前十字靭帯再建手術のリハビリに関して 八王子スポーツ整形外科
はじめに 前十字靭帯再建術を実施した後はリハビリが非常に重要です 家で簡単に実施できるリハビリメニューを紹介しますので ぜひご活用ください 2 はじめに 3 前十字靭帯とは 4 どうして切れるの? 5 前十字靭帯を損傷する危険要素 6 再受傷しないために 7 手術をする前に 8 手術後の主な流れ 9 手術後 1 日 10 歩行 11 RICE 処置 12 足首上下運動 13 大腿四頭筋トレーニング 14 手術後 2~3 日 15 歩行 16 太もものほぐし 17 ふくらはぎのほぐし 18 お皿を動かす 19 大腿四頭筋トレーニング 20 膝曲げトレーニング 21 股関節トレーニング 22 股関節トレーニング 23 術後 4~7 日 24 歩行 25 術後 2~4 週 26 歩行 27 太もものほぐし 膝曲げトレーニング 28 術後 4~10 週 29 術後 10~16 週 30 ふくらはぎトレーニング 31 競技復帰に向けて 32 スクワット 33 スプリットスクワット 34 ランジ 35 片脚スクワット 36 ホップ 37 ツイスト 38 サイドステップ 39 クロスステップ 40 膝曲げ歩き 41 ジャンプ 42 最後に 2
前十字靭帯とは 大腿骨 関節軟骨 どこについてるの? 前十字靭帯 大腿骨後方 ~ 脛骨前方につきます 後十字靭帯 脛骨 どんな役割があるの? 脛骨が前方にでるのを制御します 脛骨の捻りを制御します 捻りの制限 3
どうして切れるの? 大腿骨に対して下腿骨が過剰に捻られることにより切れます 膝を過伸展 ( 伸びる ) したときに切れやすくなります 例 ) ジャンプの着地 切り返しなど 4
前十字靭帯を損傷する危険な要素 体の要素 股関節が硬い 足首が硬い 腹筋が弱い 股関節周囲の筋肉が弱い 動きの要素 膝が内側に入る つま先が外側を向く 背中が丸くなる これらの要素は確実に取り除かなければ競技復帰時に再受傷の危険性が高まります 5
再受傷しないために 手術前手術基本動作競技動作競技復帰 リハビリ ( 主に患部中心 ) メディカルフィットネスセンター ( 患部外も含め全身コーディネート ) リハビリの様子 センターの様子全身の調整を実施し ケガをしにくい体作りをサポート 6
手術をする前に 手術の前にケガした膝を可能な限り正常な状態に近づけることが重要です 炎症症状 ( 膝の腫れ 熱感 ) を最小限に 膝を対側膝と同じ可動域に 大腿四頭筋の機能の可及的向上 正常に歩く ホームエクササイズは後ろのページで出てくる内容をご参照ください 7
手術後の主な流れ 手術後の流れを記載致しますが そのときの状態により内容は異なりますのでご了承ください 患者様に最も合ったリハビリ内容を提供させていただきたいと思っております 8
手術後 1 日 目標 歩行 :2 本の松葉杖を使用した歩行 ( 荷重をかけない ) 平地でトイレに行くことが可能 炎症症状の可及的消失アイシング 挙上 圧迫 足首上下運動 筋の機能向上大腿四頭筋トレーニング リハビリ アイシング 足首上下運動 大腿四頭筋トレーニング 9
歩行 荷重なし 1 2 3 チェックポイント 松葉杖 健側 1. 両松葉杖を前方へ出す 2. 松葉杖で支えながら健側 ( 手術していない脚 ) を前方へ出す 姿勢が前かがみ ( 猫背 ) にならないようにする 体が左右にぶれないようにする 10
RICE 処置 アイシング 圧迫 挙上 ( 心臓より高くする ) タオルや布団で脚を高くし 心臓より高くする アイシング中に足首を上下に動かす 1 時間につき 20 分実施 (1 日最低 3~5 回以上実施 ) 凍傷に注意 11
足首上下運動 足首を上へ 足首を下へ 足首を上下に動かし ふくらはぎの筋肉のポンプ作用で腫れを引かせる チューブが無くても大丈夫です 100 回程度
大腿四頭筋トレーニング 姿勢を正す 姿勢を正す 膝を下に押しつける 踵を遠くに押しだす 1. 膝よりやや手前にタオルを置く 2. 姿勢を正す 3. タオルを膝で押しつける ( 内側広筋に力が入るように意識する ) 不良例 外 内 姿勢不良 背中を丸めてしまうと太ももの外側に力が入ってしまうため注意! 13
手術後 2~3 日 目標 歩行 :2 本の松葉杖を使用した歩行 ( 荷重をかけない or つま先接地 ) 階段昇降が可能 炎症症状の可及的消失 可動域の向上他動の膝屈伸可動域の獲得 ( 曲げは 90 以下 ) お皿の動き獲得 筋の機能向上大腿四頭筋トレーニング 股関節周囲のトレーニング リハビリ アイシング 足首上下運動 太もものほぐし ふくらはぎのほぐし お皿を動かす 大腿四頭筋トレーニング 曲げのトレーニング 股関節周囲のトレーニング 14
歩行 つま先タッチ 1 2 3 4 松葉杖 患側 健側 1. 両松葉杖を前方へ出す 2. 患側 ( 手術した脚 ) を前方へ出す 3. 健側を前方へ出す つま先タッチはつま先を床に接する程度であり体重はのっけない 15
太もものほぐし 伸びを良くする 指で圧迫 太ももの真横に指 ( またはほぐし棒 ) を当て 膝を軽く曲げ伸ばしをする 1 か所に圧迫を加えながら 20 回膝を動かし赤の線に沿って 3 往復ほど実施する 太もも後ろの外側に指 ( またはほぐし棒 ) を当て 膝を軽く曲げ伸ばしをする 1 か所に圧迫を加えながら 20 回膝を動かし赤の線に沿って 3 往復ほど実施する 16
ふくらはぎ後面のほぐし 指で圧迫 ふくらはぎの後面を圧迫しながら足首を上下に動かす 1 か所に圧迫を加えながら 20 回足首を動かし赤の線に沿って 3 往復ほど実施する 道具を使うとより簡単にほぐすことが可能になります 17
お皿の下をほぐす お皿を動かす お皿の下を指で圧迫しほぐす ( 膝蓋下脂肪体 ) 腫れが強い場合は実施しない お皿を内下方へ 膝の曲げ角度を増加 1. 膝を伸ばしたままお皿の外上側から内下側へ動かす 2. 膝下にタオルを入れ 曲げ角度を増加させてから同じようにお皿を動かす 3. 膝の曲げ角度をさらに増やしてお皿を動かす 18
大腿四頭筋のトレーニング 膝蓋腱つまみトレーニング つまんだまま膝を下に押しつける 膝下の腱をつまむ 膝を下に押しつける ( 大腿四頭筋に力を入れる ) 力を入れたときにお皿が上に上がるようにする 大腿直筋つまみトレーニング お皿の上の筋肉をつまむ そのままお皿を下へ押し出す つまんだまま 膝を下に押しつける ( 大腿四頭筋に力を入れる ) お皿が上に上がるようにする 19
膝曲げトレーニング 手で太ももを引き寄せるように膝を曲げる ( つま先が外側に向かないように注意 ) 20~30 回実施する 90 以上曲げないよう注意! 90 以上曲げると移植した靭帯にストレスがかかります! 20
股関節トレーニング股関節外転 患部外トレーニング 1. 枕とあばら骨の下にタオルをセット 2. お腹をへこませる 3. 脚を上にあげる 4. 骨盤が動かないようにする 骨盤が動かないように手で押さえつける 股関節側方に疲労感がくるように! 股関節伸展 1. お腹の下にタオルをセット 2. お腹をへこませる 3. 股関節を上にあげる 4. 腰が過剰に反らないようにする 股関節後方に疲労感がくるように! 21
股関節外旋 1. 枕とあばら骨の下にタオルをセット 2. お腹をへこませる 3. 股関節を開く 4. 骨盤が動かないようにする 股関節後方に疲労感がくるように! 股関節内転 1. 枕とあばら骨の下にタオルをセット 2. お腹をへこませる 3. 股関節を上にあげる 股関節後方に疲労感がくるように! 22
手術後 4~7 日 歩行 :2 本の松葉杖を使用した歩行 ( 体重をかけた状態 ) 炎症症状の可及的消失 可動域の向上他動の膝屈伸可動域の獲得 (10 日まで 90 度目標 ) 筋の機能向上大腿四頭筋トレーニング 股関節周囲トレーニング 手術後 10 日前後 抜糸後 ニーブレースからファンクショナルブレースへ 23
歩行 全足底接地 ( 体重をかけ始める ) 1 2 3 4 松葉杖 患側 健側 1. 両松葉杖を前方へ出す 2. 患側 ( 手術した脚 ) を前方へ出す ( 踵からしっかり接地する ) 3. 健側を前方へ出す 患側に徐々に荷重をかけ始める ( 荷重量に関しては理学療法士の指示をお待ちください ) 24
手術後 2~4 週 歩行 : 2 本の松葉杖を使用した歩行 徐々に松葉杖を 1 本 無し 炎症症状 腫れ 熱の減少 可動域の向上他動で完全伸展獲得 90 度まで曲げを確実に獲得お皿の動き獲得 筋の機能向上大腿四頭筋トレーニング 股関節周囲のトレーニング
歩行 片松葉杖歩行 1 2 3 4 松葉杖 患側 健側 1. 松葉杖を前方へ出す 2. 患側を前方へ出す 3. 健側を前方へ出す ほぼ正常に歩けるようにする松葉杖に頼りすぎないようにする 26
外側広筋 腸脛靭帯のほぐし 曲げを良くする 外側広筋腸脛靭帯 太ももの外側を圧迫し 膝を前後に動かす 1 か所に圧迫を加えながら 20 回膝を動かし 3 往復実施する 膝曲げトレーニング 腓骨 ( 外側の骨 ) を後ろから支えながら曲げるとより良い ) 手で太ももを引き寄せるように膝を曲げる 20~30 回実施する 27
手術後 4~10 週 歩行 : 松葉杖無し 歩行正常化 完全可動域の獲得 (0~125 ) 筋の機能向上大腿四頭筋トレーニング 股関節周囲トレーニング この時期は筋力 筋持久力の回復が重要 28
手術後 10~16 週 筋の機能向上下肢筋力の正常化筋パワー 筋持久力の向上スポーツに特化したパフォーマンスの獲得 3 か月 6 ヶ月 9 ヶ月で筋力測定を実施 手術後 16~22 週 スポーツ活動徐々にスポーツ種目に復帰 ( 部分的 ) 完全な復帰ではありません! スポーツに即した運動スキルの獲得 6~9 ヶ月を目安に復帰 筋力 可動域 運動スキルが伴わなければ復帰は出来ません!!
ふくらはぎのトレーニング カーフレイズ 1. 膝を 90 曲げ 踵をまっすぐ上にあげる ( 母趾球に荷重をかける ) 2. 慣れてきたら写真のように手で膝を押さえ負荷をかける 座った状態 立位 膝が内側に入らないように注意 踵が内側に入らないように注意 30
競技復帰に向けて 動作練習の必要性 競技復帰に向けて再受傷しないために より安全でより良い動作を獲得する必要があります 前十字靭帯損傷を含め様々な外傷予防として また受傷前以上のパフォーマンスに戻すことを目的としてしっかりとした動作を練習し 競技復帰への下準備を行います 31
スクワット ¼ スクワット ½ スクワット フルスクワット 開始肢位 膝と足先が同じ方向を向く 体幹を前傾させる 骨盤を前傾させる 母趾球に体重を乗せる 膝が内側に入らないようにする つま先が外を向かないようにする 猫背にならない 32
スプリットスクワット スクワットと同様の注意をする 後ろの膝を伸ばしたまま実施 膝が内側に入らないようにする つま先が外を向かないようにする 猫背にならない 33
ランジ スクワットと同様の注意をする 膝関節を 90 曲げる 骨盤が後ろに傾きやすいため注意 膝が内側に入らないようにする 骨盤の高さがずれないようにする 猫背にならない 34
片脚スクワット スクワットと同様の注意をする 股関節の中心と膝と足先が同じ方向を向くようにする 難しい場合は片脚スクワットをしている脚と反対の手を壁で支持してバランスを取りながら実施する 膝が内側に入らないようにする 骨盤の高さがずれないようにする 猫背にならない 上半身が傾かないようにする 35
ホップ スクワット姿勢 前方へ跳ねる 片脚立ち 着地が片脚スクワットの状態になるようにする 着地時にバランスを崩す場合は手で壁を支持する 36
ツイスト スクワットの姿勢から開始する 腰の位置を一定にし 膝と足先の向きを揃えたまま左右に振る 少し踵を浮かす 骨盤を捻らないようにする 足先と膝の向きがバラバラにならない 左右の脚が平行になるようにする 37
サイドステップ スタートポジション スクワット姿勢でかまえる 肩幅分だけ足を横に出し 再度スクワット姿勢に戻る 腰を落としたまま骨盤の位置は一定にする ( 上下に動かない ) 38
クロスステップ スクワット姿勢でかまえる ツイスト 動く方向と反対側の足をサイドに動かす 腰は落としたまま 骨盤の位置を一定にする 正面に戻る 39
膝曲げ歩き 膝が内側に入らないように! 背すじを伸ばしてきれいなおじぎをする 骨盤の高さは常に一定に! スクワット姿勢でかまえる スクワット姿勢をキープした状態で前方へ進む 体幹が上下 左右にぶれないように注意 40
ジャンプ 両脚ジャンプ 片脚ジャンプ スクワット姿勢 ジャンプ 両脚着地 スクワット姿勢 ジャンプ 片脚着地 片脚スク ワットの姿勢 スクワットと同様の注意をする 股関節の中心と膝と足先が同じ方向を向くようにする 41
ホームエクササイズは手術後の膝関節の機能を取り戻すためにも非常に重要なリハビリです ぜひ実行してください 分からないことがあれば理学療法士にお尋ねください 42