目 次

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トピックス

64. 真駒内地区 ( 南区 ) 小売業の店舗分布図 巻末 3-362

01 年 月 1 人あたりオフィス面積の分布と推移 図表 1は 01 年の東京 区における 1 人あたりオフィス面積の分布で 中央値は.9 坪であった ( 半数のテナントは.9 坪より小さく 残りの半数のテナントは.9 坪より大きい ) 01 年 月 17 日 図表 1 1 人あたりオフィス面積の分

月別の売上でみると 百貨店については 夏物衣料が好調だった 7 月と一部店舗で閉店セールを行った 9 月を除いて前年同月を下回っています 一方 スーパーについては 台風の影響があった 8 月を除いて 前年同月を上回っています 1,2 1-3 平成 28 年百貨店 スーパー販売額合計 ( 北海道 :

県産材の需要拡大の推進について(枠組み)

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第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

九州百貨店 スーパー販売動向 平成 30 年 1 月 11 日 ( 平成 29 年 11 月分速報 ) 1. 概況 (1) 百貨店 スーパーの販売動向 1 全店 ( 百貨店 19 店舗 スーパー 409 店舗 計 428 店舗 ) 11 月の百貨店 スーパー販売額は1,312 億円 前年同月比 +2

マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

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2. 管内の主な商品の動き 品目寄与度主な動き (%) 全店既存店 合計 1.7 猛暑により 帽子 日傘など UV 関連商品の動きが良かったことに加え 化粧品 高額品の動きが引き続き良かったことなどから 2 か月ぶりに前年を上回った 衣料品計 0.1 猛暑により 秋物衣料の動きは鈍か

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統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

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Ⅱ 調査結果の概要

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

2017年 北陸3県後継者問題に関する企業の実態調査

月例速報 Market Watch 2015( 平成 27) 年 10 月度 INDEX Ⅰ. 中古マンションレポート 首都圏 都県別概況 2. 首都圏 都県別価格帯別件数 3. 地域別概況 2 Ⅱ. 中古戸建住宅レポート--

H28秋_24地方税財源

構成 ヘルスケアサービスを担うインフラとしてのドラッグストア 日本におけるドラッグストア業界の発展 ドラッグストアに期待される役割 ドラッグストアを巡る環境の変化 1 高齢化社会 人口減少の進展 2 買い物弱者 への対応 3 他の小売業との競争激化 4 消費者に対する専門性認知の必要性 5 セルフメ

どのような生活を送る人が インターネット通販を高頻度で利用しているか? 2013 年 7 月 公益財団法人流通経済研究所主任研究員鈴木雄高 はじめにもはやそれなしでの生活は考えられない このように インターネット通販を生活に不可欠な存在と位置付ける人も多いであろう 実際 リアル店舗で買えて ネットで

新電力会社(登録小売電気事業者)の実態調査2018年

中古マンション概況 首都圏における 213 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,663 件 ( 前年同期比 12.2% 増 ) で 6 期連続で前年同期を上回り 増加率は 2 ケタに拡大しています すべての都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

中古マンション概況 首都圏における 214 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,993 件 ( 前年同期比 3.4% 増 ) で 1 期連続で前年同期を上回っています 都県 地域別に見ると埼玉県および横浜川崎地域を除く各都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

第82期業務のご報告

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1. 卸売業販売額の動向 卸売業を業種別にみると 医薬品 化粧品卸売業が前年同月比 9.6% の増加 食料 飲料卸売業が同 8.2% の増加 農畜産物 水産物卸売業が同 6.2% の増加 繊維品卸売業が同 3.7% の増加 その他の卸売業が同 1.2% の増加 機械器具卸売業が同 0.7% の増加と

ここからは 更に 新宿区と渋谷区を取り上げて詳細検証を進めて見ましょう 1 人口動態 ( 年齢別 ) 人口割合 (40 代以下 ) 人口 平成 10 年 10 月現在 平成 23 年 10 月現在 新宿区 増加 61% 61% 30~40 代 /60 代以上増加が顕著 ( 別表 ) 渋谷区 増加 6

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

平成12年工業統計調査結果表(速報)

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リオおよび東京五輪に対する埼玉県内企業の意識調査

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

収益物件検索サイト 健美家のご紹介

スライド 1

九州百貨店 スーパー販売動向 平成 30 年 11 月 6 日 ( 平成 30 年 9 月分速報 ) 1. 概況 (1) 百貨店 スーパーの販売動向 1 全店 ( 百貨店 19 店舗 スーパー 410 店舗 計 429 店舗 ) 9 月の百貨店 スーパー販売額は1,151 億円 前年同月 0.4%

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

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賃貸住宅市場レポート Residential Market Report 賃貸住宅賃料査定レポート 発行株式会社タス

東北地域百貨店 スーパー販売額動向 平成 28 年 3 月分速報 ( 旧名称 : 東北地域大型小売店販売額動向 ) 平成 28 年 5 月 13 日 1. 百貨店 スーパー ( 全店舗 ) の動向平成 28 年 3 月の管内 ( 東北 6 県 ) における百貨店 スーパー販売額 ( 全店舗 ) は

中古マンション概況 212 における首都圏中古マンションの成約は 31,397 件 ( 前比 8.7% 増 ) 3 ぶりに前を上回り 過去最高のとなっています 都県 地域別に見ても すべての都県 地域で増加となっています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で 万円 ( 前比 1.9% 下

2011年12月21日

調査要領 1. 調査の目的 : 人口減少による労働力不足が懸念されるなかで 昨年 4 月には女性活躍推進法 ( 正式名称 : 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 ) が施行されるなど 女性の社会進出がさらに進むことが期待されている そこで 女性の活躍に向けた取り組み状況について調査を実施す

3.HWIS におけるサービスの拡充 HWISにおいては 平成 15 年度のサービス開始以降 主にハローワーク求人情報の提供を行っている 全国のハローワークで受理した求人情報のうち 求人者からインターネット公開希望があったものを HWIS に公開しているが 公開求人割合は年々増加しており 平成 27

エコノミスト便り

21 年 1 月 29 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 1 都 3 県 TVI 推移 ( 過去 2 年間 ) 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 28 年

日用品の返品実態調査結果 詳細資料

直近 13 カ月空室率推移 調査月 千代田区 7.50% 7.01% 6.60% 6.64% 6.48% 6.

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

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直近 13 カ月空室率推移 調査月 千代田区 7.01% 6.60% 6.64% 6.48% 6.46% 6.

Microsoft Word - フランス自転車市況-2011.doc

PowerPoint プレゼンテーション

211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

Microsoft PowerPoint アンケート調査

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Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2017年07~09月).doc

シビックプライド 市区町村別ランキング

73,800 円 / m2 幹線道路背後の住宅地域 については 77,600 円 / m2 という結論を得たものであり 幹線道路背後の住宅地域 の土地価格が 幹線道路沿線の商業地域 の土地価格よりも高いという内容であった 既述のとおり 土地価格の算定は 近傍類似の一般の取引事例をもとに算定しているこ

Quarterly Market Watch Summary Report 季報 Market Watch サマリーレポート <1 年 7~9 月期 > 中古マンション 首都圏の動き ( 成約物件 ) 件数 7,588 件 ( -9.%) m単価.3 万円 / m ( +5.5%) 価格

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

商業販売額の動向 平成 27 年 6 月の商業販売額は38 兆 4360 億円 前年同月比 0.9% の増加となった これを卸売業 小売業別にみると 卸売業は26 兆 9790 億円 同 0.9% の増加となった 小売業は11 兆 4570 億円 同 0.9% の増加となった なお 商業販売額の季節

我が国中小企業の課題と対応策

シニア層の健康志向に支えられるフィットネスクラブ

Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2018年07~09月).doc

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

アンケート調査実施概要実施期間 :2017 年 12 月 15 日 ~24 日対象者 : カレコ カーシェアリングクラブ個人会員サンプル数 :4,980 人 ( 内訳 ) 新規会員 (2016 年 12 月以降に入会された会員 )2,570 人既存会員 (2016 年 11 月以前より在籍されている

2 オフィスの投資対象について 従前は中規模以上 ( 延床面積 1,000 m2以上かつ基準階 (2 階以上の階で当該建物のうち標準的なフロア ) 専有面積が 150 m2以上を指します ) のオフィスビルに限定していましたが 都心 6 区に所在するオフィスビルについては 例外的に中規模以上であるこ

不動産マーケットリサーチレポート商品内容説明書 概要版

報道関係者各位 2019 年 3 月 26 日 アットホーム株式会社 市場動向 - 当社不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建 中古マンション価格 (2 月 )- 新築戸建の平均成約価格は 3,478 万円 前月比 0.9% 上昇 前年同月比は 8 か月連続のプラス 東京 23 区は前月比

の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

社団法人日本生産技能労務協会

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Microsoft Word - 季報サマリーレポート(2018年04~06月).doc

2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

直近 13 カ月空室率推移 調査月 千代田区 7.69% 7.50% 7.01% 6.60% 6.64% 6.

年の 平均賃料 総合 は公表されていない 5 推計売上高は 賃料と売上高対賃料比率から推計したもの 年以降のサービス店舗の売上高対賃料比率は 公表されていない 1) 年々 上昇傾向にあった物販店舗の平均賃料は が2008 年をピークに また飲食店舗及びサービス店舗は 20

順調な拡大続くミャンマー携帯電話市場

最終デジタル化への意識調査速報

2014年3月 埼玉 チラシデータ 2.xls

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日本の富裕層は 122 万世帯、純金融資産総額は272 兆円

依然見通しは慎重 環境や海外への関心高まる-第7回不動産市況アンケート結果

直近 13 カ月空室率推移 調査月 千代田区 6.48% 6.46% 6.20% 6.15% 6.52% 6.2

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(2) 物販市場の内訳 通信販売全体の物販市場の内訳をみるとインターネット販売が約 2.5 兆円と全体の 50% を占め 次いでカタログ通販が 1.6 兆円 (31%) となっており 以下 テレビ通販 モバ イル通販 小売拠点型通販となっている 表 5-1 通信販売全体 ( 物販 ) の内訳 200

報道関係者各位 2019 年 1 月 30 日 アットホーム株式会社 市場動向 - 首都圏の新築戸建 中古マンション価格 (12 月 )- 新築戸建の平均成約価格は 3,557 万円 前月比 1.1% 下落 前年同月比は 6 か月連続上昇 価格指数は で前月比 1.1 ポイント低下 (

おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

スライド 1

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資料 2 主要渋滞箇所 ( 案 ) の抽出方針について ( 一般道 ) 平成 24 年 8 月 9 日

2014年5月 埼玉 チラシデータ 2.xls

I. 調査結果概況 景気判断 DI( 現状判断 ) は小幅に上昇し最高値を更新 仕入原価高止まりも客単価が上昇 10 月スーパーマーケット中核店舗における景気判断 49.1 と小幅に上昇し 2010 年 4 月の調査開始以降最高値を記録した 経営動向調査によると売上高 DI が 1.1 とはじめてプ

6. まちづくりマップ 6-1.From-to 分析 ( 滞在人口 ) 6-2. 滞在人口率 6-3. 通勤通学人口 6-4. 流動人口メッシュ 6-5. 事業所立地動向 6-6. 施設周辺人口 6-7. 不動産取引 81

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

中古マンションの平均成約価格は 2,661 万円 前比.4 上昇 前年同比は 5 か連続下落 価格指数は で前比.6 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 前年同比 登録価格比 東京 23 区 3,

「住宅リフォーム実例調査」および「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査」について(案)

Transcription:

要約 飲食料品小売業は 43 兆円の市場規模を持ち 景気変動にも左右されにくい そのメインプレーヤーである食品スーパー ( 複合店含む ) に着目し 東京圏における店舗実態 ( 立地 規模 築年数等 ) や人口集積地の店舗空白エリア 既存競合店の実態等を調査し 新規出店の可能性を探る さらに 21 年以降に開店した 食品スーパーを核とする近隣型複合施設 16 施設を実地調査し 出店エリアやテナント構成等を分析した 飲食料小売業はオーバーストアといわれているが 今回の調査で 消費者のニーズを十分に満たせない店舗が多く残されており 質的には充足されていない実態が明らかになった 高齢化に伴い 日常生活圏の食品スーパーや 近隣型複合施設 に対する消費者ニーズが高まっているが 人口集積エリアでも半径 5m 圏に既存競合店のない 店舗空白エリア や 競争力に务る既存競合店しかないエリア など 有望な出店候補エリアが数多く存在することがわかった こうしたエリアの新規店舗には有力食品スーパーの強い需要が見込まれる 投資先としても 底堅いテナント需要と長期契約により 安定した投資対象となるものと思われる [ 東京圏の食品スーパー出店状況 ] 東京圏の主要食品スーパー 19 社の総店舗数は 1,187 店 単独店と複合店はほぼ同じ割合 単独大型店は 198 年以前の旧耐震世代が全体の 26% フルラインナップが可能な標準的な店舗面積は 1,879 m2 (568 坪 ) 近隣型複合施設 19 施設の平均店舗面積は 4,318 m2 (1,36 坪 ) 食品スーパーと競合する大手総合スーパー 7 社の既存競合店は 349 店 総合スーパーは 食品スーパー以上に店舗の老朽化が顕著 [ 食品スーパーの出店動向と有望な出店候補エリア ] 東京圏における 21 年以降の新規出店は 452 店 ( 年平均 41.1 店ペース ) 有望な一次商圏 1,232 カ所のうち 店舗空白エリア は 694 カ所 (56%) 有望な二次商圏 1,132 カ所のうち 店舗空白エリア は 18 カ所 (9.5%) 一次商圏に既存競合店なし 二次商圏に既存競合店あり のエリアが 591 カ所 人口集積地の既存競合店は老朽店舗や中小店舗が多い 有力食品スーパーは 既存競合店があるエリアにも新規出店意欲が旺盛 高齢者は日常生活圏の充実を望んでおり 新規施設の開発が期待される [ 近隣型複合施設 16 施設の実地調査結果 ] 21 年以降の食品スーパーを核とする 近隣型複合施設 は 16 施設 サブテナントはドラッグストア 7 割 百円ショップや実用衣料が 4 割超 16 施設の 74% が 1km 圏に既存競合店があるエリア に出店 上記の平均像は 半径 1km 圏世帯数 1.2 万 既存競合店 2 既存競合店年齢 2 年 1

目次 レビュー 212 年秋季号 東京圏の食品スーパー ( 近隣型複合施設含む ) に関する基礎調査 (212) はじめに... 3 1 食品スーパー業界の現状... 4 1-1 食品スーパー業界の現状 ( 全国 )... 4 1-2 東京圏の主要食品スーパー 19 社の出店状況... 5 1-3 競合する大手総合スーパー 7 社の実態... 6 参考資料 : 全国ショッピングセンターの出店状況... 8 2 東京圏の店舗空白エリアと出店可能性... 9 2-1 新規出店数... 9 2-2 人口集積地の店舗空白エリア... 9 2-3 新規出店候補エリア... 1 2-4 食品スーパーに対する高齢者ニーズ... 11 3 近隣型複合施設 16 の最新動向 ( 実査 )... 13 3-1 核店舗とテナント構成... 13 3-2 出店エリア動向... 14 おわりに... 15 付属資料 [ 食品スーパーを核とした主な近隣型複合施設 ]... 16 本稿の用語の定義 食品スーパー総合スーパー近隣型複合施設東京圏食品スーパー 19 社総合スーパー 7 社食品スーパー 総合スーパー 54 社 : 食品売上の比率が 7% 以上のセルフサービスの店舗 : 衣食住の各分野の商品を総合的に揃えたセルフサービスの店舗 : いわゆる 近隣型ショッピングセンター (NSC) であるが NSC の定義が統一されていないため 本稿では 食品スーパーを核として 日常性の高い商品を取り扱う専門店等で構成され 駅前 ( 駅出口から 24m 以内 ) を除く近隣住宅地を対象とした店舗面積 2, m2~1, m2の小商圏の施設 とした : 国道 16 号線 129 号線の通る市町村とその内側のエリア : 総売上高 5 億円以上かつ東京圏に 1 店舗以上出店している企業 ライフ マルエツ サミット カスミ ヤオコーなど : イオン イトーヨーカ堂 ユニー ダイエー 西友など : 上記を含む売上上位の主な食品スーパー 47 社と総合スーパー 7 社 2

はじめに 世界金融危機以降 多くの産業が深刻な収益の悪化に苦しんだが 小売業の販売額は比較的堅調に推移している 小売業は 1 兆円を越す巨大市場であり 飲食料品小売業 (43 兆円 ) や医薬品を含むその他小売業 (3 兆円 ) が市場を牽引している これらの生活必需品は販売額が大きく 景気の変動に左右されにくい特徴がある ( 図 1) 図 1 主な小売業の販売額の推移 ( 燃料 自動車小売業を除く ) 兆円 ( 品目別販売額 ) 5 45 4 35 3 33 飲食料品小売業 その他小売業 ( 医薬 化粧品 家具 スポーツ用品, 娯楽 ペット用品 中古品等 ) 兆円 ( 総販売額 ) 12 43 1 3 8 25 2 15 1 5 21 各種商品 14 衣服 身の回り品 14 11 11 機械器具 7 5 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 6 4 2 出所 : 経済産業省 商業販売統計 より NREAM 作成 本レポートでは まず 東京圏の主要食品スーパーならびに それと競合する大手総合スーパーの既存競合店の規模 築年 立地状況を調査した 既存競合店を地図上にプロットし 人口集積エリアにおける既存競合店の実態や店舗空白エリアを抽出 今後の新規出店余地を考察する さらに 27 年の 改正まちづくり 3 法 の完全施行によって開発が抑制された大規模商業施設に代わり 今後増加が予想される 食品スーパーを核とした近隣型複合施設 を実地調査し その出店傾向やテナント構成を探った 実査対象施設は 21 年以降に東京圏に誕生した 16 施設 ( 注 ) 本稿の店舗データは主な食品スーパー 総合スーパー (54 社 ) の HP と東洋経済新報社の 大型小売店データ 212 版 から抽出した 調査期間は 212 年 5 月 ~7 月 現地調査 食品スーパー各社と商業コンサルタントへのヒアリ ング 公開情報を踏まえて 212 年 7 月 15 日時点の情報を基に集計した 3

1 食品スーパー業界の現状 1-1 食品スーパー業界の現状 ( 全国 ) 飲食料品小売市場は裾野が広く 中小企業が多い全国ベースの飲食料品小売業の企業規模別販売額のシェアをみると ( 図 2) 中小企業が圧倒的に多く 法人販売額でも 4 割を占めている 再編 効率化の余地が残されている業界であり 今後 大企業や中堅企業などによって徐々に中小企業の淘汰 再編が進む可能性が高い 食品スーパー大手 18 社の市場占有率は約 43% 飲食料品小売業のメインプレーヤーである食品スーパーでは 年商 1, 億円以上の大手企業 18 社の占有率は約 43% であり ( 図 3) 寡占度は家電業界など他の小売業界より低い 年商 1 億円以上 1, 億円未満の企業が約 1, 社もあり 有力企業にとっては提携 買収によるシェア拡大の余地が大きく 再編 効率化が進みつつある 図 2 飲食料品小売業の企業規模 ( 売上高 ) 別シェア総額 33.4 兆円 ( 法人組織 ) 図 3 食品スーパー ( 各種食料品小売業 ) の企業規模 ( 売上高 ) 別シェア総額 16.9 兆円 ( 法人組織 ) 1, 億円以上 (3 社 ) 9.4 兆円 28.1% 1 億円以上 1, 億円未満 (359 社 ) 1.5 兆円 31.6% 1 億円未満 (71,3 社 ) 7.9 兆円 23.8% 1 億円以上 1 億円未満 (2,43 社 ) 5.5 兆円 16.6% 食品スーパーに 限定すると 1, 億円以上 (18 社 ) 7.2 兆円 42.8% 1 億円以上 1 億円未満 (741 社 ) 2.3 兆円 13.7% 1 億円以上 1, 億円未満 (221 社 ) 6.5 兆円 38.6% 1 億円未満 (4,95 社 ).8 兆円 4.9% 出所 : 経済産業省 平成 19 年商業統計 より NREAM 作成 食品スーパー業界は 地域ごとに再編 集約化が進む上記のように食品スーパー業界は大手の寡占度が低いため 今後 消費者の多様なニーズに応えられる企業を中心に再編が進むだろう しかし 食品スーパーの販売額の 5 割以上を占める生鮮 日配食品は地域性が強く 地域の消費者のニーズにあった品揃えと店舗づくりが求められる このため まずは地域ごとに再編 集約化が進むものと考えられる そこで 東京圏に絞り込み 同エリアで店舗展開する主要食品スーパーならびに競合する大手総合スーパー各社の出店動向や既存競合店の実態を調査する 4

1-2 東京圏の主要食品スーパー 19 社の出店状況 単独店と複合店はほぼ同じ割合まず 東京圏 1 の主要食品スーパー 19 社 2 の出店状況を調査した 総店舗数は 1,187 店 3 これを単独店と複合店に分類すると 単独店 61(51%) 図 4 単独店 複合店の割合複合店 586(49%) と ほぼ同じ割合であった ( 図 4) 1 国道 16 号線 129 号線の通る市町村とその内側のエリア 2 食品売上の比率が 7% 以上で 総売上高 5 億円以上かつ東京圏に 1 店舗以上出店している企業 3 各社 HP 掲載の店舗のうち 当該商業施設全体店舗面積の概ね 9 割程度を自社で使用している場合を単独店とし 他のテナントが 1 割超入居している場合を複合店とした 複合 586 49% 単独 61 51% 単独店 21 年以降の大型店の標準的な面積は 568 坪 食品スーパー単独店舗 61 店のうち 店舗面積 1, m2 (3 坪 ) 未満の小型店が 242 店 1, m2以上の大型店が 359 店であった 取扱商品群のフルラインナップが可能とされる大型店 359 店の平均店舗面積は 1,762 m2 (533 坪 ) 開店年別では 199 年以前が全体の 38% を占めており 198 年以前の旧耐震年代の店舗も全体の約 26% あった ( 図 5) 図 6 は 大型店 359 店のうち 駅前の店舗を除く 4 近隣型 278 店について 開店年代別に店舗面積の中央値を示したものである 1991 年以降 店舗面積は大型化しており 21 年以降に開店した大型店では 1,879 m2 (568 坪 ) が標準的な店舗面積となっている 4 駅出口から徒歩 3 分 (24m) 以内を駅前とした駅前店舗を除外した理由は特殊性が高いため 出所 :NREAM 図 5 開店年別店舗割合 (1, m2以上の大型店 ) 21 年 ~ 27% 1991 年 ~ 2 年 35% ~198 年 26% 1981 年 ~ 199 年 12% 図 6 単独店 ( 駅前を除く ) の年代別店舗面積 ( 中央値 ) 店舗面積 ( m2 ) 店舗面積 ( 中央値 ) 店舗数 ( 右軸 ) 店舗数 2, 1,841 1,879 12 1,8 13 1 1,6 1,463 1,355 1,4 85 8 1,2 1, 6 6 8 4 6 3 4 2 2 ~198 年 1981 年 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~ 出所 :NREAM 5

複合店 総店舗面積 2, m2~1, m2の 近隣型複合施設 は 19 施設食品スーパーの大型店の標準的な店舗面積が 1,879 m2であることから こうした店舗を核とする複合施設の総店舗面積は少なくとも 2, m2以上が必要であろう 実際に東京圏の食品スーパーを含む複合店舗 586 店のうち 2, m2以上 1, m2未満が 34 施設ともっとも多く 全体の 58% を占めていた (2, m2未満は 32% 1, m2以上が 1%) 店舗面積 2, m2~1, m2の 34 施設のうち 駅前立地を除く 近隣型 は 19 施設あり 平均総店舗面積は 4,318 m2 (1,36 坪 ) であった 近隣型 19 施設を開店年代別にみると 1991 年以降の開店が 78% と大半を占めている 食品スーパーを核とする 近隣型複合施設 は比較的新しい形態であり 近年増加傾向にあることがわかる ( 図 7) 図 7 食品スーパーを核とする近隣型複合施設の年代別店舗数と総店舗面積 総店舗面積 ( m2 ) 総店舗面積 ( m2 ) 店舗数 店舗数 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 373,517 285,97 8 69 74,89 86,916 17 24 ~198 年 1981 年 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~ 14 12 1 8 6 4 2 出所 :NREAM 1-3 競合する大手総合スーパー 7 社の実態 店舗の老朽化が顕著 21 年以降は大型ショッピングセンター形式にシフト次に 食品スーパーと競合する大手総合スーパー 7 社について 東京圏の既存競合店 ( 複合店含む )349 店の実態を調査した 198 年以前の旧耐震年代の店舗がもっとも多く 38% を占めている ( 次ページの図 8) 大手総合スーパーは 食品スーパー以上に店舗の老朽化が進んでいる実態が明らかになった 349 店舗の平均店舗面積 ( 複合店舗含む ) は 13,955 m2 立地別では駅前 ( 駅 24m 以内 ) の好立地な物件が 58% と過半を占めている 立地別平均店舗面積は 駅前が 12,846 m2 駅徒歩 1 分以内が 14,899 m2 それ以上が 15,483 m2であり 郊外ほど大型化している 店舗面積を開店年代別にみると ( 駅前店舗を除く ) 年々大型化しており 特に 21 年以降に開店した店舗は大型化が際立っている ( 図 9) これは旧来の単独店舗から 多くの専門店を取り込んだショッピングセンター形式の複合施設にシフトしたためとみられる 6

図 8 総合スーパーの開店年代別店舗割合 図 9 総合スーパー ( 駅前を除く ) の年代別店舗面積 ( 中央値 ) 1991 年 ~ 2 年 25% 21 年 ~ 18% 1981 年 ~ 199 年 19% ~198 年 38% 店舗面積 ( m2 ) 店舗面積 ( 中央値 ) 店舗数 ( 右軸 ) 25, 57 2, 44 15, 28 11,11 1, 9,673 6,151 5, 店舗数 6 22,521 5 41 4 3 2 1 ~198 年 1981 年 ~199 年 1991 年 ~2 年 21 年 ~ 出所 :NREAM 業態転換を模索するが 旧型店舗もまだ多く残る総合スーパーは衣料品などを中心に苦戦が続いている 各分野の大型専門店に販売シェアを奪われ 健闘していた食料品やドラッグ等の部門も食品スーパーやドラッグストアに押されており ( 図 1) 業態としての存続も危ぶまれている しかしながら 店舗が老朽化しても 赤字でなければ現状維持のまま営業を続けるケースが多く オーバーストアと言われる一因となっている こうした課題に対する各社の対応は資本力や業績によってまちまちである ショッピングセンターなどの新業態への転換を図って成功した店舗がある一方で 新規投資やリストラ費用が捻出できず 更新や建替えの見通しがつかない旧型店舗も少なくない 建物が老朽化しても 地域のニーズをきめ細かく吸い上げる巧みな運営によって好成績を挙げている店舗も一部あるが 概して言えば 旧型店舗の競争力低下は否めない 図 1 主な業態の販売額の推移 ( 兆円 ) 18 16 食料品スーパー 14 12 1 8 6 総合スーパー 百貨店 コンビニ 4 ドラッグストア 2 1991 1994 1997 1999 22 24 27 出所 : 経済産業省 平成 19 年商業統計 より NREAM 作成 7

参考資料 : 全国のショッピングセンターの出店状況 全国のショッピングセンターの出店状況をみると 28 年まで続いた郊外型大規模店舗の出店ラッシュは 改正まちづくり 3 法 で抑制され 5 29 年以降は周辺地域における大型店の出店が増加した 核テナントは総合スーパーと食品スーパーが二分している 5 1 万m2超の大規模商業施設の新規出店に係わる規制が強化された 8 6 4 2 ショッピングセンターの供給数と出店エリア ( 全国 ) 総計 ( 右軸 ) 中心地域周辺地域郊外地域 21 22 23 24 25 26 27 28 29 21 211 12 1 8 6 4 2 ショッピングセンターの規模推移 ( 全国 ) ( m2 ) 1SC 当り平均店舗面積 1SC 当りテナント数 ( 右軸 ) 3, 25, 2, 15, 1, 21 22 23 24 25 26 27 28 29 21 211 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ショッピングセンターの核テナント ( 全国 ) ディスカウントストア 38 1.9% 専門店 56 2.9% 生協 36 1.8% ホームセンター 18.9% 衣料品中心スーパー 6.3% 百貨店 83 4.3% 食品スーパー 765 39.2% 総合スーパー 942 48.3% 出所 : 一般社団法人日本ショッピングセンター協会より NREAM 作成 8

2 東京圏の店舗空白エリアと出店可能性 Japan Real Estate Investment Review Autumn 212 2-1 新規出店数 21 年以降の出店数は 452 店 年間 41 店ペース東京圏における主な食品スーパー 47 社の新規出店は 21 年以降 452 店 ( 年平均 41.1 店ペース ) であり 大手総合スーパー 7 社の 6 店 ( 年平均 5.5 店 ) を大きく上回っている また 食品スーパーの新規出店 452 店のなかで 駅前を除く 近隣型 は 275 店 ( 年平均 25 店 ) 約 61% さらに 近隣型複合施設 は 99 店 ( 年平均 9. 店 ) 約 22% だった 図 11 食品スーパー ( 単独 複合 ) と総合スーパーの新規出店数 店舗数 食品スーパー 総合スーパー 6 5 4 3 2 1 21 22 23 24 25 26 27 28 29 21 211 出所 : NREAM 2-2 人口集積地の店舗空白エリア 次に 食品スーパーの新規出店候補エリアと考えられる東京圏の人口集積地において 店舗空白エリアがどのくらいあるかを調べた まず 東京圏に出店している主な食品スーパー 47 社および総合スーパー 7 社の既存競合店 (3 坪以上 ) を地図上にプロットし 人口集積エリアにおける 店舗空白エリア を抽出した 以下はその結果である 有望な 1 次商圏 1,232 エリアのうち 店舗空白エリア は 694 カ所 (56%) 食品スーパーの一次商圏とされる半径 5m 圏に 3, 世帯以上居住している人口集積エリア 6 は 1,232 カ所抽出された 同エリアで上記の既存競合店の有無を調べたところ 店舗空白エリアは 694 カ所あり 約 56% を占めた ( 図 12) 有望な 2 次商圏 1,132 エリアのうち 店舗空白エリア は 18 カ所 (9.5%) 食品スーパーの二次商圏とされる半径 1.km 圏に 12, 世帯以上居住する人口集積エリア 6 は 1,132 カ所抽出された 同エリアで上記の既存競合店の有無を調べたところ 店舗空白エリアは 18 カ所 9.5% にとどまった 6 食品スーパー各社のヒアリングによると 出店を検討する際に最重視するのが一次商圏であり 概ね 3, 世帯以上が目 安 次いで重視する二次商圏では概ね 12, 世帯以上を目安としている 9

図 12 半径 5m 3, 世帯以上の商圏で店舗がないエリアは 694 か所 ( 赤 が当該エリア は既存競合店 青線は国道 16 号線と 129 号線 ) (C)28ZENRIN CO., LTD. (Z21LD 第 544 号 ) 出所 : 主要食品スーハ ー GMS(54 社 ) の HP 東洋経済新報社 大型小売店データ 212 年版 25 年度国勢調査を基に NREAM 作成 2-3 新規出店候補エリア 一次商圏に既存競合店なし 二次商圏に既存競合店あり が 591 エリア食品スーパー各社の新規出店のメインターゲットは 一次商圏に既存競合店がなく かつ有望な二次商圏 ( 半径 1.km 商圏 12, 世帯以上 以下同条件 ) を持つエリア である しかし 前述の 店舗空白エリア の調査からもわかるように 有望な二次商圏で既存競合店がないエリアは 18 カ所 9.5% と少ない したがって 現実には 一次商圏に既存競合店がなく 二次商圏には既存競合店があるエリア も有力な出店候補エリアに挙げられる ( スーパー各社へのヒアリングによる ) 上記のエリアは 591 カ所あり 有望二次商圏の約 52% を占めている 同エリアの既存競合店は平均 2.1 店 平均店舗年齢は 23 年と古く 新規店に有利と言える また 図 13 にもあるように エリア同士が隣接 連続している地域も多い 周辺に活力ある商店街があるなどのケースを除けば こうした地域は新規出店に格好のターゲットとなりうる なお 出店ラッシュによる市場の飽和を懸念する向きもあるが 仮に毎年 41 店ペースの出店 (9 ページ.21 年 ~211 年の平均出店数 ) が続いたとしても 上記 591 エリアと二次商圏空白 18 エリアをカバーするには 17 年を要すると試算され 短期間に市場が飽和状態になるとは考えにくい 既存競合店が老朽化 小型 も 新規店に有利な出店候補エリアこの他にも 有望な二次商圏で ( 一部重複あり ) 既存競合店の開店年が 198 年以前 ( 旧耐震年代 ) のみのエリアが 14 カ所 199 年以前も含めると 233 カ所あった 店舗規模では 最近の大型店の標準値 1,879 m2 (568 坪 ) を大きく下回る 1,5 m2 (45 坪 ) 以下の店舗しかないエリアが 8 カ 1

所あった さらに有力な大手食品スーパー 19 社と大手総合スーパー 7 社が出店していない空白エ リアも 91 カ所存在する 実際の出店分析ではさらに詳細な商圏分析や吸引人口等の検討も行うが マクロでみた場合 東京圏における食品スーパーの新規出店余地はかなり大きいと推定される 図 13 有力食品スーパーの新規出店候補エリア 町田 ~ 長津田周辺の事例 ( 小円は半径 5m 大円は 1km 青部分は既存競合店なし 赤部分は既存競合店を含む ) (C)28ZENRIN CO., LTD. (Z21LD 第 544 号 ) 出所 : 主要食品スーハ ー GMS54 社の HP 東洋経済新報社 大型小売店データ 212 年版 25 年度国勢調査を基に NREAM 作成 2-4 食品スーパーに対する高齢者ニーズ 東京圏における食品スーパーの新規出店候補エリアはかなり多いことがわかったが 肝心の消 費者の需要はどうだろうか 今後 増加する高齢者のニーズに着目し 各種統計からその需要動 向を考察する 埼玉 千葉 神奈川の昼間人口比率が回復 1 都 3 県で高齢者単身世帯比率も上昇東京都以外の 3 県では高齢化と退職者の増加により 食品スーパーの主要なユーザーとなる昼間人口が回復している ( 図 14) また 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県のいずれも高齢者単身世帯比率が高まっていることから ( 図 15) 一層の日常生活圏の充実が求められる 総人口比 (%) 14. 12. 1. 8. 6. 4. 2.. 図 14 1 都 3 県昼間人口比率図 15 高齢者単身世帯割合 埼玉県 千葉県 1995 2 25 東京都 神奈川県 都県内人口 (%) 12. 1. 8. 6. 4. 2.. 埼玉県 2 25 21 全国平均 千葉県 東京都 神奈川県 出所 : 総務省統計局 社会生活統計指標 212 より NREAM 作成 11

高齢者の食品購入先は スーパー 46% 購入割合も 1 年間で上昇高齢者の主な食品購入先は スーパー が 46.3% と圧倒的に多く 多頻度少額購買型のコンビニエンスストアは日常生活の主要な買物先とはなっていない また 購入割合の変化をみても 1 年間で スーパー が上昇し 2 番手の 一般小売店 は大幅に低下している ( 図 16) 高齢者の地域に対する不満は 日常の買い物 がトップ内閣府世論調査 ( 図 17) によれば 高齢者は 地域の不便な点 として 日常の買い物 をトップに挙げており その割合は年々高まっている それ以外の不満として 通院 交通機関 なども挙がっていることから 日常活動が近隣で完結していない実態が推測される 図 16 高齢者世帯における 食品 の購入先 通信販売 ( インターネット ).2% コンビニエンスストア 1.4% 1999 29 通信販売 ( その他 ) 1.4% 図 17 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査 - 地域の不便な点 集会施設 役所 商店など公共的建物が高齢者に使いにくい 交通事故にあいそうで心配 図書館や集会施設などの公共施設が不足 3.3 4.6 6.2 2 25 21 ディスカウントストア 量販専門店 2.6% 近隣道路が整備されていない 6.3 百貨店 その他 生協 購買 一般小売店 スーパー 5.2% 5.3% 6.3% 14.8% 46.3% % 1% 2% 3% 4% 5% 出所 : 総務省統計局 全国消費実態調査 1999 29 より NREAM 作成 散歩に適した公園や道路がない 交通機関が高齢者には使いにくいまたは整備されていない 医院や病院への通院に不便 日常の買い物に不便 6.5 11.7 12.5 17.1. 1. 2. 出所 : 内閣府 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査 2 25 21 より NREAM 作成 好調な店舗は高齢者のニーズを取り込んでいる 26 年にはバリアフリー法が施行されるなど 高齢化社会に向けた環境が整備されつつあり 新しい食品スーパー大型店のほとんどが 高齢者に優しい施設となっている 段差の解消 緩やかなスロープ 幅広の通路 ゆったりした休憩スペースやトイレなどハード面での充実である 加えて 有力食品スーパーでは シニア向けの商品ラインナップの充実やイベントの開催など ソフト面の対応にも力を入れている 実際に 生活を楽しみたい元気な高齢者のニーズを積極的に取り込んだ新規店舗は コンビニエンスストア ディスカウントストアなどとは一線を画して 好成績を上げている ( 食品スーパー各社へのヒアリングによる ) 以上のように 高齢者は日常生活圏の充実を求めている 上記のような新しい近隣型複合施設 や徒歩圏の大型食品スーパーは 増加する高齢者世帯や単身高齢者のニーズに応えるものであ り 今後 デベロッパーや食品スーパー各社の取り組みが期待される 12

3 近隣型複合施設 16 の最新動向 ( 実査 ) Japan Real Estate Investment Review Autumn 212 3-1 核店舗とテナント構成 食品スーパー複合店のなかで 近年 増加している 近隣型複合施設 を実地調査し 出店エリアやテナント構成等について精査 分析した こうした施設はフルラインナップの食品スーパーに加えて 日常に必要な商品やサービスを徒歩圏内で提供できることから 高齢化社会にフィットした形態であり 投資対象としてもみても有望と考えられる 実地調査対象は 東京圏で 21 年以降に開業した 16 施設である ( 図 18) 図 18 食品スーパーを核とした近隣型複合施設 (21 年以降竣工 2,~1, m2 ) 青線は国道 16 号線と 129 号線赤円内の数字は 16 施設の番号 (P16 付属資料を参照 ) (C)28ZENRIN CO., LTD. (Z21LD 第 544 号 ) 出所 : NREAM 核となる食品スーパーは サミット ヤオコー 三和 の順 16 施設の平均店舗面積は 4,396 m2 (1,33 坪 ) であり 平均的な店舗形態は 都心周辺が 多層店舗 クローズ型 施設内駐車タイプ 郊外が 平屋 オープンモール型 路面駐車タイプ である 核となる食品スーパーは サミット が 13 店舗と最も多く 次いで ヤオコー の 12 店舗 三和 の 1 店舗であった サブテナントは ドラッグストア 百円ショップ 実用衣料 サブテナントとしては ドラッグストアが 71% と最も多い 次いで百円ショップ 44% 実用衣料( ベーシックでカジュアルな衣料 )42% であり この 3 業種が主流であった ( 重複あり ) ドラッグストアは マツモトキヨシ スギ薬局 HAC の順 百円ショップでは ダイソー が突出して多く 衣料品では パシオス しまむら の順となっている その他の業種では書籍 CD 家電 ホームセンター 靴 メガネなどに加え クリニックや塾なども見られた 13

3-2 出店エリア動向 74% が 1km 圏世帯数 1.2 万 既存競合店 2 既存競合店年齢 2 年 の商圏に出店近隣型複合施設 16 施設の出店エリアを分析したところ 74% に相当する 78 施設は 半径 1km 圏に既存競合店 ( 店舗面積 1, m2以上の食品スーパーあるいは総合スーパー ) があった 16 施設の半径 1 キロ圏内の平均世帯数は 1.1 万世帯 平均人口は 2.7 万人だが 既存競合店がある 78 施設の商圏の平均世帯数は 1.2 万世帯 既存競合店のない 28 施設の商圏の平均世帯数は.9 万世帯だった 既存競合店があるエリアに出店した 78 施設は 平均 2.4 店の既存競合店があった 既存競合店の店舗面積は平均 4,23 m2であり 新規出店施設よりやや小さく 店舗年齢も平均 2 年と長い 以上から こうした施設が出店する平均的商圏像は 半径 1km 圏内世帯数 1.2 万世帯 既存競合店 2 店舗 既存競合店年齢 2 年 とまとめられる なお これは 1 ページの 2-3 新規出店候補エリア で挙げた条件ともほぼ合致しており 調査 分析結果が実査によって裏付けられた 図 19 食品スーパーを核とした近隣型複合施設の 1km 商圏と既存競合店 ( 武蔵野 ~ 所沢周辺の事例 ) 青円は 1km 圏に既存競合店なし 赤円は既存競合店あり (C)28ZENRIN CO., LTD. (Z21LD 第 544 号 ) 出所 : NREAM 14

おわりに 郊外の大規模ショッピングセンターから 徒歩圏の食品スーパーへ大型小売店の規制緩和を受け 28 年頃までは郊外に大規模なショッピングセンターが次々とオープンした しかし 高齢化や人口減少に伴い 日常生活を支える食品スーパーや近隣型複合施設が徒歩圏にほしい というニーズが高まっている 駅前や人口の集積した住宅地の立地優... 位性が高まり 郊外の店舗は選別されて アウトレットモールなどの一部の非日常型の店舗が中心になるだろう 量的には過剰気味だが 消費者のニーズを満たす店舗は少ない小売店はオーバーストアと言われて久しい しかし 今回の調査で 老朽化した小型店や 業態転換が進まず消費者ニーズを満たしていない総合スーパーなどが多数残っている実態が明らかになった また 東京圏の住宅地も住民の高齢化が進んでいることから 日常生活圏の充実 を後押しするフルラインナップの食品スーパー ( 単独 複合 ) に対する潜在需要はますます膨らむものと推定される 業態転換や淘汰 再編を迫られる総合スーパーや食品スーパー業界飲食料品のマーケットは引き続き堅調に推移すると考えられるが プレーヤーと店舗の再編 淘汰が進む可能性が高い 総合スーパーは老朽店舗が多く 衣料品を中心に売上減少もあって 業態の見直しを迫られている また 食品スーパー業界は大手の寡占度が比較的低く 有力企業による提携 買収の余地も多く残されていることから 再編 効率化が進むものと思われる 都心部は小型店 周辺住宅地では食品スーパーを核とした複合店都心部での食品スーパーの新規出店は用地取得が難しく 再開発や大型マンション開発に伴う出店以外は テナントとして小型店を出店するケースが増えると思われる 一方 周辺住宅地では 徒歩圏で品揃えが充実した大型食品スーパー ( 単独 複合とも ) に対するニーズが強い 今後は 1 万m2超の大規模商業施設の開発が難しいため 食品スーパーを核とした近隣型複合施設の開発に期待がかかる 有力食品スーパーの出店意欲は強く 新規店舗の需要は底堅い東京圏における基本的な出店候補エリア 7 は 694 カ所あり フルラインナップが可能な規模の新型施設が供給されれば 有力食品スーパーの出店需要が見込まれる また 有望な二次商圏であれば 既存競合店の有無にこだわらず 出店を検討する企業が多い なお 直近 11 年間の食品スーパーの出店ペースは年間 41 店であり 短期間に市場が飽和状態になるとは考えにくい したがって 投資対象としても堅調なテナント需要と長期契約による安定収益が見込めるものと思われる 7 一次商圏 ( 半径 5m) に 3 世帯以上居住しており 既存競合店がないエリア 15

付属資料 食品スーパーを核とした主な近隣型複合施設 (21 年 ~212 年 6 月竣工 店舗面積 5, m2以上 ) NO. 施設名所在地開店年月 店舗面積 ( m2 ) 駐車場収容台数 核店舗 4 マミーマート岩槻店 さいたま市岩槻区 2312 5,248 138 マミーマート 5 フェスタスクエア さいたま市岩槻区 288 5,94 3 ヤオコー 6 ザ マーケットプレイス川越的場 川越市 2123 7,251 239 ヤオコー 12 ヤオコーマーケットシティ所沢 所沢市 226 8,541 16 ヤオコー 13 マミーマート所沢山口店 所沢市 2412 6,636 175 マミーマート 17 ベスタ狭山 A 狭山市 271 5,96 21 ベルク 23 ピアシティ南越谷 越谷市 241 6,4 79 カスミ 25 イオンタウン蕨 蕨市 2312 5,723 2 マックスバリュ 27 入間野田モール 入間市 249 5,474 155 ベルク 3 UNICUS 吉川 吉川市 2119 8,5 243 ライフコーポレーション 31 UNICUS 伊奈 北足立郡伊奈町 264 8,999 239 ヤオコー 32 UNICUS 三芳 入間郡三芳町 263 8,951 386 ヤオコー 33 マミーマート仁戸名店 千葉市中央区 2512 7,412 217 マミーマート 36 東武ストア新船橋店 船橋市 281 5, 143 東武ストア 38 UNICUS 野田 野田市 248 6,29 225 ヤオコー 39 イオンタウン東習志野 習志野市 2411 6,97 385 マックスバリュ 48 サミットストア成城店 世田谷区 2111 5,411 297 サミット 57 コピオ楢原 八王子市 279 9,166 27 スーパーアルプス 6 ヤオコー八王子並木町店 八王子市 2111 6,176 178 ヤオコー 62 若葉ケヤキモール 立川市 263 5,274 373 マルエツ 69 アメリア町田根岸ショッピングセンター 町田市 2114 7,583 272 三和 71 サミットストア小平上水本町店 小平市 2612 6,26 281 サミット 72 東村山プラザ 東村山市 277 5,3 265 ヨークマート 73 フレスポ国立南 国立市 21111 8, 264 スーパーバリュー 74 東久留米ショッピングセンター クルネ 東久留米市 2911 8,41 241 サミット 75 多摩東寺方ショッピングセンター 多摩市 252 6,851 183 サミット 78 スーパー三和アメリア稲城ランド通り店 稲城市 271 6,712 354 三和 79 コピオ羽村 羽村市 212 5,391 155 スーパーアルプス 83 ケーズデンキ横浜鶴見店 横浜市鶴見区 215 6,82 298 三和 84 サミットストア横浜岡野店 横浜市西区 21111 5,92 31 サミット 91 サニーアイル 横浜市泉区 241 8,655 345 相鉄ローゼン 96 エイビイ佐原店 横須賀市 236 5,158 126 エイヴイ 99 ヨークマート北金目店 平塚市 2911 5,42 155 ヨークマート 14 三和フードワン海老名店 海老名市 2712 7,745 238 三和 15 フレスポ綾瀬 綾瀬市 213 5,41 199 エイヴイ データは各社 HP 東洋経済新報社のデータと実査を基に 212 年 7 月 15 日時点で集計した 表中の No. は 13 ページの 16 施設の番号 ( 図 18 の地図参照 ) < 内容に関するお問い合わせ先 > 野村不動産投資顧問株式会社営業本部投資調査担当林俊樹, 笠原謙二東京都新宿区西新宿 8 丁目 5 番 1 号野村不動産西新宿共同ビル TEL 3-3365-859 本稿は情報提供を唯一の目的とします いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません 本稿記載のデータは信頼できると思われる各種の情報源に依拠しておりますが その内容の正確性 完全性 合理性および妥当性について保証するものではありません したがって 本稿に基づいてお客様が被った損害 不利益に対し 当社およびその関係者は一切の責任を負いません 本稿の無断複製 無断転載を禁じます 16