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Title 教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 ; 理 論 による 教 育 把 握 の 批 判 的 検 討 を 素 材 として 予 期 Author(s) 中 俣, 保 志 Citation 社 会 教 育 研 究, 29: 1-10 Issue Date 2011-08-31 DOI Doc URLhttp://hdl.handle.net/2115/47256 Right Type bulletin (article) Additional Information File Information No.29Nakamata.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and

教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 予 期 理 論 による 教 育 把 握 の 批 判 的 検 討 を 素 材 として 中 俣 保 志 * 目 次 はじめに 1 1. 社 会 教 育 における 教 育 と 学 習 の 差 異 宮 原 誠 一 の 検 討 2 2. 社 会 教 育 における 学 習 論 の 展 開 5 3. 広 田 照 幸 の 教 育 万 能 論 批 判 の 射 程 と 批 判 的 検 討 7 4. 権 力 予 期 理 論 的 アプローチにおける 教 育 把 握 9 まとめにかえて 教 育 における 課 題 としての 承 認 関 係 9 はじめに 1) 既 に 正 統 的 周 辺 参 加 論 や 学 びの 共 同 体 2) 論 等 が 示 してきたように 実 践 共 同 体 へ 参 加 が 構 成 員 の 学 習 を 促 し 更 には 参 加 者 の 自 我 同 一 性 や 共 同 体 への 帰 属 意 識 の 成 立 にも 関 与 している 点 が 活 動 理 論 や 学 習 論 の 展 開 とともに 指 摘 されてきた これらの 先 行 研 究 は 成 人 教 育 の 理 論 にも 影 響 を 与 え 社 会 的 な 関 係 構 築 と 参 加 者 の 帰 属 意 識 や 実 存 的 な 実 感 に 学 習 という 媒 介 的 な 行 為 が 必 要 で あることの 認 識 つまり 学 習 の 社 会 的 な 性 格 を 根 拠 づけるという 点 で 大 きな 成 果 を 果 たした 以 上 のような 理 論 をここでは 社 会 構 築 主 義 的 学 習 論 と 名 付 けることにする 一 方 で 筆 者 の 見 解 では 以 上 の 議 論 は 教 育 という 営 みが 持 つ 特 徴 教 える 側 と 教 わる 側 との 間 に 何 らかの 承 認 関 係 が 成 立 し 場 合 によっては 教 わる 側 の 私 権 の 委 譲 を 伴 うとい う 特 徴 を 充 分 に 描 き 切 れていないという 理 論 的 な 課 題 を 持 つ 以 上 の 理 論 的 な 課 題 を 指 摘 した 論 客 として 広 田 照 幸 があげられる 後 に 見 るように 広 田 は 現 状 の 学 校 教 育 にばかり 過 剰 に 批 判 が 集 中 し 学 校 教 育 への 期 待 が 増 大 する 状 況 が かえって 教 育 制 度 をより 困 難 な 状 況 へと 導 いていると 教 育 をめぐる 言 説 の 悪 循 環 を 冷 静 に 受 け 止 めることを 喚 起 している 広 田 の 立 論 は 教 育 という 営 みの 限 界 を 明 確 にし その 上 で 現 場 レベルでの 教 育 の * 香 川 短 期 大 学 経 営 情 報 科 - 1 -

社 会 教 育 研 究 第 29 号 2011 行 い 難 さを 指 摘 し 教 育 言 説 の 論 難 を 導 き 出 す 点 にある これらの 議 論 は おもに 学 習 との 差 異 に 着 目 して 教 育 の 意 義 と 限 界 を 明 確 にし 教 育 に 関 する 言 説 の 特 徴 をメタ 理 論 分 析 的 に 理 解 するという 点 で 一 定 の 成 果 がある 一 方 研 究 成 果 からの 安 易 な 政 策 提 言 の 禁 欲 がかえって 現 状 肯 定 的 な 理 論 枠 組 みとしてすりかえられる 危 険 性 を 持 つ 本 論 では 以 上 の 広 田 の 教 育 言 説 に 関 する 批 判 的 な 分 析 をふまえた 上 で 筆 者 が 指 摘 した 教 育 の 営 みにおける 特 徴 社 会 構 築 主 義 的 学 習 論 で 描 き 切 れなかった 実 践 共 同 体 の 教 育 に 基 づく 社 会 関 係 の 意 義 と 限 界 を 明 確 にしたい これが 本 論 文 の 目 的 の 第 一 である 第 二 に 広 田 の 立 論 の 背 景 であると 思 われる 権 力 論 (または 権 力 の 予 期 理 論 ) 的 アプローチ も 3) しくは 制 度 論 的 アプローチによる 教 育 理 論 の 批 判 を 試 みたい これらの 教 育 理 論 は 社 会 構 築 主 義 的 学 習 論 が 教 育 そのものに 対 しての 立 論 が 不 充 分 であった 点 を 明 確 にする 際 には 有 効 な 議 論 であるが 一 方 で これらの 理 論 が 対 象 にしている 権 力 概 念 や 制 度 概 念 の 教 育 学 的 把 握 にお いては 充 分 な 説 得 力 を 持 つとは 言 い 難 い とくに 社 会 関 係 として 教 育 をとらえる 際 に いわゆる 制 度 論 的 教 育 学 の 論 客 が 主 張 する 内 部 制 度 と 呼 ばれる 場 面 に 際 しては 理 論 枠 組 みの 限 界 がある その 点 を 明 確 にする 点 を 本 論 文 の 目 的 の 第 二 点 目 としたい 4) その 際 以 上 の 広 田 のアプローチの 批 判 的 検 討 を 通 し 教 育 に 基 づく 社 会 関 係 を 理 解 する 枠 組 みとして 教 育 という 実 践 が 持 つ 人 称 性 という 点 に 着 目 する 広 田 のような 権 力 (の 予 期 ) 理 論 的 ア プローチが 教 育 に 内 包 される 社 会 関 係 論 を 分 析 する 相 に 対 応 していないことを 教 育 における 人 称 性 の 概 念 に 着 目 し 教 育 学 のカテゴリー 独 自 の 有 意 味 性 が 成 立 するか 否 かの 理 論 的 検 討 を 行 う 広 田 の 議 論 は 主 に 学 校 教 育 の 現 状 に 即 した 問 題 提 起 として 理 解 する 必 要 があるが 教 育 学 カテゴリ ーとして 社 会 関 係 論 が 成 立 するか 否 かのパラダイム 臨 界 点 を 示 す 批 判 点 であるため 素 材 として 取 り 上 げることとする 1. 社 会 教 育 における 教 育 と 学 習 の 差 異 宮 原 誠 一 の 検 討 広 田 の 教 育 万 能 論 批 判 を 確 認 する 前 に 手 続 き 的 に 確 認 をしておきたい まず 確 認 されなければならないのは 通 常 我 々が 社 会 教 育 実 践 を 理 解 する 際 に 教 育 学 カテゴリ ーとして 教 育 と 学 習 を 分 析 概 念 として 区 別 し 双 方 の 差 異 をふまえた 上 で 実 践 を 構 造 化 し 把 握 している 点 である かつて 宮 原 誠 一 は 教 育 を 人 間 形 成 の 過 程 に 内 包 される 一 要 因 にすぎない(Ⅰ-22 頁 ) とし 教 育 と 形 成 を 区 別 した 5) 宮 原 の 教 育 理 論 を 学 習 論 との 兼 ね 合 いで 確 認 したい 宮 原 は 戦 前 戦 後 直 後 の 論 文 で 教 育 と 形 成 を 区 別 することで 外 的 環 境 に 適 応 するよう 強 いる 力 を 基 礎 にする 学 習 者 の 態 度 を 形 成 主 体 的 に 形 成 する 力 を 社 会 的 に 編 成 するよう 統 御 することを 教 育 とした 宮 原 の 教 育 形 成 二 元 論 は 教 育 という 用 語 では 簡 単 に 解 消 し - 2 -

教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 がたい 学 習 者 の 柔 軟 な 耐 性 と 形 成 の 領 域 を 発 見 し 一 方 で 形 成 概 念 を 介 しての 教 育 概 念 を 意 識 的 な 社 会 的 範 疇 として 抽 出 している[ 鈴 木 聡 (1990 ) 岩 本 俊 一 (1997)など] この 区 別 に よって 宮 原 は 学 習 の 意 識 的 編 成 という 問 題 圏 を 教 育 学 カテゴリーとしてとらえることに 成 功 し 学 校 教 育 にとどまらない 教 育 の 領 域 の 概 念 化 社 会 教 育 概 念 を 介 しての 学 校 教 育 概 念 の 相 対 化 という 教 育 理 論 的 な 知 見 を 得 たのである [ 金 馬 国 晴 (1997) 宮 崎 隆 志 (2001) 参 照 ] 学 習 の 意 識 的 編 成 を 教 育 学 カテゴリーとした 宮 原 の 議 論 を 確 認 するために おもに 青 年 期 教 育 の 再 編 成 (Ⅲ-7-101 頁 )の 文 献 を 中 心 に 1950 年 代 における 宮 原 の 学 習 サークル 論 を 取 り 上 げる なぜなら 学 習 サークル 論 こそ 宮 原 の 教 育 理 論 における 学 習 の 意 識 的 編 成 が 実 践 の 内 実 をふまえて 展 開 されているからである 学 習 サークルとは 1950 年 代 前 半 ごろから 当 時 盛 んであった 母 親 運 動 平 和 運 動 文 化 活 動 などと 並 行 して 全 国 に 広 がった 大 衆 運 動 とされている この 運 動 の 特 徴 としては 余 暇 活 動 を 主 題 とす るものから 若 手 経 営 者 の 実 践 的 な 学 習 会 社 会 問 題 などを 主 題 にしたものなど 実 に 多 様 な 団 体 が 全 国 各 地 に 出 現 した 点 にある 宮 原 によれば このような 学 習 サークルの 全 国 的 な 盛 り 上 がりは ア メリカ 占 領 政 策 の 集 団 指 導 社 会 教 育 行 政 整 備 と 活 動 家 の 登 場 青 年 の 主 体 的 学 習 要 因 として 要 求 青 年 の 不 安 ゆがめられている 学 習 意 欲 など これらの 背 景 によって 説 明 される(Ⅱ-197-198 頁,Ⅲ-70-71 頁 ) 同 時 に 宮 原 は 学 習 サークルにおける 主 体 の 模 索 も 学 習 サークル 論 の 中 で 展 開 している 宮 原 によれば サークルが 広 まった 背 景 の 一 つである 青 年 の 主 体 的 学 習 要 因 ( 要 求 青 年 の 不 安 ゆがめられている 学 習 意 欲 )は 一 方 で 権 利 としての 教 育 (Ⅲ-8-20 頁 ) が 定 着 している 表 れであり 参 加 者 が 自 身 で 学 ぶ 機 会 を 創 造 し 自 分 たちの 学 習 課 題 を 自 覚 化 する 契 機 として 宮 原 に 理 解 される( 広 義 の 学 習 主 体 の 萌 芽 ) また 個 別 のサークルの 中 で どのように 学 習 課 題 を 設 定 し 運 営 していくかという 狭 義 の 学 習 主 体 と して 宮 原 はリーダー 論 と 正 しい 学 習 必 要 の 自 覚 化 (Ⅱ-298 頁,Ⅲ-71-72 頁 )という 点 に 触 れ ている 宮 原 によれば サークルに 参 加 する 青 年 たちは 学 習 主 体 の 矛 盾 した 有 様 ( 二 重 化 した 自 己 ) 例 えば 要 求 青 年 の 不 安 ゆがめられている 学 習 意 欲 (Ⅱ-197-198 頁,Ⅲ-70-71 頁 )とい ったものを 参 加 する 前 から 持 っているか もしくはサークルの 学 習 活 動 の 中 でそれらを 感 じとるとし ている ゆがめられている 学 習 要 求 とは どのような 状 況 をさすだろうか 宮 原 は 青 年 の 生 活 や 労 働 の 状 況 が 厳 しいものであれば 人 間 として 基 本 的 な 諸 関 心 諸 要 求 が 抑 圧 されており 自 身 の 学 習 に 対 する 印 象 もゆがんだものになるのではないかと 仮 説 を 立 てていた この 仮 説 によれば そもそも 学 習 することに 対 して 生 活 の 問 題 から 無 関 心 であったり 自 身 の 生 活 上 の 課 題 の 技 術 的 な 成 果 のみ を 学 習 に 求 めたりする 姿 勢 として ゆがめられている 学 習 意 欲 は 説 明 される 6) では 宮 原 が 言 う 真 の 学 習 必 要 とは どのようなものであろうか また ゆがめられた 学 習 必 要 - 3 -

社 会 教 育 研 究 第 29 号 2011 とどのような 差 異 があるのか 宮 原 によれば 真 の 学 習 必 要 を 見 定 めることとは 自 身 の 生 活 と 労 働 と 自 身 からつきはなしてとらえ 自 身 にとっての 学 習 必 要 を 主 体 的 にとらえ 返 す 生 き 方 の 変 革 を 意 味 していること (Ⅲ-70 頁 ) として 理 解 される 7) 学 習 サークルにおいて どうすれば 真 の 学 習 必 要 に 到 達 することができるのか 宮 原 は 実 践 レベルにおける 学 習 サークル 主 体 の 模 索 として リーダー 論 を 展 開 している 宮 原 は 学 習 サ ークルにおいてリーダーの 役 割 が 重 要 視 されるようになったのは 1950 年 代 後 半 以 降 のサークル 衰 退 期 に 入 ってからだと 指 摘 している(Ⅱ-299-300 頁 ) 学 習 サークルが 立 ち 上 がり 講 座 を 継 続 して 行 うようになると ただ 単 に 学 習 実 践 を 行 うだけでなく それを 支 える リーダーと 中 核 体 の 存 在 がなければ 宮 原 の 言 う 真 の 学 習 必 要 を 自 覚 化 する 前 に サークル 自 体 の 運 営 が 困 難 になり 学 習 活 動 が 下 火 になってしまう 継 続 的 に2 年 以 上 サークルを 維 持 している 実 践 に 注 目 すると その 実 践 には リーダーと 中 核 体 の 存 在 が 欠 かせないと 宮 原 は 指 摘 する(ibid.) では 宮 原 が 注 目 したサークルにおけるリーダーの 役 割 とはどのようなものであったか それは 学 習 サークルの 中 で 学 習 者 の 生 活 と 科 学 の 結 合 が 学 習 課 題 となるようサークルを 運 営 することで あり サークルの 運 営 を 通 してリーダーが 学 習 者 の 個 別 な 生 活 状 況 に 迫 ることで 他 の 学 習 者 たちと 共 同 ( 体 ) を 形 成 していくことである これは 当 時 宮 原 が 成 功 事 例 としてあげている 学 習 サー クルの 実 践 においては 地 域 活 動 家 や 公 民 館 主 事 など 共 同 体 の 外 部 者 としてのリーダーが 学 習 サ ークルの 運 営 を 通 し 地 域 に 承 認 されていく 過 程 が 確 認 されたからであった(ibid.) 以 上 確 認 していくと 宮 原 の 学 習 サークル 論 では 学 習 過 程 が 学 習 者 の 自 己 形 成 あるいは ゆがめられた 学 習 必 要 や 不 安 など 学 習 者 の 葛 藤 を 出 発 点 に 教 育 実 践 が 描 かれている 点 が 確 認 できる これは 宮 原 が 高 度 経 済 成 長 期 における 勤 労 青 年 の 社 会 的 な 課 題 構 造 ( 精 神 肉 体 的 労 働 二 極 化 説 )と 学 習 活 動 の 背 景 を 結 びつけることで 自 身 の 教 育 理 論 の 枠 組 みである 教 育 と 形 成 の 二 元 論 的 課 題 設 定 を より 具 体 的 に 敷 衍 したものであったといえよう 宮 原 の 学 習 サークル 論 は 小 集 団 の 学 習 サークルに 注 目 しつつ 小 集 団 内 の 教 育 的 な 働 きや 学 習 者 の 学 習 過 程 分 析 を 通 して 教 育 をめぐる 時 代 的 な 二 元 論 に 課 題 設 定 をするという 社 会 批 判 的 な 性 格 の 強 い 教 育 理 論 であった また 教 育 と 形 成 という 二 元 論 的 理 解 により 学 習 者 の 耐 性 が 形 成 として 対 象 化 されそこからの 成 長 という 文 脈 で 自 己 変 革 を 行 う 意 識 的 な 学 習 編 成 として 教 育 が 把 握 されている 宮 原 の 学 習 サークル 論 は 青 年 期 の 社 会 教 育 分 野 において 集 団 の 中 で 人 が 成 長 するという 位 相 を 理 論 化 する 際 学 習 者 間 同 士 学 習 者 教 育 計 画 者 間 それぞれに 教 育 的 信 頼 関 係 というある 種 の 共 同 化 ( 体 ) の 営 みを 学 習 活 動 実 践 の 中 に 読 み 取 るものであった かつて 勝 田 守 一 が 発 達 の 最 近 接 領 域 を 強 調 したと 同 様 に 宮 原 はこの 信 頼 関 係 の 構 築 が 参 加 者 の 学 習 課 題 を 規 定 する と 述 べている(Ⅲ-75 頁 - 補 注 1) 言 い 換 えるなら 集 団 によって 何 かを 学 びえるかどうか も 含 めて その 集 団 が 規 定 しているとする 宮 原 の 分 析 は 学 習 方 法 の 技 術 論 的 な 分 析 に 陥 りがちな 学 習 に - 4 -

教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 おける 集 団 の 役 割 分 析 に 対 して 大 きな 示 唆 を 与 えるであろう 8) 2. 社 会 教 育 における 学 習 論 の 展 開 宮 原 が 教 育 と 形 成 を 対 置 したのに 対 し 1960 年 代 から 70 年 代 にかけて 成 熟 した 国 民 の 学 習 要 求 運 動 などの 展 開 や 国 民 の 学 習 権 論 との 関 連 で 教 育 と 学 習 の 統 一 的 把 握 を 目 指 す 教 育 理 論 が 登 場 する 特 にここでは 島 田 修 一 の 社 会 教 育 労 働 論 に 言 及 したい 島 田 は 社 会 教 育 労 働 を 人 びとの 学 習 意 欲 を 組 織 し 教 育 学 習 活 動 を 通 して 自 己 の 成 長 と 発 展 の 可 能 性 に 確 信 を 抱 かせ みず から 自 覚 的 な 自 己 形 成 主 体 になろうとする 意 志 を 組 織 する 教 育 的 営 み であると 定 義 した( 島 田 1975, 芝 田 編 210 頁 ) 島 田 の 社 会 教 育 労 働 論 は 宮 原 の 教 育 再 分 肢 論 における 形 成 の 一 部 に 学 習 論 を 読 み 込 むことで 社 会 教 育 における 大 衆 的 な 教 育 学 習 運 動 の 自 習 的 な 発 展 (ibid.)を 教 育 理 論 の 射 程 に 含 みこも うとするものであった 宮 原 が 再 分 肢 論 で 教 育 を 主 体 化 するための 目 的 意 識 的 手 続 き 形 成 を 自 然 成 長 的 な 過 程 (Ⅰ-14 頁 ) として 把 握 したのに 対 し 島 田 は 学 習 する 側 の 主 体 性 に 注 目 して 教 育 と 学 習 の 統 一 的 な 理 解 を 目 指 したといえよう 島 田 のこの 様 な 把 握 から 宮 原 が 提 起 した 教 育 と 形 成 の 差 異 を 前 提 とした 教 育 理 論 の 展 開 は 教 育 と 学 習 というテーマに 位 相 が 変 遷 すること となる 島 田 の 理 論 の 背 景 としては 当 時 拡 大 しつつあった 学 習 権 に 対 する 市 民 活 動 における 学 習 主 体 ( 民 衆 )と 一 方 で 教 育 をする 側 として 奮 闘 していた 実 践 家 としての 社 会 教 育 関 係 者 の 意 識 的 な 取 り 組 み 教 える 側 と 学 ぶ 側 両 方 の 側 の 主 体 的 な 営 為 を 統 合 的 に 把 握 しうる 社 会 的 状 況 が 存 在 したといえよう 後 に 島 田 は 1990 年 代 の 中 ごろに 入 り 実 践 事 例 から 学 習 が 教 育 を 組 織 する として 時 代 の 変 化 から 両 主 体 の 関 係 性 がさらなる 展 開 をみせていることを 指 摘 している( 島 田 1996 年 -24 頁 ) 3. 広 田 照 幸 の 教 育 万 能 論 批 判 の 射 程 と 批 判 的 検 討 以 上 確 認 したように 宮 原 誠 一 は 戦 後 すでに 学 習 の 意 識 的 編 成 という 学 習 の 社 会 関 係 論 の 層 で 教 育 を 捉 えようとし 島 田 は 教 育 実 践 における 社 会 関 係 の 内 実 を 教 育 主 体 学 習 主 体 ととらえ 返 すことで 資 本 主 義 に 規 定 されながらも 成 熟 してきた 民 衆 の 社 会 教 育 的 側 面 を 捉 えてきた これらをふまえた 上 で 広 田 照 幸 の 教 育 万 能 論 批 判 を 批 判 的 に 検 討 し 現 代 の 理 論 枠 組 みとして 必 要 となる 教 育 学 カテゴリーの 要 点 を 教 育 における 社 会 関 係 に 留 意 しながら 確 認 する 広 田 は 教 える 学 ぶ 関 係 の 現 在 という 小 論 で 学 ぶこと と 教 えること を 区 別 し 学 ぶ 主 体 が 学 ぶこと と 教 える 主 体 が 教 える という 行 為 の 間 には 自 明 な 連 結 関 係 は 存 在 し ないという( 広 田 2003-237 頁 ) 広 田 は 島 田 同 様 に 学 習 と 教 育 の 差 異 に 注 目 しつつ 教 - 5 -

社 会 教 育 研 究 第 29 号 2011 育 関 係 の 再 構 築 を 構 想 する 点 で 課 題 意 識 には 共 通 するものがあるが その 理 論 的 な 背 景 として と くに 学 習 に 対 する 位 置 付 けは かなり 異 なる 確 かに 島 田 が 注 目 してきたように 学 習 は 目 的 意 識 的 な 活 動 として 理 解 しうる また 事 実 70 年 代 以 降 現 代 においても 学 習 論 自 体 は 教 育 学 における 言 説 の 上 でもきわめて 重 要 なトピックとして その 位 置 を 占 めることとなる その 理 由 として 指 摘 できるのは 島 田 が 70 年 代 の 中 ごろに 着 目 した 大 衆 的 に 拡 大 しつつある 学 習 主 体 の 広 範 な 運 動 という 動 きがある 一 方 で 主 に 学 校 教 育 の 現 状 を 念 頭 に 置 き 島 田 と 異 なる 点 に 学 習 論 へ 注 目 の 理 由 を 指 摘 する 者 の 立 論 はどうか 戦 前 は 地 域 の 啓 蒙 者 として 文 化 的 ヘゲモニーを 握 っていた( 広 田 2003-113 頁 ) 教 師 であるが 戦 後 高 度 成 長 により 日 本 社 会 が 変 動 する 中 もう 一 方 で 文 化 的 ヘゲモニーの 極 となっ ていた 地 域 共 同 体 の 因 習 ( 村 のルールやしきたり)が 衰 退 する 中 家 族 や 親 を 主 体 とする 運 動 体 が 子 どもの 生 活 に 過 剰 に 干 渉 する 学 校 のあり 方 を 問 い 直 す 動 きが 80 年 代 以 降 顕 著 になったとされ る( 広 田 2003-116 頁 ) そのような 中 主 に 学 校 を 中 心 とした 教 える 学 ぶ 関 係 のヘゲモニ ーに 変 化 が 現 れ 教 えること を 成 り 立 たせていた 教 師 の 超 越 的 な 審 級 ( 権 威 的 な 位 置 付 け)が 喪 失 したとされる( 田 中 1997) この 様 な 教 育 をめぐる 文 化 的 ヘゲモニーが 構 造 的 に 転 換 する 中 学 ぶ 側 が 優 位 に 立 つこと で 教 える 側 は 教 育 関 係 の 再 構 築 をはかってきたと 広 田 は 指 摘 する この 様 な 教 育 関 係 の 再 構 築 を 目 指 す 代 表 的 な 論 者 として 学 ぶ 側 の 論 理 を 中 心 に 据 えた 教 育 関 係 論 ( 広 田 前 掲 246 頁 に 立 つ 立 場 と 教 える 側 に 心 理 臨 床 家 のような 役 割 を 求 める( 広 田 前 掲 249 頁 ) 立 場 二 つを 広 田 は 取 り 上 げている この 二 つの 立 場 は 謂 わば 学 ぶ 側 の 主 体 性 に 依 存 しながら 教 える 側 の 無 限 責 任 が 問 われる 教 育 言 説 を 反 映 しており ある 種 の 教 育 万 能 論 として 主 には 青 少 年 に 起 因 する 社 会 問 題 を ( 学 校 や 家 庭 など)すべて 教 育 の 問 題 に 還 元 してしまう 立 場 を 批 判 しえず かえってその 言 説 を 補 完 してしまうとする( 前 掲 219-223 頁 ) 広 田 はこの 様 な 教 育 万 能 論 は 教 える 側 に 様 々な 学 習 者 の 側 の 抱 える 課 題 を 制 御 するよう 権 力 構 築 する 論 理 に 立 脚 してしまうことから 学 習 者 が 学 ばないこと を 含 めてすべて 教 える 側 のコントロールに 還 元 できない 存 在 である 以 上 結 局 は 教 育 の 失 敗 と よりよい 教 育 という 対 置 を 二 元 論 的 に 行 うことで 学 習 者 の 行 為 を 日 常 的 に 監 視 するというシステムの 精 緻 化 濃 密 化 を とめどなく 進 行 させる という 陥 穽 に 至 ると 指 摘 する では 教 育 の 論 理 を 再 構 築 するにはどのよう なことが 留 意 されるべきか 常 に 教 育 というシステムをすりぬける 可 能 性 を 学 習 者 がもつ 状 況 におい て 教 える 学 ぶ 関 係 を 成 立 させるには 非 教 育 者 つまりは 学 習 者 が 主 体 的 に 教 える 教 えられる 関 係 の 権 威 を 承 認 する 必 要 がある( 広 田 2003-222 頁 ) と 広 田 は 指 摘 する 以 上 教 育 と 学 習 の 差 異 をふまえつつ 両 要 素 の 統 一 を 目 指 してきた 教 育 理 論 を 検 討 してきた 宮 原 の 場 合 は 教 育 の 営 為 の 意 義 と 限 界 を 明 確 にするため 学 習 を 含 む 人 間 の 形 成 と 教 育 が 区 別 された 次 に 島 田 の 理 論 では 70 年 代 大 衆 的 に 拡 大 しつつあった 社 会 運 動 ( 学 習 運 動 )という 状 況 をふまえ 学 習 者 を 主 体 として 理 解 することで 社 会 教 育 活 動 における 実 体 を 後 に 民 衆 とし - 6 -

教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 て 位 置 付 ける 方 法 論 的 な 提 起 がなされていた( 島 田 1996-231-236 頁 ) 70 年 代 の 議 論 では 住 民 の 学 習 実 践 は 社 会 教 育 専 門 職 を 含 む 行 政 の 担 当 者 と 共 同 事 務 という 形 で 国 民 の 学 習 権 と 結 びつくこ とが 社 会 教 育 労 働 の 内 実 を 支 えていた 島 田 の 方 法 論 では 教 育 と 学 習 を 差 異 化 し 学 習 の 主 体 を 共 同 的 な 存 在 として 注 目 することで 社 会 教 育 活 動 に 独 自 の 教 育 労 働 論 を 見 出 した また 主 に 学 校 教 育 をめぐる 地 域 社 会 内 の 文 化 的 ヘゲモニーが 変 化 した 80 年 代 以 降 教 育 と 学 習 それぞれの 営 為 の 関 係 は 自 明 な 連 結 関 係 ではないと 指 摘 した 広 田 は 教 育 が 学 習 者 の 側 に 教 える 教 えられる 関 係 の 権 威 を 承 認 する 過 程 を 含 む 以 上 安 易 に 両 過 程 が 結 び 付 けられるよう な 議 論 からは 教 育 という 行 為 自 身 が 持 つ 権 力 的 な 側 面 やシステム 的 な 課 題 が 批 判 的 に 認 識 されな い 点 を 指 摘 していた 広 田 は みずからの 議 論 が 成 人 を 対 象 とした 市 民 講 座 のような 実 践 の 場 合 学 習 者 が 教 育 者 に 持 つ 関 係 は 学 校 教 育 における 教 師 生 徒 の 関 係 と 異 なり 学 ぶ 側 の 自 律 の 容 認 度 が 異 なるとしているが( 広 田 2003-257-258 頁 ) 教 える 教 えられる 関 係 の 権 威 を 承 認 する 過 程 は 教 育 の 持 つ 本 質 的 な 要 素 の 一 つであり 成 人 教 育 においても 教 育 実 践 の 分 析 過 程 に おいて 充 分 留 意 されなければならない 点 であると 筆 者 は 考 える 教 育 実 践 を 研 究 対 象 とする 際 その 学 習 実 践 に 注 目 することは 常 道 となるが 学 習 実 践 を 寄 せ 集 め れば 教 育 実 践 の 構 築 が 可 能 となるわけではない むしろ 学 習 がどのように 編 成 されており また 編 成 されてきたのか それを 可 能 にした 条 件 は 何 か などといった 考 察 が 行 わなければならないだろう これら 教 育 と 学 習 の 差 異 に 注 目 する 先 行 研 究 から 筆 者 は 以 下 の 点 を 社 会 教 育 成 人 教 育 の 教 育 実 践 における 関 係 分 析 を 行 う 際 の 課 題 として 注 目 したい 4. 権 力 予 期 理 論 的 アプローチにおける 教 育 把 握 以 上 広 田 の 教 育 万 能 論 批 判 を 批 判 的 に 検 討 してきた 広 田 の 指 摘 によれば 教 育 は 学 習 を 寄 せ 集 めればそれで 成 立 するのではなく その 背 景 に 学 習 をめぐる 承 認 関 係 が 存 在 しなければ 成 立 しな い 独 自 の 社 会 関 係 を 必 要 とする 一 方 で 広 田 の 教 育 万 能 論 批 判 は ともすれば 教 育 実 践 の 企 図 性 を 否 定 する 側 面 もあり 実 践 内 での 学 習 による 相 互 承 認 の 過 程 すなわち 教 育 実 践 の 人 称 的 関 係 に 依 存 する 側 面 への 捨 象 が 含 まれ ている 広 田 のこのような 教 育 把 握 は どのような 理 論 的 な 基 盤 を 持 つのだろうか 上 述 したが 広 田 は 教 育 の 主 体 と 学 習 の 主 体 とのそれぞれのかかわりに 着 目 し 教 える とい う 行 為 と 学 ぶ という 行 為 が 自 明 の 連 結 関 係 ではない 点 を 強 調 している( 広 田 2003-237 頁 ) 広 田 の 教 育 万 能 論 批 判 では 主 体 における 教 育 と 学 習 の 差 異 が 強 調 された このような 観 点 は どのような 理 論 的 背 景 を 持 つのであろうか 教 育 主 体 と 学 習 主 体 の 関 係 の 偶 然 性 に 注 目 しかつ 広 田 に 先 行 する 社 会 理 論 として 宮 台 真 司 の 権 力 の 予 期 理 論 があげられる 宮 台 は 主 著 権 力 の 予 期 理 論 - 了 解 を 媒 介 にした 作 動 様 式 の 中 で N.ルーマンの 権 力 理 論 盛 - 7 -

社 会 教 育 研 究 第 29 号 2011 山 和 夫 の 制 度 論 などを 批 判 的 に 検 討 し 権 力 体 験 に 基 づいた 行 為 選 択 の 予 期 理 論 として 権 力 関 係 を 定 義 づけている( 宮 台 1989-22 頁 ) それによれば 行 為 者 i とその 選 択 に 後 続 する j の 最 適 選 択 を 予 期 したときに 権 力 の 一 般 的 定 義 とは 以 下 のようになる 行 為 者 i が 自 分 の 選 択 に 後 続 する j の 最 適 選 択 を 予 期 したときに 現 実 に 実 現 可 能 だ と 想 定 する 社 会 状 態 の 中 で 最 適 選 好 するものを 現 実 的 最 適 状 態 (x)という 行 為 者 i の 了 解 内 で 論 理 的 な 可 能 性 を 構 成 された 全 ての 社 会 状 態 のなかに... 1 iが 現 実 的 最 適 状 態 (x)よりも 上 位 で 選 好 し かつ 2 現 実 的 最 適 状 態 (x)を 開 示 する i の 選 択 とは 別 の i の 選 択 で 開 示 される... という 2 条 件 を 満 たす 社 会 状 態 (y)が 少 なくとも 1 つ 存 在 するとき i は j からの 権 力 を 体 験 する あるいは j から i への 権 力 が 存 在 する という ( 宮 台 1989-22 頁 ) 宮 台 によれば 権 力 体 験 にとって 本 来 やらなかったはずのことを という 反 実 仮 想 の 状 態 が 本 質 的 な 契 機 であるとされている( 前 掲 28 頁 ) では 宮 台 の 理 論 においての 教 育 とはどのように 把 握 されているのだろうか 以 上 の 行 為 者 の 権 力 体 験 を 手 掛 かりに 了 解 を 媒 介 にした 行 為 選 択 論 として 理 解 できる その 際 宮 台 は 自 身 の 予 期 理 論 において 教 育 関 係 の 把 握 を 試 みている 権 力 の 予 期 理 論 の 全 編 にわたり 教 育 関 係 が 取 り 上 げ られている それによれば 行 為 者 i( 学 習 者 )と 行 為 者 j( 教 育 者 )があり i の 行 為 選 択 としては 勉 強 する 学 ぶ という 選 択 肢 があり j の 行 為 選 択 肢 としては 及 第 させる 落 第 させる というそれぞれ 二 つの 選 択 肢 がある j の 行 為 選 好 を 前 提 にして i の 権 力 予 期 が 成 り 立 ち i の 行 為 選 択 に 上 述 の 反 実 仮 想 的 なインセンティブが 働 いた 場 合 i に 権 力 が 体 験 されたことになる しかし 宮 台 は 分 析 を 進 める 過 程 で j が i を 及 第 させるか 落 第 させるか という 基 準 が j の 裁 量 を 超 えた 基 準 によりなされる 場 合 ( 例 えばテストの 点 数 基 準 等 が 厳 密 に 学 校 で 決 められており j の 介 在 する 余 地 がない 場 合 ) i に 体 験 される 権 力 には 人 称 性 が 伴 わないことになる( 宮 台 1989-94) しかし 権 力 体 験 から 人 称 性 が 取 り 除 かれたとしても 制 度 的 あるいは 社 会 的 な 背 後 関 係 から 行 為 者 i が 権 力 体 験 を 構 築 することはありうる( 例 えば 勉 強 をしないと 卒 業 できず 就 職 も 不 利 になり 自 立 で きないから 勉 強 するなど) その 場 合 は i と j が 生 徒 - 教 師 間 という 権 力 関 係 のみに 規 定 されるの ではなく i は 制 度 的 文 化 的 な 社 会 的 権 力 による 権 力 をも 同 時 に 経 験 していることになる( 宮 台 1989-102 頁 ) 権 力 体 験 が 人 称 的 な 制 約 を 離 れる 一 方 行 為 者 が 自 由 な 選 択 を 狭 める 行 為 選 択 を 行 う-つまり 社 会 的 権 力 の 承 認 がなされる 点 を 宮 台 の 理 論 は 明 らかにしたと 言 えよう 一 方 で 教 育 という 行 為 を 把 握 する 方 法 論 としてはどうか いわば 教 育 実 践 は 制 度 的 なものを 捨 象 したところでは 成 り 立 た ないとしても 9) やはり 教 育 の 人 称 的 な 関 係 性 は 否 定 できず むしろ 前 述 した 宮 原 以 降 の 教 育 理 論 では 信 頼 関 係 や 相 互 承 認 など より 人 称 的 な 側 面 を 教 育 学 独 自 の 領 域 として 示 してきた - 8 -

教 育 学 カテゴリーとしての 承 認 関 係 論 の 独 自 性 これらの 点 をふまえるならば 社 会 科 学 において 教 育 学 が 独 自 のカテゴリーとして 理 解 されるなら ば 社 会 関 係 や 承 認 において 人 称 性 という 点 は 除 外 できないであろう いわばその 点 が 社 会 科 学 としての 教 育 学 が 成 立 する 際 の 最 低 限 度 のメルクマール すなわち 教 育 学 的 思 考 の 臨 界 点 10) ということになろう まとめにかえて 教 育 における 課 題 としての 承 認 関 係 以 上 の 議 論 をふまえ 今 までの 本 論 が 明 確 にしてきた 点 をまとめ 今 後 の 課 題 を 確 認 したい 社 会 教 育 の 基 礎 理 論 において 学 習 と 教 育 の 差 異 をどのようにとらえ 統 合 するかという 課 題 は そ の 理 論 が 抱 える 時 代 的 な 社 会 関 係 像 を 主 体 に 投 影 せざるを 得 ないという 思 想 史 的 な 限 界 はありながら も 教 育 という 社 会 関 係 に 独 自 の 人 称 性 に 立 脚 し その 点 で 教 育 学 独 自 のカテゴリーに 属 する 問 題 圏 を 形 成 してきた 一 方 宮 台 の 権 力 の 予 期 理 論 や 広 田 の 教 育 万 能 論 批 判 は 教 育 と 学 習 の 差 異 を 明 確 にすると いう 点 で 重 要 な 示 唆 を 与 えるものでありながらも 教 育 独 自 の 特 色 である 人 称 性 をともすると 捨 象 しかねない 限 界 性 を 持 つ 理 論 であった 筆 者 としては これらの 分 析 の 過 程 で 社 会 科 学 における 教 育 学 の 独 自 性 を 実 践 の 人 称 性 とい う 点 で 捉 えつつも この 概 念 が 実 証 的 な 諸 事 例 の 普 遍 性 をどのように 説 明 しうるのか また 自 己 教 育 論 の 蓄 積 や 社 会 教 育 労 働 論 との 接 続 が 可 能 なのか 不 可 能 なのか これらの 点 を 検 討 することによ り 教 育 実 践 の 人 称 性 に 関 する 研 究 の 妥 当 性 を 今 後 は 課 題 として 検 証 していきたい 参 考 文 献 小 関 隆 志 労 働 世 界 の 生 涯 学 習 1- 生 協 労 働 者 の 学 習 過 程 - ( 日 本 社 会 教 育 学 会 第 43 回 研 究 大 会 自 由 研 究 発 表 資 料 1996 年 10 月 ) 佐 藤 一 子 社 会 教 育 研 究 とアクションリサーチ 社 会 教 育 紀 要 41 41-51p (2005) 佐 藤 一 子 櫻 井 歓 岩 本 俊 一 金 馬 国 晴 大 島 英 樹 中 川 恵 理 子 宮 原 誠 一 教 育 論 の 現 代 的 継 承 をめぐる 諸 問 題 東 京 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 第 37 巻 310-331p(1997) 佐 藤 修 司 教 育 計 画 のおける 資 本 主 義 的 計 画 化 概 念 の 検 討 東 京 大 学 教 育 学 部 教 育 行 政 学 研 究 室 紀 要 第 9 号 101-114p(1989) 坂 本 忠 芳 現 代 における 教 育 実 践 と 教 育 科 学 の 方 向 ( 上 下 ) 教 育 2002 年 2 3 月 号 下 平 昭 一 他 戦 後 サークル 運 動 の 変 換 と 現 状 思 想 の 科 学 ( 第 18 巻 ) 思 想 の 科 学 社 (1963 年 9 月 )など 参 照 鈴 木 聡 宮 原 誠 一 と 勝 田 守 一 における 教 育 本 質 論 争 研 究 室 報 東 京 大 学 教 育 学 部 教 育 哲 学 教 育 史 研 究 室 第 16 巻 (1990) 鈴 木 聡 青 年 期 教 育 の 再 編 成 論 の 今 日 的 視 点 教 育 科 学 研 究 会 編 教 育 (1990 年 6 月 号 ) 竹 内 常 一 学 級 崩 壊 を 超 える- 平 和 的 な 社 会 秩 序 をつくりだす 政 治 教 育 へ- 生 徒 指 導 全 国 生 活 指 導 研 究 協 議 会 編 明 治 図 書 (1998 年 9 月 号 ) 田 中 智 志 教 育 の 二 重 モード 代 理 審 級 事 後 心 象 そして 虚 構 の 時 代 教 育 哲 学 研 究 第 75 号 (1997 年 ) 広 田 照 幸 教 育 言 説 の 歴 史 社 会 学 名 古 屋 大 学 出 版 会 (2001 年 ) 広 田 照 幸 教 育 には 何 ができないか 春 秋 社 (2003 年 ) - 9 -

社 会 教 育 研 究 第 29 号 2011 宮 﨑 隆 志 教 育 本 質 論 における 宮 原 誠 一 と 勝 田 守 一 の 差 異 北 海 道 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 第 83 号 (2001) 宮 台 真 司 権 力 の 予 期 理 論 - 了 解 を 媒 介 とした 作 動 様 式 勁 草 書 房 (1989 年 ) 宮 台 真 司 日 本 の 難 点 幻 冬 舎 新 書 (2009 年 ) 米 原 雪 子 文 化 と 集 団 の 中 で 自 己 肯 定 間 を 育 てる-S 君 の 成 長 ほか 教 育 教 育 科 学 研 究 会 編 国 土 社 通 号 676 号 (2002 年 5 月 ) 参 照 注 ) 1)レイヴ ウェンガー 著 福 島 真 人 訳 状 況 に 埋 め 込 まれた 学 習 正 統 的 周 辺 参 加 産 業 図 書 (1993 年 ) 2) 佐 伯 佐 藤 藤 田 編 著 学 び 合 う 共 同 体 東 京 大 学 出 版 会 (1996 年 ) 3) 盛 山 和 夫 制 度 論 の 構 図 創 文 社 (1996 年 ) 4) 岡 田 敬 司 人 間 形 成 にとって 共 同 体 とは 何 か 自 律 を 育 む 他 律 の 条 条 件 ミネルヴァ 書 房 (2009 年 ) 5) なお 本 稿 で 取 扱 う 宮 原 の 基 礎 文 献 とその 表 示 法 について 標 記 しておく まず 本 稿 では 底 本 を 国 土 社 版 宮 原 誠 一 教 育 論 集 とし 引 用 は 巻 数 をローマ 数 字 Ⅰ~Ⅶと 表 示 しページ 数 をその 後 に 表 記 した 例 : 宮 原 誠 一 教 育 論 集 第 一 巻 15 ページ 表 記 (Ⅰ-15)その 他 の 文 献 として 随 時 以 下 のものを 参 照 した 宮 原 誠 一 編 青 年 の 学 習 国 土 社 (1960 年 ) 東 京 大 学 教 育 学 部 紀 要 ( 宮 原 が 在 籍 した 期 間 ) 6)また 宮 原 によれば 真 の 学 習 必 要 を 見 定 めることとは 自 身 の 生 活 と 労 働 と 自 身 からつきはなしてとらえ 自 身 にとっての 学 習 必 要 を 主 体 的 にとらえ 返 す 生 き 方 の 変 革 を 意 味 していることであって (Ⅲ-70) とし て 理 解 される 7)また 真 の 学 習 必 要 については 立 場 を 持 つ 主 体 としての 学 習 者 にとってのものであり それは 学 習 者 が 自 身 の 労 働 と 生 活 を 対 象 化 し そこからそれを 主 体 的 に 捉 え 返 すものであるから (Ⅲ.75 補 注 1 より) と 説 明 し ている 8)この 論 争 の 学 説 史 的 位 置 づけに 関 しては 前 掲 の 以 下 の 論 文 を 参 照 ( 鈴 木 聡 宮 原 誠 一 と 勝 田 守 一 における 教 育 本 質 論 争 研 究 室 報 東 京 大 学 教 育 学 部 教 育 哲 学 教 育 史 研 究 室 第 16 巻 1990 年 及 び 宮 崎 隆 志 教 育 本 質 論 における 宮 原 誠 一 と 勝 田 守 一 の 差 異 北 海 道 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 第 83 号 2001 年 ) 9) 室 井 力 特 別 権 力 関 係 論 ドイツ 官 吏 法 理 論 史 をふまえて 勁 草 書 房 (1968 年 ) 10) 井 上 達 夫 編 法 の 臨 界 2 秩 序 像 の 転 換 東 京 大 学 出 版 会 (1999 年 ) - 10 -