医 療 マーケテイング 論 九 州 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 医 療 経 営 管 理 学 講 座 馬 場 園 明
マーケティングの 定 義 アメリカマーケティング 協 会 は マーケティン グの 定 義 について 顧 客 依 頼 人 パートナー 社 会 全 体 にわたって 価 値 のある 提 供 物 を 創 造 伝 達 流 通 交 換 するための 活 動 一 連 の 制 度 過 程 である としている コトラーは マーケティ ングの 定 義 について マーケティングとは 価 値 と 製 品 を 創 造 して 提 供 し 他 者 と 交 換 するこ とを 通 じて 個 人 やグループが 必 要 (ニーズ)と し 欲 求 (ウォンツ)するものを 満 たす 社 会 的 経 済 的 プロセスである と 述 べている
マーケティングの 内 容 その 内 容 は 製 品 開 発 販 売 経 路 の 選 択 価 格 の 設 定 販 売 促 進 活 動 営 業 物 流 顧 客 サービ スなどを 含 んでいる すなわち 市 場 を 創 造 し 顧 客 を 作 り 顧 客 を 継 続 して 維 持 していくための 手 法 の 総 体 ともいえる マーケティングの 目 的 は 将 来 の 利 益 を 確 保 するための 売 上 げ 向 上 の 仕 組 み 作 りであり その 手 段 として 顧 客 の 創 造 と 維 持 を 行 なうことである
顧 客 の 満 足 を 満 たし 続 ける 活 動 企 業 は 市 場 で 商 品 やサービスが 売 れなければ 存 続 することができないので 消 費 者 の 潜 在 的 欲 求 を 察 知 して 企 業 活 動 に 結 び 付 けていくことが 求 められているが その 方 法 がマーケティングで ある 具 体 的 には 目 標 を 明 確 にし システムを 作 り 継 続 して 活 動 していくことである 企 業 が 永 続 性 継 続 性 を 求 めるならば 顧 客 の 創 造 と 維 持 が 必 要 であるが そのためには 顧 客 の 満 足 を 満 たし 続 ける 活 動 が 求 められるのである
マーケティングのコンセプト マーケティングのコンセプトとは 捉 え 方 方 向 性 を 指 すが 大 きく 分 類 すると 生 産 志 向 製 品 志 向 販 売 志 向 マーケティング 志 向 の4 つがある 需 要 が 供 給 を 上 回 る 状 態 にあれば 生 産 志 向 のマーケティングでも 結 果 がでる 消 費 者 は 価 格 の 安 いものを 好 む 傾 向 にあるの で 生 産 性 を 向 上 させる 必 要 がある 介 護 保 険 の 対 象 となる 介 護 施 設 は 自 己 負 担 が 少 ないため 生 産 志 向 の 傾 向 にある 製 品 志 向 では 消 費 者 が 良 いものを 好 む ニーズを 満 たすため に 高 品 質 生 産 に 向 かう
マーケティング 志 向 有 料 老 人 ホームでは ハードやサービスにコス トをかけたものが 数 多 く 販 売 されている 販 売 志 向 では 売 ることに 重 点 が 置 かれる 営 業 に 焦 点 が 集 中 する 販 売 強 化 になってしまうので 顧 客 中 心 にはなりにくい マーケティング 志 向 で は 顧 客 満 足 を 満 たすために 顧 客 のニーズやウォ ンツに 対 応 することが 目 的 となる
マズローの 人 間 の5 段 階 の 欲 求
管 理 モデルと 支 援 モデル
国 際 障 害 分 類 と 国 際 生 活 機 能 分 類 これまでは 国 際 障 害 分 類 (ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)に 基 づき 人 間 の 機 能 とその 障 害 リハ ビリテーション 関 連 の 概 念 を 整 理 してきており 介 護 福 祉 の 分 野 でも 障 害 すなわち 何 ができない と いうマイナス 面 に 着 目 してきた 傾 向 がある それに 対 して 国 際 生 活 機 能 分 類 (ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health) では 生 活 機 能 すなわち 何 ができる というプ ラス 面 から 人 間 を 見 ていくという 発 想 が 求 められてい る
戦 略 的 マーケティング 戦 略 にはさまざまな 定 義 があるが 現 在 の 状 態 から 目 標 に 向 けた 計 画 である ことは すべて の 定 義 に 共 通 である 戦 略 的 マーケティングとは 目 標 を 明 確 にしてニーズやウォンツを 充 足 する 製 品 やサービスを 市 場 に 充 足 させていくプロセスを 論 理 で 示 すことである 戦 略 的 マーケティングの プロセスは 戦 略 スタンスの 決 定 に 始 まり 市 場 機 会 分 析 市 場 の 選 択 マーケティング 戦 略 の 決 定 マーケティング 目 標 の 達 成 までの 諸 活 動 から なる 10
戦 略 マーケテイングのプロセス 戦 略 スタンス ビジョン ミッション 価 値 ゴール 外 部 環 境 分 析 市 場 機 会 分 析 内 部 環 境 分 析 統 合 分 析 市 場 の 選 択 セグメンテーション ターゲッテイング ポジショニイング 戦 略 ドメイン 策 定 マーケテイング 戦 略 マーケテイング ミックス(4P; Product, Price, Place, Promo マーケテイング 目 標 売 上 / 利 益 シェア 顧 客 満 足 度 従 業 員 満 足 度
フレームワーク 思 考 戦 略 的 マーケティングでは 論 理 的 に 複 雑 に 絡 み 合 う 事 象 を 要 素 分 解 し 要 素 間 の 関 係 を 明 確 に する 構 造 化 が 必 要 である そのためには フレー ムワーク 思 考 というツールが 有 効 である フレー ムワーク 思 考 とは 問 題 解 決 方 法 や 経 営 戦 略 等 を 作 り 上 げていく 過 程 で 枠 組 み(フレームワー ク)を 活 用 する 考 え 方 で モレ ダブりがないよ うに 効 率 的 かつ 論 理 的 に 作 成 していく 便 利 な ツールである
戦 略 スタンス 戦 略 スタンスには ミッション ビジョン ヴァリュー ゴールがある ミッションは 組 織 が 何 のために 存 在 するかの 理 由 である それには 経 営 目 的 経 営 方 針 社 員 の 行 動 方 針 が 入 ること が 望 ましいと 考 えられる
ミッション たとえば ミッションを 高 齢 者 の 安 心 安 全 で 健 やかな 生 活 を 保 証 するために 支 払 い 可 能 な 費 用 で 質 の 高 いサービスを 提 供 し かけがえのな い 人 生 に 貢 献 することを 喜 びとします とした 場 合 経 営 目 的 は 高 齢 者 の 安 心 安 全 で 健 やか な 生 活 を 保 証 する で 経 営 方 針 は 支 払 い 可 能 な 費 用 で 質 の 高 いサービスを 提 供 し 従 業 員 の 行 動 方 針 は かけがえのない 人 生 に 貢 献 する ことを 喜 びとします といったものになる
ビジョン ビジョンは 組 織 がもつ 長 期 的 な 視 野 を 意 味 す る 高 齢 者 に 満 足 できる 生 活 を 送 っていただく ために 生 活 支 援 健 康 支 援 医 療 支 援 介 護 支 援 の 質 を 高 めていきます といったものである 価 値 は 組 織 の 決 定 がなされる 優 先 順 位 を 示 す たとえば サービスの 提 供 に 関 しては 高 齢 者 の 尊 厳 を 尊 重 し 希 望 を 最 優 先 します といった ものになる
ゴール ゴールは 短 期 的 あるいは 中 長 期 的 な 数 値 目 標 で あるが この 設 定 にはSMARTの 原 則 というフレー ムワークを 使 うと 便 利 である 最 初 のSはSpecificで 具 体 的 であるということで 次 のMは Measurableで 測 定 可 能 ということである AはAgreed uponで 同 意 できるということで RはRealisticで 現 実 的 で あるということである 最 後 のTはTime bondで 期 限 を 設 けるということである ゴールは 入 居 率 事 故 の 発 生 数 顧 客 満 足 度 従 業 員 満 足 度 離 職 率 収 益 率 などがあげられる
戦 略 ドメイン 戦 略 ドメイン( 領 域 )は どのような 対 象 者 に 対 して 事 業 活 動 の 領 域 のどのようなサービスを 行 うか 行 わないかの 決 定 である ドメインの 決 定 は 戦 略 スタンスによる 顧 客 に 対 する 価 値 創 造 という 観 点 から 決 められるべきである ゴー ルは 戦 略 ドメインに 沿 って 決 定 される
戦 略 のマネジメント 戦 略 のマネジメントのためには 現 状 を 把 握 し て 計 画 を 立 て(Plan) 実 施 し(Do) その 成 果 を 評 価 し(Check) 改 善 するシステムが 継 続 される 仕 組 み であるPDCAサイクルが 確 立 していることが 必 要 となる それを 効 率 よく 行 うためには 売 上 と 利 益 シェア 顧 客 満 足 度 従 業 員 満 足 度 などの 数 値 目 標 を 決 めておくことは 重 要 である 管 理 し 改 善 するには 測 定 できるものを 指 標 にする 必 要 が あるからである
外 部 環 境 分 析 マクロ 環 境 分 析 マクロ 環 境 分 析 の 項 目 としては 前 章 のPEST 分 析 で 紹 介 したように 政 治 法 律 環 境 経 済 環 境 社 会 文 化 環 境 技 術 環 境 が 重 要 ですが 介 護 福 祉 の 分 野 で は 人 口 環 境 も 重 視 する 必 要 がある 1 人 口 環 境 医 療 介 護 福 祉 の 分 野 では 人 口 動 態 の 変 化 は 決 定 的 に 重 要 である とりわけ 年 齢 構 成 ( 前 期 高 齢 者 後 期 高 齢 者 ) 家 族 構 成 ( 単 身 者 夫 婦 世 帯 子 どもと 同 居 ) 要 介 護 度 所 得 別 の 高 齢 者 の 数 などが 重 要 で ある
2 政 治 法 律 環 境 医 療 介 護 福 祉 の 分 野 では 法 律 の 改 正 や 診 療 介 護 報 酬 の 改 正 補 助 金 などが 大 きな 影 響 を 与 え る 規 制 緩 和 によって 医 療 行 為 が 介 護 従 業 員 にも 許 可 され 従 業 員 配 置 が 変 更 されると 大 きな 影 響 を 与 える 訪 問 サービスよりもデイサービスに 有 利 な 介 護 報 酬 への 変 更 経 営 戦 略 の 変 更 が 必 要 と なってくる サービス 付 き 高 齢 者 向 け 住 宅 への 補 助 金 なども 経 営 にプラスになる 政 治 法 律 環 境 の 変 化 は 今 までのビジネスに 新 たな 脅 威 をもた らすが 新 たなビジネスを 生 むきっかけにもなる
バリューチェーン 分 析 内 部 環 境 分 析 には 活 動 を 客 観 視 するためのバ リューチェーン 分 析 などがあります バリュー チェーンとは 原 材 料 の 調 達 から 製 品 サービス が 顧 客 に 届 くまでの 業 務 活 動 の 連 鎖 のことです バリューチェーン 分 析 とは 利 益 がうまれるまで の 組 織 的 な 活 動 を 連 鎖 として 捉 え 業 務 活 動 を 客 観 的 に 分 析 する 方 法 で
3 経 済 環 境 医 療 介 護 福 祉 サービスの 収 入 源 は 診 療 報 酬 介 護 報 酬 と 高 齢 者 の 自 己 負 担 です 高 齢 者 が 増 加 していけば 多 くの 財 源 が 必 要 となる 今 後 わ が 国 に 過 大 な 経 済 発 展 は 望 めなので 限 られた 財 源 でなんとかやりくりしていることが 求 められる 高 齢 者 への 社 会 保 障 には 年 金 医 療 費 介 護 給 付 費 で 多 額 の 資 源 が 使 われている 国 家 財 政 が 厳 しくなれば 一 人 あたり 社 会 保 障 費 を 削 減 せざる をえない そうなれば 高 齢 者 の 個 人 資 産 を 介 護 福 祉 の 財 源 として 活 用 するための 創 意 工 夫 が 求 めら れる
4 社 会 文 化 環 境 高 齢 者 のケアはいままでは どちらかといえば 狭 い4 人 部 屋 で 収 容 されて 管 理 されてきたというイ メージがある しかしながら 今 後 高 齢 者 はそ ういったケアには 満 足 できない 自 由 と 選 択 が 保 障 され 生 活 の 質 に 対 する 欲 求 が 満 たされたケア が 求 められていると 思 われる
5 技 術 環 境 ITなどの 技 術 の 変 化 も 医 療 介 護 福 祉 の 時 代 に 大 きな 変 化 をもたらしつつある 高 齢 者 とのコミュ ニケーション 高 齢 者 に 安 全 を 保 障 するセンサー 事 務 書 類 の 電 子 化 WEBによる 広 報 なども 重 要 に なっている
5つの 競 争 要 因 分 析 5つの 競 争 要 因 分 析 は 新 規 参 入 の 脅 威 代 替 品 の 脅 威 供 給 者 の 交 渉 力 顧 客 の 交 渉 力 業 界 内 の 競 争 関 係 に 整 理 して 業 界 の 競 争 構 造 を 分 析 する 方 法 である 新 規 参 入 の 脅 威 とは 業 界 の 外 部 からの 医 療 介 護 福 祉 サービ スの 参 入 を 指 す 介 護 福 祉 サービスには 企 業 から も 参 入 が 相 次 いているが 今 後 もこの 傾 向 は 続 く と 思 われる
代 替 品 の 脅 威 と 供 給 者 の 交 渉 力 代 替 品 の 脅 威 とは 医 療 介 護 サービスの 代 替 サービスの 脅 威 である 医 療 サービスの 代 表 的 な 代 替 サービスは 介 護 サービスと 家 族 による サービスである また 居 宅 サービスと 施 設 サー ビスも 代 替 関 係 にある 供 給 者 の 交 渉 力 とは 医 療 介 護 機 器 卸 会 社 医 療 介 護 機 器 会 社 外 部 委 託 会 社 などの 交 渉 力 を 指 す
顧 客 の 交 渉 力 と 業 界 内 の 競 争 関 係 顧 客 の 交 渉 力 は 顧 客 となる 患 者 及 びその 家 族 の 交 渉 力 を 指 す 介 護 保 険 サービスではケア マネジャーが 資 源 を 配 分 する 仕 組 みであるので ケアマネジャーも 顧 客 と 考 えていい 業 界 内 の 競 争 関 係 では 介 護 業 界 のなかでの 競 争 状 況 を 考 える 高 齢 化 の 進 行 にともない 介 護 福 祉 サービ スの 需 要 は 増 大 すると 考 えられ まだまだ 市 場 と しては 魅 力 がある とりわけ 居 住 系 施 設 サービ スへの 事 業 者 進 出 は 増 加 すると 考 えられ 業 界 内 の 競 争 関 係 には 注 意 が 必 要 である
内 部 環 境 分 析 事 業 者 自 身 の 強 み 弱 みを 明 らかにすることを 目 的 とした 内 部 環 境 分 析 では バリューチェーンとVRIO 分 析 を 説 明 する バリューチェーン(Value Chain)と は 利 益 がうまれるまでの 組 織 的 な 活 動 を 連 鎖 として 捉 え 業 務 活 動 を 客 観 的 に 分 析 する 方 法 である まず 企 業 の 活 動 を 大 きく 主 活 動 と 支 援 活 動 に 分 け る 製 造 業 であれば 主 活 動 は 製 造 に 直 接 的 に 関 係 する 業 務 であり 原 材 料 の 仕 入 れ 製 品 の 製 造 出 荷 販 売 アフターサービスからなる そしてそれを 支 援 する 全 般 管 理 人 事 労 務 管 理 技 術 開 発 調 達 活 動 が 支 援 活 動 に 分 類 される
支 援 活 動 全 般 管 理 人 事 労 務 管 理 技 術 開 発 調 達 活 動 マ ー ジ ン 主 活 動 予 防 リ 食 事 サー ハビリ ビス サービス 入 浴 排 泄 介 助 サービス 安 全 危 機 対 応 サービス 生 活 支 援 サービス
VRIO 分 析 VRIO 分 析 とは 企 業 の 持 つ 経 営 資 源 が 持 続 的 な 競 争 優 位 を 発 揮 するか 否 かを 確 認 する4つの 視 点 である 経 済 価 値 (Value) 稀 少 性 (Rarity) 模 倣 困 難 性 (Inimitability) 組 織 (Organization)を 分 析 する 経 済 価 値 の 視 点 では 事 業 者 が 外 部 環 境 における 機 会 をうまくとらえ 脅 威 を 少 なくす ることができるかで 経 営 資 源 を 評 価 する 稀 少 性 の 視 点 では 競 合 する 事 業 者 が ごく 少 数 の 競 合 企 業 かどうかで 経 営 資 源 を 評 価 する 模 倣 困 難 性 の 視 点 では 競 合 する 事 業 者 が 容 易 に 模 倣 できるか 否 かで 経 営 資 源 を 評 価 する
VRIO 分 析 組 織 の 視 点 では その 資 源 を 企 業 が 有 効 に 活 用 し 良 い 成 果 を 上 げられる 仕 組 みを 構 築 できてい るかどうかを 確 認 する このフレームワークは 事 業 者 が 持 続 的 な 競 争 優 位 性 を 獲 得 するために 自 社 が 保 有 する 価 値 稀 少 性 模 倣 困 難 性 組 織 構 築 と いう4つの 視 点 を 満 たす 資 源 を 開 発 蓄 積 していく 方 向 性 に 導 いている
4C 分 析 事 業 者 の 統 合 分 析 でよく 使 われる3Cは 市 場 要 因 を 大 きく 自 社 (カンパニー) 競 合 (コンペ ティター) 顧 客 (カスタマー) としてとらえ 事 業 に 及 ぼす 要 因 を 分 析 していくものである こ れを 医 療 介 護 福 祉 系 事 業 者 に 適 用 する 場 合 地 域 において 他 の 医 療 福 祉 施 設 との 連 携 が 重 要 であ るので 上 述 の3Cに 連 携 (コンビネーション) を 加 え 4C( 自 事 業 者 顧 客 競 合 相 手 連 携 先 )というフレームワークを 用 いる 方 が 現 実 的 で ある
自 事 業 者 分 析 自 事 業 者 分 析 で 必 要 な 項 目 は 市 場 シェア ブ ランド イメージ 技 術 力 品 質 販 売 力 利 益 力 資 源 ( 人 材 設 備 資 金 )といったものであ る 市 場 シェアでは 医 療 介 護 福 祉 サービスのそ れぞれの 項 目 についてどれだけのシェアがあるか ブランド イメージについては 地 域 で 信 頼 されて いる 事 業 者 として 認 知 されているか 技 術 力 では 介 護 や 医 療 との 連 携 において 技 術 力 があるか 品 質 では 設 備 やサービスの 品 質 はどうか 販 売 力 で は 施 設 やサービスは 利 用 されているのか 資 源 は 十 分 あるかなどが 検 討 される 必 要 があります
競 合 分 析 競 合 分 析 は 競 争 のなかで 優 位 に 立 つ 可 能 性 を 高 めるために 行 う 近 隣 の 医 療 介 護 事 業 者 に 関 し どこに どのような 規 模 のものがあるか 調 べ そ れぞれについて 内 部 分 析 と 同 様 の 項 目 の 分 析 が 必 要 である 事 業 者 は 競 合 相 手 を 分 析 し それらと 違 う 特 色 を 検 討 していくことが 必 要 である また 業 界 外 からの 進 出 可 能 性 を 測 る 参 入 難 易 度 代 替 技 術 によるサービスの 変 化 なども 評 価 する
顧 客 分 析 顧 客 分 析 では 顧 客 のニーズやウォンツを 知 る ために 市 場 規 模 成 長 性 ニーズとウォンツ 購 買 決 定 過 程 購 買 決 定 権 者 影 響 を 与 える 要 因 といったことを 検 討 する 市 場 規 模 や 成 長 性 を 把 握 するためには 年 齢 構 成 ( 小 児 青 年 中 年 前 期 高 齢 者 後 期 高 齢 者 ) 家 族 構 成 ( 単 身 者 夫 婦 世 帯 子 どもと 同 居 ) 要 介 護 度 所 得 別 の 高 齢 者 数 などが 重 要 である 購 買 決 定 過 程 は 医 療 介 護 福 祉 サービスによって 異 なる
顧 客 分 析 たとえば プライマリケアのようなサービスは 近 隣 の 医 療 機 関 を 選 択 する 場 合 が 多 いのですが 手 術 をする 場 合 は 多 くの 情 報 を 得 て 判 断 する 場 合 が 多 い 販 売 決 定 権 に 関 しては 自 立 している 場 合 は 本 人 が 決 定 する 場 合 が 多 いのですが 要 介 護 の 高 齢 者 では 家 族 が 決 定 する 場 合 が 多 い 購 買 に 影 響 を 与 える 要 因 としては 価 格 広 さ 設 備 場 所 などがある
連 携 先 高 齢 者 の 生 活 全 体 を 考 えれば 医 療 サービス 以 外 にも 生 活 支 援 介 護 福 祉 サービスも 不 可 欠 であ り 自 機 関 で 提 供 できないサービスについては 地 域 の 中 で 連 携 先 を 探 す 必 要 がある 医 療 サー ビスにおいて 急 性 期 回 復 期 の 医 療 については どこの 病 院 と 連 携 していけばよいか 近 隣 の 診 療 所 とはどんな 連 携 を 図 れるか 高 齢 者 福 祉 施 設 民 間 の 介 護 施 設 との 連 携 訪 問 看 護 サービス 事 業 者 訪 問 介 護 等 の 介 護 保 険 サービス 事 業 者 との ネットワークをどうするかなどの 検 討 も 必 要 であ る
SWOT 分 析 SWOT 分 析 とは 市 場 の 機 会 を 探 索 するため 外 部 環 境 の 機 会 と 脅 威 そして 内 部 環 境 分 析 によ り 自 事 業 者 の 強 みと 弱 みを 明 らかにし その 両 者 を 統 合 し 戦 略 の 方 向 と 戦 略 課 題 を 発 見 することを 目 的 としたものです 外 部 環 境 の 機 会 と 脅 威 では 介 護 報 酬 や 診 療 の 報 酬 が 重 要 です SWOT 分 析 で 得 られた4つの 要 因 を 組 み 合 わせて 状 況 を 分 析 し 戦 略 立 案 を 行 うのがクロスSWOT 分 析 です 強 み の 強 化 における 機 会 の 利 用 と 脅 威 への 対 応 弱 み を 強 みへ 活 かす 機 会 の 利 用 脅 威 への 対 応 に 分 類 できます
内 部 環 境 外 部 環 境 強 み 高 い 入 居 率 良 い 立 地 条 件 高 い 知 名 度 多 角 的 経 営 機 会 総 量 規 制 による 参 入 障 壁 高 齢 者 の 増 加 によるニーズの 増 大 施 設 から 在 宅 への 医 療 政 策 の 方 針 弱 み 経 営 指 標 の 未 設 定 高 い 離 職 率 熟 練 スタッフの 不 足 サービスの 質 のばらつき 安 全 対 策 の 未 整 備 脅 威 高 齢 者 住 宅 の 政 策 誘 導 医 療 機 関 の 有 料 老 人 ホームの 参 入 高 齢 者 の 収 入 や 介 護 報 酬 の 低 下 の 恐 れ 監 査 の 厳 格 化
強 みの 強 化 機 会 の 利 用 脅 威 への 対 応 利 用 者 満 足 度 調 査 の 実 施 と 結 果 への 対 応 食 事 入 浴 サービスの 改 善 介 護 事 業 でのプロモーションによる 入 居 率 の 維 持 介 護 事 業 との 連 携 強 化 弱 みを 強 みへ 機 会 の 利 用 脅 威 への 対 応 経 営 指 標 の 明 確 化 周 辺 医 療 機 関 との 連 携 強 化 認 知 症 やターミナルケアなどの 専 門 教 育 の 実 施 サービスの 効 率 化 介 護 福 祉 士 合 格 のための 研 修 実 施 サービスの 標 準 化 安 全 対 策 の 整 備 各 種 規 定 マニュアルの 整 備
セグメンテーション セグメンテーションとは 対 象 とする 製 品 サービスの 市 場 を 特 定 の 基 準 に 沿 って 同 質 の 小 さなグループに 細 分 化 することである 顧 客 の ニーズ ウォンツは 多 様 化 しているので ひとつ の 製 品 サービスですべてのニーズ ウォンツを 満 足 させることはできないし すべての 人 に 別 々 の 製 品 サービスを 開 発 することはできない そ こで 共 通 のニーズ ウォンツを 持 つ 顧 客 をグ ルーピング 分 類 し それに 応 じた 製 品 サービ スを 行 うことで 効 果 的 なマーケティング 活 動 がで きる
セグメンテーション コトラー 氏 は セグメンテーションの 基 準 として 1 地 理 的 基 準 : 地 域 都 市 又 は 都 市 部 人 口 密 度 など 2 人 口 統 計 学 的 基 準 : 年 齢 性 別 家 族 構 成 所 得 職 業 社 会 階 層 など 3 心 理 学 的 基 準 :ライフスタイル 個 性 好 き 嫌 いなど 4 行 動 上 の 基 準 : 利 便 性 使 用 割 合 ロイヤリ ティ 製 品 サービスに 対 する 態 度 などを 上 げている ま た 市 場 細 分 化 のプロセスを 1 調 査 段 階 :インタビュー アンケート 調 査 等 のマーケティングリサーチなどの 調 査 を 行 い 顧 客 に 関 するデータを 収 集 2 分 析 段 階 : 集 めた データのグループ 分 け 3プロファイリング 段 階 : 各 グ ループ セグメントを 特 徴 づける 要 因 の 特 定 の3 段 階 に 区 分 している
セグメンテーション 医 療 介 護 福 祉 サービスでは 地 理 的 な 条 件 である 立 地 は 重 要 である 医 療 介 護 福 祉 サービスを 受 ける 場 所 は 近 い 方 が 顧 客 にも 事 業 者 にも 便 利 である また 高 齢 者 住 宅 など の 施 設 への 入 居 も 家 族 が 通 えるところが 前 提 になる 人 口 統 計 学 的 な 条 件 では 年 齢 で 前 期 高 齢 者 後 期 高 齢 者 で 区 分 する 所 得 で 富 裕 層 厚 生 年 金 受 給 者 などの 中 所 得 者 層 国 民 年 金 受 給 者 などの 低 所 得 者 層 に 区 分 する 家 族 形 態 で 単 身 者 夫 婦 世 帯 子 供 と 同 居 に 区 分 することなどが 考 え られる 心 理 的 な 基 準 としては 明 るく 前 向 きな 高 齢 者 と 鬱 傾 向 のある 高 齢 者 では 好 まれるサービスは 異 なる 行 動 的 な 基 準 としては 自 宅 にいてホームヘルプを 好 む 人 と 通 所 サービスを 好 む 人 などで 区 分 ができる
セグメンテーション 介 護 福 祉 のニーズからいえば サービスのニーズに よって 分 類 することが 必 要 である たとえば 1 自 立 健 常 型 2 医 療 型 3 要 介 護 型 ( 認 知 症 なし) 4 認 知 症 型 あるいは234の 混 合 型 に 分 けることが できる 自 立 健 常 型 は 今 は 元 気 だが 将 来 が 不 安 というタイプである 医 療 型 は 医 療 ニーズが 高 く 医 療 機 関 との 連 携 が 必 要 なタイプである 要 介 護 型 は 認 知 症 のない 要 介 護 認 定 者 を 対 象 としており 重 度 の 要 介 護 者 へのケアのスキルが 必 要 なタイプである 認 知 症 型 は 認 知 症 を 対 象 としており 認 知 症 ケアのス キルを 持 っている 必 要 がある
ターゲティング 市 場 細 分 化 に 続 いて その 細 分 化 されたグルー プのどれに 照 準 を 合 わせた 製 品 サービス 企 画 を 行 うかを 決 めるターゲティングを 行 う ターゲ ティングでは 各 市 場 セグメントに 対 し 市 場 規 模 ニーズ 製 品 サービス サービスの 供 給 可 能 性 収 益 性 を 検 討 した 上 でセグメントに 優 先 順 位 を 付 ける 市 場 を 細 分 化 した 後 どのセグメン トをターゲットとするかの 方 法 に 関 しては 1 集 中 マーケティング 2 無 差 別 マーケティング 3 差 別 化 マーケティングの3 種 類 がある
ターゲティング 集 中 マーケティングとは 特 定 のセグメントに 経 営 資 源 を 集 中 化 させ 事 業 を 特 化 する 方 法 である 無 差 別 マーケ ティングとは マーケティングの 効 率 を 重 視 し 幅 広 いセ グメントに 製 品 サービスを 提 供 する 方 法 である 差 別 化 マーケティングとは 複 数 のセグメントに 異 なる 製 品 サービスを 使 って 行 なうことである たとえば 医 療 機 関 が 高 齢 者 住 宅 のマーケティングを 行 う 場 合 医 療 ニーズの 高 い 高 齢 者 にターゲットを 当 てるのが 有 利 である その 理 由 は 医 療 必 要 度 が 高 くて 自 宅 で 暮 らすことのできない 高 齢 者 が 年 々 増 加 傾 向 にあり そのような 高 齢 者 は 介 護 型 の ニーズが 高 いことから 健 康 保 険 と 介 護 保 険 からの 報 酬 を 期 待 できるからである
ポジショニング ポジショニングとは 選 定 した 市 場 のセグメン トの 顧 客 に 他 の 事 業 者 の 競 合 製 品 サービスに 対 して 自 らが 開 発 した 製 品 サービスの 差 別 性 優 位 性 のイメージを 形 成 することである つ まり ターゲットの 心 の 中 に 自 社 製 品 サービス の 市 場 を 創 造 することである そして 長 期 間 持 続 できる 優 位 性 を 作 り 上 げなければならない ポジショニンにおいては ターゲットとする 顧 客 が 重 視 する 購 買 決 定 要 因 を 基 に 競 合 製 品 サー ビスとの 優 位 性 をいかに 明 確 化 できるかを 考 える 必 要 がある
ポジショニング 高 齢 者 住 宅 などに 関 する 購 買 決 定 要 因 は 価 格 居 室 の 広 さ 共 用 施 設 提 供 されるサービス 従 業 員 の 質 信 頼 度 立 地 条 件 プロモーションな どが 重 要 である 介 護 サービスの 質 では 重 度 の 障 害 者 認 知 症 患 者 医 療 ニーズの 高 い 高 齢 者 の ケアで 技 術 があれば 差 別 化 できる 当 然 のことな がら 安 全 清 潔 親 切 といったサービス 面 も 顧 客 の 満 足 が 得 られれば 良 い 評 判 から 利 用 率 が 高 まりますので 重 視 しなければならない