岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - - ハ イテック 4 3 I60 用手法 4 = 4 MIC:μg/ml ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 3 KB テ ィスク 5 VCM 阻止円直径 :mm MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU マイクロスキャン = = ハ イ

Similar documents
<4D F736F F D20824F B C838982CC8C9F8DB896402E646F63>

スライド タイトルなし

耐性菌届出基準



「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

(Microsoft Word - \202\205\202\2232-1HP.doc)

浜松地区における耐性菌調査の報告

Microsoft Word - 届出基準

白金耳ご購読者各位

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

<4D F736F F F696E74202D208DD78BDB82CC95AA97A C977B814593AF92E85B93C782DD8EE682E890EA97705D>

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎


別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

平成 28 年度 ( 第 29 回 ) 和歌山県臨床検査技師会臨床検査精度管理調査 微生物検査速報結果

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937890B893788AC7979D95F18D9089EF2894F790B695A8298DC58F4994C52E B93C782DD8EE682E890EA97705D205B8CDD8AB B83685D>

試料 M1 Haemophilus influenzae 同定検査サーベイの成績 評価対象 1. 結果 1) 同定菌名参加 50 施設における同定菌名の回答状況を表 1 に示した Haemophilus influenzae の回答を評価 A とした 全施設が H. influenzae と回答して

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「総論」(2017年4月12日開催)

目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

<4D F736F F D D8ACC8D6495CF8AB38ED282CC88E397C38AD698418AB490F58FC782C982A882A282C48D4C88E E B8

分離・同定検査

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい


R01

R06_01

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

スライド 1


分離同定 薬剤感受性 微生物 3 Serratia marcescence ( メタロβ-ラクタマーゼ陽性臨床分離株 ) 調整した菌液を滅菌綿棒にしみ込ませ アミーズ培地に保存し 試料として配布した これを各施設常用の方法を用いて同定し回答を得た また 同様に薬剤感受性試験についての回答を得た 薬剤

1 2

診断ワークショップ5

スライド 1

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

第10回 感染制御部勉強会 「症例から考える感染症診療」

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

2009年8月17日

化学療法2005.ppt

Microsoft Word - SalmonellsST

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx

インフルエンザ(成人)

10 Robinsoniella peoriensis の同定について 佐久間彩加 1) 山崎裕貴 1) 川島千亜紀 1) 横山明孝 1) 澤村治樹 1) 社会医療法人杏嶺会一宮西病院 1) はじめに Robinsoniella peoriensis は嫌気性有芽胞グラム陽性桿菌で 2009 年に登

医療機関における診断のための検査ガイドライン

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

DNA/RNA調製法 実験ガイド

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

針刺し切創発生時の対応

Clostridium difficile 毒素遺伝子検査を踏まえた検査アルゴリズム

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

検査項目情報 水痘. 帯状ヘルペスウイルス抗体 IgG [EIA] [ 髄液 ] varicella-zoster virus, viral antibody IgG 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法およびそれに用いるシステム

Transcription:

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - - 微生物検査 浅野裕子 はじめに 平成 4 年度の微生物サーベイは 資料問題 問 Photo urvey0 問を出題しました 資料問題は CLI の方法に準じて薬剤感受性試験を実施すると正しい 判定になる M 株を用い 感受性結果の回収をしま した Photo urvey 問題は 問題数が例年の倍の 0 問となりましたので 一般細菌 嫌気性菌 真菌 寄生虫と広範囲にわたって出題しました 中でも 4 年度の夏期微生物研究班研修会にて 腸管感染症 を取り上げましたので その中から感染症法 3 類 全数届出の菌種を含めた 3 問を出題しました その他の問題も鏡検と患者情報からポイントを絞って推 測できる菌種を中心に問題作成を行ないました 資料問題 試料 4 女性が庭でケガをし 数日後に受傷部は化膿した 感染部位に強い痛みを感じたことから受診した 培養により 同定された微生物の菌種をコード より選択してください 薬剤は BPC CEZ VCM 3 剤の薬剤感受性 試験を行い. I で判定 回答してください 同定検査評価 M 0 9% D t.aureus Clostoridium 9% 試料問題 ( 資料 4) 試料問題 ( 資料 4) 実施項目 Photo urvey 問題 ~9 Photo urvey 問題 0 参加施設数 同定感受性菌種推定 : 評価対象問題 試料問題 Photo urvey 3 施設 施設 試料の取り扱い. カルチャースワブにて送付いたしました 評価外問題. 試料到着後はできるだけ速やかに適切な培地に塗 り広げてください 3. 以下の患者データを参考に同定と設問に答えてく ださい * 生菌ですので 感染には十分注意して下さい 感受性試験結果 BPC MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU 4 5 マイクロスキャン 8 4 ハ イテック 4 I60 用手法 8 8 4 6 MIC:μg/ml ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 5 3 KB テ ィスク 5 N テ ィスク 4 CEZ 阻止円直径 :mm MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU マイクロスキャン 8 8 8 >8 4

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - - ハ イテック 4 3 I60 用手法 4 = 4 MIC:μg/ml ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 3 KB テ ィスク 5 VCM 阻止円直径 :mm MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU マイクロスキャン = = ハ イテック 0.5 3 I60 用手法 4 = MIC:μg/ml 3 ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 7 8 KB テ ィスク 薬剤感受性検査 阻止円直径 :mm 評価判定施設数比率 BPC 3 00% D CEZ CEZ 0 95% VCM 00% ブドウ球菌は 以下の方法で同定を進めます マンニット食塩培地発育 コアグラーゼ試験 ( ウサギプラズマ凝集 ) 3M 選択培地発育 卵黄反応確認 4 薬剤感受性試験 ( 微量液体希釈法 ) における MPIPC と CFX の MIC 値 CLI の M 測定基準接種菌量 McF No.0.5 を 0 倍希釈 培養温度 35 MPIPC の培養時間 4 時間 M の CLI の判定基準 MPIPC : 4 *MPIPC および CFX のどちらか一方でも と判定された場合は M と報告する この資料問題の株は 培養時間が短い場合 MPIPC の MIC 値が低値となり M と判定される菌株です CLI の基準に従って 4 時間で培養 判定した場合 は MPIPC の MIC 値は 4~8 µg/ml の となり M と判定されます 今回は 施設で M と判定 されていました 該当施設は培養時間に注意が必要 です さらに mec の低レベル発現や PBP の変異など M の判定を見落とさないために CLI では M00-0 にて MPIPC および CFX 試験に関するコメン トが明確になりました :CFX および MPIPC の両剤を.aureus もしくは.lugdunensis に対して試験し いずれかの結果が耐性の場合 その菌は MPIPC 耐性 として報告する と記載されています 上記に CLI の判定基準を記載しましたので参考にしてください また MIC 値の結果報告に際して 濃度以上の表記 は > を使います は使いません 記載ミスには 注意が必要です 試料 4 45 人が参加した昼食会で出されたケータリング 食により食中毒が発生した 食事をした 30% のヒト が 食後 3 時間で吐き気をもよおし 嘔吐した 保健所は チキンライスから この菌を分離し 原因 菌であると発表した 培養を行ない 食材の菌検索し 原因と思われる菌種をコードより選択してくだ さい 同定検査評価 CFX : 8 MPIPC : CFX : 0mm mm 4 試料 4 の M 株 BPC の期待値 ~ 8 µg/ml VCM の期待値 0.5 ~ µg/ml MPIPC の期待値 4 ~ 8 µg/ml CFX の期待値 8 ~6 µg/ml Bacillus cereus 3 00% ポイント : チキンライス と 食後 3 時間で吐き 気 から Bacillus cereus が疑われます 菌は太い GP で連鎖を成します 分枝はなく偏性好気性 ~ 通

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 3 - 性嫌気性です カタラーゼ陽性 Metronidazole 耐 性で有芽胞の Closutoridium と区別がつきます Photo urvey 症例 ~9 の患者背景 検査データを Photo を添 えて出題します 推定される菌名を菌名マスターから選んでください Photo urvey 設問 患者背景 :70 代男性 3 か月前から 右耳のべたつ きを感じ 自分の声が聴きにくくなったことから耳 鼻科を受診された 右鼓膜に黄色膿瘍の付着があり 発赤と軽度浮腫があった 細菌検査 提出された耳漏の培養から真菌が発育 した サブロー寒天培地に巨大集落を形成させたところ 写真 - のごとく発育した 写真 - ポイント : サブロー寒天培地 35 日目 黒 色の巨大集落が発育しました spergillus 属は 下記の図 に示すように 顕微鏡による各微細構造の形状 大きさが種の同定のた めの指標になっています 問題は 以下の鑑別点か ら spergillus niger と推察されます spergillus spergillus flavus flavus spergillus niger 図. 病原性を示す spergillus の模式図病原真菌学 ( 南山堂 ) より引用 spergillus niger の形態的特徴は 頂嚢が大型で球形あるいは 亜球形 45~75μm と大きいことから顕微鏡 00 で観察可能である フィアライドとメツラは 段で頂嚢全体を覆っている 分生子は球形刺状突起を有し 直径 巨大集落サブロー寒天培地 35 48 時間 写真 - 3.5~4.5μm 本菌種は ブドウ コーヒー豆などに危害引き起こすことが問題になっている spergillus flavus は 頂嚢はフラスコ型で直径 5 ~45μm コロニーは 最初黄色 のちに黄緑から青緑コロニーです 頂嚢の / から/3 にメツラ フィアライドを形成する ) ラクトフェノール コットンブルー染色 00. 同定検査評価 B spergillus niger spergillus sp. 8 9% C spergillus flavus 5% D Mucor sp 5% ムコールの巨大集落 サフ ロー寒天培地 30 5 日間養 7 日間培養 接合菌 Mucor は寒天培地上 速やかに綿菓子用コロニーを作るので これだけでも他の糸状菌と鑑別 できる その他に形態学的特徴は 幅の広い (6~5

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 4 - μ) 無隔菌糸をつくる 有性胞子として接合胞子を 無性胞子として胞子嚢胞子を作る. 文献 ) 矢口貴志 :spergillus 属 : 文化財の虫菌害 :59 号 009 ) 山口英世 : 病原真菌と真菌症南山堂 Photo urvey 設問 患者背景 :60 代男性 か月前から 抗癌剤治療により入院中 CZOP 投与中であったが 悪寒と吐き 気 38.3 の発熱があった 検査値は WBC 960 Hb 8.6g/d Pt 45.8 万 CP 4.9mg/dl 血液培養は 48 時間後に陽性となった グラム染色 と後日の培養コロニーは以下のごとくであった 写真 - で判定します C,glabrata は 発芽管を形成しない ので 血液培養の中では 伸びたものは見られない ことなども鑑別ポイントです Candida albicans Green with paler edges( エメラルドグリーン ) Candida glablata Dark pink( 濃い八重桜 のような色 ) Candida albicans Photo urvey 設問 3 患者背景 :60 歳代女性 咳と 38.7 発熱があり 紹介受診された 検査値は WBC 990 /μl Hb 7.6g/d Pt 9.5 万 /μl CP 9.64mg/dl 右下肺野中心に肺炎像があり 喀痰のグラム染色が 至急で依頼された 喀痰グラム染色は写真のごとく であった 写真 3- Candida glablata 血液培養 35 48 時間培養陽性 グラム染色 000 写真 - クロモアガーカンジダ培地 48 時間培養. 同定検査評価 Candida glablata 9 86% B Candida sp 9% C Candida albicans 5% ポイント :CHOMagar Candida 培地は カンジダ 属の主要菌種を色別に分けられる培地です 培地中のクロムペプトンをカンジダが分解し発色 する CHOMagar TM は Dr. ambach が登録商標を持 っているもので クロモアガーの BD 製も関東化学製も同じ色調変化を示し 37 で 48 時間培養し 色調 喀痰のグラム染色 00 写真 3- 喀痰のグラム染色 000 3. 同定検査評価

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 5 - ポイント : 鏡検時に白血球は 淡紅色に染色されて いるか? 細菌の観察は 染色性 形態 配列 貪食像 量を判定 炎症細胞浸潤と菌体の貧食像があれば 起 炎性は高いと考えられます 喀痰は 00 倍で鏡検 Geckler の分類はグレード 5 次に 000 倍で観察し グラム陽性双球菌 莢膜が抜けて染色されており 肺炎球菌が推察できます Photo urvey 設問 4 患者背景 :60 代男性 海外出張から帰国後 発熱と腹痛を発症 血液培養と便培養を実施したところ便 から写真 4-.4- の菌が発育した 生化学的鑑別性 状は 写真 4-3 のごとくであった 推定される菌名をコード表より選択してください 写真 4- treptococcus pneumoniae DHL 寒天培地 35 4 時間培養写真 4-4. 同定検査評価 00% almonella Typhi 0 9% () almonella sp. 5% D Proteus sp. 5% ポイント : 海外出張から帰国後 発熱と腹痛 寒天培地上 中心部が極わずかに黒色 TI 凝固水部分が僅かに黒色 以下の生化学的性状により推察されます この設問に対して Vi 抗原を確認してから判定 回答 することを考えると almonella sp も正解としました TI 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色高層 : ブドウ糖分解により黄色を示す 硫化水素 は産生されるが 高層上部または凝固水部分が僅かに黒色となるのみである 境界線に硫化水素 ガス非産生 シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない ( 緑色 ) クエン酸塩を炭素源として利用しない LIM リジン : 陽性 ( 紫色 ) リジン脱炭酸反応 運動性 : 培地の混濁が認められる 運動性が弱い場合や 認められない場合もある インドール : 陰性 Kovacs 試薬を添加しても色の変化はない 寒天培地 35 4 時間培養写真 4-3 確認検査 チフス菌 :Vi 血清 O 血清を用いてスライド凝 集反応を行なう Vi 血清にのみ凝集するかあるいは Vi 血清に凝集し しかも O 因子血清 (O9) にも 凝集するときは 被検菌は Vi 抗原を持つ菌であると判定する Vi 抗原は易熱性抗原であるから 0~30 分加熱後 加熱死菌が Vi 血清に凝 集しなくなることを確認する 加熱死菌は O9 には凝集する 稀に Vi 抗原を持たない株があることに注 意する 届け出腸チフス患者と診断した場合には 法第 条第 項 の規定による届出を直ちに行わなければなりません 生化学的性状検査

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 6 - Photo urvey 設問 5 患者背景 :50 代女性 下痢を発症 便培養をしたと ころ写真 5-5- のごとくコロニーが発育した 生化学的鑑別性状検査は 写真 5-3 のごとくであった 推定される菌名をコード表より選択してください 写真 5- ( 緑色 ) クエン酸塩を炭素源として利用しない LIM リジン : 陽性 ( 紫色 ) リジン脱炭酸反応 運動性 : 培地の混濁が認められる 運動性があり試薬添加後 インドール陽性 運動性は陽性 寒天培地上では 乳糖非分解で中心部が黒色で almonella のコロニーと似ています 本菌は海水 淡水いずれにも生息しているので ヘビ 両生類な どの消化管や魚類から分離されています ヒトへは下痢を主症状とする腸管感染症が 8 割を占めるとさ れており 検体は便 胆汁 創傷などから分離され る まれに壊死性菌膜炎の報告 3) 4) もあります DHL 寒天培地 35 4 時間培養写真 5- Photo urvey 設問 6 患者背景 :40 代男性 東南アジア出張から帰国の 週間後 38 以上の高熱が続いた 比較的徐脈 で 脾腫 便秘の症状を呈していた 血液検査と便検査を実施したところ便から写真 6-6- の菌が発育した 生化学的鑑別性状試験は 写 真 6-3 のごとくであった 写真 6- 寒天培地 35 4 時間培養写真 6- 写真 5-3 DHL 寒天培地 35 4 時間培養 写真 6- 生化学的鑑別性状検査 35 4 時間培養 5. 同定検査評価 ポイント : 以下の生化学的性状により推察されます TI : Edwardsiella tarda 8 86% Edwardsiella sp. 4 8% 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色高層 : ブドウ糖非分解により赤色を示す 硫化水 素は産生される素 ガス非産生 シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない 寒天培地 35 4 時間培養写真 6-3 生化学的鑑別性状検査 35 4 時間培養

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 7-6. 同定検査評価 菌名件数比率 almonella Paratyhi ポイント : 東南アジア出張から帰国 寒天培地上 透明 血清型別は O 群血清 O 以下の生化学的性状により推察されます 6) TI 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色 高層 : 黒変なし ガス産生 LIM リジン : 陰性 黄色 運動性 : 培地 の混濁が認められる インドール : 陰性 Kovacs 試薬を添加しても色の変化はない シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない ( 緑色 ) ヒトにチフス症を起こす菌は チフス菌 (. Typhi) とパラチフス 菌 (. Paratyphi) があり 3 類感染症に分類される チフス菌は食物 水など とともに体内にとり込まれ 回腸下部に付着し そ こで感染 増殖するとともにリンパ管を介してリンパ節に侵入し ついで胸管を経て血流中に入り 脾 臓 肝臓 骨髄 腎臓など身体各部に伝播する 腸チフスの経過と菌の検出 潜伏期 :5~4 日 平均 7~8 日 この期間は菌が腸 リンパ節で盛んに増殖しているが そこから糞便中に排出される 菌数は少ない 初期 ( 第 週 ): リンパ節からリンパ管 血流を介 して菌が各臓器に伝播されはじめる 体温が徐々に上昇し 4~5 日で 40 台に達する この期間は菌が血中に濃厚に存在する ( 血 液培養 ) 極期 ( 第 週 ): 発熱が続く 尿 便中にはあまり菌は認められない バラ疹 も著明となる 緩解期 ( 第 3 週 ): 脾臓 肝臓 腎臓などの病巣の 菌が尿中に排出されるため尿の培養を行なう 肝臓に侵入した菌はそこで増殖し 胆汁とともに腸管内に排出されるので 第 週の 終わり頃より菌は糞便からも検出されるよ うになる ( 血液 尿 便培養 ) 徐々に回復期に入る 尿中の菌が減少し 菌の排出 は糞便への経路が主体となる ( 便培養 ) 病期によって検査対象となる検体が違ってきます 文献 3) 原賢寿ら.E.tarda 敗血症による腓腹部に限局した 筋膜炎 臨床神経学 009:5.9 00% 5) 西山秀樹ら. 壊死性筋膜炎を伴った E.tarda 感染症 の 例. 日本臨床微生物学会誌 007:7.30 6) 国立感染症研究所病原体検査マニュアル Photo urvey 設問 7 患者背景 :80 代男性 海釣りが趣味でよく出かけていた 釣り針が手に引っ掛かり負傷したが そのま ま放置していたところ 腫脹と疼痛の症状が現れ 受診となった 細菌検査に出された膿瘍に抗酸菌が 認められた 推定される微生物名をコードより選択 してください 写真 7- ポイント 膿瘍のチールネルゼン染色 000 海釣り中での受傷部分の膿瘍 小川培地では 7 で発育 35 で初代発育しない 光照射後に黄色 C 7. 同定検査評価 写真 7- M, kansasi も M, marinam と同じく光発色性の 菌ではあるが M, marinam のコロニーはスムース型 M, kansasi ラフ型が多く 対象疾患は 呼吸器系感 染が多く 中でも肺上葉に好発し空洞を伴うことが 多い 菌名件数比率 Mycobacterium marinam Mycobacterium kansasi 光照射前 3% 小川培地 光照射後 7 0 日間培養 0 9% 9% hoto urvey 設問 8 患者背景 : 山のサマーキャンプに参加した小学生が 帰宅後 週間近く胃腸の異常が続いた 症状とし

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 8 - ては 痛みを伴う膨満感と柔便であった 便を直接 鏡検すると多数の虫体が見られた 推 定される微生物名をコードより選択してください ( 写真提供 : 岐阜市民病院 一柳先生 ) 写真 9- グラム染色にて針状 GN 000 写真 9-.3 8-8. 同定検査評価 ポイント 菌名件数比率 Giardia lamblia 95% Giardia sp. 5% 感染経路 : 汚染された湖や河川水中の嚢子を 摂取したことから 感染したと考えられる 血液液の混じらない水溶便 栄養型は左右対称の洋ナシ型で 常時 核で 4 対の鞭毛がある ブルセラ HK- 寒天培地 HK 半流動生培地 35 3 日間培養 9. 同定検査評価 菌名件数比率 Fusobacterium 8 8% nucleatum Fusobacterium sp. 3 4% D Flavobacterium sp. 5% 文献 7) 国立感染症研究所感染症情報センター感染症の話 Photo urvey 設問 9 患者背景 :30 代男性 週間ぐらい前から咽頭痛が あり 次第に痛みが増して食事ができなくなったこ とから 耳鼻咽喉科を受診し 扁桃周囲膿瘍と診断された症例 口蓋弓が発赤 腫脹 一部黄変して自 壊しそうな状態であったことから 穿刺 多量の膿汁が吸引された グラム染色は 写真 9- のごとく 針状の GN が認められた 推定される微生物の菌名 をコードより選択してください ポイント 塗抹検査で針状の GN HK 半流動生培地で嫌気性菌を疑う ブルセラ HK- 寒天培地 直径 mm ぐらい の白いパンくず状コロニーが発育した 紫外線照射をすると黄色の蛍光色を発した ( インドール陽性 ) Photo urvey 設問 0 評価対象外問題 患者背景 : 70 代男性 腎盂腎炎の診断にて入院 前医にて LVFX が投与され 当院 救急外来にて CTX が使用され 入院となった CTX 投与前の血液と尿

岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 9 - の細菌検査からは 翌日 大腸菌が分離された 写真 0- 表 0-. 薬剤感受性試験結果 (MIC:μg/ml) BPC >3 CPZ/BT CEZ >3 FMOX CTM >3 MEPM CTX >3 IPM CZ LVFX >6 CFPM ZT 4 設問 0 以上のデータを見て正しい項目を選択 してください a. 感染対策として手洗いの遵守 処置時のガウン 使用など接触予防策を行った b. 耐性遺伝子は 染色体上に存在しているため グラム陰性桿菌の間で伝搬する可能性がある 染色体プラスミド EBL の遺伝子は 多くはその由来がプラスミド媒 介性のペニシリナーゼであったため 接合伝達によって腸内細菌科の同一あるいは異なる菌種間で遺伝 子が伝達していくと考えられる c. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に 関する法律 によって 症例の診断が確定した場合 保険所に届ける必要がある 必要ある CPDX(0μg/ml) CZ(30μg/ml) CTX(30μg/ml) の単剤と clavulanic acid (CV) を添加したディスク拡散法による確認試験 必要ない d. 救急外来での CTX 投与により 翌日には解熱したため 今後も CTX 日 回の投与を継続した CLI の M00- の基準 MIC のブレイ クポイントを採用 :CTXg/ 日投与なら継続してよい e. CFPM の MIC 値は μg/ml であった 判定は とした CLI の M00- の基準であれば に しなくて良い CFPM は g 4 日または g 3/ 日 CFPM は g を 時間の標準量ではなく g 8 時間毎 の高用量なら効くとの報告もある 8) 文献 8)ntimicrob gents Chemother. 003;47:344 7 今回の 00 年 CLI ドキュメントでのブレイクポ イントの変更は 抗菌薬について用法容量の制約も あり 米国と日本でその基準が異なることや EBL のスクリーニングテストを実施しなかった場合 報 告時に EBL の記載がなくなる 院内感染対策面で の問題もあり 今回の変更をすべて導入することは難しい 基準の変更は重要な問題であり 検査部門 および臨床と話し合い どこまで導入していくかを決めていかなければいけないので この問題は 評 価対処外とした まとめ 正解率 設問 4 同定 感受性試験 9 % 設問 4 同定 00 % Photo 設問 正解率 設問 9 % 設問 95% 設問 3 00 % 設問 4 95 % 設問 5 00 % 設問 6 00 % 設問 7 9% 設問 8 95 % 設問 9 95 % 今年度の Photo urvey は 正解率 9% 以上 資料問 題 9% 以上で良好な結果でした 今年度の夏期の微生物班研修会は 腸管感染症を 取り上げました よって腸 管感染症問題 3 問は 95% から 00% と高い正解率で した 来年度も研修会の内 容を網羅して 真菌 嫌気性菌 寄生虫など さらに 広い範囲から問題を出題したいと考えています より 多くのご施設のご参加をお願い致します