平 成 28 年 7 月 発 注 者 のエンジニアリング 零 戦 とターゲット( 指 名 手 配 犯 ) 発 見 システムをモデルとして 澤 田 雅 之 技 術 士 事 務 所 ( 電 気 電 子 部 門 ) 所 長 澤 田 雅 之
発 注 者 のエンジニアリング が 大 事 です! ** 費 用 対 効 果 に 優 れたターゲッ ト 発 見 システムの 実 現 には** 一 般 競 争 入 札 時 に 価 格 と 技 術 の 両 面 で 競 争 原 理 を 働 かせることが 必 要 です この 鍵 を 握 るのが 発 注 仕 様 書 です
発 注 者 のエンジニアリング が 大 事 です! * 理 想 的 な 発 注 仕 様 書 の 作 成 には* 発 注 者 ならではの 技 術 力 の 発 揮 が 欠 かせません! ベンダー : 詳 細 設 計 と 製 造 ができる 技 術 力 発 注 者 : 実 現 を 求 める 機 能 と 性 能 を 規 定 で きる 技 術 力
発 注 者 ならではの 技 術 力 を どのように 発 揮 したら 良 いのか 1 これまで 成 功 事 例 が 皆 無 である ター ゲット 発 見 システム の 実 現 に 向 けて 2 発 注 者 エンジニアリングの 過 去 最 大 の 成 功 事 例 である 零 戦 をモデルとして 理 想 的 な 発 注 仕 様 書 の 作 成 方 法 と そのポイントを 具 体 的 に 説 明 します
ターゲット 発 見 システムとは? 顔 画 像 識 別 技 術 を 用 いて 監 視 カメラのライブ 映 像 の 中 から ターゲット(テロリストや 指 名 手 配 犯 )の 顔 画 像 に 合 致 する 人 物 を 瞬 時 に 発 見 するシステム
これまでのターゲット 発 見 システム 2001 年 に フロリダ 州 タンパ 警 察 が 世 界 で 初 めて 導 入 したが 全 く 発 見 できないた め2 年 後 に 撤 去 その 後 ロンドンやバーミンガムなどでも 導 入 したが これまで 発 見 事 例 は 無 い 効 果 的 なターゲット 発 見 システム の 実 現 事 例 は 皆 無
ターゲット 発 見 システムの 成 功 に 欠 かせない 2つの 必 須 条 件 1 識 別 動 作 が 高 速 であること 監 視 カメラでターゲット 本 人 の 顔 画 像 を 捉 えてから 発 見 の 警 報 を 発 するまでの 所 要 時 間 は 秒 の 単 位 であること 2 極 めて 低 い 他 人 誤 認 率 の 下 で 高 い 本 人 発 見 率 を 達 成 すること 他 人 誤 認 率 : 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 ではない 場 合 に システムがターゲットとして 誤 認 す る 割 合 本 人 発 見 率 : 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 である 場 合 に システムがターゲットとして 識 別 する 割 合
ターゲット 発 見 システム 失 敗 の 原 因 1 識 別 動 作 が 高 速 であること 達 成 できた 2 極 めて 低 い 他 人 誤 認 率 の 下 で 高 い 本 人 発 見 率 を 達 成 すること 達 成 できなかった 顔 画 像 識 別 技 術 と 監 視 カメラ 技 術 双 方 の 性 能 が 低 かったため 他 人 誤 認 率 を 極 力 低 く 設 定 した 場 合 には 本 人 発 見 率 がほぼ 零 となり ターゲットを 全 く 発 見 できなかった
今 日 の 技 術 水 準 近 年 顔 画 像 識 別 技 術 と 監 視 カメラ 技 術 双 方 の 性 能 が 飛 躍 的 に 向 上 特 に 我 が 国 の 顔 画 像 識 別 技 術 及 び 監 視 カメラ 技 術 は 世 界 のトップランナー 効 果 的 なターゲット 発 見 システムを 世 界 で 初 めて 実 現 できる 環 境
顔 画 像 識 別 技 術 の 優 れた 識 別 能 力 今 日 の 顔 画 像 識 別 技 術 は ほぼ 正 面 から 撮 影 した 緻 密 かつ 鮮 明 な 顔 画 像 であれば 人 の 目 には 全 く 別 人 の 印 象 を 与 える 場 合 であっても 例 えば 20 年 30 年 の 経 年 変 化 や 整 形 手 術 を 受 けた 場 合 であっても 数 十 万 枚 の 顔 画 像 の 中 から 本 人 の 顔 画 像 を 類 似 度 一 位 に 瞬 時 検 索 できる
顔 画 像 識 別 技 術 の 照 合 速 度 識 別 動 作 は 瞬 時 数 十 万 の 顔 画 像 を 類 似 度 順 に 瞬 時 に 配 列 多 数 の 顔 特 徴 抽 出 フィルタで 物 理 的 特 徴 を 量 的 に 抽 出 フィ ルタ 数 に 応 じた 次 元 数 の 顔 特 徴 ベ クトルを 生 成 ベクトル 間 の 距 離 計 算 は 超 高 速
ターゲット 発 見 システムの 成 功 に 欠 かせない 2つの 必 須 条 件 1 識 別 動 作 が 高 速 であること 監 視 カメラでターゲット 本 人 の 顔 画 像 を 捉 えてから 発 見 の 警 報 を 発 するまでの 所 要 時 間 は 秒 の 単 位 であること 2 極 めて 低 い 他 人 誤 認 率 の 下 で 高 い 本 人 発 見 率 を 達 成 すること? 他 人 誤 認 率 : 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 ではない 場 合 に システムがターゲットとして 誤 認 す る 割 合 本 人 発 見 率 : 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 である 場 合 に システムがターゲットとして 識 別 する 割 合
識 別 精 度 の 劣 化 要 因 1 顔 画 像 の 鮮 明 度 ブレ ボケ ノイズ 低 コントラストが 識 別 精 度 を 劣 化 2 顔 画 像 の 緻 密 度 目 間 画 素 数 が50 画 素 程 度 であれば 十 分 数 百 画 素 を 確 保 しても 識 別 精 度 の 向 上 には 繫 がらない 3 顔 の 撮 影 角 度 上 下 方 向 は 約 20 度 まで 左 右 方 向 は 約 30 度 までOK 角 度 が 大 きい 程 他 の 劣 化 要 因 への 余 裕 度 が 減 少 4 顔 の 経 年 変 化 表 情 の 有 無 眼 鏡 等 の 有 無 カメラ 側 の 工 夫 では 対 処 不 可 能 顔 画 像 識 別 エン ジン 側 で 対 処 識 別 精 度 劣 化 の 主 要 因 ではなくなっ ている
ターゲット 発 見 システム 成 功 の 要 諦 ターゲット 発 見 システムの 識 別 精 度 は ターゲットの 顔 画 像 及 び 監 視 カメラで 捉 え る 顔 画 像 の 品 質 次 第 90% 以 上 の 本 人 発 見 率 と0.01% 以 下 の 他 人 誤 認 率 を 両 立 させる 鍵 は 次 の2つ 1 2 ターゲットの 顔 画 像 : 運 転 免 許 証 写 真 パス ポート 写 真 被 疑 者 写 真 等 の 緻 密 かつ 鮮 明 な 正 面 無 表 情 顔 であること? 監 視 カメラで 捉 える 顔 画 像 : ほぼ 正 面 から 撮 影 した 緻 密 かつ 鮮 明 な 顔 画 像 であること
高 精 細 デジタル 監 視 カメラの 活 用 アナログカメラの 問 題 点 映 像 伝 送 時 のS/N 比 の 低 下 に 伴 い 映 像 品 質 が 確 実 に 劣 化 高 精 細 映 像 を 扱 う 意 味 が 無 い デジタルカメラの 優 位 性 デジタル 処 理 による 以 下 の 機 能 により 緻 密 かつ 鮮 明 な 高 精 細 映 像 を 扱 うのに 最 適 1 誤 り 訂 正 機 能 : S/N 比 が 低 下 して0と1の 判 別 誤 りが 生 じても 撮 影 時 の 映 像 品 質 を 保 つ 2 三 次 元 ノイズリダクション 機 能 : 低 照 度 環 境 下 で 生 ずるノイズを 減 少 させる 3 ワイドダイナミックレンジ 機 能 : 逆 光 環 境 下 の 低 コントラストを 改 善 する
デジタル 監 視 カメラの2つのタイプ 1 ネットワークカメラ 撮 影 した 映 像 をカメラ 内 部 で 圧 縮 し LANケーブル でTCP/IPネットワークに 出 力 カメラサーバ 機 能 を 有 するため クライアントのパ ソコンや 携 帯 情 報 端 末 から 自 在 にアクセス 可 能 2 HDーSDIカメラ 撮 影 した 映 像 を 非 圧 縮 の1.485Gbpsのデジタル 信 号 として 同 軸 ケーブルで 出 力 アナログカメラ 用 に 既 設 の 同 軸 ケーブルをそのま ま 用 いて 監 視 カメラの 高 精 細 デジタル 化 が 可 能
デジタル 監 視 カメラ 選 定 上 の 留 意 点 高 速 シャッター 撮 影 が 可 能 か? 低 照 度 環 境 下 では シャッター 速 度 が1/30 秒 まで 低 下 し 動 きの 速 い 被 写 体 がブレて 不 鮮 明 となる 最 低 被 写 体 照 度 が0.1ルクス 程 度 のデイナイトカメラ 又 は 高 感 度 カラーカ メラを 使 用 して 高 速 シャッター 撮 影 する プログレッシブスキャン 方 式 か? インタレーススキャン 方 式 では 1 枚 のフレーム 画 面 を2 枚 のフィールド 画 面 で 構 成 するが このフィールド 画 面 間 には 1/60 秒 の 時 間 差 がある 動 きの 速 い 被 写 体 にズレが 生 じて 不 鮮 明 となる プログレッシブスキャン 方 式 のカ メラを 使 用 して この 問 題 を 回 避 する
ターゲット 発 見 システム 成 功 の 要 諦 既 存 の 防 犯 カメラで 捉 えた 顔 画 像 : ほぼ 正 面 から 撮 影 した 緻 密 かつ 鮮 明 な 顔 画 像 であること Ⅰ Ⅱ では どのような 顔 画 像 であれば 良 いのか? その 裏 付 けとなるのは 次 の2つの 実 験 米 国 立 標 準 技 術 研 究 所 の 顔 認 識 技 術 に 係 るベンダーテスト (2014.5) 法 務 省 の 日 本 人 出 帰 国 審 査 における 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 (2014.11)
Ⅰ 米 国 立 標 準 技 術 研 究 所 の 顔 認 識 技 術 に 係 るベンダーテスト (NIST Interagency Report 8009より 引 用 ) 米 国 立 標 準 技 術 研 究 所 では 2000 年 2002 年 2006 年 2010 年 2013 年 に 顔 認 識 技 術 に 係 るベンダーテストを 実 施 最 新 の2013 年 のテストでは 次 の2 種 類 の 顔 画 像 を 用 いて 1 : Nの 顔 画 像 照 合 精 度 を 多 角 的 に 評 価 1 2 Mugshot 画 像 : 米 国 の 警 察 の 実 際 の 現 場 で デジタル スチルカメラにより 撮 影 我 が 国 の 被 疑 者 写 真 に 相 当 Webカメラ 画 像 : 米 国 の 国 境 警 備 隊 が 勾 留 した 中 南 米 からの 不 法 入 国 者 を Webカメラにより 撮 影 国 境 警 備 隊 職 員 の 指 示 に 基 づき Webカメラに 顔 を 向 け た 瞬 間 を 捉 えている
Mugshot 画 像 の 品 質 オリジナル 画 像 サイズ : 480 640 240 240 768 960 JPEG 圧 縮 後 の 画 像 情 報 量 : 平 均 48kB 目 間 画 素 数 : 平 均 107 画 素 で 標 準 偏 差 は40 画 素 ポーズ : 顔 を 真 正 面 から 捉 えた 画 像 が 多 いが 中 には 5 度 から10 度 ほど 左 右 を 向 いている 画 像 がある また 視 線 がカメラに 向 けられ ていない 画 像 が 少 なくない 照 明 : 適 切 な 照 明 のもとで 撮 影 されている 画 像 が 多 い
Webカメラ 画 像 の 品 質 オリジナル 画 像 サイズ : 240 240 JPEG 圧 縮 後 の 画 像 情 報 量 : 平 均 5.7kB 目 間 画 素 数 : 平 均 45 画 素 で 標 準 偏 差 は12 画 素 ポーズ : 顔 を 真 正 面 から 捉 えた 画 像 は 少 なく 5 度 から10 度 ほど 左 右 を 向 いている 画 像 や 下 から 見 上 げるように 撮 影 した 画 像 が 少 なく ない 照 明 : 殆 どが 室 内 照 明 下 で 撮 影 されているため 照 明 が 不 十 分 で 顔 に 影 ができている 画 像 が 大 半 である
Mugshot 画 像 とWebカメラ 画 像 の 検 索 精 度 の 比 較 試 験 1 Mugshot 画 像 で 検 索 (1) (2) 累 犯 者 1 万 人 について 2 番 目 に 新 しMugshot 画 像 1 万 枚 をターゲット 用 として ウォッチリストに 登 録 する 次 に この1 万 人 について 最 新 のMugshot 画 像 1 万 枚 を 検 索 用 として ウォッチリストを1 万 回 検 索 する 2 Webカメラ 画 像 で 検 索 (1) (2) MugshotとWebカメラ 双 方 で 撮 影 された1 万 人 につい て Mugshot 画 像 1 万 枚 をターゲット 用 として ウォッチ リストに 登 録 する 次 に この1 万 人 について Webカメラ 画 像 1 万 枚 を 検 索 用 として ウォッチリストを1 万 回 検 索 する
Mugshot 画 像 とWebカメラ 画 像 の 検 索 精 度 の 比 較 結 果 1 Mugshot 画 像 で 検 索 (1) (2) 他 人 誤 認 率 が 無 制 限 の 場 合 の 本 人 発 見 率 N 社 : 97% T 社 : 95% 他 人 誤 認 率 が0.01%の 場 合 の 本 人 発 見 率 N 社 : 90% 強 T 社 : 80% 程 2 Webカメラ 画 像 で 検 索 (1) (2) 他 人 誤 認 率 が 無 制 限 の 場 合 の 本 人 発 見 率 N 社 : 89% T 社 : 76% 他 人 誤 認 率 が0.01%の 場 合 の 本 人 発 見 率 N 社 : 70% 程 T 社 : 10% 程 検 索 用 顔 画 像 品 質 が 劣 化 した 場 合 には 識 別 精 度 の 低 下 はN 社 よりもT 社 の 方 が 大 きい 顔 画 像 品 質 に 対 する 識 別 特 性 は ベンダー 毎 に 大 きく 異 なる
米 国 立 標 準 技 術 研 究 所 の 顔 認 識 技 術 に 係 るベンダーテスト に 基 づく 考 察 * ターゲット 発 見 システムにおいて 0.01% 以 下 の 他 人 誤 認 率 と 90% 以 上 の 本 人 発 見 率 を 両 立 させるには * (1) Mugshot 画 像 品 質 に 相 当 する 緻 密 さ 鮮 明 さ 及 び 撮 影 角 度 が 必 要 である (2) Webカメラ 画 像 に 相 当 する 品 質 では 不 十 分 であり 緻 密 さ 鮮 明 さ 及 び 撮 影 角 度 について 以 下 の 改 善 が 必 要 高 精 細 デジタル 監 視 カメラを 用 いて 緻 密 さを 改 善 する 照 明 の 工 夫 により 又 はワイドダイナミックレンジ 機 能 付 きデジタル 監 視 カメラを 用 いて 鮮 明 さを 改 善 する 同 一 の 人 物 を 捉 えた 一 連 のライブ 映 像 の 中 から サン プリングの 手 法 により 照 合 に 適 した 顔 画 像 を 抽 出 して ターゲット 顔 画 像 との 照 合 に 供 する
Ⅱ 法 務 省 の 日 本 人 出 帰 国 審 査 にお ける 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 法 務 省 では 我 が 国 のICパスポートに 記 録 されている 顔 画 像 を 利 用 した 邦 人 の 出 帰 国 審 査 の 自 動 化 を 目 指 し 平 成 24 年 及 び 平 成 26 年 に 成 田 空 港 及 び 羽 田 空 港 で 実 証 実 験 を 実 施 平 成 26 年 の 実 験 では 下 記 の 静 止 中 撮 影 時 と 歩 行 中 撮 影 時 における 認 証 精 度 の 実 証 が 中 心 1 2 静 止 中 撮 影 実 験 : 旅 券 読 取 台 で 読 取 操 作 中 の 実 験 協 力 者 の 顔 を 旅 券 読 取 台 に 設 置 したビデオカメラでほぼ 正 面 から 撮 影 歩 行 中 撮 影 実 験 : 顔 照 合 エリアである 通 路 を 歩 行 中 の 実 験 協 力 者 の 顔 を 通 路 前 方 に 設 置 したビデオカメラで 撮 影 実 験 協 力 者 には ビデオカメラを 注 視 して 歩 行 するよ うに 依 頼 ビデオカメラにほぼ 正 対 した 顔 を 撮 影
1 静 止 中 撮 影 実 験 旅 券 読 取 台 で 読 取 作 業 中 の 顔 を 撮 影 して ICパスポート 内 の 顔 画 像 と 照 合 2 歩 行 中 撮 影 実 験 顔 照 合 エリアを 歩 行 中 の 顔 を 撮 影 し て ICパスポート 内 の 顔 画 像 と 照 合 日 本 人 出 帰 国 審 査 における 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 結 果 報 告 ( 法 務 省 平 成 26 年 11 月 18 日 )より 引 用
日 本 人 出 帰 国 審 査 における 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 の 結 果 (1/2) 実 証 実 験 に 参 加 したA 社 E 社 の 中 で 静 止 中 撮 影 実 験 にお ける 認 証 精 度 が 最 も 高 かったのはA 社 であり 歩 行 中 撮 影 実 験 における 認 証 精 度 が 最 も 高 かったのはD 社 他 人 誤 認 率 が0.001% 0.01% 0.1%となる 閾 値 を 設 定 した 場 合 における A 社 及 びD 社 の 本 人 見 逃 し 率 ( 本 人 発 見 率 の 補 数 )は 次 のとおり (A 社 の 本 人 見 逃 し 率 ) 静 止 中 撮 影 (0.001%)0.26% (0.01%)0.17% (0.1%)0.16% 歩 行 中 撮 影 (0.001%)1.24% (0.01%)0.55% (0.1%)0.33% (D 社 の 本 人 見 逃 し 率 ) 静 止 中 撮 影 (0.001%)0.54% (0.01%)0.27% (0.1%)0.03% 歩 行 中 撮 影 (0.001%)0.91% (0.01%)0.32% (0.1%)0.11%
日 本 人 出 帰 国 審 査 における 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 の 結 果 (2/2) A 社 の 歩 行 中 撮 影 時 の 本 人 見 逃 し 率 は 静 止 中 撮 影 時 と 比 べて 数 倍 の 悪 化 一 方 D 社 の 歩 行 中 撮 影 時 の 本 人 見 逃 し 率 は 静 止 中 撮 影 時 と 比 べて 数 割 の 悪 化 に 留 まり 静 止 中 撮 影 時 の 本 人 見 逃 し 率 に 優 れるA 社 を 凌 駕 カメラの 機 能 性 能 設 置 方 法 照 明 方 法 を 総 合 した 歩 行 中 撮 影 システムの 構 築 にD 社 は 成 功! システム 全 体 としての 識 別 精 度 の 向 上 には 顔 画 像 識 別 技 術 の 性 能 向 上 よりも 撮 影 シス テムの 性 能 向 上 の 方 が 遥 かに 効 果 的!
法 務 省 の 日 本 人 出 帰 国 審 査 における 顔 認 証 技 術 に 係 る 実 証 実 験 に 基 づく 考 察 * ターゲット 発 見 システムにおいて 0.01% 以 下 の 他 人 誤 認 率 と 90% 以 上 の 本 人 発 見 率 を 両 立 させるには * (1) 歩 行 中 撮 影 システムの 映 像 品 質 を 静 止 中 撮 影 システム の 映 像 品 質 相 当 に 改 善 する 高 感 度 で 高 精 細 なデジタル 監 視 カメラを 用 いて 緻 密 さ を 改 善 する 照 明 の 工 夫 により 又 はワイドダイナミックレンジ 機 能 付 きデジタル 監 視 カメラを 用 いて 鮮 明 さを 改 善 する (2) ターゲット 発 見 システムでは 監 視 カメラを 注 視 して 歩 行 す るように 依 頼 はできない 同 一 の 人 物 を 捉 えた 一 連 のライブ 映 像 の 中 から サン プリングの 手 法 により 照 合 に 適 した 顔 画 像 を 取 り 出 して ターゲット 顔 画 像 との 照 合 に 供 する
効 果 的 なターゲット 発 見 システムの 実 現 には 今 日 の 顔 画 像 識 別 技 術 の 照 合 精 度 と 照 合 速 度 は 十 分 に 実 用 水 準 識 別 アルゴリズムの 違 いにより 識 別 性 能 や 識 別 特 性 はベンダー 毎 に 異 なる 高 性 能 の 発 揮 に 必 要 な 顔 画 像 品 質 ( 緻 密 さ 鮮 明 さ 撮 影 角 度 など)は ベンダー 毎 に 異 なる この 点 に 注 意 が 必 要!
効 果 的 なターゲット 発 見 システムの 実 現 には 監 視 カメラ 側 の 工 夫 により 効 果 的 なシステムを 実 現 できる 今 日 の 顔 画 像 識 別 技 術 の 識 別 性 能 を 十 分 に 引 き 出 すには 監 視 カメラで 捉 える 顔 画 像 品 質 を ベンダー 毎 に 異 なる 識 別 特 性 に 合 わせることが 肝 要!
効 果 的 なターゲット 発 見 システムの 実 現 には 顔 画 像 識 別 技 術 と 監 視 カメラ 技 術 に 求 め る 性 能 要 件 を 個 別 に 規 定 するのではなく システム 全 体 を 捉 えて システムに 求 める 性 能 要 件 を 規 定 すること が 極 めて 重 要! 部 分 最 適 なコンセプト 全 体 最 適 なコンセプト!
部 分 最 適 化 から 全 体 最 適 化 へ これまでは 部 分 最 適 化 を 追 求 システムを 構 成 する 各 部 分 毎 に 最 適 化 を 図 れ ば 最 適 化 された 各 部 分 を 纏 め 上 げた 全 体 が 最 適 化 される? 技 術 革 新 が 緩 やかに 進 む 中 で 既 に 確 立 した 技 術 を 用 いてシステムを 構 成 する 場 合 には 部 分 最 適 化 の 積 み 上 げが 全 体 最 適 化 に 繋 がった
部 分 最 適 化 から 全 体 最 適 化 へ これからは 全 体 最 適 化 を 追 求 技 術 革 新 が 急 激 に 進 む 中 で 最 先 端 技 術 を 用 い てシステムを 構 成 する 場 合 には 部 分 最 適 化 の 積 み 上 げでは 全 体 最 適 化 には 繋 がらない 部 分 最 適 化 を 図 るのではなく システムの 目 的 を 見 据 えて システム 全 体 の 最 適 化 を 図 る ここが 価 格 と 技 術 の 両 面 での 競 争 原 理 を 働 かせるための 最 も 重 要 なポイント!
ターゲット 発 見 システムの 発 注 ターゲット 発 見 システムの 発 注 者 は 主 に 法 執 行 機 関 現 場 の 課 題 (ニーズ)は 掴 んで いるが 最 新 の 技 術 動 向 (シーズ)は 掴 んでい ない 現 場 の 課 題 が 最 新 の 技 術 で 解 決 できるか 分 からない 発 注 者 が 最 も 求 めることは 高 い 本 人 発 見 率 と 極 めて 低 い 他 人 誤 認 率 の 両 立 しか し 100%の 本 人 発 見 率 と0%の 他 人 誤 認 率 を 求 めても 実 現 は 不 可 能
発 注 者 のエンジニアリング の 必 要 性 発 注 者 が ターゲット 発 見 システムに100% の 本 人 発 見 率 と0%の 他 人 誤 認 率 を 求 めても 実 現 は 不 可 能 しかし 発 注 仕 様 書 には 実 現 可 能 な 性 能 要 件 を 数 値 で 示 す 必 要 どのような 性 能 要 件 数 値 であれば 実 現 可 能 か また その 性 能 要 件 数 値 で 現 場 のニーズ に 応 えられるのか 技 術 的 に 見 極 める 必 要 求 める 性 能 数 値 を 決 定 する 技 術 的 な 力 量 の 発 揮 が 発 注 者 のエンジニアリング
発 注 者 のエンジニアリング ** 零 戦 に 学 ぶ 発 揮 の 仕 方 **
技 術 革 新 が 著 しい 分 野 で 優 れた 特 注 品 を 創 り 出 すには 適 切 な 発 注 者 エンジニアリング が 欠 かせません!! 過 去 最 大 の 成 功 事 例 は 零 戦
零 戦 は 20 世 紀 の 世 界 地 図 を 塗 り 替 えた 純 国 産 の 工 業 製 品 昭 和 15 年 から 約 2 年 間 零 戦 は 欧 米 の 戦 闘 機 を 圧 倒 東 南 アジアから 欧 米 の 軍 事 力 を 駆 逐 第 二 次 大 戦 後 アジ アの 諸 国 が 欧 米 の 植 民 地 から 独 立
零 戦 は 20 世 紀 の 世 界 地 図 を 塗 り 替 えた 純 国 産 の 工 業 製 品 発 注 者 旧 日 本 海 軍 が ベンダー 航 空 機 メーカー に 求 めたのは 実 現 が 容 易 ではないが 不 可 能 ではない 高 性 能 理 想 的 な 発 注 者 エンジニアリング!
旧 日 本 海 軍 の 発 注 者 エンジニアリングは2 種 類 1 海 軍 で 詳 細 設 計 して 製 造 を 発 注 海 軍 航 空 技 術 廠 の 技 術 将 校 ( 大 学 の 航 空 工 学 科 出 身 )が 作 成 した 詳 細 設 計 図 ( 構 成 構 造 の 設 計 図 ) に 基 づき 航 空 機 メーカーに 製 造 を 発 注 艦 上 爆 撃 機 彗 星 陸 上 爆 撃 機 銀 河 2 海 軍 で 計 画 要 求 書 を 作 成 して 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 実 現 を 求 める 機 能 要 件 と 性 能 要 件 を 網 羅 した 計 画 要 求 書 を 海 軍 が 作 成 し 航 空 機 メーカーに 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 零 戦 一 式 陸 上 攻 撃 機 局 地 戦 闘 機 紫 電 改
1 海 軍 で 詳 細 設 計 して 製 造 を 発 注 海 軍 航 空 技 術 廠 の 技 術 将 校 ( 大 学 の 航 空 工 学 科 出 身 )が 作 成 した 詳 細 設 計 図 ( 構 成 構 造 の 設 計 図 )に 基 づき 航 空 機 メーカーに 製 造 を 発 注
詳 細 設 計 図 出 典 : Wikipedia
1 海 軍 で 詳 細 設 計 して 製 造 を 発 注 海 軍 航 空 技 術 廠 の 技 術 将 校 ( 大 学 の 航 空 工 学 科 出 身 )が 作 成 した 詳 細 設 計 図 ( 構 成 構 造 の 設 計 図 )に 基 づき 航 空 機 メーカーに 製 造 を 発 注 航 空 機 メーカーは 海 軍 の 詳 細 設 計 図 どおりに 製 造 すれば 良 い 海 軍 が 求 める 性 能 を 実 現 する 責 任 は 詳 細 設 計 を 行 った 海 軍 自 らに 在 る 社 内 研 究 開 発 と 同 じ
2 海 軍 で 計 画 要 求 書 を 作 成 して 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 実 現 を 求 める 機 能 要 件 と 性 能 要 件 を 網 羅 した 計 画 要 求 書 を 海 軍 が 作 成 し 航 空 機 メーカーに 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 零 戦
零 戦 の 計 画 要 求 書 (= 発 注 仕 様 書 ) 1. 用 途 : 掩 護 戦 闘 機 として 敵 軽 戦 闘 機 より 優 秀 な 空 戦 性 能 を 備 え 要 撃 戦 闘 機 として 敵 の 攻 撃 機 を 捕 捉 撃 滅 しうるもの 2. 最 大 速 力 : 高 度 4000mで270ノット 以 上 3. 上 昇 力 : 高 度 3000mまで3 分 30 秒 以 内 4. 航 続 力 : 正 規 状 態 公 称 馬 力 で1.2 乃 至 1.5 時 間 ( 高 度 3000m)/ 過 荷 重 状 態 落 下 増 槽 をつけて 高 度 3000mを 公 称 馬 力 で1.5 時 間 乃 至 2.0 時 間 巡 航 速 力 で6 時 間 以 上 5. 離 陸 滑 走 距 離 : 風 速 12m/ 秒 で70m 以 下 6. 着 陸 速 度 :58ノット 以 下 7. 滑 走 降 下 率 :3.5m/ 秒 乃 至 4m/ 秒 8. 空 戦 性 能 : 九 六 式 二 号 艦 戦 一 型 に 劣 らぬこと 9. 銃 装 :20mm 機 銃 2 挺 7.7mm 機 銃 2 挺 九 八 式 射 爆 照 準 器 10. 爆 装 :60kg 爆 弾 又 は30kg2 発 11. 無 線 機 : 九 六 式 空 一 号 無 線 電 話 機 ク 式 三 号 無 線 帰 投 装 置 12.その 他 の 装 置 : 酸 素 吸 入 装 置 消 化 装 置 など 13. 引 き 起 こし 強 度 : 荷 重 倍 数 7 安 全 率 1.8 出 典 : 戦 史 叢 書 95 海 軍 航 空 概 史
2 海 軍 で 計 画 要 求 書 を 作 成 して 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 実 現 を 求 める 機 能 要 件 と 性 能 要 件 を 網 羅 した 計 画 要 求 書 を 海 軍 が 作 成 し 航 空 機 メーカーに 詳 細 設 計 と 製 造 を 発 注 海 軍 が 求 める 性 能 を 実 現 する 責 任 は 詳 細 設 計 を 行 った 航 空 機 メーカーに 在 る 海 軍 は 最 先 端 の 技 術 動 向 と 現 場 が 抱 え る 課 題 を 踏 まえ 性 能 要 件 間 のトレードオ フ 関 係 も 考 慮 して 実 現 が 容 易 ではないが 不 可 能 ではない 計 画 要 求 書 を 作 成 した オープンイノベーションと 同 じ
零 戦 の 計 画 要 求 書 から 学 ぶべき 点 1 航 空 機 メーカーが 詳 細 設 計 する 上 で 必 要 十 分 となる 性 能 要 件 が 具 体 的 な 数 値 目 標 としてリストアップされている 2 発 動 機 出 力 翼 面 積 機 体 重 量 機 体 寸 法 など 詳 細 設 計 の 範 疇 については 一 切 言 及 していない 3 計 画 要 求 書 の 作 成 時 点 では 実 現 が 極 めて 困 難 と 思 われるほ どの 世 界 最 高 水 準 の 性 能 を 求 めている 4 計 画 要 求 書 の 2. 最 大 速 力 4. 航 続 力 及 び 8. 空 戦 性 能 については 互 いにトレードオフの 関 係 にあることをよく 踏 まえ て 実 現 が 不 可 能 ではないぎりぎりの 性 能 要 件 を 掲 げている 5 数 値 目 標 を 掲 げることが 困 難 な 8. 空 戦 性 能 については 計 画 要 求 書 の 作 成 時 点 において 空 戦 性 能 に 最 も 優 れていた 国 産 機 を 例 示 することにより 設 計 目 標 を 具 体 的 に 示 している
発 注 者 に 欠 かせない 技 術 的 な 力 量 シーズの 把 握 力 把 握 する 力 最 先 端 の 技 術 動 向 を ニーズの 把 握 力 今 日 の 技 術 を 用 いれ ば 解 決 できる 発 注 者 側 の 課 題 を 把 握 する 力 シーズとニーズのマッチング 力 課 題 解 決 に 適 する 技 術 を 選 択 し その 活 用 で 期 待 される 効 果 を 的 確 に 予 見 する 力 これが 発 注 者 のエンジニアリング 力
理 想 的 な 発 注 仕 様 書 (シーズとニーズのベストマッチング) 1. 用 途 : 掩 護 戦 闘 機 として 敵 軽 戦 闘 機 より 優 秀 な 空 戦 性 能 を 備 え 要 撃 戦 闘 機 として 敵 の 攻 撃 機 を 捕 捉 撃 滅 しうるもの 2. 最 大 速 力 : 高 度 4000mで270ノット 以 上 3. 上 昇 力 : 高 度 3000mまで3 分 30 秒 以 内 4. 航 続 力 : 正 規 状 態 公 称 馬 力 で1.2 乃 至 1.5 時 間 ( 高 度 3000m)/ 過 荷 重 状 態 落 下 増 槽 をつけて 高 度 3000mを 公 称 馬 力 で1.5 時 間 乃 至 2.0 時 間 巡 航 速 力 で6 時 間 以 上 5. 離 陸 滑 走 距 離 : 風 速 12m/ 秒 で70m 以 下 6. 着 陸 速 度 :58ノット 以 下 7. 滑 走 降 下 率 :3.5m/ 秒 乃 至 4m/ 秒 8. 空 戦 性 能 : 九 六 式 二 号 艦 戦 一 型 に 劣 らぬこと 9. 銃 装 :20mm 機 銃 2 挺 7.7mm 機 銃 2 挺 九 八 式 射 爆 照 準 器 10. 爆 装 :60kg 爆 弾 又 は30kg2 発 11. 無 線 機 : 九 六 式 空 一 号 無 線 電 話 機 ク 式 三 号 無 線 帰 投 装 置 12.その 他 の 装 置 : 酸 素 吸 入 装 置 消 化 装 置 など 13. 引 き 起 こし 強 度 : 荷 重 倍 数 7 安 全 率 1.8 出 典 : 戦 史 叢 書 95 海 軍 航 空 概 史
零 戦 が 成 功 した 最 大 の 秘 訣 正 に 理 想 的 な 発 注 者 エンジニアリング!! 発 注 者 である 旧 日 本 海 軍 は 1 最 先 端 の 技 術 動 向 と 現 場 が 抱 える 課 題 の 双 方 をよく 研 究 し 2 性 能 要 件 間 のトレードオフ 関 係 をよく 勘 案 し 3 実 現 が 決 して 容 易 ではないが 不 可 能 ではないぎりぎりの 性 能 要 件 をよく 見 究 めて 零 戦 の 計 画 要 求 書 を 作 成 した 零 戦 は 海 軍 による 理 想 的 な 発 注 者 エンジニアリング があったからこそ 受 注 メーカーが 詳 細 設 計 において 創 意 工 夫 を 凝 らすことができた 賜 物!
理 想 的 な 発 注 仕 様 書 を 作 成 するポイント 1 詳 細 設 計 に 欠 かせない 性 能 要 件 を 全 てリストアップ 性 能 要 件 間 のトレードオ フ 関 係 上 も 実 現 が 不 可 能 ではないこと 2 詳 細 設 計 には 踏 み 込 まない 踏 み 込 めばベンダー 側 の 設 計 自 由 度 を 狭 め 性 能 要 件 の 達 成 責 任 が 不 明 確 になる 恐 れ 3 事 前 に 概 要 設 計 書 を 作 成 して 発 注 者 側 の 意 志 を 統 一 概 要 設 計 書 には 1 現 状 の 問 題 点 2システムの 概 要 3 期 待 され る 効 果 の 三 点 を 一 読 して 判 るように 文 章 で 記 載
発 注 者 のエンジニアリング *ターゲット 発 見 システムに 向 けて*
ターゲット 発 見 システムの 実 現 に 向 けて 顔 画 像 識 別 技 術 を 用 いて 監 視 カメラのライブ 映 像 の 中 から ターゲット(テロリストや 指 名 手 配 犯 )の 顔 画 像 に 合 致 する 人 物 を 瞬 時 に 発 見 するシステム
価 格 と 技 術 の 両 面 での 競 争 原 理 を 働 かせて 費 用 対 効 果 に 優 れたターゲッ ト 発 見 システムを 実 現 するための 発 注 者 エンジニアリング の 具 体 例 ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 発 注 者 側 の 意 志 統 一 に 使 用 ターゲット 発 見 システムの 発 注 仕 様 書 価 格 と 技 術 の 両 面 での 競 争 入 札 に 使 用
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (1/5) 1 現 状 の 課 題 人 の 目 で 顔 を 識 別 してターゲット(テロリストや 指 名 手 配 犯 )を 発 見 する 捜 査 手 法 として 手 配 用 顔 写 真 を 記 憶 する 見 当 たり 捜 査 が 用 いられている しかし 長 年 にわたって 工 夫 と 経 験 を 積 んだ 熟 練 の 捜 査 員 であっても 出 会 った 瞬 間 に 見 分 けられるほどに 記 憶 できるのは 多 くても 数 百 人 分 の 顔 に 過 ぎない また 長 年 にわたる 経 年 変 化 や 整 形 手 術 などにより 顔 が 変 貌 した 場 合 には 別 人 の 印 象 となるため 見 当 たり 捜 査 による 発 見 は 困 難 となる さ らに 白 人 や 黒 人 の 顔 は 日 本 人 の 顔 ほどには 見 分 けが 付 け 難 いため 眼 鏡 や 髭 などによる 簡 易 な 変 装 であっても 見 当 たり 捜 査 による 発 見 は 困 難 と なる そこで 国 内 外 の 多 数 の 手 配 用 顔 写 真 を 識 別 の 対 象 とするとともに 顔 写 真 撮 影 時 点 以 降 における 顔 の 経 年 変 化 や 整 形 手 術 眼 鏡 や 髭 等 の 有 無 が 人 の 目 による 発 見 を 困 難 とする 問 題 点 を 抜 本 的 に 解 決 するため 近 年 にお ける 進 歩 発 展 が 著 しい 顔 画 像 識 別 技 術 と 監 視 カメラ 技 術 を 活 用 したターゲッ ト 発 見 システムの 実 現 が 期 待 されるところである ターゲット 発 見 システムは 監 視 カメラのライブ 映 像 の 中 から 人 物 の 顔 画 像 を 静 止 画 として 自 動 的 に 取 り 出 し 顔 画 像 識 別 技 術 を 用 いてターゲットの 顔
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (2/5) 1 現 状 の 課 題 ( 続 き) 画 像 と 即 時 に 照 合 し 合 致 した 場 合 にはターゲット 発 見 の 警 報 を 直 ちに 発 す るシステムである 効 果 的 なシステムとするためには 次 の 二 点 の 実 現 が 欠 かせない (1) 発 見 したターゲットを 取 り 逃 さないよう 監 視 カメラでターゲット 本 人 の 顔 画 像 を 捉 えてから ターゲット 発 見 の 警 報 を 発 するまでの 所 要 時 間 は 秒 の 単 位 であること (2) ターゲットではない 人 物 をターゲットとして 誤 認 しないよう 他 人 誤 認 率 を 極 力 低 く 抑 えると 同 時 に ターゲット 本 人 を 見 逃 さないよう 本 人 発 見 率 が 高 いこと ここで 他 人 誤 認 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 ではない 場 合 に システムがターゲットとして 誤 認 する 割 合 である また 本 人 発 見 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 である 場 合 に シ ステムがターゲットとして 識 別 する 割 合 である ターゲット 発 見 システムは 2001 年 以 降 欧 米 で 実 用 化 が 試 みられてきた が 用 いられた 顔 画 像 識 別 技 術 及 び 監 視 カメラ 技 術 双 方 の 性 能 が 今 日 と 比 べてかなり 低 かったため 他 人 誤 認 率 を 極 力 低 く 設 定 した 場 合 には 本 人 発 見 率 がほぼ 零 となり その 結 果 ターゲットを 全 く 発 見 できていない
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (3/5) 1 現 状 の 課 題 ( 続 き) しかし 今 日 の 顔 画 像 識 別 技 術 及 び 監 視 カメラ 技 術 双 方 の 性 能 は 2001 年 当 時 と 比 べて 飛 躍 的 に 向 上 している 緻 密 かつ 鮮 明 にほぼ 正 面 から 撮 影 し た 顔 画 像 であれば 数 十 年 の 経 年 変 化 表 情 の 違 い 整 形 手 術 眼 鏡 の 有 無 などが 影 響 して 人 の 目 には 全 く 別 人 の 印 象 を 与 えたとしても 発 見 したい ターゲット 本 人 であることを 瞬 時 に 看 破 できる 今 日 の 顔 画 像 識 別 技 術 では 監 視 カメラで 顔 画 像 を 緻 密 かつ 鮮 明 にほぼ 正 面 から 撮 影 できれば 他 人 誤 認 率 を 極 めて 低 く 抑 えた 上 での 高 い 本 人 発 見 率 が 実 現 するのである ところが 識 別 アルゴリズムがベンダー 各 社 毎 に 異 なるために 顔 画 像 識 別 技 術 の 識 別 性 能 及 び 識 別 特 性 は 各 社 一 様 ではない 即 ち 顔 画 像 識 別 技 術 がその 高 性 能 を 十 分 に 発 揮 するために 必 要 とする 緻 密 さ 鮮 明 さ 顔 の 撮 影 角 度 などの 顔 画 像 品 質 は ベンダー 各 社 毎 に 異 なっている このため 効 果 的 なターゲット 発 見 システムを 実 現 するには 顔 画 像 識 別 技 術 及 び 監 視 カメラ 技 術 のそれぞれについて 個 別 に 性 能 要 件 を 規 定 するので はなく 顔 画 像 識 別 技 術 と 監 視 カメラ 技 術 を 融 合 したシステム 全 体 について の 性 能 要 件 を 規 定 することが 求 められるところである
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (3/5) 2 システムの 概 要 本 システムは 顔 画 像 識 別 技 術 を 用 いて 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 と 発 見 したい 多 数 のターゲットの 顔 画 像 を 照 合 することにより 長 年 にわたる 経 年 変 化 や 整 形 手 術 眼 鏡 や 髭 等 の 変 装 による 影 響 を 受 けることなく 高 精 度 かつ 迅 速 にターゲットを 発 見 することを 目 的 とする このため 本 システムは 監 視 カメラ 顔 画 像 識 別 サーバ 警 報 表 示 装 置 を 通 信 回 線 で 接 続 して 構 成 する 監 視 カメラは ターゲットの 顔 画 像 との 照 合 に 供 する 顔 画 像 の 撮 影 に 用 いる 顔 画 像 識 別 サーバは 監 視 カメラで 撮 影 した 映 像 の 中 から ターゲットの 顔 画 像 との 照 合 に 適 する 顔 画 像 をサンプリング 等 の 手 法 で 取 り 出 すとともに 取 り 出 した 顔 画 像 と 事 前 登 録 したターゲットの 顔 画 像 との 照 合 に 用 いる 警 報 表 示 装 置 は 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 とターゲットの 顔 画 像 が 同 一 人 物 として 合 致 した 場 合 に 視 聴 覚 に 訴 える 警 報 を 発 するのに 用 いる また 本 システムは 監 視 カメラによる 撮 影 から 警 報 表 示 装 置 で 警 報 を 発 するまでの 一 連 の 動 作 を 自 動 的 に 行 う 本 システムは 本 システムを 設 置 する 環 境 下 において 電 気 的 機 械 的 な 性 能 劣 化 を 生 ずることなく 長 期 間 にわたり 連 続 して 運 用 できる 信 頼 性 を 確 保 す
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (4/5) 2 システムの 概 要 ( 続 き) る 本 システムは 発 見 したターゲットを 取 り 逃 さない 体 制 が 執 れるようにするた め 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 とターゲットの 顔 画 像 が 同 一 人 物 として 合 致 し た 場 合 に 警 報 表 示 装 置 で 警 報 を 発 するまでの 所 要 時 間 は 監 視 カメラが 当 該 顔 画 像 を 捉 えた 時 点 から 計 測 して5 秒 以 内 とする 本 システムは ターゲットではない 人 物 をターゲットとして 極 力 誤 認 しないよ うにすると 同 時 に ターゲット 本 人 を 高 い 確 率 で 発 見 するため 我 が 国 の 運 転 免 許 証 写 真 に 相 当 する 品 質 のターゲットの 顔 画 像 を1 万 枚 登 録 した 場 合 にお ける 本 システムの 照 合 精 度 として 0.01% 以 下 の 他 人 誤 認 率 において90% 以 上 の 本 人 発 見 率 であることとする ここで 他 人 誤 認 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 ではない 場 合 に システムがターゲットとして 誤 認 する 割 合 である また 本 人 発 見 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がター ゲット 本 人 である 場 合 に システムがターゲットとして 識 別 する 割 合 である
ターゲット 発 見 システムの 概 要 設 計 書 例 (6/6) 3 期 待 される 効 果 2 システムの 概 要 に 示 したターゲット 発 見 システムの 実 現 により 次 の 効 果 が 期 待 できる (1) 国 内 外 の 多 数 の 手 配 用 顔 写 真 を 発 見 したいターゲットとしてシステムに 登 録 できる (2) 手 配 用 顔 写 真 撮 影 時 点 以 降 における 顔 の 経 年 変 化 や 整 形 手 術 眼 鏡 や 髭 等 の 有 無 が 人 の 目 による 発 見 を 困 難 としている 問 題 点 を 解 決 できる (3) 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 とターゲットの 顔 画 像 が 同 一 人 物 として 合 致 し た 場 合 に 警 報 表 示 装 置 で 警 報 を 発 するまでの 所 要 時 間 は 監 視 カメラが 当 該 顔 画 像 を 捉 えた 時 点 から 計 測 して5 秒 以 内 としている このため 発 見 した ターゲットを 取 り 逃 さない 体 制 を 執 ることができる (4) 我 が 国 の 運 転 免 許 証 写 真 に 相 当 する 品 質 のターゲットの 顔 画 像 を1 万 枚 登 録 した 場 合 における 本 システムの 照 合 精 度 は 0.01% 以 下 の 他 人 誤 認 率 に おいて90% 以 上 の 本 人 発 見 率 であることとしている このため ターゲットでは ない 人 物 をターゲットとして 極 力 誤 認 しないようにすると 同 時 に ターゲット 本 人 を 高 い 確 率 で 発 見 できる
ターゲット 発 見 システムの 発 注 仕 様 書 例 (1/4) 1. 目 的 : 顔 画 像 識 別 技 術 を 用 いて 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 と 発 見 したいターゲットの 顔 画 像 を 照 合 することにより 長 年 にわ たる 経 年 変 化 や 整 形 手 術 眼 鏡 や 髭 等 の 変 装 による 影 響 を 受 け ることなく 高 精 度 かつ 迅 速 にターゲットを 発 見 する 2. 機 能 要 件 : (1) 構 成 : 監 視 カメラ 顔 画 像 識 別 サーバ 警 報 表 示 装 置 を 通 信 回 線 で 接 続 して 構 成 する (2) 監 視 カメラ : ターゲットの 顔 画 像 との 照 合 に 供 する 顔 画 像 を 撮 影 する (3) 顔 画 像 識 別 サーバ : 監 視 カメラで 撮 影 した 映 像 の 中 から ターゲットの 顔 画 像 との 照 合 に 適 した 顔 画 像 をサンプリング 等 の 手 法 で 取 り 出 す 次 に 取 り 出 した 顔 画 像 を 用 いて 事 前 に 登 録 したターゲットの 顔 画 像 と 照 合 する (4) 警 報 表 示 装 置 : 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 とターゲットの 顔 画
ターゲット 発 見 システムの 発 注 仕 様 書 例 (2/4) 像 が 同 一 人 物 として 合 致 した 場 合 に 視 聴 覚 に 訴 える 警 報 を 発 する (5) 動 作 : 監 視 カメラによる 撮 影 から 警 報 表 示 装 置 による 警 報 の 発 出 までの 一 連 の 動 作 を 自 動 的 に 行 う 3. 性 能 要 件 : (1) 信 頼 性 の 確 保 : 本 システムは 本 システムを 設 置 する 環 境 下 において 電 気 的 機 械 的 な 性 能 劣 化 を 生 ずることなく 長 期 間 に わたり 連 続 して 運 用 できること (2) 照 合 速 度 : 監 視 カメラで 捉 えた 顔 画 像 とターゲットの 顔 画 像 が 同 一 人 物 として 合 致 した 場 合 に 警 報 表 示 装 置 で 警 報 を 発 するま での 所 要 時 間 は 監 視 カメラが 当 該 顔 画 像 を 捉 えた 時 点 から 計 測 して5 秒 以 内 とすること (3) 照 合 精 度 : 我 が 国 の 運 転 免 許 証 写 真 に 相 当 する 品 質 のター ゲットの 顔 画 像 を1 万 枚 登 録 した 場 合 の 照 合 精 度 は 0.01% 以 下
ターゲット 発 見 システムの 発 注 仕 様 書 例 (3/4) の 他 人 誤 認 率 において90% 以 上 の 本 人 発 見 率 とすること ここで 他 人 誤 認 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 で はない 場 合 に 本 システムがターゲットとして 誤 認 する 割 合 であり 本 人 発 見 率 とは 監 視 カメラが 捉 えた 顔 画 像 がターゲット 本 人 で ある 場 合 に 本 システムがターゲットとして 識 別 する 割 合 である 4. 設 置 工 事 : (1) 事 前 承 認 : 本 システムの 設 置 工 事 に 先 立 ち システムの 各 構 成 要 素 の 詳 細 各 構 成 要 素 の 設 置 の 工 法 及 び 工 程 を 明 記 した 承 認 図 書 を 作 成 して 発 注 者 の 承 認 を 得 ること 各 構 成 要 素 の 設 置 場 所 は 別 添 する 現 場 の 見 取 り 図 及 び 現 場 の 写 真 に 示 す (2) 実 施 上 の 留 意 事 項 : 本 システムの 設 置 工 事 は 既 設 物 等 に 損 害 を 与 えないように また 第 三 者 に 危 害 を 及 ぼさないように 十 分 に 安 全 を 確 保 して 実 施 すること (3) 竣 工 検 査 : 設 置 工 事 の 終 了 後 発 注 者 は 本 仕 様 書 及 び 承
ターゲット 発 見 システムの 発 注 仕 様 書 例 (4/4) 認 図 書 に 基 づき 検 査 を 行 う 検 査 に 必 要 な 準 備 は 全 て 受 注 者 が 行 うこと 検 査 において 不 備 が 明 らかとなった 場 合 には 受 注 者 は 速 やかに 改 善 し 再 度 検 査 を 受 けること
発 注 者 のエンジニアリング が 大 事 です! * 費 用 対 効 果 に 優 れたターゲッ ト 発 見 システムの 実 現 には* 一 般 競 争 入 札 時 に 価 格 と 技 術 の 両 面 で 競 争 原 理 を 働 かせることが 必 要 です この 鍵 を 握 るのが 発 注 仕 様 書 です
Ⅰ 部 分 最 適 化 から 全 体 最 適 化 へ これからは 全 体 最 適 化 を 追 求 技 術 革 新 が 急 激 に 進 む 中 で 最 先 端 技 術 を 用 い てシステムを 構 成 する 場 合 には 部 分 最 適 化 の 積 み 上 げでは 全 体 最 適 化 には 繋 がらない 部 分 最 適 化 を 図 るのではなく システムの 目 的 を 見 据 えて システム 全 体 の 最 適 化 を 図 る ここが 価 格 と 技 術 の 両 面 での 競 争 原 理 を 働 かせるための 最 も 重 要 なポイント!
Ⅱ 概 要 設 計 書 で 組 織 内 の 意 志 を 統 一 いきなり 発 注 仕 様 書 を 作 成 したのでは 実 現 を 目 指 すシステムの 意 義 目 的 システムの 実 現 により 期 待 される 効 果 について 発 注 者 側 の 組 織 内 で 認 識 が 統 一 されず 齟 齬 を 来 す 恐 れ 発 注 仕 様 書 の 作 成 に 先 立 ち 概 要 設 計 書 を 作 成 して 組 織 内 の 意 志 統 一 を 図 る 概 要 設 計 書 は 1 現 状 の 問 題 点 2システムの 概 要 3 期 待 される 効 果 の 三 点 について 一 読 すれば 理 解 が 得 られるように 簡 潔 明 瞭 な 文 章 で 作 成 する
Ⅲ 価 格 と 技 術 の 両 面 で 競 争 原 理 が 働 く 発 注 仕 様 書 の 作 成 詳 細 設 計 に 欠 かせない 性 能 要 件 を 漏 れなくリ ストアップすること 性 能 要 件 に 掲 げる 具 体 的 な 数 値 目 標 については 性 能 要 件 間 にトレードオ フの 関 係 が 生 じる 場 合 においても 達 成 が 不 可 能 で はない 数 値 とすること 詳 細 設 計 には 踏 み 込 まないこと 踏 み 込 んだ 場 合 には 受 注 者 側 の 設 計 上 の 自 由 度 を 狭 め るとともに 性 能 要 件 に 掲 げた 数 値 目 標 の 達 成 責 任 の 所 在 が 不 明 確 となる 恐 れが 生 じる
平 成 28 年 7 月 発 注 者 のエンジニアリング 零 戦 とターゲット( 指 名 手 配 犯 ) 発 見 システムをモデルとして 澤 田 雅 之 技 術 士 事 務 所 ( 電 気 電 子 部 門 ) 所 長 終 澤 田 雅 之