業 績 名 : サワラの 漁 況 予 測 技 術 の 開 発 所 属 : 新 潟 県 水 産 海 洋 研 究 所 漁 業 課 研 究 者 : 主 任 研 究 員 池 田 怜 (いけださとし) 1
近 年 日 本 海 でサワラが 増 加 したと 言 われていますが 新 潟 県 においても 以 前 はほと んど 獲 れなかったサワラが 2000 年 を 境 に 急 に 獲 れるようになりました 新 潟 県 のサワラの 漁 獲 量 は 2012 年 は100トン 程 度 でしたが 近 年 で 最 も 多 かった 2010 年 は 約 700トンでした 漁 獲 金 額 は 近 年 10 年 平 均 では 年 間 約 1 億 7000 万 円 で 重 要 な 漁 獲 対 象 種 となっています 県 内 では 体 重 1kg 未 満 は さごし と 呼 ばれ 主 に 箱 で 1kg 以 上 は さわら として 主 に1 本 もので 取 引 されています 特 にさわら 銘 柄 は 単 価 も 高 く 漁 業 者 にも 重 要 視 され ています 2
次 に 県 内 の 地 域 別 の 水 揚 げの 状 況 をご 説 明 します サワラの 水 揚 げが 多 い 地 域 は 青 海 糸 魚 川 の 新 潟 南 部 地 域 岩 船 山 北 の 新 潟 北 部 地 域 佐 渡 の 両 津 湾 で これ ら3つがサワラの 主 要 な 地 域 となっています これらの 地 域 ごとの 漁 業 種 類 別 の 割 合 を 示 したのが 円 グラフで 数 値 は2008 年 ~2012 年 の5 年 平 均 値 でお 示 ししています 佐 渡 は60トン 程 度 で そのほとんどが 定 置 網 です 新 潟 南 部 は111トンで こちらもほとんどが 定 置 網 によるものです 北 部 は192トンとなっていますが ここには 新 潟 港 のまき 網 が 含 まれています まき 網 は 2010 年 など 多 く 水 揚 げされる 年 もありますが 年 による 変 動 が 大 きく ここ2 年 ぐらい はまき 網 による 水 揚 げはほとんど 無 い 状 況 です まき 網 以 外 では 定 置 網 と それと 同 じ くらい 釣 りがあります この 釣 りの 部 分 をちょっと 見 てみたいと 思 います 3
新 潟 北 部 地 域 における 年 間 の 釣 りと 定 置 網 の 漁 獲 量 の 推 移 を 棒 グラフにしてみました 青 が 定 置 赤 が 釣 りです 釣 りと 定 置 がだいたい 同 じくらいだったのが ここ3 年 ぐらい は 釣 りが 定 置 の 倍 以 上 と 多 くなっており 釣 りによる 漁 獲 が 増 加 しています 特 に 釣 りによる 漁 獲 は 夏 ~ 秋 にかけて 盛 んで 7 月 ~11 月 の 漁 獲 金 額 の 推 移 を 見 て みると 2013 年 は 近 年 で 最 高 となっています 大 きいサワラは 単 価 も 高 く サワラを 狙 っ て 獲 ることが 増 えているように 感 じています 最 近 では 板 びき 網 漁 業 者 もサワラ 釣 りを 行 っており 休 漁 期 間 の 収 入 源 になっているほか 9 月 の 底 びき 網 解 禁 後 も 釣 りを 継 続 す ることで カレイ ヒラメ 類 への 漁 獲 圧 の 減 少 や 価 格 下 落 防 止 の 効 果 が 期 待 されます 4
このようにサワラは 漁 獲 対 象 として 重 要 になってきていることから サワラ 資 源 の 有 効 利 用 と 効 率 的 な 操 業 を 推 進 するためには 漁 期 前 に 漁 況 情 報 を 提 供 するための 予 測 技 術 の 開 発 が 必 要 です そこで 新 潟 県 に 来 遊 するサワラの 漁 況 予 測 手 法 の 検 討 を 行 ってきました 予 測 の 方 法 がある 程 度 目 途 が 立 ってきたので 昨 年 4 月 に 初 めてサワラの 予 報 を こ のような 形 で 発 表 しました ここでは 本 県 で 行 っているサワラ 漁 況 予 測 の 手 法 について ご 説 明 します なお 業 績 関 連 の 研 究 事 業 ですが 平 成 21 年 度 から23 年 度 の 行 われた 農 林 水 産 技 術 会 議 の 実 用 技 術 開 発 事 業 日 本 海 で 急 増 したサワラを 有 効 利 用 するための 技 術 開 発 それ 以 降 は 資 源 評 価 調 査 により 得 られたデータを 用 いて 研 究 を 行 っています 5
漁 況 予 測 には 分 布 回 遊 の 知 見 が 基 礎 的 な 情 報 となりますが 2009 年 ~11 年 まで 行 わ れた 実 用 技 術 開 発 事 業 日 本 海 で 急 増 したサワラを 有 効 利 用 するための 技 術 開 発 に よって 不 明 だった 日 本 海 におけるサワラの 分 布 回 遊 が 明 らかになってきました 本 研 究 もこの 事 業 で 得 られた 知 見 に 基 づいて 予 測 を 行 っていますので まず 簡 単 にサワラ の 分 布 回 遊 について 説 明 させていただきます 6
サワラは 6 月 頃 東 シナ 海 で 産 卵 すると 考 えられており 今 回 は7 月 1 日 を 年 齢 起 算 日 としてご 説 明 します ふ 化 した0 歳 魚 は 秋 に 日 本 海 を 北 上 し 各 地 に 来 遊 します 新 潟 にはだいたい10 月 ごろに 来 遊 し 1kg 未 満 のさごしが 越 後 側 の 定 置 網 で 漁 獲 されます 7
日 本 海 の 各 地 に 来 遊 したサワラは 標 識 放 流 の 結 果 から 大 きな 移 動 はせず 産 卵 期 を 迎 える 翌 々 年 1 歳 の 春 まで 各 地 の 地 先 を 小 規 模 回 遊 していると 考 えられています 0 歳 秋 に 来 遊 したサワラは 冬 に 各 地 で 越 冬 します そして 7 月 頃 1 歳 を 迎 えるサワラ は 7 月 ~8 月 に 急 成 長 し さごしからさわらへと 大 きくなります そしてさらにもう1 回 各 地 で 越 冬 します 8
その 後 春 5 月 頃 になりますと 産 卵 のために 一 斉 に 東 シナ 海 へ 向 けて 南 下 していき ます このとき 佐 渡 ではさわら 銘 柄 が 大 量 に 漁 獲 されることがあります この 写 真 は 平 成 23 年 の5 月 25 日 の 両 津 市 場 の 様 子 ですが この 日 だけで40トンの 水 揚 げがありました 9
分 布 回 遊 をまとめたものがこちらです 東 シナ 海 でふ 化 したサワラは 9 月 ごろから 日 本 の 沿 岸 を 北 上 し 始 め 新 潟 県 には10 月 前 後 に 来 遊 してきます このとき さごし 銘 柄 が 漁 獲 されます 日 本 海 の 各 地 に 来 遊 したサワラは 産 卵 期 になるまで 大 きな 移 動 はせず その 周 辺 の 海 域 で 過 ごします 7 月 に1 歳 を 迎 えるころ 急 速 に 成 長 して 体 重 1kgを 超 えるさわら 銘 柄 となります そ の 後 2 歳 になる 直 前 の5 月 ごろに 産 卵 のために 東 シナ 海 へ 向 けて 一 斉 に 南 下 してい きます このときに 佐 渡 では さわら 銘 柄 が 短 期 間 のうちに 大 量 に 漁 獲 されます なお 2 歳 魚 以 上 の 詳 しい 回 遊 についてはまだよく 分 かっていませんが 日 本 海 でも2 歳 魚 以 上 の 大 型 のサワラが 非 常 に 少 ないですが 見 られます 東 シナ 海 で 産 卵 を 終 えた ものの 一 部 は また 北 上 して 日 本 海 の 北 部 海 域 にも 来 遊 し 5~6 月 ごろに 産 卵 のため 東 シナ 海 へ 南 下 する というのを 繰 り 返 すのではないかと 考 えられています 10
方 法 です 漁 況 予 測 にあたって まず 年 級 ごとの 漁 獲 量 のデータが 必 要 となります 最 初 にご 説 明 した 通 り 県 内 では 体 重 1kg 未 満 をさごし 銘 柄 体 重 1kg 以 上 をさわら 銘 柄 と 呼 んでお り 市 場 での 販 売 形 態 やキロ 単 価 も 異 なっていますが 残 念 ながら サワラの 漁 獲 統 計 のデータはサワラ1 本 で 銘 柄 別 に 分 かれていません 一 方 右 のグラフは2010 年 の 市 場 調 査 による 尾 叉 長 組 成 を 表 していますが 6 月 まで 尾 叉 長 40cm 台 だった0 歳 魚 は 1 歳 になる 頃 に 急 成 長 し 7 月 頃 には50cm 台 になりま す このグラフを 見 ても 尾 叉 長 51cm 前 後 を 境 に0 歳 と1 歳 の 組 成 が 分 かれているのが 分 かり 尾 叉 長 51cm 前 後 は ちょうど 体 重 約 1kgに 相 当 します したがって さごしは0 歳 さわらは1 歳 以 上 とみなしても 支 障 がないと 考 え 銘 柄 ごとの 漁 獲 量 を 推 定 すること を 検 討 しました まず 行 ったのが 伝 票 調 査 です 佐 渡 の 両 津 市 場 では 2006 年 からずっと 続 けており 岩 船 では 一 部 の 期 間 で 実 施 しました 箱 ごと あるいは1 本 ごとの 量 と 金 額 を 銘 柄 ごとに 集 計 し 銘 柄 ごとの 平 均 単 価 の 把 握 も 行 いました 11
次 に サワラ 全 体 の 漁 獲 統 計 データ( 月 別 の 漁 獲 量 と 金 額 の2002 年 からのデータ) を 使 いました 県 内 は 定 置 網 の 漁 獲 量 が 多 い 青 海 糸 魚 川 両 津 岩 船 山 北 の5 地 区 を 使 いま した さらに 近 隣 の 県 の 漁 獲 量 データも 使 わせていただきました さごしとさわらの 単 価 は 差 がありますので さごし さわらの 単 価 をそれぞれ 仮 定 してし まえば 漁 獲 金 額 のデータがある 地 区 については 月 ごとの 平 均 単 価 からさごしとさわら の 割 合 が 推 定 できますので そこから 銘 柄 別 の 漁 獲 量 を 求 めました 金 額 のデータがな いところについては 隣 接 地 域 のさごしとさわらの 割 合 を 使 用 して 推 定 しました 12
さらに 具 体 的 に 説 明 しますと 例 えば 1kgあたりの 各 銘 柄 の 単 価 を さごし:300 円 さわら:900 円 と 仮 定 した 場 合 漁 獲 金 額 漁 獲 量 で 求 められるある 月 の 平 均 単 価 が 750 円 のときは この 計 算 式 からさごしの 割 合 は4 分 の1であると 推 定 できます また あ る 月 の 平 均 単 価 が900 円 を 上 回 るような 場 合 はすべて さわら 300 円 を 下 回 るような 場 合 はすべて さごし とみなしました このような 考 え 方 で 銘 柄 別 の 漁 獲 量 を 推 定 できます 各 地 区 によって 得 られたデータは 異 なりますので どの 地 区 がどのデータを 使 ったの かというのをまとめたのが この 表 です 伝 票 調 査 を 実 施 した 赤 で 示 したところは 伝 票 による 銘 柄 別 漁 獲 量 の 集 計 結 果 を 用 いました 同 じ 地 区 の 伝 票 データのない 年 ( 黄 色 の 部 分 )については 伝 票 調 査 による 各 月 各 銘 柄 の 平 均 単 価 を 利 用 して 考 え 方 のような 方 程 式 を 解 いて 推 定 しました 緑 の 伝 票 調 査 を 実 施 していない 地 区 では 聞 き 取 りなどによって 各 銘 柄 の 単 価 を 任 意 に 設 定 して 方 程 式 を 解 いて 割 合 を 推 定 しました 青 の 漁 獲 金 額 が 得 られなかった 地 区 は 隣 接 地 域 のさごし さわらの 割 合 から 推 定 し ました このような 考 え 方 で 各 銘 柄 の 割 合 を 推 定 し 銘 柄 別 漁 獲 量 を 計 算 しています これまでこの 方 法 で 計 算 してきていますが 実 際 の 獲 れ 方 と 異 なるような 値 が 算 出 され ることは 今 のところなく 各 年 級 の 資 源 の 動 向 はこの 方 法 でも 十 分 に 再 現 できていると 考 えています 13
こちらのグラフは 先 ほどの 方 法 で 推 定 した 越 後 側 と 佐 渡 地 区 の 月 ごとの 銘 柄 別 漁 獲 量 を 表 したものです 赤 がさわら 青 がさごしとなっています いずれも 春 の 漁 獲 量 が 多 いのですが 越 後 側 ではさごしの 漁 獲 が 多 いのに 対 して 佐 渡 ではさわらの 漁 獲 が 多 くなっています そこで 越 後 側 は4 月 から6 月 のさごしの 漁 況 と 直 後 の 夏 ~ 秋 のさわらの 漁 況 を 佐 渡 は 4 月 ~6 月 のさわらの 漁 況 を 予 測 できないかと 考 え 検 討 してみました 14
まず 越 後 側 の4 月 ~6 月 のさごし(0 歳 魚 )の 漁 況 予 測 について 説 明 します 秋 に 新 潟 へ 来 遊 した0 歳 魚 は そのまま 大 きな 移 動 はしないことから 9 月 から12 月 に 新 潟 周 辺 に 来 遊 した0 歳 魚 の 漁 獲 量 から 4 月 ~6 月 のさごしの 漁 獲 量 を 予 測 できるの ではないかと 考 えました 15
このグラフは 9 月 ~12 月 における 富 山 県 の 魚 津 から 東 側 の 地 区 新 潟 の 越 後 側 の 地 区 山 形 のさごし(0 歳 魚 )の 漁 獲 量 と その 後 の4 月 ~6 月 における 新 潟 の 越 後 側 にお けるさごし(0 歳 魚 )の 漁 獲 量 の 関 係 を 表 したものです R2は0.84で 秋 に 多 く 獲 れれば 春 にも 多 く 獲 れるという 正 の 相 関 関 係 があることがわかりました この 近 似 式 を 使 って 秋 のさごしの 漁 獲 量 からその 後 の 春 のさごしの 予 想 漁 獲 量 を 計 算 した 値 を 赤 で 実 際 の 漁 獲 量 を 青 で 表 したのが 右 側 のグラフです 最 大 で20トン 程 度 の 誤 差 が 出 ているところがありますが 平 均 誤 差 は8.6トンで おおまかな 傾 向 はとらえら れると 考 えています 16
こちらは 先 ほどの 銘 柄 別 の 漁 獲 量 と 金 額 を 表 したグラフですが さごしよりもさわらの 単 価 ははるかに 高 いことから 漁 業 としてはさわら 銘 柄 が 重 要 になってきます さらに 最 初 にお 示 ししたとおり 新 潟 北 部 地 域 では 夏 ~ 秋 のさわら 銘 柄 を 狙 った 釣 り が 増 加 しており 夏 ~ 秋 のさわらが 獲 れるのか 獲 れないのか 予 想 することが 漁 業 者 に とって 重 要 な 情 報 となります この 夏 ~ 秋 のさわらは 直 前 の 春 のさごしの 成 長 群 が 主 体 で 大 きな 移 動 はしないこと から 先 ほど 予 測 した 春 のさごしの 水 準 が そのまま 夏 ~ 秋 のさわらの 水 準 を 表 している とみなして 夏 ~ 秋 のさわらの 予 報 として 発 表 しています 17
次 に 佐 渡 の4 月 ~6 月 のさわら(1 歳 以 上 )の 漁 況 予 測 について 説 明 します 各 地 で 成 長 越 冬 したサワラは 5 月 ごろに 一 斉 に 南 下 していきます このことから 3 月 ~6 月 に 佐 渡 よりも 北 の 海 域 のさごし(0 歳 魚 )の 漁 獲 量 から 翌 年 4 月 ~6 月 のさわら (1 歳 以 上 )の 漁 獲 量 を 予 測 できるのではないかと 考 えました 18
このグラフは 3 月 ~6 月 における 両 津 山 北 そして 山 形 秋 田 青 森 の 日 本 海 側 の さごし(0 歳 魚 )の 漁 獲 量 と 翌 年 4 月 ~6 月 における 佐 渡 のさわら(1 歳 以 上 )の 漁 獲 量 の 関 係 を 表 したものです こちらも さごしが 多 く 獲 れれば 翌 年 のさわらも 多 く 獲 れると いう 正 の 相 関 関 係 があることがわかりました 先 ほどと 同 様 に この 近 似 式 を 使 って 計 算 した 値 を 赤 で 実 際 の 漁 獲 量 を 青 で 表 しま した 最 大 で10トン 程 度 の 誤 差 が 出 ているところがありますが 平 均 誤 差 は5.4トンで 予 測 できるということがわかりました この 計 算 結 果 から 2013 年 の 佐 渡 の 春 のさわらは 前 年 を 下 回 り 非 常 に 少 ないと 予 想 しました しかし 実 際 の 漁 獲 量 は17トンで わずかに 前 年 を 下 回 った 程 度 でした 19
この 原 因 について 少 し 考 えてみました ここに 佐 渡 の 両 津 の 伝 票 調 査 に 基 づく 春 のさわらの 体 重 組 成 をお 示 ししています 横 軸 が1キロ 台 2キロ 台 3キロ 台 となっています さきほどの 予 想 でサワラが 多 いと 予 想 された2009 年 や2011 年 は 1 歳 魚 が 多 いと 考 え られますが そのような 年 は 1キロから2キロ 台 の 尾 数 が 多 くなっています 一 方 で 3キロ 台 以 上 のサイズでは 2 歳 以 上 が 含 まれている 可 能 性 があり 1 歳 魚 が 少 ない 年 においては 2 歳 魚 以 上 の 影 響 も 無 視 できないのではないかと 考 えました 20
そこで 2 歳 魚 と3 歳 魚 の 影 響 を 考 慮 に 入 れるため 重 回 帰 による 関 係 式 をたててみま した Yが 春 のさわら 漁 獲 量 Xはさごしのときの 春 の 漁 獲 量 で 1 歳 魚 2 歳 魚 3 歳 魚 を 考 慮 しようとしています 計 算 値 と 漁 獲 量 の 誤 差 の 平 方 和 が 最 小 となるように 3を 決 定 し このような 値 となりました エクセルのソルバーで 係 数 a0~a グラフがこちらですが R2は0.9459で 若 干 上 がり 2012 年 と13 年 のズレが 解 消 しました 平 均 誤 差 3.3トンで 予 測 できます 係 数 a3の 値 がa2より 大 きい 2014 年 の 結 果 の 検 証 が 必 要 など 検 討 すべきこともあり ますが このような 修 正 を 検 討 しながら 今 後 もサワラの 予 報 を 続 けていきたいと 考 えて います 21
成 果 と 波 及 効 果 です 本 研 究 により サワラの 漁 模 様 を 漁 期 前 に 想 定 することができるようになりました そして 漁 期 前 に 発 表 した 予 報 は 漁 協 や 漁 業 士 市 場 などに 送 付 しているほか ホ ームページにも 掲 載 して 広 く 周 知 しています この 取 組 みにより 県 北 部 海 域 で 増 加 している 釣 りの 漁 獲 については 例 えば 不 漁 が 予 想 される 場 合 は 他 の 魚 種 へ 転 換 できるなど 効 率 的 な 操 業 に 寄 与 することができる ようになりました 昨 年 2013 年 は 北 部 の 釣 りは7 月 ~11 月 の 間 に35 隻 で6300 万 円 を 水 揚 げしており この 漁 況 予 報 が 重 要 な 情 報 となっています この 中 には 板 びき 網 漁 業 者 も 含 まれており 9 月 の 底 びき 網 解 禁 後 も 釣 りを 継 続 することで カレイ ヒラメ 類 の 漁 獲 圧 の 減 少 や 価 格 下 落 防 止 の 効 果 も 期 待 できます また 佐 渡 の 定 置 網 では 春 期 にさ わらが 多 く 漁 獲 されますが 事 前 に 漁 模 様 が 分 かれば 経 営 の 見 通 しが 立 ち 販 売 戦 略 などでも 活 用 できるようになります このような 形 で 資 源 の 合 理 的 利 用 が 期 待 できます また 実 際 に 漁 業 者 のみなさんからもサワラの 予 報 について いろいろご 意 見 いただ いています 北 部 の 釣 りの 漁 協 からは 獲 れないことが 分 かっていたなら 早 めに 教 えてほしかった とご 意 見 いただきました これは 2012 年 の 不 漁 時 のときに 言 われたことで このことが 定 期 的 にサワラ 予 報 を 発 表 するきっかけの 一 つとなりました また 漁 が 期 待 できること が 事 前 にわかっていると 操 業 の 意 欲 も 出 てくるようで 特 に 北 部 海 域 では 高 い 関 心 が あります 一 方 佐 渡 の 定 置 網 でも 獲 れ 方 が 不 安 定 なマグロよりも 安 定 した 収 入 になる というこ とで サワラの 見 通 しを 知 りたいという 声 を 多 くいただいています このように 現 場 でもサワラの 予 報 についての 関 心 は 非 常 に 高 く サワラ 漁 況 の 情 報 の 重 要 性 を 感 じているところです 22
まとめです 2000 年 以 降 急 増 したサワラ 資 源 を 有 効 利 用 するため 漁 獲 が 多 い 時 期 の 漁 況 予 測 手 法 を 開 発 し 富 山 東 部 ~ 山 形 の 秋 季 のさごしから 越 後 側 の 春 季 のさごし そしてその 後 の 夏 ~ 秋 季 のさわらを 予 測 できること 新 潟 ~ 青 森 の 春 季 のさごしから 佐 渡 の 春 季 のさ わらを 予 測 できることが 明 らかとなりました これらの 予 測 結 果 を 漁 況 予 報 として 公 表 することで 漁 模 様 を 事 前 に 想 定 できるように なり サワラ 資 源 の 合 理 的 利 用 を 図 ることができるようになりました 23
( 参 考 スライド) 参 考 として 既 往 研 究 との 違 い 本 研 究 の 特 徴 についてご 説 明 します 2009 年 ~11 年 まで 行 われた 実 用 技 術 開 発 事 業 日 本 海 で 急 増 したサワラを 有 効 利 用 するための 技 術 開 発 の 成 果 の 一 部 として 木 所 ほか(2013)により 近 年 の 日 本 海 中 部 沿 岸 域 におけるサワラの 漁 況 予 測 手 法 が 報 告 されました この 研 究 では 石 川 福 井 京 都 の2002 年 ~2009 年 の 月 別 銘 柄 別 漁 獲 量 から 算 出 さ れた3 県 合 計 の 漁 獲 尾 数 を 用 いて さわらの 漁 況 を 予 測 するための 相 関 が 示 されました まず 秋 のさごしと 翌 年 秋 のさわらの 漁 獲 尾 数 秋 のさごしと 翌 々 年 の 春 のさわらの 漁 獲 尾 数 の 相 関 関 係 が 示 されました さごしのときで2002 年 ~2007 年 のデータが 用 いら れましたが はずれ 値 の2004 年 は 除 外 されました また 秋 のさわらから 翌 年 春 のさわ らの 漁 獲 尾 数 の 相 関 関 係 が 示 されています こちらは 除 外 年 はなく 6プロットの 相 関 で す このことから 特 異 年 を 除 けば 秋 のさごしから 翌 々 年 春 のさわらを 予 測 可 能 で 特 異 年 についても 秋 のさわらから 補 正 可 能 としています 一 方 本 研 究 は 新 潟 県 内 では 佐 渡 と 本 土 側 では 漁 獲 の 盛 期 も 違 うことから 地 域 別 の 漁 獲 実 態 に 合 わせ 現 場 のニーズに 合 った 予 測 を 検 討 しようとしたことが 大 きな 特 徴 になります また 県 内 を 含 め 近 隣 県 でも さわらとさごしを 分 けた 銘 柄 別 漁 獲 量 の 集 計 はなく そのままでは 漁 況 予 測 は 不 可 能 でした しかし さわらとさごしの 平 均 単 価 が 大 きく 異 な ることを 利 用 することで 平 均 単 価 からさわらとさごしの 割 合 を 推 定 することで 銘 柄 別 漁 獲 量 を 算 出 し 漁 況 予 測 を 可 能 にしました この 手 法 で 北 部 日 本 海 の 漁 獲 データを 広 く 過 去 にもさかのぼって 利 用 することで 長 期 間 にわたり 除 外 する 年 もなく 9プロット 以 上 で 高 い 相 関 を 得 ることに 成 功 しました さらに 佐 渡 のさわら 予 測 では 近 年 特 に 影 響 が 多 いと 考 えられる 高 齢 魚 の 漁 獲 を 考 慮 するために 重 回 帰 を 取 り 入 れ 誤 差 を 少 なくするための 精 度 向 上 をはかりました 24