平 成 25 年 度 コア ティーチャー 養 成 ( 読 解 力 向 上 研 究 指 定 ) 研 究 越 前 市 味 真 野 小 学 校 校 長 小 島 義 彦 1 研 究 主 題 子 どもが 自 ら 学 ぼうとする 力 の 育 成 自 分 の 思 いを 伝 える 子 高 めあう 子 をめざして 2 研 究 主 題 設 定 の 理 由 本 校 は 平 成 17 年 度 に 文 部 科 学 省 の 確 かな 学 力 育 成 のための 実 践 研 究 事 業 推 進 校 の 指 定 を 受 け 3 年 間 国 語 科 と 算 数 科 で 研 究 を 行 った この 研 究 以 降 も 教 師 の 学 び 合 いの 場 として 授 業 学 習 会 で 一 人 1 授 業 の 授 業 公 開 を 行 い 児 童 の 読 解 力 を 高 めるため の 取 り 組 みをささやかながら 続 けてきた しかし 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 結 果 からは 基 礎 的 基 本 的 な 内 容 の 習 熟 度 は 高 いが 目 的 や 意 図 に 応 じて 自 分 の 考 えをしっかり 持 ち 共 通 点 と 相 違 点 をとらえて 考 えを 交 流 す ることに 課 題 が 見 つかった そこで 今 年 度 は 単 にテキストを 正 確 に 読 み 取 るのではなく 目 的 意 識 を 持 って 自 ら 読 み 自 分 の 考 えを 明 らかにして 討 論 や 批 評 など 他 者 と 意 見 交 流 ができる 読 解 力 をつ けることを 目 指 したいと 考 え 本 テーマを 設 定 した 研 究 に 当 たっては 低 中 高 学 年 それ ぞれに 次 のような 目 指 す 児 童 像 を 設 定 し 系 統 立 てた 取 り 組 みとなるようにした 低 学 年 相 手 に 伝 わるように 話 したり 大 事 なことを 落 とさないように 興 味 を 持 って 聞 いたりできる 子 中 学 年 叙 述 に 即 した 根 拠 を 持 って 自 分 の 考 えを 発 表 し 友 だちと 交 流 して 深 められ る 子 高 学 年 テキストを 的 確 に 読 んで 自 分 の 考 えを 明 らかにしながら 発 表 し 合 い 考 えを 深 めたり 広 げたりできる 子 3 研 究 の 内 容 目 指 す 児 童 像 実 現 のため 次 の3つの 取 り 組 みを 中 心 に 研 究 に 取 り 組 んだ (1) 授 業 研 究 を 中 心 として 授 業 力 向 上 を 図 る 研 究 体 制 校 長 研 究 推 進 委 員 校 長 教 頭 研 究 主 任 教 頭 教 務 主 任 低 学 年 部 長 中 学 年 部 長 高 学 年 部 長 全 体 研 究 会 研 究 推 進 委 員 会 低 学 年 部 会 中 学 年 部 会 高 学 年 部 会
指 導 主 事 訪 問 と 授 業 学 習 会 の 授 業 研 究 を 中 心 に 研 究 を 進 めた 年 2 回 の 指 導 主 事 訪 問 で は 全 員 参 観 の 提 案 授 業 を1 授 業 行 った また 提 案 授 業 者 以 外 の 教 師 は 指 導 主 事 訪 問 での 一 般 授 業 ( 国 語 ) 以 外 に 年 3 回 の 授 業 学 習 会 で 一 人 1 授 業 を 行 った 授 業 学 習 会 後 には 下 記 のような 目 的 で 異 学 年 担 任 による 少 人 数 グループで 教 師 の 授 業 力 向 上 を 目 的 とした 意 見 交 換 をした ( 授 業 学 習 会 の 目 的 ) 授 業 は 児 童 のために 行 うもので 児 童 にとってどうであったかがとても 大 切 である また 児 童 の 活 動 の 背 景 には 必 ず 教 師 の 働 きかけがあり よい 活 動 ができていれば そ れに 対 する 教 師 の 働 きかけが 良 かったことになる しかし 上 手 く 活 動 できなければ 教 師 の 働 きかけに 何 かしらの 改 善 点 があるはず 授 業 学 習 会 では それらを 児 童 の 様 子 から 見 つけ みんなで 知 恵 を 出 し 合 ったり 今 までの 経 験 を 語 り 合 ったりして 改 善 点 を 解 決 していくことを 目 的 とする そして 授 業 者 への 感 謝 の 気 持 ちを 込 めて 見 通 しが 明 るくなり やってみたくなるような 次 時 への 提 案 を 目 指 す そのために 参 観 者 がよ り 多 くの 児 童 の 様 子 を 見 取 り それをもとに 語 り 合 い 互 いに 指 導 力 を 高 め 合 っていけ る 学 習 会 にしていく 授 業 学 習 会 の 目 的 を 以 上 のように 明 確 にし 一 人 ひとりの 児 童 の 様 子 を 研 究 会 で 取 り 上 げることで 授 業 改 善 の 手 がかりを 探 っていった また この 単 元 でつけたい 力 が 確 実 に 定 着 するためには これまでの 積 み 上 げが 重 要 に なってくる そのため 低 中 高 グループの 話 し 合 いを 持 ったり 異 学 年 がグループを 組 ん で 話 し 合 ったりなど 全 学 年 を 通 した 授 業 が 構 成 できるような 話 し 合 いを 組 み 込 んでいった 異 学 年 担 任 による 少 人 数 グループでの 意 見 交 換 では 教 師 が 学 年 間 の 系 統 性 を 確 認 できたり 効 果 的 な 指 導 法 を 幅 広 く 学 んだりでき た 異 学 年 の 教 材 について 話 し 合 うこ とは 見 通 しを 持 った 指 導 の 必 要 性 を 確 認 することにも 効 果 的 だった さら に 積 み 重 ねの 大 事 さを 確 認 できた (2) 低 中 高 部 会 ごとの 取 り 組 み 1 低 学 年 部 会 低 学 年 では スモールステップでの 指 導 を 心 がけ て 授 業 研 究 を 進 めた 相 手 を 意 識 した 発 表 ができ るようにするために 話 型 を 掲 示 したり 話 し 方 聞 き 方 の 決 まりを 徹 底 したりすることから 始 め それらが 定 着 してくると 自 分 の 思 いを 伝 え たいという 意 欲 の 高 まりが 見 られるようになっ た また 思 いを 伝 えるためには 語 彙 を 増 やす
ことも 重 要 と 考 え 感 想 を 伝 える 言 葉 などを 学 級 に 常 時 掲 示 しておいたり 絵 日 記 の 用 紙 の 隅 に 書 き 込 んでおいたりした 児 童 は 文 章 を 書 くときのヒントにそれらを 活 用 して いた 説 明 文 などには 使 いやすいワークシートが 効 果 的 である じどう 車 くらべ などでは じどう 車 のしくみを 比 べて 読 めるワークシートが 有 効 だった また シートの 隅 に 使 用 可 能 な 語 彙 をのせておいたことも 効 果 的 だった 2 中 学 年 部 会 授 業 研 究 は 説 明 文 を 中 心 に 行 った 3 年 生 で は 形 式 段 落 のキーセンテンスやキーワードを 見 つけて 要 点 や 段 落 相 互 の 関 係 をつかみ 4 年 生 で は それらをもとに 文 章 を 要 約 するというように 系 統 性 を 意 識 しながら 研 究 を 進 めることができ た テーマに 沿 って 話 し 合 うという 活 動 を 継 続 して 行 い 友 だちとの 意 見 交 流 にも 取 り 組 んだ 授 業 の 中 で 注 目 させたい 部 分 を 絞 って 分 かや すく 提 示 したり 視 覚 化 し 文 を 読 み 取 りやすくしたりする 工 夫 を 行 った 例 えば 教 科 書 の 表 現 をそのまま 使 うのでなく 情 景 描 写 だけのシートを 作 り 情 報 を 制 限 し 授 業 を 組 み 立 てた ねらいや 活 動 を 絞 ることで 楽 しく 分 かりやすい 学 習 につながった 3 高 学 年 部 会 高 学 年 では 叙 述 に 即 してしっかり 読 み 取 った 上 で 自 分 の 考 えを 付 箋 紙 などを 使 ってまとめ 批 評 しながら 読 み 深 めることにつなげていった ま た 話 し 合 い 活 動 でも 自 分 の 意 見 を 持 つことを 大 切 にし 考 えをより 明 らかにするために つ まり という 言 葉 を 使 って 考 えの 言 いかえをした り 相 手 からの 質 問 や 意 見 は 考 えを 広 げるための 大 事 な 材 料 であることを 意 識 させたりした 自 分 の 伝 えたいことを 書 くには 語 彙 力 が 必 要 で ある 書 く 力 をつけるために 語 彙 集 を 持 たせ 日 頃 使 わない 言 葉 などを 文 章 の 中 に 入 れて 表 現 することでより 良 い 文 章 につながった (3) 読 書 活 動 の 推 進 昨 年 度 の 耐 震 工 事 により 本 校 に 図 書 ホールができた 広 いホールと 図 書 室 で 読 書 もし やすくなった 子 どもたちが 本 を 借 りる 量 も 増 え 読 書 時 間 も 増 えてきた また 親 子 読 書 の 推 進 で 家 庭 での 読 書 量 も 増 えたと 保 護 者 から 聞 いている さらに 今 年 度 は6 年 生 の ブックトーク を 縦 割 り 班 で 行 った 1 学 期 は 各 班 テー マをきめて1~5 年 の 児 童 に 自 分 たちのお 勧 めの 本 を 紹 介 した 2 学 期 は 各 学 年 にあ
った 本 を 選 択 してその 本 の 見 所 などを 紹 介 した こうした 取 り 組 みを 行 うことで 本 へ の 興 味 が 膨 らみ 読 んでみようという 気 持 ちにつながっていった 4 研 究 成 果 ほとんどの 教 師 が 各 部 会 で 事 前 に 授 業 案 の 検 討 会 をして2 授 業 に 取 り 組 んだ 昨 年 県 指 導 主 事 から 効 果 的 な 言 語 活 動 や 指 導 方 法 などについて 助 言 を 受 けたことをもとに 複 数 回 の 授 業 研 究 を 行 うことにより 教 師 間 で 課 題 が 共 有 でき 設 定 した 児 童 像 を 目 指 す 授 業 を 展 開 することができた また 先 の 児 童 像 をイメージしながら 授 業 計 画 を 立 てる ようになった 自 分 の 考 えを 発 表 できる 児 童 が 増 えてきた 自 分 の 考 えを 付 箋 に 書 いたり 思 いを 表 す 言 葉 を 掲 げたりすることで 自 分 の 思 いを 表 現 し やすくなってきた また ペアやグループで 話 し 合 ったりする 活 動 を 授 業 の 中 でたくさん 取 り 入 れることで 発 表 への 抵 抗 感 も 少 なくな った 言 葉 に 注 目 するようになり 日 記 や 感 想 など を 書 くときの 表 現 も 豊 かになり 文 章 を 書 く 力 がついてきた 本 を 読 む 機 会 が 増 え 読 書 量 も 次 第 に 増 えてきた また 親 子 読 書 の 取 り 組 みから 少 しずつ 進 んで 本 を 読 むようになった という 保 護 者 の 感 想 も 多 かった 5 今 後 の 課 題 低 中 高 学 年 部 会 による 横 のつながりでの 研 究 と 授 業 学 習 会 による 縦 のつながりでの 研 究 を 組 み 合 わせることは 系 統 性 を 確 認 しながら 研 究 を 進 めることには 効 果 的 であった しかし さらに 研 究 を 深 めるためには いろんなパターンでのクロスセッションを 取 り 入 れ 各 部 のつながりを 強 めながら 学 年 間 の 情 報 交 換 もより 頻 繁 に 行 っていく 必 要 が ある 児 童 には 少 しずつ 変 容 は 見 られるが 読 み 取 る 力 はまだ 十 分 についておらず そのた め 自 分 の 考 えを 持 つまでに 時 間 がかかっている 中 身 が 増 えた 指 導 内 容 を 網 羅 するため に つけたい 力 をもっと 焦 点 化 して 限 られた 時 間 の 中 で 効 果 的 な 学 習 活 動 を 進 めてい かなければならない