2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

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改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

商業 サービス業環境関連投資得拡大各要件の計算方法 まず 前事業年度 の つの事業年度について確認します 月末決算の会社の場合 月末以外の決算の場合 平成 年 大企業の場合 ( 月末以外の決算 ) 適用 1 年目 平成 年 平成 年 平成 年 < 要件 1> 雇用者給与等支給額がより一定割合増加して

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

法人税 faq

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成23年度税制改正の主要項目

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

労働基準法が改正されます

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1 設備投資をして生産性を高めたい! ~ 中小企業経営強化税制の創設 ~ ~ 固定資産税特例の拡充 ~ 利用できるのは 法 人 個人事業主 法人税 所得税固定資産税 省力化のため セルフレジ ( 複数台合計で約 1,500 万円 ) を導入したい! 何か使える支援策はないかしら? 経営力を向上させる

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

1 特別償却の適用例 コネクテッド インダストリーズ税制 (IoT 税制 ) よくあるご質問補足資料 例 ) a. 5,000 万円の課税対象設備を購入 ( 対象設備の法定耐用年数は 5 年とする ただし の計算法は 定額法 とする ) 5,000 万円 5 年 = 1000 万円 b. 当年度で

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

2. 減損損失の計上過程 [1] 資産のグルーピング 減損会計は 企業が投資をした固定資産 ( 有形固定資産のほか のれん等の無形固定資産なども含む ) を適用対象としますが 通常 固定資産は他の固定資産と相互に関連して収益やキャッシュ フロー ( 以下 CF) を生み出すものと考えられます こうし

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経営強化法の執行について

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

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「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

< F2D BD90AC E937889FC90B38E968D8088EA C92E8816A CC94C5816A81698E4F89DB91E58D6A94BD A2E6A7464>

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

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平成30年3月決算における税務上の留意事項

サービス業 5 千万円以下 100 人以下政令指定業種固定資産税のゼロ特例や国補助金の優先採択を受けることができます! 1 先端設備等導入計画 の概要 中小企業等が 計画期間内に 労働生産性を一定程度向上させるため 先端設備等を導入する計画を策定し その計画が北九州市の 導入促進基本計画 等に合致す

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

HPのトップページ更新原稿

要件① 雇用者給与等・・・・ (ざっくり) 平成24年度の給与総額と比べて、平成25年以降毎年、一定割合以上給与総額が増えていること。 <雇用者給与等支給額とは> <一定割合とは>

Q10 適用年度の前事業年度末日に雇用者がいない場合には 雇用増加割合が算出できないため 適用年度において雇用促進税制の適用を受けることはできないのか Q11 新設法人や新たに事業を開始した個人事業主は いつから雇用促進税制の適用を受けることができるのか Q12 法人が適用年度において決算期変更を行

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目次 ページ はじめに 奄美群島の税制特例制度 ( 国税 ) の概要 対象となる業種 対象となる設備投資 事業者 設備投資の規模等の要件 他の国税の優遇措置との比較 ( 例 : 過疎税制 ) 奄美群島の税制特例制度 ( 地方税 ) の概要奄美群島税制まとめ

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

法人税における役員特有の取扱いには 主に次のようなものがあります この取扱いは みなし役 員も対象となります 項目 役員給与 損金算入制限 過大役員給与 特有の取扱い 定期同額給与 ( 注 1) や事前確定届出給与 ( 注 2) など一定のもの以外は損金不算入 実質基準 ( 職務内容 収益状況など

雇用促進税制に関する Q&A 雇用促進税制について Q1 雇用促進税制とはどのような制度か ( 平成 28 年 4 月 1 日現在 ) Q2 雇用促進税制の適用要件を一度でも満たした場合には その後 適用年度中であれば継続して雇用促進税制の適用を受けることができるのか Q3 雇用者の採用を複数回に分

平成 28 年度税制改正の概要 1. 復興特区関係 * (1) 機械等に係る特別償却等の特例措置の5 年延長及び要件の緩和 * 要件緩和 : 建築物整備事業 ( テナント建物 ) の構造要件について まちなか再生計画に位置付けられた場合には 非耐火構造でも対象となるよう緩和 (2) 被災雇用者等を雇

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

二法人税法施行規則第六十一条の三第一号ロ及びハ並びに第二号ロ及びハ並びに第六十一条の五第一号ハ及びヘ並びに第二号ハ及びヘに掲げる勘定科目内訳明細書ホ別表に掲げる明細書 ( 当該明細書に記載されている事項又は記載すべき事項の内訳に係る部分に限る ) 四省令第五条第二項の規定により同項に規定する添付書面

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

平成27年3月決算における税務上の留意事項

Ⅲ.( 見直し ) 基礎控除基礎控除について 次の見直しを行う 1 控除額を一律 10 万円引き上げる 2 合計所得金額が 2,400 万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し 合計所得金額が 2,500 万円を超える個人については基礎控除の適用はできないこととする 上記の見

法人の減価償却制度の改正に関するQ&A

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【表紙】

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

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A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

会社税務のてびき目次 平成 28 年度 法人税関係税制改正のポイント 1 1 法人税は何にかかるか? 3 2 収益は どの時点で計上するか? 8 3 配当金を受け取ったときは? 15 4 売上原価を求める方法 19 5 売却した有価証券の損益を求める 24 コラム 1 社長が会社にお金を貸していたら

与党の平成 29 年度税制改正大綱 ( 平成 28 年 12 月 8 日 ) に記載された事項 森林吸収源対策の財源確保に係る森林環境税 ( 仮称 ) の創設について 第一 平成 29 年度税制改正の基本的考え方 6 森林吸収源対策 2020 年度及び2020 年以降の温室効果ガス削減目標の達成に向

総論 地方拠点強化税制とは? 税制等の支援措置を受けるためには? 3ページ 4ページ 拡充型事業とは? 5 ページ 移転型事業とは? 6 ページ 目次 各論 ステップ 1 ( 整備計画 ) 本社機能とは? どのような支援措置があるの? 支援のメリットについて整備計画の認定はいつまでに受ければいいの?

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[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

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収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

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平成19年度 法人の減価償却制度の改正のあらまし

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実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

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現段階での状況に基づく内容になりますので今後変更の可能性がありえます 項目内容回答 ( 対応方針 ) 説明先今後の備考 8 対象者 本税制の対象となる法人に制限はあるのか 青色申告書を提出する法人であれば 業種 資本金規模を問わずに対象となる予定です 本税制の対象となる設備は ソフトウェア 器具備

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

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平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

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中小企業のための法人税の優遇制度 久住透相談部東京相談室 中小企業支援策の一環として 法人税においては中小企業を対象とした優遇制度が設けられています しかし ひと口に優遇制度といっても 中小企業のみを対象とする制度と 中小企業以外でも対象となるものの中小企業であれば要件が緩和される あるいはより大きな優遇が受けられる制度があります また 適用対象となる中小企業の範囲は 制度により異なることがあります 今回は 中小企業のために設けられている法人税の優遇制度について 主なものを整理して解説します 紙面の都合により 各制度の内容や適用要件などは その概要のみを簡潔に解説しています 制度の適用を検討する際は 官公庁のパンフレットを参照したり 税務署や税理士などの専門家に問い合わせたりするなどの方法により 制度の内容や適用要件などの詳細を確認してください 1. 優遇制度の対象となる中小企業 優遇制度の対象となる中小企業は 中小法人等 と 中小企業者等 に区分され 適用される主な 制度が異なります 中小法人等 中小企業者等 資本金の額または出資金の額が 1 億円以下の普通法人 ( 資本金の額または出資金の額が 5 億円以上の法人などによる完全支配関係 発行済株式等の 100% 保有 があるものなどを除く ) など 資本金の額または出資金の額が 1 億円以下の法人 (1 発行済株式総数等の 2 分の 1 以上が同一の大規模法人 [ 資本金の額もしくは出資金の額が 1 億円超など一定の法人 ] に所有されている法人 2 発行済株式総数等の 3 分の 2 以上が複数の大規模法人に所有されている法人 を除く ) などで 青色申告書を提出するもの 中小法人等 のうち 一定のもののみが 中小企業者等 に該当します 普通法人 については 中小企業者等 に該当すれば 中小法人等 にも該当することになります したがって 中小企業者等 に該当する 普通法人 は 中小企業者等 に適用される制度だけでなく 中小法人等 が対象となる制度も適用されます 1

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介しています (a) 法人税の軽減税率の適用 1 2(No.5800) (b) 特定同族会社の特別税率の不適用 3( 第 9 章第 2 節 ) 2(No.5800) (c) 貸倒引当金制度の適用 4(Ⅳ 貸倒引当金の見直し ) 2(No.5500/No.5800) (d) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を法定繰入率で算出できる 2(No.5501 /No.5800) (e) 支出する交際費等の額のうち定額控除限度額 ( 年 800 万円 ) までの金額の損金算入ができる ( 接待飲食費の額の 50% の損金算入との選択適用 ) 1 2(No.5265/No.5800) (f) 欠損金の繰越控除において欠損金額を各事業年度の所得金額の全額まで損金算入がで きる 1 2(No.5762/No.5800) (g) 欠損金の繰戻しによる還付制度の適用 1 2(No.5763/No.5800) [2] 中小企業者等 に適用される主な優遇制度 いずれの制度も 青色申告法人 ( 中小企業者等 は青色申告法人) が対象となります (1) 一定の設備等の取得等や試験研究費がある場合の優遇制度 A. 中小企業投資促進税制 1 2(No.5433) 5 (a) 中小企業者等が特定機械装置等のうち一定のものを取得等して国内の指定事業の用に供した場合に取得価額の 30% の特別償却が適用できます (b) 中小企業者等のうち資本金の額または出資金の額が 3,000 万円以下などの一定の法人の場合は 上記 (a) に代えて取得価額の 7% の法人税額の特別控除の選択適用ができます (c) 特定生産性向上設備等の場合は 上記 (a)(b) に代えて即時償却 ( 特別償却 ) または法人税額の特別控除 ( 中小企業者等は取得価額の 7% 中小企業者等のうち資本金の額または出資金の額が 3,000 万円以下などの一定の法人は取得価額の 10%) が適用できます ( イ ) 法人税額の特別控除は その事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ロ ) 適用期限は平成 29 年 3 月 31 日 ( ハ ) 対象となる機械装置等 ( 特定機械装置等 ) 事業 ( 指定事業 ) の範囲が限定されています ( ニ ) 中古の機械装置等の取得等 機械装置等を貸付用とした場合は ( 一部を除く ) 対象外 ( ホ ) 生産性向上設備投資促進税制 ( 次項 B) との選択適用 2

B. 生産性向上設備投資促進税制 1 2(No.5455) 6 青色申告法人が指定期間内に特定生産性向上設備等のうち一定のものを取得等して国内の一定の事業の用に供した場合は 取得価額の 50% の特別償却または取得価額の 4% の法人税額の特別控除が適用できます ただし 特定期間内の取得等の場合は 即時償却または取得価額の 5% の法人税額の特別控除の適用ができます ( イ ) 生産性向上設備等には 先端設備 と 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備 があります 中小企業者等の場合は 一部の要件 ( 投資利益率や対象設備 ) が緩和されます ( ロ ) 建物および構築物の場合は 上記の指定期間内の取得等における適用は取得価額の 25% の特別償却または取得価額の 2% の法人税額の特別控除 上記の特定期間内の取得等における適用は即時償却または取得価額の 3% の法人税額の特別控除となります ( ハ ) 法人税額の特別控除は その事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ニ ) 指定期間は平成 29 年 3 月 31 日まで 特定期間は平成 28 年 3 月 31 日まで ( ホ ) 中古の設備等の取得等 設備等を貸付用とした場合は対象外 ( ヘ ) 中小企業投資促進税制 ( 前項 A) との選択適用 C. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 1 2(No.5408) 中小企業者等が少額減価償却資産 ( 取得価額 30 万円未満の減価償却資産 ) を取得等して事業の用に供した場合は 当該事業年度にその取得価額の全額を損金算入できます ( イ ) その事業年度の少額減価償却資産の取得価額の合計額は 300 万円が限度 ( ロ ) 適用期限は平成 28 年 3 月 31 日 D. 環境関連投資促進税制 [ グリーン投資減税 ] 1 2(No.5454) 7 青色申告法人がエネルギー環境負荷低減推進設備等のうち 一定のものを取得等して 1 年以内に国内の一定の事業の用に供した場合は 取得価額の 30% の特別償却が適用できます 中小企業者等は この特別償却と取得価額の 7% の法人税額の特別控除との選択適用ができます ( イ ) 一定の風力発電設備の場合は 上記の特別償却に代えて即時償却が適用されます ( ロ ) 法人税額の特別控除は その事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ハ ) 適用期限は平成 28 年 3 月 31 日 ( ニ ) 中古の設備等の取得等や 設備等のうち一定のものを貸付用にした場合などは対象外 ( ホ ) 国または地方公共団体の補助金等をもって取得等したものは対象外 3

E. 商業 サービス業 農林水産業活性化税制 1 8 (a) 認定経営革新等支援機関等から経営改善指導 助言を受けた旨を明らかにする書類の交付を受けた中小企業者等 ( 他の制度と一部対象法人等が異なります ) が その書類に記載された器具 備品 建物附属設備 ( 経営改善設備 ) のうち一定のものを取得等して国内の一定の商業 サービス業 農林水産業の事業の用に供した場合に 取得価額の 30% の特別償却が適用できます (b) 上記 (a) の適用対象となる中小企業者等のうち 資本金の額または出資金の額が 3,000 万円以下などの一定の法人の場合は (a) に代えて取得価額の 7% の法人税額の特別控除の選択適用ができます ( イ ) 法人税額の特別控除は その事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ロ ) 適用期限は平成 29 年 3 月 31 日 ( ハ ) 中古の設備の取得等 設備を貸付用にした場合は対象外 F. 中小企業技術基盤強化税制 [ 研究開発税制 ( 総額型 )] 1 2(No.5441/No.5442/No.5443 /No.5444) 9 中小企業者等の各事業年度において損金算入される試験研究費の額がある場合は その試験研究費の総額の 12% の法人税額の特別控除が適用できます ( イ ) 中小企業者等が 青色申告法人に適用される試験研究費の総額の一定割合 (8~10%) の法人税額の特別控除 の制度に代えて適用できる制度です ( ロ ) 特別控除の額は その事業年度の法人税額の 25% が限度 ( ハ ) 適用期限なし ( 恒久措置 ) [ 参考 ] 上記のほかに 特別試験研究費の額がある場合 試験研究費が一定水準を超えて増加した場合は 試験研究費が平均売上高の一定割合を超える場合の税額控除制度があります (2) 雇用者の数や給与等の増加がある場合の優遇制度 A. 中小企業雇用促進税制 1 2(No.5926) 10 一定の適用事業を営む青色申告法人が 雇用者数を増加させた一定の場合に適用がある制度 中小企業者等の場合は 雇用者を前事業年度末比 2 人以上かつ 10% 以上増加させ かつ給与等支給額を前事業年度比一定以上増加させるなど一定の要件を満たした場合は 40 万円に雇用者増加数を乗じた額の法人税額の特別控除が適用できます ( イ ) 中小企業者等の場合 特別控除の額はその事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ロ ) 適用期限は平成 28 年 3 月 31 日までに開始する各事業年度 ( ハ ) あらかじめ雇用促進計画をハローワークに提出することなどが必要 ( ニ ) 所得拡大促進税制 ( 次項 B) との選択適用 ( ホ ) 平成 27 年度税制改正で 本制度を拡充する内容の特例 ( 地域拠点強化税制 ) が創設されました この特例を本制度と併用すると 本制度の適用について一定の調整があります 4

B. 所得拡大促進税制 1 2(No.5927) 青色申告法人が国内雇用者に対して支給する給与等について 本事業年度の給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額に比べて一定割合以上増加していることなどの要件を満たす場合は 雇用者給与等支給増加額の 10% の法人税額の特別控除が適用できます 中小企業者等は 中小企業者等以外の法人に比べ この一定割合の要件が緩和されています ( 中小企業者等の場合 平成 27 年 4 月以後開始事業年度は 3%) ( イ ) 中小企業者等の場合は 特別控除の額はその事業年度の法人税額の 20% が限度 ( ロ ) 適用期限は平成 30 年 3 月 31 日までに開始する各事業年度 ( ハ ) 雇用促進税制 ( 前項 A) との選択適用 3. 参考資料一覧 1 中小企業庁 中小企業税制 < 平成 27 年度版 > http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/2015/150702zeisei.pdf 2 国税庁タックスアンサー http://www.nta.go.jp/taxanswer/index2.htm (4ケタの番号をキーワードにして検索可能です) No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 No.5433 中小企業等投資促進税制 No.5441 研究開発税制について ( 概要 ) No.5442 試験研究費の総額に係る税額控除制度 No.5443 特別試験研究に係る税額控除制度 No.5444 中小企業技術基盤強化税制 No.5454 環境関連投資促進税制 No.5455 生産性向上設備投資促進税制 No.5500 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲 No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定 No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除 No.5763 欠損金の繰戻しによる還付 No.5800 資本金等が5 億円以上の法人等の 100% 子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について No.5926 雇用促進税制 No.5927 所得拡大税制 3 税務大学校 税大講本法人税法 ( 平成 27 年度版 ) https://www.nta.go.jp/ntc/kouhon/houjin/mokuji.htm 4 国税庁 平成 23 年度法人税関係法令の改正の概要 ( 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律関係 ) https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2011_1/01.htm 5 中小企業庁 中小企業投資促進税制 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2014/tyuusyoukigyoutousisokusinzeisei.htm 6 経済産業省 生産性向上設備投資促進税制 http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html 7 資源エネルギー庁 グリーン投資減税 http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/green_tax/greensite/green/ 5

8 中小企業庁 商業 サービス業の設備投資を応援します ( 商業 サービス業 農林水産業活性化税制 ) http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/150401zeisei.htm 9 経済産業省 研究開発税制 http://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax.html 10 厚生労働省 雇用促進税制 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/roudouseisaku/koyo usokushinzei.html 内容は 2015 年 12 月 24 日時点の情報に基づいて作成されたものです 本情報は 法律 会計 税務などの一般的な説明です 個別具体的な法律上 会計上 税務上等の判断や対策などについては専門家 ( 弁護士 公認会計士 税理士など ) にご相談ください また 本情報の全部または一部を無断で複写 複製 ( コピー ) することは著作権法上での例外を除き 禁じられています みずほ総合研究所相談部東京相談室 03-3591-7077 / 大阪相談室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/service/membership/advice/ 6