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Transcription:

シバタ柴田 シゲノブ重信 略歴 1976 年 3 月九州大学薬学部卒業 1981 年 3 月九州大学薬学研究科博士課程 ( 薬学専攻 薬理学 ) 1981 年 4 月日本学術振興会奨励研究員 1982 年 1 月九州大学薬学部助手 1985 年 11 月 1987 年 10 月ニューヨーク州立大 ストニーブルック校 Research associate 1995 年 1 月九州大学薬学部助教授 ( 薬理学 ) 1995 年 4 月早稲田大学人間科学部助教授 1996 年 4 月早稲田大学人間科学部教授 2003 年 4 月早稲田大学理工学部 電気 情報生命工学科教授 2006 年 4 月早稲田大学先進理工学部 電気 情報生命工学科教授 2009 年 4 月東京農工大客員教授 ( 併任 ) 早稲田大学 東京農工大学共同大学院先進健康科学専攻 ( 併任 ) マウスの体内時計遺伝子に基づいた時間栄養学の構築と応用 Research of food and nutrition contents on feeding-induced reset of circadian rhythm in mice. The rotation of the earth around its axis causes 24 h changes in environmental conditions including temperature, food availability, light, and darkness. In addition, seasonal changes in the length of day occur as a consequence of the earth orbiting the sun. In order to cope with and anticipate these changes, most organisms throughout the plant and animal kingdom possess a circadian timing system. The peripheral circadian clock in mice is entrained not only by light-dark cycles but also by daily restricted feeding schedules. Behavioral and cell culture experiments suggest an increase in glucose level as a factor in such feeding-induced entrainment. For application of feeding-induced entrainment in humans, nutrient content and dietary variations should be considered. To elucidate the food composition necessary for dietary entrainment, we examined whether complete or partial substitution of dietary nutrients affected phase shifts in liver clocks of mice. A combination of glucose and casein without oil, vitamin, or fiber caused a significant phase advance. When cornstarch in AIN- 93M was substituted with glucose, sucrose, fructose, polydextrose, high-amylose cornstarch, or gelatinized cornstarch, the amplitude of phase advance paralleled the increase in blood glucose concentration. Two meals per day schedule experiment demonstrated that feeding 15

after long starvation (so-called breakfast)possesses entraining activity than feeding after short starvation. Feeding habits such as breakfast skipping causes the obesity in humans and mice suggesting that one meal per day (breakfast or dinner)or two meals per day (big breakfast or big dinner)may affect body weight and energy metabolism. In the present experiment, we found big breakfast with small dinner could protect high fat containing food-induced obesity (body weight gain and visceral fat), and also help for entrainment of peripheral clock similar to morning light. 1 緒言 体内時計研究は時計遺伝子の発見とそれに続く 10 年間で 体内時計発振や同調の分子機構が解明されてきた その後体内時計の研究は応用研究の方向に進んでいる 時計遺伝子は視交差上核で主時計としてのみならず 海馬や大脳皮質など脳時計として働き さらに末梢臓器では末梢時計として機能することが分かってきた したがって 生体のそれぞれの場所で働いている時計の働きに関して注目が集まるようになってきた このことはそれぞれの臓器で働いている体内時計に関わる疾患の研究とも相まって研究が進んできた 時計遺伝子の変異に基づく体内時計の不調や シフトワークなどによる体内時計の不調が 種々の疾患やメタボリックシンドロームにどのように関わるかについて 研究されてきた 1-3) これらの研究は 体内時計の不調が種々の疾患のリスクファクターになり得ることを示すものである 体内時計に作用する薬物は メラトニン ベンゾジアゼピン リチウムなどが知られているが 体内時計に選択的に作用する薬物などは開発されていない 体内時計の遺伝子発現系は ハイスループットの評価系に適していることから 最近は多くの化合物がスクリーニングされ 体内時計の発振周期を遅くする化合物や 速くする化合物が見つかって来た また 時間生物学としての体内時計の生物学的研究のみならず この学問分野から派生してきた数々の学問分野も構築されつつある 例えば薬物の作用する時刻が薬効や副作用に大きく影響することから 薬物投与の時刻を考慮する投薬方法 時間薬理学 がある ( 図 1) また 食物や栄養の作用が摂取時刻によって影響されることから 同じカロリーと栄養素成分も摂食時刻により肥満になったりならなかったりすることが分かってきた このように摂食の時刻を考慮する摂食方法を 時間栄養学 4-5) と呼ぶ ( 図 1 ) 視交差上核依存性の体内時計は外界の周期的な光刺激によってリセットされるが 視交差上核非依存性の給餌性リズム時計は周期的な餌の提示でリセットされる 4-5) 給餌性リズム時計は視交差上核依存性の 図 1 体内時計と食 栄養 体内時計と薬物の相互関係 16

時計より強力であり 脳の時計や末梢臓器の時計は給餌性リズム時計の位相に一致し 5) このような食や栄養の作用を 体内時計作用栄養学 と呼ぶことにする ( 図 1) したがって餌の内容によって時計のリセットのされ方が異なってくると思われるが インビトロの実験系では化合物や栄養物の位相反応を見るのはかなり難しい また 化合物や栄養物が給餌性リズムのリセット効果として働いたのか 光と似たリセット効果として働いたのか 区別しにくい そこで ex vivoの系で餌による体内時計のリセット効果を効率的にスクリーニングできる系を立ち上げた すなわち Per2::luciferase のノックインマウスを用い 餌を一定時刻に与えることにより 肝臓の時計遺伝子発現リズムの位相が変化することを ex v ivoの実験系で評価する 次にこの実験系を用いて 体内時計をリセットする栄養物の成分評価を行った 次に時間栄養学の視点の実験をおこなった すなわち餌を摂取する時刻に応じて 餌の持つ効果が変化することを調べることで 例えば同じカロリーの餌を 1 日 1 回で与えた場合と 2 回で与えた場合 また2 回与えるときにその比率を変えた場合などで 体重増加や 代謝関連遺伝子発現がどのような影響を受けるかを調べることである 人でも 朝食を欠食した食事の取り方が肥満を引き起こしやすいと言われている 6-7) マウスの実験では 以下のようなスケジュールの実験を行った 15% 牛脂を含む餌を1 日 3.6gとし (1) 朝食 40 (2) 夕食 40 (3) 朝食 30: 夕食 10,(4) 朝食 10: 夕食 30の割合で与える その後 経日的に約 2 ヶ月間体重を測定し 最後に血液やそれぞれの臓器を摘出し 血糖値や臓器の遺伝子発現パターンを調べた 2 材料および方法 2.1 動物肝臓のPer2 時計遺伝子発現リズムをモニターするために Per2::luciferase(Per2-luc K.I.) マウスを Takahashiのグループから入手した 8) このマウスを IC R 系のマウスと交配させ F1 世代を得た おもに雄を用いて実験を行った 一方 餌の投与時刻が 肥満や代謝関連遺伝子発現に与える影響を調べる実験では ICRの雄マウスを用い 生後 6 週令から実験を開始し 高脂肪食負荷を2 ヶ月間行った 動物飼育室は 8:00 点灯 20:00 消灯の明暗条件とし 時間生物学の慣例にしたがい 8:00を ZT0 20:00を ZT12と表し このマウスを ex vivoで観測しているときは 8:00を pzt0 20:00 をpZT12と表した 2.2 飼育飼料通常食は オリエンタル酵母社のMEQを用いた また 高脂肪食は 通常食に15% 牛脂を混餌し固めた餌を用いた また飼料の栄養成分を変更する実験では 通常食はAIN-93Mとした また それぞれの栄養成分を増減した飼料を用いた さらにコーンスターチを他のスターチに置換する実験では 試薬特級のでん粉を用いた 2.3 体内時計遺伝子発現モニター系 ホタルは発光酵素であるルシフェラーゼ (luciferase) が発光基質であるルシフェリン (luciferin) を酸化することによって自ら発光する このシステムを遺伝子のリズム解析に応用したのが 本研 17

究で使用した実験系であるルミサイクル (ActiMetrics 社 ) である Per2-luc K.I. マウスは前述したように Per2 遺伝子にルシフェラーゼが含まれるため ルシフェリンを加える事により Per2 遺伝子の発現リズムを発光リズムとして観測する事が可能となる しかし 実際の発光は人の目で観測できるレベルではないため 微弱な光も感知する事が可能な 非常に高感度な光電子増倍管 (Photo multiplier tubes ; PMT) を用いた ルミサイクルとはこの PMTを4 つ備えたシステムであり 培養組織が生存している限り リアルタイムなリズムの測定が可能である 本研究では ZT3にサンプリングされた末梢組織 ( 肝臓 ) をルミサイクルの設置された 37 のインキュベーター内で培養し Per2 遺伝子の発現リズム ( 発光リズム ) を解析した 解析には 計測データ (RAWデータ ) から24 時間分の移動平均値を引くディトレンド処理を行い その後 2 時間分の移動平均値で平滑化する平滑化処理を行う 9) この波形データの発光値の peak 値を算出し データを比較する また peak1の値が前進したか後退したかを評価の基準とした ( 位相の前進 後退 ) 尚 Per2-luc K.I. マウス肝臓の 培養された後のルシフェラーゼ発光プロファイルは サンプリング時の体内のPe r2 遺伝子の位相をそれぞれ正しく対応して表現しているか サンプリングによる何らかのショックによってリセットされているのではないか という問題に関しては サンプリング時の ZTと peak 時刻は高い相関を示しており この実験系が in vivoでの Per2 遺伝子発現の位相をよく表現していることが分かっている つまり 末梢組織培養における Per2-luc 発光プロファイルはサンプリングによる影響をほとんど受けず サンプリング時のマウスの組織での Per2 遺伝子発現の位相にほぼ正確に対応している 2.4 培地組成滅菌したミリ Q 水に100mlに対し Dulbecco s Modified Eagle Medium(GIBCO)1.34g HEPES ( WA K O)2 3 8 m g カナマイシン硫酸塩 (WA K O)2 m g 炭酸水素ナトリウム (WA K O)2 3 m g を入れ PHが7.2になるように調整後 濾過滅菌した 滅菌したミリ Q 水 50mlに対し アポトランスフェリン (SIGMA)100mg インスリン (SIGMA)5mg ストレプトシン二塩酸塩 (ALEXIS)16.1mg 400mMプロゲステロン (SIGMA)50μl 6mM 亜セレン酸ナトリウム (SIGMA)5μl の用量で作成した 35mm 組織培養用 dishに 培地 1ml(20 サプリメント 0.5μl 10mM D-luciferin sodium salt(in v i t r o )0. 0 1 μ l を含む ) を入れ 組織培養を行った また 緩衝液はサンプリング組織を一時的に保存しておく目的で使用した 2.5 制限給餌 (RF) 一般的に 制限給餌 (Restricted Feeding ; RF) とは 強制的に食事のできる時間帯を定め その時間帯以外は餌を与えないことであり 決められた時間帯のみ餌が提示される 前述した通り 餌を与える時間帯によって 末梢組織の時計遺伝子の位相が変化することが知られており 10) 主観的昼 (ZT0-12) の時間帯における RFでは位相の前進が起こる 本研究では 位相前進効果が見やすく 同調しやすい 摂食行動を目で追いやすいなどの理由から ZT6からのRF で実験を行っている これは 24 時間の絶食後 ( 前日の ZT6に餌を抜く ) 次の日から ZT6に餌を提示するというスケジュールである マウスをコントロール食に順応させるために 実験の4 日前に標準食からコントロール (AIN-93M) 食に切り替えた コントロール食からの24h 絶食の後に ZT6にタブレットを各 18

マウスに給餌した また このスケジュールにおいて 餌の提示時間は提示されてから 4 時間とし R F 後に 食糧消費量をチェックした 4 時間以内にほとんどのマウスは完食したが 嗜好性によって完食しなかったものもいる ZT10までに食べきれなかった餌は取り除き 残っている餌が 2 日目に 0.09g/10g BW( 一日摂食量の 2SEM) 以上のものは実験に使用しなかった 12 時間の絶食時間を設けて餌を 1 日 2 食にする実験を行った ZT6とZT18にそれぞれ 1.8gが摂取できるようにした また DM Hを破壊することにより 摂食リズムをなくしたマウスを用意し 18 時間 :6 時間と変則的な絶食をおこない 1 日 2 食 (1 日当たり 3.6g) を与える実験を行った この場合 餌の量比を18 時間絶食 ( 朝食 ) と6 時間絶食 ( 夕食 ) で (40:0) (30:10) (20:20) (10:30) (0: 4 0 ) と変えた 2.6 餌の組成とタブレット調合方法標準食はFF 時に用いられている餌 ( オリエンタル酵母工業のマウス ラット ハムスター用飼料 MEQ) を用いた 制限給餌実験のために 卓上簡易錠剤成型機 HANDTAB-100( 市橋精機株式会社 京都 ( 日本 )Fig5) を使用することでマウスBWあたり 0.5-2gのタブレットを調合し マウスに与えた コントロール食に用いたのは AIN-93M 調整食 ( オリエンタル酵母工業社の株式会社 東京 日本 ; 構成 : カゼイン 14% L-シスチン 0.3% αコーンスターチ15% βコーンスターチ47% シュークロース 10% 大豆油 4% セルロース 5% AIN-93 ミネラル MIX3.5% AIN-93 ビタミン MIX1% 酒石酸水素コリン 0.25% tert-ブチル基ヒドロキノン 0.0008%) であり 米国国立栄養研究所 (American Institute of Nutrition, AIN) から発表された組成が世界各国で広く使われているものである 3 結果と考察 3.1 体内時計リセットの栄養素餌の量の検討先行研究において 4 時間のRFがマウス肝臓の時計遺伝子発現の位相前進に必要であると報告されている 11-13) そこで Per2-luc K.I. マウス (23.8±0.8g N=26) を用い 24h 絶食後 4 時間の摂食量測定したところ 1 日目は 1.4±0.11g/ マウス (0.60±0.040g/10g 体重 [BW]) 2 日目は 2.0±0.13g/ マウス (0.85±0.047g/10g BW) であった したがって 以降全ての実験において マウスの体重に適した用量のタブレットを作成し投与している また 2 日間 R Fのスケジュールにおいては 摂食量の多い順に肝臓の位相が有意に前進していることが確認された (F4,32=12.3, P<0.01, one-way A N O VA )( 図 2 A ) RF 日数の検討 RF 日数検討のために 0.85g/10g BWの餌を 4 時間 (ZT6-ZT10) のRFし その期間を 1,2,4,14 日間設けた ( 図 2B) その結果 肝臓の時計の位相前進には最低でも 2 日必要であり 4 日間以上の RFによって位相前進の最大値に達することが解った これは RFを4 時間に設定し 14 日間経過したときの位相前進と同様の値を示しているからである したがって 本実験では 2 日間のR Fスケ 19

図 2 肝臓時計遺伝子発現リズムの給餌性リセットの給餌量の効果 (A) と給餌回数の効果 (B) 一回の給餌は 0.85g/BW で 給餌回数は 2 日以上必要である 括弧内の数値は使用マウス数 図 3 AIN-93M の飼料をそれぞれの栄養素 100% に置換した栄養の肝臓リズムリセット効果 A は AIN-93M の構成比を示す B は実験結果を示す それぞれの栄養成分 100% は AIN-93M と同等の効果を示さない 括弧内の数値は使用マウス数 ジュールを実験に採用した A I N -93Mをコントロールとして それぞれの栄養物のパーセント構成を示す ( 図 3A) 各栄養成分を完全置換したタブレットを初日に 0.6g/10g BW 24-h 絶食後の2 日目に0.85g/10g BWの用量を RFした 肝臓の時計は100% のコーンスターチ ( 図 3B) で観察され 同様に 大豆油でも位相前進 ( 図 3B) が観察されたが 有意差は認められなかった (vs.2day fasting P>0.05) 100% シュークロース 100% グルコース および 100% カゼインにおいては 位相前進を引き起こさなかった (P>0.05 fisher PLSD test) 100% グルコースも 100% のフルクトースも位相前進を引き起こさなかったので A I N -93Mに含まれた他の栄養成分を混合することによって 初めて 20

図 4 グルコースと AIN-93M 飼料の配分比の栄養素に置換した飼料 (100%) の肝臓リズムリセット効果 A は実験プロトコールを示す B は実験結果を示す グルコースとカゼインの組み合わせは AIN-93M と類似した効果を示す 括弧内の数値は使用マウス数 肝臓の時計の位相前進への糖の機能が働くことが示唆された また 4.5% ビタミンミネラル MIXと95.5% のグルコース 5% セルロースと 95% グルコース また 4% 大豆油と96% グルコースとの組み合わせは位相前進を引き起こさなかった (vs.100% グルコース P>0.05)( 図 4B) しかし 14% カゼインと 86% グルコースの組み合わせは肝臓の位相を有意に前進させた (vs.100% グルコース P<0.05)( 図 4B) また コントロール食 (AIN-93M)(19.9±1.2 N=5) と標準食 (MEQ)(19.0±0.8 N=5) を与えているマウスの肝臓の位相を比較すると両間に差は見られなかった したがって 本研究においてコントロール食は標準食と同等の働きを有するものと考えた 3.2 リズム位相異常マウスの餌による正常化ところで 上記で用いた摂食のプロトコールは 人の健康を考えた場合矛盾する 普段通りに餌を食べている時間を無理やりに夜食の時間帯に設定する条件になっているからである したがって 炭水化物 カゼインの組み合わせ食が夜食として良いと言うことになる そこで次に あらかじめ餌を明期の最初の 4 時間与えることにより 人で言うところの夕食から夜食だけ餌を食べたことにする このようなマウスを不摂生マウスと呼び これに正常な時間帯である暗期のはじめに餌を 1-2 日間 2 4g 与えると 与えた餌の量依存的に肝臓の体内時計の位相が元にもどる この系の利点は 機能性食品を含んだ餌が 効率的に体内時計の位相を元に戻すことを敏感に評価できる また餌を与えない時 ( ピーク位相が 8 9 時 ) に比較して餌を与えたときの位相 (15 17 時 ) が大きく後退し 自由摂食時のマウスとほとんど変わらない ( 図 5) 実際そのようにして 餌の成分を変えて評価した その結果 穀類のスターチは芋類のスターチより 不摂生状態の体内時計を戻す効果が強かった 3.3 肝臓の食餌性リズム同調の朝食効果 1 日 2 食の実験を ZT6, とZT18の12 時間の絶食を空けて行った その結果 肝臓の時計遺伝子発現のピーク時刻は ZT6とZT18 を単独に 1 日 1 食行った時の位相に持っていこうという引っ張り合いが起こり 中間地点の ZT12に落ち着くことが分かった ( 図 6) 次に1 日 2 食実験を絶食時間が18 時間 6 時間で行った この実験では視床下部の DMHが破壊 21

図 5 夕から夜食による位相異常マウス ( 不摂生マウス ) に対する朝食によるリセット効果 A は実験プロトコールを示す B は実験結果を示す 朝食の餌の量依存的に自由摂食のレベルまで戻す 括弧内の数値は使用マウス数 図 6 1 日 2 食による肝臓時計遺伝子発現リズムのリセット効果 A は実験プロトコールを示す 括弧内の数値は餌の比率を示す (0.45mg 餌の個数 )B は実験結果を示す 2 食の位相はそれぞれ 1 食の時のリズムの位相の中間点に位置する 括弧内の数値は使用マウス数 22

図 7 絶食時間を 16 時間 :6 時間とした 1 日 2 食による肝臓時計遺伝子発現リズムのリセット効果 A は実験プロトコールを示す 括弧内の数値は餌の比率を示す (0.45mg 餌の個数 )B は実験結果を示す 2 食の位相は ZT16 の餌に引っ張られる しかし夕食と朝食の比が 60:20 のときは 位相が分散して ( 黒三角で表示 ) かつ 平均値は中間地点に集まる 括弧内の数値は使用マウス数 されているので 餌のリズムが消失しているので マウスはそれぞれ 18 時間絶食後の餌を朝食として 6 時間の絶食後の餌を夕食として食べている まず 朝食 夕食の餌の比率を 2:2 にしたところ 朝食だけ食べる群 (40:0) と 同じ位置に肝臓のリズムのピークが来た この比を 15:25 とし 朝食を少なめにしても朝食だけの位置と同じであった しかしながら 10:30 と夕食の比率を高めると この場合は夕食のみ (0:40) と同じ位相に来た 以上の結果をまとめると 2 食による肝臓の位相決定には絶食時間が長くて取る食餌 ( 朝食 ) が効果的であること ( 図 7) またこの作用は食餌量依存的であることが分かった 3.4 高脂肪食の時間栄養学的効果 1 日量が3.6gとなる 15% 牛脂混合のME 食を以下の 5 条件で与えた 自由摂食群 朝食のみ (0:40) 朝食と夕食 (10:30) 朝食と夕食 (30:10) 及び夕食のみ (40:0) の5 群である ICR 雄マウス 6 週令の実験開始時の体重をそろえ その後の増加率を調べた結果 体重増加は自由摂食群 夕食のみ (40:0) 群 朝食のみ (0:40) 群 朝食と夕食 (10:30) 群 朝食と夕食 (30:10) 群の順番に大きかった ( 図 8) また 空腹時の血糖値も この順番に高かった さらに内臓脂肪の量を測定した結果もこの順番に大きかった ( 図 9) 予備的実験段階であるが 肝臓のPparα の遺伝子発現量やホルモン感受性リパーゼ (HSL) を調べたところ この順番に低かった これらの結果は 夕食のみのグルーでは少なくとも肝臓で 脂肪酸酸化の促進作用がある Pparαの遺伝子発現量が低下し また脂肪分解 HSLの遺伝子発現が低下し 脂肪蓄積が起こり 肥満が起こったものと考えられる ちなみにこれら 4 群の運動量には大差がなく また夜間と昼間の活動量比の違いも体重には反映されなかった すなわち 活動量や活動パターンの違いにより このような差が現れたとは考えにくい また 朝食と夕食の量比を 5:35 とし 朝食と夕食の量比が10:30 と比較すると 前者はほとんど夕食だけ 23

図 8 それぞれの摂食パターン別の体重変化 ZT0:ZT12 の比を表す 朝食のみ (0:40) 朝食と夕食 (10:30) 朝食と夕食 (30:10) 及び夕食のみ (40:00) の 4 群 FF(HFD) は高脂肪食の自由摂食群を表す まず 1 日 1 食より 1 日 2 食の群が 体重増加が抑制される 1 日 2 食でも 1 日 1 食でも 朝食が多い方が体重増加が抑制される 図 9 それぞれの摂食パターン別の内臓脂肪もしくは全体脂肪 ZT0:ZT12 の比を表す 朝食のみ (0:40) 朝食と夕食 (10:30) 朝食と夕食 (30:10) 及び夕食のみ (40:0) の 4 群 ND は正常食を HFD は高脂肪食を表す FF は自由摂食群を表す まず 高脂肪の FF 群が一番内臓脂肪がつきやすい 朝食と夕食 (10:30) や朝食と夕食 (30:10) が明らかに脂肪の増大が抑制されている のグループに近かった すなわち 朝食はある程度必要であり 5 と 10 の間に大きな隔たりがあるこ とから 5 に相当する部分を 機能性を持たせた食事にすることにより 肥満防止をすることが可能 であると考えられる 24

4 おわりに 時間栄養学的な視点の研究は今始まったばかりであり (1) 食餌の栄養素のバランスを変えた場合の効果の違い 本当に朝食にタンパク質含量の多い食事をとれば 体重増加が阻止できるのかといった研究 (2) 朝食時に同時に PPARα や PPARγ のアゴニスト作用を有する化合物をあたえると 14,15) 時間栄養学的な効果が現れやすいのかなどを検討する必要がある (3) 先に述べたように天然化合物で体内時計をリセットする可能性がある物があるが これらの中で 朝食に同時投与で 体重低下作用が認められるようであれば これらの化合物を朝に投与すれば 体内時計の位相を前進させるとともに肥満予防効果も併せ持つことになる 実際 肥満者の食生活は乱れ 特に夜に食事のウエイトが高い人が多いので このような人達のメタボリック症候群の予防や治療に貢献できることを願う 5 謝辞 本研究を遂行する上で 多大な研究助成金を賜りましたアサヒビール学術振興財団に心より感謝の意を表します また 本研究の成果は 下記の論文に一部発表済みである (1)Hirao A, Tahara Y, Kimura I, Shibata S. A balanced diet is necessary for proper entrainment signals of the mouse liver clock.plos One. 2009, 4(9):e6909. (2)Hirao A, Nagahama H, Tsuboi T, Hirao M, Tahara Y and Shibata S. Combination of starvation interval and food volume determines the phase of liver circadian rhythm in Per2::luc knock-in mice under two meals per day feeding. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2010, 299:G1045-1053. 6 文献 1)Canaple L, Rambaud J, Dkhissi-Benyahya O, Rayet B, Tan NS, Michalik L, Delaunay F, Wahli W, Laudet V. Reciprocal regulation of brain and muscle Arnt-like protein 1 and peroxisome proliferator-activated receptor alpha defines a novel positive feedback loop in the rodent liver circadian clock. Mol Endocrinol. 20,1715-1727(2006) 2)Cantó C, Jiang LQ, Deshmukh AS, Mataki C, Coste A, Lagouge M, Zierath JR, Auwerx J. Interdependence of AMPK and SIRT1 for metabolic adaptation to fasting and exercise in skeletal muscle. Cell Metab. 11,213-219(2010) 3)Dochi M, Suwazono Y, Sakata K, Okubo Y, Oishi M, Tanaka K, Kobayashi E, Nogawa K. Shift work is a risk factor for increased total cholesterol level: a 14-year prospective cohort study in 6886 male workers. Occup Environ Med. 66, 592-597(2009) 4)Shibata S, Hirao A, Tahara Y. Restricted feeding-induced entrainment of activity rhythm and peripheral clock rhythm, Sleep and Biological Rhythms 8, 18-27, (2010), review 25

5)Shibata S, Tahara Y, Hirao A. The adjustment and manipulation of biological rhythms by light, nutrition, and abused drugs. Adv Drug Deliv Rev. 62, 918-927(2010), review 6)Hoyland A, Dye L, Lawton CL. A systematic review of the effect of breakfast on the cognitive performance of children and adolescents. Nutr Res Rev. 22, 220-243(2009). Review. 7)Kant AK, Schatzkin A, Graubard BI, Ballard-Barbash R. Frequency of eating occasions and weight change in the NHANES I Epidemiologic Follow-up Study. Int J Obes Relat Metab Disord. 19, 468-474(1995) 8)Yoo SH, Yamazaki S, Lowrey PL, Shimomura K, Ko CH, Buhr ED, Siepka SM, Hong HK, Oh WJ, Yoo OJ, Menaker M, Takahashi JS Period2::luciferase real-time reporting of circadian dynamics reveals persistent circadian oscillations in mouse peripheral tissues. Proc Natl Acad Sci USA 101, 5339-5346(2004) 9)Hayasaka N, Yaita T, Kuwaki T, Honma S, Honma K, Kudo T, Shibata S. Optimization of dosing schedule of daily inhalant dexamethasone to minimize phase shifting of clock gene expression rhythm in the lungs of the asthma mouse model. Endocrinology, 148, 3316-3326 ( 2 0 0 7 ) 10)King DP, Takahashi JS Molecular genetics of circadian rhythms in mammals. Annu Rev Neurosci 3, 713 742(2000)Review. 11)Damiola F, Le Minh N, Preitner N, Kornmann B, Fleury-Olela F, Schibler U. Restricted feeding uncouples circadian oscillators in peripheral tissues from the central pacemaker in the suprachiasmatic nucleus. Genes Dev., 14, 2950-2961(2000) 12)Hara R, Wan K, Wakamatsu H, Aida R, Moriya T, Akiyama M, Shibata S. Restricted feeding entrains liver clock without participation of the suprachiasmatic nucleus. Genes Cells., 6, 269-278(2001) 13)Stokkan KA, Yamazaki S, Tei H, Sakaki Y, Menaker M. Entrainment of the circadian clock in the liver by feeding. Science, 291, 490-493(2001) 14) 飯田加賀美 永井和夫 萬済泰 核内受容体リガンド活性を示す天然化合物 生物機能開発研究所紀要 9,55-61,(2009) 15)Wang N, Yang G, Jia Z, Zhang H, Aoyagi T, Soodvilai S, Symons JD, Schnermann JB, Gonzalez FJ, Litwin SE, Yang T. Vascular PPARgamma controls circadian variation in blood pressure and heart rate through Bmal1. Cell Metab. 8,482-491(2008) 26