小さな循環いい暮らし事業について 小さな循環いい暮らし事業実行委員会 ベッタ会 NPO 法人新聞環境システム研究所 NPO 法人南畑ダム貯水する会 NPO 法人循環生活研究所 福岡市港湾局事業調整課 (1) 共働のきっかけ 必要性アイランドシティでは 市民 事業者 行政それぞれが必要な環境共生への取り組みを進め 福岡市全体での環境共生都市づくりをリードする先進的なまちづくりを実現することとしている ハード整備の先行しているアイランドシティにおいては ソフト面での対応が重要課題としてあげられている そのような状況の下 年間を通して教育や地域活動に入り 環境啓発を行っていくノウハウや経験を持つNPOと 実施にあたり学校 地域 関係部署との調整を行うことができる行政 双方の専門性や強みを活かし ソフト面での環境への取り組みを推進するためにこの共働事業に取り組むことになった (2) 事業目的アイランドシティにおいて先進的な環境共生都市づくりをモデル的に実施していくため NPO がこれまで実践してきた土 水 紙などの身近な資源を大切にする教育方法をシラバスとして体系化し 小中連携教育のプログラムとして段階的に導入する また 公園や公民館と連携して地域とも環境イベント等を実施し 好奇心 実践力 持続力 協働性を育み 地域のつながりによって実現される 小さな循環 がもたらす いい暮らし ( 循環型社会 ) の実現を目指すという目的を共有する (3) 事業内容 ベッタ教育事業 小さな循環システム体験 普及事業 照葉小中学校授業への導入による具体的な環境負荷低減活動の教育 実践 アイランドシティ中央公園照葉公民館体験イベント 講座による小さな循環システム普及の促進 地域交流
(4)NPO と市の役割分担 福岡市 NPO が持つ環境啓発に関与する知識と技術を活かすため 地域との調整 広報を行う ベッタ会 環境啓発に関与する NPO は これまでに培ったノウハウと専門性を地域で活かす 照葉小中学校 保育園 既存教育の補完を試すための環境教育の場を提供 アイランドシティ中央公園 開かれた市民交流の場に体験型の環境教育を導入 (5) 共働事業の結果 効果 成果 メリット 質的効果の評価昨年はこれまでの経験を踏まえ 試行錯誤的に実施した事業を本年度は 3つの視点 ( 資源循環 交流 シラバス ) から見直し 課題の抽出 改善 新規事業の試行を実施しています NPOの専門性ときめ細かな動きに加え 福岡市のPR 活動や主体へのアプローチにより成果を出し始めた経緯をまとめました 資源循環 環境共生の視点から 参加層が増え 菜園活動も充実し少しずつ資源循環 環境共生の具体的な行動の環が広がっており 新たな活動からも成果が見え始めています 交流の視点から (1) 交流主体の広がり小学校 中学校 公園 公民館に加え 本年度は参加主体として保育園 自主活動として育児サークルや福岡女子大学の学生が参加し 年齢の幅も広がり厚みが増しています (2) 交流の場の創出拡大小 中学校 夏休み講座 菜園講座に加え 本年度は新しい試みとして保育園での体験学習 キッズフリマなどの機会が増えました シラバス( プログラム ) の視点から シラバスの充実昨年のプログラムの見直しと先生たちとの意見交換により より使いやすいシラバスづくりを試行することに取り組んでいます 実施主体の変化昨年 本事業からの提案 実施したプログラムから 先生たちからの提案や先生主体での実施など 少しずつではあるが効果がみられその恩恵として 新たなリンクする教科やカテゴリが増えています 先生の要望に応じてNPOの技術を提供しながら 使いやすいプログラムづくりをしています 教材の強化 充実本事業の目的とする資源循環 環境共生に向けた分かりやすいベッタマップを制作
ベッタ教育事業 < 照葉小学校 > 授業名 大豆はかせになろう( 小学校 3 年生対象 ) 実施日 5/13,6/7,6/30,7/11,7/15,7/27,8/2,8/23,9/13,9/28 実施内容 昨年行った大豆の授業で収穫した大豆の一部を今年の 3 年生が引き継ぎ 大豆を種から植えて育てています 授業も総合 国語 理科にリンクしています 調べたこと 体験したことを壁新聞にまとめる授業につなぎました 授業名 壁新聞をつくろう 実施日 6/30 実施内容 ~ 土の学習をベースにした紙の学習への展開 ~ 大豆について調べ 体験した内容を整理 感動 気づき 伝えたいことなどを新聞記事としてまとめる技術を習得する授業を行いました 新聞づくりを通じて 情報の整理と伝達 記述力の向上を図りました 授業名 生き方の授業 実施日 10/7 実施内容 ベッタ会って何しているの なんでそんなに詳しいの など 子ども達が考えた質問に45 分間答えていく授業 各クラス板書により模造紙 5 枚ずつ集約しましたが NPOや活動 人に対しての興味に回答していった 地域の人にヒアリングをするという国語の生き方の授業にリンク
授業提案 新聞の活用( 対象 :5 年生 ) 水の循環( 対象 :6 年生 ) 昨年 5 年生を対象に行った新聞を使ったスクラップづくりの授業 マイスクラップで伝えよう を 今年は5 年生の先生方だけで実施されました 現在 その結果をヒアリングしながら新聞を教材とした授業 ( 新聞づくり 新聞鉛筆づくり等 ) の新たな導入提案を行っています また 今後 6 年生の授業で 循環 をテーマにした授業が予定されており 水の循環の授業導入を提案しています < 照葉保育園 > 事業名 育てて食べよう( はじめての堆肥づくり 野菜づくり ) 実施日 6/7,7/1,7/2,7/27,8/2,8/23 実施内容 ダンボールコンポストを園児とともに学習し実践 できた堆肥はキャベツ ブロッコリーに使用 6 月になす ピーマンを堆肥を使ってプランターに植栽 収穫量の多さや今までのプランター野菜との違いを実感されたと報告がきています 収穫した野菜は幼児が持ち帰り各家庭で食卓にのぼりました また 隣接する照葉小学校の旧 3 年生が育てた大豆を分けてもらって育てています また 堆肥づくりの経験がある小学生とともに保育園で堆肥の様子を見る活動も行った 小さな循環システム体験 普及事業 <アイランドシティ中央公園 > 講座名 オーガニック菜園講座 実施日 4/16,5/21,6/18,7/30,9/17 実施内容 家庭でできる堆肥づくり( ダンボールコンポスト 設置型コンポスト 木枠コンポストなど ) と堆肥の使い方 野菜の育て方までつながった講座を実施しています 7 月の水の学習会では水の循環学習と雨水を集める集水ネットの実践と取り付けを行い 公園に来られる方への啓発につながりました 家庭でのコンポストの実践と堆肥の回収も行っている 継続してすることにより 安定してごみ減量としてコンポストを実施する若い層も出現しています
課外講座 草取り 菜園活動 実施日 毎週土曜日 実施活動 毎週ボランティアさんとともに草取りと 菜園のお手入れ活動 堆肥づくりを実施している ここに地域の人に加え 育児サークルのメンバーや福岡女子大学の学生さんが参加されています 事業名 照葉じゅんかん楽校 実施日 7/22,7/30 実施内容 小学生を対象にアイランドシティ中央公園にて学習会を開催しました 水 土に分かれて循環の学習をした後に夏休みの宿題として提出するためのまとめ方 新聞の作り方を学びました 事業名 キッズフリマ in 照葉 ( アイランドシティ中央公園 ) 実施日 10/29( 開催予定 ) 10/1 説明会開催 実施内容 モノを大切にする 地域でくらしに必要なモノが循環することを目的に キッズフリマ を開催予定 このイベントでは 金銭感覚を養うためにお小遣い帳をつけるなどの項目もあり 実施後にベッタ学習会 ( 紙 水 土 ベロタクシー ) を必須で受講してもらいます 10/8 に事前説明会を開催 目的の確認共有とともに本事業の経緯や経過報告をPRも行いました 福岡市の協力によるチラシ配布効果もあり 当日は照葉小学校の親子 30 人が参加しました 事業名 ベッタシステム導入アイランドシティ中央公園を拠点にベッタシステムの導入を検討中 具体的には 市民がダンボールコンポストでつくった堆肥を中央公園事務所へ持参 その重量を数値にてベッタシステム搭載の資源銀行に預ける 一定量貯まれば betta 券と交換でき 中央公園やベッタ会が提供する様々な商品 サービスの割引が受けられる という動きを促進できる仕組みづくりを進めています
(6) 担当者の声 市民の声 30 代 Aさん :3 月に越してきて 入学する前に公園の菜園活動に参加しました 菜園で一緒に活動することですぐにお友達ができ おじいちゃんおばあちゃんやNPOの方々などいろいろな人に子どもたちが触れ 毎週土曜日の菜園活動をとても楽しみにしています ダンボールコンポストも思ったより簡単で 続けることができたことに自分でも驚いています これからも参加したいです 40 代 Bさん : こんな近くに体験学習ができる場があるのがいいですね 子ども ( 小 4) は畑が大好きで 毎週土曜日の作業に参加するのを楽しみにしています 20 代 Cさん : 小さい子がいるのでなかなか出かけられません 泥んこになって子どもと遊べるし 野菜も採れるのでいい 小学 3 年生 : ぐんぐん育って枝豆になっています 収穫して大豆パーティーをするのが楽しみです 小学 4 年生 : ぼくは最近 農業大学に行きたいと思っている (7)24 年度への展開平成 22 年から平成 23 年にかけて取り組んできた小中学校や保育園等の子ども達を対象とする環境教育を核としながらも 子どもの取り組みを親が見守れる 親子で取り組める 家庭で実践できる という3つの方向性を基本とする地域の身近な場所での 小さな循環システム体験 普及事業 に取り組んできた結果 学校外でも市民の方々や子ども達が参加し始め いろいろな気づきを共有できている 具体的な取り組みとして平成 23 年度後半は 子ども達が商業感覚やリサイクルを学べるキッズフリマの開催や ベッタシステムによるダンボールコンポスト等の普及促進などにも着手する 平成 24 年度に 今年度取り組む 小さな循環システム体験 普及事業 を定着 展開していくにあたっては これまでの既存市街地への取り組み継続に加え 隣接する地区の新たな開発にあわせて普及 展開に取り組むことが必要である また 教育委員会や関係局と連携し 他の校区への展開も見据えた取り組み紹介や出張イベント等も実施していくことが必要である 特に平成 24 年度については これまでの取り組みを他校区へ展開することも見据えた活動を想定しており これには 市役所内部の担当部局や学校間との協議調整が必要となることから 共働 での取り組みを必要とする 平成 24 年度は 平成 23 年度の取り組みを本格化させることに加え 小さな循環 のある環境に優しい暮らしの提案など 新たな開発地の住宅販売時に建物毎の 小さな循環いい暮らし の提案を新たな住民に対し開発企業と連携して行っていくとともに 教育委員会等と連携し 他校区の小学校等へ事業成果の報告や環境教育プランの提案等を行っていく 今後の展開イメージ図