岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - - 微生物検査 浅野裕子 はじめに 平成 4 年度の微生物サーベイは 資料問題 問 Photo urvey0 問を出題しました 資料問題は CLI の方法に準じて薬剤感受性試験を実施すると正しい 判定になる M 株を用い 感受性結果の回収をしま した Photo urvey 問題は 問題数が例年の倍の 0 問となりましたので 一般細菌 嫌気性菌 真菌 寄生虫と広範囲にわたって出題しました 中でも 4 年度の夏期微生物研究班研修会にて 腸管感染症 を取り上げましたので その中から感染症法 3 類 全数届出の菌種を含めた 3 問を出題しました その他の問題も鏡検と患者情報からポイントを絞って推 測できる菌種を中心に問題作成を行ないました 資料問題 試料 4 女性が庭でケガをし 数日後に受傷部は化膿した 感染部位に強い痛みを感じたことから受診した 培養により 同定された微生物の菌種をコード より選択してください 薬剤は BPC CEZ VCM 3 剤の薬剤感受性 試験を行い. I で判定 回答してください 同定検査評価 M 0 9% D t.aureus Clostoridium 9% 試料問題 ( 資料 4) 試料問題 ( 資料 4) 実施項目 Photo urvey 問題 ~9 Photo urvey 問題 0 参加施設数 同定感受性菌種推定 : 評価対象問題 試料問題 Photo urvey 3 施設 施設 試料の取り扱い. カルチャースワブにて送付いたしました 評価外問題. 試料到着後はできるだけ速やかに適切な培地に塗 り広げてください 3. 以下の患者データを参考に同定と設問に答えてく ださい * 生菌ですので 感染には十分注意して下さい 感受性試験結果 BPC MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU 4 5 マイクロスキャン 8 4 ハ イテック 4 I60 用手法 8 8 4 6 MIC:μg/ml ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 5 3 KB テ ィスク 5 N テ ィスク 4 CEZ 阻止円直径 :mm MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU マイクロスキャン 8 8 8 >8 4
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - - ハ イテック 4 3 I60 用手法 4 = 4 MIC:μg/ml ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 3 KB テ ィスク 5 VCM 阻止円直径 :mm MIC 測定装置 MIC 値判定回答数 IU マイクロスキャン = = ハ イテック 0.5 3 I60 用手法 4 = MIC:μg/ml 3 ディスク拡散法直径判定回答数 センシテ ィスク 7 8 KB テ ィスク 薬剤感受性検査 阻止円直径 :mm 評価判定施設数比率 BPC 3 00% D CEZ CEZ 0 95% VCM 00% ブドウ球菌は 以下の方法で同定を進めます マンニット食塩培地発育 コアグラーゼ試験 ( ウサギプラズマ凝集 ) 3M 選択培地発育 卵黄反応確認 4 薬剤感受性試験 ( 微量液体希釈法 ) における MPIPC と CFX の MIC 値 CLI の M 測定基準接種菌量 McF No.0.5 を 0 倍希釈 培養温度 35 MPIPC の培養時間 4 時間 M の CLI の判定基準 MPIPC : 4 *MPIPC および CFX のどちらか一方でも と判定された場合は M と報告する この資料問題の株は 培養時間が短い場合 MPIPC の MIC 値が低値となり M と判定される菌株です CLI の基準に従って 4 時間で培養 判定した場合 は MPIPC の MIC 値は 4~8 µg/ml の となり M と判定されます 今回は 施設で M と判定 されていました 該当施設は培養時間に注意が必要 です さらに mec の低レベル発現や PBP の変異など M の判定を見落とさないために CLI では M00-0 にて MPIPC および CFX 試験に関するコメン トが明確になりました :CFX および MPIPC の両剤を.aureus もしくは.lugdunensis に対して試験し いずれかの結果が耐性の場合 その菌は MPIPC 耐性 として報告する と記載されています 上記に CLI の判定基準を記載しましたので参考にしてください また MIC 値の結果報告に際して 濃度以上の表記 は > を使います は使いません 記載ミスには 注意が必要です 試料 4 45 人が参加した昼食会で出されたケータリング 食により食中毒が発生した 食事をした 30% のヒト が 食後 3 時間で吐き気をもよおし 嘔吐した 保健所は チキンライスから この菌を分離し 原因 菌であると発表した 培養を行ない 食材の菌検索し 原因と思われる菌種をコードより選択してくだ さい 同定検査評価 CFX : 8 MPIPC : CFX : 0mm mm 4 試料 4 の M 株 BPC の期待値 ~ 8 µg/ml VCM の期待値 0.5 ~ µg/ml MPIPC の期待値 4 ~ 8 µg/ml CFX の期待値 8 ~6 µg/ml Bacillus cereus 3 00% ポイント : チキンライス と 食後 3 時間で吐き 気 から Bacillus cereus が疑われます 菌は太い GP で連鎖を成します 分枝はなく偏性好気性 ~ 通
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 3 - 性嫌気性です カタラーゼ陽性 Metronidazole 耐 性で有芽胞の Closutoridium と区別がつきます Photo urvey 症例 ~9 の患者背景 検査データを Photo を添 えて出題します 推定される菌名を菌名マスターから選んでください Photo urvey 設問 患者背景 :70 代男性 3 か月前から 右耳のべたつ きを感じ 自分の声が聴きにくくなったことから耳 鼻科を受診された 右鼓膜に黄色膿瘍の付着があり 発赤と軽度浮腫があった 細菌検査 提出された耳漏の培養から真菌が発育 した サブロー寒天培地に巨大集落を形成させたところ 写真 - のごとく発育した 写真 - ポイント : サブロー寒天培地 35 日目 黒 色の巨大集落が発育しました spergillus 属は 下記の図 に示すように 顕微鏡による各微細構造の形状 大きさが種の同定のた めの指標になっています 問題は 以下の鑑別点か ら spergillus niger と推察されます spergillus spergillus flavus flavus spergillus niger 図. 病原性を示す spergillus の模式図病原真菌学 ( 南山堂 ) より引用 spergillus niger の形態的特徴は 頂嚢が大型で球形あるいは 亜球形 45~75μm と大きいことから顕微鏡 00 で観察可能である フィアライドとメツラは 段で頂嚢全体を覆っている 分生子は球形刺状突起を有し 直径 巨大集落サブロー寒天培地 35 48 時間 写真 - 3.5~4.5μm 本菌種は ブドウ コーヒー豆などに危害引き起こすことが問題になっている spergillus flavus は 頂嚢はフラスコ型で直径 5 ~45μm コロニーは 最初黄色 のちに黄緑から青緑コロニーです 頂嚢の / から/3 にメツラ フィアライドを形成する ) ラクトフェノール コットンブルー染色 00. 同定検査評価 B spergillus niger spergillus sp. 8 9% C spergillus flavus 5% D Mucor sp 5% ムコールの巨大集落 サフ ロー寒天培地 30 5 日間養 7 日間培養 接合菌 Mucor は寒天培地上 速やかに綿菓子用コロニーを作るので これだけでも他の糸状菌と鑑別 できる その他に形態学的特徴は 幅の広い (6~5
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 4 - μ) 無隔菌糸をつくる 有性胞子として接合胞子を 無性胞子として胞子嚢胞子を作る. 文献 ) 矢口貴志 :spergillus 属 : 文化財の虫菌害 :59 号 009 ) 山口英世 : 病原真菌と真菌症南山堂 Photo urvey 設問 患者背景 :60 代男性 か月前から 抗癌剤治療により入院中 CZOP 投与中であったが 悪寒と吐き 気 38.3 の発熱があった 検査値は WBC 960 Hb 8.6g/d Pt 45.8 万 CP 4.9mg/dl 血液培養は 48 時間後に陽性となった グラム染色 と後日の培養コロニーは以下のごとくであった 写真 - で判定します C,glabrata は 発芽管を形成しない ので 血液培養の中では 伸びたものは見られない ことなども鑑別ポイントです Candida albicans Green with paler edges( エメラルドグリーン ) Candida glablata Dark pink( 濃い八重桜 のような色 ) Candida albicans Photo urvey 設問 3 患者背景 :60 歳代女性 咳と 38.7 発熱があり 紹介受診された 検査値は WBC 990 /μl Hb 7.6g/d Pt 9.5 万 /μl CP 9.64mg/dl 右下肺野中心に肺炎像があり 喀痰のグラム染色が 至急で依頼された 喀痰グラム染色は写真のごとく であった 写真 3- Candida glablata 血液培養 35 48 時間培養陽性 グラム染色 000 写真 - クロモアガーカンジダ培地 48 時間培養. 同定検査評価 Candida glablata 9 86% B Candida sp 9% C Candida albicans 5% ポイント :CHOMagar Candida 培地は カンジダ 属の主要菌種を色別に分けられる培地です 培地中のクロムペプトンをカンジダが分解し発色 する CHOMagar TM は Dr. ambach が登録商標を持 っているもので クロモアガーの BD 製も関東化学製も同じ色調変化を示し 37 で 48 時間培養し 色調 喀痰のグラム染色 00 写真 3- 喀痰のグラム染色 000 3. 同定検査評価
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 5 - ポイント : 鏡検時に白血球は 淡紅色に染色されて いるか? 細菌の観察は 染色性 形態 配列 貪食像 量を判定 炎症細胞浸潤と菌体の貧食像があれば 起 炎性は高いと考えられます 喀痰は 00 倍で鏡検 Geckler の分類はグレード 5 次に 000 倍で観察し グラム陽性双球菌 莢膜が抜けて染色されており 肺炎球菌が推察できます Photo urvey 設問 4 患者背景 :60 代男性 海外出張から帰国後 発熱と腹痛を発症 血液培養と便培養を実施したところ便 から写真 4-.4- の菌が発育した 生化学的鑑別性 状は 写真 4-3 のごとくであった 推定される菌名をコード表より選択してください 写真 4- treptococcus pneumoniae DHL 寒天培地 35 4 時間培養写真 4-4. 同定検査評価 00% almonella Typhi 0 9% () almonella sp. 5% D Proteus sp. 5% ポイント : 海外出張から帰国後 発熱と腹痛 寒天培地上 中心部が極わずかに黒色 TI 凝固水部分が僅かに黒色 以下の生化学的性状により推察されます この設問に対して Vi 抗原を確認してから判定 回答 することを考えると almonella sp も正解としました TI 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色高層 : ブドウ糖分解により黄色を示す 硫化水素 は産生されるが 高層上部または凝固水部分が僅かに黒色となるのみである 境界線に硫化水素 ガス非産生 シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない ( 緑色 ) クエン酸塩を炭素源として利用しない LIM リジン : 陽性 ( 紫色 ) リジン脱炭酸反応 運動性 : 培地の混濁が認められる 運動性が弱い場合や 認められない場合もある インドール : 陰性 Kovacs 試薬を添加しても色の変化はない 寒天培地 35 4 時間培養写真 4-3 確認検査 チフス菌 :Vi 血清 O 血清を用いてスライド凝 集反応を行なう Vi 血清にのみ凝集するかあるいは Vi 血清に凝集し しかも O 因子血清 (O9) にも 凝集するときは 被検菌は Vi 抗原を持つ菌であると判定する Vi 抗原は易熱性抗原であるから 0~30 分加熱後 加熱死菌が Vi 血清に凝 集しなくなることを確認する 加熱死菌は O9 には凝集する 稀に Vi 抗原を持たない株があることに注 意する 届け出腸チフス患者と診断した場合には 法第 条第 項 の規定による届出を直ちに行わなければなりません 生化学的性状検査
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 6 - Photo urvey 設問 5 患者背景 :50 代女性 下痢を発症 便培養をしたと ころ写真 5-5- のごとくコロニーが発育した 生化学的鑑別性状検査は 写真 5-3 のごとくであった 推定される菌名をコード表より選択してください 写真 5- ( 緑色 ) クエン酸塩を炭素源として利用しない LIM リジン : 陽性 ( 紫色 ) リジン脱炭酸反応 運動性 : 培地の混濁が認められる 運動性があり試薬添加後 インドール陽性 運動性は陽性 寒天培地上では 乳糖非分解で中心部が黒色で almonella のコロニーと似ています 本菌は海水 淡水いずれにも生息しているので ヘビ 両生類な どの消化管や魚類から分離されています ヒトへは下痢を主症状とする腸管感染症が 8 割を占めるとさ れており 検体は便 胆汁 創傷などから分離され る まれに壊死性菌膜炎の報告 3) 4) もあります DHL 寒天培地 35 4 時間培養写真 5- Photo urvey 設問 6 患者背景 :40 代男性 東南アジア出張から帰国の 週間後 38 以上の高熱が続いた 比較的徐脈 で 脾腫 便秘の症状を呈していた 血液検査と便検査を実施したところ便から写真 6-6- の菌が発育した 生化学的鑑別性状試験は 写 真 6-3 のごとくであった 写真 6- 寒天培地 35 4 時間培養写真 6- 写真 5-3 DHL 寒天培地 35 4 時間培養 写真 6- 生化学的鑑別性状検査 35 4 時間培養 5. 同定検査評価 ポイント : 以下の生化学的性状により推察されます TI : Edwardsiella tarda 8 86% Edwardsiella sp. 4 8% 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色高層 : ブドウ糖非分解により赤色を示す 硫化水 素は産生される素 ガス非産生 シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない 寒天培地 35 4 時間培養写真 6-3 生化学的鑑別性状検査 35 4 時間培養
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 7-6. 同定検査評価 菌名件数比率 almonella Paratyhi ポイント : 東南アジア出張から帰国 寒天培地上 透明 血清型別は O 群血清 O 以下の生化学的性状により推察されます 6) TI 斜面 : 乳糖および白糖非分解のため赤色 高層 : 黒変なし ガス産生 LIM リジン : 陰性 黄色 運動性 : 培地 の混濁が認められる インドール : 陰性 Kovacs 試薬を添加しても色の変化はない シモンズ クエン酸 培地の色調が変化しない ( 緑色 ) ヒトにチフス症を起こす菌は チフス菌 (. Typhi) とパラチフス 菌 (. Paratyphi) があり 3 類感染症に分類される チフス菌は食物 水など とともに体内にとり込まれ 回腸下部に付着し そ こで感染 増殖するとともにリンパ管を介してリンパ節に侵入し ついで胸管を経て血流中に入り 脾 臓 肝臓 骨髄 腎臓など身体各部に伝播する 腸チフスの経過と菌の検出 潜伏期 :5~4 日 平均 7~8 日 この期間は菌が腸 リンパ節で盛んに増殖しているが そこから糞便中に排出される 菌数は少ない 初期 ( 第 週 ): リンパ節からリンパ管 血流を介 して菌が各臓器に伝播されはじめる 体温が徐々に上昇し 4~5 日で 40 台に達する この期間は菌が血中に濃厚に存在する ( 血 液培養 ) 極期 ( 第 週 ): 発熱が続く 尿 便中にはあまり菌は認められない バラ疹 も著明となる 緩解期 ( 第 3 週 ): 脾臓 肝臓 腎臓などの病巣の 菌が尿中に排出されるため尿の培養を行なう 肝臓に侵入した菌はそこで増殖し 胆汁とともに腸管内に排出されるので 第 週の 終わり頃より菌は糞便からも検出されるよ うになる ( 血液 尿 便培養 ) 徐々に回復期に入る 尿中の菌が減少し 菌の排出 は糞便への経路が主体となる ( 便培養 ) 病期によって検査対象となる検体が違ってきます 文献 3) 原賢寿ら.E.tarda 敗血症による腓腹部に限局した 筋膜炎 臨床神経学 009:5.9 00% 5) 西山秀樹ら. 壊死性筋膜炎を伴った E.tarda 感染症 の 例. 日本臨床微生物学会誌 007:7.30 6) 国立感染症研究所病原体検査マニュアル Photo urvey 設問 7 患者背景 :80 代男性 海釣りが趣味でよく出かけていた 釣り針が手に引っ掛かり負傷したが そのま ま放置していたところ 腫脹と疼痛の症状が現れ 受診となった 細菌検査に出された膿瘍に抗酸菌が 認められた 推定される微生物名をコードより選択 してください 写真 7- ポイント 膿瘍のチールネルゼン染色 000 海釣り中での受傷部分の膿瘍 小川培地では 7 で発育 35 で初代発育しない 光照射後に黄色 C 7. 同定検査評価 写真 7- M, kansasi も M, marinam と同じく光発色性の 菌ではあるが M, marinam のコロニーはスムース型 M, kansasi ラフ型が多く 対象疾患は 呼吸器系感 染が多く 中でも肺上葉に好発し空洞を伴うことが 多い 菌名件数比率 Mycobacterium marinam Mycobacterium kansasi 光照射前 3% 小川培地 光照射後 7 0 日間培養 0 9% 9% hoto urvey 設問 8 患者背景 : 山のサマーキャンプに参加した小学生が 帰宅後 週間近く胃腸の異常が続いた 症状とし
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 8 - ては 痛みを伴う膨満感と柔便であった 便を直接 鏡検すると多数の虫体が見られた 推 定される微生物名をコードより選択してください ( 写真提供 : 岐阜市民病院 一柳先生 ) 写真 9- グラム染色にて針状 GN 000 写真 9-.3 8-8. 同定検査評価 ポイント 菌名件数比率 Giardia lamblia 95% Giardia sp. 5% 感染経路 : 汚染された湖や河川水中の嚢子を 摂取したことから 感染したと考えられる 血液液の混じらない水溶便 栄養型は左右対称の洋ナシ型で 常時 核で 4 対の鞭毛がある ブルセラ HK- 寒天培地 HK 半流動生培地 35 3 日間培養 9. 同定検査評価 菌名件数比率 Fusobacterium 8 8% nucleatum Fusobacterium sp. 3 4% D Flavobacterium sp. 5% 文献 7) 国立感染症研究所感染症情報センター感染症の話 Photo urvey 設問 9 患者背景 :30 代男性 週間ぐらい前から咽頭痛が あり 次第に痛みが増して食事ができなくなったこ とから 耳鼻咽喉科を受診し 扁桃周囲膿瘍と診断された症例 口蓋弓が発赤 腫脹 一部黄変して自 壊しそうな状態であったことから 穿刺 多量の膿汁が吸引された グラム染色は 写真 9- のごとく 針状の GN が認められた 推定される微生物の菌名 をコードより選択してください ポイント 塗抹検査で針状の GN HK 半流動生培地で嫌気性菌を疑う ブルセラ HK- 寒天培地 直径 mm ぐらい の白いパンくず状コロニーが発育した 紫外線照射をすると黄色の蛍光色を発した ( インドール陽性 ) Photo urvey 設問 0 評価対象外問題 患者背景 : 70 代男性 腎盂腎炎の診断にて入院 前医にて LVFX が投与され 当院 救急外来にて CTX が使用され 入院となった CTX 投与前の血液と尿
岐臨技精度管理事業部平成 4 年度総括集 - 9 - の細菌検査からは 翌日 大腸菌が分離された 写真 0- 表 0-. 薬剤感受性試験結果 (MIC:μg/ml) BPC >3 CPZ/BT CEZ >3 FMOX CTM >3 MEPM CTX >3 IPM CZ LVFX >6 CFPM ZT 4 設問 0 以上のデータを見て正しい項目を選択 してください a. 感染対策として手洗いの遵守 処置時のガウン 使用など接触予防策を行った b. 耐性遺伝子は 染色体上に存在しているため グラム陰性桿菌の間で伝搬する可能性がある 染色体プラスミド EBL の遺伝子は 多くはその由来がプラスミド媒 介性のペニシリナーゼであったため 接合伝達によって腸内細菌科の同一あるいは異なる菌種間で遺伝 子が伝達していくと考えられる c. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に 関する法律 によって 症例の診断が確定した場合 保険所に届ける必要がある 必要ある CPDX(0μg/ml) CZ(30μg/ml) CTX(30μg/ml) の単剤と clavulanic acid (CV) を添加したディスク拡散法による確認試験 必要ない d. 救急外来での CTX 投与により 翌日には解熱したため 今後も CTX 日 回の投与を継続した CLI の M00- の基準 MIC のブレイ クポイントを採用 :CTXg/ 日投与なら継続してよい e. CFPM の MIC 値は μg/ml であった 判定は とした CLI の M00- の基準であれば に しなくて良い CFPM は g 4 日または g 3/ 日 CFPM は g を 時間の標準量ではなく g 8 時間毎 の高用量なら効くとの報告もある 8) 文献 8)ntimicrob gents Chemother. 003;47:344 7 今回の 00 年 CLI ドキュメントでのブレイクポ イントの変更は 抗菌薬について用法容量の制約も あり 米国と日本でその基準が異なることや EBL のスクリーニングテストを実施しなかった場合 報 告時に EBL の記載がなくなる 院内感染対策面で の問題もあり 今回の変更をすべて導入することは難しい 基準の変更は重要な問題であり 検査部門 および臨床と話し合い どこまで導入していくかを決めていかなければいけないので この問題は 評 価対処外とした まとめ 正解率 設問 4 同定 感受性試験 9 % 設問 4 同定 00 % Photo 設問 正解率 設問 9 % 設問 95% 設問 3 00 % 設問 4 95 % 設問 5 00 % 設問 6 00 % 設問 7 9% 設問 8 95 % 設問 9 95 % 今年度の Photo urvey は 正解率 9% 以上 資料問 題 9% 以上で良好な結果でした 今年度の夏期の微生物班研修会は 腸管感染症を 取り上げました よって腸 管感染症問題 3 問は 95% から 00% と高い正解率で した 来年度も研修会の内 容を網羅して 真菌 嫌気性菌 寄生虫など さらに 広い範囲から問題を出題したいと考えています より 多くのご施設のご参加をお願い致します