平成 27 年 9 月 3 級 FP 技能検定 / 実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答と解説 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 1 2 1 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 1> 正解 1 * 老齢基礎年金 老齢基礎年金の年金額は 20 歳から 60 歳になるまでの 40 年間保険料を支払った場合に 満額の年金額がもらえるしくみで 未納期間等がある場合には その分年金額が減額され る 具体的な計算式は 下記の通りである 保険料納付済月数 ( 注 2) 満額の老齢基礎年金 ( 注 1) 480 月 ( 注 1) 平成 27 年度価額では 780,100 円 ( 注 2) 国民年金の保険料納付済期間 厚生年金保険の被保険者期間 共済組合の加入期間 の合計 ( ただし 20 歳以上 60 歳未満の期間 ) また 保険料免除期間がある場合 次の期間が分子に加算される 平成 21 年 3 月以前 : 全額免除月数 1/3+3/4 免除月数 1/2+ 半額免除月数 2/3+ 1/4 免除月数 5/6 平成 21 年 4 月以降 : 全額免除月数 1/2+3/4 免除月数 5/8+ 半額免除月数 3/4+ 1/4 免除月数 7/8 A さんの場合 保険料納付済月数は 保険料納付済期間 306 月 + 保険料納付予定期間 138 月 =444 月である * 付加年金国民年金の第 1 号被保険者ならびに任意加入被保険者は 定額保険料 ( 平成 27 年度は 月額 15,590 円 ) に付加保険料 ( 月額 400 円 ) を上乗せして納めることで 受給する年金額を増やすことができる 付加年金額は 200 円 付加保険料納付月数 で計算されるが Aさんの場合 付加保険料納付月数は 138 月である 1
* 老齢基礎年金の額および付加年金の額 444 月 780,100 円 +200 円 138 月 749,200 円 480 月 < 問 2> 正解 2 1) 適切 国民年金基金には 47 都道府県に設立された 地域型基金 と 25 の職種別に設立された 職能型基金 の 2 種類があり 国民年金の第 1 号被保険者は 該当するいずれか一方の国民年金基金に加入することができる 2) 不適切 国民年金基金の毎月の掛金は 選択した給付の型 加入口数 加入時の年齢 性別によって決まる 掛金の上限は 月額 6 万 8,000 円である 3) 適切 国民年金基金に加入した場合は 国民年金の付加保険料を納付することができなくなる < 問 3> 正解 1 3) の語句の組み合わせが適切 1 確定拠出年金の個人型年金の掛金は 国民年金基金に加入している場合または国民年金の付加保険料を納付している場合は それぞれの掛金または保険料と合算して月額 68,000 円が限度額となる 2 確定拠出年金の個人型年金の掛金は その全額が 小規模企業共済等掛金控除 として所得控除の対象となる なお 国民年金基金の掛金や付加保険料は その全額が社会保険料控除として所得控除の対象となる 3 確定拠出年金の通算加入者等期間が 10 年以上となる場合には 60 歳から老齢給付金を受け取ることができる 第 2 問 番号 問 4 問 5 問 6 正解 3 2 3 配点 4 点 3 点 3 点 < 問 4> 正解 3 1) 不適切 住宅ローンの契約者が死亡した場合 残債は団体信用生命保険の保険金で清算されるため 住宅ローン残高を遺族に必要な生活資金等の総額として見込む必要はない 2) 不適切 第 1 子誕生後に A さんが死亡した場合 妻 B さんには子どもの人数に応じた遺族基礎年金が 子が 18 歳に到達する年度の末日 (3 月 31 日 ) まで支給される 遺 2
族が配偶者と子 1 人の場合 遺族基礎年金の年金額は 780,100 円 ( 老齢基礎年金の満 額と同額 )+224,500 円 ( 子の加算 )=1,004,600 円となる ( 平成 27 年度価額 ) 遺族基礎年金額 ( 平成 27 年度価格 ) 遺族が配偶者と子の場合 子 1 人 780,100 円 +224,500 円 =1,004,600 円 遺族が子の場合 子 1 人 780,100 円 子 2 人 780,100 円 +224,500 円 2 人 =1,229,100 円子 2 人 1,004,600 円 3 人目以降は子 1 人につき 74,800 円を加算 3) 適切 必要保障額を考える際には 支出は余裕を持って 収入は厳しめに見積もるほうが無難である < 問 5> 正解 2 1) 適切 算出した必要保障額はあくまでも目安である 必要保障額を算出する計算過程を振り返り 万一のときに準備しておきたい資金の優先順位を考え 今後の生活設計に悪影響を及ぼさない程度の保険加入を検討するとよい 2) 不適切 契約中の生命保険を新たな保険に契約転換する場合 転換時点での予定利率が適用になるため 転換前の高い予定利率は引き継がれない 3) 適切 学資 ( こども ) 保険は 将来の教育資金に備えるという貯蓄機能だけでなく 契約者である親や子の保障機能を兼ね備えている商品もある 返戻率や保障内容をよく吟味し 加入目的と照らし合わせて判断する必要がある < 問 6> 正解 3 3) の語句の組み合わせが適切 ⅰ) 住宅借入金等特別控除とは 住宅ローンを利用して自己の居住用住宅の取得等をした場合 一定の要件を満たせば 住宅ローンの 年末残高 ( 上限あり ) に控除率を乗じて得た金額をその年分の所得税額から控除する税額控除である ⅱ) 住宅借入金等特別控除の額は 年末残高 控除率 で計算されるが 控除率は 1% である ( 平成 26 年 4 月 ~ 平成 31 年 6 月に居住の用に供した場合 ) ⅲ) 住宅借入金等特別控除の適用を受けるための要件には 取得した住宅の床面積が 50 m2 以上であること 住宅ローンの返済期間が 10 年以上であることなどが挙げられる 第 3 問 番号 問 7 問 8 問 9 正解 1 3 2 配点 3 点 3 点 4 点 3
< 問 7> 正解 1 1) 不適切 長期平準定期保険は 保険期間の前半 6 割に相当する期間は 支払保険料の 2 分の 1 を損金算入 残り 2 分の 1 を前払保険料として資産計上する 2) 適切 長期平準定期保険の解約返戻金は 保険期間の 6 割を経過するあたりでピークを迎え その後は減少していき 保険期間満了時には 0( ゼロ ) になる 3) 適切 解約返戻金は契約者である X 社が受取人となるため A さんの役員退職金の原資としても 借入金返済や設備投資等の事業資金としても活用できる < 問 8> 正解 3 3) が適切 福利厚生プラン ( ハーフタックス プラン ) において支払った養老保険の保険料は 2 分の 1 を福利厚生費として損金に算入し 2 分の 1 を保険料積立金として資産に計上する < 問 9> 正解 2 1) 適切 福利厚生プランとして認められるには 特定の役員や従業員のみの加入とならないよう 普遍的加入の条件を満たす必要がある 2) 不適切 保険契約を解約した場合 解約返戻金は契約者 (X 社 ) に支払われる 3) 適切 福利厚生プランにおいて 保険金額は退職金規程や弔慰金規程に定められた 死亡退職金や弔慰金 生存退職金の範囲内に設定する必要がある 第 4 問 番号 問 10 問 11 問 12 正解 3 1 2 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 10> 正解 3 2) の語句の組み合わせが適切 ⅰ) 社会保険料控除は 納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合に受けられる所得控除であるので Aさんが長男 Cさんが負担すべき国民年金の保険料を支払った場合 その保険料はAさんの社会保険料控除の適用対象と なる ⅱ) 配偶者控除は配偶者の合計所得金額が 38 万円以下 ( パートによる給与収入金額でいえば 103 万円以下 ) の場合に適用が受けられるので Aさんは配偶者控除の適用が受けられる 控除額は 38 万円 (70 歳以上の老人控除対象配偶者の場合は 48 万円 ) である 4
ⅲ) 扶養控除の対象となるのは 1 納税者と生計を一にしている親族 ( 配偶者を除く ) 2 16 歳以上 3 合計所得金額が 38 万円以下などの要件を満たした場合で 控除額は年齢 等に応じて 次のようになっている 区分 一般の控除対象扶養親族 (16 歳以上 19 歳未満 23 歳以上 70 歳未満 ) 控除額 38 万円 特定扶養親族 (19 歳以上 23 歳未満 ) 63 万円老人扶養親族 (70 歳以上 ) 同居老親等以外の者 48 万円同居老親等 ( 注 ) 58 万円 ( 注 ) 同居老親等とは 老人扶養親族のうち 納税者又はその配偶者の直系の尊属 ( 父母 祖父母など ) で 納税者又はその配偶者と常に同居している人をいう 設例の場合 長男 Cさんは 20 歳なので特定扶養親族に該当し 控除額は 63 万円 である < 問 11> 正解 1 一時所得の金額解約返戻金一時払保険料特別控除 800 万円 - 500 万円 - 50 万円 =250 万円 総所得金額に算入される一時所得の金額 250 万円 1/2=125 万円 < 問 12> 正解 2 1) 適切 医療費控除の控除額は 支払い医療費 -( 保険金などで補填される金額 )-10 万円 ( 注 ) ( 控除限度額は 200 万円 ) で計算される ( 注 ) 総所得金額等が 200 万円未満の場合は 総所得金額等の 5% したがって 医療費控除は 総所得金額等の合計額が 200 万円以上の者の場合 年中に支払った医療費の総額が 10 万円を超えていなければ 医療費控除の適用を受けることができない 2) 不適切 医療費控除の適用を受けるためには 確定申告が必要である 年末調整等で適用を受けることはできない 3) 適切 医療費控除の対象は 医師等による診療や治療に要した費用だけでなく 診療等を受けるための公共交通機関 ( バス 電車等 ) による通院費も適用の対象となる なお 自家用車で通院する場合の駐車場代やガソリン代は 医療費控除の対象とならない 5
第 5 問 番号 問 13 問 14 問 15 正解 1 3 2 配点 3 点 3 点 4 点 < 問 13> 正解 1 1) 適切 自筆証書による遺言書を発見した相続人は 相続の開始を知った後 遅滞なく その遺言書を家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければならない 検認とは 相続人に対し遺言の存在およびその内容を知らせるとともに, 遺言書の形状, 加除訂正の状態, 日付, 署名など遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造 変造を防止するための手続である なお 遺言の有効 無効を判断する手続ではない 2) 不適切 封印のある自筆証書遺言書は, 家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならない この開封は 検認手続きの過程で行われる 検認を受けないで遺言を執行したり 家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封した者は 5 万円以下の過料に処せられる 無効になるわけではない 3) 不適切 遺留分とは 一定の相続人が相続財産の一定割合を確保できるように民法が定めた権利で 遺言の内容が相続人の遺留分を侵害する場合, 当該相続人は遺留分減殺請求を行うことができる 遺留分権利者は 配偶者 子 ( 代襲相続人を含む ) 直系尊属で 兄弟姉妹には遺留分の権利が認められていない したがって 仮に Aさんの 私の財産はすべて妻 Bに相続させる 旨の遺言により 妻 BさんがAさんの財産をすべて取得した場合 妹 Cさんおよび弟 Dさんは 妻 Bさんに対して遺留分の減殺請求をすることができない < 問 14> 正解 3 3) が適切 ⅰ)Aさんの相続に係る法定相続人は 妻 Bさん 妹 Cさん 弟 Dさんの 3 人で 民法上の法定相続分は 妻 Bさんは 3/4 妹 Cさんおよび弟 Dさんはそれぞれ 1/4 1/2 =1/8 である ⅱ) 相続税の基礎控除額は 平成 27 年 1 月 1 日以後の相続より 3,000 万円 +600 万円 法定相続人の数 で計算されるので Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は 3,000 万円 +600 万円 3 人 =4,800 万円である ⅲ) 契約者 ( 保険料負担者 ) 被保険者が被相続人で 死亡保険金受取人が相続人である場合 死亡保険金はみなし相続財産として相続税の課税価格に算入されるが 500 万円 法定相続人の数 で計算される金額が非課税とされる 妻 Bさんが受け取った死亡保険金 2,000 万円のうち 500 万円 3 人 =1,500 万円が非課税とされるので 相続税 6
の課税価格に算入される金額は 2,000 万円 -1,500 万円 =500 万円である < 問 15> 正解 2 相続税の計算において 相続税の総額 までは 誰がどのように相続するかにかかわらず 法定相続分通りに相続したものとみなして次の順序で計算する 1 課税価格の合計額本問では 金額を明らかにしていないが 課税遺産総額 ( 課税価格の合計額 - 基礎控除額 )3,200 万円が明記されており 基礎控除額から逆算すると 8,000 万円となる 2 遺産に係る基礎控除額基礎控除額は 4,800 万円 ( 問 14 参照 ) である 3 課税遺産総額 8,000 万円 -4,800 万円 =3,200 万円 ( この金額が設問上の前提条件として記載されている ) 4 相続税の総額 妻 Bさんの相続税の総額の基となる税額 3,200 万円 3/4=2,400 万円 2,400 万円 15%-50 万円 =310 万円 妹 Cさん 弟 Dさんそれぞれの相続税の総額の基となる税額 3,200 万円 1/8=400 万円 400 万円 10%=40 万円 相続税の総額 310 万円 +40 万円 2 人 =390 万円 7