 入 企 業 独 自 に 行 う 必 要 がある 汎 用 プログラムがあるわけではない 継 続 的 教 育 とは 同 時 にコスト 効 果 の 高 い( 効 率 効 果 の 高 い) 教 育 コミュニケーションの 実 施 を 企 業 ( 担 当 者 )に 求 めることになろう そのためにも 一 回 きりの 教 育 コミュニケーショ ンで 済 ませるのではなく 継 続 的 に 実 施 して 次 ページのような 科 学 的 教 育 法 を 駆 使 することで コスト 効 果 の 高 いプログラムの 開 発 実 行 に 努 めなければならない 1 社 員 動 向 を 踏 まえ 関 心 の 向 上 が 求 められる 教 育 コミュニケーション 対 象 者 の 選 定 2 当 該 ターゲット 向 け 教 育 コミュニケーション 仮 説 の 立 案 3 教 育 コミュニケーションの 実 施 4 当 プランの 効 率 効 果 の 検 証 5 改 善 点 の 抽 出 ( 次 回 への 示 唆 ) 9

求 められるのは 当 該 制 度 にする 関 心 関 与 (モチベーション)をどう 高 めるのか そのため にどのようなコンテンツ 方 法 が 効 果 的 か それらは 社 員 層 別 に 異 なるのかなどを 明 らかにして 豊 かな 継 続 教 育 コミュニケーションの 知 見 ( 経 験 ノウハウ)を 蓄 積 することである 筆 者 は 今 まで 述 べたような 視 点 で 継 続 教 育 を 捉 え 実 施 し かつ PDCA サイクルによって 継 続 教 育 コミュニケーションの 知 見 ノウハウを 蓄 積 している 企 業 をあまりみていない そういう 意 味 では 今 までの 10 年 とは 確 定 拠 出 年 金 における 継 続 教 育 コミュニケーション にとって 実 り 多 い 期 間 といえなかったのかもしれない しかし 企 業 主 体 から 従 業 員 主 体 の 福 利 厚 生 制 度 ( 退 職 給 付 制 度 を 含 む)に 転 換 すると 予 想 さ れるこれからの 10 年 は 豊 かな 継 続 教 育 コミュニケーションの 花 が 開 く 時 期 であり 継 続 教 育 コミュニケーションの 経 験 知 見 が 豊 かに 蓄 積 される 時 期 である と 確 信 している 10