平成 28 年度税制改正要望項目 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (2) 財形非課税限度額の引き上げ等 (3) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1) 火災保険等に係る異常危険準備金制度

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平成 29 年度税制改正要望書 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 地震保険料控除制度の見直し (2) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (3) 財形非課税限度額の引き上げ等 (4) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1)

平成30年度税制改正要望書

平成 31 年度税制改正要望項目 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 地震保険料控除制度の見直し重点要望項目 1 (2) 生命保険料控除制度の見直し 2 (3) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 2 (4) 財形非課税限度額の引き上げ等 3 (5) 給与所得者に対する選択納


障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

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平成18年度地方税制改正(案)について

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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平成23年度税制改正の主要項目

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

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海運関係事項

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

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個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

平成19年度分から

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

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投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

中小企業の退職金制度への ご提案について

法人税 結婚 子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設教育資金贈与の見直し非上場株式等に係る贈与税 相続税の納税猶予制度の見直し法人税率の引き下げについて 個人 (20 歳以上 50 歳未満の者に限る 以下 受贈者 という ) の結婚 子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属 ( 以下

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

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第5回基礎問題小委員会 礎5-4

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

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2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

ご自身の加入限度額は? 加入条件 お さまの 性 自 者 年金 者種 1 者 に確定 年金や 確定拠出年金 ( 型 ) がない 確定拠出年金 ( 型 ) に加入している 2 者 加入できる 確定 年金がある 者 基本的には 60 歳未満のすべての方 にご加入いただけます 国民年金を免除されている方等

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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「公的年金からの特別徴収《Q&A

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

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Ⅲ 納付 [Q6] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q7] 今般の熊本地震災害により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q8] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの程度の損失を

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

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住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

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土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者

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3 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 土地建物等の分離課税の譲渡所得の見直し 土地建物等の譲渡損益の課税方式を累進税率による 所有期間を考慮した N 分 N 乗方式 とし 他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除を認めべきである 土地建物等の譲渡所得に対する課税は他の所得と分離して行われているが


税調第19回総会 資料3-3

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[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

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(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

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Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

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平成 28 年度税制改正要望書 平成 27 年 7 月 損害保険労働組合連合会

平成 28 年度税制改正要望項目 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (2) 財形非課税限度額の引き上げ等 (3) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1) 火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実重点要望項目 (2) 損害保険業に係る消費税制上の課題解決重点要望項目 (3) 地震保険に係る異常危険準備金の非課税措置 (4) 受取配当等の二重課税の排除 (5) 損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式の維持 (6) 破綻保険会社から協定銀行への資産移転に係る不動産取得税の非課税措置の恒久化 (7) 印紙税の撤廃 1

1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 確定給付企業年金や 確定拠出年金の企業型年金 個人型年金をはじめとする企業年金等の積立金は 特別法人税の課税対象となっていますが 現在は 平成 28 年度までの経過措置により課税停止とされてい ます 毎年の年金資産残高に対して約 1% を徴収する当該税負担の比率は極めて大きいことから 万一課税された場合には 公的年金制度を補完する企業年金制度の健全な維持 発展や 労働者の権利である受給権の 保全に支障をきたすおそれがあります 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃を要望します (2) 財形非課税限度額の引き上げ等 財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の非課税限度額は 元利合計で合算して 550 万円 ( 財形年金貯蓄のうち 生命保険 損害保険等の契約については元本 385 万円 ) とされていますが 現在の住宅事情への対応や老後生活の安定を図るうえで 十分な水準にあるとはいえません また 財形住宅貯蓄において 解約等の目的外払出しを行う場合 5 年以内に支払われた利子等に対し遡及課税がなされていますが 持ち家の取得や増改築のため先に適格払出しを行った金額に係る利子等も課 税の対象とされる等 本来の制度趣旨に合致していない部分があるものと考えます 財形住宅貯蓄 財形年金貯蓄の非課税限度額を 財形住宅貯蓄 1,000 万円 財形年金貯蓄 1,000 万円 合算で 1,000 万円にそれぞれ引き上げることを要望します 財形住宅貯蓄の適格払出し後の目的外払出しにおける課税について 先の適格払出しに関わる利子等 を 5 年間の遡及課税の対象外とすることを要望します (3) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 給与所得者の税金や社会保険料は 事業主が毎月の給与を支払う際に天引きされています 給与明細には総支給額から差し引かれる源泉所得税額が記載されているものの 給与所得者の納税意識や税の使途に対 する関心は 必ずしも高いとはいえません また また 給与所得者が確定申告を通じて納税意識などを 形成する目的に設けられた特定支出控除の範囲が 2013 年分より拡大等が行われ 確定申告を行う人が増加したとはいえ いまなお多くの者が年末調整で課税関係を終了しているものと考えられます 給与所得者が納税意識や税の使途への関心の向上 ひいては納税者としての権利 義務の確立につなげられる制度の構築が必要と考えます 給与所得者に対して 源泉徴収 年末調整 以外に 給与所得者が自ら税額を計算する 申告納税 の選択を認める選択納税制度の導入を要望します 2

2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1) 火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実重点要望項目 損害保険会社は 巨大自然災害に対しても確実に保険金支払を行う社会的使命を果たすべく 平時から保険料の一定割合を異常危険準備金に積み立てることにより 保険金支払原資の確保に努めています しかしながら 近年は 国内外における自然災害の頻発による多額の保険金支払にともない 各社とも異常危険準備金の残高を大幅に取り崩し いまなお低い水準にとどまっています 異常危険準備金制度の積立率については 平成 27 年度で経過措置 (3%) の期限が切れることとなりますが 残高を早期に積み上げていくためには引き続き同水準の維持が不可欠です また 残高の上限となる洗替 保証率については 平成 3 年度の台風 19 号 平成 16 年度の複数の台風 平成 23~26 年度の複数の災 害への保険金支払を考慮すれば 現行の 30% では十分とはいえない状況にあります 火災保険等に係る異常危険準備金制度について 現行の積立率 5% を維持することおよび 洗替保証 率 本則積立率適用残高率を現行の 30% から 40% に引き上げることを要望します (2) 損害保険業に係る消費税制上の課題解決重点要望項目 わが国において 損害保険料は 消費税導入以来 課税することになじまないもの と位置づけられ 非課税とされてきました このため 一般事業会社であれば認められる 仕入に係る消費税負担の控除 ( 仕 入税額控除 ) が 損害保険会社の場合にはほとんど認められていません 消費税率の引き上げにより 損害保険会社においては代理店手数料や物件費および支払保険金 損保系生命保険会社においても代理店手数料等に係る負担の増加が見込まれます 負担の一部は 国民や一般事業 者に転嫁せざるを得ない状況にありますが これには 保険料に 見えない消費税 が含まれることのわ かりづらさや 流通過程を経るたびに発生する 税の累積 などの課題があります 一方で 転嫁されな い負担は 損保グループ産業で働く者の雇用 労働条件に負の影響を与えるおそれがあります また 損害保険会社がグループ会社などに委託している事務 システム開発等の業務についても 委託費に係る負担の増加が見込まれます これに伴い 委託業務を内製化する動きが出ることも想定されますが そもそも税制のあり方により企業活動が左右されることは 税の中立性 の観点から問題なしとはいえ ません 消費税率の引き上げに伴い拡大する 損害保険業に係る消費税制上の課題について 抜本的な解決に向けた対策の検討を求めます また 税率の引き上げによる影響を緩和するため グループ納税制度の導入 保険料に織り込まれて いない消費税相当額の負担を軽減するための経過措置を要望します 3

(3) 地震保険に係る異常危険準備金の非課税措置 地震大国であるわが国の地震保険は 被災された方々の生活の安定に寄与することを目的に政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり 保険金支払に万全を期すため 法令により収支残高お よび運用益のすべてを異常危険準備金として積み立てることが義務付けられています しかしながら 無税積立が認められているのは収支残高部分のみであり 運用益部分の積立については段階的な課税を受けています 損害保険各社が制度の普及促進に取り組んだ結果 保険金支払責任限度額が増加していることや 将来 首都直下地震等の巨大地震が発生し得ることなどを考慮すれば 異常危険準備金の残高をさらに充実させ る必要があるものと考えます 地震保険に係る異常危険準備金の運用益部分の積立を全額非課税とすることを要望します (4) 受取配当等の二重課税の排除 株式等の配当は 課税後の利益から生じるものであり さらにその配当を受け取った法人においても課税がなされるとした場合には 二重課税 となることから これを排除するために 法人の 受取配当等の 益金不算入制度 の仕組みが設けられています しかしながら 本制度は平成 27 年度税制改正において法人実効税率引き下げの代替財源として 持株比率 5% 以下の株式について 益金不算入割合が 50% から 20% に引き下げられています これは 二重課税 の問題を拡大するものであり 税理論において不整合であると考えます 受取配当等の益金不算入制度について 連結法人株式等 完全子法人株式等および関係法人株式等の いずれにも該当しない株式等に係る益金不算入割合を 100% に引き上げることを要望します (5) 損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式の維持 現在 一般事業会社に導入された外形標準課税は 平成 27 年度の税制改正により 平成 28 年度までに 2 分の 1 まで拡大するものの 所得割も 2 分の 1 部分残されています 一方で 損害保険業に係る法人事業 税には すでに収入金額を課税標準とする 100% 外形標準課税が導入されており 地方自治体における税 収の安定確保に一定貢献しているものと認識しています しかしながら 電気供給業 ガス供給業および保険業の課税の枠組みについては 平成 27 年度税制改正大綱において 引き続き見直しを検討するとされていることから 将来 損害保険業の課税標準に所得課 税が組み込まれることも想定されます 損害保険業は 保険事故の発生により各年度の収益環境が大きく変化する特性があることから 所得課税を組み入れて税額が大きく変動する仕組みとするよりも 現行課税方式を維持する方が 税収の安定化を めざした外形標準課税導入の趣旨に沿うものと考えられます 損害保険業の法人事業税について 現行課税方式の維持を要望します 4

(6) 破綻保険会社から協定銀行への資産移転に係る不動産取得税の非課税措置の恒久化 損害保険会社が破綻した場合のセーフティネットの一つとして 破綻処理の迅速化 多様化を図るため 保険契約者保護機構の委託を受けて 協定銀行が破綻保険会社等の資産を買い取り 買い取った資産に係 る管理回収業務を行う措置が設けられています 破綻保険会社から協定銀行へ土地等の資産を移転する場合に課せられる不動産取得税については 非課税措置が平成 28 年度末まで延長されましたが 協定銀行による資産の取得は形式的な所有権の移転であることや 当該非課税措置はセーフティネットを円滑に運営するために必要な税制措置であることに鑑み 保険契約者保護の観点から恒久化するべきであると考えます 破綻保険会社から協定銀行への資産移転に係る不動産取得税の非課税措置について 恒久化を要望し ます (7) 印紙税の撤廃 近年 インターネットによる契約手続をはじめとして 商取引のペーパーレス化がすすんでおり 文書による取引のみに印紙税を課すことは 公平 中立 簡素という税の原則に照らして不整合であると考えま す 印紙税の撤廃を要望します 以上 5