スウェーデン 企 業 におけるワーク ライフ バランス 調 査 ----- 従 業 員 の 育 児 休 業 にどう 対 応 しているか 1 スウェーデンの 育 児 休 業 制 度 と 取 得 状 況 (1)スウェーデンの 育 児 休 業 制 度 (イ) 育 児 休 業 制 度 の 概 要 育 児 休 業 は 両 親 合 わせて 480 労 働 日 ( 約 1 年 10 ヶ 月 に 相 当 ) 取 得 できる 両 親 保 険 によって 休 業 直 前 の 8 割 の 所 得 を 390 労 働 日 ( 約 1 年 半 に 相 当 )にわ たり 支 給 される 残 りの 90 日 は 日 額 60 クローナ( 約 860 円 ) 支 給 される 両 親 保 険 の 財 源 は 事 業 主 が 支 払 う 社 会 保 険 拠 出 ( 支 払 い 給 与 の 2.20)である (ロ) 企 業 による 独 自 の 上 乗 せ スウェーデンの 企 業 等 では 両 親 保 険 から 支 払 われる 8 割 の 公 的 所 得 補 償 に 上 乗 せして 9 割 あるいはそれ 以 上 の 所 得 補 償 としている 企 業 等 も 24.4ある 特 に 従 業 員 が 50 人 以 上 の 民 間 企 業 と 公 的 機 関 では 約 3 割 の 企 業 で 所 得 補 償 の 上 乗 せ 制 度 の 導 入 が 進 んでいる 図 表 1 育 児 休 業 中 の 所 得 補 償 (80)への 上 乗 せ( 経 営 形 態 別 ) 全 体 民 間 企 業 (10-49 人 ) 民 間 企 業 (50 人 以 上 ) 公 的 機 関 はい 24.4 9.8 31.2 29.5 いいえ 90.2 75.6 68.8 70.5 ワーク ライフ バランス(work-life balance)とは 近 年 OECD や 諸 外 国 で 提 唱 されてい る 概 念 で 職 業 生 活 における 各 段 階 において 仕 事 の 時 間 と 生 活 の 時 間 ( 家 庭 生 活 地 域 活 動 学 習 等 )をさまざまに 組 み 合 わせ 調 和 のとれた 働 き 方 ができるようにすることである 仕 事 と 生 活 の 調 和 と 訳 されることもある 1
(ハ) 上 乗 せの 程 度 所 得 補 償 の 上 乗 せ 制 度 を 導 入 している 企 業 のうち 最 大 で 90の 所 得 補 償 としていると ころが 約 8 割 を 占 めるが 最 大 で 100 以 上 補 償 している 企 業 も 約 1 割 存 在 する 図 表 2 80 以 上 の 上 乗 せ 補 償 の 割 合 ( 企 業 等 調 査 ) 最 大 で90まで 最 大 で100まで 最 大 で100 以 上 81.0 8.6 10.5 全 体 61.5 23.1 民 間 企 業 (10-49 人 ) 85.7 民 間 企 業 (50 人 以 上 ) 80.6 公 的 機 関 3.6 11.1 15.4 10.7 8.3 (2) 取 得 状 況 (イ) 育 児 休 業 取 得 率 民 間 企 業 に 勤 務 する 女 性 でも 84.0の 人 が 育 児 休 業 を 取 得 しており 公 的 部 門 (89.3) との 差 はほとんどない 男 性 でも 民 間 企 業 公 的 機 関 どちらの 場 合 でも 約 8 割 が 育 児 休 業 を 取 得 している 図 表 3 育 児 休 業 取 得 率 ( 官 民 別 男 女 別 )( 従 業 員 調 査 ) 男 性 女 性 民 間 企 業 公 的 機 関 民 間 企 業 公 的 機 関 84.0 89.3 79.2 75.7 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 () ( 参 考 ) 日 本 の 育 児 休 業 取 得 率 日 本 の 民 間 企 業 で 働 く 女 性 の 育 児 休 業 取 得 率 は 女 性 73.1 男 性 0.44 ( 厚 生 労 働 省 平 成 15 年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 ) 2
(ロ) 育 児 休 業 取 得 期 間 育 児 休 業 取 得 期 間 は 女 性 の 場 合 民 間 企 業 と 公 的 機 関 との 間 で 差 はほとんどない 男 性 の 場 合 は 公 的 機 関 の 方 が 民 間 企 業 よりも 育 児 休 業 取 得 期 間 が 長 い 傾 向 が 見 られる 図 表 4 育 児 休 業 取 得 日 数 ( 官 民 別 男 女 別 )( 企 業 等 調 査 ) 男 性 女 性 民 間 企 業 公 的 機 関 民 間 企 業 公 的 機 関 1 年 以 上 6-11ヶ 月 3-5ヶ 月 1ヶ 月 2.7 1.6 4.3 69.4 22.1 1.0 2ヶ 月 70.1 20.6 6.2 2.1 1 年 以 上 6-11ヶ 月 3-5ヶ 月 2ヶ 月 1ヶ 月 11.6 30.2 22.9 33.9 1.4 6.0 16.4 38.8 19.4 19.4 0 20 40 60 80 100 ( 参 考 ) 日 本 の 女 性 の 育 児 休 業 取 得 期 間 女 性 の 育 児 休 業 取 得 期 間 は 10 ヶ 月 ~12 ヶ 月 未 満 が 41.4と 最 も 多 かった ( 厚 生 労 働 省 平 成 14 年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 ) (ハ) 民 間 企 業 の 役 員 中 間 管 理 職 の 女 性 も 8 割 以 上 が 育 児 休 業 を 取 得 しており 役 職 によ る 差 はない また ホワイトカラーとブルーカラーとの 間 に 大 きな 差 はない したがって 育 児 休 業 の 取 得 は 一 部 の 職 種 のみということはない これは 男 性 についても 同 様 である 取 得 日 数 も 同 じ 性 別 の 中 では 役 職 による 差 は 大 きくないが 女 性 では 管 理 職 に 就 いてい ない 従 業 員 の 方 が 長 い 傾 向 が 見 られる 図 表 5 育 児 休 業 取 得 率 ( 役 職 別 男 女 別 官 民 別 )( 従 業 員 調 査 ) 役 員 中 間 管 理 職 88.2 民 間 企 業 男 性 女 性 ホワイトカラー ブルーカラー 役 員 中 間 管 理 職 ホワイトカラー 87.5 79.7 83.3 80.0 ブルーカラー 77.1 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 () 3
図 表 6 育 児 休 業 取 得 日 数 ( 役 職 別 男 女 別 )( 企 業 等 調 査 ) 民 間 企 業 女 性 役 員 女 性 中 間 管 理 職 その 他 の 女 性 社 員 男 性 役 員 男 性 中 間 管 理 職 その 他 の 男 性 社 員 1 年 以 上 6-11ヶ 月 3-5ヶ 月 2ヶ 月 2.4 58.3 31.0 7.1 1.2 67.1 23.3 1.4 2.7 5.5 74.4 18.3 2.7 3.2 1.4 1 年 以 上 6-11ヶ 月 3-5ヶ 月 2ヶ 月 1ヶ 月 2.9 8.7 26.8 23.9 37.7 1.7 10.8 33.3 24.2 30.0 0.4 13.6 30.6 21.7 33.6 0 20 40 60 80 100 2 職 場 における 対 応 (イ) 代 替 要 員 の 確 保 従 業 員 が 育 児 休 業 を 取 得 した 場 合 の 職 場 の 対 応 をみると 臨 時 契 約 社 員 を 雇 用 するとい う 企 業 が 4 分 の 3 を 占 め 空 席 を 現 在 いる 人 員 だけで 対 応 するよりも 新 たな 社 員 を 雇 用 して 対 応 する 場 合 が 多 い 図 表 7 育 児 休 業 中 の 人 員 の 空 きへの 対 応 ( 企 業 等 調 査 ) 複 数 回 答 他 のセクションからの 異 動 臨 時 契 約 社 員 を 雇 う 他 の 従 業 員 の 一 時 的 昇 進 業 務 を 分 担 する その 他 2.1 19.2 21.9 54.2 74.4 4
( 参 考 ) 日 本 での 育 児 休 業 中 の 人 員 の 空 きへの 対 応 日 本 では 派 遣 労 働 者 やアルバイトを 代 替 要 員 として 雇 用 する 場 合 は 39.7である また 代 替 要 員 の 補 充 を 行 わず 同 じ 部 門 の 他 の 社 員 で 対 応 する 場 合 が 51.7を 占 める ( 厚 生 労 働 省 平 成 14 年 度 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 ) ( 参 考 図 表 ) 育 児 休 業 取 得 者 があった 場 合 の 対 応 ( 複 数 回 答 ) 代 替 要 員 の 補 充 を 行 わず 同 じ 部 門 の 他 の 社 員 で 対 応 51.7 他 の 部 門 又 は 他 の 事 業 所 からの 異 動 19.4 派 遣 労 働 者 やアルバイトを 雇 用 39.7 その 他 5.3 0 10 20 30 40 50 60 () なお 我 が 国 の 現 行 法 においては 従 業 員 が 育 児 休 業 を 取 得 する 場 合 育 児 休 業 に 係 る 給 付 は 雇 用 保 険 から 支 給 され 社 会 保 険 料 も 事 業 主 被 用 者 とも 支 払 い 免 除 となるため 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 する 労 働 費 用 は 原 則 としてかからない しかしながら 現 時 点 で 我 が 国 では 社 外 からの 雇 用 による 対 応 が 少 ない 背 景 には 以 下 のような 事 情 があると 推 測 される (a) 個 々 人 の 仕 事 の 範 囲 が 不 明 瞭 であったり マニュアル 化 されていないために 派 遣 や 契 約 社 員 等 が 直 ちに 対 応 しにくい 状 況 にある 場 合 があること (b) 時 間 外 勤 務 手 当 の 割 増 賃 金 率 が 25と 国 際 的 にみて 低 い 水 準 にあることや いわゆる サービス 残 業 の 存 在 のため 新 たな 人 員 を 雇 い 入 れるよりも 既 にいる 従 業 員 の 時 間 外 勤 務 によって 対 応 した 方 がコスト 面 で 割 安 であること (c) まだ 個 々の 職 場 では 育 児 休 業 取 得 の 事 例 が 少 ないため とりあえず 現 員 で 対 応 するこ とが 可 能 である 場 合 もあること 5
(ロ) 代 替 要 員 への 円 滑 な 引 継 ぎ 後 任 者 への 引 継 ぎ 方 法 は 対 面 で 行 う 場 合 がほとんどである また 約 7 割 の 企 業 が 後 任 者 への 訓 練 や 研 修 は 十 分 に 行 われていると 考 えている 育 児 休 業 に 入 った 後 も その 代 替 要 員 との 間 で 電 話 電 子 メール 等 で 連 絡 を 取 り 合 っていることが 多 い 図 表 8 後 任 者 への 訓 練 や 研 修 などは 十 分 に 行 われているか( 企 業 等 調 査 ) はい 69.9 いいえ 30.1 ( 注 ) 育 児 休 業 のための 人 員 の 空 きへの 対 処 法 は 他 のセクションからの 移 動 臨 時 契 約 社 員 を 雇 う 他 の 従 業 員 の 一 時 的 昇 進 と 回 答 した 場 合 のみ 図 表 9 育 児 休 業 中 の 従 業 員 と 臨 時 従 業 員 との 通 常 連 絡 の 有 無 ( 企 業 等 調 査 ) はい 69.1 いいえ 30.9 注 : 育 児 休 暇 のための 人 員 の 空 きへの 対 処 法 は 他 のセクションからの 移 動 臨 時 契 約 社 員 を 雇 う 他 の 従 業 員 の 一 時 的 昇 進 と 回 答 した 場 合 のみ 6
(ハ) 他 の 従 業 員 の 負 担 感 このため 自 分 が 育 児 休 業 を 取 得 した 際 同 僚 の 業 務 負 担 が 増 えなかったという 者 が 68.4を 占 める 一 方 で 同 僚 の 負 担 が 増 えたと 感 じる 人 も 約 3 割 いるが 実 際 に 不 満 を 言 われた 者 はほとんどいない また 育 児 休 業 を 取 得 した 者 の 約 9 割 が 育 児 休 業 取 得 につ いて 同 僚 や 雇 用 主 との 間 で 人 間 関 係 での 困 難 を 感 じたことはないとしている 図 表 10 育 児 休 業 取 得 による 同 僚 への 負 担 ( 従 業 員 調 査 ) はい 同 僚 が 不 満 を 言 っていた 誰 も 不 満 を 言 わなかったが 負 担 は 増 えただろう 全 体 3.4 28.2 68.4 男 性 2.5 41.7 いいえ 負 担 は 増 えなかった 55.9 女 性 3.9 20.4 75.6 0 20 40 60 80 100 図 表 11 育 児 休 業 取 得 による 同 僚 や 雇 用 主 との 人 間 関 係 での 困 難 の 有 無 ( 従 業 員 調 査 ) はい 同 僚 との 間 で 3.2 はい 雇 用 主 との 間 で 9.9 いいえ 87.9 ( 参 考 ) 職 場 で 育 児 休 業 をとりやすい 雰 囲 気 ( 日 本 ) 日 本 では 育 児 休 業 を 取 得 しなかった 理 由 として 43.0の 人 が 職 場 の 雰 囲 気 を 40.2の 人 が 経 済 的 に 苦 しくなる を 挙 げている( 複 数 回 答 ) ( 労 働 省 女 性 局 育 児 介 護 を 行 う 労 働 者 の 生 活 と 就 業 の 実 態 等 に 関 する 調 査 (2000 年 )) また 日 本 では 職 場 で 育 児 休 業 を どちらかといえばとりにくい 雰 囲 気 と 感 じて いる 人 が 女 性 が 取 得 する 場 合 で 22.6 男 性 が 取 得 する 場 合 で 52.2いる ( 日 本 労 働 研 究 機 構 育 児 や 介 護 と 仕 事 の 両 立 に 関 する 調 査 (2003 年 )) 7
(ニ) 育 児 休 業 取 得 に 対 する 評 価 このため 育 児 休 業 取 得 に 対 する 評 価 は 非 常 に 肯 定 的 肯 定 的 を 合 わせると ど の 役 職 においても 9 割 を 超 えている 男 女 間 でも 大 きな 差 はない 図 表 12 育 児 休 業 取 得 に 対 する 評 価 ( 企 業 等 調 査 ) 非 常 に 肯 定 的 役 員 ( 公 的 機 関 ) 役 員 ( 民 間 企 業 ) 中 間 管 理 職 ( 公 的 機 関 ) 中 間 管 理 職 ( 民 間 企 業 ) 肯 定 的 否 定 的 2.81.4 35.4 60.4 非 常 に 6.3 否 定 的 21.0 72.2 1.1 0.6 30.3 67.4 7.0 20.6 72.0 0.4 女 性 従 業 員 ( 公 的 機 関 ) 女 性 従 業 員 ( 民 間 企 業 ) 男 性 従 業 員 ( 公 的 機 関 ) 男 性 従 業 員 ( 民 間 企 業 ) 38.0 33.8 26.7 17.2 62.0 64.7 71.8 75.6 1.5 0.8 0.8 6.9 0.3 (ホ) 育 児 休 業 取 得 による 差 別 また 育 児 休 業 取 得 により 雇 用 主 からの 差 別 を 受 けた 人 はほとんどいない 自 分 やパー トナーが 実 際 に 差 別 を 受 けた 人 は 5に 満 たない 図 表 13 育 児 休 業 取 得 による 雇 用 主 からの 差 別 の 経 験 ( 従 業 員 調 査 ) はい 私 と 私 のパートナーが 差 別 を 受 けたことがあります 総 数 女 性 男 性 2.9 はい 差 別 を 受 けた 女 性 従 業 員 の 話 を 聞 いたことがありますが 個 人 的 には 私 は 差 別 を 受 けたことがありません 8.5 3.6 11.1 1.9 5.0 88.6 85.2 93.0 いいえ 8
3 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 する 対 応 (イ) 育 児 休 業 中 の 人 事 評 価 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 する 人 事 評 価 は 行 わないという 企 業 が 約 7 割 を 占 める 特 別 な 考 慮 が 行 われる 場 合 も 約 1 割 ある 一 方 で マイナスに 評 価 するという 企 業 は 皆 無 に 等 し い 図 表 14 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 する 人 事 評 価 ( 企 業 等 調 査 ) 特 別 な 考 慮 が 払 われる 他 の 従 業 員 と 同 様 に 扱 う 評 価 は 行 なわない マイナスの 評 価 がされる 18.1 9.5 72.0 0.4 (ロ) 昇 進 昇 格 への 影 響 育 児 休 業 を 取 得 しても 昇 進 昇 格 等 での 差 はないと 考 える 企 業 は 非 常 にそう 思 う そ う 思 う をあわせると 85を 超 える 従 業 員 でそのように 考 える 人 は 約 65であり 企 業 よりは 低 い 割 合 だが 多 数 を 占 める 育 児 休 業 の 取 得 後 に 仮 に 昇 進 昇 格 等 で 遅 れたとしても 後 で 取 り 戻 す 機 会 があると 考 える 企 業 の 割 合 も 9 割 近 い 従 業 員 でも 70 以 上 の 人 がそのように 考 えており キャリア 形 成 上 の 影 響 はないと 考 える 企 業 が 多 く 従 業 員 の 大 多 数 も 同 様 の 認 識 をしている 図 表 15 育 児 休 業 を 取 得 しても 昇 進 昇 格 等 での 差 はない と 考 える 人 の 割 合 非 常 にそう 思 う そう 思 う 50.5 35.8 どちらともいえない 決 してそう 思 わない そう 思 わない 7.4 4.2 2.1 企 業 等 調 査 34.6 30.8 12.8 14.1 7.7 従 業 員 調 査 9
図 表 16 育 児 休 業 を 取 得 後 に 仮 に 昇 進 昇 格 等 で 遅 れたとしても 後 で 取 り 戻 す 機 会 が ある と 考 える 人 の 割 合 決 してそう 思 わない どちらともいえない 非 常 にそう 思 う そう 思 う そう 思 わない 51.1 37.2 7.4 3.1 1.2 企 業 等 調 査 従 業 員 調 査 32.9 40.5 15.2 6.3 5.1 (ハ) 育 児 休 業 中 の 情 報 提 供 また 育 児 休 業 中 の 従 業 員 が 電 子 メールや 社 内 イントラネットへのアクセス 等 を 通 じて 仕 事 に 関 する 情 報 を 得 ることができるようにしている 企 業 が 約 4 割 ある 図 表 17 育 児 休 業 中 の 従 業 員 が 情 報 伝 達 技 術 (IT)により 仕 事 に 関 する 情 報 を 得 られるか ( 企 業 等 調 査 ) はい いいえ 42.6 57.4 4 職 場 復 帰 後 の 仕 事 と 育 児 の 両 立 の 見 通 しのたちやすさ (イ) 育 児 休 業 後 の 配 属 先 は 元 の 職 場 である 場 合 がほとんどである 支 社 や 子 会 社 へ 配 属 さ れることはほとんどない 図 表 18 育 児 休 業 取 得 後 の 従 業 員 の 配 属 先 元 の 配 属 先 複 数 回 答 企 業 等 調 査 5.4 1.2 1.4 あまり 業 務 がハードではない 部 署 への 配 属 支 社 関 連 会 社 子 会 社 など その 他 99.0 従 業 員 調 査 2.7 2.0 1.7 95.8 10
(ロ) フレックスタイム 制 度 フレックスタイム 制 度 が 企 業 全 体 の 約 8 割 に 導 入 されており よく 利 用 されている 場 合 も 半 数 を 超 える 従 業 員 50 人 以 上 の 民 間 企 業 公 的 機 関 の 方 が 小 規 模 の 企 業 と 比 較 して 制 度 が 導 入 されており よく 利 用 もされている また 勤 務 時 間 短 縮 制 度 を 利 用 したことがある 人 は 女 性 で 4 割 程 度 である 図 表 19 フレックスタイム 制 度 の 普 及 率 及 び 利 用 状 況 ( 企 業 等 調 査 ) 制 度 があり よく 利 用 されている 制 度 はあるが あまり 利 用 されていない 制 度 はない 全 体 52.6 27.1 20.2 民 間 企 業 (10-49 人 ) 32.2 34.2 33.6 民 間 企 業 (50 人 以 上 ) 59.2 24.4 16.4 公 的 機 関 63.9 23.8 12.2 図 表 20 勤 務 時 間 短 縮 制 度 の 利 用 経 験 (1~8 歳 までの 子 どもを 持 つ 従 業 員 に 対 して) はい いいえ 全 体 27.1 72.9 女 性 40.2 59.8 男 性 7.4 92.6 ( 注 ) 両 親 休 暇 法 により 1 歳 半 から 8 歳 もしくは 小 学 校 1 年 終 了 まで 労 働 時 間 を 4 分 の 1 短 縮 できる 権 利 が 認 められている 11
(ハ) テレワーク 制 度 ( 情 報 通 信 技 術 を 利 用 した 場 所 時 間 にとらわれない 働 き 方 )も 56.0 の 企 業 で 導 入 されている 約 半 数 の 従 業 員 がこの 制 度 を 活 用 しており 利 用 経 験 率 に 男 女 間 で 差 はない 図 表 21 テレワーク 制 度 の 有 無 ( 企 業 等 調 査 ) はい いいえ 56.0 44.0 0 20 40 60 80 100 図 表 22 テレワーク 制 度 の 利 用 経 験 ( 従 業 員 調 査 ) はい いいえ 全 体 男 性 49.4 50.5 50.6 49.5 女 性 48.1 51.9 (ニ) 有 給 休 暇 の 取 得 率 年 次 有 給 休 暇 ( 法 定 では 年 25 日 付 与 )の 取 得 率 は 70 以 上 取 得 している 人 が 男 女 ともに 8 割 を 超 える 図 表 23 有 給 休 暇 ( 法 定 を 超 える 部 分 も 含 む)の 取 得 率 ( 従 業 員 調 査 ) ほぼ100 70~90 50~69 50 以 下 平 均 44.8 39.5 7.5 8.2 総 数 83.8 49.4 38.1 5.4 7.1 女 性 85.6 39.1 41.3 10.1 9.4 男 性 81.5 ( 参 考 ) 日 本 の 有 給 休 暇 の 取 得 率 日 本 では 年 次 有 給 休 暇 の 平 均 的 な 付 与 日 数 ( 繰 越 日 数 は 含 まない)は 18.0 日 その うち 実 際 に 取 得 した 日 数 は 8.5 日 で 取 得 率 は 47.4である ( 厚 生 労 働 省 就 労 条 件 総 合 調 査 (2004 年 )) 12
(ホ) 育 児 休 業 取 得 による 不 安 感 こうしたことから 従 業 員 は 民 間 企 業 公 的 機 関 ともに 職 場 復 帰 後 の 働 き 方 について 大 きな 不 安 をもつことはなく 出 産 前 に 仕 事 を 辞 めたりすることはない 図 表 24 育 児 休 業 取 得 への 不 安 の 有 無 ( 性 別 / 従 業 員 調 査 ) はい いいえ 女 性 6.2 93.8 男 性 7.2 92.8 図 表 25 育 児 休 業 取 得 への 不 安 の 有 無 ( 経 営 形 態 別 / 従 業 員 調 査 ) はい いいえ 民 間 企 業 7.0 93.0 公 的 機 関 6.7 93.3 ( 参 考 ) 日 本 の 女 性 の 出 産 前 後 の 就 業 状 況 日 本 では 出 産 前 に 就 業 していた 女 性 の 7 割 弱 が 仕 事 を 辞 めている ( 厚 生 労 働 省 第 1 回 21 世 紀 出 生 児 縦 断 調 査 ( 平 成 14 年 )) 13
5 企 業 業 績 への 影 響 (イ) 生 産 性 への 影 響 育 児 休 業 を 取 得 した 後 の 仕 事 の 生 産 性 については 変 わらないという 従 業 員 が 全 体 の 7 割 以 上 を 占 めた 時 間 内 に 処 理 する 仕 事 量 が 増 え 生 産 性 が 上 がったとする 者 も 約 4 分 の 1 いる 女 性 の 方 が 生 産 性 が 上 がったとする 人 の 割 合 が 高 い 図 表 26 育 児 休 業 取 得 後 の 仕 事 の 生 産 性 の 向 上 ( 性 別 / 従 業 員 調 査 ) 全 体 女 性 上 がった 下 がった 4.5 24.0 4.2 29.4 変 わらない 71.6 66.4 男 性 4.9 15.1 80.0 図 表 27 育 児 休 業 取 得 後 の 仕 事 の 生 産 性 の 向 上 ( 役 職 別 / 従 業 員 調 査 ) 上 がった 変 わらない 役 員 中 間 管 理 職 ホワイトカラー ブルーカラー 35.3 28.3 27.7 3.4 18.6 7.3 64.7 71.7 65.0 78.1 0 20 下 がった 40 60 80 100 14
(ロ) 仕 事 と 家 庭 の 両 立 に 対 する 評 価 仕 事 と 家 庭 の 両 立 を 図 ることは 企 業 の 業 績 に 対 してプラスであると 考 える 企 業 が 非 常 にそう 思 う そう 思 う を 合 わせて 9 割 近 くと 圧 倒 的 に 多 い 図 表 28 仕 事 と 家 庭 の 両 立 を 図 ることは 企 業 の 業 績 に 対 してプラスである と 考 える 企 業 の 割 合 そう 思 わない 非 常 にそう 思 う そう 思 う どちらともいえない 2.0 46.0 41.5 7.9 2.6 けっしてそう 思 わない (ハ) 企 業 業 績 との 関 係 この 数 年 の 企 業 業 績 の 状 況 との 関 係 をみると 育 児 休 業 に 肯 定 的 な 企 業 と 否 定 的 な 企 業 の 間 では 業 績 に 統 計 的 に 有 意 な 差 はみられなかった 図 表 29 育 児 休 業 に 肯 定 的 な 企 業 と 否 定 的 な 企 業 の 業 績 変 化 ( 企 業 等 調 査 ) 育 児 休 業 に 肯 定 的 (275 社 ) 育 児 休 業 に 否 定 的 (46 社 ) 業 績 悪 化 14 業 績 悪 化 17 業 績 悪 化 なし 86 業 績 悪 化 なし 83 ( 注 ) 育 児 休 業 取 得 に 肯 定 的 な 企 業 とは 育 児 休 業 を 取 得 しても 昇 進 昇 格 等 での 差 はない という 問 に 対 し 非 常 にそう 思 う 又 は そう 思 う と 回 答 した 企 業 を 指 す 15
6 我 が 国 への 含 意 (1) 育 児 休 業 を 取 得 しやすい 環 境 づくり (イ) 代 替 要 員 の 確 保 による 休 業 しやすい 職 場 づくり 育 児 休 業 中 の 従 業 員 の 業 務 は 臨 時 契 約 社 員 を 雇 用 し 研 修 引 き 継 ぎ 等 を 十 分 行 うことに よって 対 応 できる スウェーデンで 育 児 休 業 について 肯 定 的 な 考 え 方 をもつ 従 業 員 が 多 いの は それによって 職 場 の 他 の 従 業 員 の 負 担 が 増 えないようにしていることも 一 因 このため 育 児 休 業 代 替 要 員 確 保 等 助 成 金 の 拡 大 活 用 促 進 も 一 案 また 我 が 国 の 時 間 外 賃 金 の 割 増 率 が 低 いことや いわゆるサービス 残 業 の 存 在 が 企 業 に 代 替 要 員 確 保 よりも 現 員 の 残 業 増 による 対 応 を 選 好 させ 結 果 として 育 児 休 業 を 取 得 しにく い 職 場 環 境 をもたらしていないか 更 に 検 証 する 必 要 (ロ) 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 する 対 応 育 児 休 業 中 の 従 業 員 に 対 しては 人 事 評 価 を 行 わず また 復 帰 後 に 成 果 によってはキャッ チアップできる 機 会 を 与 えるようにするなど 人 事 評 価 上 の 対 応 も 必 要 また 育 児 休 業 中 の 従 業 員 が 電 子 メールや 社 内 イントラネットへのアクセス 等 を 通 じて 仕 事 に 関 する 情 報 を 入 手 できるようにするなどの 措 置 により 従 業 員 が 不 安 なく 育 児 休 業 を 取 得 でき る (ハ) 職 場 復 帰 後 の 育 児 と 仕 事 の 両 立 の 見 通 しのたちやすさ 勤 務 時 間 短 縮 制 度 やフレックスタイム テレワーク 等 育 児 と 仕 事 の 両 立 がしやすい 環 境 が 整 っており 育 児 休 業 後 の 働 き 方 について 見 通 しが 立 てやすくなっていることも 育 児 休 業 取 得 を 促 進 する 上 で 重 要 男 女 ともに 長 時 間 労 働 を 是 正 することも 必 要 (2) よく 働 き よく 休 む 休 みやすい 職 場 づくり スウェーデンでは 育 児 休 業 取 得 日 数 が 多 いだけでなく 有 給 休 暇 の 取 得 率 も 高 い 育 児 休 業 取 得 を 促 進 するためには 人 事 管 理 仕 事 の 進 め 方 組 織 のあり 方 等 全 般 につい て 見 直 し 育 児 休 業 に 限 らず 休 暇 をとりやすい 職 場 にすることが 本 筋 これにより よく 働 き よく 休 む 適 切 なワーク ライフ バランスを 実 現 すべき 16
( 参 考 ) スウェーデン 企 業 の 負 担 と 競 争 力 1 スウェーデン 企 業 の 雇 用 者 に 係 る 社 会 保 険 料 等 の 使 用 者 負 担 ( 両 親 保 険 年 金 健 康 保 険 等 )は 日 本 に 比 べ 大 きい ( 参 考 図 表 1)スウェーデン 企 業 の 法 定 負 担 比 率 ( 支 払 い 給 与 に 対 する 比 率 ) スウェーデン() ( 参 考 ) 日 本 () 老 齢 年 金 遺 族 年 金 健 康 保 険 労 災 保 険 両 親 保 険 失 業 その 他 の 労 働 市 場 対 策 費 用 給 与 比 例 分 10.21 1.70 11.08 0.68 2.20 3.70 3.25 厚 生 年 金 健 康 保 険 介 護 保 険 雇 用 保 険 合 計 32.82 合 計 ( 労 災 保 険 注 を 除 く ) 6.967 4.1 6.25 1.15 18.467 ( 資 料 )スウェーデン: Labor cost in Sweden (スウェーデン 企 業 連 盟 資 料 を 基 に スウェーデン 大 使 館 投 資 部 が 作 成 ) 日 本 : 厚 生 労 働 省 社 会 保 険 庁 のホームページを 基 に 作 成 ( 注 ) 日 本 では 労 災 保 険 料 は 業 種 により 異 なる 2 ただし スウェーデンでは 雇 用 者 の 手 取 り 賃 金 の 水 準 が 低 いので 労 働 費 用 全 体 で みると 日 本 とほぼ 同 じ 水 準 である ( 参 考 図 表 2) 各 国 の 労 働 費 用 の 内 訳 (2004 年 ) 60000 53,443ドル 50000 労 40000 働 費 用 ( 30000 U S ド ル ) 20000 10000 0 28,111ドル 52.6 42,543ドル 20,931ドル 49.2 37,606ドル 36,159ドル 35,103ドル 17,995ドル 52.0 5,237ドル 9.8 26,475ドル 70.4 24,841ドル 68.7 25,766ドル 73.4 従 業 員 負 担 7,360ドル 17.3 1,834ドル 5.3 15,071ドル 28.2 雇 用 者 7,360ドル 17.3 負 担 2,670ドル 7.1 2,820ドル 7.8 8,513ドル 24.6 2,670ドル 7.1 3,254ドル 9.0 3,616ドル 10.3 所 得 税 55,513ドル 9.4 6,892ドル 16.2 5,791ドル 15.4 3,896ドル 11.1 5,243ドル 14.5 6,264ドル 18.1 1,825ドル 5.2 フランス ドイツ 米 国 イギリス 日 本 スウェーデン 手 取 り 賃 金 34,606ドル ( 出 所 )OECD Taxing Wsges 2003-2004 より 作 成 17
3 また スウェーデンの 法 人 税 負 担 は 日 本 よりも 低 い ( 参 考 図 表 3)スウェーデン 企 業 および 日 本 企 業 の 法 人 税 の 実 効 税 率 () 50 40 30 11.56 地 方 政 府 中 央 政 府 20 10 27.98 28.00 0 日 本 スウェーデン ( 資 料 ) 日 本 ; 財 務 省 国 際 比 較 に 関 する 資 料 スウェーデン:OECD Tax Database より 作 成 ( 注 )スウェーデンでは 地 方 政 府 による 法 人 課 税 はない 4 このため スウェーデンは 国 際 的 にみても 比 較 的 高 い 競 争 力 を 維 持 している ( 参 考 図 表 4) 国 際 競 争 力 の 比 較 順 位 国 名 国 際 競 争 力 11 台 湾 78.3 1 米 国 100 12 アイルランド 77.8 2 香 港 93.1 13 オランダ 77.4 3 シンガポール 90.0 14 スウェーデン 76.3 4 アイスランド 85.3 15 ノルウェー 76.2 5 カナダ 82.6 16 ニュージーランド 75.5 6 フィンランド 82.6 17 オーストリア 74.3 7 デンマーク 82.5 18 ドイツ 74.1 8 スイス 82.5 19 チリ 72.2 9 オーストラリア 82.0 20 中 国 69.7 10 ルクセンブルグ 80.3 21 日 本 68.7 ( 資 料 )IMD( 経 営 開 発 国 際 研 究 所 )の 国 際 競 争 力 ランキング 2005 年 版 ( 注 ) 米 国 を 100 とした 指 標 18
5 特 に スウェーデン 企 業 の 研 究 開 発 投 資 (R&D)の 水 準 は 高 く 高 度 な 技 術 をもつ 高 付 加 価 値 企 業 が 成 長 している ( 参 考 図 表 5)R&Dへの 投 資 水 準 ( 対 GDP 比 ) ( 単 位 :) 全 体 ( 括 弧 内 は 企 業 によるR&D) スウェーデン 4.2 (3.0) フィンランド 3.4 (2.4) 日 本 3.1 (2.2) アイルランド 3.0 (1.5) 韓 国 2.9 (2.1) ( 資 料 )OECD Economic Surveys Sweden 2005. 6 スウェーデンの 全 要 素 生 産 性 上 昇 率 をみると 1990 年 代 後 半 に 伸 びが 高 まっている これは 1990 年 代 初 頭 のバブル 崩 壊 金 融 危 機 による 景 気 低 迷 の 後 1990 年 代 後 半 から ICT( 情 報 通 信 技 術 )を 軸 とした 経 済 活 性 化 に 成 功 したことが 背 景 にある ( 参 考 図 表 6) 各 国 のTFP( 全 要 素 生 産 性 ) 上 昇 率 () 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 フ ラ ン ス 1995-2001 年 ア メ リ カ 1990-95 年 イ ギ リ ス ド イ ツ ス ウ ェ ー デ ン 日 本 ( 出 典 )OECD Productivity database (2004 年 ) ( 注 )1990-95 年 のドイツのデータは 存 在 しない 19