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導 入 事 例 : 富 士 フイルムコンピューターシステム 株 式 会 社 導 入 推 進 者 : 業 務 部 担 当 課 長 福 岡 新 氏 1. 会 社 概 要 社 名 : 富 士 フイルムコンピューターシステム 株 式 会 社 設 立 :1998 年 7 月 1 日 資 本 金 :490 百 万 円 ( 富 士 フイルム 96% 出 資 ) 従 業 員 数 : 約 150 名 (2010 年 4 月 現 在 ) 事 業 内 容 : 富 士 フイルムグループ 内 の IT 戦 略 策 定 推 進 IT ガバナンス 整 備 富 士 フイルムグループ 内 のシステム 構 想 企 画 構 築 導 入 富 士 フイルムグループ 内 のシステム 保 守 運 用 富 士 フイルムコンピューターシステム 株 式 会 社 ( 以 下 FFCS)は 1998 年 7 月 に 富 士 フイルム 株 式 会 社 ( 以 下 富 士 フイルム)の IT 部 門 から 分 社 独 立 した 会 社 である 現 在 は 富 士 フイルムの 全 ての 業 務 システムと 情 報 インフラのほか 連 結 経 営 を 支 える ための 富 士 フイルムグループ 全 体 の IT 施 策 について 戦 略 策 定 から 構 築 運 用 までを 担 う 企 業 である 尚 富 士 フイルム 本 体 の 情 報 システム 部 門 は 経 営 企 画 本 部 の 数 名 体 制 であ り FFCS と 一 体 となって 課 題 への 取 り 組 み 運 営 にあたっている 1

2. 企 業 戦 略 組 織 戦 略 人 材 戦 略 2.1. 企 業 戦 略 組 織 戦 略 富 士 フイルムでは 昨 今 のデジタル 技 術 の 急 激 な 進 展 やグローバルなビジネス 環 境 の 変 化 の 中 で 今 新 しい Vision のもと 事 業 と 経 営 全 体 にわたる かつてない 大 きな 変 革 に 取 り 組 んでいる この 変 革 の 実 現 を 支 えるのが IT であり IT による 事 業 と 企 業 の 変 革 が FFCS の 使 命 である 一 方 業 界 をリードするような 先 進 的 で 高 度 な 技 術 を 創 出 すること にも IT 専 門 企 業 として 積 極 的 に 取 り 組 んでいる 業 務 変 革 への 貢 献 と 高 度 な 技 術 の 活 用 によって 富 士 フイルムグループの 企 業 価 値 業 務 価 値 をあげていき 社 員 ひとり 一 人 が 自 ら 変 革 を 感 じ 取 ってもらう 組 織 にしていくこと を 目 指 している 2.2. 人 材 戦 略 FFCS では 人 が 財 産 であるという 考 えのもと 単 に 技 術 に 精 通 しているだけではなく 目 的 を 実 現 するために 自 分 の 考 えや 想 いを 持 って 取 り 組 み そして 必 ず 実 現 してみせる 人 を 育 てることを 目 指 している そのような 技 術 者 を 育 てるためも 働 く 社 員 が 主 体 的 に 活 躍 できる 場 を 会 社 が 提 供 していくことが 必 要 であると 考 えている 2.3. 人 材 育 成 上 での 課 題 FFCS では 富 士 フイルムグループのシステム 最 適 化 や 標 準 化 などの IT 関 係 全 てを 担 う 役 割 が 求 められている しかしながら 人 的 リソースの 問 題 でどうしても 開 発 や 保 守 が 中 心 となってしまい IT 戦 略 やガバナンスなどの 上 流 工 程 まで 手 が 回 らない 状 況 であった また システムを 作 るとどうしても 保 守 に 割 く 人 員 が 多 くなってしまうため 保 守 に 割 く 社 員 の 比 率 を 少 なくしたいという 思 いもあった このような 状 況 を 打 開 するため 2010 年 4 月 に 経 営 戦 略 として 上 流 工 程 の 内 製 化 と システム 保 守 における 継 続 的 なコストダウン を 掲 げ より 上 流 工 程 へシフトした IT 機 能 改 革 をスタートした 上 流 工 程 の 内 製 化 とは IT 戦 略 の 立 案 と 実 行 マネジメント ガバナンス IT アーキテクト( 全 体 構 造 設 計 ) 個 別 プロジェクトの PM 企 画 構 想 業 務 プロセス 設 計 などの 内 製 化 を 示 す システム 保 守 を 外 部 ベンダーに 業 務 移 管 する 施 策 を 講 じ 自 社 員 は 業 務 改 革 を 推 進 する 為 の 業 務 プロセス 設 計 業 務 などのより 難 易 度 の 高 い 課 題 に 取 り 組 むこととした 2

3. UISSの 導 入 の 背 景 と 目 的 FFCS では IT スキル 標 準 をベースに 策 定 した 人 材 育 成 制 度 (FFCS Human Management System 以 下 FFCS HMS)を 2006 年 から 活 用 してきた( 図 3-1) 図 3-1 人 材 育 成 制 度 (FFCS Human Management System) FFCS HMS は 社 員 行 動 基 準 と 評 価 育 成 の 2 つと それを 取 り 巻 く 人 材 育 成 給 与 制 度 から 成 り 立 つ 社 員 が 仕 事 をしていく 上 で 誰 もが 納 得 できる 客 観 的 基 準 を 尺 度 として 社 員 の 処 遇 を 行 い 評 価 することが 重 要 であると 考 え 世 の 中 で 認 知 されて きた IT スキル 標 準 を 採 用 した しかし 運 用 開 始 以 来 4 年 が 経 過 しており 以 下 のような 課 題 が 浮 き 彫 りとなっていた (1) 従 来 行 動 レベル 評 価 は 育 成 昇 給 考 課 等 級 グレード 変 更 と 3 つの 目 的 が 混 在 しており 運 用 上 分 かりにくい (2) 異 動 や 担 当 業 務 の 変 更 があった 際 に 評 定 が 変 動 する( 未 経 験 の 業 務 に 就 いた 場 合 は 一 時 的 に 評 価 が 下 がる 可 能 性 がある) (3) 上 流 工 程 の 業 務 にシフトした IT 機 能 改 革 に 取 り 組 むために 必 要 な 人 材 像 を 分 かりやす く 再 定 義 し 社 員 に 示 す 必 要 がある 3

まず (1)(2)の 対 策 として 行 動 レベル 評 価 を 育 成 目 的 と 昇 給 考 課 等 級 グレ ード 変 更 目 的 に 分 離 し 運 用 を 行 なうことにした (3)の 対 策 として 注 目 したのが UISS である UISS に 注 目 した 理 由 は ユーザー 企 業 のシ ステム 開 発 の 各 工 程 の 行 動 が 網 羅 的 に 定 義 されており ユーザー 企 業 として 必 要 な 行 動 基 準 を 漏 れなく 織 り 込 めると 考 えた さらに IT 機 能 改 革 で 強 化 すべき 点 を 織 り 込 み 人 材 育 成 評 価 に 役 立 てるという 意 図 もあった 4. UISSの 導 入 4.1. 導 入 方 針 人 材 育 成 は 全 員 一 律 なものではなく 各 人 の 適 性 や 状 況 に 合 わせて 行 なう 必 要 があると 考 え FFCS では 部 下 の 育 成 は 現 場 の 役 職 者 に 多 くを 任 せている また 今 回 の 取 り 組 みでは 会 社 として 求 める 人 材 像 を 明 確 にし いかに 社 員 にその 考 えを 伝 えるかを 主 眼 において 取 り 組 んだ 4.2. 導 入 体 制 とスケジュール 2010 年 10 月 から 運 用 を 開 始 することを 目 標 として 2010 年 5 月 末 に UISS 導 入 プロジ ェクトを 立 ち 上 げた( 実 際 に 検 討 を 開 始 したのは 7 月 末 からのため 実 質 は 2 ヶ 月 で 実 施 ) 短 期 間 で 導 入 に 至 ったのは 9 月 末 に 全 社 員 のシフト 1 が 完 了 するため 10 月 までに 改 訂 する 必 要 があったからである また プロジェクトメンバーが 多 くなりすぎると 意 見 の 集 約 が 難 しいため 少 人 数 体 制 ( 少 数 精 鋭 )でスタートすることにした 体 制 は 専 任 の 推 進 者 ( 福 岡 氏 )および アドバ イザーとして 社 長 を 含 めた 経 営 層 3 名 で 骨 格 を 固 め その 後 職 制 の 部 長 にレビューし 現 場 の 意 見 を 取 り 入 れて 肉 付 けし 修 正 するというトップダウンアプローチ 構 成 で 進 めた 1 2010 年 9 月 には システム 保 守 のアウトソース 先 外 部 ベンダーへの 引 継 ぎを 完 了 し 社 員 は 上 流 工 程 業 務 にシフトする 4

導 入 の 手 順 は 以 下 の 通 りである( 図 4-1) 図 4-1 導 入 手 順 4.3. 現 状 分 析 まず 始 めに IT 機 能 改 革 プロジェクトの 準 備 フェーズとして 2010 年 3 月 以 前 に 約 1 年 間 現 状 分 析 を 行 なった 具 体 的 には IT 情 報 管 理 のベストプラクティスであるCOBIT 2 に 基 づ き 社 員 に 対 してヒアリングやアンケート 調 査 などを 実 施 し 業 務 分 析 を 行 い 現 在 の 組 織 力 を 把 握 した 分 析 したレポートを 確 認 すると システム 開 発 や 保 守 など 今 まで 中 心 業 務 だった 機 能 は 十 分 に 満 足 できるレベルであるが この 先 シフトを 考 えている 上 流 工 程 ( 業 務 プロセス 設 計 など)は 目 標 とするレベルには 大 きな 差 が 生 じており 強 化 すべきポイントを 再 認 識 する 結 果 となった 4.4. 機 能 分 析 次 に UISS の 機 能 役 割 定 義 を 参 考 に 機 能 分 析 を 行 なった ここでは 現 在 実 施 して いる 機 能 だけではなく 今 後 必 要 となる IT 機 能 改 革 を 実 現 するために 必 要 な 機 能 が 網 羅 さ れているかを 強 く 意 識 して 分 析 した さらに UISS はユーザー 企 業 の 情 報 システムに 必 要 なスキルをタスク スキル 人 材 像 の 観 点 から 体 系 化 し 幅 広 く 一 般 的 に 網 羅 しているため 作 成 した 成 果 物 を UISS の 機 能 役 割 定 義 に 照 らすことにより 抜 けや 漏 れが 無 いかのチェックにも 非 常 に 役 立 った 2 COBIT:Control Objectives for Information and related Technology 5

4.5. 人 材 像 ( 職 務 機 能 )の 概 要 次 に 人 材 像 ( 職 務 機 能 )を 明 確 にするために それぞれのミッション 活 動 内 容 をま とめた( 図 4-2) なお FFCSでは 人 材 像 を 職 務 機 能 と 呼 ぶ 以 下 人 材 像 は 職 務 機 能 と 記 載 する 図 4-2 人 材 像 ( 職 務 機 能 )の 概 要 6

4.6. 職 務 機 能 とレベルの 定 義 UISSのタスクや 人 材 像 を 参 考 にして 自 社 で 必 要 な 職 務 機 能 とスキルレベルを 組 み 合 わ せて キャリアパスを 描 く 際 の 枠 組 みを 定 義 した( 図 4-3) 図 4-3 FFCS キャリアフレームワーク( 新 ) 7

FFCS では 2 つ(アプリケージョンデザイナー システムデザイナー )からスタート し 5 つ(ストラデジスト プログラムマネージャ プロジェクトマネージャ IS アナリ スト IS アーキテクト)のゴールとなるキャリアパスを 定 義 した FFCSでは 複 数 の 職 務 機 能 やスキルを 兼 ね 備 えた 社 員 が 求 められるため 一 つの 職 務 機 能 を 目 指 すのではなく 常 に 複 数 の 職 務 機 能 を 目 指 すように 指 導 している( 図 4-3の 赤 枠 の 職 務 機 能 が 対 象 ) FFCS の 特 徴 として 職 種 機 能 の 左 右 には 管 理 職 用 の マネージャ と コンピテンシー 用 の 共 通 を 作 成 し それぞれに 必 要 なレベルを 認 識 しやすいように レベルと 社 員 等 級 の 紐 付 けも 行 い 定 義 している フレームワークの 作 成 で 一 番 苦 労 したのは 各 職 種 機 能 の 等 級 を 表 すパラメータは 何 か? 等 級 の 差 は 何 なのか を 定 義 することであった FFCS では 各 職 種 機 能 等 級 別 の 定 義 をするためにまず FFCS で 定 義 した 各 職 務 機 能 等 級 別 にキーワードを 設 定 していった このキーワードは UISS の 人 材 像 とタスクの 関 連 や 機 能 役 割 定 義 に 記 載 されている 内 容 を 参 考 にして 設 定 した さらに 設 定 したキーワー ドが 職 務 機 能 間 等 級 間 で 違 和 感 がないか 検 証 し 各 職 務 機 能 等 級 別 の 定 義 を 作 成 した UISS は 網 羅 的 に 記 述 がなされているため キーワードをチェックする 際 に 自 社 に 必 要 なタスクの 抜 け 漏 れのチェックも 同 時 に 行 なうことができた 実 際 の 検 討 に 際 して 以 下 のワークシートを 用 いて 職 務 機 能 による 等 級 の 差 はないか のチェックを 行 なった( 図 4-4) 図 4-4 等 級 別 のレベル 差 検 討 ワークシート 8

4.7. 評 価 指 標 次 に 社 員 が 成 果 を 上 げるために 取 り 組 むべき 行 動 レベルと 社 員 の 行 動 が 等 級 別 に 求 め るレベルに 達 しているかどうかを 評 価 する 指 標 として 自 社 の 実 態 使 命 役 割 IT 機 能 改 革 で 目 指 す 姿 に 即 した 内 容 の 行 動 基 準 ( 責 任 性 複 雑 性 サイズなど)を 職 務 機 能 別 に 定 義 した( 図 4-5) 具 体 的 には UISS から 必 要 な 行 動 基 準 を 漏 れなく 取 り 込 むとともに IT 機 能 改 革 で 目 指 す 上 流 工 程 へのシフトで 強 化 必 要 な 行 動 基 準 (よりグローバルに 富 士 フイルムグループ 全 体 を 意 識 して 取 り 組 むこと 最 適 なシステムソリューションの 提 案 業 務 プロセス 設 計 全 体 戦 略 との 整 合 性 を 確 認 して 個 別 の 課 題 の 取 り 組 みを 進 めること グループの 事 業 業 務 を 熟 知 した PM など)を 加 筆 した これにより 職 務 機 能 レベルに 求 める 行 動 基 準 が 明 確 になった 図 4-5 職 務 機 能 別 行 動 基 準 ( 抜 粋 ) 9

5. UISSの 活 用 と 運 用 5.1. 運 用 プラン 2010 年 10 月 の 本 格 運 用 開 始 に 際 して 社 員 に 対 しては 全 体 説 明 会 や 部 門 毎 の 個 別 詳 細 説 明 会 を 繰 り 返 し 実 施 し UISS の 導 入 の 経 緯 や 目 的 改 訂 内 容 活 用 方 法 について 説 明 を 行 った また これに 先 立 って 2010 年 5 月 にはマネージャの 行 動 基 準 を 改 訂 し 部 下 一 人 一 人 の 適 性 と 状 況 を 把 握 し 健 康 管 理 と 人 材 育 成 計 画 の 立 案 と 遂 行 職 務 分 担 の 策 定 と 実 行 を 行 うことを 管 理 職 に 対 して 強 調 し 伝 えた 現 在 は 半 期 に1 度 の 上 司 との 面 談 の 場 を 設 け 上 司 と 社 員 が 目 指 すべき 目 標 計 画 の 意 識 合 わせを 行 い その 計 画 に 沿 った 具 体 的 なスキルアップの 取 り 組 みを 実 施 している 当 初 は 昇 給 や 等 級 考 課 にも 連 動 させることを 検 討 していたが 評 価 は 行 動 レベル 評 価 の 専 門 性 の 発 揮 という 視 点 でみており 直 接 的 には 紐 付 けていない これは 異 動 などによ り 仕 事 の 内 容 が 変 わると 担 うべき 職 務 機 能 も 当 然 変 わってくる そうした 場 合 経 験 のな い 業 務 になる 可 能 性 もあり レベルも 当 然 下 がってしまうという 問 題 があるためである また 会 社 としても 幅 広 い 業 務 を 経 験 してほしいとの 思 いがあり ローテーションも 活 発 に 実 施 していくことを 検 討 しており 現 在 は 育 成 に 目 的 を 絞 った 運 用 をしている 5.2. 期 待 する 効 果 今 回 の 取 り 組 みで 会 社 の 方 針 である 上 流 工 程 へのシフト を 実 現 するための 職 種 機 能 (ストラデジスト プログラムマネージャ IS アナリストを 新 設 )が 明 確 になり 社 員 に 明 示 することができた 今 後 は FFCS の HMS を 通 じて 会 社 の 方 針 が 各 社 員 に 浸 透 し て 行 き 本 人 の 気 づき 自 己 研 鑽 の 一 助 となることを 期 待 している 5.3. 今 後 取 り 組 むべきこと 次 のステップとして 上 流 工 程 の 業 務 を 遂 行 するために 必 要 なスキルの 向 上 を 挙 げて いる 特 に 社 員 の 大 多 数 に 必 要 となる 業 務 プロセス 設 計 力 ビジネススキル( 論 理 的 思 考 力 文 書 力 など) 研 修 の 企 画 実 施 その 研 修 を 実 施 できるトレーナーの 育 成 も 開 始 して いる 10

6. UISSに 取 り 組 まれる 方 へのメッセージ UISS の 導 入 推 進 者 の 福 岡 氏 から 現 在 UISS の 導 入 に 取 り 組 まれている またはこれ から 導 入 される 方 に 対 してのメッセージをいただいた UISS はユーザー 企 業 の 情 報 部 門 に 必 要 なスキルをタスク スキル 人 材 像 の 観 点 から 体 系 化 されているが 個 々の 企 業 から 見 るとそれは 十 分 なものではない なぜなら 個 々の 企 業 は 事 業 や 経 営 戦 略 が 異 なり それを 実 現 する 機 能 や 組 織 が 異 なるからである そのた め 企 業 毎 に 活 用 目 的 を 明 確 にして 目 的 に 合 わせた 各 社 なりの 活 用 を 検 討 することが 鍵 となる ただ UISS は ユーザー 企 業 で 必 要 なタスクが 網 羅 的 に 記 載 されているため 私 自 身 が そうであったように 本 気 で 自 社 にとっての 活 用 目 的 や 狙 いを 定 めて 読 むことによって 自 社 で 不 足 しているタスクやスキルに 気 づく また 人 材 像 定 義 人 材 育 成 を 目 的 にする 場 合 人 材 像 ( 職 務 機 能 ) 別 に 自 社 で 強 調 し たい 内 容 の 盛 り 込 みとレベル 間 の 違 いをどのように 自 社 に 合 わせて 策 定 していくかがポイ ントとなる 11