事後評価書 ( 期中の評価 ) 整理番号 4 都道府県名 鹿児島県 関係市町村 垂水市 期中評価実施の理由 事業名水産物供給基盤整備事業 ( 水産流通基盤整備事業 ( 特定 ) ) 地区名 カイガタ 海潟地区 事業主体 鹿児島県 Ⅰ 基本事項. 地区概要 漁港名 ( 種別 ) 海潟 ( 種 ) 漁場名 陸揚金額 4,8 百万円 陸揚量 4,9 トン 登録漁船隻数 30 隻 利用漁船隻数 43 隻 主な漁業種類 ぶり類養殖 まき網 主な魚種 ぶり類 いわし あじ 漁業経営体数 89 経営体 組合員数 30 人 本漁港は, 桜島と江ノ島に囲まれた天然の良港であり, 現在, カンパチの 養殖水揚げ高は, 約 4,700トンで県内有数の生産量を誇り, 平成 年 7 月には 垂水市漁協が かごしまのさかな ブランド認定を受けている 地区の特徴 また, 平成 0 年 月より品質基準を取り入れた加工場で, カンパチの加工 を行っており, 平成 年年 月にはHACCPを取得し, 一層品質管理の徹底 を行っている 出荷先については, 国内はもとより, 香港, シンガポールな ど, 海外に向けての出荷も行っている. 事業概要 事業目的 本漁港における漁船の係留は, 通常時は沖合停泊, 荒天時には対岸の桜島に避難している状況である また, 用地が不足しており, イケス組立等の順番待ちなどを強いられている そのため, 外郭施設の整備による静穏度を確保し, 漁船の安全性の向上を図る また, 係留施設及び用地の整備を行い, 沖合の停泊解消を図るとともに, 漁業作業効率及び安全性の向上を図る 主要工事計画 防波堤,-3.0m 岸壁 ( 改良 ),-.0m 物揚場 ( 改良 ), 道路, 道路 ( 改良 ) 事業費 3, 百万円 事業期間 既設事業費,043 百万円 事業進捗率 (%) 平成 4 年 ~ 平成 30 年 3.% Ⅱ 点検項目. 費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化直前の評価今回の評価 総費用 ( 千円 ),39,74 4,7,0 総便益 ( 千円 ),847,,99,88 別紙 費用対効果分析集計表 のとおり 費用便益費 (B/C).0.34 総費用の変更の理由平成 7 年 3 月に, 漁業作業の効率, 安全性の向上を図るため浮桟橋,-3m 岸壁 ( 改良 ),-m 物揚場 ( 改良 ) 等を追加した 便益算定項目について変更がある場合はその項目と変更の理由 変更なし その他費用対効果分析に係る要因の変化経年 経済情勢の変化による漁船隻数, 人件費等に変動があった
. 漁業情勢 社会経済情勢の変化 () 漁業情勢及び漁港施設 漁場施設等の利用状況と将来見通し計画策定後の漁業集落に関わる社会経済状況 自然状況の当初想定との相違と将来見通し 当地区の組合員数は計画策定時の3 人 (H4) から30 人 (H) と大きな変化は見られず, 今後も同程度で推移する見通しである 漁業形態 流通形態について当初想定との相違と将来見通し 平成 0 年 月より品質基準を取り入れた加工場で, カンパチの加工を行っており, 平成 年年 月には HACCP を取得し, 一層品質管理の徹底を行っている 出荷先については, 国内はもとより, 香港, シンガポールなど, 海外に向けての出荷を行っており, 平成 4 年 月からは, マカオへの出荷も始めている 漁港施設等の利用状況について当初想定との相違と将来見通し利用漁船数は409 隻 (H4) から43 隻 (H) と安定的に推移しており, 利用状況に大きな変化は見られない () その他社会情勢の変化漁港地区人口は, 平成 4 年 (,40 人 ) から, 平成 年 (,09 人 ) と減少している 3. 事業の進捗状況 平成 年までに係留, 輸送及び用地の整備を実施してきており 進捗率は 4% である 今後は, 防波堤の整備を計画的に実施する予定である 4. 関連事業の進捗状況 垂水市漁協が事業主体となり, 平成 年 月に HACCP 認定の水産加工センターが設立された そこでは, 水揚げされたかんぱち ぶりの加工を行っており, 徹底した品質 衛生管理を行っている. 地元 ( 受益者 地方公共団体等 ) の意向 漁業作業の安全性の確保, 漁業従事者の就労環境の改善等を図るため, また, 養殖における生産量の拡大を図るため, 防波堤の整備が強く望まれている. 事業コスト縮減等の可能性 防波堤の断面については, 比較検討し, 最も安価な案を採用, コスト縮減に努めている 7. 代替案の実現可能性 代替案は特になし Ⅲ 総合評価 本漁港は大隅半島の西北部に位置し, 県下有数の養殖漁業基地であり, 養殖カンパチを国内への出荷はもちろん, 香港, ドバイ, シンガポール, インドネシア, マカオ等への輸出を行うなど, 本漁港での水産業は, 地域の重要な産業基盤である そのため, 当地区においては, 安心安全な漁業活動の確保と効率的な漁業活動が図られるよう, 外郭施設, 係留施設等の整備を行うものであり, 事業の進捗も, 工事に際し漁船と作業船の輻輳をさけるため, 工事行程の調整に時間を要しているものの,4% と順調に推移している 残る事業においても, 漁船及び漁業活動における安全性の向上を図る上で必要不可欠な事業であり, 地元も防波堤整備等について強い関心を持ち, 整備推進の要望もあがっているところである また, 貨幣化が可能な効果について, 費用対効果分析を行ったところ,.0 を超えており, 経済効果についても確認されている さらに, 事業効果のうち貨幣化が困難な効果についても, 漁港の安全性確保により, 地域住民はもちろん, 県内外からの漁業体験者への交流憩いの場として提供することができ, 地域の活性化を図ることができると考えられる 以上の結果から 本事業の必要性及び経済性は高いと認められ 事業の継続は妥当であると判断された
費用対効果分析集計表 基本情報 都道府県名 鹿児島県 地区名 海潟地区 事業名 水産流通基盤整備事業 ( 特定 ) 施設の耐用年数 0 年 評価項目 評価項目 便益額 ( 現在価値化 ) 水産物生産コストの削減効果 4,8,77 千円 水産物の生産性向上 漁獲機会の増大効果 3 漁獲可能資源の維持 培養効果 千円千円 4 漁獲物付加価値化の効果 千円 便益の評価項目及び便益額 漁業就労環境の向上生活環境の向上地域産業の活性化非常時 緊急時の対処 漁業就労環境の労働環境改善効果 生活環境の改善効果 7 漁業外産業への効果 8 生命 財産保全 防御効果 9 避難 救助 災害対策効果 0 自然環境保全 修復効果 48,94 98,43 千円千円千円千円千円千円 自然保全 文化の継承 景観改善効果 千円 地域文化保全 継承効果 千円 その他 3 漁港利用者の利便性向上効果 4その他 千円千円 計 ( 総便益額 ) B,99,88 千円 総費用額 ( 現在価値化 ) C 4,7,0 千円 費用便益比 B/C.34 3 事業効果のうち貨幣化が困難な効果 防波堤整備による背後集落への越波防止
特定漁港漁場整備事業海潟地区事業概要図 -.0m 泊地 C 護岸 D 護岸 浮桟橋 -3.0m 岸壁 ( 補修 ) F 防波堤 G 防波堤 H 防波堤 用地 J 道路 E 防波堤 用地 -.0m 物揚場 A 道路 ( 補修 ) B 道路 -.0m 揚物場 ( 補修 ) 事業主体 : 鹿児島県主要工事計画 : E 防波堤 4m,F 防波堤 0m,G 防波堤 40m,H 防波堤 0m, 護岸 43m, D 護岸 4m,-.0m 物揚場 0m, 浮桟橋 基,-3.0m 岸壁 ( 補修 )00m, -.0m 物揚場 ( 補修 )30m,-.0m 泊地,8m,B 道路 7m,J 道路 49m, A 道路 ( 補修 )93m, 用地,7m, 用地,000m事業費 :3, 百万円事業期間 : 平成 4 年度 ~ 平成 30 年度
海潟地区水産物供給基盤整備事業の効用に関する説明資料. 事業概要 () 事 業 目 的 : 本漁港における漁船の係留は, 通常時は沖合停泊, 荒天時には対岸の桜島に避 難している状況である また, 用地が不足しており, イケス組立等の順番待ちな どを強いられている そのため, 外郭施設の整備による静穏度を確保し, 漁船の安全性の向上を図 る また, 係留施設及び用地の整備を行い, 沖合の停泊解消を図るとともに, 漁 業作業効率及び安全性の向上を図る () 主要工事計画 : E 防波堤 F 防波堤 G 防波堤 H 防波堤 C 護岸 D 護岸 -.0m 物揚場 浮桟橋 - 3.0m 岸壁 ( 改良 ) -.0m 物揚場 ( 改良 ) -.0m 泊地 B 道路 ( 改良 ) J 道路 A 道路 ( 改良 ) 用地 用地 ( 改良 ) (3) 事 業 費 : (4) 工 期 : 3, 百万円平成 4 年度 ~ 平成 30 年度. 総費用便益比の算定 () 総費用総便益比の総括 算定式 数値 総費用 ( 現在価値化 ) 4,7,0 ( 千円 ) 総便益額 ( 現在価値化 ),99,88 ( 千円 ) 総費用総便益比.34
() 総費用の総括 施設名 整備規模 事業費 ( 千円 ) E 防波堤 ( 改良 ) L=4m 7,000 F 防波堤 ( 新設 ) L=0m 77,000 G 防波堤 ( 改良 ) L=40m 78,000 H 防波堤 ( 新設 ) L=0m,93,000 C 護岸 L=43m 7,000 D 護岸 L=4m 38,000 -.0m 物揚場 L=0m 38,000 浮桟橋 基 370,000-3.0m 岸壁 ( 補修 ) L=00m 0,000 -.0m 物揚場 ( 補修 ) L=30m 0,000 -.0m 泊地 A=,8m,000 B 道路 L=7m 0,000 J 道路 L=49m 4,000 A 道路 ( 補修 ) L=93m 44,000 用地 A=,7m 88,000 用地 A=,000m 7,000 計維持管理費等総費用現在価値化後の総費用 3,,000 8,000 3,80,000 4,7,0 (3) 年間標準便益 効果項目 水産生産コスト削減効果 33,39 漁業就業者の労働環境改善効果 計 年間標準便益額 ( 千円 ) 38,08 避難 救助 災害対策効果,798 77,4 効果の要因 係留作業時間の軽減, 漁船の耐用年数の延長, 網干作業の積込 移動時間の削減, 養殖イケスの耐用年数の延長 作業の安全性の向上 台風時避難回数の減少
(4) 総便益算出表 評価期間 - 9-4 0-3 - - 3 0 4 3 7 4 8 9 30 7 3 8 3 9 33 0 34 43 7 44 8 4 9 4 70 47 7 48 7 49 73 0 74 7 7 3 77 4 78 79 80 計 年度 割引率.7.70..08.040.000 0.9 0.9 0.889 0.8 0.8 0.790 0.70 0.73 0.703 0.7 0.8 0.78 0.7 0. 0.8 0. 0.4 4,0 38,08,798 89,07 7,8 0.4 4,0 38,08,798 89,07,70 0.3 4,0 38,08,798 89,07,83 0.30 4,0 38,08,798 89,07 4,3 0. 4,0 38,08,798 89,07 3,88 0.0 4,0 38,08,798 89,07,740 0. 0. 水産物生産避難 救労働環境計コストの削助 災害改善効果減効果対策効果 33,39 38,08,798 77,4 33,39 38,08,798 77,4 33,39 38,08,798 77,4 33,39 38,08,798 77,4 33,39 38,08,798 33,39 38,08,798 77,4 49,33 4,0 38,08,798 4,0 38,08,798 4,0 38,08,798 4,0 38,08,798 4,0 38,08,798 便益 ( 千円 ) 77,4 89,07 3,40 89,07 89,07 3,9 89,07 9,94 89,07 割引後効果額合計 ( 千円 ) 0, 0,3 98,93 94,84 9,44 84,308 8,0 77,90 74,930 7,038 9,34 0,30 0,93 94,833 87,30,7 8,80,98 4,0 38,08,798 89,07,03,99,88
3. 効果額の算定方法 () 水産物生産コストの削減効果 係留作業時間の軽減外郭施設, 係留施設及び水域施設の整備による係留作業時間の軽減 対象漁船隻数 ( 隻 ) 休憩用係船岸延長 ( 整備前 )(m) 休憩用係船岸延長 ( 整備後 )(m) 休憩用所要船幅 (m/ 隻 ) 係留作業所要人数 ( 人 ) 整備前年間労働日数 ( 日 ) 係留 回当り作業時間 ( 時間 ) 労働単価 ( 円 / 時間 ) 3 4 7 8 備考 30 港勢調査 (H, 水産庁漁港漁場整備部 ) 40 既存係船岸延長 計画係船岸延長 3. 3t:.4m.=3.m 垂水市漁協ヒアリング 300 垂水市漁協ヒアリング 0. 垂水市漁協ヒアリング,70 漁業経営調査報告 (H, 農水省統計部 ) 年間便益額 ( 千円 / 年 ) 7,789 {(-/4)-(-3/4)} 7 8 漁船の耐用年数の延長防波堤の整備に伴う係留可能漁船の耐用年数の延長 備考 整備前係船岸充足率 (%) 整備前利用漁船数 ( 隻 ) 整備後係船岸充足率 (%) 整備後利用漁船数 ( 隻 ) 漁港施設整備前の漁船の耐用年数 ( 年 ) 漁港施設整備後の漁船の耐用年数 ( 年 ) 漁船建造費 ( 千円 /t) 3 4 7 0 49 4 348 7 0.3 3,90 H3 係船岸充足率港勢調査 (H3, 水産庁漁港漁場整備部 ) H 係船岸充足率港勢調査 (H, 水産庁漁港漁場整備部 ) 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 ( 財務省 ) 漁業経済調査報告書漁船第 3 号 漁船の平均 t 数 (t/ 隻 ) 8 7.3,38t/348 隻港勢調査 (H, 水産庁漁港漁場整備部 ) 年間便益額 ( 千円 / 年 ) 7,7 ((3 4)-( )) (/-/) 7 8
3 網干作業の積込 移動時間の削減 網干場の整備による積込, 移動時間の削減 備考 定置網統数 ( 統 ) 作業所要人数 ( 人 ) 年間作業回数 ( 回 ) 回当り所要時間 ( 時間 / 回 ) 刺し網統数 ( 統 ) 作業所要人数 ( 人 ) 年間作業回数 ( 回 ) 回当り所要時間 ( 時間 / 回 ) 労働単価 ( 円 / 時間 ) 3 4 7 8 9 0 300 0.,70 垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング漁業経営調査報告 (H, 農水省統計部 ) 年間便益額 ( 千円 / 年 ) 8,938 {( 3 4)+( 7 8)} 9 4 養殖イケスの耐用年数の延長養殖用施設用地の整備に伴う養殖イケスの耐用年数の延長 生け簀台数 ( 台 ) 整備前耐用年数 ( 年 ) 整備後耐用年数 ( 年 ) イケス購入費 ( 千円 / 台 ) 3 4 87 7.,00 垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング 備考 年間便益額 ( 千円 / 年 ) 8,700 (/-/3) 4 () 労働環境改善効果 作業の安全性の向上外郭施設 係留施設及び浮桟橋等による作業の安全性の向上 備考 整備前作業ランク整備後作業ランク労務時間 ( 時間 / 回 ) 労働単価 ( 円 / 時間 ) 日当たり受益者数 ( 人 / 日 ) 年間作業日数 ( 日 ) 3 4.9.000,70 9 300 垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング漁業経営調査報告 (H, 農水省統計部 ) 垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング 年間便益額 ( 千円 / 年 ) 38,08 (-) 3 4
(3) 避難 救助 災害対策効果 台風時避難回数の減少 外郭施設, 係留施設の整備による漁船の台風時避難回数の減少 備考 整備前避難隻数 ( 隻 ) 整備後避難隻数 ( 隻 ) 回当り漁船燃料費 ( 千円 / 回 ) 回当り車燃料費 ( 千円 / 回 ) 回当り漁船移動時間 ( 時間 ) 回当り見回り時間 ( 時間 ) 3 4 7 4 0 0. 3.3 4.8 4.9 港勢調査 (H, 水産庁漁港漁場整備部 ) 垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング垂水市漁協ヒアリング 労働単価 ( 円 / 時間 ) 8,70 漁業経営調査報告 (H, 農水省統計部 ) 年間便益額 ( 千円 / 年 ),798 (-) (3+4+((+) 7))