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石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 を 明 らかにし 理 解 することが 必 要 である ₁₀,₁₁).リ スク 認 知 とは,リスクに 対 する 主 観 的 なイメージ であり, 認 知 心 理 学 より 発 達 し 研 究 されてきた. 一 般 の 人 々と 専 門 家 でリスク 認 知 が 違 う

す, 搗く, 焼く, 茹でるの ₄ 種類に分けられ, ソルギトックは蒸して作る餅の基本であり米粉に水, 砂糖, 蜂蜜などを加えふるいにかけ, 型に入れてから蒸した餅である ₁₀)₁₁). 本研究では本来うるち米粉を蒸して作るソルギトックにもち米粉を加え, もち米で作った粘りのある餅を食べてきた日本人

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2016 Vol.65 No.2 p < 資料 > 母体要因, 出生要因, 分娩様式と児の公衆衛生学的健康障害リスクとの関連についての研究 : 養育医療給付児での検討 高橋篤 ₁,2 ), 原澤和代 ₁ ), 原田明菜 ₁ ), 伊藤里加 ₁ ), 高橋雪子 ₁ ), 勅使河原洋子

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モニモニタ ₁ ₁ タ エリアモニタ AE ₁₉₃₁ AE ₁₉₃₁V ₂₁₀ 万円 ₂₇₃ 万円 防水式電離箱 ₁ヵ月校正は別途 応用技研 電離箱式サーベイメータ ₁ ₁ 高感度 線エリアモニタ RFSD ₆₀₁ 別途見積中央監視装置が別途必要 ₄ヵ月応用光研工業 ₁ ₁ エリアモニタ G₆₄ (

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短報 特定保健指導の積極的支援における 4 % 以上減量成功と生活習慣改善との関連 仲下祐美子 * ₁ 中村正和 * ₂ 木山昌彦 * ₂ 北村明彦 * ₂ 目的 : 特定保健指導における積極的支援を実施した職域の男性勤労者において, 減量成功に影響を及ぼす要因について検討することを目的とした. 方法 : 縦断的研究デザインを用いた.₂₀₀₈ 年 ₄ 月から₂₀₀₉ 年 ₃ 月までに当センターの特定健診を受診し, 特定保健指導の階層化の基準により対象となった者に, ₆ ヶ月間の特定保健指導プログラムを実施した. 分析対象は, 積極的支援を実施した者のうち, 初回支援から ₁ 年後の特定健診を受診した男性 ₃₄₉ 人である. 減量成功の評価指標は, 初回支援時から ₁ 年後の体重変化率が ₄ % 以上であることと定義し, 減量成功に影響を及ぼす要因は多重ロジスティック回帰分析を用いて特定した. 結果 : ₄ % 以上の減量成功者は₇₇ 人 (₂₂.₁%) であった. 減量成功と有意な関連がみられた項目は, 初回支援時では 非喫煙 ( 多変量調整オッズ比, 以下 OR:₂.₂₉,₉₅% 信頼区間 :₁.₁₀ ₄.₇₈) であり, 特定保健指導後の各要因の変化では ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動習慣の改善 (OR:₂.₈₈,₉₅% 信頼区間 :₁.₃₄ ₆.₁₇), ほぼ毎日間食や夜食をとる習慣の改善 (OR:₂.₆₃,₉₅% 信頼区間 : ₁.₁₃ ₆.₁₃), 非喫煙の維持 (OR:₂.₀₈,₉₅% 信頼区間 : ₁.₀₃ ₄.₂₀) であった. 結論 : 減量成功の促進要因は運動習慣および食習慣の改善, 非喫煙の維持であることが示唆された. 日健教誌,₂₀₁₃;₂₁(₄):317-325 キーワード : 特定保健指導, 積極的支援, 減量, 生活習慣, 縦断的研究 * ₁ * ₂ Ⅰ 緒 千里金蘭大学看護学部大阪がん循環器病予防センター連絡先 : 仲下祐美子住所 : ₅₆₅-₀₈₇₃ 大阪府吹田市藤白台 ₅-₂₅-₁ 千里金蘭大学看護学部看護学科地域 在宅看護学領域 言 わが国では,₂₀₀₈ 年度からメタボリックシンド ロームまたはその予備群を主な対象とした特定健 康診査 ( 特定健診 ) 特定保健指導制度が開始され た ₁,₂). 特定保健指導として, メタボリックシンド ロームに着目した生活習慣病の改善に重点を置い た指導が行われ, 特定保健指導の効果の指標とし ては減量に焦点が当てられてきた ₁). 特定保健指 導の効果とその関連要因の研究報告によると, 特 定保健指導を実施した群は, 同じ支援レベルで指 導を受けていない群よりも有意に body mass index ( 以下,BMI) が低下し,BMI 変化と週 ₂ 日以上 の運動習慣, ₁ 日 ₁ 時間以上の身体活動が関連したことが報告されている ₃). また, 特定保健指導を受けた者では有意に腹囲が低下し, 腹囲低下と運動習慣および食習慣の改善との関連がみられたが, 喫煙習慣の変化との関連はみられなかったと報告されている ₄). 特定保健指導ではないが, わが国での減量を目的とした介入研究において, BMI 変化や減量と喫煙習慣の有無との関連については, 喫煙有りは喫煙無しよりも有意に BMI が減少したとの報告 ₅) がある一方, 関連がない ₆) との異なる結果の報告がある. また, 米国での減量プログラムでは, 過去喫煙者は現在喫煙者と非喫煙者よりも有意に体重減少したとの報告があり ₇), 減量指導の効果に対する喫煙の影響については一貫した成績が得られていない. そこで本研究では, 特定保健指導の初回支援から ₁ 年後の特定健診データを用いて, 減量成功に Copyright Japanese Society of Health Education and Promotion 317

仲下 中村 木山 北村 影響を及ぼす要因について検討することを目的とした. 減量成功に影響を及ぼす促進および阻害要因を明らかにすることは, 特定保健指導を効果的に実施するうえで有用と考えた. Ⅱ 方法 1. 研究デザインと対象本研究は縦断的研究デザインを用いた.₂₀₀₈ 年 ₄ 月から₂₀₀₉ 年 ₃ 月までに大阪府立健康科学センターの特定健診を受診したのは職域の勤労者 ₃,₆₂₀ 人 ( 男性 ₂,₈₅₈ 人, 女性 ₇₆₂ 人 ) であり, 金融業, 製造業, 運輸業などの₁₁の健康保険組合に所属していた. 特定保健指導の階層化の基準 ₁) により対象となったのは₆₆₇ 人 ( 男性 ₆₀₀ 人, 女性 ₆₇ 人 ) であり, 男性が₉₀.₀% を占めていた. そこで本研究では男性のみを分析対象とすることとした. 特定保健指導の対象となった男性 ₆₀₀ 人のうち指導を実施した者は₅₈₅ 人 ( 動機づけ支援 ₁₈₃ 人, 積極的支援 ₄₀₂ 人 ) であった. 除外された₁₅ 人の内訳は, 初回支援のみ実施し, その後の支援を拒否した者 ₁₂ 人とその他 ₃ 人であった. 特定保健指導を実施した男性 ₅₈₅ 人のうち, 初回支援から ₁ 年後の特定健診の受診者は₅₁₁ 人 ( 動機づけ支援 ₁₆₂ 人, 積極的支援 ₃₄₉ 人 ) であった. 特定保健指導における支援レベルは減量の程度に影響を与える重要な要因と考え, 支援レベル別に解析を行うことを計画した. 支援レベルは, 内臓脂肪の蓄積を基本とし, 高血圧, 脂質異常, 高血糖といった心疾患等のリスク要因の数と喫煙歴によって設定される ₁). 減量成功に対する喫煙の影響を検討するにあたり, 動機づけ支援実施者における喫煙歴ありの割合は ₁.₂% であり, 現在喫煙者のほとんどが積極的支援に該当していたことから, 本研究では初回支援から ₁ 年後の特定健診を受診した積極的支援実施者 ₃₄₉ 人を分析対象とした. 2. 特定保健指導プログラム当センターにおける特定健診の受診当日に, メタボリックシンドロームに焦点をあてた減量中心 の小集団教育プログラムと個別指導を実施した. 小集団教育プログラムとは, 保健師および管理栄養士による ₂ ~ ₆ 名の小集団に対する約 ₃₀ 分間の指導であり, 生活習慣を振り返り, 運動 身体活動に関する行動目標を必須として, 食習慣やその他の生活習慣に関する行動目標を複数設定するよう支援した. まず, 小集団での指導を行い, 次に診察医師による健診結果の説明および生活習慣改善に対する動機づけを行った. 最後に, 保健師および管理栄養士による個別面接を実施し, より具体的で実現可能な行動目標となるような助言や生活習慣改善について保健指導を行った. 保健指導は常勤保健師 ₃ 名, 常勤管理栄養士 ₂ 名が中心となって実施し, 支援者によって支援に差が出ないよう指導方法に関するマニュアルを作成し標準化を図った. 積極的支援プログラムの実施期間は ₆ ヶ月間であり, プログラムの内容は IT を用いたコースと面接 レターコース, それぞれのコースに初回支援から ₆ ヵ月後に血液検査や腹部 CT, 頸部エコーなどの検査を実施する ₄ 種類のコースを設け, コースの選択は原則として対象者の希望に基づいたものとした. 費用は, いずれのコースも自己負担はなく, 対象者が加入する健康保険組合が全額を負担した. 支援計画ポイント数は,IT コースおよび IT& 検査コースでは₂₂₀ポイント ( 支援 A: ₂₀₀ポイント, 支援 B:₂₀ポイント ), 面接 レターコースおよび面接 レター & 検査コースでは₂₈₅ ポイント ( 支援 A:₂₄₀ポイント, 支援 B:₄₅ポイント ) であった. 3. 調査項目生活習慣に関しては, 厚生労働省の標準的な質問票 ₁) に基づいた自記式の質問紙調査を行った. 質問紙は健診日の約 ₃ ~ ₄ 週間前に各自に配布した. 質問紙への記入内容は, 健診当日, トレーニングをうけた保健師が対象者全員に面接聞き取り方式で確認した. 調査内容として, 運動習慣 ( 運動, 身体活動, 歩く速度 ), 食習慣 ( 食べる速度, 就寝前の夕食, 間食 夜食, 朝食の欠食 ) を把握 318 健 21 4 2013 年

した ₁). 喫煙習慣は, ₁ 日 ₁ 本以上の喫煙の有無を 現在吸う, 現在吸わないが, 過去に吸った, 過去を含めてほとんど吸ったことがない の三者択一により回答を得た. 過去喫煙者は質問紙を配布した時点で禁煙していたものと定義した. 飲酒習慣 ₈) は, 現在飲む, 現在飲まないが, 過去に飲んだ, 過去を含めてほとんど飲んだことがない の三者択一により回答を得た. 睡眠 休養の習慣は, 睡眠での休養が十分とれているかを把握した ₁). 生活習慣改善への準備性 ( 行動変容ステージ ) は減量することについて, すでにできていると思う ( 実行期 ), ₁ ヵ月以内に改善しようと思う ( 準備期 ), ₆ ヵ月以内に改善しようと思う ( 熟考期 ), ₆ ヵ月以内に改善するつもりはない ( 前熟考期 ) の四者択一により回答を得た ₉). 身体計測について, 身長および体重を測定し, 体格指数である BMI は体重 (kg)/ 身長 (m) ₂ により算出した. 腹囲は, 測定法と注意事項 ₁₀) に則り, 脱衣した状態で立位, 軽呼気時に臍レベルで測定した. 血液検査について, 血液の採取は原則として空腹時に行い, 最終飲食時間の確認を行った. 血液検査項目は中性脂肪,HDL コレステロール, 血糖,HbA₁c であった. 血圧測定は, 少なくとも ₅ 分以上の安静の後, 座位にて測定した. 収縮期血圧は ₁₃₀ mmhg かつ / または拡張期血圧が ₈₅ mmhg 以上の場合は複数回測定し, 最終値を用いた. なお, 生活習慣に関する質問紙調査項目ならびに身体測定, 血液検査, 血圧測定法については, 初回支援時および ₁ 年後の特定健診において同一の方法を用いた. 4. 解析方法初回支援時と ₁ 年後とのデータ比較は, 両者とも特定健診データを用いた. データ比較は, 対応のある t 検定および McNemar 検定を用いて検討した. ベースライン比較は,t 検定および χ ₂ 検定を用いて検討した. 減量成功については, 初回支援時から ₁ 年後の体重変化率が ₄ % 以上であることと定義した. 減 量成功の評価指標には, 日本人肥満者の臨床検査値に改善をもたらすことが示されている ₄ % 以上の減量成功の有無を用いた ₁₁). この指標は, 当センターを含め, 全国 ₇ ヶ所の保健指導機関で積極的支援を行った男女 ₆₈₃ 人を解析対象とした研究において, 特定保健指導プログラムの成果を評価する上で有用な客観的指標として示されたものであり ₁₁), 本研究の評価指標として用いるのに妥当と考えた. 減量に影響を及ぼす要因は強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を用いて検討し, 目的変数は ₄ % 以上の減量成功の有無とした. まず, 減量に影響する初回支援時の各要因について検討するために, 説明変数は, 初回支援時の年齢, BMI, 運動 身体活動, 食習慣, 喫煙, 飲酒, 睡眠 休養の生活習慣の ₅ 項目, 減量ステージ, 積極的支援プログラムのコースを用いた. 次に, 減量に対する特定保健指導後の各要因の変化の影響を検討するために, 説明変数は初回支援時の年齢, BMI, 運動 身体活動, 食習慣, 喫煙, 飲酒, 睡眠 休養の生活習慣改善の有無, 積極的支援プログラム完了の有無を用いた. 生活習慣改善の有無は, 運動 身体活動, 食習慣, 睡眠 休養については不変 悪化群と改善群, 飲酒については飲酒量不変 増加群と減少群に分類した. 喫煙については, 初回支援時と ₁ 年後の両時点において, 喫煙状況に変化のなかった者 (₃₂₃ 人 ) は, 当該の喫煙状況を維持していると捉え, 喫煙群, 過去喫煙群, 非喫煙群とした. 喫煙者の喫煙本数の変化は考慮していない. 喫煙状況に変化があった者 (₂₆ 人 ) は, 禁煙 ₂₄ 人, 再喫煙 ₂ 人であった. 特定保健指導開始 ₁ 年以内に禁煙した者は新規禁煙群とし, 再喫煙者については該当者数が少なく, 安定した分析結果が得られないため, 再喫煙者のみ分析対象から除外した. 積極的支援プログラムの完了については, 支援 A:₁₆₀ポイント以上, 支援 B:₂₀ポイント以上, 合計で₁₈₀ポイント以上の支援が実施できた者 ₂) とした. 統計解析には IBM SPSS Statistics Version ₂₀.₀ for Windows を用い, 有意水準は ₅ % とした. 319

仲下 中村 木山 北村 5. 倫理的配慮倫理面への配慮として, 特定健診受診者に対して, データを研究に用いることおよび調査協力は自由意思に基づくことを文書に明示し, 質問紙配布時に同封した. 本研究への同意は本人から拒否の申し出がない場合とした. 本研究は大阪府立健康科学センター (₂₀₁₂ 年 ₄ 月 ₁ 日より大阪がん予防検診センターと統合して組織名称が大阪がん循環器病予防センターに変更 ) における倫理委員会の承認を得た. 個人情報は, 大阪府立健康科学センターが定める個人情報保護規程に従って厳正に管理し, データは連結可能匿名化した状態で分析を行った. Ⅲ 結果 1. 積極的支援実施者の特性平均年齢は₄₉.₃(SD₆.₂) 歳であり,₄₀~₄₉ 歳 ₁₈₇ 人 (₅₃.₆%),₅₀~₅₉ 歳 ₁₄₅ 人 (₄₁.₅%),₆₀~ ₆₄ 歳 ₁₇ 人 (₄.₉%) であった. 対象者の所属企業は ₉ 社であり, 事業所規模別にみると,₁,₀₀₀~ ₄,₉₉₉ 人が ₂ 社,₃₀₀~₉₉₉ 人が ₇ 社,₁₀₀~₂₉₉ 人が ₂ 社であった. 業種別にみると, 金融業 ₁₉₅ 人 (₅₅.₉%), 製造業 ₈₇ 人 (₂₄.₉%), 運輸業 ₄₅ 人 (₁₂.₉%), その他 ₂₂ 人 (₆.₃%) であった. 積極的支援プログラムは,IT コース₁₅₈ 人 (₄₅.₃%), IT& 検査コース₆₁ 人 (₁₇.₅%), 面接 レターコース₉₁ 人 (₂₆.₁%), 面接 レター & 検査コース₃₉ 人 (₁₁.₂%) であった. 支援プログラムの完了者は, 全体では₂₅₂ 人 (₇₂.₂%) であり,IT コース ₁₂₂ 人 (₇₇.₂%),IT& 検査コース₄₂ 人 (₆₈.₉%), 面接 レターコース ₅₇ 人 (₆₂.₆%), 面接 レター & 検査コース₃₁ 人 (₇₉.₅%) であった. 2. 初回支援時と 1 年後の検査値および生活習慣表 ₁ に ₄ % 以上の減量成功群, 不成功群別に初回支援時と ₁ 年後の検査値および生活習慣を示した. ₄ % 以上の減量成功者は₇₇ 人 (₂₂.₁%) であった. 初回支援時データの群間比較では, すべての項目において有意差はみられなかった. 減量成功群では, 特定保健指導の階層化判定に よる血圧高値, 脂質異常, 血糖高値の所見ありの割合がいずれも有意に減少した. なお, 初回支援以降に血圧 脂質 血糖のいずれかの服薬が開始となった者 ₄ 人を除外しても, 同様の結果であった. 生活習慣は, ₁ 日 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動ありの割合の有意な増加がみられ, 喫煙率は有意に低下した. 不成功群では, 脂質異常と血糖高値の所見ありの割合が有意に減少し ( 服薬開始者 ₂₆ 人を除外しても同様の結果 ), 睡眠での休養が十分とれている割合の有意な増加と, 喫煙率の有意な低下がみられた. 3. 減量成功に影響を及ぼす要因表 ₂ に ₄ % 以上の減量成功と初回支援時の各要因との関連を示した. 減量成功と有意な関連がみられた項目は 非喫煙 ( 多変量調整オッズ比, 以下 OR:₂.₂₉,₉₅% 信頼区間 :₁.₁₀-₄.₇₈) であった. 減量成功と特定保健指導後の各要因の変化との関連 ( 表 ₃ ) では, ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動習慣の改善 (OR:₂.₈₈,₉₅% 信頼区間 : ₁.₃₄ ₆.₁₇), ほぼ毎日間食や夜食をとる習慣の改善 (OR:₂.₆₃,₉₅% 信頼区間 :₁.₁₃ ₆.₁₃), 非喫煙の維持 (OR:₂.₀₈,₉₅% 信頼区間 :₁.₀₃ ₄.₂₀) が減量成功と有意な関連がみられた. Ⅳ 考察本研究では, 積極的支援における初回支援から ₁ 年後の ₄ % 以上の減量成功に影響を及ぼす要因について検討した. その結果, ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動習慣の改善と, ほぼ毎日間食や夜食をとる習慣の改善は減量成功における促進要因であった. 非喫煙の維持は減量成功と有意な関連がみられたことから, 喫煙は減量成功に対する阻害要因であることが示唆された. 運動習慣および食習慣の改善が減量成功の促進要因であることは先行研究結果 ₃,₄) と同様であり, 運動による内臓脂肪の燃焼効果や過剰なエネルギー摂取の抑制によることが示されている ₄). 本研究の特定保健指導では, 減量への取り組みに対 320 健 21 4 2013 年

表 1 4 % 以上の減量成功群と不成功群における初回支援時と 1 年後の検査値および生活習慣 減量成功群 n=₇₇ 減量不成功群 n=₂₇₂ p 値 c) 初回支援時 ₁ 年後 p 値 a) 初回支援時 ₁ 年後 p 値 身体計測 身長 (cm) ₁₇₁.₆(SD₅.₉) ₁₇₁.₃(SD₅.₉) <₀.₀₁ ₁₇₁.₆(SD₅.₆) ₁₇₁.₅(SD₅.₆) ₀.₀₆ ₀.₉₉ 体重 (kg) ₇₇.₁(SD₁₀.₄) ₇₁.₂(SD₁₀.₀) <₀.₀₁ ₇₈.₀(SD₁₀.₄) ₇₈.₀(SD₁₀.₈) ₀.₈₉ ₀.₅₀ Body Mass Index(kg/m ₂ ) ₂₆.₂(SD₃.₁) ₂₄.₂(SD₃.₁) <₀.₀₁ ₂₆.₅(SD₃.₃) ₂₆.₅(SD₃.₄) ₀.₈₇ ₀.₄₃ 腹囲 (cm) ₉₂.₁(SD₇.₁) ₈₅.₈(SD₈.₀) <₀.₀₁ ₉₂.₅(SD₇.₆) ₉₁.₃(SD₈.₂) <₀.₀₁ ₀.₇₀ 血圧および血液検査 収縮期血圧 (mmhg) ₁₂₈.₂(SD₁₄.₄) ₁₂₂.₉(SD₁₅.₂) <₀.₀₁ ₁₂₈.₁(SD₁₅.₇) ₁₂₆.₈(SD₁₄.₇) ₀.₀₈ ₀.₉₇ 拡張期血圧 (mmhg) ₈₃.₇(SD₈.₈) ₇₈.₃(SD₉.₀) <₀.₀₁ ₈₄.₄(SD₁₂.₆) ₈₃.₀(SD₁₀.₅) ₀.₀₁ ₀.₆₆ 中性脂肪 (mg/dl) ₁₇₃.₄(SD₁₁₉.₀) ₁₁₄.₁(SD₇₀.₃) <₀.₀₁ ₁₉₈.₇(SD₁₅₇.₆) ₁₈₇.₃(SD₁₅₃.₁) ₀.₁₀ ₀.₁₉ HDL コレステロール (mg/dl) ₅₀.₂(SD₁₁.₆) ₅₅.₅(SD₁₁.₇) <₀.₀₁ ₄₉.₁(SD₁₁.₅) ₄₉.₈(SD₁₁.₅) ₀.₀₇ ₀.₄₈ 空腹時血糖 (mg/dl) ₁₀₇.₆(SD₂₇.₉) ₁₀₆.₈(SD₁₇.₇) ₀.₇₇ ₁₀₈.₈(SD₁₈.₄) ₁₀₉.₆(SD₂₃.₂) ₀.₄₉ ₀.₆₄ HbA₁c(%) ₅.₃(SD₀.₆) ₅.₀(SD₀.₅) <₀.₀₁ ₅.₃(SD₀.₆) ₅.₂(SD₀.₈) <₀.₀₁ ₀.₈₃ 血圧高値あり ₄₄(₅₇.₁%) ₂₉(₃₇.₇%) <₀.₀₁ ₁₄₇(₅₄.₀%) ₁₃₂(₄₈.₅%) ₀.₀₆ ₀.₇₀ 脂質異常あり ₄₁(₅₃.₂%) ₁₆(₂₀.₈%) <₀.₀₁ ₁₇₂(₆₃.₂%) ₁₃₄(₄₉.₃%) <₀.₀₁ ₀.₁₂ 血糖高値あり ₆₂(₈₀.₅%) ₄₉(₆₃.₆%) ₀.₀₂ ₂₂₁(₈₁.₃%) ₂₀₀(₇₃.₅%) <₀.₀₁ ₀.₈₇ 生活習慣 ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動あり ₁₇(₂₂.₁%) ₃₀(₃₉.₀%) <₀.₀₁ ₈₀(₂₉.₄%) ₇₉(₂₉.₀%) ₀.₉₉ ₀.₂₅ ₁ 日 ₁ 時間以上の歩行または同等の身体活動あり ₆( ₇.₈%) ₁₃(₁₆.₉%) ₀.₀₉ ₄₁(₁₅.₁%) ₃₃(₁₂.₁%) ₀.₂₀ ₀.₁₃ 同年代と比較して歩く速度が速い ₄₅(₅₈.₄%) ₅₁(₆₆.₂%) ₀.₂₁ ₁₄₉(₅₄.₈%) ₁₅₉(₅₈.₅%) ₀.₂₀ ₀.₆₁ 人と比較して食べる速度が速い ₅₁(₆₆.₂%) ₅₃(₆₈.₈%) ₀.₇₃ ₁₈₉(₆₉.₅%) ₁₉₃(₇₁.₀%) ₀.₆₄ ₀.₅₈ 就寝前の ₁ ~ ₂ 時間以内に夕食をとる ₄₂(₅₄.₅%) ₄₀(₅₁.₉%) ₀.₈₄ ₁₃₂(₄₈.₅%) ₁₂₄(₄₅.₆%) ₀.₃₆ ₀.₃₇ ほぼ毎日間食や夜食をとる ₁₇(₂₂.₁%) ₁₀(₁₃.₀%) ₀.₁₄ ₄₅(₁₆.₅%) ₄₇(₁₇.₃%) ₀.₈₈ ₀.₃₁ 朝食を抜くことが多い ₁₈(₂₃.₄%) ₁₃(₁₆.₉%) ₀.₁₃ ₆₆(₂₄.₃%) ₅₄(₁₉.₉%) ₀.₀₆ ₀.₉₉ 喫煙習慣あり ₄₂(₅₄.₅%) ₃₆(₄₆.₈%) ₀.₀₃ ₁₆₂(₅₉.₆%) ₁₄₆(₅₃.₇%) <₀.₀₁ ₀.₄₄ 飲酒習慣あり ₅₅(₇₁.₄%) ₅₆(₇₂.₇%) ₀.₉₉ ₂₀₇(₇₆.₁%) ₂₀₄(₇₅.₀%) ₀.₆₆ ₀.₄₆ 睡眠での休養が十分とれている ₁₆(₂₀.₈%) ₁₉(₂₄.₇%) ₀.₅₅ ₄₇(₁₇.₃%) ₆₃(₂₃.₂%) ₀.₀₃ ₀.₅₀ 減量ステージ : 熟考期 前熟考期 ₃₄(₄₄.₂%) ₂₁(₂₇.₃%) ₀.₀₂ ₉₄(₃₄.₆%) ₁₀₆(₃₉.₀%) ₀.₂₉ ₀.₁₄ b) SD: Standard Deviation 血圧高値, 脂質異常, 血糖高値の判定は特定保健指導の階層化基準による. ₁ 年後時点で薬剤治療を受けている者 : 血圧 ₂₃ 人, 脂質 ₈ 人, 血糖 ₅ 人. a) 減量成功群の初回支援時と ₁ 年後比較,b) 減量不成功群の初回支援時と ₁ 年後比較 : 身長, 体重,Body Mass Index, 腹囲, 血圧および血液検査値は対応のある t 検定, その他は McNemar 検定. c) 減量成功群と減量不成功群の初回支援時データ比較 : 身長, 体重,Body Mass Index, 腹囲, 血圧および血液検査値は t 検定, その他は χ ₂ 検定. 321

仲下 中村 木山 北村 表 2 4 % 以上の減量成功と初回支援時の各要因との関連 n(%) オッズ比 ₉₅% 信頼区間 p 値 ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動 なし ₂₅₂ (₇₂.₂) ₁.₀₀ あり ₉₇ (₂₇.₈) ₀.₈₉ ₀.₄₅-₁.₇₈ ₀.₇₄ ₁ 日 ₁ 時間以上の歩行または同等の身体活動なし ₃₀₂ (₈₆.₅) ₁.₀₀ あり ₄₇ (₁₃.₅) ₀.₅₃ ₀.₂₀-₁.₄₅ ₀.₂₂ 同年代と比較した歩く速度 普通 遅い ₁₅₅ (₄₄.₄) ₁.₀₀ 速い ₁₉₄ (₅₅.₆) ₁.₂₃ ₀.₇₀-₂.₁₅ ₀.₄₇ 人と比較した食べる速度 普通 遅い ₁₀₉ (₃₁.₂) ₁.₀₀ 速い ₂₄₀ (₆₈.₈) ₀.₉₁ ₀.₅₁-₁.₆₃ ₀.₇₅ 就寝前の ₁ ~ ₂ 時間以内に夕食をとる いいえ ₁₇₅ (₅₀.₁) ₁.₀₀ はい ₁₇₄ (₄₉.₉) ₁.₄₁ ₀.₈₁-₂.₄₅ ₀.₂₂ ほぼ毎日間食や夜食をとる いいえ ₂₈₇ (₈₂.₂) ₁.₀₀ はい ₆₂ (₁₇.₈) ₁.₅₃ ₀.₇₈-₃.₀₀ ₀.₂₂ 朝食を抜くことが多い いいえ ₂₆₅ (₇₅.₉) ₁.₀₀ はい ₈₄ (₂₄.₁) ₀.₉₅ ₀.₄₉-₁.₈₃ ₀.₈₇ 喫煙習慣 現在喫煙 ₂₀₄ (₅₈.₅) ₁.₀₀ 過去喫煙 ₈₆ (₂₄.₆) ₀.₈₀ ₀.₄₀-₁.₅₉ ₀.₅₃ 非喫煙 ₅₉ (₁₆.₉) ₂.₀₃ ₁.₀₄-₃.₉₆ ₀.₀₄ 飲酒習慣 なし ₈₇ (₂₄.₉) ₁.₀₀ あり ₂₆₂ (₇₅.₁) ₁.₁₈ ₀.₆₄-₂.₂₀ ₀.₅₉ 睡眠での休養が十分とれている いいえ ₂₈₆ (₈₁.₉) ₁.₀₀ はい ₆₃ (₁₈.₁) ₁.₃₀ ₀.₆₆-₂.₅₉ ₀.₄₅ 減量ステージ 熟考期 前熟考期 ₁₂₈ (₃₆.₇) ₁.₀₀ 実行期 準備期 ₂₂₁ (₆₃.₃) ₀.₅₉ ₀.₃₄-₁.₀₄ ₀.₀₇ 積極的支援プログラム IT コース ₁₅₈ (₄₅.₃) ₁.₀₀ 面接 レターコース ₆₁ (₁₇.₅) ₀.₈₄ ₀.₄₃-₁.₆₄ ₀.₆₁ IT& 検査コース ₉₁ (₂₆.₁) ₁.₄₅ ₀.₆₇-₃.₁₃ ₀.₃₄ 面接 レター & 検査コース ₃₉ (₁₁.₂) ₀.₇₆ ₀.₂₉-₂.₀₂ ₀.₅₉ n=₃₄₉. 調整因子 : 初回支援時の年齢,BMI. して継続した支援を行い, 生活習慣改善の目標設定では, 運動 身体活動に関する行動目標を必須として, 食習慣やその他の生活習慣に関する行動目標を複数設定するよう支援した. このことが, 運動習慣の改善および食習慣の改善と減量成功との関連を認めることにつながったと思われる. 喫煙は減量成功に対する阻害要因であり, 非喫煙を維持している者は現在喫煙者よりも減量を成功しやすいことが示唆された. 現在喫煙者が減量に成功しにくい背景として, 喫煙者は身体活動 運動不足や多量飲酒, 食習慣の偏りを併せもつこと ₁₂) や, 健康全般に対する意識の低さ ₁₃) に加えてニコチン依存症の影響が指摘されている ₁₂,₁₃). また, 喫煙者はニコチンを補給するための喫煙行動 を優先することから, 時間的な余裕が低下し身体活動 運動不足を招くことや, 金銭的な余裕の低下は食習慣の質の低下や改善の障壁となる可能性がある. 喫煙していると抑うつ傾向になりやすく ₁₄), 活動的な生活を送らないことにつながる可能性もある. 一方, 過去喫煙は減量成功と有意な関連が認められなかった. その理由として, 本稿では結果を示していないが, 過去喫煙者の初回支援時の生活習慣をみると, 非喫煙者や現在喫煙者に比べて, 朝食を欠食する者は少なく, 減量の行動変容ステージは実行期 準備期の割合が高い傾向がみられた. これらのことから, 過去の禁煙時の体重増加に対して生活習慣改善の取り組みをすでに行ったため, 特定保健指導の効果が見出しに 322 健 21 4 2013 年

表 3 4 % 以上の減量成功と特定保健指導後の各要因の変化との関連 n(%) オッズ比 ₉₅% 信頼区間 p 値 ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動 不変 悪化群 ₃₀₅(₈₇.₉) ₁.₀₀ 改善群 ₄₂(₁₂.₁) ₂.₈₈ ₁.₃₄-₆.₁₇ ₀.₀₁ ₁ 日 ₁ 時間以上の歩行または同等の身体活動 不変 悪化群 ₃₂₆(₉₃.₉) ₁.₀₀ 改善群 ₂₁( ₆.₁) ₂.₄₅ ₀.₉₀-₆.₆₃ ₀.₀₈ 同年代と比較した歩く速度 不変 悪化群 ₃₀₆(₈₈.₂) ₁.₀₀ 改善群 ₄₁(₁₁.₈) ₁.₁₁ ₀.₅₀-₂.₅₁ ₀.₇₉ 人と比較した食べる速度 不変 悪化群 ₃₂₅(₉₃.₇) ₁.₀₀ 改善群 ₂₂( ₆.₃) ₀.₄₈ ₀.₁₃-₁.₇₅ ₀.₂₇ 就寝前の ₁ ~ ₂ 時間以内に夕食をとる 不変 悪化群 ₃₀₁(₈₆.₇) ₁.₀₀ 改善群 ₄₆(₁₃.₃) ₁.₄₆ ₀.₆₉-₃.₁₂ ₀.₃₂ ほぼ毎日間食や夜食をとる 不変 悪化群 ₃₁₆(₉₁.₁) ₁.₀₀ 改善群 ₃₁( ₈.₉) ₂.₆₃ ₁.₁₃-₆.₁₃ ₀.₀₃ 朝食を抜くことが多い 不変 悪化群 ₃₁₈(₉₁.₆) ₁.₀₀ 改善群 ₂₉( ₈.₄) ₀.₆₅ ₀.₂₃-₁.₈₈ ₀.₄₃ 喫煙習慣 喫煙群 ₁₈₀(₅₁.₉) ₁.₀₀ 過去喫煙群 ₈₄(₂₄.₂) ₀.₇₇ ₀.₃₈-₁.₅₅ ₀.₄₆ 新規禁煙群 ₂₄( ₆.₉) ₁.₂₆ ₀.₄₄-₃.₅₆ ₀.₆₇ 非喫煙群 ₅₉(₁₇.₀) ₂.₀₈ ₁.₀₃-₄.₂₀ ₀.₀₄ 飲酒習慣 飲酒量不変 増加群 ₂₀₆(₅₉.₄) ₁.₀₀ 飲酒量減少群 ₁₄₁(₄₀.₆) ₁.₃₀ ₀.₇₆-₂.₂₃ ₀.₃₅ 睡眠での休養が十分とれている 不変 悪化群 ₃₀₉(₈₉.₀) ₁.₀₀ 改善群 ₃₈(₁₁.₀) ₀.₇₁ ₀.₂₈-₁.₇₈ ₀.₄₆ 積極的支援プログラム完了 なし ₉₇(₂₈.₀) ₁.₀₀ あり ₂₅₀(₇₂.₀) ₁.₀₁ ₀.₅₅-₁.₈₆ ₀.₉₇ 分析対象は特定保健指導開始後の再喫煙者 ₂ 人を除外した n=₃₄₇. 調整因子 : 初回支援時の年齢,BMI. くくなった可能性がある. また, 特定保健指導開始 ₁ 年以内の禁煙も減量成功と有意な関連が認められなかった. その理由として, 本研究の新規禁煙者では約 ₆ 割に平均 ₁.₅ kg の体重増加がみられたことの影響がみられた. すなわち, 禁煙により減量成功の阻害要因である喫煙の影響は取り除かれたものの, 禁煙後の体重増加によって減量成功との有意な関連がみられなかった. 本研究では, 特定保健指導における積極的支援実施から ₁ 年後の特定健診データを用いて, 減量成功の促進および阻害要因の検討を行った. これまでに減量成功に対する喫煙の影響を明らかにした報告はほとんどみあたらないことから, 本研究は, 今後の特定保健指導プログラムや喫煙状況に応じた保健指導において重要な結果を示したものと思われる. 喫煙するメタボリックシンドローム 該当者や肥満者への保健指導にあたり, 本研究では現在喫煙者は減量効果が出にくい結果を得たため, 継続的に支援を実施することで, 減量成功率を高める重要性が示唆された. 本研究の結果を一般化するにあたり, 以下の点を考慮する必要がある. 分析対象者が特定健診 特定保健指導制度が開始された₂₀₀₈ 年度に積極的支援を実施した職域男性 ₃₄₉ 人に限定されていること, 特定保健指導の初回面接を健診当日に同時実施することや一部のコースにおいて腹部 CT, 頸部エコーなどの詳細な検査を含めており, 一般的に実施されている保健指導の形態と異なることがあげられる. 今後女性や地域集団での検討のほか, サンプル数を増やした検討が必要である. 323

仲下 中村 木山 北村 Ⅴ 結語特定保健指導における積極的支援を実施した職域の男性勤労者において, 初回支援から ₁ 年後の特定健診データを用いて ₄ % 以上の減量成功に影響を及ぼす要因について検討した. 減量成功の促進要因は ₁ 回 ₃₀ 分以上の軽く汗をかく運動習慣の改善, ほぼ毎日間食や夜食をとる習慣の改善, 非喫煙の維持であることが示唆された. 謝辞本研究は平成 ₂₂-₂₄ 年度厚生労働省科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 生活習慣病予防活動 疾病管理による健康指標に及ぼす影響と医療費適正化効果に関する研究 ( 主任研究者 : 津下一代 )(H₂₂- 循環器等 ( 生習 )- 一般 - ₀₀₄) の助成を受け実施した研究成果の一部である. 本研究を行うにあたり, 多大なご協力を賜りました大阪府立健康科学センター ( 現. 大阪がん循環器病予防センター ) の皆様に深謝申し上げます. 利益相反利益相反に相当する事項はない. 文献 ₁) 厚生労働省. 標準的な健診 保健指導プログラム ( 確定版 ). 厚生労働省健康局 ;₂₀₀₇. ₂) 厚生労働省. 特定健康診査 特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き. 厚生労働省保険局 ;₂₀₀₇. ₃) 森口次郎, 松尾福子, 江島桐子, 他. 特定保健指導プログラムのメタボリックシンドローム予防における効果の検討. 人間ドック.₂₀₁₁;₂₆:₇₅ ₇₉. ₄) 上林奈津, 池葉子, 奥山幸子, 他. 当院で実施した特定保健指導の成績 腹囲の変化に影響する生活 習慣の解析. 人間ドック.₂₀₀₉;₂₄:₆₁ ₆₅. ₅) 足達淑子, 山津幸司, 足達教, 他. 減量希望者の心理行動特性と習慣変化 コンピュータプログラム利用者における成績から. 日本病態栄養学会誌. ₂₀₀₅;₈:₃₉ ₄₈. ₆) 足達淑子, 田中みのり. 非対面減量プログラム利用者における ₉ ヵ月後の減量維持を予測する要因の検討. 肥満研究.₂₀₀₈;₂₄:₂₄₄ ₂₅₀. ₇) Lundgren JD, O'neil PM, Martin CK, et al. Smoking status and weight loss in three weight loss programs. Eat Behav. ₂₀₀₆; ₇: ₆₁ ₆₈. ₈) 北村明彦, 磯博康, 佐藤眞一, 他. 地域, 職域におけるアルコール摂取状況の推移についての疫学的検討. 日本公衆衛生雑誌.₁₉₉₆;₄₃:₁₄₂ ₁₅₂. ₉) ジェイムス プロチャスカ, ジョン ノークロス, カルロ ディクレメンテ. 中村正和監訳. チェンジング フォー グッド. 東京 : 法研 ;₂₀₀₅.₃₆₀. ₁₀) 肥満症の診断基準. 日本肥満学会誌.₂₀₀₆;₁₂: ₁₀ ₁₅. ₁₁) 村本あき子, 山本直樹, 中村正和, 他. 特定健診 特定保健指導における積極的支援の効果検証と減量目標の妥当性についての検討. 肥満研究. ₂₀₁₀;₁₆:₁₈₂ ₁₈₇. ₁₂) Nakashita Y, Nakamura N, Kitamura A, et al. Relationship of cigarette smoking status with other unhealthy lifestyle habits in Japanese employees. Japanese Journal of Health Education and Promotion. ₂₀₁₁; ₁₉: ₂₀₄ ₂₁₆. ₁₃) Nagaya T, Yoshida H, Takahashi H, et al. Cigarette smoking weakens exercise habits in healthy men. Nicotine. Tob Res. ₂₀₀₇; ₉: ₁₀₂₇ ₁₀₃₂. ₁₄) Breslau N, Kilbey MM, Andreski P. Vulnerability to psychopathology in nicotine dependent smokers: an epidemiologic study of young adults. Am J Psychiat. ₁₉₉₃; ₁₅₀: ₉₄₁ ₉₄₆. ( 受付 ₂₀₁₃.₃.₇.; 受理 ₂₀₁₃.₁₀.₁.) 324 健 21 4 2013 年

Relationship between weight loss of at least ₄% and lifestyle improvement on receiving active support of specific health instructions Yumiko NAKASHITA* ₁, Masakazu NAKAMURA* ₂, Masahiko KIYAMA* ₂, Akihiko KITAMURA* ₂ Abstract Objective: To investigate the factors influencing successful weight loss among male workers who received active support of specific health instructions. Methods: A longitudinal study design was used. We administered a ₆-month health instruction program to persons who underwent a specific health check-up in our center between April ₂₀₀₈ and March ₂₀₀₉, and met the criteria for participating in the program. Among the persons who received active support, ₃₄₉ males who underwent a specific check-up ₁ year after the first support served as the study subjects. Successful weight loss was defined as that of at least ₄% ₁ year after the first support. We investigated the factors influencing successful weight loss using multiple logistic regression analysis. Results: A total of ₇₇ (₂₂.₁%) subjects succeeded in weight loss of at least ₄%. The factors that showed a significant relationship with successful weight loss were: "non- smoking conditions" (multivariable-adjusted odds ratio [OR]: ₂.₂₉, ₉₅% confidence interval [CI]: ₁.₁₀-₄.₇₈) at the time of the first support; "exercise to an extent that causes a little sweating for at least half an hour" (OR: ₂.₈₈, ₉₅% CI: ₁.₃₄-₆.₁₇), "discontinuation of the habit of snacking between meals and/or late at night almost every day" (OR: ₂.₆₃, ₉₅% CI: ₁.₁₃- ₆.₁₃), and "continued non-smoking conditions (OR: ₂.₀₈, ₉₅% CI: ₁.₀₃-₄.₂₀). Conclusion: It was suggested that the factors promoting successful weight loss are improving exercise and dietary habits, as well as continuing non-smoking conditions. JJHEP, ₂₀₁₃;₂₁(₄):317-325 Key words: specific health instruction, active support, weight loss, lifestyle, longitudinal study * ₁ Faculty of Nursing, Senri Kinran University * ₂ Department of Health Promotion and Prevention, Osaka Center for Cancer and Cardiovascular Disease Prevention 325