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構造 用途 鉄筋コンクリート造鉄骨 鉄筋コンクリート造 高品質の場合 普通の品質の場合 高品質の場合 重量鉄骨 鉄骨造 普通の品質の場合 軽量鉄骨 ブロック造れんが造 木造 学校庁舎 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 40 以上 Y 60 以上 Y 60 以上

青文字は、長谷川が修正したものです


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第 3 回検討会でご意見を頂いた内容に対する対応方針 ( 案 ) 中長期保全計画の策定において 更新 修繕 といった言葉の使い分けは明確にすべき その際 部位による使い分けや ライフサイクルコストの視点を踏まえた 更新 修繕 のレベル設定にも留意すること 建物を 使える 状態に維持するという観点から

設 機能の見直しハード面の効率化財源確保1-3. 再配置パターン ( 手法 ) の考え方 再配置計画の検討に向けて 公共施設の再配置を う場合の基本的なパターン ( 手法 ) について整理し それらの効果についても確認していきます 施設の再配置にあたっては 厳しい財政状況の中 人口が減少傾向にあるこ

0 事前準備 公共施設等の更新費用比較分析表作成フォーマット の作成に当たっては 地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書 公共施設及びインフラ資産の更新に係る費用を簡便に推計する方法に関する調査研究 における更新費用試算ソフト ( 以下 試算ソフト という ) を用います 試算ソフトは今回

(3) 中規模改修工事費 建設年代別にm2単価を設定する 大規模改修後及び改築後は 水準別にm2単価を設定し 冷房設備ありの場合は別途m2単価を設定して加算する 表 中規模改修工事費 大規模改修前 大規模改修後 改築後 中規模改修建設年代改築後改築後大規模改修後円 / m2従来改築一般施

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福岡県立ももち文化センター 個別施設計画 平成 30 年 5 月 施設類型 県民向け施設 整理番号 20 施設所管課 文化振興課

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1. 財政目標の設定 国立市の過去 5 年間の普通建設事業費は 平均で 18.5 億円となっています そのうち公共施設分は 8.1 億円です 実効性の高い保全計画とするためには財政的な裏付けが欠かせません 各年度に実施する修繕 改修は予算編成の中で決定することとなりますが 保全計画における財政目標と

第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

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イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久

流山市コミュニティ施設の個別施設計画 平成 30 年 11 月 流山市

[ 図表 35: 見直しのイメージ ] 質の高い施設 安心安全で コストの最適化 施設を安心安全に利用するため 点検 診断を実施し その結果に基づき 必要な対策を適切な時期に着実かつ効率的 効果的に実施します また これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し 次の点検 診断等に

§1 業務概要

3-1 2 修繕工事の実態 ( ヒアリング ) 計画修繕は 定期点検等で明らかになった建物の劣化の補修のため 調査 診断 修繕計画の作成 工事の実施へと 区分所有者の合意を形成しつつ 進められる 当勉強会で実施したヒアリングより 管理会社による点検 定期点検は 1 回 / 年の頻度で行っている 目視

橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

目次 ( )

PowerPoint プレゼンテーション

第 4 章公共施設の老朽化状況の把握 建築物の老朽化状況については 1 躯体の健全性把握調査と 2 躯体以外の劣化状況把握 調査の 2 つの調査を実施し 実態を把握の上 評価しました 1 公共施設の保有状況公共施設の保有状況 築年別用途別規模別築年別用途別規模別 躯体の健全性の把握 3

第 4 章保全に係る基準の設定 保全に係る基準の設定フロー 前章の老朽化状況の把握からの保全に係る基準の設定フローを以下に示します 老朽化状況の把握 1 躯体の健全性調査 2 躯体以外の劣化状況調査 残存耐用年数 躯体の健全性調査による残存耐用年数 構造別の目標耐用年数の設定 ( 長寿命化 ) 長寿

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資料 5 公共施設更新コスト試算 1 試算ケース ケース1: 旧耐震基準のうち 築 60 年以上は建替え それ以外は大規模改修 新耐震基準は老朽箇所修繕 耐用年数を 60 年と想定した場合 旧耐震基準の施設のうち 築 60 年以上の施設は 築 60 年が経過した施設から建替える 建替え対象以外の旧耐

第二面 1. 建築物の位置 延べ面積 構造 設備及び用途並びに敷地面積に関する事項 建築物に関する事項 1. 地名地番 2. 敷地面積 m2 3. 建築面積 m2 4. 延べ面積 m2 5. 建築物の階数 地上 階 地下 階 6. 建築物の用途 一戸建ての住宅 共同住宅等 非住宅建築物 複合建築物

隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

表紙

H28秋_24地方税財源

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瑞穂市建物系公共施設個別施設計画 【概要版】

さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 第 4 渡り廊下で接続されている場合の取り扱い 155 第 4 渡り廊下で接続されている場合の 取り扱い

60 年超土地長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の認定制度 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 (H21.6 施行 ) に基づく長期優良住宅に係る認定制度の創設 長期優良住宅の建築 維持保全に関する計画を所管行政庁が認定 認定住宅は 税制 融資の優遇措置や補助制度の適用が可能 認定基準 <1>

建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

第1回まちづくり評価委員会 市民部会 開催記録概要

橋梁長寿命化修繕計画 ( 案 ) 平成 25 年 3 月 那覇市役所 建設管理部道路管理課

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

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資料1-2 「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」(案)」(事例・参考資料等)(4/5)

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第3章 長寿命化改修と併せて検討したいこと

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PowerPoint プレゼンテーション

AM部会用資料(土木・建築構造物)

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第 1 公共施設の保全 1. 公共施設の現状と課題 1 2. 公共施設の実態把握 1 (1) 対象施設 (2) 調査項目 (3) 評価基準 (4) 施設調査カルテ 第 2 公共施設の長寿命化 3 1. 目標耐用年数の設定 3 (1) 更新時期 (2) 耐用年数 (3) 目標耐用年数 2. 維持管理

【HP公表 最終版の公表前確認修正有り】 北陸取組み(個票)

調査番号 5 調査年度平成 7 年度 施設名久米図書館棟名称本体棟 所管部課生涯学習部図書館 No 土地データ所在地津山市中北下 7 敷地面積 m 建物データ 行政機能図書館建築年度 99 年築年数 年 建物の主構造鉄筋コンクリート造延床面積 6.6m 階 図書館 書庫 展示室 事務室

雲仙市公共施設等総合管理計画 概要版 平成 29 年 3 月 雲仙市

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

スライド 1

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5.4章.xdw

平成10年2月4日

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

ご ごに対する市の考え方 番号頁箇所の要旨対応理由等 1 市政全般 総合計画で 2026 年まで 27 万人を維持するためには どのような施策 計画があるか また 2055 年における人口と公共施設の延べ床面積の関係は 2 市政全般 総合計画で 2026 年まで人口を維持した後の市 原市政は これま

改訂履歴施行年月日 改訂理由 内容 平成 25 年 10 月 22 日 制定 平成 27 年 5 月 29 日 一部改正 第 1 項 2 項 3 項及び4 項に空調施設の整備に関 する内容を追加

保全の基本方針

資料 1 SAMPLE

資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

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平成23年度

住宅の省エネエネ改修改修に伴う固定資産税固定資産税の減額制度減額制度について 平成 20 年 1 月 1 日以前に建てられた住宅 ( 賃貸住宅を除く ) について 平成 20 年 4 月 1 日から平成 32 年 3 月 31 日までの間に 一定の要件を満たす省エネ改修工事を行った場合 120 m2

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

各取組は PDCA サイクルを回し効果を評価し 目標が達成できない見通しとなったときは さらなる総量の縮減や取組 体制の強化等 基本方針等を見直します [ 図表 40] [ 図表 40:PDCA サイクル ] 計画修正 Action 計画修正 Action Plan Check 計画等修正 Acti

物 件 調 書

目 次 1 個別計画策定の趣旨及び概要 1 (1) 策定の趣旨 1 (2) 概要 1 2 施設別財産状況 2 3 各種分析結果 5 (1) 築年数別状況 5 (2) 利用状況 6 (3)1 m2当たりの運営コスト状況 7 (4) 消防団員 1 人当たりの運営コスト状況 8 (5) 施設配置状況 9

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1 個別施設計画の基本的な考え方本計画は 公共施設等総合管理計画の内容を基本とし 同計画に示す類型のうち中分類を基本に現状の施設管理者を勘案して個別に策定した 計画の基本的考え方として 個別具体の方向性を示し 原則 長寿命化を推進し 鉄筋コンクリート造の建築物は目標供用年数を 80 年とし 長寿命化

2) 管理数量 下水道 終末処理場には汚水と雨水用の施設があります 管理数量は次のとおりで す 表 2-26 下水道 終末処理場の管理数量 施設名種別数量備考 下水道 ( 汚水 ) 下水道 ( 雨水 ) 汚水管きょ下水道終末処理場中継ポンプ場汚水低地排水ポンプ雨水管きょ雨水低地排水ポンプ雨水ゲート

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年次業務報告書記載に関する留意点

西川町下水道長寿命化計画 ( 西川浄化センター ) ( 様式 1) 1. 対象施設及びその選定理由 1 対象施設の概要本町の下水道事業は 平成 6 年に公共下水道事業計画の認可を受け事業に着手し その後 4 回の変更認可により下水道整備を行ってきた 平成 22 年度末の整備状況としては 行政人口 6

富士市が所有する市営住宅の耐震性能に係るリスト 目 次 頁 1. 公表の趣旨 1 2. 要旨 1 3. 各別の耐震性能と富士市の耐震性能判定基準 2 4. 用語の説明 3 5. 市営住宅の耐震性能に係るリスト 4 ~ 8 6. 一般公共建築物の耐震性能に係るリスト 別掲載

定量的な成果目標の設定が困難な場合 定量的な目標が設定できない理由及び定性的な成果目標 事業の妥当性を検証するための代替的な達成目標及び実績 活動指標及び活動実績 ( アウトプット ) 単位当たりコスト 代替目標 各国賓客の招待外交の表舞台に相応しい施設としての機能を維持するため また 安定して一般

長期保全計画書

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等



標準入力法H28_解説書_ALL_v2.3_

< > 特別県営住宅 1 棟 県営住宅 2 棟の合計 3 棟である 県営住宅はほぼ満室の状態であるが 特別県営住宅は入居率が 53.3% である 特別県営住宅の間取りは 3LDK であり 約 60 m2と約 70 m2の広さのものがある 特別県営住宅は外観が県営住宅とほとんど変わらず 面積が若干広い

別表 1 建築物の構造 建築物の状況 周辺状況 建築物に係る解体工事 木造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 鉄骨造 コンクリートブロック造 築年数年 棟数棟 周辺にある施設 住宅 商業施設 学校 病院 作業場所 作業場所 十分 不十分 搬出経路 障害物 有 無 前面道路の幅員 約 m 建

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資料

参考 2 建築設備診断業務指針 第 1 章総則 第 1. 目的 1 本指針は, 公益社団法人ロングライフビル推進協会 ( 以下 BELCA という ) 及び一般財団法人日本建築設備 昇降機センターが定めた建築設備診断技術者資格制度実施要領第 54 条に基づき, 建築設備診断技術者 の資格称号を付与さ

鉄筋コンクリート造 ( 第 1 面 ) 中古マンション建物調査報告書 ( 既存住宅状況調査 ) 作成日 2018 年 4 月 10 日 建物名称 様邸 調査依頼主 調査立会者 会社名 担当者 会社名 担当者 株式会社アネストブレーントラスト

高浜町 橋梁長寿命化修繕計画 ( 第 2 期 ) 高浜町建設整備課

定量的な成果目標の設定が困難な場合 定量的な目標が設定できない理由及び定性的な成果目標 事業の妥当性を検証するための代替的な達成目標及び実績 定量的な目標が設定できない理由 迎賓施設としての機能を維持するため また 安定して一般公開等を行うために必要となる経年劣化等の不具合による改修工事等であるため

基準2 消防用設備等の設置単位の取扱いに関する基準

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スライド 1

施工技術者認定制度

鳥栖市庁舎整備の基本的考え方 平成 29 年 1 月 鳥栖市

事務事業調書平成 27 年度 事業 No 647 課 総務課 係 施設係 起案者 石原久仁夫 決裁者早川雅己 事務事業名 小学校施設耐震補強事業 事業種別 施設整備 1 事業概要 総合計画体系 根拠法令 法定受託事務 公約 議会答弁 陳情 市民要望実施方法実施期間 求める成果 ( 目的 ) 4 個性

Transcription:

藤沢市公共建築物長寿命化 ( 予防保全 ) 指針 藤沢市 2016 年 ( 平成 28 年 )3 月 0

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藤沢市公共建築物長寿命化 ( 予防保全 ) 指針 目 次 Ⅰ 指針策定の背景と目的 1 Ⅱ 公共建築物の長寿命化に向けて 1 予防保全の取組 2 2 予防保全の対象 3 (1) 建築物 3 ア予防保全対象建築物と対象部分 3 イ目標保全年数 4 (2) 建築設備 ( 電気設備 機械設備 ) 5 3 施設毎の中長期予防保全計画 6 4 予防保全の実施における各課の役割 7 Ⅲ 予防保全と併せて検討すべき事項 8 参考資料 1 公共建築物の現状 10 2 公共建築物の保全方法について 11 3 事後保全における課題 11 4 予防保全対象建築物の選定フロー 12 2

1 Ⅰ 指針策定の背景と目的本市では 公共施設等全体を対象とした 藤沢市公共施設等総合管理計画 ( 平成 27 年 3 月 ) を策定し 老朽化が進む公共施設等の更新 管理を総合的かつ計画的に実施し 財政負担を軽減 平準化するとともに 将来にわたって継続的に質の高い行政サービスを可能とするまちづくりを目指しています 本指針は 藤沢市公共施設再整備基本方針 ( 平成 26 年 3 月 ) に定める長寿命化に取り組む上での具体的な考え方を示すものです 橋りょう公園準用河川道路下水道藤沢市公共施設等総合管理計画 ( 平成 27 年 3 月 ) 公共施設全体を公共建築物 道路 橋りょう 下水道 公園 準用河川及びその他に分類し 維持管理 長寿命化などの基本的な考え方を記載公共建築物藤沢市公共建築物長寿命化 ( 予防保全 ) 指針 中長期予防保全計画 藤沢市公共施設再整備基本方針 ( 平成 26 年 3 月 ) 再整備の基本的な考え方 (1) 公共施設の安全性の確保 (2) 公共施設の長寿命化 (3) 公共施設の機能集約 複合化による施設数の縮減藤沢市公共施設再整備プラン ( 平成 26 年 11 月 ) 再整備の短期プランと長期プランとで構成その他(藤沢市道路舗装修繕計画)(藤沢市公園施設長寿命化計画)(藤沢市の橋りょう管理計画(橋りょう長寿命化計画)) 水路等 (個別河川ごとの事業計画)(湘南ふじさわ下水道ビジョン) ( ) 内の計画等は 主な計画です

Ⅱ 公共建築物の長寿命化に向けて 1 予防保全の取組 計画的な予防保全の実施により 施設の利用可能年数を延長し 長寿命化を図ります (1) 予防保全とは 耐用年数 点検結果を把握し故障等が起きる前に所要の対策を行い 故障が起きないようにする保全方法です 突発的な故障発生により 市民サービスの提供に支障をきたすことを防止するとともに 修繕範囲を最小限におさえ 維持保全にかかる費用の縮減を目指すものです (2) 予防保全対象の考え方 建築物 建築設備 ( 電気設備 機械設備 ) 不具合の発生が施設の寿命や市民サービスの提供に大きな影響を与える部分を対象とします 2

2 予防保全の対象 (1) 建築物ア予防保全対象建築物と対象部分予防保全の対象とする建築物と対象部分は 次のとおりです ( ア ) 予防保全対象建築物予防保全を実施することにより 市民サービスの低下を防ぐことや維持保全費用の縮減に効果が期待できるものとして 次の3つの条件を満たす建築物を予防保全対象建築物とします a 主要構造が木造以外である建築物木造建築物の構造体は 使用状況による影響を受けやすいため 予防保全対象建築物から除外します b 1 棟の延べ床面積が 200 m2を超える建築物 公共建築物の定期点検 に関する政令 に定める規模を準用します 官公庁施設の建設等に関する法律第 12 条第 1 項の規定により その敷地及び構造にかかわる劣化の状況の点検を要する建築物を定める政令 ( 平成 17 年 5 月 27 日政令第 193 号 ) c 1985 年 ( 昭和 60 年 )4 月 1 日以降に建築した建築物 計画的に予防保全を実施する期間が残存している建築物を対象とします 公共施設再整備プランの短期プランに位置づけられた施設は 対象外とします 建築物の用途 利用形態 劣化の状況によっては対象外とすることを検討します 予防保全対象建築物以外は 事後保全を行います ( イ ) 予防保全の対象部分建築物の構造体 ( コンクリートや鉄骨 ) を保護している部分を予防保全対象部分とします 分類対象部分イ目標保全年数建築屋上 ( 防水 ) 外壁( シーリング含む ) 3

イ目標保全年数建築物の目標保全年数は 次のとおりです 構造 使用法定目標実態年数耐用年数保全年数 鉄筋コンクリート造鉄骨鉄筋コンクリート造 38 年 50 年 70 年 鉄骨造 30 年 38 年 50 年 軽量鉄骨造 - 30 年 40 年 使用実態年数 2004 年から 2014 年までに解体した本市の公共建築物における解体時築年数の平均 法定耐用年数 ( 減価償却資産の耐用年数 ) 藤沢市公共施設再整備基本方針に示した耐用年数で 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 ( 昭和 40 年 3 月 31 日大蔵省令第 15 号 ) における事務所の耐用年数を参考としている 目標保全年数の考え方 学校施設の長寿命化計画策定の手引 ( 平成 27 年 4 月文部科学省 ) において 物理的な耐用年数は ( 中略 ) 適切な維持管理がなされ コンクリート及び鉄筋の強度が確保される場合には 70 から 80 年程度 とされていことから 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造の目標保全年数を 70 年と設定する 鉄骨造 軽量鉄骨造は 法定耐用年数における鉄筋コンクリート造との比により 次のように設定する 鉄骨造 38 50 70=53.2 50 年軽量鉄骨造 30 50 70=42 40 年 4

(2) 建築設備 ( 電気設備 機械設備 ) 不具合が発生することにより 安全性 あるいは市民サービスの提供に大きく影響を与える次の設備については 建築物の建設時期や施設規模にかかわらず 予防保全の対象とします 予防保全対象設備 分類 対象部分 電力引込設備受変電設備幹線設備動力設備 電気設備 非常用照明設備誘導灯設備放送設備自動火災報知設備非常警報設備非常用発電設備 給湯設備給水設備ポンプ類 機械設備 空気調和設備換気設備排煙設備消火設備エレベーター設備エスカレーター設備その他昇降設備 公共施設再整備プランの短期プランに位置づけられた施設は 対象外とします 残存する耐用年数が 著しく少ない建築物に設置された設備については 適宜検討します 5

3 施設毎の中長期予防保全計画 公共建築物台帳システムを用いて 修繕及び更新が必要になる周期 概算費用を把握するとともに 現地調査や点検を行い 施設の状況を総合的に判断し 中長期予防保全計画を策定します 修繕等の実施に当たっては 施設の劣化や不具合の進行状況によって 修繕等の周期を適宜見直します 公共建築物台帳システムのイメージ 基本情報 ( 名称 敷地面積 用途 構造 階数 延べ床面積など ) 劣化状況 ( 現地調査記録 写真 ) 点検記録 ( 法定点検など ) 工事履歴 ( 工事 修繕の履歴 図面 ) 予防保全対象の情報 ( 仕様 数量など ) 修繕及び更新が必要となる周期と概算費用 6

4 予防保全の実施における各課の役割 円滑な予防保全工事の実施等に当たっては 次のとおり関係各課の連携を図ります 施設所管課 財政課 施設の状況把握 工事実施に伴う諸調整 中長期予防保全計画策定に伴う施設の情報提供 予算調整 工事記録共有 点検記録共有 施設利用状況等共有 予防保全工事に関する技術支援 現地調査 工事費見積 工事設計 監理 中長期予防保全計画の策定 推進 工事 点検記録及び施設利用状況等の活用 公共建築物台帳システムの運用 総合調整 支援 公共建築課 企画政策課 7

Ⅲ 予防保全と併せて検討すべき事項 施設の長寿命化を図るに当たっては 新築時のみならず予防保全工事実施時にも次の点に留意します (1) メンテナンスのしやすさ 更新のしやすさ 機器の選定に当たっては 点検のしやすさに留意するほか 標準品 汎用性のある部品を使用するなどメンテナンスのしやすさに着目した選定を行います (2) 省エネルギー 創エネルギー化の推進 建築物のライフサイクルコストで大きな比重を占めるエネルギーコストの削減 CO2 排出量削減による環境負荷の低減を目指し 省エネルギー 創エネルギー化を進めます (3) ユニバーサルデザインの推進 誰もが社会的弱者となりうることを念頭に置き ユニバーサルデザインの考え方に基づいた施設を計画します 既存施設は バリアフリー化においてもユニバーサルデザインの考え方を基本とします 8

参考資料 1 公共建築物の現状 2 公共建築物の保全方法について 3 事後保全における課題 4 予防保全対象建築物の選定フロー 9

1 公共建築物の現状 他の自治体と同様に 本市においても 昭和 30 年代から昭和 50 年代における人口増に合わせて 公共建築物を整備拡充してきたことから 1981 年 ( 昭和 56 年 ) 以前の旧耐震基準で建設された公共建築物は 452 棟 約 2 9 万m2 ( 全体の38.0%) となっています 旧耐震基準の公共建築物のうち 築 40 年以上のものは200 棟 約 15 万m2 ( 全体の20.2%) あります また 築 50 年以上の建築物は21 棟 約 1 万 2 千m2 ( 同 1.6%) となっています また 1981 年 ( 昭和 56 年 ) から1985 年 ( 昭和 60 年 ) の5 年間は 251 棟 約 14 万m2 ( 全体の18.8%) と 特に多くの公共建築物が建設され このままでは 施設更新を迎える時期が集中し 一時的に多大な施設更新費用が必要となることが課題となっています 図築年別の施設整備状況 ( 一般会計施設 ) 10

2 公共建築物の保全方法について 建築物及び建築設備の維持管理には 大きく分けて 予防保全 日常的修繕及び事後保全の手法があります このうち予防保全は 建物の長寿命化を目指した維持保全であり 劣化や故障の発生前に手当てをする保全方法です 実施する箇所としては 屋根 外壁等建物の構造体 ( コンクリートや鉄骨 ) を保護している部分又は電気設備 機械設備のうち 受変電設備等不具合が発生することにより安全性 あるいは市民サービスの提供に大きく影響を与える部分などです 日常的修繕は 自動ドアの開閉不良調整など日常的な利用により消耗する箇所の修繕で 施設管理者が行うものです 事後保全は 建築物などの屋根材 外壁 あるいは主要な設備機器に不具合 故障が生じた後に その対象あるいは設備機器を修繕または交換し 性能 機能を所定の状態に戻す保全の方法です 3 事後保全における課題これまで 本市における公共建築物の維持管理は 事後保全 により行われてきました 雨漏りの場合を例にとると 屋内で雨漏りに気づいてから修繕に着手するのが 事後保全 です 1 防水層の損傷 2 コンクリートひび割れなどから雨水が浸入 3 天井下地をつたわって雨水が落ちる 下地の腐食 天井内の空調機 照明器具を損傷 4 天井仕上げ材を濡らす 天井仕上げ材の損傷 5 床に水がたまる 発見 図雨漏り発見までのプロセス屋内で雨漏りを確認できるまでには 防水層の損傷 コンクリートのひび割れの発生 天井内の部材の腐食 設備機器の損傷 天井仕上げ材の損傷なども発生し その修繕には 雨漏りを止める防水工事のみならず 内外装の改修も必要となり さらには コンクリートの中に入っている鉄筋を腐食させ 構造体の耐用年数を縮めることにもなります また 雨漏りの発生により 施設利用が制限されると市民サービスの大幅な低 11

下につながる点に留意する必要があります 4 予防保全対象建築物の選定フロー スタート 木造以外か 木造 木造以外 延べ床面積 200 m2を超えるか 200 m2以下 新築 200 m2を超える いつ建築されたか 1985 年 ( 昭和 60 年 ) 3 月 31 日以前 1985 年 ( 昭和 60 年 ) 4 月 1 日以降 予防保全対象新築建築物 ( 予防保全を実施 ) 予防保全対象既存建築物 ( 順次予防保全に移行 ) 事後保全対象建築物 予防保全対象 事後保全対象 このフローに従い 既存施設を分類した棟数は 次のとおりです 全公共施設 1,227 棟 木造以外の建築物 1,093 棟 延べ床面積 200 m2を超えるもの 416 棟 事後保全対象建築物 1985 年 ( 昭和 60 年 )4 月 1 日以降に建設された施設 ( 木造を除く ) = 予防保全対象既存建築物 167 棟 1985 年 3 月 31 日以前に建築 249 棟 延べ床面積 200 m2以下の建築物 677 棟 木造建築物 134 棟 12